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亀崎幸子 学位論文審査要旨

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Academic year: 2021

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平成18年 11月

亀崎幸子 学位論文審査要旨

主 査 岸 本 拓 治 副主査 黒 沢 洋 一 同 池 口 正 英

主論文

Serum levels of soluble ICAM-1 and VCAM-1 predict pre-clinical cancer

(可溶性ICAM-1およびVCAM-1の血清濃度と臨床前癌の予測)

(著者:亀崎幸子、黒沢洋一、岩井伸夫、細田武伸、岡本幹三、能勢隆之)

平成17年9月 European Journal of Cancer 41巻 2355頁~2359頁

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学 位 論 文 要 旨

Serum levels of soluble ICAM-1 and VCAM-1 predict pre-clinical cancer

(可溶性ICAM-1およびVCAM-1の血清濃度と臨床前癌の予測)

Soluble intercellular adhesion molecule-1 (sICAM-1)、soluble vascular cell adhesion molecule-1 (sVCAM-1) の血清中の高い濃度は、胃癌、結腸癌、乳癌などの患者 で報告され、腫瘍ステージや転移の進行と関連している。従来の報告は全て癌と診断され た後での接着分子の濃度であり、癌と診断される前(臨床前癌)の血清中のsICAM-1、sVCAM-1 の濃度との関係を調査した報告は見られない。そこで、本研究ではこれらの接着分子の濃 度と将来の癌罹患の予測との関係を明らかにするため、臨床前癌時の癌ケースとコントロ ールの血清中の接着分子濃度との関連について検討した。

方 法

対象者は鳥取県日南町の40-79歳の住民で、1989年に基本健康診査を受診し、採血に協力 し、既往歴や食生活習慣等の自記式問診票に答えた1,465人である。血清は採血後分離させ、

測定まで冷凍保存した。1994年と2003年に健康状態等の調査を行い、2003年まで14年間追 跡した。ベースライン時(1989年)に癌の既往がなく、追跡期間中の癌死亡者15人(男8人、

女7人)と新たに癌と診断された31人(男12人、女19人)を癌ケースとした。なお、追跡開 始5年以内の死亡者は癌ケースから除外した。コントロールは2003年まで癌罹患および死亡 のない者で、さらに1989年、1994年、2003年の調査で、脳卒中、糖尿病、肝臓病、心筋梗 塞の罹患歴のない者の中から、癌ケース1に対して2例のコントロールを性、年齢、喫煙習 慣が一致するように選択した。死亡および死因の情報は総務省の許可を得て死亡小票より 確認し、死因の分類はICD10に従った。調査にあたり、対象者には調査目的等を十分に説明 し、個別に書面による同意を得た。ベースライン時の血清中のsICAM-1、sVCAM-1の濃度は Enzyme-Linked Immunosorbent Assay (Bender MedSystems)を用いて測定した。

結 果

癌ケースは46人(男20人、女26人)、コントロールは92人(男40人、女52人)であった。

癌ケースとコントロールのベースライン時の平均年齢、身長、体重、BMI、収縮期血圧、拡 張期血圧、総コレステロール、GOT、GPTは両群間に有意差はなかった。ベースライン時の 癌ケースとコントロールの血清中のsICAM-1濃度に有意差はなかった。ベースライン時の血

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清中のsVCAM-1濃度は癌ケースで有意に高かった(p=0.00007)。癌ケース内とコントロール 内の男女間に有意差はなかった。部位別で多かった胃癌と大腸癌においてベースライン時 の血清中のsICAM-1濃度はともにコントロールと比較して有意差はなかった。一方、sVCAM-1 の濃度は胃癌、大腸癌ケースともコントロールに比較して有意に高値であった(それぞれ p=0.005、p=0.0062)。 臨床前癌検知のためのsVCAM-1濃度の感度と特異度は比較的高かっ た。

考 察

癌ケース内とコントロール内の性別による血清中のsICAM-1、sVCAM-1濃度に有意差はな く、性別による影響はないと考えられた。sICAM-1濃度は癌ケースとコントロールでは有意 差はなかった。しかし、癌ケースの血清中のsVCAM-1濃度はコントロールに比較して有意に 高かった。胃癌、大腸癌でも同様に、癌ケースはコントロールに比較して、sVCAM-1濃度の みが有意に高値であった。血清中のsICAM-1濃度は癌と診断される前の初期段階において変 化がみられなかった。進行癌および癌転移の患者において血清中のsICAM-1濃度は高値であ ったという報告があり、本研究結果とあわせて考えると、血清中のsICAM-1濃度は癌の進行 や転移と関連があると推察された。本研究では血清中のsVCAM-1濃度は、癌と診断される前 の初期段階において高値であった。sVCAM-1の関係する細胞接着は初期の腫瘍の血管新生と 関連があったと報告されており、本研究結果とあわせて考えると、sVCAM-1の高い血清濃度 は臨床前癌の血管新生を反映していると推察された。また、臨床前癌検知のためのsVCAM-1 濃度の感度と特異度は比較的高いことが示された。以上のことより、sVCAM-1の高い血清濃 度は、癌と診断される前の初期段階で癌を検知するマーカーとしての可能性があると推察 された。

結 論

臨床前癌時の癌ケースとコントロールの血清中のsICAM-1、sVCAM-1の濃度を調べた。

sVCAM-1のみの血清濃度が癌ケースで高いことが示された。sVCAM-1の高い血清濃度は、癌 と診断される前の初期段階で癌を検知するマーカーとしての可能性があると推察された。

参照

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