JAMA February 17, 2015 Volume 313,
Number 7
慈恵
ICU勉強会
2015/4/28
本院研修医
2年 植草 朋子
Introduc?on
• 入院を要する市中肺炎(CAP)患者の死亡率は高く、
特に重症市中肺炎や、治療失敗経緯のある患者に
おいては
10〜20%と高い。
JAMA. 1996;275(2):134-‐141. Thorax. 2004;59(11):960-‐965.• 市中肺炎患者において、高度炎症反応は治療失敗
と死亡率に関係することが知られているが、ステロイ
ドの使用の有用性は未だ議論されている。
Thorax. 2009;64(7):587-‐591.
PLoS One. 2012;7(10):e47926.
Introduc?on
• 入院を要する市中肺炎(CAP)患者の死亡率は高く、
特に重症市中肺炎や、治療失敗経緯のある患者に
おいては
10〜20%と高い。
JAMA. 1996;275(2):134-‐141. Thorax. 2004;59(11):960-‐965.• 市中肺炎患者において、高度炎症反応は治療失敗
と死亡率に関係することが知られているが、ステロイ
ドの使用の有用性は未だ議論されている。
Thorax. 2009;64(7):587-‐591.
PLoS One. 2012;7(10):e47926.
研究デザイン:前向き多施設コホート研究
対象:
15施設におけるCAPで
入院している患者
1424人
方法:早期治療失敗(
>72時間以内),
後期治療失敗,院内死亡率を記録
End point:治療失敗,CAP及びその合併症
による死亡
• 早期(<72時間)治療失敗:下記項目の1
つ以上により臨床的に悪化したもの
1. 不安定な血行動態
2. 呼吸不全の進行、遷延
3. 人工呼吸器の必要性の出現
4. X線所見の増悪
5. 新たな感染源の出現
• 後期(
>72時間)治療失敗:
1. 症状の再発及び遷延
2. 不安定な血行動態
3. 呼吸不全の進行、遷延
4. X線所見の増悪
5. 新たな感染源の出現
Thorax. 2004;59(11):960-‐965
.研究デザイン:前向き多施設コホート研究
対象:
15施設におけるCAPで
入院している患者
1424人
方法:早期治療失敗(
>72時間以内),
後期治療失敗,院内死亡率を記録
End point:治療失敗,CAP及びその合併症
による死亡
• 早期(>72時間)治療失敗:下記項目の 1つ以上により臨床的に悪化したもの 1. 不安定な血行動態 2. 呼吸不全の進行、遷延 3. 人工呼吸器の必要性の出現 4. X線所見の増悪 5. 新たな感染源の出現 • 後期(<72時間)治療失敗: 症状の再発及び遷延 不安定な血行動態 呼吸不全の進行、遷延 X線所見の増悪 新たな感染源の出現
結果:治療失敗群で有意に
死亡率が高かった(
25%vs2%)
Thorax. 2004;59(11):960-‐965
.Introduc?on
• 入院を要する市中肺炎(CAP)患者の死亡率は高く、
特に重症市中肺炎や、治療失敗経緯のある患者に
おいては
10〜20%と高い。
JAMA. 1996;275(2):134-‐141. Thorax. 2004;59(11):960-‐965.• 市中肺炎患者において、高度炎症反応は治療失敗
と死亡率に関係することが知られているが、ステロイ
ドの使用の有用性は未だ議論されている。
Thorax. 2009;64(7):587-‐591.
PLoS One. 2012;7(10):e47926.
市中肺炎に対するステロイドの
有効性を検証した
RCT
①Hydrocor+sone infusion for severe community-‐acquired pneumonia: a preliminary
randomized study. Am J Respir Crit Care Med 2005;171:242-‐8
n=48
、
重症市中肺炎
、
Hydrocortisone 200mgボーラス
、
10mg/h持続7日間
PF比
、
MODSスコア,遅発性敗血症性ショックの改善あり
、
生存率に有意差なし
②Effects of systemic steroids in pa+ents with severe community-‐acquired pneumonia.
Eur Respir J 2007;30:951-‐56
n=308
、
重症市中肺炎
、
prednisolone 30mg/d or mPSL24mg/d
、
投与期間はバラバラ
day30での死亡率はPSIⅤで増悪
、
多変量分析でステロイド投与による死亡率減少
③Efficacy of cor+costeroids in community-‐acquired pneumonia: a randomized double-‐
blinded clinical trial. Am J Respir Crit Care Med. 2010;181(9):975-‐982.
n=213、市中肺炎、prednisolone 40mg/d、7日間
Day7,Day30での臨床的改善に有意差なし、後期機能不全はステロイド投与で有意に増加
④Dexamethasone and length of hospital stay in pa+ents with community-‐aquired
pneumonia Lancet 2011;377:2023-‐30
n=304
、
市中肺炎
、
Dexamethasone 5mg/d
、
4日間
ステロイド群で入院日数1日短縮
、
死亡率に有意差なし
⑤Adjunct prednisone therapy for pa+ents with community-‐acquired pneumonia: a
mul+center, double-‐blind, randomized, placebo-‐controlled trial.
Lancet 2015; S0140-‐6736(14)62447-‐8n=802,市中肺炎
、
prednisone 50 mg/d
、
7日間
<重症市中肺炎 2014/3/11 慈恵ICU勉強会より抜粋>
0.26(95%CI0.11 0.64)
PLoS'ONE'7(10)'2012,Vol'7'
<重症市中肺炎 2014/3/11 慈恵ICU勉強会より抜粋>
しかしながら
…
対象に関して重症市中肺炎に加え炎症反応の程度を考慮した
研究はない。
本研究では対象を高度炎症反応を伴う重症市中肺炎
に限定し、ステイロイド使用による治療失敗、
死亡率への影響を検証している。
Methods:研究デザイン
• 多施設共同研究
• 二重盲検化無作為試験
• 期間:2004年6月〜2012年2月
• 施設:3つのスペインの教育病院
Methods:対象
1. 18歳以上
2. 市中肺炎が疑われる症状(咳、発熱、胸痛、
呼吸困難感)を有する
1. 胸部X線上新たな浸潤影を認める
2. 重症市中肺炎の診断基準(mATS,PSI)を満たす
3. 入院時のCRPが15mg/dL以上
重症度
•
modified American Thoracic Society criteria(mATS)
•
risk class V for the Pneumonia Severity Index(PSI)
mATS
• 呼吸数≧30回/分 • PaO2/FiO2≦250 • 複数の肺葉に及ぶ陰影 のうち、2項目以上 • 侵襲的人工呼吸器を要する • 昇圧剤を要する敗血症性 ショック のうち、1項目以上CRPのカットオフ値の設定
Biomarkers improve mortality predic?on
by prognos?c scales in community-‐acquired pneumonia.
Design:a prospec?ve cohort study Seing:two ter?ary care hospitals
Pa?ents: A total of 453 hospitalized CAP pa?ents were included.
Method: PCT, CRP and TNFα IL6, IL8 and IL10 were measured at admission. Ini?al severity was assessed by PSI,CURB65 and CRB65 scales.
Thorax 2009;64:587-‐591
治療失敗を認めた群での CRPの25パーセンタイル値=15
Adding CRP levels to PSI, CURB65 and CRB65 scales improves the 30-‐day mortality predic?on 重症度分類に炎症性バイオマーカーの項目を含む
ものはないが、バイオマーカーは予後規定因子と なりえないだろうか?
患者除外基準
1. 既にステロイドの全身投与が行われている
2. 院内発症の肺炎
3. 重度の免疫抑制が報告されている
4. 既存の病態で余命3ヶ月以内と診断されている
5. コントロール不良の糖尿病がある
6. 3ヶ月以内の消化管出血の既往がある
7. 1 mg/kg/day以上のメチルプレドニゾロンによる
早急な治療を要する状態である
高度炎症反応を伴う 重症市中肺炎 プラセボ群 抗菌薬による 加療のみ ステロイド 投与群 抗菌薬に加え メチルプレドニゾロン 投与※
※容量:
0.5mg/kg 12時間毎
用法:静脈内ボーラス投与
期間:5日間
全患者において国際ガイドラインに沿って抗菌薬の投与が行われた。
一方にはメチルプレドニゾロン(0.5mg/kg 12時間毎)を、もう一方にはプラセボを、 入院36時間以内から5日間、それぞれ静脈内ボーラス投与した。治療プロトコール
Methods:結果
<
Primary outcome>
治療失敗の割合
早期治療失敗(治療開始後
72時間以内)
1)ショックの発症
2)入院時に不要だった侵襲的人工呼吸器の必要性の発生
3)死亡
後期治療失敗(治療開始後
72~120時間内)
1)X線検査所見で増悪を認める
(ベースラインと比べ50%以上の肺野陰影の増悪)
2)持続的な重度呼吸不全(PaO2/FiO2 <200 且つ呼吸数>30回/分)
3)ショックの発症
4)入院時に不要だった侵襲的人工呼吸器の必要性の発生
5)死亡
<
Secondary outcome>
1) 臨床的に安定するまでの期間
2) ICU入室及び全入院期間
3) 院内死亡率
<臨床的安定の定義>
下記の項目全てを満たす
! 体温≦37.2℃
! 心拍数≦100回/分
! 収縮期血圧≧90mmHg
! PaO2≧60mmHg(room air)
Methods:解析
盲検化:二重盲検化無作為比較試験
(被験者、研究者、データ解析者)
割り付け方法:1対1割付け
外見上見分けのつかないように割り付けた。
解析方法:
Inten?on-‐to-‐treat/per-‐protocol
サンプルサイズの算出方法
Neumofail Groupによる研究に基づく
Thorax. 2004;59(11):960-‐965
• 対照群の治療失敗率:
35%
• 介入をした場合に期待される効果
:対照群に対し20%
の治療失敗減
•
α level: 0.05
•
β level: 0.2 (power=80%)
• サンプルサイズ: それぞれ60人
Results
519人中399人が除外
124人:既にステロイドによる加療中 122人:CRP<15mg/dL
第一病日に測定した
• プロカルシトニンの値
•
IL-‐10の値
• 敗血症性ショック割合
は介入群で低かった。
<患者背景>
ステロイド群 プラセボ群 糖尿病の既往 10人(16%) 13人(22%) PSI Ⅳ以上 43人(70%) 45人(76%) ICU入室数 43人(70%) 40人(68%)2群における抗菌薬治療
• 病原菌の診断率はステロイド群で高かった。
(プラセボ群で30%、 ステロイド群で51%、p=0.024)
• 病原菌として
Streptococcus pneumoniae
が
両群
とも最も多かった。
• 各病原菌の割合は2群間に差はなかった。
• 抗菌薬の種類、初期投与までの時間、継続期間
に関しても2群に差はなかった。
5日間での治療失敗率はステロイ ド群で有意に少ない 早期治療失敗は有意差なし 後期治療失敗はステロイド群で 有意に少ない ▶X線所見の増悪がステロイド群で 有意に少ないことが最大の要因
では、治療失敗の定義から
X線
所見の増悪の項目を除いた
場合ではどうなる??
Primary outcome
Post hoc subanalyses
inten+on-‐to-‐treat popula+on
ステロイド群 (n=61) プラセボ群 (n=59) P値 群間差 (95%CI) 後期治療失敗数 (%) (3) 2 (14) 8 .04 (0〜20) 10%ITTにおけるX線所見の増悪の項目を除いた後期治療失敗の解析結果
X線所見の増悪の項目を除いた場合でも、
後期治療失敗はステロイド群で有意に少なかった
。患者背景でプラセボ群で有意に高かった
敗血症性ショック比率、
PCT
値、
IL-‐10
値に加え、入院した年、施設
を調整し再解析した結果
調整後もステロイド投与群では後期治療失敗率が
Secondary outcome
臨床的安定までの期間、
ICU入室、全入院期間、入院死亡率に
Discussion
高度炎症反応(
CRP>15mg/dL)を伴う重症市中肺炎に
おいて、メチルプレドニゾロンの早急な使用は
治療失敗の減少と炎症反応の減少と関連した。
本研究ではメチルプレドニゾロンの使用による
重複感染やその他の有害事象を認めなかった。
本研究においてメチルプレドニゾロンの併用による
最大のメリットは
X線所見増悪の減少であった。
Limita?on
• 全市中肺炎患者に適応はない
▶
対象を重症且つ高度炎症反応を示すものと限定している。
• 副腎機能に関し評価していない
▶相対的副腎不全を起こしている患者により強い効果をもたらしている
可能性がある。
• ステロイドの投与期間が5日のみ、用量の漸減がなされて
いない。
▶
5日以上の投与がより死亡率を低下させるという報告がある
。
PLoS One. 2012;7(10):e47926.
• 臨床所見の改善に基づく抗菌薬の減量、中止を行う
基準がなかった
。
▶
2群間の抗菌薬の投与期間に差がなかったことの要因??
• 本研究では2群間で死亡率の有意差は認めなかった。
▶サンプルサイズは治療失敗の評価を元に算出されており、死亡率を
評価するためにはより大規模な研究が必要であると考えられる。
• サンプルサイズが集まるのに時間がかかった。
▶重症市中肺炎のうち半数近く (49%)は選定基準を満たさなかった。
• 本研究は類似した患者選定基準を用いた研究に基づいて
サンプルサイズを設定しているが、対照群の治療失敗率が
想定していた値
(35%)よりも低い(31%)。
▶それに伴い本研究のpowerも想定していたよりも低くなったことが
予想される。
Conclusion
高度炎症反応を伴う重症市中肺炎において、
メチルプレドニゾロンの早期投与はプラセボ群と
比べ治療失敗を減少させた。
批判的吟味
①本研究ではX線所見の増悪が治療成績の違いの最
も大きな理由となっているが、この臨床所見を得ること
がステロイドを使用する意義と成り得るのだろうか。
②副腎機能についての評価がなされていない。
2000年12月〜2002年2月、33のスペインの病院 市中肺炎の診断でICUに入院した全ての患者(n=457)を • RB:48時間以内の肺野浸潤影の増悪+菌血症(n=48) • R:48時間以内の肺野浸潤影の増悪のみ(n=183) • B:菌血症のみ(n=39) • C:肺野浸潤影増悪及び菌血症を認めない(n=187) の4群に分類した。 C群と比較した結果 RB群及びR群ではICU死亡率が有意に増加した。 一方B群では死亡率の有意な増加を認めなかった。 ICU管理を要する重症市中肺炎患者において 48時間以内の胸部X線増悪を認めたものは 対照群と比べ3倍の死亡率を示した。 ただし、X線所見の増悪の原因や、出現時期については特定できていない。また、 血液培養で検出されていない菌血症が各群に混在している可能性を否定できない。 Chest. 2009;135(1):165-‐172.
☆斬減を伴わないステロイド中止から3日後に炎症反応の
reboundを認める報告もある。
hydrocor?sone (240 mg/day) for 7 days ・・・Intensive Care Med. 2011;37(9)1553-‐1554
.dexamethasone(5mg/day) for 4 days
・・・Lancet. 2011;377(9782):2023-‐2030.
<2011.8.30 慈恵ICU勉強会より抜粋>