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今本龍 学位論文審査要旨

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Academic year: 2021

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平成26年 2月

今本龍 学位論文審査要旨

主 査 林 一 彦 副主査 松 浦 達 也

同 村 脇 義 和

主論文

Null anticarcinogenic effect of silymarin on diethylnitrosamine-induced hepatocarcinogenesis in rats

(ジエチルニトロサミン誘発肝発癌ラットに対してシリマリンは抗腫瘍効果を示さない)

(著者:今本龍、岡野淳一、澤田慎太郎、藤瀬幸、安部良、村脇義和)

平成26年 Experimental and Therapeutic Medicine 7巻 31頁~38頁

参考論文

1. Chemoprevention against hepatocellular carcinoma

(肝細胞癌に対する化学予防)

(著者:岡野淳一、藤瀬幸、安部良、今本龍、村脇義和)

平成23年 Clinical Journal of Gastroenterology 4巻 185頁~197頁

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学 位 論 文 要 旨

Null anticarcinogenic effect of silymarin on diethylnitrosamine-induced hepatocarcinogenesis in rats

(ジエチルニトロサミン誘発肝発癌ラットに対してシリマリンは抗腫瘍効果を示さない)

シリマリンは、キク科草であるマリアアザミ種子由来のフラボノリグナン類のフィトケ ミカルであり、肝保護作用や肝癌抑制効果があることが報告されている。

Diethylnitrosamine (DEN)は、タバコの煙等に含まれ、DNAを損傷する発癌物質であり、

ラットにDENを継続投与すると肝細胞癌が誘発される。

本研究では、シリマリンの肝癌に対する抗腫瘍効果を検証するため、DENを用いた肝発癌 ラットモデルに対してシリマリンの投与を行った。

方 法

本研究では、ウイスター系雄性ラットを用いて重度および軽度の2種類の肝細胞癌モデル を作製した。重度肝細胞癌モデル(モデルA)では、40 mg/kgのDENを週1回、計18週間腹腔 内投与を行い、軽度肝細胞癌モデル(モデルB)では、100 mg/kgのDENを2週に1回、計6週 間の腹腔内投与を行った。モデルAにおいてはシリマリンの肝発癌予防効果を検討するため、

DENの投与開始と同時に0.1%および0.5%のシリマリンを混餌投与し、モデルBにおいてはシ リマリンの治療効果を検討するため、0.1%のシリマリンをDEN開始8週目から混餌投与した。

シリマリンの効果は、血清トランスアミナーゼとALPの測定、肝腫瘍数の肉眼所見、免疫組 織化学染色とウェスタンブロット法による細胞増殖マーカーproliferating cell nuclear antigen(PCNA)とラット肝発癌マーカーglutathione S-transferase(GST)-Pの肝発現レ ベルで評価した。

結 果

肝発癌予防モデル(モデルA)の中で、DEN投与群では、肝障害を反映して、血清トラン スアミナーゼおよびALPはコントロール群より高かった。しかし、シリマリン投与によりい ずれも有意な改善を示さなかった。肝癌治療モデル(モデルB)においても、同様の結果で あった。

肝臓の肉眼的、顕微鏡的特徴を2つのモデルで評価した。肝発癌予防モデル(モデルA)

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では、DEN投与群で、いくつかの白色結節が肉眼的に観察され、病理学的には、肝細胞癌で あった。DEN+0.1%、0.5%シリマリン投与群の肝の肉眼所見は、DEN単独投与群とほぼ同程 度で、結節の数や結節の範囲に明らかな有意差は認めなかった。肝癌治療モデル(モデルB)

において、DEN投与群では多発する白色結節が肉眼的に観察されたが、DEN+0.1%シリマリ ン投与群の肉眼所見は、DEN単独投与群とほぼ同一であり、両群で結節の数において有意差 を認めなかった。白色結節は病理学的には過形成性結節であり、シリマリン投与により有 意な減少を認めなかった。

免疫組織学的分析においては、PCNA陽性細胞は、DEN投与群のいずれのモデルでも、コン トロール群に比して有意に増加していた。肝発癌予防モデル(モデルA)においてシリマリ ン投与により、PCNA陽性細胞数は、有意に抑制されておらず、ウェスタンブロットによる 分析でも同様の結果であった。さらに、肝癌治療モデル(モデルB)ではメカニズムは不明 であるが、むしろ促進されていた。

肝臓でのGST-Pの発現レベルを検討した結果では、免疫組織学的分析ならびにウェスタン ブロット分析により、DEN投与群において、GST-Pの発現レベルは、いずれの条件において も、シリマリン投与によって抑制されなかった。

考 察

本研究の実験条件においては、従来報告されているようなシリマリンの肝癌抑制効果を 示すことはできなかった。原因は3つ考えられ、1つはシリマリンの生体内での吸収効率は 極めて低いことが報告されていることより、混餌による投与方法では、効果を惹起するの に十分な高い血中濃度が得られなかった可能性である。2つ目は、本研究の用いた肝発癌モ デルは強力すぎたため、シリマリンによる抗腫瘍効果がマスクされてしまった可能性であ

る。3つ目は、従来報告されてきたシリマリンの肝発癌抑制効果は極めて弱く、今回の検討

結果が実は正しいという可能性である。最近、マウスのエタノール肝発癌モデルにおいて シリマリン投与はむしろ肝発癌を促進したとの報告や、欧米のHCV患者のシリマリン摂取者 と非摂取者間で肝障害の程度に差はなかったとする、シリマリンの肝保護作用に否定的な 報告もある。シリマリンが肝癌抑制薬として有用か否か、さらに検討の必要がある。

結 論

従来の結果と異なり、本研究の実験条件ではシリマリンの肝発癌抑制効果は証明できな かった。

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参照

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