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細気管支-肺胞上皮(B-A)型腺癌9例の診断と治療 利用統計を見る

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Academic year: 2021

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(1)

細気管支一肺胞上皮(B−A)型腺癌9例の診断と治療 山梨医科大学第二外科 鈴木章司 吉井新平 橋本良一 保坂茂 鈴木修 高橋渉 奥脇英人 松川哲之助 上野明 同 第二内科 西川圭一 小沢克良 同 病理 須田耕一 はじめに  細気管支肺胞上皮型腺癌(Bronchiolo alveolar adenocarcinoma)は腺癌の一 亜型として分類されているが、種々の生 物学的特徴を有し、臨床的に興味深い疾 患である。われわれはこれまでに本症の 9手術例を経験したので臨床的に検討し あわせて外科的治療の評価を行なった。 対象及び方法  1983年11月より1991年6月の間に山梨 医科大学第二外科で行なった肺癌手術症 例100例のうち、腺癌は41例で、その9 例が細気管支肺胞上皮型腺癌であった。 (表1)この9例を対象とし、当科受診 に至る経過、術前検査成績(含X線像、 気管支鏡所見)、手術所見、病理所見、 術後経過等について検討した。尚、対象 となった9例は、年齢58∼76歳(平均65 .6歳)、男性4名、女性5名であった。 (表2) 山梨医大第2外科肺癌手術100例          1983.11∼1991.6 扁平上皮癌 小細胞癌 腺癌(含.肺胞上皮癌) 大細胞癌 腺扁平上皮癌 力ルチノイド 腺様嚢胞癌 肺芽腫 47 5 41(9) 3 1 1 1 1 結果  自覚症状は、3例に咳蹴が認められた のみで、他は検診等のルーティンな胸部 X線撮影で異常を指摘されていた。  X線像は極めて多様で、特徴的所見は なく、確定診断は困難であった。特に肺 炎との鑑別が問題となった症例(図1) (表1) 100 や、古い胸膜炎様の像を呈した症例(図 2)が認められた。また単純X線像では ごく淡い網状影しか見えず、断層像で病 変が明らかになった症例(図3)も見ら れた。  CTは、有効でindentationが描出さ れた症例(図4)も見られたが、本症を 特徴づける所見ではなかった。  病変の部位は右下葉がやや多い傾向が あったが、統計的には特に局在はなかっ た。(表2)  気管支鏡は全例に行なわれたが、閉塞 や発赤等の直接所見のあったのは3例の みであった。しかし、生検や擦過細胞診 一64一

(2)

Clinicai Data

      Subjectlve  Location of   Bronchoscopic

Cヨse Age Sex Sy叩t㎝   TLmor   Examination Stage(Pre−OP)

176F Free

RtL,S駐 Pap. Tub. Adeno. T,Nlk Stage n

2、60MCough

Rt,L, Se Obstruction(+)

WellDiff、 Tub. Adeno. TINoMo Stage I

3.  62   F    Free Rt. M, S, Negative TINoMo Stage I

4 63 F  Free Rt. U, S1? Negative TINoMo Stage I

5   72   F    Free Rt.L, Se 9 Redness(十)

Class V

T、N跳 Stage l

658M Free

Lt. U, S4 胃ell D‘ff,Tub. Adeno.  T・N∼M。 Stage 01A

162MCough

8,  68   F   Cough

Rt.LSe 9 Adeno. T]NoMo Stage nl A

Lt. U, S1.r Redness(+) Adeno, T、NoMv Stsge

969M Free

Rt.M、 S‘ We川 Diff. Pap, Adeno   T NK ti:三ド‥ (表2) 膓い (図1)症例1の単純X線像で、病変は    Rt.S、にあり、肺炎との鑑別が困    難である。 (図2)症例5の単純X線像で、病変は    Rt.S,, sにある。腫瘤影は明らか    でなく、胸膜の引きつれ像が見    られる。

(3)

’・ ?f 灘怒 赫 s籏隊影⊇惣 (図3)症例8の断層像で、        Sl,2に認められる。 病変はLt. (図4)症例2のCT像で、病変はRt.        Sgに認められ、 indentationが明        らかである。 Surgical Results and Outcome

Case  Operat’on Surgical Results OUtcorre(Fo l l ow−up term)

1 Rt,L. Lobect㎝y十R, T2.Ox1.4x1.8, p2, Do, Eo, pmo, nt

Dead  (4y,)

2. Rt. L Lobect㎝y+R2 丁3.Ox2.5x1、5, pi, Do, Eo, pmo, no AlIve (4y.〔㎞、)

3. PartIal ResectIon

Rt, M Lobectomy十R, TT.8x1.5x1,0, pl, Do, Ee, p訂㎏、 no A|Ive (4y.3m.)

4, Partlal Resectlon

Rt U. Lobect㎝y十R! T1,2×1、4×0.9、 Po, Dn, Eo, pm, no Alive (3y 8m.)

5 Rt, L, Lobecterny十Rib T1.5x1.7×1.5, p。, De, E。, pmo, ne

Allve (3y,)

6, Lt U Lobect㎝y十R:b T2,0×2,0×2.0, Po, Do, Eo, pmo, no Allve (2y,1rn,)

7. Rt. L. LobeCtomy十Rib T闇ost Parts of Lobe, p,, D。, Eo, pm, no A!ive (1Y,6m,) 8. Lt U LobeCtony十R2, T1.0×10×1,0, po, Do, Eo, pm, no

Alive (6πe )

9, Rt.閉. Lobectomy+Ri, T2.Ox2.Ox15, pt, D。, E。, pm, no Alive (2m、)

(表3) −66一

(4)

ぷば∪攣灘ぷ、ぼ汀[滅・

(図5)症例7の病理組織所見。     (Hematoxylin−Eosin染色) (図6)症例7の病理組織所見。     (Elastica−Van Gieson染色) では7例で悪性との診断が得られた。そ れらの病理診断の多くはadenocarcinoma とされた。 (表2)  2例(症例3、4)において、術前に 悪性との診断が得られていなかったが、 1例は陰影の増大傾向が見られること、 1例はCT上indentationありとの判断 で手術が施行された。  術前のstageは1が多かったが、 Nz とT,のstageIH Aの症例2例が含まれ ていた。 (表2)  手術術式は全例定型的葉切除で、さら に初期の症例では2群、一部3群の縦隔 リンパ節郭清が行なわれた。最近の症例 では主としてR2bの手術が施行された。 (表3)  術前悪性との確証が得られなかった2 例では、まず部分切除が行われ術中迅速 病理検査が行なわれた。しかし1例では 間質性肺炎と診断され、後日永久標本に よる精査の結果、再手術が行なわれた。  腫瘍の大きさ、p, D, E, Pln, r1 の各因子(p,Pm, nについては組織 学的検査結果)は表3に示した。リンパ 節転移は少なく、8例でnoであった。  病理組織所見は極めて特徴的で、円柱 状の癌細胞が肺胞壁を置換するように連 続的に増殖していた。従って、肺癌の進 展にもかかわらず、肺胞中隔は保たれて いたe (図5、6)  術後追跡調査では、pzであった1例が 術後4年で死亡していた。しかし他院で の死亡のため再発形式等の詳細は不明で あった。残り8例は、2ヵ月から4年8 ヵ月のfollow−up期間で生存していた。 考察  細気管支肺胞上皮型腺癌は、かつては 種々の名称が用いられていたが、現在は 細気管支肺胞上皮型腺癌又はBronchiolo −alveolar adenocarcinomaと呼ばれてい る。本症は、その生物学的特徴のため腺 癌の一亜型として分類されている。すな わち、  1)乳頭腺癌の特殊型で、気管支肺   胞系の極めて末梢に発生する。  2)組織学的に、一層の円柱状の癌   細胞が肺胞構造を保ちながら連続   的に増殖する。  3)単中心性発生で、経気道性散布   により転移する。  4)粘液産生傾向が強いe 等である。  本症の頻度は、全肺癌の1.3∼6.5%と 言われておリ、われわれの9%という値 はやや高いことになる。男女比について は、文献上も今回の検討でも女性に多い

(5)

傾向が示されている。  本症では、多くのX線上の分類が示さ れているが、多彩な像を呈する点におい ては異論のないものと考えられる。今回 の検討で、外科で扱ういわゆる『限局型 』に限ってみても、極めて多彩であるこ とが示された。これらは先に述べた生物 学的特徴に密接に結びついたものてある と考えられる。すなわち、ムチン産生に よるX線透過性の低下や、肺胞構造が維 持されていることによる間質の肥厚像等 である。  また術前検査においては、気管支鏡下 での生検や擦過細胞診が有効であった。 これは経気道性散布により病巣が拡大す る性質によるものと考えられる。  また手術所見においては、予想された とおり病巣の拡がりに比べてリンパ節転 移が有意に少なかった。例えば、症例7 (表3)においては、腫瘍が右下葉のほ とんどを占め、かつp、であったにもか かわらずnoであった。これは本症に対 する積極的な外科治療の有用性を示唆す るものと考えられる。また本症症例に対 する手術術式として、2群縦隔リンパ節 の郭清で十分であることも示していると 考えられる。  また手術成績については、今回の検討 でstage I症例が多かった点もあるが、 先の症例7も生存しているように、概し て良好であった。今後、定期検診の異常 陰影に対する積極的な検索と適切な外科 治療により、さらに治療成績の向上が期 待される。 まとめ 1)山梨医科大学第二外科肺癌手術  症例100例中9例に細気管支肺胞  上皮型腺癌を認め、臨床的に検討  した。 2)細気管支肺胞上皮型腺癌では、  自覚症状に乏しく、またX線像は  多彩で、確定診断は困難であった。 3)気管支鏡的肺生検は、有効な診  断手段であった。 4)手術所見では、病巣の拡がりに  比べて、リンパ節転移が少なかっ  た。 5)手術術式は葉切除と2群縦隔リ  ンパ節郭清で十分で、手術成績は  良好であった。 文献 1)  Richard C. Daly,   Victor F.  Trastek, Peter C.Pairolero, et  a1 : Bronchoalveolar Carcinoma:  Factors Affecting Surviva1. Ann  Thorac Surg 51 :368−77,1991 2)  Frederic Clayton : Bronciolo−  alveolar Carcinomas;Cell Types,  Patterns of Growth, and Prognos−  tic Correlates. Cancer 57:1555−  1564, 1986 3) Richard J. Greco, Robert M.  Steiner, Scott Goldman, et al :  Bronchoalveolar Cell Carcinoma  of the Lung. Ann Thorac Surg 41  : 652−656,1986 4)岡田慶夫、加藤弘文、山中晃、他  :肺癌の増殖、進展. 呼吸3:  1536−1541,1984 5)金田正徳、東憲太郎、坂井隆、他  :肺胞上皮型腺癌外科治療例の検  討. 胸部外科41:652−655,1988 6)黒島振重郎、塩野恒夫、関下芳明  他 :細気管支肺胞上皮癌の1手術  例. 外科診療:639−643,1983 7)村上純子、浴村正治、内山照雄、  他:呼吸器のレントゲン像、細気  管支肺胞上皮癌. 総合臨床31:  2097−2102,1982 8)石川七郎 編 :現代医科学大系  臨床肺癌1, p75−76,122−157,講  談社,東京,1983 一68一

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