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1. はじめに 本検討は 地震保険制度に関するプロジェクトチーム報告書 ( 平成 24 年 11 月 ) において マンション等に固有のものと認められる付属物に限り 査定対象に加えることも考えられる とされたことから マンション等の付属物のうち マンション等に固有あるいは戸建住宅では一般的には設置さ

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(1)

地震保険制度に関するプロジェクトチーム

フォローアップ会合

「マンションの付属物の

損害査定」に係る検討状況について

平成26年1月23日

一般社団法人 日本損害保険協会

資料

(2)

1.はじめに

本検討は、「地震保険制度に関するプロジェクトチーム報告書」(平成24年11月)において、「マンション等に 固有のものと認められる付属物に限り、査定対象に加えることも考えられる」とされたことから、マンション等 の付属物のうち、マンション等に固有あるいは戸建住宅では一般的には設置されない「エレベーター」と「水 槽」について、仮に査定対象とした場合の、査定方法、査定の迅速性等について検討しました。 「地震保険制度に関するプロジェクトチーム報告書」(平成24年11月30日)抜粋・下線追加 (附属物の損害査定) 地震保険においては、迅速性の観点から、主要構造部を対象として損害査定が行われている。マンション等は主要構造部 が頑丈なため損害が生じにくいのに対し、ライフラインやエレベーター等の附属物に損害が生じると居住継続が困難になると いう特性がある。このため、マンション等の損害査定において、ライフライン等の附属物を対象に加えるべきか検討を行った。 マンション等についてのみライフライン等を査定対象に加えると、戸建住宅との公平性が問題となる。他方、戸建住宅のライ フライン等を査定対象に加えれば、査定の迅速性に甚大な影響を及ぼすと予想される。したがって、ライフライン等の附属物 を査定対象に加えることについては慎重であるべきと考える。 ただし、例えば、高層マンションのエレベーターは戸建住宅にはないマンション等に固有のものと考えられる。そのようなマン ション等に固有のものと認められる附属物に限り、査定対象に加えることも考えられる。東日本大震災を受け、損害保険業 界においては、現在、査定対象も含め損害査定基準の見直しについて検討作業を行っているところであり、本件の可能性に ついても、戸建住宅との公平性や査定の迅速性に配慮しつつ、適切な検討がなされることを期待する。 なお、マンション等と戸建住宅とでは、地震保険が引き受けるリスクの性質に異なるところがあるとも考えられるので、将来的 には戸建住宅とマンション等で別建ての商品体系・料率体系とする可能性も含め、今後の課題として引き続き検討していく必 要がある。

(3)

2.エレベーターの査定に関する検討

火災保険等におけるエレベーターの査定方法

■火災保険等でエレベーターの損傷を確認する場合、通常、昇降路内などに立ち入った調査は行いません。 メーカー等(メーカー、保守会社、施工会社等。以下「メーカー等」)が修理・点検を行った際の報告書(損害状況・ 程度のわかる写真や修理見積書等)の提供を受け、 メーカー等の見解を確認しながら損害認定を行います。 ※昇降路内などに立ち入って行う調査は、エレベーター設備に甚大な被害が発生している場合など限定的です。 ・かご室内部以外の損害を目視確認するには、昇降路内や機械室への立ち入りが必要になります。 ・その場合、メーカー等の修理・点検が実施される際に同行し、損害状況の確認等を行います。 ・立ち入って調査を行う場合でも、メーカー等の修理見積書の提供を受けるのが一般的です。 ・調査員の負傷や、誤って機械を壊すなどの事態を防ぐため、メーカー等の指示に従って行動します。

地震保険のマンション査定方法

■迅速・的確な損害査定が求められるという地震保険制度の性格から、主要構造部の損傷を確認する方式を 採用しています。 ・建物全体の沈下・傾斜を確認し全損と判断できないか否か確認を行います。 ・沈下・ 傾斜から全損に至らない場合、主要構造部の柱・はりに着目し、その損傷状況の確認し、建物全体に ついて全損・半損・一部損・対象外の認定を行います。 ・柱・はりに着目する場合、被害の最も大きい階のみ調査し、すべての階の調査は行いません。

マンション棟数等

■首都圏直下地震の被災都県(※1)における分譲マンションの棟数は、東日本大震災の 被災県(※2)の約29倍に あたります。 ※1 埼玉、千葉、東京、神奈川(81,184棟) ※2 岩手、宮城、福島、茨城(震度6以上が広範囲にわたる県)(2,786棟) 出所:平成25年11月末 (株)東京カンテイ

(4)

2.エレベーターの査定に関する検討

調査員

■マンションは、戸建住宅に比べて構造が巨大かつ複雑で、比較的規模が小さいものからタワーマンション と呼ばれるものまで存在しており、査定には建築や構造に対して十分な知見を要します。 ■このため、査定は、主に損害保険鑑定人(以下、鑑定人)が担当します。鑑定人は、全国で約1,000人の 登録があり、東日本大震災では約600人が査定に従事しました。 ■地震発生時でも火災保険の事故対応等、通常業務が発生し、鑑定人が従事するため、今後の大規模地 震でも地震保険の査定に従事できる人数は東日本大震災と同程度と推測されます。 エレベーターの保守・検査 ■エレベーターの保守等には、機械や電気に関する専門的な知識・技能が求められます。 例えば、定期検査を担当するために「昇降機検査資格」が設けられています。 ※全国で約33,000人の登録があり、昇降機の他、遊園地のメリーゴーランド等の検査業務等にも 携わります。 参考 昇降機検査資格受講資格 (1)学校教育法(昭和22年法律第26号)による大学において、正規の機械工学若しくは電気工学又はこれらに相当する課程を修めて卒業した後、昇降機又は遊戯施設 に関して2年以上の実務の経験を有する者 (2)学校教育法による短期大学において、正規の機械工学若しくは電気工学又はこれらに相当する修業年限3年の課程(夜間において授業を行うものを除く。)を修め て卒業した後、昇降機又は遊戯施設に関して3年以上の実務の経験を有する者 (3)(2)に該当する者を除き、短期大学又は学校教育法による高等専門学校において、正規の機械工学若しくは電気工学又はこれらに相当する課程を修めて卒業した 後、昇降機又は遊戯施設に関して4年以上の実務の経験を有する者 (4)学校教育法による高等学校又は中等教育学校において、正規の機械工学若しくは電気工学又はこれらに相当する課程を修めて卒業した後、昇降機又は遊戯施設 に関して7年以上の実務の経験を有する者 (5)最終学校卒業後、昇降機又は遊戯施設に関して11年以上の実務の経験を有する者 (6)建築行政(昇降機又は遊戯施設に関するものに限る。)に関して2年以上の実務の経験を有する者 (7)昇降機又は遊戯施設に関する法令の施行(建築行政を除く。)に関して5年以上の実務の経験を有する者 (8)(1)から(7)までに掲げる者と同等以上の知識及び経験を有する者

2.エレベーターの査定に関する検討

(5)

2.エレベーターの査定に関する検討

査定方法

価額割合

■新築時点でのマンションの工事費に占めるエレベーターの割合は、0.5%~1.5%程度のものが多く、高いも のでも3%程度です。 (出所:改訂版建物の鑑定評価必携,建設物価調査会) ■査定方法は、次の2通りの方法が考えられます。 ①「立会調査せずにメーカー等の報告書に基づいて査定する方式」 メーカー等から損害状況や修理内容のわかる報告書を入手し、メーカー等の見解を確認し損害認定を 行い、損害割合を算出する方法。立会調査は実施しません。 ②「立会調査によりエレベーターの損害割合を算出する方式」 調査人がエレベーター内部に立ち入り、例えばエレベーターの構造上主要な部分(建築基準法施行令 第129条の4)を着目点として損害を確認し、損害割合を算出する方法。メーカー等の報告書は不要です。 ②方式は、立会調査のためメーカー等の協力が必要となります。立会調査はメーカー等の修理・点検のタイミ ングに合わせる必要があり、同時に多数のマンションが被災している状況では、このような立会調査が実施で きるマンション等は限られると考えられます。

(6)

①方式は、

・同時に多数のマンションが被災している状況では、メーカー等の報告書入手に数か月を要することが

見込まれます(火災保険等の査定時では、通常2~3週間)。

・報告書入手後、メーカー等の見解を確認する等、損害認定までには更に相当な時間が必要になる可

能性があります。

・よって、迅速な保険金のお支払が困難になると考えられます。(特にマンション数の多い首都圏)

②方式は、

・ 立会調査のためメーカー等の協力が必要となります。立会調査はメーカー等の修理・点検のタイミン

グに合わせる必要があり、同時に多数のマンションが被災している状況を想定すれば、このような

立会調査が実施できるマンション等は限られます。

・仮に実施できた場合であっても、メーカー等の修理・点検等のタイミングに合わせ実施し、且つ、

メーカー等の修理・点検と調査人の損害確認を同時に行うため、迅速な保険金のお支払が困難に

なると考えられます。

■マンション等の主要構造部の損害がある場合は、これまでどおり主要構造部に着目した査定(立会

調査等)を行います。

・主要構造部とエレベーターの両方に損害がある場合は、

①方式は損害認定回数の増加(主要構造部立会調査とエレベーターの損害認定)

②方式は1回の損害認定の長時間化(主要構造部とエレベーターの立会調査)

により、お客さまの負担増や戸建住宅等のお客さまへの査定対応に影響が生じます。

※立会調査にはお客さまも立会われます。またこれまで2時間程度で完了していた主要構造部に着目した立会調査が、 まる1日程度の時間を要すことが予想され、当該マンション以外のお客さまの立会調査実施にも影響します。

2.エレベーターの査定に関する検討

迅速な保険金支払い

(7)

■日本エレベーター協会から東日本大震災のエレベーターの被害事例や件数を収集しました。(表1) ・表1の集計にはマンション以外のエレベーターが含まれますが、建物用途や建物構造によるエレベーター被害の違いは特 に報告されていません。 ■エレベーターの価額割合は低いため、損害認定基準に追加した場合でもエレベーターの損害のみによる 損害割合が3%未満の場合、一部損に至らないため保険金お支払の対象にはなりません。(表2) 表2 エレベーターの被害類型別に見た損害割合見込み 1)宮城県で被災したマンションの新築費用(6階建てを想定)と、上記被害類型の概算復旧費の割合。日本エレベーター協会より、3,6,7,8,11の 概算復旧費を、その他被害類型はエレベーター1基(1000万円程度)の50%を下回るものと聴取し、損害割合の見込みを算出。

東日本大震災におけるエレベーター被害の状況・エレベーターに着目した損害割合見込み

2.エレベーターの査定に関する検討

調査対象 震度5以上の地震(2011.3~6)にお いて震度4以上を観測した都道府県 調査件数 367,912件 被害件数 8,921件(調査件数の2%程度) 被害状況 ①震度6強から急激に増加 ②建築年1981年以前で増加 被害内訳 右欄 表1 東日本大震災におけるエレベーターの被害状況 出典:日本エレベーター協会,“東北地方太平洋沖地震など の昇降機被害調査報告”,エレベータ界平成24年1月号, p.5.※マンション以外に設置されたエレベーターを含む。 被害類型 被害件数 損害割合の見込み 1) (*:1%未満と予想される被害)2) 1 主索・ケーブル類引っ掛かり 2,120 * 2 脱レール 1,123 * 3 レール・ブラケット、ガイドシュー変形 917 0~1%程 4 かご機器破損 892 * 5 乗り場装置破損 646 * 6 昇降路内機器損傷 432 2%程 7 建物損壊による被害 415 2%程 8 機械室機器の破損 326 1~2%程 9 ロープの外れ 162 * 10 油圧機器破損 131 * 11 おもりブロック脱落 49 2%程 12 冠水・浸水被害 1134 - 13 その他 574 - 合計 8,921

(8)

3.水槽の査定に関する検討

■査定方法は、エレベーターを査定対象とする場合と同様に ①方式:「立会調査せずにメーカー等の報告書に基づいて査定する方式」 ②方式:「立会調査により水槽の損害割合を算出する方式」 の2通りの方法が考えられます。 地震動により水槽内部から破壊される現象(スロッシング現象)で亀裂や破損が生じるケースが多く、外観 上損傷が確認できる場合と、水漏れが発生していても水槽内に入らないと損傷が地震によるものか否か わからない場合があります。また、増圧ポンプや10階建以上等の高層マンションでは中間タンクや圧力制御 機器が用いられており、これらの機器の損害確認にも専門性を要します。よって、水槽の立会調査にはメー カー等の協力・同行が必要となりますが、同時に多数のマンションが被災している状況下では、このような立 会調査を実施できるマンション等は限られると考えられます。

査定方法

①方式は、 メーカー等の報告書入手には相当程度の時間を要することが見込まれます。発災後、迅速に保険金をお 支払いすることは困難と考えられます。(特にマンション数の多い首都圏) ②方式は、 ・事前にメーカー等の協力要否を判断することは難しく、メーカー等の協力・同行を求めることが想定されま すが、立会調査を行う時期はメーカー等の修理・点検のタイミングに合わせる必要があるため、同時に多 数のマンションが被災している状況では、スピーディな対応は期待できません。 ・さらに、水槽は受水槽、高置水槽、ポンプ、水道メータ、配水管等から構成されており、それらの確認には時 間を要します。

迅速な保険金支払い

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3.水槽の査定に関する検討

東日本大震災における水槽被害の状況

■マンション管理組合へのアンケート等からライフライン・設備の被害事例や件数を収集しました。 ・マンション管理業協会(旧高層住宅管理業協会)が会員向けに行った被害状況に関するアンケート結果(以 下、表3)のうち、被害のあった約8,700棟中、仙台市周辺所在の106棟のサンプル調査を行い、水槽被害 の発生した33棟に修理工事見積書、被害・修理状況図、被害状況写真・修理状況写真、新築時の見積 書、新築時の図面等の提供のご協力を要請した結果、10棟から回答を入手しました。(以下、表4) 表3 東日本大震災におけるマンションの被害状況 出所:東日本大震災の被災状況について(続報),高層住宅管理業協会(当時。現在はマンション管理業協会,平成23年9月21日) 集計対象 被害の程度 管理組合 管理棟数(管理戸数) 大破 中破 小破 軽微 被害なし 36,629組合 46,365棟(2,327,400戸) 0棟 44棟 1,184棟 7,477棟 37,660棟 0% 0.1% 2.6% 16.1% 81.2% 表4 水槽被害に関する被害類型と損害割合見込み ■水槽の価額割合は低いため、損害認定基準に追加した場合でも水槽の損害のみによる損害割合が3% 未満の場合、一部損に至らないため保険金お支払の対象にはなりません。

水槽に着目した損害割合見込み

被害類型 修理内容 損害割合の見込み1) 受水槽全損 受水槽交換 2.4%程度 高置水槽全損 高置水槽撤去+直結増圧化 0.7%程度 配管のずれ 配管復旧工事 微小 1)10階建マンションを想定した左記被害類型の概算復 旧費の割合。 10棟の回答から復旧費を確認し、損害割 合の見込みを算出。

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4.今後の要検討事項

■エレベーター等付属設備を査定対象とする場合、損害認定に時間を要するため迅速な保

険金支払は困難と考えられます。

■付属設備を査定対象とするか否かを引き続き検討していくにあたっては、今後、主に以下

のような事項の実態把握や検討が必要と考えられます。

・主要構造部の損害とエレベーター等付属設備の損害の発生状況の把握 ・付属設備の査定を行える調査人の確保 (鑑定人以外の人材確保) ・地震保険全体の保険金支払いの迅速性確保 (マンション以外のお客さまへの迅速な保険金支払いの維持に向けた対応が可能か) ・エレベーターや水槽の査定では、立会調査(前記②方式)を実施できるマンション等は限られ、前 記①方式による場合が多いと考えられますが、メーカー等の報告書入手に罹災後数か月を要す ることが想定されます。

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参考

エレベーターの構造

図1 構造図(機械室あり) 図3 構造図(巻上機を下部に設置) 図2 構造図(機械室なし) 出所:エレベーターの駆動の仕組み,http://www.n-elekyo.or.jp/encyclopedia/mechanism/elevator.html,日本エレベーター協会 参考 エレベーターの構造図

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参考 エレベーターの構造

図5 かご室 図4 かごの外観 出所:エレベーター・エスカレーターの構造, http://www.mitsubishielectric.co.jp/elevator/technology/mech anism/index.html,三菱電機

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参考 給水方式の図

図6 貯水槽方式 図7 直結給水方式

出所:給水方式について,

http://www.waterworks.metro.t okyo.jp/customer/service/kyus

参照

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