化学療法を受けられる方へ
~化学療法の副作用~
四国がんセンター 泌尿器科
さま
2001.3.16 承認がん化学療法とは・・・
「抗がん剤」と呼ばれるお薬による治療をがん化学療法といいます 抗がん剤にはがん細胞の増殖を抑えたり死滅させたりする働きがあり、全身 に拡がったがん細胞に作用しがん治療の有効な手立てとなります また、がんによる症状を和らげ、患者様の日常生活をよりよい状態に維持す るという大切な役割を担います 抗がん剤には内服薬や注射薬があり、がんの種類や患者様の状態、治療方針 などによって、それぞれの患者様に最も適した お薬が選択されます また、より高い効果を期待して他の抗がん剤と 組み合わせたり、放射線治療法と組み合わせたりすることもあります 抗がん剤は、がん細胞を壊す働きをもっていますが、正常な細胞にもダメー ジを与え、これが副作用(吐き気・嘔吐・脱毛・骨髄抑制など)として現れ ます しかし、副作用をなるべく少なくし、おこらないように予防する方法 が色々と工夫されていますので、安心して治療を受けましょう
<副作用を知ることについて> あらかじめ予想される副作用を知り、 対策をたてておくことで、心の準備ができ過剰な不安を取り除けます また、副作用の予防をすることができ、実際に副作用が起こったときにも 適切に対処できるため、症状が重くなるのを防げます 副作用には自覚症状の無いものもあります そのため抗がん剤治療中は尿や血液などの検査を行い、目に見えない副作用 の早期発見に努めます では、実際の副作用について日を追って見てみましょう
化 学 療 法 当 日
< 起 こ り や す い も の > ・ ア レ ル ギ ー 反 応 ( 皮 膚 が 赤 く な る 、 蕁 麻 疹 、 か ゆ み 、 咳 が 出 る ) ・ 食 欲 低 下 ・ 吐 き 気 : 胸 の あ た り が む か む か し て い る よ う な 不 快 感 、 の ど の 下 ま で 食 べ 物 が 詰 ま っ て い る よ う な 感 じ < 比 較 的 起 こ ら な い も の > ・ 脈 の 乱 れ ・ 動 悸 ・ 血 圧 低 下 ・ め ま い ・ 抗 が ん 剤 の 血 管 外 へ の 漏 れ ・ 血 管 痛 ・ 息 苦 し さ ・ 発 熱 ( 38℃ 以 上 の 高 熱 ) ・ 便 秘 : お 腹 が 張 る 、 お な ら が 出 な い翌日~3週間
* 抗 が ん 剤 の 種 類 に よ っ て 起 こ り や す い も の と 起 こ り に く い も の が あ り ま す ・ 口 内 炎 : の ど の 痛 み 、 口 の 中 の た だ れ 、 口 の 中 が 乾 燥 す る 、 食 べ 物 を 飲 み 込 み に く い ・ 味 覚 異 常 : 味 が わ か り に く い 、 一 部 の 味 が わ か ら な い ) ・ 胃 の も た れ な ど に よ る 食 欲 低 下 ・ 骨 髄 抑 制 : 白 血 球 減 少 に よ る 感 染 ( 発 熱 ) : 血 小 板 減 少 に よ る 出 血 傾 向 ( 鼻 出 血 ・ 歯 肉 出 血 ) : 赤 血 球 減 少 に よ る 貧 血 症 状 ( ふ ら つ き ・ 動 悸 ・ 呼 吸 困 難 ) ・ 下 痢 : 水 の よ う な 便 が 複 数 回 出 る 、 し ぶ り 腹 ・ 便 秘 : お 腹 が 張 る 、 お な ら が 出 な い ・ 脱 毛 : あ ら ゆ る 髪 が 部 分 的 、 全 体 的 に 抜 け る4週間以降
* 通 常 、 抗 が ん 剤 の 副 作 用 は 消 失 し て い ま す た だ 、 こ れ ま で の 抗 が ん 剤 の 使 用 に よ り 以 下 の よ う な 症 状 が 続 く こ と が あ り ま す ・ 爪 の 黒 ず み ・ 貧 血 : め ま い 、 動 悸 、 息 切 れ 、 立 ち く ら み 、 頭 痛 ・ に お い に 敏 感 に な る ・ 手 足 先 の し び れ 感 上記症状は、一般的なものです 使用する薬剤や、患者様によって症状は異なります 他にも気になる症状や不安なことがあれば、医師や看護師に お知らせくださいそれでは、副作用について詳しく説明していきます
1.アレルギー
アレルギー症状は、多くの場合、点滴を始めてから10分以内に 起こります この間は特に注意して観察していますので安心して ください(もちろんその後も観察しています) 点滴中にアレルギー症状が現れることがあります その多くは軽い症状ですが、まれに、急に血圧が下がりショックになる事が あります 点滴中に次のような症状が現れたり、少しでもおかしいと感じた りしたときは、すぐにお知らせくださいこのような症状があったら連絡を!!
・息苦しい ・胸が苦しい、痛い ・ ・心臓がドキドキする ・発疹(皮膚に赤いぶつぶつがでる) ・顔がほてる ・汗が出る2.点滴部位の痛み、血管痛または皮膚障害
*点滴部位の周辺に痛み、赤くなる、かゆみまたは腫れなどが現れた場合は すぐに医師や看護師にお知らせ下さい *薬剤によっては、薬剤が静脈の外に漏れると、痛みとやけどに似た皮膚障 害が起こることがあります また、薬剤によっては血管にそって痛みが出る場合があります 早急な処置が必要な場合もありますので、看護師にお知らせ下さい(抗がん剤の種類によっては、最悪の場合皮膚が壊死(腐ってしまう)して しまう事があります決して我慢せずに、少しでもおかしいと思ったら連絡 してください)
☆治療中に注意すること☆
点滴の注射部位はなるべく安静を保ち、不用意に身体を 動かしたりしないようにしましょう 治療中に、点滴が落ちなくなったり、注射部位が痛くなっ たり、腫れてきたり、ポンプのアラームが鳴ったりした 場合は、すぐに医師・看護師にお知らせ下さい3.吐き気・嘔吐および食欲不振
通常化学療法後、1~7日以内に吐き気・嘔吐は治まります *吐き気・嘔吐・食欲不振は多くの抗がん剤によって発生しますが、吐き気 止めを使用することにより症状を抑えることができます 吐き気止めは、飲み薬、坐薬、注射などいろいろあります *点滴に吐き気止めが入っている事もありますが、吐き気を抑える坐薬や 飲み薬があります また、食欲不振のある方が食べやすいように工夫した メニュー(坊ちゃん食(食欲不振食)・フルーツ食・シャーベット食 麺セット)もあります 我慢せずに医師や看護師にお知らせください *右を下にして休まれると楽になることもあります【吐き気のある時の食事の工夫例】
*食事の前後には、口をゆすぎましょう *食前に番茶やレモン水などでうがいをすると、 吐き気予防になることもあります *酸味のあるもの、冷たいもの、口当たりの良い物を食べましょう *食べやすい物から少量ずつ、回数を多くして食べましょう *良くかんでゆっくりと食べましょう ※ 口当たりのよい食べ物 ※ 避けたほうがよい食べ物 ・フルーツジュース ・脂っこいもの、揚げ物 ・ゼリー ・硬いもの ・酸味のあるもの ・香辛料の強いもの ・スープ、味噌汁 ・臭いの強いもの ・スポーツ飲料 口の中が荒れている時は、 ・冷水、氷片 特に気をつけましょう ・アイスキャンディ4.骨髄抑制
血液中には、白血球・赤血球・血小板という血球成分があり、それらは 骨髄という、いわば血液産生工場で作られています 骨髄の機能が抗がん剤 の影響を受けて低下することを骨髄抑制といいます 抗がん剤はがん細胞 だけでなく骨髄中の正常な細胞も攻撃してしまいます そのため、抗がん剤 治療を行うと白血球、赤血球、血小板数などが減少します★血小板の働き★
血小板は止血に重要な役割を果たしますケガをしたりして出血しても、 小さな傷であれば出血は自然に止まり、かさぶたが出来て傷は治ります このように出血を止める過程で大切な働きをするのが血小板です血小板の数(正常値)15~35 万/mm
3 *次のような症状が出た場合、血小板減少の可能性がありますのですぐに 連絡をしてください ・出血しやすい、血が止まりにくい ・紫斑(皮下出血)=皮膚の表面に点状の出血班・青あざが できることですこぶのようになっていなければ心配ありま せん・粘膜出血:鼻出血・歯肉出血 ・後出血=小さな傷、例えば注射のあとなど血が止まりにくく、 いったん止まってもまた出血を起こすことです
≪出血を予防しましょう≫
*柔らかい毛の歯ブラシを使いましょう ・歯肉の出血がある場合は綿棒などを使用し 刺激を避けてください ・鼻は強くかまないようにしましょう *危険防止のためにベッド周りの環境を整え、転んだり、ぶつけたり しないように身の回りを整理しましょう ・髭そりは電気かみそりを使いましょう ・採血や注射後は血が止まるまでしっかり押さえましょう ・体を強くさすったり、かいたりすることは避けましょう また、爪は短く切っておいてください ・痔を予防するため、また痔のある方は出血を予防するために規則的な排便 習慣を身に付けましょう 便秘であったり、便が硬いときには緩下剤を 服用して便通を整えましょう★白血球の働き★
白血球は空気中の細菌やウイルスからわたしたちの体を守り、感染 症を防ぐ重要な働きがあります 白血球が減少すると、体のさまざま な抵抗が弱まり、外部からの侵入を食い止めることができなくなりま す 体の中に既に存在する細菌やカビといった微生物によっても、体 が侵される事があります(感染症を起こしやすくなります) 白血球の中には、主に好中球とリンパ球という成分があります この中でも、好中球は白血球の 40~60%を占める成分です 好中球は、外部から侵入してくる細菌などの有害物質を破壊し、取り 除いて外敵から生体を守る働きがあります白血球の数(正常値)
:3500~8500/mm
3好中球の数(正常値)
:1830~7250/mm
3 *白血球数が 1000(もしくは好中球数が 500)より少なくなると、 細菌から十分に体を守れなくなります *白血球数が 500(もしくは好中球数が 100)より少なくなると、 重篤な感染症を起こす危険性があります *必要に応じて、抗生剤の点滴や、白血球を増やす薬の投与を行いますこのような症状があったら連絡を!!
・ ・3388..00℃℃以以上上のの発発熱熱ががああるる ・・咳咳がが出出るる ・ ・寒寒気気ががすするる ・・腰腰ややわわきき腹腹にに痛痛みみががああるる ・ ・ののどどのの痛痛みみががああるる ・・下下痢痢ををすするる ・ ・排排尿尿時時にに痛痛みみ、、焼焼けけるるよよううなな熱熱ささをを感感じじる る≪感染予防をしましょう≫
*手洗い、うがいをしましょう ・石鹸をよく泡立てて、トイレの後、食事の前、外出後などは特に注意して 洗いましょう また、各病室の洗面台に設置してある手指消毒薬 (ゴージョー)を使用しましょう ・ガラガラ(のどの奥)うがい、ぐちゅぐちゅ(口の中)うがいをしましょ う(起床時、毎食後、外出後、就寝前) ・タオルは清潔なものを使用しましょう *人が多いところへ行くとき(なるべく避けましょう)は、 マスクを着用しましょう *バランスの良い食事にしましょう ・熱すぎる物、辛すぎる物、酸味の強すぎる物、硬すぎる物は口の中の粘膜 を傷つけてしまう原因となるので気をつけましょう *体を常に清潔に保ちましょう・シャワー浴、入浴、清拭をしましょう ・排便後は、お尻の清潔を保つため、できるだけウォシュレットを使用しま しょう *便が硬い場合、排便時に肛門が傷つき、ばい菌が入りやすくなります ・便通の調節を図り便秘を予防しましょう 看護師にご相談下さい *小さな傷でも、化膿し、悪化しやすいため、看護師に伝えて下さい ・傷の大きさにより消毒し、保護します ・特に、糖尿病の方は感染しやすいので手足の清潔を心がけましょう
★赤血球の働き★
赤血球は、体の至る所に酸素を運ぶ役割を果たします 赤血球の中にはヘモグロビンという赤い色素が含まれており、ヘモグロ ビンが肺から酸素を受け取り、体に酸素を運んでいます赤血球の数(正常値)男性 430~570 万/mm
3女性 370~490 万/mm
3Hb(ヘモグロビン)
(正常値)男性 13.5~17.0mg/dl
女性 11.5~15.0mg/dl
*赤血球・ヘモグロビンが少なくなると、だるさ・めまい・息切れなど 貧血症状がでてきます≪赤血球が減少したら、以下のことに注意しましょう≫
*十分な休養と睡眠をとり、体力を消耗しないようにしましょう ・血液循環が悪いので、四肢の冷感やしびれがある時は、血行をよくする 保温を心がけましょう *急にベッドから起きあがらないようにしましょう ・特に目覚めたばかりのときはベッドのわきに1分間ほど腰掛けてから 立ち上がると、めまいが軽くなります *自宅では、青野菜、レバー、ほうれん草などといった鉄分の豊富な食物を 摂取しましょう ただし、栄養バランスを考えて摂取しましょう5.倦怠感
*疲れやすくなったり、息切れしたりする事があります *時々、昼寝をしたり休息を取るようにしましょう *自分のペースで行動するようにしましょう *新鮮な空気に触れるなど気分転換を図りましょう *疲労感が強く、身の回りのことができない場合には、日常生活の介助を させていただきます6.便秘・下痢
*薬剤の種類により、便秘や下痢を起こす場合があります *便の回数・量・硬さなど、いつもと違う症状が出ましたら医師や看護師に お知らせ下さい *肛門周囲がただれないように、できるだけウォシュレットやぬるま湯など で洗いましょう *便秘でも下痢でも、水分は制限が無い限り、できるだけ取るように しましょう ・下痢の場合…冷たいもの、牛乳は避けましょう *便秘や下痢に対しては、内服薬等による調節をおこないますので医師や 看護師にお知らせ下さい7.口内炎
健康な人の口の中には、およそ100種以上の細菌が常にいます また、歯垢(しこう)1㎎ほどには、数千万個から10億個もの細菌が いると言われています これらの細菌が、飲み込んだり血の流れにのって 体内に入り込むと、歯周病だけでなく、様々な全身病を引き起こす可能性 があります しかし歯のみがき方、口のケア次第でそれらは防ぐことがで きます 普段から正しい口腔ケアをしましょう歯みがきポイント
ブラッシング…歯垢はうがいでは除去できません ブラッシングは一番効果的な除去方法です 歯肉マッサージの効果もあるため、炎症のある歯肉を改善 させていくことができます また、唾液の分泌も促される ので口の中を清潔な状態に保つことも期待できます ①平らな面を磨くときは、ブラシを歯に対して直角に当てます 毛先が広がらない程度の強さで、小刻みに動かします ②歯の裏側も洗います ③歯と歯の間には毛先を入れます ④歯と歯肉の境目に毛先をあてます 歯と歯肉の境目、歯と歯の間は特に 歯周病が起こりやすいので、念入りに磨きましょう ⑤歯と歯の間のすき間があいている場合は歯間ブラシを使いましょう 歯ブラシは頭が小さく、柄がまっすぐなものがお勧めです 使用後は乾燥させ、清潔に保管しましょう 後ろから見て毛先が広がっていたら、新しいものに交換しましょう ※激しい吐き気があるときや口内炎が重症で痛みが激しいとき、血小板の値 が2万以下のとき、歯肉から自然出血するときなどは、ブラッシングを 中止しましょううがい…うがいも細菌の増殖を防ぐことにつながります 水で頻回にうがいする事でも十分に効果は得られます 日中は2時間毎のうがいが望ましく、夜間も起きた ときにはうがいも心がけるとよいでしょう
口内炎ができてしまったら
①清潔を保つ ②保温する ③局所麻酔薬のうがいなど痛みのコントロール で対応します 口内保清用のスポンジブラシがあります 口内炎の痛みで歯ブラシが使えないときでも、柔らかいため使いやすいです 当院2階「くろ~ば~」にて販売致しております うがい用ハチアズレ…医師の判断のもと処方することがあります 炎症を抑え、粘膜にできた潰瘍の治癒を促進する作用があります 消毒作用はありません 水に溶かし、うがい薬として1日5~8回、軽い口 内炎・粘膜炎に使います 食事の直前に10ml ほど口内に含み、ゆっくり とグチュグチュうがいを2分間ほど行います 一時的に痛みを麻痺させ、食事を飲み込む ときの痛み・口の中の痛みに有 効ですデキサルチン軟膏…医師の判断のもと処方することがあります ステロイドの塗り薬です ステロイドには炎症をとる強い作用があります 食後や寝る前に患部に直接塗ることで、口内炎・舌炎の腫れや発赤、びらん、 かゆみ、痛みなどをやわらげます口内に細菌や真菌(カビ)による感染症の ある場合はその病状を悪化させるおそれがあるため原則として用いません
8.腎機能の低下
★腎機能とは★
腎臓は身体の老廃物を排泄する器官です 老廃物を含んだ血液は腎臓で 濾過され尿となって排泄されます 抗がん剤によって腎臓に負担がかか り、腎臓が正常に機能しなくなることで、尿の出が悪くなり、老廃物が 血液の中に溜まってしまうことがあります *一日の尿量が少なくなる・体重が増える・むくむ・息苦しい・血圧が高く なるなどの症状が現れた場合はすぐに医師や看護師にお知らせ下さい *症状を早期発見し、対応していくことが大切ですそのため、腎機能の低下 を起こしやすい抗がん剤を使う時には体重測定を毎日 しましょう *点滴によって排尿回数が増えますが、尿意を感じたら我慢せず、トイレに 行くようにしてください また、必要な尿量を確保するためにしっかりと 水分を取るようにしましょう(一日約2ℓの水分補給が必要です)*吐き気や嘔吐、食欲不振などにより食事や水分が十分摂取できない時には 点滴が追加になることもあります ・利尿剤(余分な体内の水分を尿として体の外に出す薬)を使用して症状の 改善をはかることもあります