児 童 生 徒 の 非 支 援 下 CMC の現状分析と,
問題点克服を目指した指導の在り方に関する研究
学校教育専攻 総合学習開発コース 加 納 真
1 .問題の所在
インターネットや携帯電話の普及に伴い,
新たな出会いの可能性は広がる反面,人間関 係のトラブ、ルや事件,犯罪といった社会的な 問題に発展する危険性も高くなっている。
インターネット上には,児童生徒が利用し ている掲示板やチャット等のコミュニティが 多数存在し,活発にコミュニケーションが行 われているo そこでのコミュニケーションの 様子を観察すると,保護者やコミュニティの 管理者などの監督や指導,助言がないまま自 由にCMCを行っている様子が確認できるロ
学校においては CMCが起因した人間関係 のトラブルやネットいじめなどの問題が増え てきているロしかし,問題が起きたときに対 症療法的な指導は行われていても,その具体 的な状況把握や,原因の背景分析に基づく指 導はなされていないのが現状である。
児童生徒の非支援下CMCの実態や意識等の 問題点克服を目指した指導の在り方に関する 学術研究は存在しないロ
2.研究の目的と方法 ( 1 )研究の目的
本研究は,児童生徒の非支援下CMCの現状 を明らかにするとともに,得られたデータか ら問題点を分析し,それに関して考察を加え ることにより,問題点克服を目指した指導の
指導教員 藤 村 裕 一
在り方を示すことを目的とし,児童生徒がよ りよく非支援下CMCを行っていくための指導 や環境構成の在り方,教師,保護者,行政,
ネットワークコミュニティの管理者などの役 割などを提案することを目指した。
(2)研究の方法
①質問紙調査
一次調査では,児童のインターネット利用 やCMCの実態と保護者や教師が把握している 児童の姿との比較,分析を行った。
二次調査では,一次調査を受け,小中学生 を対象とした実態調査を実施し,児童生徒の 非支援下CMCの分析と考察を行ったロ
②ヒアリング調査
非支援下CMCを行っている児童生徒,教師,
ネットワークコミュニティの管理運営者に対 するヒアリングを実施し,児童生徒の言動の 背景などを探り,それをもとに考察を行ったロ
③参与観察
児童同士が自由に意見を交流し合えるネッ トワークコミュニティ(主として電子掲示板) において参与観察を行い,非支援下CMCと支 援下CMCとの比較,分析を行った。
④指導の在り方の提案
児童生徒の非支援下CMCの問題点克服に向 けて,事前にどのような指導を行うべきか,
また,どのような環境構成の工夫ができるか について考察し,改善策を提案したロ
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3.児童生徒の C M Cの現状と問題点の分析 児童生徒の多くが,自宅からインターネッ トを利用しているが,保護者の目の届かない 所で,非支援下CMCを行う傾向が強いことが 明らかになった。インターネットの普及や携 帯電話所有の低年齢化などにより,児童生徒 のコミュニケーションは変化してきており,
CMCという新しいコミュニケーションの方法 を駆使する児童生徒が増えてきている。
しかしながら,保護者は,児童生徒のイン ターネット利用や非支援下CMCの現状につい ては,ほとんど把握しておらず, CMCに関す る監督や指導,助言が行われていないことが 分かつた。学校においては,児童生徒のCMC に関する教師の意識や指導力が低く,指導も ほとんど実施されていないことが分かつた。
また, CMCの経験の有無により,コミュニ ケーション場面での言動に違いが出ることや,
CMC場面での思考や対応に差が表れることも 明らかになったロ
4.問題点克服を目指した指導の在り方 ( 1 )参与観察から見えてきたもの
児童生徒が利用している不ットワークコミ ュニティを参与観察すると,秩序あるCMCが 行われているコミュニティとそうではないコ
ミュニティが存在することが分かつたロその 違いから,よい雰囲気が醸成される要因とし て,共通のテーマの存在や目的意識の高さ,
管理者の関与などが必要であることが分かつ た。また,支援下CMCの参与観察から,適切 な指導を行うことが児童生徒のCMCのスキル やモラルを高め 自律的CMCに転化していく 可能性が見えてきた。このことから,児童生 徒が非支援下CMCにおいて自律的にコミュニ
ケーションを行うことができるようにするた めには,まず教育的配慮のある支援下CMCで 経験を積むことが有効であることが実証され た。
(2)事前指導の在り方
児童生徒の非支援下CMCの問題点を克服す るためには,短期的な事前指導と長期的な事 前指導を行っていく必要があると考えられる。
前者は「知恵をみがく J指導,後者は f心を みがくJ指導である。非支援下CMCを起因と するトラブ、ルが起きたときに対症療法的な指 導に終始するのではなく,積極的に情報モラ ルに関する知識や技能を身につけるための事 前指導を行い,さらに,メディア特性だけで はなく情報特性や人間特性に基づいた指導を 日常的にすべての教育活動において行ってい くことが望ましいと考えられる。
教師や保護者,行政,ネットワークコミュ ニティの管理者は,それぞれの立場で役割分 担を明確に把握するとともに,連携していく
ことが重要であると考えられるロ (3)環境構成の在り方
家庭,学校においては,パソコンの設置場 所を工夫することに加え,保護者や教師が児 童生徒と対話しながら監督を行うことが重要 であると考えられる。また,児童生徒が安全 なCMC空間を利用することができるようにす るという意味で,フィルタリング等の導入も 有効で、あると考えられる。
5.まとめ
児童生徒の非支援下CMCでは,安全なCMC 空間で自律的に判断しながらコミュニケーシ
ョンを行えることが望ましい。そのための事 前指導や環境構成の工夫を行っていくことが 重要であると考えられる。
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