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学校現場で活用できる認知の誤り尺度作成の試み

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Academic year: 2021

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(1)学校現場で活用できる認知の誤り尺度作成の試み                  学校教育学専攻                 臨床心理学コース                      MlO050D                     上田 純平 程であるため,介入の対象者が意図的に症状を重く見せ.           【問題と目的】. うっ槻轄賭い年代において楴率が上昇してい. たり,逆に隠蔽したりしようとしても影響を受けにくい. ると報告されており(Abelaet吐,2008),欧米諸国の報告. ため,臨床的なアセスメントツールの1つとして利用可. をまとめた概説によると,子どものうつ病の時点有病率. 能であり,推論の誤りを直接的に変容させる技法が,抑. は,1般児童の2∼4%である(佐藤・嶋田,2007)。本邦. うつ症状の改善に結びつく可能性を指摘している(佐藤,. においても,小学生のγ8%,中学生の22.8%が高抑うつ. 2008)。. 得点者であると報告されている(樽田ら,2004)。また,.  本邦においては,小学生を対象として石川・坂野OO03). 佐藤ら(2008)の半構造化面接を用いた一般中学生にお. ,が児童用認知の誤り尺度(α㎜出n’sCognidveEmr. ける実態調査では,うっ病の時点有病率が4.9%,生涯有. Sca1e;CCES)を作成しており,佐藤ら(2004)により児. 病率が8.8%であることを報告している。これらのことか. 童用認知の誤り尺度改訂版(CC趾R)が作成されている。. らも,子どものうつに関する問題は見逃すことのできな. しかし,CCESやCC趾Rは,小学生のデータのみで標. い症状である。子どもの抑うつ症状は治療されずにその. 準化された尺度であり,本邦には中学生の推論の誤りを. まま放置されると長期間にわたって維持され,再発する. 測定するのに適した尺度が存在していない。そのため,. 可能性が高いことが示されており(No1en−H㏄kse㎜ず. 中学生に生じうる推論の誤りを適切に測定できていると. 吐,1992),特に高抑うつ得点者の多い中学生に対する取. はいえない。石川◎O09)は,中学校の1学級を対象に. り組みは必要不可欠であることが指摘されている(石川. 認知面にも焦点を当てた抑うつ予防プログラムを実践し,. ら,2009)。子どものうつ病性障害に対する心理療法とし. 効果検討を行っている。石川(2009)では,CCES−Rを認. ては,認知行動療法が有効であることが実証されており. 知の測定指標として使用しており,プログラム実施直後. (Kas1owetal.,1998),賦1990)の子どものうつ病性障害. には減少傾向にあるものの,有意な差はみられておらず,. に対する認知行動療法においては,認知的アプローチが. 3ヵ月後ではべ一スラインとほぼ同じ得点を示している. 導入されていることが特徴的である。本邦においても,. と報告している。この要因として測定指標の不備も考え. 小関ら(2007)が学級単位の集団介入による認知的心理. られる。. 教育が抑うっ氏滅効果を持つ可能性を示しており,他の.  さらに,CCESやCCES丑を学校現場で用いる際には,. 研究においても有効性の検討が行われている(例えば,. ①回答者が想起する場面が多く,回答に時間がかかりす. 佐藤ら,2009;石川ら,2006)。. ぎるため,学級べ一スの介入時のアセスメントとして用.  脇ket副.(1979)の認知の歪みモデルによれば,スト. いることが困難であること,②ネガティブな項目のみで. レスブルな出来事が直接抑うつを引き起こすのではなく,. 構成されているため,回答者への負担が大きく,教育的. その出来事に対するネガティブな認知によって抑うっが. 配慮が困難であること,③抑うつ予防プログラムにおけ. 生じているとされ,抑うつを維持する認知変数をスキー. る心理教育場面で用いる際,ネガティブな認知を引き出. マ,推論の誤り,自動思考の3つのレベルに分類してお. してしまい,多様な認知の生起を阻害する可能性がある. り,推論の誤りは多くの場合,気づきを伴わない認知過. ことが問題として挙げられる。. 一ユ08一.

(2)  以上のことから,本研究では学校現場で活かすことの. 中程度の相関(F60,ρ<。O1)がみられた。このことか. できる認知の誤り尺度(α㎜伽n’sCo蝉veEmrSca1e勉r. ら認知の誤りと抑うつ,不安症状には関連があることが. PWchoe雌㎝:Cα三S−ed)の作成を試みることを目的と. 示された。. する。これが作成されることによって,学校現場で簡便. 下心』1.主因子法による因子分析綺果. rF583. に認知の誤りを測定するアセスメントツールとなり,抑. 炉、9胴. 41.どんな柏手でもケンカをすると仲直りできなくなってしまう(ケンカ場面). うつ予防プログラムの介入効果の検討や,児童・青年期 における不安や帥うつの認知的過程を明らかにする一助 となることが示唆される。.            【方法】. <予備調査> 中学生に生じやすい認知の誤りを特定する。. 調査対象:中学1∼3年生111名 調査内容:自由記述にて認知の誤り生じやすい場面にお ける認知の回答を求めた。また,同時にその場面におけ. るポジティブな認知についても回答を求めた場面につ. 因子 一. O.66. 4].二度と仲良くはできないだろう{ケンカ場面). 0,65. ヨ4.私は誰とも仲良くなれない人間だ(ケンカ場面i〕. 0,65. 7.自分は何の取り柄もない人間だ{テスト場面) 39.自分はひとりぽっちだ(ケンカ場面) 28.怒られたのは,私がダメな生徒だからだ{怒られる場面) 27.私はもう二度と決勃を守ることができないんだ(怒られる場面) 一2.自分は努力してもムダなんだ(テスト場面). 0.榊. 20.もう学校には行けない(怒られる場面) 35.もう友だちなんかいらない(ケンカ場面〕 16.もう誰にも信用してもらえない(怒られる場面) 2.次はもっと悪い結果になるだろう(テスト場面〕 lo.どんなテストであっても良い点は取れないだろう(テスト場面〕 30.これから先.きっと他のことでも怒られるだろう(怒られる場面) 18.他のことも厳しく言われるに違いない(怒られる場面) 33.もう仲直りすることはできない(ケンカ場面〕. 0,61. 42.伸直りできなかったのは全部自分のせいだ{ケンカ場面) 5.次も良い点が取れないに違い校い(テスト場面〕 24.大人は信じられない(怒られる場面〕 1.もうダメだ(テスト場面〕. 4.自分の頭が悪いからだ(テスト場面〕 9.その教科の悪い点数のことばかり気になる(テスト場面〕 2I.先生の怒り方だけが気になる(怒られる場面〕 ]7.話し合いはしたが,仲直りできなかったことだけが気になる(ケンカ場面) 26.自分だけが厳しく注意されたことが気になる(怒られる場面〕. O.64 0,6]. O.62. 0,62. 0,60 0,60. 0,59 0.5目 。.58. 0,57 0,56 0,55 0−53 0,52 0,51 0.4緕. 0,44 0,42 0−41 0−41. いては,佐藤ら(2004)などを参考にした。.  予備調査で得られた自由記述に関して,臨床心理学を.  また,内的整合性を検討するため,認知の誤りを測定. 専門とする大学教員と,臨床心理学を専攻する大学院生. する25項目についてClmb㏄hのα係数を算出したとこ. (学校勤務歴のある者を含む)によって,項目整理・検. ろ,αrg1となり,高い整合性を有していることが明ら. 討を行った。. かになった。. <本調査>.  以上のことから,本研究で作成されたCCES−edの信頼. 調査対象:中学1∼3年生583名. 性と妥当性が確認された。. 調査材料.            【考察】. .CCES−ed(暫定版).  本研究では,不安と抑うつを取り上げ,相関分析を行.  予備調査を基に推論の誤りを測定する30項目と,教. うことによって妥当性を検討した。また,本研究で作成.  育的配慮項目(ポジティブ項目)15項目の合計45項. された尺度は,先行研究において認知の誤りを測定する.   目で構成された。. 尺度の作成方法とは違う過程を通して開発されたため,. ・子ども用抑うつ自己評価尺度(DSRS). 今後は併存的妥当性などの検討を行い,本研究によって. ・スペンズ児童用不安尺度(SCAS). 作成されたCCES−edがCCES沢と比べてどの程度認知の.            【結果】. 誤りを測定しているのかを明らかにする必腰があると考.  主因子法による因子分析の結果,25項目の認知の誤り. える。また,認知の誤りは多様な変数との関連が予測さ. を測定する項目と,13項目の教育的配慮項目が採択され. れるため,更なる検討が必要であると考える。. た。.  さらに,回答者の負担を減らし,教育的観点を考慮す.  構成概念妥当性を検討するため,認知の誤りを測定す. ると,今後は項目反応理論(㎜1)などを用いて,項目数. る25項目の得点と,DSRS得点,SCAS得点の間で,Pea㎜n. を減らす手続きも必要であると考える。. の相関係数を算出したところ,認知の誤りとDSRS間に.              主任指導教員 冨永 良喜. 中程度の相関(F51,ρ<伽),認知の誤りとSCAS間に.              指導教員   冨永 良喜. 109一.

(3)

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