第
2
版によせて
本書の初版刊行から 12 年余になる.幸いにして,教科書あるいは参考書として利用されて,定期 的に増刷が繰り返されているのは著者らの大きな喜びである.ところで,初版時には電気回路記号 に関する JIS の新しい規格(JIS C 0617)がすでに制定され,義務教育の教科書等では新記号を用 いた回路図が掲載されていたことを記憶している.それにもかかわらず,本書では旧規格(JIS C 0301)の電気回路記号で図表を作成した.これは,当時の本書の利用者が旧規格での教育を受けた 世代であったことと,国家資格試験に出題される回路図が受験生に配慮して旧規格で作成されてい たからであった.以後,新規格での教育を受けた世代が本書を利用するようになったが,参考書や 過去問には依然として旧規格で作成された回路図が掲載されていたので,本書の回路図も旧規格の ままで不都合がなかったようであった. しかし,年次進行とともに,旧規格の回路記号が大部分の学生に馴染みのないものとなり,国 家資格試験にも旧規格の電気回路図が見られなくなってくると,そうも言っていられなくなって きた.特に形状の変化が大きかった抵抗器の記号は,講義で説明しているにもかかわらず,学生 が新しい記号を義務教育の頃から刷り込まれているためか,旧記号では抵抗器として認識できな いこともあり,電気回路全般の理解が進まないなど,いろいろと不都合を生じるようになってき た. これらの経緯から,本書に掲載した電気回路図を新規格に準拠して変更することにした.ただし, 依然として使用されているオペアンプや論理回路の記号など,旧規格や MIL の記号については,そ のまま使用することにした.したがって,変更したのは主に電気抵抗やスイッチの記号であり,こ れにより義務教育との整合性がとれ,学生の理解もより容易になることと思われる. ところで,臨床検査技師の国家資格試験は出題基準が変更され,五選択一もしくは五選択二の解 答形式に統一されるようになり,新しい問題パターンも見られるようになってきた.さらに,項目 ごとの問題演習ができる方が学習に都合が良いなどの意見も寄せられてきたことから,演習問題も 見直すことにした.具体的には,項目ごとに問題を整理し,できるだけ多くの出題パターンを網羅 した.また,円滑に問題演習ができるように,できるだけ詳細な解説を心がけ,本文に戻らなくて も一定程度の学習が可能なようにした. しかし,本書の改版に当たっても本文については,ほとんど変更を行わなかった.というのは電気 の基礎理論の,特に医療従事者に学んでほしい基礎的な部分から段階的説明が主であったので,理 解に支障がないとの判断によるものである.ところで,医用機器やこれを構成するセンサなどにつ いては加筆も考えられたが,すでにそれに特化した成書がいくつかあることも考慮し,あくまでもiv 第 2 版によせて
本書ではそれらの内容を理解するために必要な基礎的な電子・電気回路やデジタル回路の知識を習 得するという位置づけを維持することにした.
2016年10月吉日