理学 療 法 学 第
38
巻 第3号180
〜
187頁 (2011
年 )研 究 論 文
慢 性
期
脳
卒
中 片 麻 痺 患
者
に
対 す
る
体
重
免 荷
ト
レ
ッ
ド
ミ ル
歩
行練
習
の
即 時 効 果
お よ
び
経 時効
果
*高 尾 敏 文
1
)
2
)
#斉 藤
秀
之
3
>
田 中
直 樹
2
)
3
)
飯 塚
陽
2
)3
)奥
野 純 子
2
)
柳
久 子
2
)
要 旨
【
「
1
的 】 本 研 究
の目的
は,
慢 性 期 脳 卒 中思 者
に対 す
る体 重 免 荷 ト
レ ッド
ミ ル歩 行 練 習 (
BWSTT
)
の即 時
効
果につ い て 明 ら か に す るこ と,
さ ら に継 続 介
人 によ る効 果
と合
わ せ て.
BWSTT
に よっ て歩 行 能 力
が ど の よう
に変 化 し てい くのか を 示す
こ と である。
【
方 法
】
対 象
は,
慢 性 期 脳 卒 中 患 者
8
名
であ
っ た。
内 訳
はT
年齢
(
平 均
±標準
偏 差 )
は59.
0
±9.
0
歳
,
性 別
は男 性
6
名
・
女 性
2
名
,
片 麻 痺
の原 因疾 患
は脳 出 血
5
名
・
脳 梗 塞3
名,
麻 痺 側 は 右7
名・
左1
名 で あっ た。
週3
回・
4
週 間(
計12
回 )のBWSTT
を 実 施 した。
【
結果
】
BWSTT
実 施
前
後
で は,
歩
行
速度
は 実施
前
に 比 し て後
が有
意 に 速く
,
歩 幅
は実 施 前
に 比 して後
が有 意
に広
がっ た。継 続
介
入 に よ る効
果
で は,
快
適
歩行
速
度
T最
大 歩
行
速
度
,
最 大 歩
幅
お よ び最 大 歩
行
率
で有
意
な 改 善 を 認 め た。
【
結 論1
慢 性
期 脳卒
中 片麻
痺 患 者に対 す るBWSTT
に よ る 歩 行 速 度の 改 善 は,
即 時 的 に は歩
幅
の改 善
,
経 時 的
に は歩 行 率
の改 善
に よ る可 能性 が 示 唆
さ れ た。 キー
ワー
ド脳 卒 中
,
体 重 免 荷
トレ ッ ドミ ル歩 行 練 習
,
歩
行
緒
言
脳
卒 中
患者
の歩 行 障 害
へ の理学 療 法
ア プロー
チ は,
神
経 発 達 学 的
アプロー
チに代 表
さ れるよう な経 験
を体 系 化
し たも
のが 主流
であ
っ た時 期
を経
て,
現 在
はニ ュー
ロ リ ハ ビリ テー
シ ョ ン の考
え方
に基づ い たも
の へ と変
遷し てき
て いる
D
。体 重 免 荷 ト
レ ッド
ミ ル歩
行 練 習
(
body
weight support
treadmill
training
:BWSTT
)
は.
この考 え 方 を踏 襲
し ていると考 え
ら れ る歩 行 練
習の一
手 法
であ
る1 )2)。
身
体
をlt
方
へ吊
りE
げ,
体
重
を免 荷
し た状 態
で トレ ッ ドミル
.
E
を歩
行
す
るも
の で(
図D
,
免 荷
によって ド肢へ の
荷
重 量 が 減 るこ と,
運動
負 荷 量 を減
ら せ る こ*
Immediate and Lnngitudinal Effects of BoCly Weight Support
Treadmi]]Training for Patients w {th Chronic Hemiparesis After
Strokc1
)つ くば国 際 大 学 医 療 保 健 学 部理学療 法 学 科 (〒305
−
oe5】 茨 城 県土浦 市 真 鍋6−
8−
33)Teshifumi Takao
,
RPT,
MS :Department of Physical Therapy,
Faculty of Health
.
Tsukuba Inturnationat University2) 筑 波 大 学 大 学 院 人 間 総 合 科 学 研 究 科 福 祉 医 療 学 分 野
Toshifumi Takao
,
RPT.
MS,
Naoki Tanaka,
RPT,
MS,
Noborulizuka
,
RPT,
MS,
Junko
Okuno,
Pharrnacist,
PhD,
Hisako Yanagi,
MD
,
PhD:Department of Medical Science and Welfare,
GraduateSchool of Comprehensive Human Science
,
University uf Tsukuba3) 筑 波 記 念 病 院リハ ビ リ テ
ー
ション部HLdeyuki SaLto
,
RPT,
PhD,
Naoki Tanaka,
RPT、
MS、
Nob(,ruIizuka
,
RPT,
MS ;Department of Rehabilitation.
Tsukuba MemorialIlospital
# E
−
mail;toc23@nifty.
com(受 付H 2010年8月7H /受理 日 2011年4月14日 ) と
,
転
倒の危 険
性 が な く歩
行 に対
す る不 安
を 軽減
で き る こ と,
反復
し て 同一
の刺
激
が 可能
で あ る こ と等
か ら,
効
率
の よい運動
学 習へ と繋
が る 可 能 性 が あ り.
注 凵 さ れ て い る。Finch
ら 2) に よっ て開 発
さ れ たこ のBWSTT
は,
脊 髄 損 傷 患 者
3−
6)や脳 卒 中 片 麻 痺 患 者
7−
10)を
は じ め とし て,
パー
キ ン ソ ン病
ll)12)や骨 関 節 疾 患 (
人工股 関 節 全 置 換 術 後 ) 等
13)に 対 し
てのそ
の有 効 性
の検 証
が 行
われ
てき
た。 この よう
にBWSTT
が歩 行 能 力 改 善
に効
果 が あ る と考 え
ら れ る よう
に なっ た根 拠
の ひ とつ に,
歩 行
に 関 わ る 中枢
パ ター
ン発 生器
(
central pattern generator :CPG
)
の存 在
が あ る14 )15 )。
これ は,
歩
行
に関
わ る一
定
パ ター
ンの筋 活 動
は,
上位 中枢
か らの指 令
で は なく
,
脊髄 内
に あ る神 経
ネッ トワー
クに よっ て引 き起
こ さ れて い る という
も
の であり
,
末 梢
か らの刺 激
入力
でCPG
を 賦活
さ せ,
歩 行 様
の筋 活 動
を得
る と同 時
に,
CPG
か らの上行 性
ニ ュー
ロ ン の活 動 を 通
して,
脳 内 ネ
ッ ト ワー
クの再 構 成
が期 待
でき
る。
脳卒
中片 麻 痺 患 者
に当
て はめて考
え る と,CPG
の活 動
に より麻 痺
側ド肢
の歩
行 様 筋
活 動 を得
る こ と が 期待
さ れ,
さ ら に 出 血 や梗
塞 に よ り障 害 を 負っ た 部 位 も し く は 残 存部 位
の賦活
が 期待
で き る。
BWSTT
は,
脳
卒
中 治療
ガ イ ドラ イン200416
)では グ レー
ドC1
(
行 う
こ と を考 慮
して も よい が.
十 分 な科 学
的 根 拠
がな
い)
であ
っ た が,
同
200917
) で は グレー
ドB
慢 性 期 脳 卒 中 片麻 痺 患 者に対 する
BWSTT
の即 時・
経時効果181
(
行 う
よう勧
め ら れ る)
へと
,
その位 置 付 け
が より推 奨
さ れ る 方ヘ シフ ト し た。
BWSTT
の介
入 効 果 を 後 押 し す る報 告
が増
え てい る証 拠
で あ る。
この よう
に ガ イ ドライ ン において推 奨 さ れ.
治療
効 果に閼 す るエ ビ デ ン スが多
く示
さ れて も,
本 邦
におい てBWSTT
を 臨床 場
面で活
用 し
て いる
とこ ろは ま だ ま
だ少 な
い のが 現 状
であ
る、,要
因 と していく
つ か考 え
ら れ るが,
体 重 免 荷 装 置
とト レッ ド ミ ル という特 殊 な環 境
・
機 材
が必 要
であ
る こと等
が推
測
でき
,
国 内
から
の発 信
は今 後 益
々期 待
さ れ る とこ ろで あ る。
脳
卒
中患 者
の下肢
の運動 麻 痺
の回復
につ いて.
Brunn
−
stromRecovery
Stage
を 用い た二木
の報 告
で は 18,.
最
大 機 能に到 達 す る 発 症 か らの時 期 と その 割 合 は
,
発 症 後2
週 で47.
4
%.1
ヵ月 で72.
6
%,3
ヵ月 で94.
1
%であっ た と 述べ てい る。一
方
で.
慢 性
期 脳卒 中
患者
に 対 す る集 中
的 な リハ ビ リテー
シ ョ ン介
入に よっ て,
運動
麻痺
は 改 善し な
いが 歩 行 速 度
や筋 力
の向
上 が み ら れ た との報 告
があ
る 19曽
2D。
BWSTT
を用
い た介 入
につ いても
,
慢 性 期 脳
卒 中 患 者
に対
し てBWSTT
が有 効
であ
っ た とす
る報 告
があ り
7)22>,
特
に実 施 期
間 が3−6
週
で効 果 を 得
たとす
る報 告
が主
であ
る。
我
々も
,
発 症
から
6
ヵ月 以 上 経 過
し た 慢 性 期 脳卒
中 片 麻痺
患 者 に 対 す るBWSTT
の効
果 を検
証 し た 2:s〕。
4
週 間・
週3
回(
計
12
回)
のBWSTT
実
施 (
免 荷 量
は体 重
の20
%.
練 習 時
間 は20
分
,
歩 行 速 度
は トレ ッ ドミル 上 にて患 者
が歩 け
るも
っ とも速
い 速度 )
でt
前 後
に4
週 間
のベー
ス ライン期
と経 過 観 察 期
を設 け
,
週
1
回の頻 度
で各 指 標
の測 定
を行
い,
バ ラ ン ス に関 す
る指 標
で は有 意 な 改 善
は得
ら れな
かった も
の の,
歩 行 速 度
は有 意 な 向
上を 認
め た。す な
わち
,
4
週 間
・
週
3
回
の介
入という
プロ トコ ル は,
歩 行 速 度
の改 善
を得
る の にト分
な介 入 量
であ
った
ことを 示 唆 す
る結 果
であ
っ た。一
方
でBWSTT
実 施 直 後
の即 時 的 な効 果 を観 察 し た
報
告 はt
太
田 ら2の が整 形 外 科 疾 患
につ い て検 証
し,
歩
行 速 度
の即時 的 改 善
を報告
し た他
は皆
無
で ある。
同 報 告
で は さ ら に,
BWSTT
の継 続 介
入 に よる効 果
で ある の か.
即 時 的 な 効 果
であ
るのかを 明
らか
にす
る こと は,
効
果
発現
の機 序 考
えるう
えで重要
であ
る と述
べ てい る。
こ れは脳 卒 中 患 者
に おい ても
同様
の こ と が言 え
る であろう
。加 え
て,
実 際
に練 習 を 行
っ てい る患 者
にと
っ ても
,
自
分の行
っ てい る 練 習の即 時 的 な 効 果 を 知 るこ と は,
練習 を 継 続 す
るう え
での重
要 な 心 理 的 要素 (
モ チベー
シ ョ ン)
にな
る であ
ろう
。
本 研 究の 目 的 は,
慢 性 期 脳 卒 中 片 麻 痺 患 者に対 す る4
週 間・
週3
回(
計
12
回)
のBWSTT
に より
歩
行
速度
の改 善
を得
た 我 々の先行
研 究23 )を踏
ま え,BWSTT
の 即 時 効 果 お よ び 継 続 介 人に よる経
時 効果
を 明 ら かに し,
BWSTT
に よっ て歩
行 能 力
が どの よう
に変 化 す
るのか を示 す
ことであ る。
方
法
1
.
対 象
対 象
は外 来 通 院
が可能
であ
る自宅
生活 者
であ
り,
次
の条 件 を満
たす 者 と
し た。
初 発
の大
脳一
側病 変
で あ り,
片 側
の運 動 麻 痺 を呈
してい る,
発 症
か ら6
ヵ月
以、
ヒ経
過 し てい る,
監 視 以 上の
歩 行
能力
(
機
能 的 自 立 度評 価
法
の項
目 中 に あ る「
歩 行 」
で5
点
以 ヒ)
を有
し てい る,
コ ミュ ニ ケ
ー
ショ ンに問
題 が ない,
歩 行
に影 響 を
及 ぼす
よう な骨 関 節 疾 患
がな
い.
運 動
を制 限す
る よう な
循 環 器 疾 患
が ない,
20
歳
以 上。そ
して研 究 参 加 時
に行
っ て いた活 動 (
外 来
理学 療 法
,
健 康 増 進 施 設
の利 用 等 )
は研 究 参 加 中 も 同様
に行 う
こと と
し た。本 研 究
の参 加
にあ
たっ ては,
研 究 実 施 者 が 対 象 者
に対
し て,
書 面
お よび口頭
に て十 分
に説 明
を行
い,
本 人 (
書
字 が 困 難 な も
のは家 族 )
の署 名 を以
っ て同意 を 得 た
。条 件 を満 た し た者
で,
本 研 究
の参 加
に同意 を 得 ら れ た
の は8
名
であっ た(
表
1
)
。
対 象 者
の内
訳 は,
年 齢 (
平
表
1
対 象 者
の基 本 属 性
項 目 人 数 もしくは平 均 値±標 準 偏 差 人 数,
人 年 齢,
歳 (範 囲 ) 診 断名
,
人 麻 痺側,
人 研 究 開 始 時の発症 か ら の期 問,
ヵ 月(
範
囲) 麻 痺 側 ド肢BRS,
人FIM
・
移 動項 目得 点,
人 研究開始 前の活 動,
人 外 来 理 学療 法健
康
増 進施
設 利 用 定 期 的 な 活 動 無し 男 性 :6
,
女 性 :2
59,
0 ± 9.
0 (47−
70)脳 出血;
5
,
脳 梗 塞 :3
右 :7
.
左 :1
54
.
4
±39
.
5
(
15
−
119
)
皿 :3,
W :4,
V :15
,
点:1
、
6
,
z∴く;5
,
7
丿辰;2
125
182
理学療法
学第
38
巻第
3
号
均
±標 準 偏
差〉
は59
.
0
±9
.
0
歳
性 別
は男 性
6 名
・
女 性
2
名
.
片 麻痺
の原 因 疾 患 は 脳 出 血5
名・
脳 梗 塞3
名,
麻痺 側
は右
7
名
・
左
1
名
であ
っ た。発
症 か らの期 間
は54.
4
±39
.
5
ヵ月 (
範 囲
15
〜
119
ヵ月)
であ
っ た。なお
,
本研 究
は筑 波 記 念 病 院 倫
理委 員 会
の承 認
を得
て実 施
し た。2.
BWSTT
装 置体
重免 荷
装 置
は可
動 式 免荷
装置
ア ン ウェ イ シス テ ム(
Biodex
社製
BDX −UWSZ
)
を,
ト レッ ド ミル は ゲ イ ト トレー
ニ ング シ ス テ ム(
Biodex
社製
BDX
−
GTM
)
を 用
い た(
図
1
)
。 ア ンウェ イ シス テ ム は胸 部
にハー
ネ
ス を取 り付 け
,
バ ンジー
ケー
ブルを利 用
して体
を 上方
へ懸
垂 し,
免 荷
を得
る もの である。
立位 姿 勢
で胸 部
ハー
ネ スを装 着 す
るた めに要 す
る時 間
は約
1
分
であ
る。 ゲイ ト
ト
レー
ニ ン グ シ ス テ ムは時 速
02
〜
128km
の間
におい て.
時 速
0,
2km
毎
で の速 度 設 定
が 可能
であ
る。
3.BWSTT
プロ トコ ル免 荷 量
は,
先 行 研 究
2>7)8)lo)m13 )22)で は体 重
の15
か ら50
%の範 囲
での効 果
を報 告
して おり
,
こ の範 囲 内
で.
予 備
実 験 に おい て もっ と もハー
ネスがず
れ にく く
免
荷
量 を安 定
さ せ るこ との で き る.
L
限
であ
っ た体
重 の20
% に設 定
し た、
トレ ッ ドミル の設 定 速 度
は,
対 象 者
の最
大歩
行
速度
を 上限
目標
と し,
トレッ ドミ ルE.
で介 助 無
しで歩
くこ との で きる範 囲に おい て もっ と も 速い速度
に設 定
し,一
定 速 度
で歩 行 さ
せ た。練 習 時 間
は,
先 行
研 究
2)7)8)1D13)で は1
【
ロ120
分 か ら
40
分
の範 囲
で の効
図 1 体 重 免 荷 トレッ ドミ ル歩 行 練 習 図は胸 腰 部と 大腿 部にハー
ネスと よ ばれる器 具 を取 り付 けて身 体 を上 方へ 吊 り上 げ るタイ プのもの (大 腿 部は状 況に応 じて利 用 ).
体 重 を 免 荷 し た 状 態で トレ ッ ドミ ル歩 行 を 行 う.
(写真はBIODEX
杜 製,
UNWEIGHING
system )果
を報 告
している。
こ の範
囲 内
で,
目本
の医 療 保 険
・
介
護 保 険 制 度 下 に おいて実 際の練 習 時 間 と して選 択 し やす
い と考
え ら れ る1
回
20
分
(
休
憩
口∫能
)
と し た。
実
施
頻 度
は週
3
回・
4
週 間
を 基本
と し,
含 計
12
回実 施
し た。
BWSTT
実 施 中
は,
日常 的
に用
いて い る ド肢
装具
の使
用を認
めた
。ま た ト
レ ッド
ミル の両 側
に設 置 され
てい る手
す りの 使 用 を 認 め た。
リス ク管
理 と して,
練
習 実施 前 後
の血 圧 お よ び脈拍
の測
定
に加
え
,
練習 中
はモ ニ ター
心 電
図 を 装着
し た。
最 大 心 拍 数(
220−
【
年 齢
】
)
の70
% を 運 動 時の心 拍 数の.
ヒ限 と し,
これ を 超 え た 場 合 は 休 憩 と し た。疲 労
を訴 え
た場 合 も休 憩 を許
口丁し
た。
ま た,
運 動 中
に通 常
と異
な る波 形
へ の変 化
を認
め た場 合
は 運動
を中
ILす
る こと と し た。
4
.
評 価
評 価 指 標
は平 地
にお け
る快 適 な速 度
での歩 行 速 度 (
以 下,
快 適 歩 行 速 度 )
,
歩 幅
(
同,
快 適 歩 幅
)
,
歩 行 率 (
同
,
快 適 歩 行 率 )
,
お よ び最 大 速 度
での歩 行 速 度 (
以 下.
最
大 歩 行 速 度
〉
,
歩 幅 (
同,
最大 歩
幅)
,
歩
行
率 (
同,
最
大
歩
行 率 )
と し た。測 定
は毎 回
のBWSTT
実 施 前 後
に,
各 速 度
で の10m
歩 行
を3
回 試 行
し た。10m
歩 行 時 間
は 理学 療 法 室 内
におい て.
10m
の計 測 路
の両 端
に3m
の予 備 路
を加
え た16m
の直 線 路 を用
い て計 測
し た。ま
た歩
行
に際
して対 象 者
が杖
や下 肢 装 具 を使 用 す
ることを
許
可 し た。
ス トッ プウ オ ッチ に て計 測
し た所 要 時 聞
の最
小 値
と,
同 時
回 に目視
に て計 測
した 歩 数 を採
用 し た。そ
し
て採 用 した 値 か ら
,
歩 行 速 度 お
よび 歩 行 率 を 算 出 し
た、
歩 行 速 度
は【
10
/(
10m
を歩
く た め に か かっ た 秒 数)
】
で求
め,
単 位
をm /s と し た。
歩
幅
は【
10
/(
10m
を歩
く た めにか かっ た歩
数)
】
で求
め,
単 位
をm(
メー
ト ル)
と し た。
歩 行率
は【
〈(
10m
を歩 く
ため に か かっ た歩 数 )
/(
10m
を歩
く
た め にか か
っ た秒 数 )〉
×60
】
で求 め
,
単 位
をsteps /mln とした。
歩 行
速度
の測 定 場 所
か らBWSTT
装 置
が設 置
して あ る所 ま
で の距 離
が約
15m
であ
る。BWSTT
実 施 前
の測
定
が終 了 後
測 定 場 所
か ら装 置
の設 置 し て あ る 所 ま で 移動
し,
ハー
ネ
スお よ び心 電
図 用電
極
の 装着
が完
了
し た時
点
で速
や か にBWSTT
を 開始
し た。
ま た,
BWSTT
終
了 後 は,
ハー
ネス・
心 電 図 用 電極
を取 り外
して[i
[LJEを測
定
し た後
,
十分
な休 息 (
脈 拍 数
が安 静 時
に等 し く な
る)
を とっ たのち に計 測
を行
っ た。
5
.
統 計 学 的 解 析
統 計 学 的 検 討
は,
統 計
ソ フト (
Windows
版
SPSS,
18
.
0
)
を用
い,
最 大
・
快 適 そ れ ぞ れ
の歩 行 速 度
・
歩 幅
・
歩 行 率
の計
6
通 り
につ い て,
BWSTT
実 施 前 後
の「
前
後 要 因 」
,
および実 施
12
回の経 時
的 要 因の2
要 因 を 主効
果 と し
て二元 配 置 分 散 分析 を行
っ た。
経 時
的
要
因
に おいて
有 意 差 を
認めた と き に はpost
hoc
検 定
と してTukey
慢 性 期脳卒中片 麻 痺 患 者に 対 す る
BWSTT
の即 時・
経 町 効 果 183結
果
BWSTT
実 施 前
後
に お け る歩 行
速 度
,
歩幅
お よび歩
行
率の結 果 を表
に 示 す (表
2,
表
3,
表
4
)
v二 元 配 置
分 散
分析
の 結 果.
前 後
要 因(
す な わ ち 即時 効 果 )
で は,
快
適歩
行
速度
,
最 大
歩
行 速
度,
快 適
歩
幅
,
最
大歩
幅
で有
意 な 改善
を認
め た(
快 適 歩 行
速度
:(
F
(
1
,
161
)
‘
12
.
66
,
p <0
,
05
)
,
最
大歩
行 速 度
:(
F
(
1
,
161
)
=
9
,
96
,
p
〈0
,
05
)
,
{
夬適 歩 幅
:(
F
(
1
.
161
)
三
13
.
35
,
p
<0
,
05
)
,
最 大 歩 幅
:(
F
(
1
,
161
)
三
10
.
11
,
p
〈0.
05
))
。
快 適 歩 行 率
および最 大 歩 行 率
はいず
れも有 意
差
を 認 め な かっ た(
快 適 歩 行 率
:(
F
(
Ll61
)
=0.
81,
p=0.
37
)
,
最
大歩
行
率
:(
F (
1,
161
)
=1.
85,
p≡0,
18
)
)
。
実 施
12
回の経 時 的 要 因 (す な わ ち 経 時 的 効 果)
では,
快 適 歩 行 速 度
,
最
大歩
行
速度
,
最 大 歩 幅
,
最
大歩 行 率
で有 意
な改 善
を認
め た(
快 適 歩 行 速 度
;(
F
(
ILI61
)
=
3
.
19
,
p く0
.
05
)
,
最 大歩 行
速度
:(
F
(
IL161
)
=
6
,
52
,
p 〈0.
05
)
,
最 大 歩 幅
:(
F
(
11,
161
)
≡
llO
,
55,
p
<O.
05
)
,
最
大歩 行 率
:(
F
(
11
.
161
)
=
5
.
18
,
p
<0
,
05
))
。post
hoc
検
定で有
意 差 を認
め た もの は,
快
適歩 行 速 度
で は1
回 目 と8,
9
,
10
,
11
の各 回
,
2
回 目
と9,
ll
の各 回
であ
っ た。
最 人 歩 行 速 度
は1
回 目
と7
,
8
,
9
,
10
,
IL
12
の各
回,
2
回日
と7
,
8
,
9
,
10
,
11
,
12
の各
回,3
回 目 と10
,
11
,
12
の各 回
,
4
回 目
と10
回目
であ
っ た。最 大 歩
幅
で は有 意 差
のあ
る組
み合
わせ はな
かった
。最 大 歩 行 率
で は1
回 目 と6,8,9,10,ll,12
の各
回,
2
回 目 と9.
10,11
の各
回 で あっ た。
快
適歩 幅
お よ び快
適歩
行 率
は いず
れ も有
意
差 を認
め な かっ た(
快 適
歩
幅
:(
F
(
IL161
)
=
1
.
58
,
p
=
0
.
11
),
快 適 歩 行率
;(
F
(
IL161
)
≡
O
.
81
,
p
=
0
.
37
)
)
。す
べ て におい て交
互作 用
は認
めな か
っ た。表
2
歩 行 速 度
の即 時
・
繰 時 変 化
実 施 回 1回 2回3
回 4回 5回6
回7
回8
回9
回10
回ll
同12
回 快 適 歩 行 速 度 実 施前
突 施後O
.
57
0
.
59
± 0.
24 ± 0.
260
.
59
0
.
60
±0
、
25
±0
.
27
0
.
58
± 0.
250、
65
±0
.
27
O
.
62
0
.
60
± 0.
25 ± 0.
270
.
62
0
.
61
±0
.
25
±0
.
26
0
.
60
± 0270、
63
±0
.
28
0
,
60
0
.
62
± 0.
27 ±027
0
.
63
0
.
63
±0
.
26
±026
O
.
63
± 0.
270.
66
±0
.
29
0
.
64
0
.
64 ± 0.
28 ±0
.
270
.
63
0
.
65
±0
.
28
±0
.
28
0.
61 ±0280
.
64
±O
.
30
最 大歩 行 速 度 実 施前 実 施 後0
.
74
0
.
75
±O
.
34
±0
,
35
0
.
77
0
.
78
± 0,
34 ± 0,
350
.
77
±0
,
340
.
79
± 0.
360
.
78
0,
81
± α36
±0
.
35
0
,
80
0
.
83
± 0.
35 ±O
.
37
0.
80
±0
,
370
.
84
± 0,
360
.
83
0
,
82
±0
.
39
±0
.
39
0
,
84
0
,
83
± 0.
38 ± 0.
380
.
82
±0
.
390
.
85
± 0.
380
.
84
0
,
83
±O
.
39
±Q
.
38
0
.
88
087
± 0,
39 ± 0,
400
.
84
±0
.
400
.
86
± O.
44 単 位 :m /s.
平 均値
±標 準 偏 差.
二元配 置 分 散 分 析.
詳 細は本 文に示 す.
実 施 前 :BWSTT
実 施 前,
実 施 後 :BWSTT
実 施 後.
快 適歩行 速 度,
最 大歩行速 度と も に前 後要 因・
経 時 的要因の双方に有 意な改 善を 認 め た.
表
3
歩 幅
の即時
・
経 時変 化
実 施回1
回2
回3
回4
回5
回6
回7
回8
回9
回10
回11
回12
回 快適歩 幅 実 施 前 実 施 後 最 大 歩 幅 実 施前 実 施 後 0.
37
0
.
37
±0
.
09
±0
.
10
0
.
38
0
.
38
±0
.
10
±0
.
10
0
.
42 ±0
.
120
.
45
±0
,
ll0
,
43 ±0
ユ20
,
44
±0.
120
.
37
±0
.
090
.
40
±0
.
10
0
,
43 ±0
ユ10
,
44
±0.
120
.
39
0
.
38
±0
ユ0
±0
.
10
0
.
39
0
.
39
±0
.
10
±0
ユ0
0
.
43
±0
,
120
.
44
±0,
130
.
44 ±0
.
110
.
45
±0
.
13
0
.
38
±0
ユ00
.
40
±0
.
10
O
.
4 ±D
.
120
.
45
±o.
ll0
.
38
039 ±0
.
ll
±0
ユ1
0
.
40
0
,
39
±0
、
ll
±0
.
10
0
.
45 ±0
,
120
.
47
±0.
140
.
44
±0
」20
.
44
±0
.
12
0
.
39
±0
.
100
.
40
±0
.
12
0
.
44 ±0
.
120
.
45
±0
ユ2
0
.
39
0
.
39
±0
.
10
±0
.
10
0
.
39
0
.
40
±0
ユ1
±0
.
10
0
.
45 ±0
ユ20
.
46
±0,
120
,
45 ±0
,
llO
,
46
±0,
12 O.
38
±0
ユlO
.
38
±0
.
ll
0
.
45
±0
.
120
.
45
±0
.
13
卓位 :m,
平 均 値±標準偏
差,
二元 配置
分散
分析
.
詳
細 は本 文に示 す.
快
適 歩幅 :快
適 歩行速 度のと きの歩 幅.
最 大 歩 幅 :最 大 歩 行 速 度のと きの歩 幅 実 施 前 :BWSTT
実 施前,
実 施 後 :BWSTT
実 施後.
快適歩 幅は前
後要因で有 意な改 善 を 認め た.
最 大 歩 幅は前後 要 因・
経 時 的 要因の双 方に おい て有 意 な改 善 を 認め た.
184
理学 療 法 学 第38
巻 第3
号表
4
歩 行 率
の即 時
・
経 時 変 化
実 施回1
回2
回3
回4
回5
回6
回7
回8
同9
同10
回11
回 12回 快 適 歩 行 率 実 施 前 実 施 後9L45
90
,
70
90
.
Ol
gl
.
46
90
.
64
±21
.
60
±19
.
86
±19
.
54
±17
.
51
±20
.
38
88
,
5290
.
71
92
.
43
92
.
37
90
.
96
± 19.
61 ± 20.
80 ±20
.
35
±19
.
38
±19
,
49
90
.
62
±20
.
5591
.
02
±22
,
01
90
,
33
92.
37
93.
33
94
.
63
93
、
00
91
.
45
±18
、
68
±20
、
84
±2
α06
±22.
79
±2
α42
±21
.
59
91
.
75
92
.
72
94
.
42
93
.
13
94
.
60
94
.
50
±1837
±20
.
08
±21
.
40
±20
.
50
±21
.
66
±24
.
28
最 大 歩行率
実 施 前 実 施 後99
.
82
99
.
57
102
.
56
103
,
16
104
.
51
±24
ユ1
±24
,
31
±25
.
60
±25
.
77
±24
,
71
97
.
84
101
.
70
102
.
50
103
.
40
104,
11 ±27
.
79
±23
.
98
±23
.
80
±23
.
04
±23
,
25
102
.
85
±26
.
43108
.
05
±27
.
17
104
.
71
1e5
.
79
106
.
73
106,
46 105.
90
105,
59
±26
.
21
±28
.
0
±27
.
90
±26
.
33
±27
.
61
±27
,
74
102,
58 106.
85 107.
44 109ユ8 108.
40 107.
16 ±24
.
08
±28
.
54
±27
.
54
±27
.
78
±26
.
68
±28
.
90
単位 :steps /min.
平 均 値土標 準 偏差,
二元 配 置 分散
分 析.
詳 細は本 文に示 す.
快 適歩
行 率:快 適歩
行 速 度のときの歩行率
最 大歩行率
:最 大歩行
速度
の と きの歩 行率
.
実 施 前 :BWSTT 実 施 前,
実 施 後 :BWSTT 実 施 後、
最大歩 行 率は経 時 的 要 因におい て有 意な 改善を認め た.
ま た
8
名
中5
名 は一
度 も休 憩
をとるこ とな く課 題 を遂
行
で き た。BWSTT
実 施 中
に休
憩 を と
っ た3
名
のう
ち
,
1
回(
1
日)
の介 入 中に3
回の 休 憩 を とっ た 者 が2
名.
同
じく
1
回
の休 憩
を とっ た者
が1
名
で あり
,
いず
れも 自
覚 的疲 労
に よ る もの であっ た.
考
察
ま ず 始
めに,
今 回
のプロ トコ ルが慢 性 期 脳 卒 中 患 者
の歩 行 能 力 改 善
に有 効
であ
っ た か どう
かにつ い て述
べ る。BWSTT
の実 施
に当 た
っ て は,
大 き く次
の3
つ の こと が しば
しば 問 題 と
し て取 り上 げ
ら れ る。
「
免 荷 量
の設 定 基
準
が一
定
で ない」 「
トレ ッ ドミ ル速 度
の 設定 基
準
が一
定
で ない」 「
実 施
頻度
お よ び実 施 期
間の 設定
が一
定
で ない」
と
いう
こと
であ
る。
本 研 究
で はこれ ら に対
し て次
の よう
に考 え
,
プロ トコ ルを設
定
し た。
免 荷
量 につ い て はこれ まで の報 告
で多 く採 用
さ れて い る範 囲 内
であ
る,
体
重の20
% と し た。 ま た体
重免 荷 状 態
で の トレッ ドミ ル歩
行 練
習
の効 果 を検 証 す
る ことが 目的
であ
るため,
免 荷 量
は一
定
とし
た。BWSTT
実 施 中
のト
レ ッド
ミ ル速 度
につ い て は.
平 地 歩 行
で の最 大 歩 行 時
の歩 行 速 度 を設 定
の 日安
と し て考 え
た。 し か し 同一
一
一
の歩 行 速 度
で は,
平 地
に 比べ て トレッ ドミ ル上
で の歩 行
の方
が速 く感
じ ら れ ると
い わ れ てい る22)こと を 踏 ま え て,
対 象 者の 主 観 (トレッ ドミ ル上を歩
け る な か で,
も
っ とも速
い と感
じ る速
度
)
に よ る決 定
を 優先
と し た、
実施
頻 度につ いて は,
こ れ まで の 報 告 が 週3 〜
5
回で の効 果 を 報 告 してお り,
今
回の対 象
者
は在 宅
生活 中
の方
々 であ り
,
現 実 的
に通 院可 能
と考 え
ら れる週3
回 と設 定
し た。
実 施 期 間
につ い て は3
〜
10
週の報 告
にば らつ き は あ る が,
短 期 集 中
プログ ラ ム の意
味 合
いか
ら比 較 的短 期 間
であ
る4
週 間 (
1
ヵ月 )
とした
。結
果 として継 続 介
入 によ る歩 行 速 度
の経 時 的改 善
を 認 め た こ とから,
今
回 用い た プロ トコ ル が歩 行 速 度
の改 善 を
も
た らす
の に十 分 な 介 入
であ
った と考 え ら
れ る 23) 。次 に 即 時 効 果 につ い て述べ る
。
結 果 か ら.
歩
行 速 度 と歩
幅
に おい て即 時 的
な 改善
が み ら れ ているの に対
し て,
歩 行 率
は 即時
的 な 改善
は 見 ら れ ず,
経
時 的 な向
上 を示
す のみであっ た。
この こ と か ら,
歩 行 速 度の即 時 的 な 改 善 は歩
幅
の増 加
に よ るも
の と推 測
で き る。
健 常 者
の場 合
,
トレ ッ ドミ ルE.
で の歩 行
は平
地歩 行
に比べ歩 数
が増 す
,
す
な わ ち歩 行 率
が高 く
なる と言
わ れて い る 25 >。 ま た片
麻 痺 患 者
のト
レ ッド
ミ ル歩 行
にお
い ても歩 行 率
が増 加
し,
立 脚 時 間
が減 少 す
る との報 告
があ
る26)。
BWSTT
実 施
中の歩 幅
・
歩 行
率
につ いて は今
回 測定 を
行
っ ていな い が,BWSTT
実 施 直後
の変 化
と し て歩 行 率
の増 加 で はな く
,
歩 幅
の増 大
が み ら れ たこと
は,
非 常
に 興味
深い こ と で あ る。
つ まり脳 卒 中片 麻 痺
患者
に対
し てのBWSTT
は,
まず
は歩
幅
の増 大
に よ る歩
行 速 度
の改 善
,
そ
の後
に歩
行 率
の向
上 をも
た らす
こ と が示 唆 さ
れる。体 重 を 免 荷
す
るこ と により
.
免 荷
しな
い場 合 と比
べて重心 位 置
が高
く保
たれ
る ことか ら
27),
立 脚 時
の姿 勢 保 持 が 容 易 と な
る こ とが 予 測 さ れる。
患
側 立 脚期
に おいて は,
下 肢 に か か る荷 重 量
が減
ら さ れ る た め,
全 荷 重
時 に 比べ て 容易
に立 脚 姿 勢 を 保
つ こと
ができ
る。
健
側立
脚期
に おい て は,
上 方へ の体 重 懸 垂 に よっ て姿 勢 保 持 が 容 易 に な るこ とに加
え て,
懸 垂
が歩
行 周 期
を通
し て体 幹
を直
立 に保 持 す
る よう
に働 く た め,
立脚
期に良好
なア ライメ ン トを得
やす
くな り,
患 側 ド肢
の遊脚
にか かる努 力
を減
じる(
振 り出
しや す く な
る)
こ とが
でき
る と考 え られ
る。 これ ら
の こ とか ら,
体 重
を免荷
し た ことに よ り立脚 時
間の延 長,
すな
わち対 側
の遊 脚 時 間
の延 長
につな
がり
,
歩 幅 を広 げ
やす くな
った
の で はな
いかと考 え
る。
し か し今
回の研 究 で は,
BWSTT
中 に 実 際 に 体 幹 が 直 立 に なっ て いた か否
慢 性 期 脳 卒 中 片 麻 痺 患 者 に対す るBWSTT の即 時
・
経 時 効 果 185 か,
ま た平
地歩
行
に戻
っ た際
に,
その姿 勢
が継 続
でき
て い た か否
かにつ いて の評 価
は行
っ てお ら ず詳 細
は不 明
であ
るの で,
今 後
の検 討
とし
たい。最 大 歩 行 率
につ い て は継 続 介 人
に よる経 時 的 な改 善 も
み ら れ ていた。歩 行 速 度
が増
した とき
,
立脚 時
間は短 縮
す
る が,
遊 脚 時 間
は余 り変 化
しな
いと
いわ
れ てい る28)。ま
た近 藤
ら は脳 卒 中 片 麻 痺 患 者
の歩 行
の特 徴
と して,
歩
行 速 度
の速
い群 (
最 速 歩 行 速 度
:平 均
1
.
37m
/s)
は歩 行
率
が,
歩 行 速 度
の遅
い群 (
最 大 歩 行 速 度
:平 均
0.
72m
/s)
は重 複 歩
距離
が歩 行 速 度 を 規 定 す
る要
因で あ る と 述べ て い る29 )。
今
回の対 象 者
は,
介 入1
回 目のBWSTT
実施
前
の最
大歩 行 速 度
が平 均
O.
74m
/s(
標 準 偏
差0
.
34
)
であ り
,
遅
い群
に近
かっ たこ と か ら,
即 時 的
に は歩
幅
の改
善
が歩 行 速 度
に影 響
を与
え たことは先 行 研 究
の見 解
と一
致 す
る。そ
して経 時 的
に歩 行 率
が向
上す
る に至
っ た こと
は,
脳卒
中片 麻 痺 患 者
の歩 行 速 度
の向
上 に歩 行 率
が寄 与
す る ほ ど.
歩
行
能 力
が向
上 して きたか ら で は ない だ ろう
か。
この結 果
は,BWSTT
を 実 施 す
る際
の注 目点
の ひ と つ と して考 慮 す るべ き で は ない か と 考 え る。
つ ま り,
即時 的
に は歩 幅
の改善
を,
短 期 的・
経 時 的
に は歩
行 率
の改善
を念 頭
に置
き,
本 練 習
を 実 施 すべ き で あ る こ と を示 唆
す る もの であ る。
歩
行 速 度 改 善
の パター
ンは,
快 適
・
最 大
歩
行
とも
に各
回
の実 施 前 後
の平 均
で はBWSTT
実施 後
の歩 行
速度
が速 く
なる傾 向
を見
て とれ る が,
次
の実 施
回(
実 施
日)
のBWSTT
実 施 前
で は直 前
のBWSTT
実 施 後
に比
べ て少
し 遅くな り
,
全 体
と し て は階段 状
の右 肩 上
がり
とな
っ て い る(
表
2
>
。
す
な わち
徐
々 に速 度
が 上昇
し て お り,
動
作
の円滑
さ が徐
々に 改善
す る と考
え
ら れ てい る 運動 学 習
の過 程
とも
一
致 す
る 3ω こ と か ら,
歩 行 速 度
の改善
に は運 動 学 習 が 関 与 し
てい る こと が示 唆 され
る。速 く歩 く
た めの戦 略
とし
て,
BWSTT
開 始 初 期
に は意 識 し
て歩
1幅 を
広 くす
るが,
徐
々に ド肢
を速 く動
か し,
歩 数 を多 く
とる よう
にな
る。 こ の際
に,
徐
々 に歩 行 が 自動 化 さ
れてい る ことが 考 え
られ
る。今
回の結 果
より
,
BWSTT
による歩 行 改 善
の即 時 的 な
変 化 を示 す
こ と ができ
,
継 続 効 果
と合 わ
せ て改 善
の機 序
の一
部
ではあ
るが 言及 す
ることが
でき
た。一
方
,
本 研 究
の 限 界 として は,
対
照群 を 設 定
し てい ないた め,
特
に経
時 効果
につ いて は 必ず
しも練
習の効
果 だ け と は言
い難
い という
点
が挙
げ ら れ る。
ま
た,
歩
行
練 習
の量
が 同 じ であ
れ ば 同 様の効 果 が 得 ら れ る 可 能 性 も あ り,
従 来の歩
行 練習
との比 較 も今 後
の課 題
であ
る。BWSTT
が開 発
さ れ て か ら約
25
年
が経
つ が.
脳 卒 中
患 者
に対
し て のエ ビデ ン ス は徐
々 に確
立さ れつ つ ある。今 後
は,
介 入 頻 度
・
介 入期 間
・一
回の練 習 時 間
の差
で効
果に違
い があ
る の か,
BWSTT
を発
症後
どの時 期
に導
入す
る のがも
っ とも効 果 的
か,
とい っ た よう
な ま だ明
らか にな
っ ていな
い隙 間
の部 分 を埋
め ていく と と も
に,
臨 床
場 面
で使
い やす くす
るよう
な 取 り組 み(
プロ トコ ル の 確立
,
事 例 集
の作 成 等 )
が 必 要 で あ ろう
。
ま たBWSTT
の実 施
による歩 行 速 度
の 即 時 的 な改 善
は,
患
者自身
も そ の効
果 を 実 感 し や すい と 思 わ れ る。
す な わ ちBWSTT
は,
「
患 者
がモチベー
ショ ンを高 く保
ち な が ら継 続 的
に歩 行 練 習 を遂 行
でき
る手 法 」
で あ る と も考
え ら れ る、
結
論
本 研
究 より
,
慢 性 期脳 卒 中片 麻 痺 患 者
に対 す
るBWSTT
の,
歩 行 能 力 改 善
の経 時 的 な変 化
に加 え
て即 時 的 な 影 響
も 示 す
こ と ができ
た。今
回の結 果 か ら歩 行 速 度
の改 善
は,
即 時 的
に は歩 幅
の改 善
に,
経 時 的
に は歩 行 率
の改 善
に よっ ても
た らされ てい る 叮能 性
が 示唆
さ れ た。
謝 辞
;本 研究
の実 施
に は,
紙 屋 克 子 氏(
静 岡県
立 大学
教授
)
な ら び に矢 野 博 明 氏 (
筑 波 大 学 大 学 院
システム情 報
工学 研
究科准
教授
)
に御 協 力 頂 き
ま し た。
ま た筑 波 記 念
会の小 関 暎 子 理 事 長,
筑 波 記 念 病 院 長 澤 俊 郎 管 理 者 を は じめ,
リハ ビ リテー
シ ョ ン部
ス タッ フ の皆 様
には最 大 限
の御 協 力
を頂
き ま し た。皆 様
に心
より感 謝 致
しま す
。最
後に,
協 力 して下 さっ た 患者 様
に心 より感
謝 致 し ま す。
本 研 究
は,
平 成
20
年 度
理学 療 法
に関
わ る研 究 助 成
の助 成
を受 け
て実 施
したも
の であ り,
内 容
の一
一
一
部 を 第
44
回 日本 理 学 療 法 学 術 大 会
に おい て報 告
し た。文 献
1
) 斉 藤 秀之,
高
尾 敏 文,
他 ;ニ ュー
ロ リハ ビリ テー
ショ ン と 理学 療 法2 脳 卒 中 患 者の歩 行 障 害に対 する アブロー
チ を 中心 に.
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