保育所や学校への巡回相談による高機能自閉症
スペクトラム児に対する教師支援モデルの構築
松 村
齋・黒 田 吉 孝
Construction of the Teacher Support Model to Children with
Autistic Spectrum Disabilities in Preschool and
Elementary School by Itinerant Education Consultation
Hitoshi MATUMURA and Yoshitaka KURODA
Ⅰ.問 題 2007 年以降、幼稚園、小学校、中学校、高 等学校、中等教育学校及び特別支援学校に、障 害のある全ての幼児児童生徒の教育の一層の充 実を図るため、特別支援教育が完全実施される ようになった。文部科学省 (2007) は、「特別 支援教育の推進について (通知)」において、 特別支援教育を行うための体制の整備及び必要 な取り組みにおいて、関係機関との連携を図っ た「個別の教育支援計画」の策定と活用をする とし、さらに、教育委員会等における支援にお いては、障害の有無の判断や望ましい教育的対 応について専門的な意見等を各学校に提示する、 教育委員会の職員、教員、心理学の専門家、医 師等から構成される「専門家チーム」の設置や、 各学校を巡回して教員等に指導内容や方法に関 する指導や助言を行う巡回相談の実施 (障害の ある幼児児童生徒について個別の指導計画及び 個別の教育支援計画に関する助言を含む) につ いても、可能な限り行うこととし、関係機関と の連携を強調している。滋賀県内においても、 各市町単位で巡回相談を積極的に取り入れ、巡 回相談員を学校園へ派遣することにより、その 取り組みに対する成果と課題が報告され始めて いる。また、巡回相談の在り方も、従来の指 導・助言型から、同僚性をもった共同・参画型 へと変化してきている。巡回相談が機能し、担 任と相談員の関係性が維持・強化され、支援効 果が徐々に目に見えて実感できるようになって きていると言える。 しかしながら、特別支援教育をになう教育実 践現場では、現在においても、多くの課題を抱 えている。例えば、廣瀬・東條・寺山 (2001) は、通常学級で自閉症スペクトラム障害児を指 導している担任教師に調査をおこない、個別指 導を可能とする校内の支援体制の確立や学習指 導の方法、さらには問題行動への対応等の、教 師支援が必要と考えている担任が多いことを述 べ、巡回相談の必要性を強く指摘している。別 府 (2004) も、同様に、通常学級において、最 近とくに、学習障害、注意欠陥多動性障害、高 機能自閉症等の「軽度」発達障害児の学習困難 や行動上の問題により、多くの教師が困難性を 感じていると述べ、学校と専門機関の連携によ る取り組みが重要になっていると指摘している。 実際、巡回相談担当として学校を訪れると、 「障害のレッテル貼りには協力できない」、「現 代も過去も、そのような子どもたちは存在し た」、「通級による指導は、本児を苦しませる上 に、みんなと学べない。特殊教育への逆戻りで
はないか」、「短時間、子どもを見て何が言える のか」という不信をもつ学校関係者も依然存在 している。このような不信は、巡回相談への否 定的な感情を生む要因となり、対象児の教育的 要求を摘んでしまい、対象児への理解や環境整 備を大きく後退させることとなる。このような 結果、思春期や青年期の社会生活に負の影響を 与えることとなることが考えられる。 学校等への巡回相談に対しては、今日、いく つかの問題点が指摘されている。ここでは、わ れわれの体験を踏まえながら、以下の 4 点をあ げてみる。 ① 巡回相談ないし巡回指導という名称を用い ながら、その内容を規定する基準がないために、 実際には、かなり異なる活動を同一名称で呼ん でいる。それぞれの巡回相談がそのような原則 と特徴を重視し、どのような方法で相談を行っ ているのか、その共通点や差異を明確にした上 で、相談のあり方が検討されるべきである。 ② さまざまな報告による成果と課題は、あく まで相談員の主観的な判断に留まるものである。 巡回相談はいくつかの要素や過程から成り立っ ているが、その過程がどのようなメカニズムで 効果を生んだのかについて十分に考察されてい ない。 ③ 巡回相談を実施しても、相談員の専門性や コンサルテーション能力などにも違いが大きく、 その結果、受け手である学校がそれぞれの相談 員の判断により左右されてしまう。 ④ 巡回相談員側に、実務的な手順とコンサル テーション過程が明確になっておらず、担任を 支援する際に用いる支援モデルも皆無に等しい。 巡回相談を学校現場に定着させるために、こ れまで費用対効果を含め教育現場が求めている ニーズに合致していること、巡回相談員の専門 性を発揮できる態勢を作ること等が指摘されて いる。われわれは、このような条件の他に、巡 回相談員として教育支援をより客観的に可能に する、標準化された支援モデルの構築が必要で あると考える。 本研究では、巡回相談をめぐる上述の状況を 踏まえ、教師支援のための巡回相談の標準的な 支援モデルを検討したい。われわれが参考にし たモデルは、図 1 の浜谷 (2006) のモデルであ る。このモデルでは、アセスメントと助言を基 盤にした、第 1 次支援から第 3 次支援に至る、 支援の進展を構想している。3 つのそれぞれの 支援レベルの内容は図 1 に記されてあるが、8 つのカテゴリーで構成されている。このモデル の課題として、基盤となるアセスメントや助言 の内容がまだ具体的でないこと、3 つの支援レ ベルは継時的に進展するとは限らず、同時的に 図 1 巡回相談による教育支援モデル (浜谷、2006)
遂行されることも多いこと等をあげることがで きる。また、モデルの妥当性を検証するための 手続きに関しても、その方法等、検討される必 要があると考える。そこで、本研究では、巡回 相談における教師支援を有効にするために、① 浜谷モデルを実際に活用するためのツール、例 えば、アセスメント等の内容等を具体化するこ と ② これらのツールを活用しつつ巡回相談 モデルの妥当性を検証する方法を検討すること ③ これらの検討を踏まえ、浜谷モデルの妥当 性と問題点を考察し、より有効な巡回相談モデ ルの構築をめざすことを目的とする。なお、本 研究では巡回相談において最も相談の多い自閉 症スペクトラム児を対象に巡回相談モデルの構 築について検討をおこなってみる。 Ⅱ.方 法 2006 年度より、個別の支援が必要な園児児 童生徒に対して、各学校園を巡回し教員等に指 導内容や方法に関する指導や助言を行う巡回相 談を開始した。その際、浜谷 (2006) の巡回相 談による教育実践モデル (図 1 参照) を参考に し、アセスメント、カンファレンス等を通し、 教師支援モデルの検討をおこなった。浜谷モデ ルの特徴は、支援内容を 3 段階に区別し、時系 列的にとらえている所である。すなわち、担任 はカンファレンスにより障害などの理解を得て、 それまでの教育実践を評価し、新たな教育実践 方針を作成する。これらは、最初に受ける支援 で第 1 次支援と呼ばれる。この第 1 次支援は、 教職員の協力関係、保護者との協力関係、外部 の専門機関との連携を円滑にして強化する。こ れは第 2 次支援と呼ばれている。その結果、担 任は心理的に安定すると共に意欲的に教育実践 に取り組むことができるようになる。これは第 3 次支援と呼ばれている。 本研究では、表 1 の児童へのアセスメント表 と表 2 の教師による巡回相談への評価表を作成 した。表 1 は教師との協議をふまえて作成し、 確認しあった。表 2 の教師の巡回相談に対する 評価は、浜谷モデルの 1 次支援から 3 次支援に ある「障害などの理解」から「教育実践意欲」 の 8 つのカテゴリー (表 2 の①〜⑧と対応す る) に対しておこなわれた。 巡回相談対象は Y 市の市立 A 保育所の 3 歳、 4 歳、5 歳児担当保育士、市立 B 小学校の 1 年 生担当教師、市立 C 小学校の 2 年生の担当教 師であった。支援期間・回数は、A 保育園は 4 月、5 月、7 月の 3 回、B 小学校は 5 月、6 月、 6 月、7 月の 4 回、C 小学校は 5 月、5 月、6 月、 6 月、7 月の 5 回であった。 Ⅲ.結 果 1.3 歳児担当保育士と小学校 1 年担当教師に よる巡回相談への教育支援の評価 本論では、紙数の関係により、今回のモデル による巡回相談の教育支援の有効性について、 3 歳児と小学校 1 年の担当者の評価に基づいて 検討してみる。3 歳の高機能自閉症スペクトラ ム児の場合、社会的経験が未熟であることから、 対人関係や集団行動のルールが学習されておら ず、そのために多動であったり、情緒の不安定 さが生じやすくなったりする。また、3 歳の健 常児も他児を受け入れる精神的な余裕がないこ とから、この時期の高機能自閉症スペクトラム 児への保育に多くの困難が推測される。小学校 1 年生では、環境の変化、学習・生活スタイル の変化等に多くの高機能自閉症スペクトラム児 は困難性を感じると考えられる。3 歳児と小学 校 1 年に対する、表 2 の巡回相談への教育支援 と関連しての保育士・教師の継続的な評価、す なわち、浜谷モデルの 8 つのカテゴリーへの評 価結果は、表 3、表 4 の通りであった。 巡回相談員とのカンファレンスを通しての保 育士 (以下、保育者) への支援結果を以下のよ うに整理することができる。 ① 障害の特性も踏まえてアセスメントをして いき、巡回相談の中でもそうした視点で具体的 に対象児をどう見るかという話ができた結果、 保育者の子どもを見る内側に「障害特性」と 「発達」に応じた視点が生まれ、取り組みが変 わり、対象児の姿に変化が見えてきており、保 育者もそのことを肯定的にとらえている。 ② 巡回相談により、対象児の姿を障害特性か らどう見たらいいのかを保育者が学んだことに より、その行動の意味を知り、そこから対象児
の見方が変わっていった (例:つま先歩きは不 安の表れである→つまさき歩きが出る、という ことは不安だということだから、何がそうさせ ているのかを分析し、改善していこうという保 育者の姿になっている)。 ③ 記述の中に、「今のままでいい」という表 現は、巡回相談中の対象児によっては、その障 害特性と発達の関連から、中長期的な視点に たって見守っていく必要があると説明した場面 であるが、保育者の立場に立てば、今が対象児 にとって、支援のどのあたりに位置するか皆目 検討のつかない中で保育しており、その見えな ささが、「焦り」「怒り」「不安」等にダイレク トに直結し、結果、対象児を追い回す結果とな る。また、今のままでよいという安心感が得ら れた保育者は自信を取り戻し、対象児の行動を より深く観察し、これまでは見過ごしていた言 動にも非常に敏感に反応するようになる。 ④ 記述の中に、「焦らなくてもいい」という 表現は、対象児を頭ではわかっていても、つい 家庭 (その他) での様子 目が泳ぐ 本児 が話をしていることがわからない 人見知 りが強い 家庭および関係機関からの情報 ④知能検査等の情報 この日はしっかり検査に向かえなかった。 母の後ろに隠れ、母の手を持って指さしで 答えるという回答で正しい評価が難しい。 アセスメント 今後の対策 (見通し) アセスメント項目 表 1 相談事例のアセスメント表 (巡回相談員用) ①会話・コミュニケーションができない。 「今日はプール○?」何回も同じことを分か りやすく聞いてみるが、顔を見ようとしな い。困った様子で「入れる?」オウム返し。 自分からは「A ちゃん、これ作ったよ、見 てみて!」「プール入れない」「今日は○日」 と言う。 ①対象児の具体的な行 動特徴の正確な理解 (どのあたりで指導の 困難を感じていたか) 嫌と言えることを育てることは大事である。 ②給食時、舌で感触を確かめてから口に入 れる。食べさせられると嫌そうな顔をしな がらも食べられる。(飲み込める?) どうし ても嫌なものは顔をそむける。「食べる?」 「嫌?」と聞くと明確ではないが、拒否する こともできるが…。 ・文字、アルファベットについては否定せ ず、そこから興味の幅を広げていく。 ・本児から求めてきたかかわりは大事に受 け止めるとともに、様子を見ながら保育 者からも積極的に関わっていく。関係を 深める。 (発達) ・基本的な生活習慣はほぼ身についている。 ・文字、アルファベット、数字は読める。 ・友達や保育者のまねができる。 ・言葉は豊富に出る。(独り言) ・友達、保育者。ひととのかかわりを求める。 ②発達と障害特性につ いての情報 ・笑顔の裏の気持ちを受け止めてやるよう にする。笑顔に安心しない。 ・視線は合わせられないので無理強いはし ない。 (障害特性) ・視線が合わない ・会話はできない ・つま先歩き ・不器用 ・友達の表情がわからない ・食べ物の感触を舌で確かめる ・いつも笑顔 対象児童の障害と学年 広汎性発達障害傾 向 (未診断) 3 歳児 (男児) ③行動観察 ・友達に自分から積極的に関わろうとする ことは大事。うまくつながらない場合は 保育者が仲立ちに入る。 ・熱は精神的なものが身体症状として出て いる可能性もある。保護者との十分な連 携と本児の観察を十分すること。笑顔に 惑わされない。 学級での様子 周りの子の様子を見ながら 行動する。毎日のルーチンの生活はできる。 (登降園の準備、リズム、給食、昼寝等) つ ま先歩きは顕著。友達と一緒に言葉を発し ながら満面の笑顔で遊ぶ (会話はできない) 友達に関わりを求めにいく (相手の表情は よめない) 熱があっても (39 度台) 元気 7 月頃から園で微熱 (家では下る?) 本児から発する言葉を十分受け止めていく。 本児への話しかけはシンプルにわかりやす く。
⑤担任 (担当) や園と保護者の協 力連携を実感できるようになりま したか? A・・・・・○B・・・・・C (得られた) (ある程度) (得られていない) 本児は、保健センターで発達相談を受けていたが、保護者が引継ぎ を拒否している。しかし、本児のために必要であるとの観点から、 保育園への引継ぎをした、という状況にある。今後も必要に応じて 連携していきたい。 ⑥園外の専門機関との連携 (担 任・園と通級指導教室・医療機関 などとの関係など) を実感できる ようになりましたか? A・・・・・○B・・・・・C (得られた) (ある程度) (得られていない) M 先生に保育を見ていただき、認めていただいたということはと ても自身になった。今後もいろいろご指導いただけるという見通し がもてたことは、安心感につながった。あせる必要はないというこ とで、ゆとりを持って保育に当たれる。そのことにより、本児や保 護者へのかかわりがゆったりとしたものになり、結果本児はスムー ズに登園できるようになり、毎日の繰り返しである生活場面では、 不安ながらも周りを見ながら一人でできるようになってきた。 ⑦ 担 任 (担 当) が「心 理 的 に 安 定」を実感できるようになりまし たか? A・・・・・○B・・・・・C (得られた) (ある程度) (得られていない) 本児の不安そうな様子がとても気になっていたので、その要因がわ かり、本児が少しでもわかりやすい環境づくりや、支援をしていき たいと思った。当初、気になるところ、できないところばかりを見 てしまっていたが、プラス面を見ていくと保育者にも余裕が生ま れ、それが本児にも影響しそのことで担任や周りの子どもたちにも 少しずつ目が向けらるようになってきたように思う。 ⑧担任 (担当) が意欲をもって保 育に向けるように実感できるよう になりましたか? A・・・・・○B・・・・・C (得られた) (ある程度) (得られていない) その後、どのような効果がありましたか?(自由記述) (今後、必要とされることがあれば…)その他 評価項目 (巡回相談・研修会等で…) 表 2 教師による巡回相談への評価表 (一例) まずは、本児との信頼関 係を築いていきたい。 本児が始めての集団生活 の中で、どのように感じ どのように見ているの か、可能な限り理解して いけたらと思う。 とても不安な様子で、爪 先立ちで、活動している ので、本児の不安が少し でも緩和できるように、 職員全員が協力していき たい。 登園時に泣くということは、本児は不安な思いを表現しているので あるから、無理に泣き止まそうとするのではなく、本児に可能な限 り安心感を満たせるようにする必要がある。泣いているときは、本 児が拒否しない限り担任やフリーができるだけ抱っこをしたり、手 をつないだりするようにしたら、なく時間が短くなり、次第に泣か ずに登園できるようになった。入園当初は始終つま先歩きで、保育 士が触れると緊張して体が硬くなっていた。つま先で歩いているの は、本児の不安な気持ちを表しているということを教えていただ き、表情から本児の気持ちを察することは難しいので、つま先歩き という本児の表現方法をプラスに捉えて、私たちの支援の手がかり にしていくことが分かった。担任だけでなく、フリーの保育士が手 をつないでも、安心した様子 (かかとがついた状態) が見受けられ る。毎日の生活場面、朝や帰りの身支度は不安そうながら (つま先 できょろきょろしながら) 一人でできるようになった。 ①担任 (担当) が障害・発達・保 育などに関する専門的な観点から 知識を得ることができましたか? ○A・・・・・B・・・・・C (得られた) (ある程度) (得られていない) 入園当初から、他児の様子と比べながら、早く集団の中になじませ なければ…という焦りがあったが、そうではなく、本児のもってい る個性 (特徴) を理解しながら、ゆったりと本児にあった関わりを 大事にしていきたいと思った。非常に不器用でファスナーや給食袋 の開閉等に時間がかかり戸惑っていたが、保護者に開閉しやすい キィホルダーをつけてもらったりして本児にできるという自信を持 たせるようにすると、ゆっくりでもできるようになってきて、見 守っている保育士の方を見るので、笑顔でうなずいたり、できたね と認める言葉をかけると笑う。 給食では無理にお箸を持たそうとせず、スプーンとフォークを使う ようにすると、食べることの抵抗が少しは軽減され、自分で口に食 べ物を運ぶようになった。食べ方は、舌で感覚を確かめてかなり無 理をして食べているように思う ②担任 (担当) がそれまでの指導 を振り返り、評価することができ ましたか? A・・○・・・B・・・・・C (得られた) (ある程度) (得られていない) 保育園の一日プログラムの中で、いつも子どもを時間や活動に乗せ ようとするのではなく、ポイントを抑えていく必要がある。はじめ は全園児の合同リズムのさくらんぼ会は担任と手をつないでその場 所には行っても、震えていたり、上体が緊張して反っていたりして いたが、職員みんなが、本児にあえて注目せず、毎日同じ時間に繰 り返しを大切にしながら進めていった。そのうち、一人でもさくら んぼ会には参加でき、二人組みや 3 人組でのリズムは嫌がらず、手 をつないだり、友達の体に触れたりできるようになった。 ③対象児の保育指導や休み時間・ 放課後など、支援全般について見 通しがもてましたか? A・・○・・・B・・・・・C (得られた) (ある程度) (得られていない) 担任と、特別支援加配の複数なので活動によっては協力ができる。 また、園内で共通理解したことから、園長、主任、フリー保育士が 本児の特徴をある程度理解したので、協力をしてもらえる。さくら んぼ会は同じリズム体操を繰り返すなどして、安心感をもたせるよ うにし、ペアーなどを作るときには、安心感がもてるしっかりした 年長児とするようにしたら、手をつないだり、肩を叩き合ったりが できるようになった。 ④園の職員間の協力連携 (担任と 他の教職員との関係など) を実感 できるようになりましたか? A・・・・・○B・・・・・C (得られた) (ある程度) (得られていない) まだまだ保護者とは話ができていない。保健センターからの引継ぎ も拒否の状態である。保護者にはできないことよりも、できること を中心に伝えていき、信頼関係を構築している最中である。朝の登 園も母親も不安そうな様子。降園の保育園から何か言われるのでは と構えている様子が伺える。本児も朝は不安そうで、つま先でそわ そわしていた。あわてないでゆっくり良いところを伝えるというこ とからスタートして関係を作っていくことが大事だということで、 実践していくと母親の表情も徐々に落ち着き、相対的に本児もス ムーズに登園できるようになってきた。
表 3 Y 市 A 保育所 3 歳児担当保育士の巡回相談への第 1 回から 4 回までの継続評価 ①担任 (担当) が障害・発達・保育などに関する専門的な観点から知識を得ることができましたか?その後、ど のような効果がありましたか? 第一回 ○登園時に泣くということは、本児は不安な思いを表現しているのであるから、無理に泣き止まそうと するのではなく、本児に可能な限り安心感を満たせるようにする必要がある。 →泣いているときは、本児が拒否しない限り担任やフリーができるだけ抱っこをしたり、手をつないだ りするようにしたら、なく時間が短くなり、次第に泣かずに登園できるようになった。 ○入園当初は始終つま先歩きで、保育士が触れると緊張して体が硬くなっていた。つま先で歩いている のは、本児の不安な気持ちを表しているということを教えていただき、表情から本児の気持を察するこ とは難しいので、つま先歩きという本児の表現方法をプラスに捉えて、私たちの支援の手がかりにして いくことが分かった。 →毎日の生活場面、朝や帰りの身支度は不安そうながら (つま先できょろきょろしながら) 一人ででき るようになった。 第二回 ○視線が合いにくい、話し方がおうむ返し、体操やリズムを一緒にしないのは、混乱の中にいるのでは? →本児にとってはできない、わからないという混乱の中にいるということを理解しながら、笑顔で、う なずきながら、できるだけゆったりとかかわるようにする。本児は周りの友だちの様子を見ながら、行 動できるようになってきた。 →本児は周りの友だちの様子を見ながら、行動できるようになってきた。日々の繰り返しの登降園、給 食、お昼寝の準備や片づけ等はかかとをつけて歩く姿も見られる。 ○毎日同じ時間に、はじめと終わりを明確にするようにし分かりやすくする。 →「さくらんぼ会」では毎日同じ時間に、はじめと終わりを明確にするようにし分かりやすくする。 第三回 ○本児のしんどい状況を捉えなおすこと。 →一見笑顔で、友だちの中にまぎれて遊んでいるように思っていたが、本児の笑顔を満足している、嬉 しんだとそのまま受け取っていいものではない。 →笑顔を、相手と交わす術として身につけている。という先生の助言は改めて本児のしんどい状況を捉 えなおすことができた。 →絶えず、笑顔の裏を読んでいくことが大事。笑顔を安心材料にせず慎重にゆったりと関わることを再 確認する。 →夏祭りでは、大勢の人の中で友だちと一緒に「やさい音頭」を踊り、グループの友だちと一緒にリズ ムダンスを披露できた。 第四回 ○コミュニケーションをとるのは難しい本児なりのいい人間関係を構築していくこと。 →本児の特徴がありコミュニケーションをとるのは難しいが、基本は本児なりの人間関係をいい人間関 係を構築していくこと、ということで、保育士と本児との関係を作れるように努力してきた。 →友だちと塗り絵遊びをする。今まで逐一まねをしていた I 児のそばで色を塗るが、自分の好きな青で 塗る。「先生できた!見て!」「青色きれいにぬれたね。飾っておこうね」と壁に貼る。I 児は 1 枚を非常 に丁寧に塗るが、本児は 3 枚目を塗り終えて次の紙を取ろうとする。I 児が「何枚もあかん」というが本 児は前にいた別の K 児が「いいで」といってくれたことを期に「いいで!」と言い返す。相手は本気だ が、向きになるというより言い合いを楽しんでいる様子。少しずつ本児なりの友だちへの関わり方がで きるようになってきた。 →片付けとときに、おはじきを友だちの頭の上にわざと乗せたりして、自らかかわりに行こうとする。 乗せられた友だちは「やめてよ!」と嫌がっているが、本児はそのことが楽しそうである。 ②担任 (担当) がそれまでの指導を振り返り、評価することができましたか?その後、どのような効果がありま したか? 第一回 ○入園当初から、他児の様子と比べながら、早く集団の中になじませなければ・・・という焦りがあった が、そうではなく、本児のもっている個性 (特徴) を理解しながら、ゆったりと本児にあった関わりを 大事にしていきたいと思った。 →非常に不器用でファスナーや給食袋の開閉等に時間がかかり戸惑っていたが、保護者に開閉しやすい キィホルダーをつけてもらったりして本児にできるという自信を持たせるようにすると、ゆっくりでも できるようになってきて、見守っている保育士の方を見るので、笑顔でうなずいたり、できたねと認め る言葉をかけると笑う。 →給食では無理にお箸を持たそうとせず、スプーンとフォークを使うようにすると、食べることの抵抗 が少しは軽減され、自分で口に食べ物を運ぶようになった。 第二回 ○感覚の過敏ということ、また本児特有の「〜しなくてはならない」をよく理解し、本児の様子をよく 見ながら無理強いしない。 →給食でものを食べるときに必ず、舌を出して食べ物を確認する様子が見られた。食べさせなくてはな らない、と思っていたところもあったが、感覚の過敏ということ、また本児特有の「〜しなくてはなら ない」という真面目さをよく理解し、本児の様子をよく見ながら無理強いしないようにした。 → 5 月おうちごっこをしたときは、まったく入れず、すみで固まってしまっていた。無理に入れる必要 もないので、端に本児の好きな積み木コーナーを作っておくと、そこで安定して遊ぶ。数日たつと、他
児の様子を見ながらおうちごっこをまねていた。 ○「嫌?」と確認するが、反応は定かでない。嫌なら残していいよ。 →食べられない様子の口の動きで、「嫌?」と確認するが、反応は定かでない。嫌なら残していいよ、と いうと嫌な顔をするようになったので、お皿の食べ物を取り除いてやると最後まで食べるようになる。 第三回 ○本質を見ていく。 →生活場面や保育場面でも、友だちと一緒に真似をしながら動く本児の姿に一定安心し満足していたと ころがあったが、本児の笑顔の本質の捉え方や、友だちとのかかわりの様子の本質を見ていくと、まだ まだ本児はたくさんの不安を抱えていることがわかり、そのことに安心せず、本質を捉えた支援をする 必要があると思った。 →行事でしかも非常にたくさんの人の中で、混乱することが予想されたので、前もって繰り返しこの日 の内容を伝えたり、リハーサルを行ったりした。このことは、本児に特別に・・・ということではなく、ク ラスの子どもたちすべてに伝えていくようにした。その結果とてもスムーズに入ることができ、友だち と一緒に大勢の人の前でリズムダンスも披露できた。 第四回 →「先生見て見て!」とテラスにくくりつけてある緑のタフロープを指差す。「何があるの?」と聞いて も分からないが、緑のタフロープがきらきらと風で揺れている。 →ままごとが大好きで友だちと一緒に「雨が降ってきた!」「ピクニックのお弁当を片付けて帰ろう」 「雨だ雨だ」といいながら弁当を片付けたり、大変大変と走り回っている。 →ままごとの片付けのときに、I 児がとろうとしていた片付け用の容器を横取りしようとする。I 児は本 気で嫌な顔をして取ろうとするが、本児はとても嬉しそうに「ぼくがする!」とわらいながら取り合い を楽しむ。 → 3、4 歳児合同のリトミックははじめてのことにもかかわらず、先生や友だちを真似て一生懸命やろう とする。 ③対象児の保育指導や休み時間・放課後など、支援全般について見通しがもてましたか?その後、どのような効 果がありましたか? 第一回 ○保育園の一日のプログラムの中で、いつも子どもを時間や活動に乗せようとするのではなく、ポイン トを抑えていく必要がある。 →はじめは全園児の合同リズムのさくらんぼ会は担任と手をつないでその場所には行っても、震えてい たり、上体が緊張して反っていたりしていたが、職員みんなが、本児にあえて注目せず、毎日同じ時間 に繰り返しを大切にしながら進めていった。そのうち、一人でもさくらんぼ会には参加でき、二人組や 3 人組でのリズムは嫌がらず、手をつないだり、友だちの体に触れたりできるようになった。 第二回 →記述なし 第三回 →夏祭りでは、大勢の人と一緒に、「やさい音頭」を踊ったり、リズムダンスを披露したりできた。 第四回 ○不安をすこしでも解消できる方法や支援。 →登園後の持ち物の始末、給食、昼寝などは先生の指示に従って今までの経験からしっかり出来るよう になってきた。 →友だちとのかかわりを楽しむことができるようになってきた。 →初めて取り組むリトミックにも、体を動かし先生や友だちの真似をするようになった。 ④園の職員間の協力連携 (担任と他の教職員との関係など) を実感できるようになりましたか?その後、どのよ うな効果がありましたか? (自由記述) 第一回 ○担任と、特別支援加配の複数なので活動によっては協力ができる。また、園内で共通理解したこと。 →園長、主任、フリー保育士が本児の特徴をある程度理解したので、協力をしてもらえる。 →さくらんぼ会は同じリズム体操を繰り返すなどして、安心感をもたせるようにし、ペアーなどを作る ときには、安心感がもてるしっかりした年長児とするようにしたら、手をつないだり、肩を叩き合った りができるようになった。 第二回 ○保育者間の情報交換 →保育園の性質上、担任だけでなく数名の保育士が必ずかかわる事になるので、情報の交換を行うこと が増えた。 →登園が比較的早いので、ブロックで何か作ると持ち歩き「見て!見て!」と通りかかった保育士に見 せたり、登園してきた同じクラスの友だちやそのお母さんに見せたりするようになった。 →「何作ったの?」と聞かれても応えられない。しかしとてもうれしそうに繰り返し、いろいろな人に アピールするようになる。 ○終わりを明確にする。 →「さくらんぼ会」では毎日同じ時間に、マイクを持つ保育士は「○○」と「××」と「△△」の 3 曲 をやりますと終わりを明確にするようにした。 → 5 月末 (28 日) に初めて友だちと一緒にリズム体操を自分からやる姿がみられた。 第三回 ○逐次不安な時には簡単な言葉がけ。 →複数担任 (もう一人は本児以外の特別支援加配) なので、逐次不安な時には簡単な声賭けをしてもら
う。本児の不安は多少和らぎ、友だちへの関心が高くなった。 →不特定多数の友だちだったが、特定好きな友だちができ、いつもそばに行きたがるようになった。夏 祭りもその友だちのそばにいて、保護者から離れることができたのではないか。 第四回 →記述なし ⑤担任 (担当) や園 と 保護者の協力連携を実感できるようになりましたか?その後、どのような効果がありま したか? 第一回 ○あわてないでゆっくり良いところを伝えるということからスタートして関係を作っていくことが大事。 →まだまだ保護者とは話ができていない。保健センターからの引継ぎも拒否の状態である。保護者には できないことよりも、できることを中心に伝えていき、信頼関係を構築している最中である。朝の登園 も母親も不安そうな様子。降園の保育園から何か言われるのではと構えている様子が伺える。 →本児も朝は不安そうで、つま先でそわそわしていた。 →実践していくと母親の表情も徐々に落ち着き、相対的に本児もスムーズに登園できるようになってき た。 →母親の妊娠がわかり、体調や精神的に安定している状態をみながら、日々の保育の中での様子を話そ うと考えているが、なかなかタイミングがつかめず、話す機会がとれない。※降園時、長時間保育以外、 一斉に迎えに来るため。 第二回 ○がんばっているところ、できるようになったことを中心に伝える。 →保護者には、本児ががんばっているところ、できるようになったことを中心に伝えるようにし、関係 作りを中心にしている。 ○園長、主任等もかかわりを持つ。 →毎日降園時に園庭で 30 分ほど遊んで帰るので、その時間には園長、主任等も特別扱いにならないよう に配慮しながらかかわりを持つようにした。 →保護者が複数の先生に見てもらっているという安心感から、本児の登園はスムーズになり、仕事の関 係でいつもより早く登園する日もスムーズに入れる。 第三回 ○保護者自身が本児を理解しようとしたこと →ようやく、本児の話が本格的にできるようになった。本児から、個別の連絡ノートを作りたいと申し 出があり、毎日、保護者と園が連絡するようになった。「保育園でどんなことして遊んだの?」という本 児の問いかけに答えられないので、毎日あったことを教えてほしいという。 →保護者自身が本児を理解しようとしたことで、夏祭りのたくさんの人の中へも混乱せずに参加でき、 後半は保護者から離れて「音頭」と踊り、リズムダンスの披露ができた。 第四回 ○本児の心理的なものが体調に表れている →園で 7 度台の発熱が続き、家に帰ると治るということが、プールが始まって以来繰り返されるので、 保護者は少し不信気味? →本児の心理的なものが体調に表れているのではないかと職員間で話をする。 →家庭との連絡ノートができたことで、本児との会話も増えてくる。そういったことで、安心感ができ、 友だち同士でのかかわりが、楽しめるようになってきた。 ⑥園外の専門機関との連携 (担任・園と通級指導教室・医療機関などとの関係など) を実感できるようになりま したか?その後、どのような効果がありましたか? 第一回 →本児は、保健センターで発達相談を受けていたが、保護者が引継ぎを拒否している。しかし、本児の ために必要であるとの観点から、保育園への引継ぎをした、という状況にある。今後も必要に応じて連 携していきたい。 第二回 →本児の発達相談が 6 月だということで、それまでに保護者の理解が得られるようにと、保健センター の保健師さんと連絡を取り合い、話をするタイミングを模索中。 第三回 ○本児の成長した部分と特徴的で気になっている部分。 →本児の保健センターの 7 月の発達相談前に保護者と保育園がつながっていけるように、保健センター の保健師と連携を図っていた。 (4 月より計画的に保護者とはコンタクトをとっていた) 保育園の半日 体験保育士 (保護者が半日保育士として保育に参加、給食まで共に過ごしその後懇談) 時に個別で懇談 した。 →本児の様子が分かりやすい保育を設定し、本児の成長した部分と特徴的で気になっている部分を話し、 保育の手だてがほしいので、専門的なアドバイスを園として求めたい旨伝えると、保健センターの発達 検査につながり、保護者とも連携がもてるようになった。その結果が本児の園生活全般の安定感につな がっている。 第四回 →記述なし ⑦担任 (担当) が「心理的に安定」を実感できるようになりましたか?その後、どのような効果がありました か? 第一回 ○あせる必要はないということ。
→巡回相談員に保育を見ていただき、認めていただいということはとても自信になった。今後もいろい ろご指導いただけるという見通しがもてたことは、安心感につながった。 →ゆとりを持って保育に当たれる。そのことにより、本児や保護者へのかかわりがゆったりとしたもの になり、結果本児はスムーズに登園できるようになり、毎日の繰り返しである生活場面では、不安なが らも周りを見ながら一人でできるようになってきた。 第二回 ○否定的に捉えるのではなく、肯定的に捉える。 →本児の持っている特長を否定的に捉えるのではなく、肯定的に捉えることで、本児へのかかわりにゆ とりが持てるようになった。 ○「このように育てなくてはならない」と思わず、本児の特徴を大事にしながら徐々に担任との関係を 作り…。 →担任との関係を作り、そこを拠点にしながら友だちとの関係もつくれていけると良いという余裕が持 てた。関係はまだ持てているとはいえないが、数人の友だちと一緒にブロックをしたり積み木をしたり、 戸外で追いかけっこを笑顔でしている姿が見られる。 第三回 →気に入った特定の友だちができ、その友だちの真似をすることが多い。 →みんなで集まるときはいつも特定の友だちのそばにすわり手をつないだり体に触れ合ったりしている。 →給食の後はその子を含んだ複数の友だちとおうちごっこを楽しめるようになった。「ピクニックに行き ましょう」「お弁当見て!」等一見コミュニケーションを友だちと取っているように見えるが、よく見る と、日々の経験からの模倣をしている。友だちと触れ合うことは好きで、自分からもとめて友だちの中 に入っていくようになった。 第四回 ○イメージを共有しているように見えるだけ? (心理的に安定しているからこそ、みえる?) →おうちごっこの中で、イメージを共有しているように (見えるだけ?) 友だちと一緒に「雨が降って きた!」「ピクニックのお弁当を片付けて帰ろう」「雨だ雨だ」といいながら弁当を片付けたり、大変大 変ととても楽しそうに走り回ったりしている。 →ままごとの片付けのときに、I 児がとろうとしていた片付け用の容器を横取りしようとする。I 児は本 気で嫌な顔をして取ろうとするが、本児はとても嬉しそうに「ぼくがする!」とわらいながら取り合い を楽しむ。相手の表情は全く見ていず、ただ友だちとのけんかごっこをしている様子。 ⑧担任 (担当) が意欲をもって保育に向けるよう実感できるようになりましたか?その後、どのような効果があ りましたか? 第一回 ○本児の不安そうな様子の要因がわかり… →本児が少しでもわかりやすい環境づくりや、支援をしていきたいと思った。 →当初、気になるところ、できないところばかりを見てしまっていたが、プラス面を見ていくと保育者 にも余裕が生まれ、それが本児にも影響しそのことで担任や周りの子どもたちにも少しずつ目が向けら れるようになってきたように思う。 第二回 ○聞くと不思議と意欲が出てくる。 →巡回相談員の話を聞くと不思議と意欲が出てくる。先生のお話をきっかけにいろいろな本を読んだり、 研修を深めたりして本児の行動の特徴をつかみ理解し支援したいと思う。 ○担任が笑顔で本児を見つめていくこと。 →本児に安心感を持たせ、そのことで本児の気持ちが徐々に友だちにむかい、一緒にリズムをしたり、 積み木遊びやブロック遊び、戸外でのおいかけっこ等笑顔で楽しそうに走り回れるようになったのでは ないか?と思う。 第三回 ○たえず、本児の動きを見ながら負担になり過ぎないようにしていく。 →集団からの逸脱は無く、担任の支持で友だちの動きを見て行動するパターンである。しかしまだまだ 不安に感じている様子はつま先歩き等でも見られる。たえず、本児の動きを見ながら負担になり過ぎな いようにしていくようにしている。 →本児が特に気に入っている友だちができた。その子を中心に 3、4 人で遊ぶことが多い。そのときは動 きも活発で声が非常に良く出ている。夏祭りでも、落ち着いて参加することができた。 第四回 → 3、4 歳児合同のリトミック。初めてのことでも友だちや先生の様子を見ながら模倣してやろうとす る。 その他 (今後、必要とされることがあれば) 第一回 ○一部の職員だけでなく、全体で共通理解する必要性を感じる。入園して 1 か月経過しているので、園 の様子、本児の困っている姿を提起して、母親の考えをきいていく。 第二回 〜 第四回 →記述なし
つい集団と比較してしまい、ぽつんといる対象 児に、ジャンケンや集団に入ることを執拗にせ まりすぎ、他の教職員の評価を気にしすぎる余 りに実力行使に出てしまい、結果、集団参加を より遅らせてしまう。 ⑤ 記述中の「理解してもらえる (助けてもら える)」は、職員集団の連携を深めるための重 要な要素となってくる。本研究では紹介できな かったわれわれの就学前のアンケート (未発 表) でも「職員間の連携」がとれていないと自 己評価する保育者は非常に多く、他の項目と比 較しても最上位である。職員間に「自分の保育 はどう評価されているのか」の不安や「対象児 をかかえて自分ひとりだけが辛い思いをしてい る」などの被害者意識なども伺うことができ、 その結果「自分のクラスは自分で守らなければ 誰も助けてはくれない」という心理状態に陥っ てしまう。巡回相談時に相談員が意識しておか なければならない重要なポイントである。 ⑥ 記述中に、「自ら学びたい」という新しい 意識が芽生え始めている様子が伺える。保育者 は一人ひとりの子どもを愛しみ、その子ども達 のために学ぼうとする気持ちは他校種と比較し ても非常に強い。巡回相談で対象児を通じて何 かを学び、自らの疑問が解けたときや実践して みて成功した時、あるいは同僚や保護者から強 い賞賛を得たときに、主体的にさらに学びたい という思いが強くなってくるのではないかと思 われる。学んだことがダイレクトに返せる保育 だからこそ、保育者の「自ら学びたい」という 気持ちは対象児のみならず、保育全体にとって 非常に大きい。 表 4 の巡回相談員とのカンファレンスを通し ての教師 (採用 1 年目) への支援結果は以下の ように整理することができる。 ① 対象児は幼稚園から本校へ入学したが、自 表 4 Y 市 B 小学校 1 年担当教師の巡回相談への第 1 回から 3 回までの継続評価 ①担任 (担当) が障害・発達・教育などに関する専門的な観点から知識を得ることができましたか?その後、ど のような効果がありましたか? 第一回 →記述なし 第二回 ○わがままなのか、障害からきていることなのかの判断。 →特に障害についてどうとらえるかという姿勢のようなものを学ぶことができた。 →給食中、本児が食べられないものがいくつかあり、わがままなのか、障害からきていることなのか判 断がつかず悩んでいたが、お米の粒でも気持ち悪く見える人がいるというお話を聞いたことで、自分自 身がすっきりした。 第三回 ○障害特性と発達を重視したアセスメントの試行 →アセスメントの方法を学ぶことができた。 ②担任 (担当) がそれまでの指導を振り返り、評価することができましたか?その後、どのような効果がありま したか? 第一回 →記述なし 第二回 ○子どもの課題にばかり目をやるのではなく、長所をのばすことによって自信をつけさせる。 →それぞれの子どもの課題にばかり目をやるのではなく、長所をのばすことによって自信をつけさせる という指導を必要と感じるようになった。 ○本児の学校での様子が現状で十分という評価。 →うまくいかないことがほとんどの毎日で、子どもとの関係が築けないこと、母親が望んでいるような 関わりも全くできないことに悩んでいたが、本児の学校での様子が現状で十分と言っていただいたこと に少し安心し、あせらずに関わっていこうという気持ちになった。自分がゆったり関われるようになっ たことで、本児も楽になったのではないか。 第三回 →算数の学習ですぐに電卓を使って考えることを放棄することはよくないことだと学んだ。 ③対象児の指導や休み時間・放課後など、支援全般について見通しがもてましたか?その後、どのような効果が ありましたか? 第一回 →記述なし 第二回 ○まずプランを考えて提案する。 →もっと時間をかけて相談させていただけたらよいが、しかし、まずプランを考えて提案することがで きるよう準備しなければいけない。 ○一貫性のある指導ができる。
→暴力行為をやめさせようとして、逆に蹴られることも多く、やめさせようとしていることが障害を持 つ子どもにとって正しいのかどうかわからなくなっていた。母親とも指導に対して意見が合わないこと もあり、一貫性のない関わり方をしてしまっていた。しかし、相談員の「暴力行為は許してはいけない」 という話が聞け、迷いがなくなり、一貫性のある指導ができるようになった。母親にも「巡回相談員か ら聞いたのだが…」と話したことで少し理解してもらえ、声をかけてもらえるようになった。 第三回 ○修正すべき点と現状維持をする点。 → 2 回の指導を受け、修正すべき点と現状維持をする点を整理することができた。前期の見通しは持つ ことができるようになった。 ④学校の職員間の協力連携 (担任と他の教職員との関係など) を実感できるようになりましたか?その後、どの ような効果がありましたか? 第一回 →記述なし 第二回 ○一緒に考えていこうとする姿勢。 →個人差はあるが、一緒に考えていこうとする姿勢は全体的に感じられる。 →巡回相談の後で教えていただいたことをふまえてどのように本児と接するか、ということを話し合う ことができた。 第三回 ○特別支援教育を学ぶ以前の問題を解決しきれていない実態。 →特別支援教育を学ぶ以前の問題を解決しきれていない実態を恥ずかしく思う。ほとんどの教師は前向 きに努力しているのだが。 ⑤担任 (担当) や園と保護者の協力連携を実感できるようになりましたか?その後、どのような効果がありまし たか? 第一回 →記述なし 第二回 →ようやく学校にまかせてもよいかな?くらいの信頼を得たところでまだまだこれから。 第三回 ○保護者との間をつなぐ。 →保護者への適切なアドバイスについて学ぶことができたので、協力を進めるために得たものを活用し ていきたい。 →もっと自分の子どもと関わってほしいと母親がのぞんでおられるのは分かっていたが、実際の支援は できないので、担任が自分ではなかったらもっと教室に入れるのではないか、と思っておられるだろう と悩んでいた。なので、保護者との間をつないでくださったことがありがたかった。全体の中で同時に 学習することがなかなか難しいので、母親が個別に声かけをしてくださることは本児とって大きな助け となっている。 ⑥学校外の専門機関との連携 (担任・園と通級指導教室・医療機関などとの関係など) を実感できるようになり ましたか?その後、どのような効果がありましたか? 第一回 →記述なし 第二回 ○巡回相談の継続と回数。 →今年度のシステムになってから、助けていただいていることを実感できるようになった。 →巡回相談員に継続してきてもらえることがとても安心できる。ただ回数が制限されていることが残念。 第三回 ○巡回相談員と心理判定員との連携による巡回相談 →一緒に来ていただいたので特に感じた。 (巡回相談員と心理判定員) ⑦担任 (担当) が「心理的に安定」を実感できるようになりましたか?その後、どのような効果がありました か? 第一回 →記述なし 第二回 ○巡回相談員が否定の表現。 →特に担任が安定したように感じた。巡回相談員が否定の表現を使うことなく、指導してくださるので、 担任は指導を受け入れることができていた。 第三回 ○「今までの関わり方でいい」。 →巡回相談員と話をしていると心理的安定を得ることができる。 →複数の機関の先生の話を聞くことで、参考になることもたくさんある反面、先生によって見方もアド バイスも様々なので、自分のしていることがいいのか悪いのか、自分が目標として設定していることが 対象児にとって適切であるのか、間違っているのかさっぱりわからなくなっており、正直、いろいろな 先生のお話を聞くことがしんどくなっていた。しかし、巡回相談員の先生の「今までの関わり方でいい」 と言っていただい、安心できうれしかった。改善していかなければならないことがたくさんあると思う ので、これからも少しずつ教えていただきたい。 ⑧担任 (担当) が意欲をもって保育に向けるよう実感できるようになりましたか?その後、どのような効果があ りましたか? 第一回 →記述なし
由保育や設定保育の中で、加配教員が本児を支 援した。対象児にとっては、クラス所属が決ま り、集団での学習、慣れない時間割、机、イス、 集団登下校など、あまりにも環境の変化が大き く、その結果、4 月当初から集団になじめず、 教室外に飛び出してしまうことが多かった。つ まり、幼稚園 (保育園) 卒園から小学校入学時 の大きな環境の変化が通常学級に在籍する自閉 症スペクトラム児にとって想像以上の大きな壁 となる。 ② 巡回相談開始後は、担任およびコーディ ネーターとも、巡回相談のシステムが理解でき ていなかったようで、自己評価表での記述によ る振り返りも全く無回答であった。対象児の不 適応な行動に、どこから対処してよいのかが皆 目見当もつけられず、何とかしなければという 焦りが、より対象児を困惑させてしまう側面が あり、大変窮屈な状態からのスタートであった。 しかし、相談を継続していく中で、担任の心境 の変化や取り組みが、対象児の行動変容に結び ついた後は、コーディネーターとの懇談でも巡 回相談の必要性が意識されるような発言が目立 つようになった。 ③ 行動は目立たないが対象児のほかに支援が 必要な児童が複数いたことで、その対象児を含 めた学級集団作り目指す方向で支援していくこ とを確認した。しかし、その実現には時間を要 し、見通しの持てない担任にとっては、それら のアドバイスが担任の心理的ダメージをより深 刻化させることにもなった。中長期的な視点が 必要な場合、それらの視点を踏まえた上で、担 任が実行可能な支援方策をその都度提案するこ とが望まれる。 ④ 入学時期からの学校と家庭の連携の問題も あり、担任はそれらを含めて対象児を支援しな ければならなかった。母親の動揺が対象児の学 校での不安定さに強く影響していたと判断した。 しかし、その点について巡回相談では母親に対 する有効な支援が直接できないために支援の評 価は限定的であった。このような場合は、長期 的な視点から教育実践を構築する必要があるが、 単発の相談の支援では十分でなかった。 ⑤ 担任による記述にはあまり出てこないが、 対象児は担任が大好きで担任に嫌われたくない という感情が「先生は僕のことをどう思ってい るのかな」等の類似する言葉で頻繁に出てくる。 幼稚園における加配教員が本児を理解し、あら ゆる支援を行ってきた結果、園では非常に安定 していた記録から考えると、幼児期における 「人と接する心地よさ」「相手の気持ちが理解で きる」などの愛着形成の問題は、就学後の対人 関係の拡がりに十分影響を与えていくものであ ると本児をみて解釈ができる。逆に幼児期に愛 着形成が歪んだ状態で入学をむかえると、本児 にとって大きな環境の変化に応じることができ ず、「どうせ、僕は嫌われている」などの自己 肯定感を下げ続け、集団参加はおろか生活習慣 の確立や身辺の自立にも負の影響を及ぼす可能 性が大きい。 また、担任の記述を追ってみると、以下のよ うな担任の孤独さと自信のなさと不安が感じら れる。これは、多くの通常学級を担任する教員 の気持ちを代弁している。なかなか相談員には 明かされることのない、この担任の思いは、巡 回相談を実施する上で多くの示唆となる。 ① 「うまくいかないことがほとんどの毎日で、 子どもとの関係が築けないこと、母親が望んで いるような関わりも全くできないことに悩んで いたが、本児の学校での様子が現状で十分と 言っていただいたことに少し安心し、あせらず に関わっていこうという気持ちになった。自分 がゆったり関われるようになったことで、本児 も楽になったのではないか。」 ② 「暴力行為をやめさせようとして、逆に蹴 られることも多く、やめさせようとしているこ とが障害を持つ子どもにとって正しいのかどう 第二回 ○保護者はパートナーに。 →保護者対応が必要なので、トラブルにならぬよう保護者はパートナーになっていただけるよう努力す れば力がわいてくると思う。 →巡回相談員の話を聞くまでは本当に困り果てており、ものすごく気持ちがしんどかったが、少し前向 きに考えられるようになった。 第三回 →いつも助けてもらい感謝している。
かわからなくなっていた。母親とも指導に対し て意見が合わないこともあり、一貫性のない関 わり方をしてしまっていた。しかし、相談員の 「行為をとめてあげることも支援のひとつ」と いう話が聞け、迷いがなくなり、一貫性のある 指導ができるようになった。母親にも「巡回相 談員から聞いたのだが……」と話したことで少 し理解してもらえ、声をかけてもらえるように なった。 ③ 複数の機関の先生の話を聞くことで、参考 になることもたくさんある反面、先生によって 見方もアドバイスも様々なので、自分のしてい ることがいいのか悪いのか、自分が目標として 設定していることが対象児にとって適切である のか、間違っているのかさっぱりわからなく なっており、正直、いろいろな先生のお話を聞 くことがしんどくなっていた。しかし、巡回相 談員の先生の「今までの関わり方でいい」と 言っていただい、安心できうれしかった。改善 していかなければならないことがたくさんある と思うので、これからも少しずつ教えていただ きたい。 2.巡回相談に対する保育士・教師の評価の変 容 表 2 の 8 つのカテゴリーへの保育士・教師に よる評価に基づいて、巡回相談に対する保育 士・教師の意識の変容を整理した。その結果を 表 5 と表 6 として整理した。 ① 表 5 の保育所においては、コーディネー ターと担任の自己評価が大きく二分した。コー ディネーターは、巡回相談時の確認事項や今後 の方向性が理解できたことでの評価になるが、 一方、担任は記述にもあるように、目の前の対 象児に対して頭では理解していても、現実の場 面を想定した時に不安が先にたち、具体的な手 立てが見えない中での評価となる。 ② 「ある程度 (得られた)」の評価に注目する と、3 歳→ 4 歳→ 5 歳と年齢があがるにつれ評 価があがってくる。自閉症スペクトラム児への 支援から見たとき、やはり低年齢になるほど見 えにくい状態であることから、3 歳の担任が特 に困っているのが感じられる。 ③ 表 6 の小学校においては、1 年生を担当し た B 小学校では、コーディネーターと担任の 評価における類似性が感じられる。両者ともに 中堅層に位置する教員であることから、通常学 級における経験は豊かであり、その経験をベー スにして自閉症スペクトラム児を支援していく ことになるので、巡回相談を継続していく毎に ▲ ● ▲ ● ▲ ● ⑧ ● ▲ ● ⑧ 機能 3 歳 4 歳 5 歳 ①障害などの理解 ②教育実践の評価 ③教育実践方針の作成 ④教職員の協力関係形成 ⑤保護者との関係形成 ⑥専門機関との連携 ⑦心理的安定 ⑧教育実践意欲 保育園 (3 歳、4 歳、5 歳) 記入:●コーディネーター ▲担任 A:得られた B:ある程度 C:得られていない 月 表 5 巡回相談に対する保育士の 8 つのカテゴリー への評価の変容 ● ⑥ ▲ ● ▲ ● ▲ ● ⑦ ▲ ● ▲ ● ⑦ ▲ ● ▲ ● ▲ ● ● ▲ ▲ ● ⑤ ● (無) ● ▲ ▲ (無) ● ▲ ● ▲ ● ⑥ ▲ ● ● ③ ▲ ● ▲ ● ●▲ ④ ▲● ▲● ▲ ● ④ ▲ ● ▲ ● ▲ ● ⑤ ▲ ● ▲ ● ② ●▲ ▲ ● ▲ ▲ ● ▲ ● ▲ ● ③ ▲ ● ▲● ▲ ● ▲ ● ① 4 月 ▲ ● ▲ ● ① 7 月 ▲ ● ▲ ● ▲ ● ② C B A C B A C B A ● ● ● ⑧ ▲ ● ▲ ● ● ⑥ ● ● ● ⑦ ● ● ● ⑤ ● ● ③ ● ● ● ④ ● ● ② ● ● ● ⑧ ● ● ● ① 6 月 ● ● ● ⑦ ● ▲ ● ● ● ▲ ● ● ⑥ ● ▲ ● ● ④ ● ▲ ● ● ⑤ ● ▲ ● ● ③ ● ▲ ● ① 5 月 ● ▲ ● ● ②
両者の自己評価は相対的に上がっていく。 ④ 一方、2 年生を担当にした C 小学校では、 コーディネーターと担任の自己評価が大きく二 分した。しかし、保育園と逆で、担任の評価が 高く、コーディネーターが低い評価となった。 その要因として、担任は新規採用者で全てが初 めてということもあり、対象児に対する記述で の振り返りは弱いが、本事例を通じて学んだこ とへの手ごたえは強く、その思いがほぼ全ての 項目において「ある程度」以上の評価となった。 一方、コーディネーターは管理職ということも あり、対象児の 4 月における評価はすべて「得 られていない」となっている。7 月には、対象 児も安定してきたこともあり、6 項目が「ある 程度」に上がっている。 ⑤ 保育所と小学校を比較しても、校種による 特徴は基本的に見いだせない。さらに言えば、 教員の経験年数や担当分掌、支援学級経験年数 でも巡回相談員への評価の基本的な違いはみら れない。今回対象とした保育所、小学校の教職 員は積極的に研修を受け、保護者と真摯に向き 合い、一人ひとりの子どもたちに向き合うとい う姿勢を持ち合わせている。自閉症スペクトラ ム児を対象とする時、従来の子どもの捉え方や 教科書的な支援では対象児に向きあっていけな いと評価していること、「教職員の協力関係形 成」「保護者との関係形成」の評価が他と比較 して困難としていることも伺われる。 Ⅳ.考 察 1.巡回相談による教育実践への支援モデルの 構築 (1) 浜谷モデルの有効性 浜谷 (2006) が「アセスメントに基づいた所 見と助言によって、教師は対象児の障害などに ついて理解し、それまでの教育実践を評価し、 教育実践方法を作成するという第 1 次支援が実 現され、その結果、教職員の協力関係や保護者 との関係、専門機関との連携という第 2 次支援 が実現された。これにより、教師は心理的に安 定し、実践への意欲が高まるという第 3 次支援 が実現された」と指摘しているように、本研究 においても、実務的な手順とコンサルテーショ ン過程の明確化を尊重した巡回相談を実施する ことで、担任は心理的安定の確保ができ、教育 実践意欲の向上を実感し、それらが対象児への 不適応行動の低減につながった。また、専門性 についても、実務的な手順とコンサルテーショ ン過程の明確化をおこなうことで、内容や手順 ● ▲ ▲ ● ⑧ ▲ ⑧ 機能 1 年 2 年 ①障害などの理解 ②教育実践の評価 ③教育実践方針の作成 ④教職員の協力関係形成 ⑤保護者との関係形成 ⑥専門機関との連携 ⑦心理的安定 ⑧教育実践意欲 小学校 (1 年、2 年) 記入:●コーディネーター ▲担任 A:得られた B:ある程度 C:得られていない 月 表 6 巡回相談に対する教師の 8 つのカテゴリーへ の評価の変容 ●▲ ⑥ ● ▲ ●▲ ⑦ ● ▲ ● ▲ ⑦ ● ▲ ●▲ ● ▲ ● ▲ ⑤ ● ▲ ● ▲ ▲ ● ⑥ ③ ● ▲ ● ▲ ④ ▲ ●▲ ④ ● ▲ ●▲ ⑤ ● ▲ ▲ ● ② ● ▲ ●▲ ●▲ ●▲ ③ ● ●▲ ●▲ ① 4 月 ●▲ ① 7 月 ●▲ ▲ ● ② C B A C B A ▲ ●▲ ⑧ ●▲ ▲ ● ⑥ ▲ ● ▲ ⑦ ▲ ●▲ ⑤ ▲ ③ ▲ ●▲ ④ ▲ ▲ ● ② ▲ ●▲ ⑧ ▲ ●▲ ① 6 月 ▲ ⑦ ▲ ▲ ⑥ ④ ▲ ⑤ ▲ ③ ▲ ① 5 月 ▲ ②
等が標準化されるため、専門的力量の差はある 程度解消できると言える。巡回相談の継続性に ついても、対象児の改善過程と問題点を時系列 に理解することで、担任の評価から重要性は明 らかとなった。 (2) 新たな支援モデルの構築 浜谷モデルでは、第 1 次支援から第 3 次支援 へと段階的に進展すると仮定したが、本研究に おいては、浜谷の、第 1 次支援 (障害の理解、 教育実践の評価、教育実践方針の作成) →第 2 次支援 (教職員の協力関係の形成、保護者との 関係形成、専門機関との連携)→第 3 次支援 (心理的安定、教育実践意欲) の流れのように、 段階を追って支援機能が深まると言えない事例 が散見された。さらに継続した巡回相談の結果 から、第 3 次支援は相談後は上昇するが数日後 には急激に降下し、再び上昇したり、変化がみ られない事例も観察された。 以上の結果から、浜谷による支援モデルを ベースにしながらも、新たな巡回相談モデルの 構築を試みた (図 2)。このモデルでは、階層 性と相互関連性を重視し、浜谷の第 1 次支援レ ベルから第 3 次支援レベルという一方向的な継 時的な流れを想定するのではなく、障害理解等 の基本的な支援内容から心理的安定等の精神的 な支えを支援内容とする、レベルの表現をやめ、 第 1 領域から第 4 領域を設定した。第 1 次支援 領域は子ども理解、第 2 次支援領域は教育実践、 第 3 次支援領域は学校内の組織と保護者との関 係、第 4 次支援領域は担任に関することとした。 本論では、浜谷モデルの第 1 支援レベルの、障 害などの理解・教育実践の評価・教育実践方針 の作成の 3 つのカテゴリーを支援内容の違いか ら 2 つのカテゴリーに分離し、図 2 のように、 第1次支援領域と第 2 次支援領域に配置した。 なお、「障害などの理解」は「発達と障害の理 図 2 巡回相談による新たな教師支援モデル