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学位論文内容の要旨

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Academic year: 2021

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(1)

博 士 ( 農 学 ) ア ン ゾ ウ ア コ ソ ノ ウ ギ ロ ー ム

    学位論文題名

Changes in the growth and grain yield among main cultivars   of paddy rice bred in Hokkaido during the 20th century (20世紀に北海道で育成された水稲主要品種における生育と子実収量の変遷)

学位論文内容の要旨

  北 海 道 は 世 界 の 中 で 最 も 寒 冷 な 水 稲 栽 培 地 域 の ー っで あり ,過 去100年に 渡る 栽培 の歴 史 の 中 で は た び た び 冷 害 を受 けた .し かし ,冷 害抵 抗性 を 始め とし た品 種改 良の 成果 によ っ て , 現 在 で は 国 内 平 均 以上 の子 実収 量を 達成 して いる , 本研 究で は,20世 紀に 北海 道で 栽 培 さ れ た 品 種 に お け る 生育 と子 実収 量の 遺伝 的な 改良 過 程を 明ら かに する 目的 で, 各時 代 に 最 も 栽 培 面 積 の 多 か っ た 主 要7品 種 と 最 近 育 成 さ れ た1系 統 を ,3水 準 の 窒 素 施 肥 量

O,6,12 kg/10a)の圃場で栽培し ,地上部形態,乾物生産特性および子実収量を調査した , ま た , 一 部 の 品 種 を 直 播 栽 培 し , 直 播 栽 培 に 適 す る 品 種 特 性 を 検 討 し た ,

  1.地 上 部形 態と 乾物 生産 過程 の品 種問 差異

  い ずれ の窒 素施 肥水 準で も, 出穂 期 の稈 長は ,1941年 以前 に育 成さ れた 赤毛 ,坊 主5号 , 農 林20号 の3品 種 ( 以 下 , 旧 品 種 ) に 比 べ , 新 雪 (1954年 育 成 ) と イ シ カ リ (1971年 育 成 ) の2品 種 ( 中 間 品 種 ) で は 有 意 に 減 少 し た , し か し ,1984年 以 降 に 育 成 さ れ た ゆ き ひ か り , き ら ら397, 上 育404号 の3品 種 ( 新 品 種) では , 中間 品種 に比 べや や増 加し た.

一 方 , 分 け つ 数 は 旧 品種 で最 も少 なく ,中 間品 種と 新品 種 は類 似し た. 出穂 期以 降の 葉面 積 指 数 は 新 品 種 の 方 が中 間品 種に 比べ 大き く, また 育成 年 次が 新し くな るに 伴い 群落 吸光 係 数 が 小 さ く な り , 群落 内へ の光 透過 は新 品種 で最 も良 好 であ った .こ れら の結 果, 出穂 期 以 降 の 個 体 群 成 長 速 度 と 収 穫 期 の 地 上 部 重 は 新 品 種 で 最 も 大 き か っ た .

  2. 子実収量とその榊成要素の品種間差異

  3施 肥 水 準 で の 平 均 収 量は 旧品 種 ,中 間品 種お よび 新品 種が それ ぞれ490507およ び578 kg/10aを 示 し , 育 成 年 次 が新 しく なる に伴 い有 意に 増加 した . 子実 収量 は収 穫期 の地 上部 重および収穫指数と有意な正の相 関関係(r二二ニ0.990および0.866,pく0.01)を示し,新品種 の 収 凧 増 加 に は 地 上 部 重 と収 穫指 数の 改良 が関 係し た. また , 育成 年次 が新 しく なる に伴 い 穂 数 が 増 加 し , こ れ が 籾数 の増 加を もた らし ,収 || !増 加 に至 った もの と推 察し た.

3.窒 素施 肥 水準 の影 響

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施 肥水準の 増加に伴い 収穫期の地上部重は増加し,収穫指数は減少したが,新品種は旧 品種に比べて施肥処理間における収穫期の地上部重の差異が大きく,逆に収穫指数の差異 は小さかった.この結果,収量における新旧品種間の差異は多肥条件ほど大きくなった.

また,収穫期の地上部窒素量は施肥水準の増加に伴い大きく増加したが,いずれの施肥水 準でも品種問差異は小さく,品種と施肥処理との相互作用も有意ではなかった.このため,

吸収窒素量当たり乾物生産効率および収量生産効率はいずれも新品種ほど高かった,なお,

収穫期における穂の窒素含有率は中間品種で最も高く,新品種で最も低かった.これは新 品 種 の 育 成 過 程 で の 良 食 味 ( 低 タ ン パ ク 質 含 有 率 ) 選 抜 の 影 響 と 推 察 し た ,

  4.直播適応性の品種間差異

  坊主5号(1905年育成),きらら397(1988年育成)および大地の星(2003年育成)の 3品種を移 植と直播の2条件で2003年 と2004年に栽 培し,植 え付け方 法が地上 部形態,

乾物生産過程および子実収量に及ぼす影響を検討した.2年間の平均収量はいずれの品種 でも移植に比べ直播の方が有意に高く,特に過去に直播用として道内各地で栽培された坊 主5号では 直播による 収量増加 が大きか った.こ の理由と して,2003年 に8月上旬の低 温によって移植栽培での稔実歩合が低下したこと(直播栽培では生育時期が遅れたため低 温害を回避できた),直播では移植に比べて登熟歩合と千粒重が増加し,特に坊主5号で は穂数の増加に伴い籾数も増加したことが関係した.しかし,収穫期の地上部重と子実収 量は直播栽培でも大地の星が最も高く,坊主5号が最も低く,移植栽培での結果と一致し た.なお,直播栽培での子実収量と分けつ性との関係を検討したが,有意な相関関係は認 められなかった.

  以上の結果から,20世紀に北海道で栽培された主要な水稲品種では育成時期が新しくな るに従い収景能カが高まり,これには出穂期以降の乾物生産能カが群落内への光透過の改 善によって高まったことが主要因として関係したと結論した.また,新品種での高い収量 能カは,異なる窒素水準や移植・直播の而栽培条件で一貫して認められたことから,今後 の 増 加 が 予 想 さ れ る 減 化 学 肥 料 栽 培や 直 播栽 培 で も発 揮 され る も のと 推 察 した .

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学 位 論 文 審 査 の 要 旨

     学位論文題名

Changes in the growth and grain yield among main cultivars   of paddy rice bred in Hokkaido during the 20th century

(20世 紀に 北海道 で育 成さ れた 水稲 主要品種における生育と子実収量の変遷)

  本 論 文 は 図41, 表 13を 含 み ,6章 か ら な る 総 頁 数117の 英 文 論 文 で あ る .   北海道は世界の中で最も寒冷な水稲栽培地域のーっであり,過去100年に渡る栽培の歴 史の中でたびたび冷害を受けた.しかし,冷害抵抗性を始めとした品種改良の成果によっ て,現在では国内平均以上の子実収量を達成している.本研究では,20世紀に北海道で栽 培された品種における生育と子実収量の遺伝的な改良過程を明らかにする目的で,栽培面 積の多かった主要7品種と最近育成された1系統を,3水準の窒素施肥量(O,6,12 kg/10a) の圃場で栽培し,地上部形態,乾物生産特性および子実収量を解析した.また,一部の品 種を直播栽培し,直播栽培に適する品種特性を検討した.

1.地上部形態と乾物生産過程の品種間差異

  いずれの窒素施肥水準でも,出穂期の稈長は,1941年以前に育成された赤毛,坊主5号,

農 林20号の3品 種( 以下 ,旧品 種) に比 ベ, 新雪 (1954年 育成 )とイシカリ(1971年育 成 )の2品 種( 中間 品種 )では 有意 に減 少し た. しか し,1984年以降に育成されたゆき ひ かり ,きらら397,上育404号の3品種(新品種)では,中間品種に比べやや増加した.

一方,分けつ数は旧品種で最も少なく,中間品種と新品種は類似した.出穂期以降の葉面 積指数は新品種の方が中間品種に比べ大きく,また育成年次が新しくなるに伴い群落吸光 係数が小さくなり,群落内への光透過は新品種で最も良好であった.これらの結果,出穂 期 以 降 の 個 体 群 成 長 速 度 と 収 穫 期 の 地 上 部 重 は 新 品 種 で 最 も 大 き か っ た .

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人 則

和 泰

間 田

岩 幸

授 授

教 教

査 査

主 副

(4)

2.子実収量とその構成要素の品種間差異

  3施肥水準での平均収量は旧品種,中間品種および新品種がそれぞれ490,507および578 kg/10aを示し,育成年次が新しくなるに伴い有意に増加した.子実収量は収穫期の地上部 重および収穫指数と有意な正の相関関係(r 0.990および0.866,pく0.01)を示し,新品種 の収量増加には地上部重と収穫指数の改良が関係した.また,育成年次が新しくなるに伴 い 穂 数 が 増 加し ,こ れが 籾数 の増 加を もた らし, 収量 増加 に至 った もの と推 察し た.

3.窒素施肥量の影響

  施肥量の増加に伴い収穫期の地上部重は増加し,収穫指数は減少したが,新品種は旧品 種に比べて施肥処理間における収穫期の地上部重の差異が大きく,逆に収穫指数の差異は 小さかった.この結果,収量における新旧品種間の差異は多肥条件ほど大きくなった.ま た,収穫期の地上部窒素量は施肥量の増加に伴い大きく増加したが,いずれの施肥量でも 品種問差異は小さく,品種と施肥処理との相互作用も有意ではなかった.このため,吸収 窒素量当たり乾物生産効率および収量生産効率はいずれも新品種ほど高かった.なお,収 穫期における穂の窒素含有率は中間品種で最も高く,新品種で最も低かった.これは新品 種 の 育 成 過 程 で の 良 食 味 ( 低 タ ン パ ク 質 含 有 率 ) 選 抜 の 影 響 と 推 察 し た .

4.直播適応性の品種間差異

  坊主5号(1905年育 成) ,き らら397(1988年育成)および大地の星(2003年育成)の 3品 種を 移植 と直 播の2条件 で2003年 と2004年 に栽 培し ,植 え付 け方 法が地 上部 形態 , 乾 物生産過程および子実収量に及ばす影響を検討した.2年間の平均収量はいずれの品種 でも移植に比べ直播の方が有意に高く,特に過去に直播用として道内各地で栽培された坊 主5号で は直 播に よる 収量 増加 が大 きか った. この 理由 とし て,2003年に8月上 旬の 低 温によって移植栽培での稔実歩合が低下したこと(直播栽培では生育時期が遅れたため低 温 害を回避できた),直播では移植に比べて登熟歩合と千粒重が増加し,特に坊主5号で は穂数の増加に伴い籾数も増加したことが関係した.しかし,収穫期の地上部重と子実収 量 は直播栽培でも大地の星が最も高く,坊主5号が最も低く,移植栽培での結果と一致し た,なお,直播栽培での子実収量と分けつ性との関係を検討したが,有意な相関関係は認 められなかった.

  以上のように,本研究は20世紀に北海道で栽培された水稲品種では群落内への光透過の 改善による出穂期以降の乾物生産能カの増加によって高収量性を獲得したことを明らかに     ―934―

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した.以上の成果は,無窒素施肥や直播栽培でも一貫して認められたことから,今後の増 加が予想される減化学肥料栽培や直播栽培に適した品種育成に必要な知見であり,学問的 およぴ応用的の両面から高く評価できる.よって審査員一同は,アンゾーアコソノギ ロ ー ムが 博 士( 農 学) の 学位 を 受け る のに 十 分な 資 格 を有 する ものと認め た.

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参照

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図2に実験装置の概略を,表1に主な実験条件を示す.実