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導電性高分子アルミ固体電解コンデンサの高性能化に関する研究 利用統計を見る

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Academic year: 2021

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氏 名 若林 寿樹 博士の専攻分野の名称 博士(工学) 学 位 記 番 号 医工博甲第465号 学 位 授 与 年 月 日 令和2年3月19日 学 位 授 与 の 要 件 学位規則第4条第1項該当 専 攻 名 機能材料システム工学専攻 学 位 論 文 題 目 導電性高分子アルミ固体電解コンデンサの高性能化に関する研究 論 文 審 査 委 員 主査 教 授 奥 崎 秀 典 教 授 鈴 木 章 泰 教 授 柴 田 正 実 准教授 小 幡 誠 教 授 柳 博 教 授 米 山 直 樹

学位論文内容の要旨

導電性高分子は、帯電防止材や電池、コンデンサ、タッチパネル、有機 EL、有機トラン ジスタ等に広く応用展開されている。特にコンデンサ用途では 20 年以上の実績があり、ポ リピロールやポリチオフェン誘導体を陰極材料に用いることで工業化に成功している。一 方、デジタル機器は半導体の高機能化とモジュール化により、小型化、軽量化、低価格化 が進み、コンデンサも同様な要求に迫られている。さらに、高周波で動作するパソコンや ゲーム機の電源周辺で使用される導電性高分子アルミ固体電解コンデンサには高速な充放 電特性が要求され、さらなる低等価直列抵抗(ESR)や高容量(Cap)特性が求められてい る。それらニーズに対し、高い導電性と透明性に加え、優れた耐熱性、安定性を有する導 電 性 高 分 子 と し て 帯 電 防 止 剤 や コ ン デ ン サ に 広 く 応 用 さ れ て い る Poly(3,4-ethylenedioxythiophene):poly(4-styrenesulfonate)(PEDOT:PSS)に着目し、 PEDOT:PSS アルミ固体電解コンデンサの高性能化について検討を行った。 第 1 章では、アルミ電解コンデンサを中心とした種々のコンデンサの特徴や市場ニーズ をまとめ、さらに本研究の対象となる導電性高分子アルミ固体電解コンデンサの特長と課 題についてまとめた。また、本研究の目的を次のように設定した。

①PEDOT:PSS 水分散液の pH 制御によるアルミ固体電解コンデンサの高 Cap、低 ESR 化 ②PEDOT:PSS を用いたアルミ固体電解コンデンサの高耐電圧化

第 2 章では、PEDOT:PSS 水分散液の pH の影響をより詳細に調査するため、各 pH における PEDOT:PSS コロイド粒子のメジアン径(D50)、凝集状態、ゼータ電位(ζ)、および電気伝導

度の測定を行った。pH の上昇に伴い、コロイド粒子の凝集が起こり、D50は 10 nm(pH = 2)

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の依存性がなく、-50 mV 程度で安定であることを確認した。PEDOT:PSS フィルムの電気伝 導度は、pH の上昇に伴って PEDOT の脱ドープが進行するため、750 S/cm(pH = 2)から pH の上昇とともに低下し、pH = 11 では 62 S/cm となった。これらの結果より、PEDOT:PSS は pH が低い(より酸性側の)方が高い電気伝導度を示し、コロイド粒子も小さく安定に分散 していることが示された。 第 3 章では、各 pH に調整した PEDOT:PSS 水分散液を用いてアルミ固体電解コンデンサ(定 格電圧:25 V、定格静電容量:47 µF、コンデンサ素子サイズ:直径 5.5 mm、高さ 3 mm) を作製し、コンデンサの ESR、Cap に与える影響について詳細に検討した。pH が低い方が PEDOT:PSS の電気伝導度は高く、さらに D50が小さくことからアルミニウム箔のエッチング ピットに入りやすい状態であるため、ESR, Cap 特性が良い結果を示した。それら結果より、 アルミ固体電解コンデンサの陰極材料として、PEDOT:PSS 水分散液の最適な pH は 3 と結論 づけた。pH = 3 の PEDOT:PSS 水分散液と電気伝導度をさらに向上させる効果がある EG を繰 り返し、コンデンサ素子に浸漬・乾燥処理することによって陽極アルミニウム箔表面の PEDOT:PSS 被覆率は 99%に達し、さらに箔エッチド層へも PEDOT:PSS が均一に取り込まれて いくことを EPMA 分析により確認した。6 回の繰り返し処理によって、コンデンサの ESR 特 性は大きく減少し、陰極材料に電解液を使用した電解コンデンサの 120 Hz の Cap を 100% とした場合の Cap 引出し率は 92%に到達した。 第 4 章では、もう一つの課題である PEDOT:PSS アルミ固体電解コンデンサの高耐電圧化 について検討した。第 2 章、3 章では低電圧用の交流(AC)エッチングをしたアルミ箔を用 いた素子で検討してきたが、高電圧用は細長いトンネル構造となる直流(DC)エッチング により拡面化したアルミ箔を用いるため、そこに PEDOT:PSS を充填させる必要がある。最 適な pH = 3 に調整した PEDOT:PSS 水分散体に、アルミ酸化皮膜の修復性改善による耐電圧 向上を期待できるヒドロキシル基を複数有し、さらに電気伝導度を向上させる二次ドーパ ントとしての役割も有する多価アルコールを添加し、その添加剤種と濃度がコンデンサの 耐電圧、電気特性に与える影響について検討した。本実験では定格電圧 160 V、サイズが直 径 9 mm、高さ 8 mm のコンデンサ素子を用い、多価アルコールにはエリスリトール、ソルビ トール、ポリグリセリン(PG)を用いた。その結果、PG を高濃度添加することにより、低 抵抗の PEDOT:PSS をコンデンサのエッチングピット内部に充填させることが可能となるこ とをコンデンサの周波数特性、およびグロー放電発光分光分析(GD-OES)から確認した。 PG を 96.5 wt%添加したコンデンサの ESR、Cap 引出し率はそれぞれ 0.023Ω、89%と無添加 に比べて大きく改善し、耐電圧も約 30%、向上させることに成功した。一方、ソルビトール を 96.5 wt%添加した系ではエッチングピット内部への PEDOT:PSS の充填率が減少するため Cap 引出し率が大きく低下したが、ソルビトールによるアルミ酸化皮膜の修復性能が高くな ることで、コンデンサの耐圧は最も高い値を示した。これら結果より、アルミ箔のエッチ ングピット内部における PEDOT:PSS、および多価アルコールの充填状態がコンデンサの電気 特性、ならびに耐電圧特性に重要な役割を果たしていることが明らかになった 第 5 章では、本研究で得られた成果を基に、250 V の PEDOT:PSS アルミ固体電解コンデン サの可能性について検討し、現在、フィルムコンデンサが主流の HV のインバータ平滑用途 等、自動車の高圧システムへの展開の可能性、そして今後の研究開発の必要性についてま とめた。

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論文審査結果の要旨

導電性高分子は、帯電防止材や電池、コンデンサ、タッチパネル、有機 EL、有機トラン ジスタ等に広く応用展開されている。特にコンデンサ用途では 20 年以上の実績があり、ポ リピロールやポリチオフェン誘導体を陰極材料に用いることで工業化に成功している。一 方、デジタル機器は半導体の高機能化とモジュール化により、小型化、軽量化、低価格化 が進み、コンデンサも同様な要求に迫られている。さらに、高周波で動作するパソコンや ゲーム機の電源周辺で使用される導電性高分子アルミ固体電解コンデンサには高速な充放 電特性が要求され、さらなる低等価直列抵抗(ESR)や高容量(Cap)特性が求められてい る。それらニーズに対し、高い導電性と透明性に加え、優れた耐熱性、安定性を有する導 電性高分子として帯電防止剤やコンデンサに広く応用されている PEDOT:PSS に着目し、 PEDOT:PSS アルミ固体電解コンデンサの高性能化について検討を行った。 第 1 章では、アルミ電解コンデンサを中心とした種々のコンデンサの特徴や市場ニーズ をまとめ、さらに本研究の対象となる導電性高分子アルミ固体電解コンデンサの特長と課 題についてまとめた。また、本研究の目的を次のように設定した。

①PEDOT:PSS 水分散液の pH 制御によるアルミ固体電解コンデンサの高 Cap、低 ESR 化 ②PEDOT:PSS を用いたアルミ固体電解コンデンサの高耐電圧化 第 2 章では、PEDOT:PSS 水分散液の pH の影響をより詳細に調査するため、各 pH における PEDOT:PSS コロイド粒子のメジアン径(D50)、凝集状態、ゼータ電位(ζ)、および電気伝導 度の測定を行った。得られた結果より、PEDOT:PSS は pH が低い方が高い電気伝導度を示し、 コロイド粒子も小さく安定に分散していることが示された。 第 3 章では、各 pH に調整した PEDOT:PSS 水分散液を用いてアルミ固体電解コンデンサを 作製し、コンデンサの ESR、Cap に与える影響について詳細に検討した。pH = 3 の PEDOT:PSS 水分散液と電気伝導度をさらに向上させる効果がある EG を繰り返し、コンデンサ素子に浸 漬・乾燥処理することによって陽極アルミニウム箔表面の PEDOT:PSS 被覆率は 99%に達し、 さらに箔エッチド層へも PEDOT:PSS が均一に取り込まれていくことを確認した。 第 4 章では、もう一つの課題である PEDOT:PSS アルミ固体電解コンデンサの高耐電圧化 について検討した。ポリグリセリン(PG)を 96.5 wt%添加したコンデンサの ESR、Cap 引出 し率はそれぞれ 0.023Ω、89%と無添加に比べて大きく改善し、耐電圧も約 30%、向上させ ることに成功した。一方、ソルビトールを 96.5 wt%添加した系ではエッチングピット内部 への PEDOT:PSS の充填率が減少するため Cap 引出し率が大きく低下したが、ソルビトール によるアルミ酸化皮膜の修復性能が高くなることで、コンデンサの耐圧は最も高い値を示 した。 第 5 章では、本研究で得られた成果を基に、250 V の PEDOT:PSS アルミ固体電解コンデン サの可能性について検討し、現在、フィルムコンデンサが主流の HV のインバータ平滑用途 等、自動車の高圧システムへの展開の可能性、そして今後の研究開発の必要性についてま とめた。 6 名の審査委員によって、発表 45 分、質疑応答 15 分の博士論文公聴会が終了した後、引 き続き 15 分の最終試験が行われた。これらの研究内容は 2 報の査読付論文に発表され、学 会発表やプレゼンテーション能力も評価された。以上のことから、博士論文審査委員全員 の合意において、本論文は博士(工学)の学位論文として適格と認め、合格と判定した。

参照

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