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Sleep bruxismが修復物脱落に及ぼす影響 学位論文内容の要旨

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Academic year: 2021

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(1)

博 士 ( 歯 学 ) 友 永 章 雄

学 位 論 文 題 名

Sleep bruxism が修復物脱落に及ぼす影響 学位論文内容の要旨

【緒言】

  修復物脱落に よる機能的,審美的な影響は患者,術者双方にとって大 きく゛,信頼関係に影響すると 言 って も過 言で はな い. 修復 物 の脱 落原 因と して は一 般に ,支 台歯 の形 態, 修復物の適合,咬合調 整 な ど 術者 側の 問題 ,合 着材 料の 種 類, 歯周 組織 の状 態, 睡眠 時の ブラ キシ ズム(Sleep bruxism:

以 下SB)や咀 嚼時 のカ など 過度 の外 カが 考え られ てい る. この 中 でSBは, とき には 意識 時の 最大 咬 合 カを 上回 ると いわ れて おり,修復物脱落原因の中でもきわめて大き な影響を与えているのではない か と考 えら れる ,し かし ,SBは日常臨床において客観的な評価方法が 確立されておらず,修復物脱落 に どの 程度 影響 を及 ばす かに つ いて はこ れま で研 究論 文が なく ,明 確に され ていない,池田歯科ク リニックではSBの強さを,患者にオクルーザルスプリントを夜間就寝時装着させ,そのスプリント上にで きるファセット を観察することによって評価し,顎口腔系への影響,治療法について研究を行ってきた,

こ の 方 法 は 実 験 的 な 筋 電 計 や 顎 運 動装 置に よるSB評 価方 法に 比 べて ,特 別な 装置 を必 要と せず , 多 くの 患者 に使 用で き長 期に わ たる 観察 が可 能で ある ,そ こで このSBの 評価 法を用いてSBの強さの 程度と修復物の 脱落との関係を検討することを本研究の目的とした.

【材料と二方法】

  被 験 者 に は19765月 か ら20044月 ま で に 池 田 歯 科ク リニ ック に来 院し ,オ クル ーザ ルス プリ ント を用 いてSBを 評価 した 患 者912名 のう ち修 復物 を装 着 した422名を 選択 した ,な お ,被 験者 には 顎機 能障 害を 主訴 とす る患 者 およ び顎 機能 障害 の症 状を 認め る患 者は 含ま れて いな い ,調 査修 復物 は422名の 患者 に池田歯科クリニック で合着した3673個の修復物(インレー1356個,クラウン1368個,

連結冠296個, ブリッジ653個)とした.

  SBの評価はオクルーザルスプリント(GCファセットレジン@)を用いて行った.スプリントは上顎に作 製し ,臼 歯部 は極 力薄 く( 約l.Omm), 仰臥 位に て対 合歯 と均 等に 点接 触す るよ う咬 合 面を 平坦 に調     ‑ 670

(2)

整し た . 前 方運 動 時 には 臼 歯 部が , 側 方運動時 には平 衡側がわ ずかに 離開する よう前 歯部に軽 いガ イドを 付与した .全被 験者にス プリント を夜間 就寝時装 着させ,違和感がなくなるまで1週間以上調整 を行い ,違和感が無くなったことを確認後,スプリント咬合面にSB評価用インク(GCファセットレジンマ ーカー@)を塗布し,2週間装着させた,2週間後にインクの剥げ方及びフんセットの深さを観察し,その 後,ビッグシリコーンポイントを用いてスプリン卜表面を平坦にし,再度インクを塗布して2週間装着させ た. こ れ を2週 間毎に3〜5回繰り 返し,各 回ごと にスプリ ント表面 の変化 を観察しSBを評価 した.SB の評価基準は次に示す池田式分類を用いた.B0:ファセットなし,B‑l:インクが剥げファセッ卜が認め られる状態,B‑2:ファセットが削れている状態,B‑3:ファセットが著しく深くえぐれている状態.なお,本 研 究 で は ,2週 間 毎 に35回行 っ た 評価 の う ち, 最 も 強 い評 価 値 をそ の 患 者のSB評価 値 と した ,   被 験 者 をBー0,B‑lB‑2B3の4群に分 類し, 各群の被 験者の 割合およ び修復 物脱落有 無を分析 し,x2検定により有意差の有無を調べた.さらに修復物をインレー,クラウン,連結冠,ブリッジに分類 し, 各 々 の 残存 率 を 経時 的 に 比較 分 析 し(Kaplan‑Meier法),Logrank検定 により 有意差の 有無を 調 べた.

【結果】

  被験者を4群に分類した結果,B‑O群:O名(0%),B‑l群:71名(16.80/o),B―2群:239名(56.6%),Bー3 群:112(26.5% )で あ っ た .し た が って 修復 物脱落の 分析はB‑O群を 除いた3群で 行った. 修復物 脱落 が み られ た 被験 者の割 合は,B3群(43.8%)>B‑2(35.1%)>B−1群(12.7%) の順に 高く,

B‑l群とB‑2群問,B―1群とB‑3群間で有意差が認められたQく0.01).

  イ ン レー の 残 存率 経 時 変化 を 調 査 した 結 果 ,B‑l群は 合 着 後4年 間 脱落 が ほ とん ど な く ,脱 落 率 は15年 で19% で あ っ た .B‑2群 はB‑l群 に 比 べ 早 期 に 脱 落 が 生 じ 始 め15年 で24%み ら れ た .B‑3 群はB‑2群 よ り もさ らに早 期に脱落 が生じ る率が高 く,15年 で32%みら れた. 経時変化 の統計学 的分 析 で はB‑l群 とB‑3群 間 ,B‑2群 とB‑3群 間 に 危 険 率1% で 有 意 差 が み ら れ ,B‑l群 とB‑2群 問 では 危険率5%で有意差が認められた.

  ク ラ ウン の 残 存率 経 時 変化 を 調 査 した 結 果 ,Bー1群で は 合 着後3年 間脱落 がほと んどなく ,15年 で5% の 脱 落 が み ら れ た .B‑2群 はB1群 に比 べ 早 期に 脱 落 が生 じ 始 め15年 で12% で あっ た .B‑3 群はB‑2群 と ほ ぼ同 じ脱落 傾向を示 した. 経時変化 の統計学 的分析 では,B―1群とB2群間,Bー1群 とB‑3群 問 で 有 意 差 が 認 め ら れ た が (p0.01) ,B‑2群 とB3群 間 で は 認 め ら れ な か っ た ,   連 結 冠の 残 存 率経 時 変 化を 調 査 し た結 果 ,B1群 は合 着 後 早期 に 脱 落し1年で10% みられた が,

    ―671−

(3)

そ の後はほ とんど 生じなか った.Bー2群は合 着後2年間脱落がほとんどなく,15年で10%生じた.Bー3 群 はB‑2群 よ り 早 期 に 脱落 し15年で11%生 じ た ,統 計 学 的に 経 時 変化 は 各 群間 で 有 意 差は 認 め ら れ なかった .

  ブ リッ ジ の 残存 率 経 時変 化 を 調査 し た 結果 ,B‑l群 は 合 着後4年 間脱落が なく,15年で3%であ っ た ,B2群 はB‑l群 に 比 べ 早 期 に 脱 落 が 生 じ ,15年 で20% み られ た ,B‑3群 は 合着 後6年間B‑2群 と ほ ば 同じ 脱 落 傾向 を 示 した が , その後 脱落は増 加し15年 で38%みら れた, 統計学的 に経時変 化は B‑l群とB‑3群問,B‑l群とBー2群問で 有意差 が認めら れたが (pく0.01),Bー2群とB‑3群問で は認め ら れなかっ た.

【考察】

  被 験 者をSBの池 田 式 評価 基 準 に より 分 類 した 結 果 ,B‑O群の 者 は おら ず ,B‑2群 の被 験者の割 合 が最も大きかった.この結果は過去に池田らが行った調査結果と一致した.

  インレー とブリ ッジは,SBが強い ほど早期 に脱落 し,長期 観察に おいても 脱落する割合が大きかっ たことか ら,SBの カの大き さの影 響を受け やすい ことが分 かった, そのた め,SBが強い場合には脱落 を防ぐた めに細 心の配慮 を必要 とし,保 持カおよ び維持 カの強化 ととも にSBのカのコントロールが必 要であると考えられた.

  クラウン は,B‑l群に比 べB−2,B‑3群の脱落率が高いことから,SBの影響を受けると示唆されたが,

インレー,ブリッジと比較すると脱落率は小さく,SBの影響はインレー,ブリッジほど大きくないと考えら れた.ま た,B‑2群とB―3群間で 有意差が 認めら れなかったことから,クラウンはB−2群,B3群のSB の強さでは脱落に対する影響はほぼ同程度であると示唆された,

  連 結 冠 は , 長 期 観 察 で 脱 落 数 が 少 な か っ た こ と か ら , 脱 落 し に く い と 考 え ら れ た .   本研究の 結果, 修復物の 脱落は スプリン ト上の ファセッ トを評価 指標と したSBの強さに大きな影響 を受け,SBが強い ほど多かった.この結果からファセット.によるSB評価は修復物脱落の予後判定に有 効 で あ り , SBの 強 さ を 減 ら す こ と が で き れ ば , 修 復 物 の 脱 落 は 減 少 す る と 考 え ら れ た .

(4)

学位論文審査の要旨

学 位 論 文 題 名

Sleep bruxism が修復物脱落に及ぼす影響

  

審査は、審査論文とそれに関連した学科目について、申請者に対して各審査委員が口 頭 試 問 に よ り 行 い 、 各 審 査 委 員 の 報 告 を 元 に 主 査 が そ の 結 果 を ま と め た 。

【緒言】

  

修復物脱落による機能的,審美的な影響は患者,術者双方にとって大きく,信頼関係 に影響すると言っても過言ではない.修復物の脱落原因としてはー般に,支台歯の形態,

修復物の適合,咬合調整など術者側の問題,合着材料の種類,歯周組織の状態,睡眠時 のブラキシズ ム(

Sleep bruxism

:以下SB) や咀嚼時のカなど過度の外カが考えられ ている.しかし,

SB

は日常臨床において客観的な評価方法が確立されておらず,修復 物脱落にどの程度影響を及ばすかについてはこれまで明確にされていない,本研究の目 的 は

SB

の 強 さ の 程 度 と 修 復 物 の 脱 落 と の 関 係 を 検 討 す る こ と で あ る ,

【材料と方法】

  

被験 者に は

1976

5

月から

2004

4

月までに池田 歯科クリニック に来院し,オ ク ルーザノレスプリントを用いて

SB

を評価した患者

912

名のうち修復物を装着した422 名 を選択し,それらの患者に合着した3673 個の修復物(インレー1356 個,クラウン1368 個,連結冠296 個,ブリッジ653 個)を調査対象とした.

  SB

の強さは患者に夜間就寝時,診断用インクを塗布したオクルーザルスプリントを上 顎に装着させ,スプリント上のインクとファセットの状態を観察し評価した.評価はSB が弱い順にB‑O :ファセットなし,B −1 :インクが軽度に剥げている状態からファセッ卜 が軽度に光っている状態,B ‐2 :ファセツ卜が削れている状態,B‑3 :ファセットが著し く深くえぐれている状態の4 っに分類した,

【結果】

  

修復物 脱落がみられ た被験者の割合 は,

B‑3

群(

43.8

%)冫

B‑2

群(

35.1

%)>Bl 群(

12.7

%) の順に高く,

B‑l

群 と

B‑2

群間,B‑1 群とB‑3 群間で有意差が認められた

(p くO .01 ),

  

インレーの残存率経時変化を調査した結果,B .1 群の脱落率は15 年で19 %であった・

B‑2

群は

B

.・

1

群に比べ早期に脱落が生じ始め15 年で

24

%みられた.B ・3 群はB .2 群よ 昇 光

     

雅 英

畑 浪

大 川

授 授

教 教

査 査

主 副

(5)

りもさらに早期に脱落が生じる率が高く

15

年で32 %みられた.統計学的分析ではB‑l 群と

B‑3

群 間,

B‑2

群 とB‑3 群間に 危険 率

1

% で有意 差が みられ ,

B‑l

群と

B‑2

群問で は危険率

5

%で有意差が認められた.

  

クラウンの残存率経時変化を調査した結果,

B‑l

群は15 年で5 %の脱落がみられた.

B‑2

群は

B‑l

群に 比べ 早期に 脱落 が生じ 始め

15

年で

12

% みられ た.

B‑3

群は

B‑2

群と ほば同じ脱落傾向を示した,統計学的分析では,

B‑l

群と

B‑2

群間,

B‑l

群と

B‑3

群間 で有意差が認められた(

p

く0 .01 ),

  

連結冠の残存率経時変化を調査した結果,

B

.1 群は合着後早期に脱落し

1

年で10 %み られたが,その後はほとんど生じなかった.

B‑2

群は,

15

年で

10

%生じた.

B‑3

群は

B‑2

群より早期に脱落し15 年で

11

%生じた,統計学的に各群間で有意差は認められな かった.

  

ブリッジの残存率経時変化を調査した結果,

B‑l

群の脱落率は15 年で3 %であった.

B‑2

群は

B‑l

群に 比べ 早期に 脱落 が生じ

15

年 で20 % みら れた.

B‑3

群 は合着後

6

年間

B‑2

群とほ ぼ同 じ脱落 傾向 を示し たが

15

年で

38

%みられた,統計学的にB‑l 群とB‑3 群間,B‑l 群とB‑2 群問で有意差が認められた(p く0.01 ),

【考察】

  

インレーとブリッジは,

SB

が強いほど脱落する割合が大きかったことから,

SB

の影 響を受けやすいことが分かった.

  

クラウンは,

B‑l

群に比べB‑2 ,

B‑3

群の脱落率が高いことから,

SB

の影響を受ける と示唆されたが,インレー,ブリッジほど影響は大きくないと考えられた.また,B‑2 群と

B‑3

群問で有意差が認められなかったことから,

B‑2

群以上の

SB

の強さでは脱落 に対する影響はほば同程度であると示唆された.

  

連結冠は,長期観察で脱落数が少なかったことから,脱落しにくいと考えられた,

  

本研究の結果,修復物の脱落はスプリント上のファセットを評価指標としたSB の強 さに大きな影響を受け,SB が強いほど多くみられた.このことからファセットによる

SB

評価は修復物脱落の予後判定に有効であり,SB の強さを減らすことができれば.

修復物の脱落は減少すると考えられた,

  

各審査委員が行った主な質問事項は以下の通りである。

1

)   合着材の種類、プラークコン卜口ールの状況により修復物の脱落に差はみられた

    

2

)修復物の脱落と残存歯質の量に差はみられたか

3

  

イ ン レ ー と ア ン レ ー で は 脱 落 時 期 お よ び 脱 落 頻 度 に 差 は み ら れ た か

4

)   ブラキシズムが強い患者ほど咬耗等の口腔内所見および咬筋の発達等が多くみら

    

れたか

5

  

イン レー、クラウン、連結冠、ブリッジで脱落状況に差が生じるのはなぜか

6

)咀嚼カの臨床評価を行う具体的方法について

  

これらの質問に対して、論文申請者から明快な回答ならびに説明が得られ、さらに今 後の研究についても明確な方向性をもっていると判定した。

  

審査委員は全員、本研究が学位論文として充分値し、申請者が博士(歯学)の学位を

授与される資格を有するものと認めた。

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