子どもの食意識に関する文献的動向及び調査研究
教科・領域教育専攻
生活・健康系コース(保健体育) 武 市 叔 子
1.研究の目的
子どもの時期の食生活の改善は,健全な成長 発達のために,そして生涯にわたる生活習慣の 基盤を獲得する時期として,重要である。食生 活の改善とは,望ましい食事行動が実践できる ことであり,その行動の起因として食意識が重 要な関わりを持っていることが考えられる。こ のことより本研究では子どもにおける食生活の 改善を目指し,食事行動に関わる要素として食 意識を中心に研究し,以下の二つの目的を設定
し,研究を行った。
第一:食意識(特に子ども)に関する研究の 動向を調査分析することによって,食意識を取 り上げることの重要性や,時代背景や社会的変 化とともにどのように食意識が着目されてきた かを明らかにする白(方法:文献的動向の検討)
第二:子ども期,特に自律心が発達する中学 生においては,食生活行動の基盤となる食意識 の改善は重要な意義を持っと考えられる。従っ て,中学生の食意識の実態と,それに大きな影 響を与えていると考えられる保護者の属性,生 活環境,食事行動からの影響について明らかに する。(方法:中学生・保護者を対象とした調査 研究)
以上二つの目的に対する研究で,食意識に関 する研究の変遷および食意識を取り上げる重要 性,また子どもたちの食や食意識に及ぼす保護 者の影響を明らかにし,食教育における基礎的 知見を提示する。
指 導 教 官 吉 本 佐 雅 子
2.
研究の方法1 )検索エンジンNACSIS‑IR(2005.3.31終了) を利用し,キーワード「食and意識
J ( 1
961‑2005 年3月の間)で食と意識に関する文献資料を検 索した。出現した文献をそのタイトルから判断 し,カテゴリーについて分類した。また対象者 が小・中・高校生のものについてはその研究内 容をさらに詳しく調査し,アンケートの質問内 容に関して分類し,食意識に関する研究の年次 的動向を検討した。2)徳島県下の N中学校に在籍する中学 1年 生と中学 2年生 (78名)とその保護者(生徒 の食事を準備しているもの)を対象に,食の実 態および、食意識について調査を行った。食意識 としては,食生活全体の意識レベルを表すと考 えられる項目で構成し好き嫌い,将来の健康,
改善,食事の取り方・楽しみ,栄養の取り方,
に対する意識を質問した。有効回答は生徒が 78 名(有効回答率 100見),保護者が62名(有効回 答率 79.5覧)であった。統計処理には StatView を使用し,関連性はスヒ。アマンの順位相関係数,
また群別の平均値の比較は分散分析を用いた。
有意水準は
5 %
以下とした3.結果と考察 1 )文献的動向:
( 1 )食や食意識に関する文献数は年次的に増 加する傾向にあり,栄養摂取レベルだ、けで、なく,
食生活の要素として食意識への関心が増してき たことが分かった。また,青年期や学生を中心
とした文献が増えてきており,子どもの食や食
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意識に関して大きな関心が寄せられていること が推察された。文献内容に関しては,時代背景 や法令の影響を大きく受けていることが推察さ れ,年代を追うに従ってその内容が多様化して いた。食を栄養摂取だけでなく,多角的に人の 営みとして捉えようとしている動きを読み取る ことができた。
( 2)子どもを対象とする食意識に関する研究 は,緩慢ではあるが増加しており,子どもの食 意識に関心が寄せられていることが窺えた。ま た子どもだけでなく保護者や教師,研究者とそ の両者を対象とした研究もみられることから,
食が複雑化していく中,子どもを取り巻く大人 や環境も重要な視点となってきていることが示 唆されたD アンケート項目を見てみると,年々 意識を問う項目が増えてきており,食生活の向 上・改善を目指すために,実態だけでなく意識 面も捉えることの重要性が増してきたことが推 察できたD
2)調査研究:
( 1 )男女とも食意識が高い者ほど三食を正し く摂っている傾向があり,現在問題になってい る欠食や食事の不規則性を改善するためには,
食意識を高めることが重要ではなし、かと推察さ れた。また女子においては,食意識が高い者ほ ど望ましい夕食形態や,食行動を送っており,
このことからも食意識は,食行動に影響する重 要な要因であると考えられる。さらに女子にお ける食行動や食意識は,精神的健康に影響する とし、う結果が得られた。
( 2)団嬢やコミュニケーションが好きで,家 庭でも心がけている保護者の子どもほど,望ま
しい夕食の形態をとっていた。また女子に関し ては,保護者の食意識が高いほど,望ましい夕 食形態を送っており,保護者が団奨の大切さを 理解し,常に回奨やコミュニケーションを心が けることや保護者の食意識の向上の必要性が窺 われた。
(3)男子において,団壌やコミュニケーショ ンが好きで心がけている保護者の子どもの方が,
よい食行動をとっていることが明らかになった。
家庭において家族そろって食事をすることの重 要性をもう一度認識し,家族全体で団壌やコミ ュニケーションをとりながら自然に食教育を行 っていくことが望ましいと示唆された。また「食 行動」に影響を及ぼす要素として,保護者の「食 意識j も認められ,子どもの食生活・食行動の 改善には,保護者の意識向上が重要であると示 唆された。子どもと保護者が共に食意識を向上 できるようにするためには,学校と家庭との連 携が必要不可欠であると考える。
(4 )仕事が忙しくなく,食事に手間をかけて いる保護者の子ども(男子)ほど,食意識が高 いという結果であった。保護者の仕事の忙しさ や仕事環境を変えるのは困難であるため,家族 が食事に関して役割分担を行い,食事に手間を かければ,自然と生徒の食意識の向上が望める のではないかと推察される。また調理に関して 関心を持ち,望ましい調理態度を持つ保護者の 子ども(女子)ほど食意識が高かった。結果考 察 (1 )より,女子が望ましい食行動をとるた めには食意識の向上が必要であり,その食意識 の向上のためには,保護者が望ましい調理の態 度を見につけることが必要であることが示され た。
4.まとめ
文献的動向からは,栄養摂取レベルだ、けで、な く,食生活の要素として子どもの食意識に関心 が寄せられてきていることが分かつた。また研 究内容に関しては時代背景の影響を強く受けつ つ,食を多角的に人の営みとして捉えようとし ている動きを読み取ることができた。
調査研究からは,食意識は,食行動に影響す る重要な要因であることが把握できた。また,
保護者の食意識の向上,回策への心がけ,調理 への望ましい態度が,子どもの食行動や食意識 の向上に繋がることも示唆された。
今後は,家庭と学校が連携した,子ども・保 護者両者の食意識向上を目指した食教育のあり 方を検討したい。
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