No. 727/Special Issue 2021 43 ここ数年,公正取引委員会が指摘するなど,芸能人 の権利に対する問題意識は高まっているが,日本の芸 能人の多くは,個人事業主として,芸能事務所と専属 マネジメント契約を締結している。そのため,契約形 式上,業務委託契約となっており,芸能人は「労働 者」ではないということになるが,裁判において,芸 能人の労働者性(専属マネジメント契約の法的性質) が争われ,①委任契約のほか,雇用又は請負契約とし ての性質が混合した無名契約とする裁判例,②委任又 は準委任契約類似の契約とする裁判例,③労働契約 (雇用契約)とする裁判例と主に 3 通りの判断がなさ れており,特に労働契約と判断する裁判例が多い。芸 能人と一概にいってもその範囲は非常に広いが,芸能 人の活動実態及び専属マネジメント契約の具体的内容 からは,指揮命令関係及び使用従属関係は強いことが 多く,労働者性が認められることが少なくないと考え る。しかしながら,芸能事務所は,芸能人の活動実態 を無視し,芸能人を労働者として認めていないことか ら労働法令の適用を前提とした取扱いをしていない。 また,芸能人は種々の権利を生み出し,その心身にと って有害又は危険な活動も多いにもかかわらず,現状 の法律では,その十分な保護が出来ていない。近年, 芸能活動に起因して自死する者も増えているなか,今 後,芸能人の法的地位を確立し,法的に保護するため に,早急な法的整備が求められている。 さとう・やまと レイ法律事務所代表弁護士。最近の主 な論文に「来場または観覧を伴う会場や店舗におけるコロ ナ対応」商事法務(2020 年)。芸能人・アーティストの法 的地位及び権利専攻。
芸能人の労働者性(PDF:459KB)
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