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学位論文題名Analysis of microbial dynamicslnthe thizosphere of white lupln

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Academic year: 2021

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博 士 ( 農 学 ) 海 野 佑 介

     学位論文題名

Analysis of microbial dynamicslnthe thizosphere of     white lupln

(ホワイトルーピン根圏における微生物動態の解析)

学位論文内容の要旨

    持続発展可能ぱ環境保全型農業に対する社会的指向が増す昨今、農地生態系機能を活用した 農法に寄せる期待が高まりつっある。しかし環境保全にあたえる土壌生態系機能の重要性が指摘 される一方で、土壌生態系に関する知見は不十分な現状にある。前世紀初頭、植物根近傍の土壌 において、微生物活動に著しい変化が生じる「根圏効果」と呼ばれる現象が報告され、以来その 生態的意義と応用に関する研究が行われてきた。この過程において「植物生育促進根圏細菌」と呼 ばれる、植物の生育を促進する効果を持つ細菌の存在が見出され、その活用が試みられてきた。

本研究では、土壌生態系機能の高度利用による新規環境保全型農法の確立を目指し、植物生育促 進 根 圏 細 菌 と 、 そ の 機 能 に 着 目 し た 植 物 ・ 根 圏 細 菌 間 相 互 作 用 の 解 析 を 行 っ た 。     食糧生産に不可欠なりン肥料は、原料である「リン資源の枯渇」が憂慮されており、植物に よるりン利用効率の向上は、農学における最重要課題のーつである。生体内リン蓄積形態のーつ である「フィチン酸」は、土壌中で難溶性の塩を形成し、高い安定性を示す。このため土壌蓄積有 機態リンの50%をも占め、陸圏生態系におけるりン循環を妨げる要因のーっにあげられている。

植物体が土壌フィチン酸を利用するためには、これを可溶化しかつ分解し、植物体が吸収可能な無 機リン酸を遊離させる必要がある。しかし一般に、植物体はフィチン酸分解酵素「フイターゼ」の 分泌活性を示さないため、土壌中のフィチン酸を直接利用することができない。これまでにもこの 問題の解決を目指し、分泌型フィターゼを導入した遺伝子組み換え植物の利用などが試みられ た。しかし、こうした手法では、植物は土壌中のフィチン酸をりン栄養源として利用することがで きなかった。この結果は、これまで発酵目的や動物用試料などに利用されてきた既存のフィチン酸 利用法が、土壌中では有効に機能し得ないことを明らかにした。

    近年、マメ科植物「ホワイトルーピン」が、土壌中のフィチン酸をりン栄養源として利用可 能であることが明らかとなった。ホワイトルーピンは、クラスター根と呼ばれる側根が高密度に発 生したブラシ状の組織を構築し、キレート物質である有機酸を、クラスター根の成熟期に集中して 分泌することで、フィチン酸を可溶化する能カを持つ。しかし過去の研究から、ホワイトルーピン は、フィチン酸を分解するために必要なフィターゼの分泌活性を示さないことがわかった。そのた め本研究では、キレート物質を多量に放出する植物の根圏において可溶化されたフィチン酸が、根 圏微生物に由来するフイターゼによって分解されるという仮説のもと、◎ホワイトルーピン根圏に

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棲 む フ ィ チン 酸 資 化性 細 菌 のス ク リ ーニ ン グ と◎ 植 物 への 接 種 効 果の 解 析 を行っ た。

@フィチン酸資化性細菌のスクリーニング:1914年より施肥制限処理をおこなっている北海道大 学長期連用圃場にホワイトルーピンを栽培し、水溶性のフアチン酸ナトリウム塩を単一のりンおよ び炭素栄養源として増殖可能であることを指標に、300菌株を超えるフアチン酸資化性細菌を、ホ ワイトルーピンの根圏外土壌・根圏土壌・根面から単離した。単離菌株全体の89%の菌株は16S rDNA配列から系統学的にBurkholderia属として同定され、AFLP解析からこれらの細菌が異なる 遺伝型を示すことを確認した。さらに単離菌株は水溶性のフィチン酸ナトリウム塩を与えた場合と 比べ、フィチン酸アルミニウム塩や鉄塩といった難溶性のフィチン酸塩を与えた場合、その増殖速 度は明確に低下した。この結果はフィチン酸資化性細菌単独では、土壌中に存在する難溶性のフィ チン酸塩を利用することが困難であることを示唆している。さらにフィチン酸に対する炭素および りン栄養源としての要求度を解析した結果、開花期に獲得された菌において、フィターゼ活性に対 し て 根 面 採取 菌 が 根圏 土壌 採取菌よ りも高 いりン吸 収能を 示す傾向 が明ら かとなっ た。

◎植物体への接種効果:マメ科モデル植物「ミヤコグサ」は無菌条件下ではフアチン酸をりン栄養 源として利用することが困難である。そこで、ミヤコグサを用いて植物体にフィチン酸からりンを 供給し得る菌株のスクリーニングを行い、無菌的な栽培を続けた対照区と比ベ、植物体の生育を 有意に促進する15菌株を獲得した。特にBurkholderia sp.  Fp RpG4株は非接種区に対して乾物重と りン吸収量において対照区と比べ3倍以上の生育促進効果を示すとともに、ミヤコグサの側根形 成を誘導した。さらにBurkholderasp.FpRpG4株をホワイトルーピンに接種したところ、側根が 高密度に発生するクラスター根の形成誘導が確認された。ノトバイオート型水耕栽培法とマイクロ アレイ法を用いた植物体遺伝子発現網羅的解析の結果、8u′納o´dle胎sp.FpRpG4株によるクラス ター根形成誘導は、Bu′納o心e〃asp.FpRpG4株の産生する物質の影響によることが明らかとなっ た。植物体によるりン吸収量と根量との間には正の相関があり、さらにホワイトルーピンの持つ 土壌中のフィチン酸利用能カに、クラスター根が大きく寄与することが指摘されている。これらの ことから、フィチン酸を分解する能カを持つBu′納o^ゴe〃asp.FpRpG4株がホワイトルーピンのク ラスター根形成を誘導し、ホワイトルーピンに多量の有機酸を分泌させることで土壌に蓄積してい る難溶性フィチン酸を可溶化させたのち、これを分解しホワイトルーピンと協同的にフアチン酸を 利用していることが示唆された。

    近年、肥料学の分野において、土壌中に存在する化合物、特に投入された有機物(肥料)の 分解・利用に関わる圃場生態系機能を制御可能な次世代循環型農業技術の開発が求められてい る。本研究の対象であるフィチン酸は、生体におけるりン蓄積形態の1つであり、植物遺体や有機 肥料の構成成分などとして圃場に持ち込まれる。一方でフィチン酸は土壌中で高い安定性を示し蓄 積する傾向があるため、植物体による土壌中に存在するりンの利用を妨げる要因のーっとされて おり、これを効率的に利用することが可能な農法の開発が望まれている。本研究は、土壌フィチン 酸の利用可能な植物種とその根圏に存在するフアチン酸資化性細菌との間に、土壌フィチン酸の利 用に関して強い相互依存関係が存在することを明らかにした。このことは、根圏細菌叢を制御す ることによって、フィチン酸資化性根圏細菌の分解したフィチン酸を植物ヘ効率的に供給する経路 を構築できる可能性を示している。本研究の成果は、土壌フィチン酸を効率的に利用することを可 能とする農法の開発の基盤となるものであり、土壌リン利用効率改善の観点から鑑みて重要な知 見を獲得したことにある。

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学位論文審査の要旨

主査   教授   大崎   満 副査   准教授    信濃卓郎 副査   教授   横田   篤

副査   准教授    和崎   淳(広島大学生物圏科学      研究科)

     学位論文題名

Analysis of microbial dynamlCSlntherhiZOSphereof     Whitelupln

     (ホワイトルーピン根圏における微生物動態の解析)

   当 論文は5 章から なり、図14 、 表 6 、引 用文献101 を含む、総 頁数70 の英 文論文であり、別に3 編の参考論文が添えられている。本論文の目的は、リン 利用効率の向上に向けて土壌蓄積有機態リンの主要形態であるフィチン酸を、

植物のりン栄養源として活用するために、マメ科植物ホワイトルーピンの持つ 土壌フアチン酸利用機構を解明することにある。

   植物が土壌中で難溶性の塩を形成しているフアチン酸を利用するためには、

これを土壌より可溶化し、フィターゼで分解して無機リン酸を遊離させる必要

がある。一般にフアチン酸を利用できる植物は少ないが、ホワイトルーピンは

土壌中のフィチン酸を利用することができることが知られている。ホワイトル

ーピン倣、有機酸を分泌することで難溶性リンを土壌から流離させて可溶化す

る能カを持っが、しかし過去の研究からフアチン酸を分解するために必要なフ

ィターゼの分泌活性を示さないことがわかっている。そこで本論文では、有機

酸を多量に放出する植物の根圏において土壌からフィチン酸が流離し、可溶化

したフィチン酸が根圏微生物に由来するフアターゼによって分解されるという

仮 説 の も と 、 以 下 の 研 究 を 行 い 仮 説 の 有 効 性 を 実 証 し た 。

  1 )ホ ワイトルー ピン根圏に おけるフィ チン酸資化 性根圏細菌 の単離・

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同定 :水 溶性 のフ ィチ ン酸 ナト リウ ム塩 を単一 のり ンお よぴ 炭素栄養源として 増 殖 可 能 で あ るこ とを 指標 に、 300 菌 株を 超え るフ ィチ ン酸 資化 性細 菌を 、ホ ワイ トル ーピ ンの 根圏 土壌 ・根 面・ 根圏 外土壌 から 単離 した 。単離菌株全体の 89 % の 菌 株 は 16S rDNA 配 列 か ら 系 統 学 的 に Bw 肋 D 肱′ ぬ 属 と し て 同 定 さ れ 、 AFLP 解 析 か ら こ れ ら の細 菌 が 異 な る 遺 伝 型 を 示す こと を確 認し た。 さら に単 離菌 株は 水溶 性の フア チン 酸ナ トリ ウム 塩を与 えた 場合 と比 べ、フィチン酸ア ルミ ニウ ム塩 や鉄 塩と いっ た難 溶性 のフ アチン 酸塩 を与 えた 場合、その増殖速 度が 明確 に低 下し た。 この 結果 はフ アチ ン酸資 化性 細菌 単独 では、土壌中に存 在す る難溶性のフィチン酸塩を利用することが困難であることを示唆している。

  2 ) フ ア チ ン 酸 資 化 性 細 菌 と 植 物 間 に お け る 相 互 作 用 の 解 析 : 無 菌 条 件 下で はフ ィチ ン酸 をり ン栄 養源 とし て利 用する こと が困 難で あるミヤコグサを 用い て、 植物 体に フア チン 酸か らり ンを 供給し 得る 菌株 のス クリーニングを行 い、 無菌 的な 栽培 を続 けた 対照 区と 比べ 、植物 体の 生育 を有 意に促進する細菌 を15 菌株 を獲 得し た。 特に B 甜′ 肋〇砒アぬsp .FpRpG4 株は乾物重とりン吸収量 に お い て 非 接 種区 に対 して 3 倍以 上の 生育 促進 効果 を示 すと とも に、 ミヤ コグ サの側根形成を誘導した。またB 釘′励0 んた′ぬsp .FpRpG4 株をホワイトルーピン の根 に接 種し たと ころ 、ク ラス ター 根の 形成誘 導が 確認 され た。ノトバイオー 卜型 水耕 栽培 法と マイ クロ アレ イ法 を用 いた植 物体 遺伝 子発 現網羅的解析の結 果、B 伽カD んわ′ぬsp .FpR ヰ抖株によるクラスター根形成誘導は、培養液中に存 在する未同定物質によることが明らかとなった。

   以 上の 結果 から ,多 様な フア チン 酸資 化性細 菌が フア チン 酸利用能を示すホ ワイ トル ーピ ン根 圏に 存在 する ことを明らかになり、特にB 甜r 舶D んた′ぬsp . FpRpG4 株 で は 、 ホ ワ イト ル ー ピ ン の ク ラ ス タ ー根 の形 成誘 導能 を有 する こと が明 らか とな った 。ま た、 土壌 に蓄 積し ている フィ チン 酸の 利用戦略として、

ある 種の フア チン 酸資 化性 細菌 がク ラス ター根 を誘 導す るこ とでクラスター根

から 多量 の有 機酸 が分 泌さ れ、 土壌 から フアチ ン酸 は可 溶化 されると、根圏微

生物 がフ ィタ ーゼ を分 泌し てフ ィチ ン酸 を分解 利用 する とい う機構が初めて明

らか とな った 。っ まり 、植 物と その 根圏 細菌と の間 に土 壌フ ィチン酸の利用に

関し て強 い相 互依 存関 係が 存在 する こと を解明 した 。こ れは 学術的に新たな知

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見 であ り、 将来、 持続 的農 業技術 の開 発に も貢 献でき ると 期待 される。

   よって、審査員ー同溌、海野佑介が博士(農学)の学位を受けるのに十分な

資格を有するものと認めた。

参照

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