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高速IGBTの低損失化に関する研究 利用統計を見る

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Academic year: 2021

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氏 名 北村 睦美 博士の専攻分野の名称 博士(工学) 学 位 記 番 号 医工博甲第441号 学 位 授 与 年 月 日 平成30年9月27日 学 位 授 与 の 要 件 学位規則第4条第1項該当 専 攻 名 機能材料システム工学専攻 学 位 論 文 題 目 高速IGBT の低損失化に関する研究 論 文 審 査 委 員 主査 教 授 鍋谷 暢一 教 授 矢野 浩司 准教授 村中 司 准教授 小野島 紀夫 特任教授 松本 俊 准教授 佐藤 隆英

学位論文内容の要旨

地球温暖化を抑制し、安全安心で持続可能な社会の実現のために、パワーエレクトロニ クス技術が世界的に非常に期待されている。 パワーエレクトロニクスとは、パワー(電力)、エレクトロニクス(電子工学)、制御など の複合領域であり、エレクトロニクス制御による電気エネルギーの変換技術である。パワ ーエレクトロニクス技術を使って、電気エネルギーを必要な電流、電圧、周波数、または 直流から交流へ、逆に交流から直流へ変換することで、電力を効率よくコントロールし、 省エネルギー化や電力の安定化実現することができる。例えば、風力発電や太陽光発電な どの再生可能エネルギーの利用、化石燃料使用量とCO2排出量削減のためのハイブリッド自 動車化や電動自動車化、省エネルギーのためのエアコンなど電気機器のインバータ化など である。 パワー半導体は、そのパワーエレクトロニクス技術のキーデバイスであり、パワー半導 体によってパワーエレクトロニクス製品の性能が左右されるといっても過言ではない。 パワー半導体とは、その名前の通りパワー=電力を制御する半導体であり、メモリやマイコ ンなどの信号を扱う半導体とは、用途やデバイス構造、製造方法など異なっている箇所が 多い。特に、メモリやマイコンなどのロジックデバイスは、電源電圧1V以下と低電力で、 また、動作周波数は数MHzで動作するASICから最新のCPUでは数GHzのものもある。一方、パ

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ワー半導体は、電源電圧は数Vの低電圧から10万V以上の高電圧、電流は数Aの低電流から数 百Aの大電流と広範囲にわたり、動作周波数は数kHz~100MHz以下と比較的遅い。 デバイス動作の大きな最も違いは、 (1)ロジックデバイスは半導体素子の再表面を電流 が流れるのに対して、(2)パワー半導体は裏面から表面に向かって縦方向に電流が流れるこ とである。パワー半導体は、高電圧大電流を流すために、基板の縦方向も使って、チップ 全体で電流を流している。ただし、窒化ガリウム(GaN)パワー半導体では、基板の結晶欠陥 の問題により電流がデバイス表面だけ流れる構造のものもある。 製造方法の特徴は、ロジックデバイスでは微細な加工プロセスを使って、1 チップ内によ り多くのセルを形成し、多層配線によってセルを配線しているのに対し、パワー半導体で はロジックデバイスと比較すると微細化はそれほど重要ではない。電流を縦方向に流すた め、基板厚を薄化し、表裏両面に電極が形成されている。 一方で、従来からのSiパワー半導体も、その使いやすさとコストの面から、依然として パワー半導体市場のほとんどを占めている。数V~900V程度までは

Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor (MOSFET)、600V程度~6500V程度ま ではInsulated Gate Bipolar Transistor (IGBT)、それ以上ではサイリスタが主に使われ ている。MOSFETとIGBTのデバイス構造は似ており、決定的な違いは、裏面電極側に、P層が 形成されていないのがMOSFET、形成されているがIGBTである。MOSFETもIGBTも、表面側が グランド側で、裏面側が印加側であり、ゲート電極が形成されている。MOSFETは、グラン ド側をソース、印加側をドレインと呼ぶことが一般的であるのに対し、IGBTはバイポーラ 素子のため、グランド側(接地側)をエミッタ、印加側をコレクタと呼ばれている。 、MOSFETは、ゲート電極がオンすると、ソースからゲート電極近傍に形成されるチャネル、 ドリフト層を通ってドレインへ電子が流れる。なお、電流の向きはプラス方向からマイナ ス方向のため、電子の流れる向きとは逆に、電流はドレイン側からソース側に流れる。 MOSFETでは、比較的耐圧が低いため、耐圧を保持するドリフト層の厚さはそれほど必要で はないが、必要な厚さまで薄くしたウエハの製造は困難なため、高濃度な基板上に必要な 耐圧とオン抵抗を得るために厚さと濃度を最適化されたドリフト層が形成さ れている。パワーMOSFETは、よりよい特性(耐圧とオン抵抗のトレードオフがよいこと)を 得るために、2種類のテクノロジーが使われている。耐圧数百ボルトでは、スーパージャン クション構造が、耐圧数十ボルトから100ボルト程度までは図1-3(2)に示すようなトレンチ の中に、ソース電極を形成する構造が使われている。 一方 IGBT も、ゲート電極がオンすると、エミッタからコレクタ方向へ向かって電子が流れ る。IGBT では、裏面側に薄い P 領域が形成されており、エミッタ側の P 領域―ドリフトの N 領域―裏面側の P 領域によって PNP トランジスタが形成されている。電子がドリフト層を

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流れることにより、この PNP トランジスタのベースに電流が注入されるため、PNP トランジ スタがオンし、コレクタ側から正孔(ホール)が N ドリフト層を通ってエミッタ側へ流れる。 つまり、MOSFET は電子しか流れなかったのに対して、IGBT は電子とホールの両方が流れる バスボーラ素子である。電子とホールの両方が電流に寄与するため、MOSFET と比較してよ り大きな電流を流すことができる。 本研究では IGBT の高速化での低損失化に関する研究を行った。

論文審査結果の要旨

素子の長期信頼性、破壊耐量、使いやすさなどで、従来からのSiパワー半導体も当面は 市場の大半を占め続けることになる。特に、再生可能エネルギーや電動自動車(モーター駆 動用インバータ)では、その電圧、電流からIGBTが一般的に使われる。これまでIGBTは低動 作周波数で使われることが多かったが、最近は、インバータやモーターの高効率化やパワ ーエレクトロニクス機器の小型化など高周波で使われる用途も多くなり、IGBTデバイス自 体の高速化要求も高まっている。そこで、IGBTの高速化に適した新構造についてシミュレ ーションののち、デバイスを試作し実測結果を示した。 従来構造であるMicro-P構造改良したトレンチシールドゲートIGBTは、ミラー容量をゲー ト-エミッタ容量に置き換えることでその特性を改善できる。Micro-P IGBTと比較すると、 Vonは0.15V低減でき、またdv/dtが大きくなるためEoffを11%できるため結果として、 Von-Eoffトレードオフを25%改善できた。 一方、フローティングP構造を改良したホールパスIGBTは、ターンオフ時過剰なホールを引 き抜く領域を形成することで、フローティングP構造の欠点であるdIc/dt制御性の悪化を解 決した。Micro-P IGBTと比較して、Vonを0.4V低減できた。 トレンチシールドゲートIGBTは600Vクラス、ホールパスIGBTは1200Vクラスで設計、試作 を行ったため、デバイス特性における両者の定量的な比較はできないが、製造プロセスの 安定性や設計の自由度の観点からホールパスIGBTの方が優れていると考えられる。今後は、 両者の定量的な比較を進めていきたい。 SiC や GaN が主流になるまでには、まだ課題があり、いくつかのブレークスルーが必要で ある。それまでの間、さらに Si-IGBT を少しでも特性改善して、地球環境の保全に役立ち た。 審査員はこの内容を勘案し、修了と認めた。

参照

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