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学位論文内容の要旨

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Academic year: 2021

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(1)

博 士 ( 医 学 ) 蓮 沼 祐 子

    学 位 論 文 題 名

Involvement of ,B2‑glycoproteinIand anticardiolipin     antibodies in oxidadVelyn10di丘edlO丶 〜r‐denSity     lipoproteinuptakebymaCrophageS

    (p2― グ1Jコ プ ロ テ イ ンIお ょ び 抗 カ ル ジ オ1Jピ ン 抗 体 に よ る     マ ク ロ フ ァ ー ジ の 酸 化LDL取 り 込 み の 抑 制 に 関 す る 研 究 )

学位論文内容の要旨

  p2−グリコプロテインI(p2−GPI)は、血中に約200 Ltg/mlの濃度で存在する分子量約5万の 血 漿蛋白( 別名、ア ポリポ蛋白H)であり、 種々の陰性荷電物質(ホスファチジルセリン、

カ ルジオリ ピン、ヘ パリン硫酸 、デキス トラン硫酸など)に結合性を有しその結果、リン 脂 質依存的 な血液凝 固カスケー ドを抑制 する。こ の蛋白は 、326個のア ミノ酸からなるシ ン グルベプ チドで、 分子内ジス ルヒド結 合により 形成され る5個のス シドメインとよばれ る 繰 り 返 し 構 造 か ら な るこ と や 、第5ド メ イン に 存 在す るCKNKEKKCとぃ う アミ ノ 酸 配 列がりン脂質結合部位であることが明かにされている。

  抗 カルジオ1Jピン抗体 は、カルジ オリピン 、ホスフんチジ少セリンなどのりン脂質と結 合 して構造 変化を起 こしたp2−GPI分 子上に現 れるcrypticなエ ピトープ を認識する抗p2‑

GPI抗 体である ことが示 されている 。本抗体 は、梅毒 などの感 染症患者 では検出されず、

抗 リン脂質 抗体症候 群の患者血 清中に特 異的に検出され、種々の血栓症や習慣流産の発症 に 関与して いると考 えられてい る。とこ ろで、本 抗体が約3割の割合 で認められる全身性 エ リテマト ーデス(SLE)では、動脈硬化病変が発生・進展しやすシゝことが知られている。

一 方、粥状 動脈硬化 病変の形成 には、血 中単球由来マクロファージによるスカベンジャー 受 容体を介 した酸化LDLの細胞内取 り込み、 およぴ泡 沫化が関 与してい ると考えられてい る 。そこで 今回は、 マクロファ ージによ る酸化LDLの 取り込み におよぼ す抗カルジオリピ ン 抗 体 の 影 響 に つ い て 検 討 し た 。 そ の 結 果 以 下 の こ と が 明 ら か と な っ た 。 1) リ ポ 蛋白 に 対す るp2‑GPIお よ ぴWB・CAL‑1抗 笠.(bLン 脂質抗体 症候群の疾 患モデル マウ ス由来の モノクロ ーナル抗 体)の反応 性

  リポ 蛋白を健 常人新鮮 血漿より 超遠心法で 調製し、SyM CuS04と37℃で24時 間培養して 酸 化 した 。p2‑GPIは 、LDLとは全 く結合し ないが、 酸化LDLとは 有意な結合 性を示し た。

酸 化LDL、32‑GPIは そ れ ぞれ 単 独 では 抗 カル ジ オ リピ ン 抗体(WB‑CAL‑1抗 体 )に 認識さ れな ぃが、こ れらが結 合するこ とにより本 抗体に認識されるようになった。さらにp2‑GPI

(2)

およ びWB‑CAL‑1抗体の 結合は、 酸化LDLのBligh‑Dyer法 によるク ロロホルム画分(すなわ ち、脂質画分)に対して特異的に認められた。このことは、リン脂質と同様に、酸化Lエ)L 分子中の脂質(酸化脂質)に結合することで構造変化を起こした[32‑GPIがWB‑CAL−1抗体に よっ て認識さ れることを示している。D2ーGPIは、前述の通り、陰性荷電を有する1Jン脂質 とCKNKEKKCとぃう 配列で結 合するこ とが知られ ているが 、酸化L工 )Lの場合 も同じ結 合 部位を介していると思われる。

2) マ クロ フ ァ ージ よ る酸 化LDLの取 り 込み におよぼすp2‑GPIおよび抗 カルジオ リ豊ン抗 体 の影 響

  マ ウス由来 マクロフ ァージ細胞株であるJ774A.lに対する酸化L工)Lの結合、取り込み、

および分解は、p2―GPIの添加により濃度依存的に抑制された。WB―CAL−1抗体およびCof ‑ 22抗体(ヒトp2―GPIをBalb/cマウスに免疫して得られたモノクローナル抗p2―GPI抗体)をp2‑

GPI存在下、培養液に添カロするとマクロファージヘの酸化Lエ)Lの結合は、対照群と比ベ著 明 に増加し た。一方 、p2―GPI非存 在下では 酸化LDLのマクロファージへの結合は、抗体を 加 えてもほ とんど変 化しなか った。以 上の結果 は、酸化LDLがp2−GPI依存的に抗カルジオ リ ピン抗体 (抗p2―GPI抗体)によって認識され、抗体を介してマクロフアージに結合する ことを示している。この結合は、マクロファージのFc receptorを介している可能性がある。

  以上 のように 、抗リン 脂質抗体 症候群において、p2‑GPIおよび抗カルジオリピン抗体を 介し た動脈硬 化の発症 機序が存 在する可能性が示された。このことは、抗カルジオリピン 抗 体 に 関 す る 新 し い 知 見 で あ り 、 重 要 な 臨 床 意 義 を 持 っ も の と 思 わ れ る 。

(3)

学位論文審査の要旨

     学位論文題名

Involvement of f32‑gycoproteinIandandCarm01ipin     andbomeSinOXidadVelymodi 丘 edlOW ..density     lipoproteinup セ 瓜 ebynlaCrophageS

( タ2− グ1Jコプ ロテ インIおよ び抗 カル ジオ リピ ン抗 体による マ ク ロ フ ァ ー ジ の 酸 化LDL取 り 込 み の 抑 制 に 関 す る 研 究 )

  全身 性エ リテ マトー デス(SLE)では患者の約3割に抗カルジオリピン抗体(aCL)が認めら れるが、本抗体は構造変化を起こしたp2−GPIを認識する抗体であることが知られている。

ま た、SLEで は動 脈硬 化病 変が 発生・進展しやすいことが知られているが、この粥状動脈 硬 化病 変の 形成 には、 マク 口フ ァージによるスカベンジャー受容体を介した酸化LDLの取 り 込み が関 与し ている 。そ こで 酸化LDLの取り込みにおよぽすp2−GPI、aCLの影響につい て検討したところ、以下のことが明らかになった。1)p2―GPIは、LDLとは結合しないが、

酸 化LDLとは有意な結合性を示した。2)p2ーGPIは酸化LDLと結合して構造変化をおこし、

抗カルジオリピン抗体の認識するエピトープが出現した。3)マウス由来マクロファージ細 胞 株で あるJ774A.lへ の酸 化LDLの取 り込 みは 、p2‑GPIの添 加により濃度依存的に抑制さ れ た。4) 抗カ ルジオ リピ ン抗 体をp2‑GPI存 在下 に添 加す ると マタ ロフ ァージ ヘの 酸化 L工)Lの結合は、抗体非存在下と比べ著明に増加した。以上の実験結果は、p2−GPIはマクロ フ ァー ジの 泡沫 化を抑 制す ると ぃう抗動脈硬化作用を有するが、aCLの存在はマクロファ ー ジ の 泡 沫 化 を 促 進 し 、 動 脈 硬化 の危 険因 子と なる 可能 性が ある こと を示し てい る。

  試問に際し、1)生理的濃度のD2−GPIで酸化LDLのマクロファージへの取り込みは抑制さ れ るか2)酸 化HDL、酸 化VLDLに 対す るp2―GPIの役 割3)酸 化LDL‑p2‑GPI複合体のスカベ ン ジャ ーレ セプ ターを 介す る取 り込みにおよぼすpolyinosinic acidの阻害効果について 4) p2‑GPIに対 する 抗カ ルジ オリ ピン 抗体 の認識 部位 、お よび その 構造 解析5)W/B Fl mouseの 冠動 脈病 変6) 動脈 硬化 モデルマウスでの自己抗体の有無7)動脈硬化抵抗性動物 であるマウスにおけるスカベンジャーレセプターの意義8) p2−GPIおよぴ抗カルジオ1Jピ ン抗体のln vivoでの動脈硬化におよぽす役割を今後どのように検討していったらよいかな ど の質 問が あっ た。ま た、 酸化LDLは抗体依存性にマクロファージに結合するが、この結

敬 夫

   

   

隆 正

木 池

吉 小

授 授

教 教

査 査

主 副

(4)

合がFc receptorを介しているかどうかについてはFc fragmentを調整するなどのさらなる検 討が必要と指摘された。

申 請 者 は 、 現 在 ま で の 実 験 結 果 お よ び 論 文 を 引 用 し 概 ね 適 切 な 回 答 を し た 。   この論文は、1)p2―GPIは単独では抗動脈硬化作用を有する。2)抗カルジオリピン抗体 の 存在 は血 栓症 のみ なら ず動脈硬化の危険因子ともなる可能性がある、とぃう2つの新し い 知 見 を 示 し た も の で あ り 重 要 な 臨 床 的 意 義 を 持 っ も の と 期 待 さ れ る 。 審査員一同は、これらの成果を高く評価し、大学院課程における研鑽や取得単位なども併 せ 申 請 者 が 博士 ( 医 学 ) の 学 位 を う け る の に 充 分 な 資 格 を 有 す る も のと 判 定 し た 。

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