Title
各種固定化生体触媒による外来有機化合物の生化学変換( 内
容の要旨 )
Author(s)
永岡, 宏行
Report No.(Doctoral
Degree)
博士(農学) 甲第190号
Issue Date
2000-03-14
Type
博士論文
Version
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12099/2531
※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。氏 名(国籍) 学 位 の 種 類 学 位 記 番 号 学 位 授 与 年 月 日 学 位授与 の 要 件 研 究 科 及 び専 攻 研究指導を受けた大学 学 位 論 文 題 目 審 査 委 員 永 岡 宏 行 (山 口 県) 博士(農学) 農博甲第19.0号 平成12年3月14日 学位規則第4条第1項該当 連合農学研究科 生物資源科学専攻 信州大学 各種固定化生体触媒による外来有機化合物の 生化学変換 主査 信 州 大 学 教 授 副査 信 州 大 学 助教授 副査 岐 阜 大 学 教 授 副査 静 岡 大 学 教 授 副査 信 州 大 学 教 授 紘 信 彦 男 治 政 善 英 弘 原 嶋 田 藤 左 茅 小 篠 衛 只 論 文 の 内 容 の 要 旨 近年、光学活性アルコールはファインケミカル分野の医薬品、農薬、香料、液晶材料等 の合成中間体合成原料として利用されている。これらの光学活性アルコールを合成するた めの不斉技術(例;生体触媒法)には、大腸菌や枯草菌、放線菌、辞母、糸状菌、更に1)
それら菌鐘に遺伝子を導入して適切培養条件で培養増殖し、回収した菌体・粉砕液・培養
液を産業用酵素として基質反応させる方法が中心に研究・応用されている。その他の生体 触媒には2)植物培養細胞を用いる方法、チチカビを用いる方法、ミドリムシを用いる方 法、ゼニゴケ培養細胞を用いる方法が知られている。菌体を用いる方法1)の問題点は、 調整される遺伝子導入菌体が自然界では異品種であり、外部環境との厳密なる隔離操作・(安全型)施設の必要性がある点、植物培養細胞を用いる方法2)の問題点は、継体培養
の長期化(1年∼2年)や無菌操作の必要性が有った。以上の自然環境への安全性や煩雑 操作等の問悪点を回避する、購入・調整安価で反応操作が平易な天然突渾の有効利用する 新規生体触媒の発振を本字位論文の研究課題とした。以上の背景に基づき、穀類・豆類・卵美引こ含まれるタンパク質(酵素群)の分離法を第
1段階として検討し、第2段階として包括固定化処理、第3段階として基質変換反応のエ 程を検討した。その際、確立した穀顆・豆頼・卵類の不斉触媒化処理と操作手煩の詳細を 以下に述べる。 .芳J度膚イタンパク貸方摩と1粉末化ノ 購入したエンドウ、ダイズ、ソバの種子を粉砕し、殻や大粒を取り除く。各粉砕粉に含一86-まれるタンパク質画分は、粉砕粉にpH7.0付近の蒸留水(400C)9重量倍を添加して、
40分程度で概略分離されるタンパク水溶性画分(沈殿の食琴線維;オカラ画分は除去)
を得て、食物級酸;HClaq・、H2SO。aq.、H3PO。aq.、食物級塩基;NaOHを用 いてエンドウ、ダイス水溶性タンパク質はpH4.5、ソバ水溶性タンパク質はpH9.5で、 抽出した水溶性タンパク質を等電点沈殿させた。水溶性画分は除去し、沈殿タンパク質画 分は更にpH7・0付近の蒸留水(400C)で溶解し(試料濃度5.0%)、保存性を高める目的 で噴霧乾燥処理を行い粉末とした。更に、鶏卵中の卵白を概略的に分離し、硫酸アンムニ ウム処理して遠心分離(8000叩m、20min)させた沈殿タンパク質画分をpH7.0付近の 蒸留水(400C)で溶解し(試料濃度5.0%)、噴霧乾燥処理を行い粉末とした。 粛2皮膚イタンパク質の痘瘡虜定化ノ 更に、粉末化したエンドウタンパク質(PP)、ダイスタンパク質(SP)、ソバタンバク 質(BP)、卵白アルブミン(OA)20gに10倍等量の蒸留水200皿1を加え、5%アルギン 較ナトリウム水溶液1.25倍等量の250mlを加え均一・携拝し、該混合溶液を0.6%塩化カ ルシウム水溶液中に清下し、それぞれ固定化エンドウタンパク質(IPP)、ダイスタンパク 質(ISP)、ソバタンバク質(IBP)、卵白アルブミン(IOA)とした。固定化ビーズ膜の強 化を目的として、0.6%塩化カルシウム水溶液中で5時間、保存した。 粛β段階(光学膚鱈アルコールのガ剋及び合成ノ 保存後、固定化ビーズ(UP、ISP、IBP、IOA)を0.6%CaC12aq.より分離し、蒸留水 にて充分に洗浄した。その状態の固定化ヒースを触媒、反応液;蒸留水400mlとして、恒 温板宿培養器の設定;温度350C、振梼数;55rpmで反応液温度が300Cを越える程度まで 空振梼させた。その後、基質ラセミアルコールをその反応水槽に涼加し、基質変換させた。 反応終了後、基質と生成物を含む反応液と固定化ビーズを概略分離し、反応液中基質と生 成物をエーテル抽出した。抽出エーテルは飽和食塩水にて洗浄、硫酸ナトリウム乾燥を謹 て濃霜後、シリカゲルクロマトグラフ(70∼230メッシュ)を用いて光学活性アルコール を単離・精製した。得られる光学活性アルコールの立体配置はHPLC光学分割カラムを用 いたど-クの文献値と旋光度測定値の比較から決定でき、光学純度は(enantio皿ereXCeSS =e.e.)はHPLC光学分割カラム分析のS体ピークとR体ピーク積分面積の比率の差によ り求めた。以上の結果、近年食物アレルギー問題や通年子導入農産物といった社会問題として問
題視されている穀類・豆類・卵類資源を機能性タンパク質(酵素群)に注目することで、 効率的に光学活性アルコールの合成触媒に有効利用できることを証明した。以上の成果は 穀類・豆頬・卵顆研究は従来研究分野;生産技術、育種、栄養価、遺伝子莫源、生体調節 物質に区別されるタンパク質(酵素群)の不斉酸化能(食品の持つ新規磯能;触媒機能) を解明し、食品分野の新規研究分野の拡張をなし得た。更に、これらを光学活性アルコー ル製造の新規生体触媒に定義付けすることは、微生物資源に限られる産業用酵素の概念を 穀物・豆類・卵類資源に拡大せしめ、ファインケミカル分野の医薬品、農薬、香料、液晶 材料合成原料製造に寄与する成果につながり、天然植物資源の有効利用に貢献した。-87-審 査 結 果 の 要 旨 近年、光学活性アルコールはファインケミカルの分野の医薬品、農薬、香料、 液晶材料等の合成中間体の合成原料として大いに利用されている。光学活性ア ルコールの不斉合成技術として、従来1)菌体を用いる方法や2)植物培養細 胞を用いる方法などが知られているが、1)の問題点は調整される遺伝子導入 菌体が自然界では異品種であり、外部幕境との厳密な隔離操作や安全施設が必 要であり、2)の問題点は継体培養の長期化(1-2年)や無菌操作の煩雑さ がある。 本論文は安価に入手できる天然資源を有効利用した新規生体触媒の開発を目 的としている。論文は3段階に分かjlており、第一段階では穀類・豆類・卵類 に含まれるタンパク質(酵素群)の分離法を検討し、第二段階で包括固定化処 理法を、第三段階として各種基質変換反応を詳細に検討している。 その結果、穀類・豆類・卵類の機能性タンパク質(酵素群)が光学活性アル コール合成の際の新規生体触媒として十分利用できることを実証するとともに、 食品が本来持っている一次機能(栄養機能)、二次機能(噂好機能)、三次機能 (生体調節機能)に加えて、四次機能として触媒機能の存在を明確にした。こ れらの貴重な知見はファインケミカル分野の医薬品、農薬、香料、液晶材料な どの合成材料の製造にも天然植物資源が有効に利用できる道を開いた。 以上について、審査委員全員一致で本論文が岐阜大学大学院連合農学研究科 の学位論文として十分価値あるものと認めた。 学位論文の基礎となる学術論文: 1.Nagaoka,H・,andKayahara,H.,Resolutionandsynthesisof(s)-1- (2・naPhthyl)ethanolwithimmobi上zedpeaprotein:asanewbio-catalyst.Biosci.Bioteclm01∴Bioche皿.63,1991-1992(1999). 2.Nagaoka,H.,andKayahara,H.,Resolutionandsynthesisofop七icany a.ctivealcohoIswith血皿Obili2:edwater・SOlubleproteinsfr0皿greenpea,
SOy.bean,and buckwheat as new■Catalysts.Biosci.Bioteclm01・
Bioche皿.64,(2000),inpress.