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小学校体育授業における教師の言語的相互作用に関する研究 : 高学年・バスケットボールの授業を対象として

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(1)

2015年

学位論文

小 学校 体 育授 業 にお け る教 師 の言語 的相 互 作 用 に関す る研 究

一高学年・バスケ ッ トボールの授業を対象 として一

兵庫教育大学大学院 学校教育研 究科

教育 内容・方法開発専攻

行動開発系教育 コース

学籍番号

M14213D

牧 山

達雄

(2)

小学校体育授業における教師の言語的相互作用に関する研究

―高学年・バスケ ッ トボールの授業を対象 として一

I.難

=般

に,体育科の主たる学習活動は身体運動あるい は身体活動であるが,そ こで営まれる実際の授業では, 他の教科 と同様 に教師の言語的相互作用 の学習成果 に及ぼす影響は多大である。 実際の体育授業においてつまずいている児童に対 して,適切に言葉がけをしている教師 とそ うでない教 師の発言の違いは明らかである。 そこで本研究の動機は,児童の学習成果 畷 点) を高める教師の言語的相互作用 について追及すると ころにある。 Ⅱ。目的 1980年代以降

,ア

メリカを中心に「プロセスープ ロダク ト」研究法が確立された これに伴い教師の「プ ロセス」を測定する道具 として,多くの組織的観察法 が開発 された その結果 体育授業中の主な教師行動 は 「マネジメン ト」「学習詢 「幼 「相互作用」 の

4つ

に区分され

,な

かでも「相互作用」が授業の雰 囲気 と授業成果に深 く関係す る重要な教師行動であ ることが明ら力ヽこなった (シーデン トップ,1988)。 その後

,わ

が国では高橋ら (1991)が 教師行動観察 法 を開発 し,「マネジメン ト」並びに 「学習指導」 を 少なくし,肯定的な「相互作用」を多く用いることで, 授業成果を高めることを報告 している。 これを受けて

,上

原 。梅野 12000,2003,2007) は,文法上からも語彙の意味の上からも言葉の3/Jヽ単 位である品詞を基軸に

,教

師の「相互作用」研究に基 づ く品詞を分析単位 とする品詞分析を開発 し,検討 し た これ ら

,連

の研究成果により,小学校高学年のハ ー ル ー リ中副

Sょ

どの陸

L塾

難動は クローズ ドスキル教材)において,学習成果 礎渡得点,技能, 学習集団機的 を高める教師による特定の8つの品詞 の用い方が存在 していることを認めている。 しか し,上記の先行研究は,ク ローズ ドスキル教材 である陸上運動領域にとどまつてお り,オープンスキ ル教材であるボール運動領域では研究例 (上原 。梅野 教育 内容・ 方法 開発 専攻 行動開発系教育 コー ス

M14213D

牧 山達雄

2003)は

ほとんどなし、 そこで

,本

研究では

,小

学校高学年 (5。

6年)を

担任 している6名 の教師に,同一の課題解決的プログ ラムによるバスケットボールの授業(オープンスキル 翻 を行つてもらい

,学

習成果 (調野亀

0を

顕著 に高めた学級 とそ うでない学級の逐語記録を品詞に より分析 し,以下に示す

2つ

の研究課題の回答を得よ うとした ① バスケッ トボール (オープンスキ

/L/alの

授業 においても教師による特定の8つの品詞の用い方が 認められる力、 ② さらに

,そ

れ らの品詞の用い方に特徴があるの力、 Ⅲ

.方

法 1.対象 :兵庫県・香川県下における3小学校の高学 年 (5・

6年)学

級の担任をしている

6名

の教師で ある。 2.指導プログラム:同一の課題解決的プログラムに よるバスケッ トボール (計

9時

)の

授業である。 3.学習成果 :単元前後 における児童の授業に対する 愛好的態度を (′

l琳,1978)の

態度測定法により 測定する。一単位授業評価は,「よい授業」への到 達度調査 (′い

,1978)を

毎授業後に実施 し

,各

質問項 目に対す る好意的反応 を量的並びに質的の 両面から分析する。 4.データ収集 :バ スケッ トボールの指導プログラム から

,各

単元過程の中心である2・

407時

間 目の 授業を

ICレ

コーダー及び ビデオを用いて収録 し, 教師の発言内容の逐語記録 僻喉鑓コ之 整理運動は 除く

)を

作成する。 5。 品詞分析の方法 :逐語記録にもとづいて一単位授 業における品詞の使用頻度をカウン トした この叱 授業者や学習段階によつて授業時間にバラツキが 認められるため

,い

ずれの授業も45分授業 として の使用頻度になるように補正 した Ⅳ。結果並びに考察 1.上位群 と下位群における品詞使用頻度の特徴

(3)

品詞総数を比較 した結果

,上

位群は約3,000i乳 下 位群は約1,700語であ り,上位群の方が下位群に比 し て有意

e<.001)に

使用頻度 の多い結果が認めら れた。すなわち,上位群は下位群に比べて倍程度の発 言を行 つていたことがわかる。ちなみに,先行研究(上 原 。梅野,20KXl)の走 り幅跳び (クローズ ドスキル 櫛 の では上位群3,300;乳 下位群1,9C10語と同様の 結果であつた これ らのことか ら,バスケットボール (オープンスキ′

L/blに

おいても

,学

習成果 (態度 得

0を

高める教師による特定の8つの品詞の用い方

0■

2種

)の

存在する可能性が高いものと考えら れ る。 次に,各一般品詞の使用頻度を比較 した結果,形容 動詞 と連体詞を除く残 りすべての品詞において,上位 群の方が下位群に比 して有意

lP<.05)に

使用頻度 の多い結果が認められた このことは

,上

位群

,下

位 群 ともに小学校教員 として正 しい 日本語の文法に則 り発言 していたことを示すものと考えられる。 さらに

,IW品

詞の使用頻度を一単位授業で比較 し た結果

,助

詞 (文末終用 と名詞 (身体部位

)を

除 く残 りすべての品詞において,上位群の方が下位群に 比 して有意

lP<.05)に

使用頻度の多い結果が認め られた これは,上位群の教師は授業の雰囲気を高め た上で,子 どもの多様な運動の感 じを引き出しながら, 個人に合わせた動きのイメージを用いて課題 を明確 に し,具体性のある矯正的なフィー シ ヾックを多く用 いてバスケッ トボールのもつ技能特性に触れ させて いたものと考えられる。これ らのことが

,結

果的に授 業の愛好的態度を高めたものと考えられる。 2.課題把握場面 と課題解決場面にお ける品詞使用 頻度 の相違 一単位授業における課題把握場面 (19分54秒)と 課題解決場面

05分

6秒)に

おける上位群 と下位群 の

IW品

詞の使用頻度を比較 したものである。 双方の場面で有意差

lP<.05)の

認められた品詞 は

,名

詞 (身体鵠口

,名

詞 (空間),名詞 (時間), 代洛詞 鰤

,形

容詞 (対比

),副

詞 (疑問 。強調 。

ftl,副

詞 徹

)の

7種

類であ り

,い

ずれも上位 群 の方が下位群に比 して使用頻度の多い結果が認 め られた これより

,上

位群の教師はバスケットボール の技能特性を把握 し,一人ひとりの課題を明確にして 「発問」と「矯正的フィー レ ヾック」を行い課題把握 と解決場面の双方で適切に使用 していたものと考え られる。 課題把握場面のみ有意差

lP<.01)の

認められた 品詞は,名詞 (動ftlと 感動詞 (肯定的

)の

2種類で あつた これは

,上

位群の教師はバスケッ トボールの 技能特 性に触れる言葉やプ ログラムの特性を理解 し た言葉を積極的に用いて矯正的なフィー ドバ ックを 行いながら,子 どもたちのプ レーを肯定 し授業の雰囲 気づ くりをしていたものと考えられる。 課題解決場面のみ有意差の認 められた品詞は,名詞 に

),形

容詞 (肯定的

),助

詞 ∝ 係 用 の 3 種類であつた これは

,上

位群の教師は調劃輸央に向 けた命令 口調ではない優 しい言葉がけを子 ども一人 ひ とりに臨機応変に行 うことで授業の雰囲気を明る くし,さ らにゲーム中の多様な動きを認めながら指導 を展開 していたことを示 している。 3.各単元過程における品詞使用頻度 の相違 各単元経過における上位群 と下位群の

IW品

詞の 使用頻度を比較 した結果

,共

有課題

I(2時

間 日

)で

は,名 詞 (時間),形容詞 鳴 比),副詞 擬 問 。強調 。 仮

0,感

動詞 (肯定的

)の 4種

類に有意差 lP<.

05)が

認められた これは

,バ

スケッ トボールの基本 プ レーであるパスやシュー トの動作に対 して肯定的 に捉え,それ らの動きを適切に評価 していたものと考 えられる。さらに

,子

どもたち自身にプレーの振 り返 りをさせて,次 の動きへ とつなげていく教師の相互作 用の表われ と考えられる。 共有課題Ⅱ (4時間 日

)で

,名

詞 (空間

),副

詞 擬 問・強調 ◆腕

,副

詞 (程度

)の

3種

類に有意 差

lP<.01)が

認められた これは

,子

ども一人ひ とりの動きに対 して具体的なイメージを用いて課題 を明確化 し,共有課題を理解させる教師の相互作用の 表われ と判断 される。 共有課題Ⅲ (7時間 日

)で

,名

詞 (動fFl,名 詞 腔 間),代名詞 (力的

,副

詞 (倒動 の4種類に有 意差が認められた これは,一人ひ とりで異なるパス やシュー ト,またはディフェンスに関する動作に対 し て,多 くの種類の言葉を用いながら具体的な矯正的フ ィー ドバ ックを行つていたことが認められた このこ とは

,バ

スケットボー/L/の技能特性を理解 しながら, 臨機応変に対応す る教師の相互作用 の表われ と考え られる。 V。 ま とめ バスケットボール (オープンスキル教材

)の

授業 においても教師による特定の8つの品詞の用い方が 認められた とりわけ,技能特性にかかわる名詞(空 間

)が

特徴的品詞 として認められた 主任指導教員 。指導教員 上原禎弘

(4)

目次 第

I章

緒 言 第

1節

研究の動機 第

2節

問題の所在

(1)先

行研究について 第 Ⅱ章 学 習 成 果 (態度 得 点

)を

高 め る教 師 の 言 語 的 相 互 作 用 に 関 す る研 究 第

1節

研 究の 目的 第

2節

研 究 の方法

(1)対

象 とその授業

(2)指

導 プ ログラム

(3)子

どもの授業に対す る態度 と心情 の測定

(4)授

業記録 の収集

(5)品

詞分析 の方法 第

3節

品詞分析 の結果並び に考察 (1)上位群 と下位群 にお ける品詞使用頻度 の特徴 (2)課題解決場面 と課題把握場面における品詞使用頻度の相違

(3)各

単元過程 にお ける品詞使用頻度 の相違 第 Ⅲ章 総 合 考 察 (1)品詞総数について (2)一般品詞について (3)一単位授業における

IW品

詞について (4)課題把握場面 と課題解決場面における

IW品

詞について (5)各単元過程における

IW品

詞について 第 Ⅳ 章 ま とめ 第

V章

今 後 の課 題 注釈 引用・ 参考文献 付録資料 謝辞 ペ ー ジ 1 1 3 3 10 10 11 11 11 11 13 13 16 16 19 23 34 34 34 35 36 37 39 40 41 43 45

(5)

I章

緒 言

第 1節

研究の動機

1970年

代 以 降 の体 育学習 におい て は

,単

に運 動技能 の習得 を重視 した体育授業 で はな く

,学

習過 程 にお け る思考・判 断や 楽 しさの経験 を大切 に して

,課

題解決力 (学び方

)を

身 に付 け る ことが強調 され て きた。 平成 元年 の学習指 導 要領 改訂 で は

,生

涯 スポー ツ を志 向 した 「楽 しい体育 」 が登場 した。 この改訂 で は,「楽 しくで き る よ うにす る」「楽 しさを体得す る」「楽 しさや 喜び を味わ う」な どの表 現が用 い ら れ,「楽 しさ」が重要 な学習 内容 と して位 置 づ け られ てお り

,そ

の 中核 をな してい るこ とがわか る。ま た,「楽 しい体育 」 の実現 のた めの方策 と して,「基礎 技能 が身 に付 かず に運動 を楽 しむ こ とはで きな い」と し,「基礎 技能獲 得 に よつて楽 しさを保 障す る こ とや集 団 内での信 頼 関係 構 築 が運動 に対 して肯 定感 を増 大 させ る と し

,集

団 内で 良好 な人 間 関係 づ く りを強調す る こ と」 な どが挙 げ られ た (藤井, 2011)。 これ に伴つて体育では

,運

動への興味 。関心を重視 して

,自

ら学ぶ学習 を主体 とした授業を進めて い く「課題解決的な学習指導法」へ と関心が向け られた。その具体的な学習方法 として「めあて学習」 がある。「めあて学習」とは,「めあての 自己決定プ ロセスを重視 した課題解決型学習」(細江

,1997)

と定義 されている。すなわち

,一

人ひ とりの個性や運動能力の違 う子 どもが 自己の能力に適 した課題 を把握 し

,そ

れ にもとづ く自発的な学習をす ることができるよ うに工夫 された学習指導法である。具 体的な学習過程モデル として

,ス

パイ ラル型やステージ型がある。 スパイ ラル型では

,毎

時間の学習 が

,前

=「

めあて1」 後半

=「

めあて2」 として構成 され る。そ して

,そ

の時間の 「めあて2」 が次 の時間の 「めあて1」 になるとい う具合 に,「今 ある力」か ら「工夫 した力」へ と螺旋状に展開 してい くように学習を進 める。また,ステー ジ型は,「ステージ

1(ね

らい1)」 において,「今持 っている力」 で運動 の楽 しさを味わい

,次

に 「ステージ

2(ね

らい2)」 において新 しく身 に付いた力で工夫 して運 動の楽 しさを味わ うとい う展開的に学習を進 める。 これ らの特性 をもつ 「めあて学習」における楽 し さの説明モデル としてフローモデルが用い られてきた。フロー とは,「全人的に行為に没入 している時 に人が感 じる包括的感覚である」(チクセ ン トミハイ

,1996)と

している。すなわち,「ある物事に集 中 してい るときに

,楽

しさ故にそれに完全に とらわれ

,他

のものごと

,雑

,雑

,時

間の経過をも 忘れ させ るほどの状態である。そ してそれ故に

,フ

ローは

,あ

るものごとに没入す るとい う経験を通 じて

,私

たちの生活 に『 意味づ け』と『 楽 しさ』を与える」(チクセ ン トミハイ

,1996)と

している。 こうした中

,高

(1997)は

,「めあて学習」の問題点について以下の

3つ

を指摘 した。 ①完全オープン型のスパイ ラル学習 を行 うと技 (学習課題

)が

多様化 しす ぎ指導が行 き届かな くな

(6)

る。 ②子 どもの欲求に委ねれば

,好

んで難 しい技に挑戦する傾向があ り

,習

熟を図ることが難 しいだけ でなく危険である。 ③めあて

1か

らめあて

2の

螺旋的発展的学習を妨げる障壁 (異系統の技の選択する可能性

)は

大き い 。 こうした問題 を受 けて

,平

20年

3月 に告示 された小学校学習指導要領 (文部科学省

,2008)で

は 「生涯 にわたつて運動 に親 しむ資質や能力の基礎 を培 う観点を重視 し

,各

種の運動の楽 しさや喜び を味わ うことができるよ うにす るとともに

,子

どもの発達の段階を踏 まえ指導内容 の明確化 を図るこ と。」が改訂の要点 とされた。本来

,体

育授業の楽 しさは

,わ

かつた り

,か

かわつた りす ることを通 し て

,課

題 ができるよ うになることによつて経験できるものであ り

,楽

しさや 自発性 を口先で唱えるだ けでは実現できるものではない。すなわち,「わかる

,で

きる

,か

かわる」ことの緊密 な関係 を

,子

ど もたちの主体的な学習の中で創 出 させて

,体

育授業に対す る態度

,運

動技能

,社

会性 のすべての学習 成果を高めてい くことが真 の 「体育の楽 しさ」につながるもの と考 え られ る。 また

,こ

の学習指導要領 の改訂のポイ ン トの1つ として言語活動の充実がある。 このことは

,各

教 科等を貫 く重要な改善の視点 として示 された。すなわち

,言

語は

,知

的活動や コミュニケーシ ョン, 感性・情緒の基礎 となるものである。それ故,すべての教科において言語 に対す る関心や理解を深め, 言語に関す る能力の育成 を図る上で重要な言語環境 を整 え

,子

どもの言語活動 を充実す ることを指摘 しているのである。体育科 において も,言語活動の充実に関 しては,「集団活動や身体表現な ど通 じて, コ ミュニケーシ ョン能力 を育成す ることや筋道を立てて練習や作戦を考え

,改

善の方法な どを互いに 話 し合 う活動な どを通 じて論理的思考力 をは ぐくむ ことに資す ることを踏まえ

,そ

れぞれの運動が有 す る特性や魅力に応 じて

,基

礎的な身体能力や意識 を身に付 ける。」 と記述 されている。(小学校学習 指導要領解説体育編

,2008)こ

のよ うに

,体

育科 における言語活動では

,コ

ミュニケーシ ョン能力や 論理的思考力 を育成す ることが求 め られている。 ところで

,体

育の授業には

,課

題 を把握す るための話 し合い場面 (以下

,課

題把握場面 と称す

)と

課題 を解決す るための練習場面 (以下

,課

題解決場面 と称す

)が

ある。双方の場面は

,他

の教科にお いても同様 に認 められ る。 しか し

,体

育授業においては

,他

の知識教科 と大きく異なる点がある。す なわち

,体

育授業においては

,子

どもが運動課題 を言語的に理解できて も

,実

際にその運動ができる とは限 らない。 よつて

,子

どもたちの運動 に対す る 「できる」 と「わか る」を統一 してい く必要があ る。そのためには

,体

育授業にお ける教師 と子 ども並びに子 ども同士の言語活動 を充実 させ る必要が ある。 とりわけ

,学

習成果 (態度得点

,技

,集

団技能な ど

)を

高めるためには

,教

師の言語相互作 用の適切性である 「いつ

,

どこで

,だ

れ に

,何

,ど

のよ うに」発言すればよいかが重要になる。 以上のことか ら

,学

習成果 を高める教師の言語活動について検討 しよ うとす るところに本研究の動 機 がある。

(7)

2節

問 題 の 所 在

(1)先

行 研 究 につ い て

1970年

代,ア メ リカの教 師 の有効性研 究 において,「プ ロセ ス ープ ロダ ク ト」研 究法 が確 立 され た。 この研 究法 は

,教

師 の属性 あ るい は教 師教 育 の経験 とい つた前提 変数

,生

徒 の属性 あ るい は生徒 の特 性 とい つた文脈 変数

,過

程 変数

,そ

して成果変数 の関係 を検討す る ものである。「プ ロセ ス ープ ロダク ト」研 究法 では

,過

程変数 と して教 師行動 お よび生徒行動 の分析 が 中心 に位 置づ け られ てい る。 こ う した 中

,ア

メ リカ を中心 に体育授 業分析 のための多様 な組織的観 察法が開発 され た。 とくに

,授

業過 程 にお け る教師行 動研 究 に大 きな関心 がむ け られ

,教

師 の 「プ ロセ ス」 を測定す る道 具 と して

,多

く の教 師行動観察法が開発 され た。 これ らの教師行動観 察法 を用 いた研 究結果 か ら

,体

育授 業 中の主 な教 師行動 と して 「マネー ジメ ン ト」「学習指導」「巡視」「相互作用」 の

4つ

に区分 され

,中

で も

,教

師 の 「相 互 作用 」 が授 業 の雰 囲 気 と授 業成果 に深 く関係 す る重要 な教授行 動 で あ るこ とが 明 らか になった(シーデ ン トップ,1988)。 一 方

,わ

が国 において は

,高

橋 らが一 単位授 業 レベル の学習成果 と して の形成 的評価 法 (高橋 ら,

1994)を

開発 し

,教

師行 動 との関係 を検討 してい る (中井 ら

,1991:岡

沢 ら

,1990:高

橋 ら,1989a, 1989b)。 そ の結 果

,肯

定的 な相 互 作用 は高い授 業評価 を生み 出 し

,否

定的 な相 互作用 は逆 の関係 を生 み出す 関係 を見 出 してい る。 さ らに

,高

橋 ら

(1991)は

,自

らが開発 した 「教師行動観 察法」 と一単 位授 業 の評価 との関係 か ら,「マネー ジメン ト行動」並び に 「直接指導」を少 な く し

,相

互作用 の 「発 問 (分析 的)」 「受理 (傾聴)」 「肯定的 フィー ドバ ック (技能 的)」 「励 ま し」を多 く,「矯 正的 フ ィー ド バ ック (行動 的)」 を少 な く用 い る こ とに よつて授 業評価 を高 め るこ とを報 告 してい る。また

,形

成 的 評価 票 を用 いて学習成果 と教 師行 動 の関係 を調 べ た研 究 で は

,熟

練教 師 と一般 教 師 の間 には

,特

に相 互作用 に有意差 が認 め られ

,熟

練 教 師 の方 が個 々の子 どもに よ り積 極 的 に働 きか け る傾 向がみ られ た (高橋, 1997)。 さらに

,梅

野・辻野

(1991)は

,態

度得点の高い学級 とそ うでない学級 に対 して

,一

授業における 教授行為をRibble法と

Flanders法

を適用 して

,課

題解決的学習における具体的な教授活動のあ り方 について検討 している。その結果

,態

度得点の高い学級は高次 目標 (課題解決的―探求・発見的―小 集団学習

)に

立脚 した学習形態 を基盤 に

,次

2つ

の点を指摘 している。 ①教師は運動それ 自体の特性 を把握 した上で

,詮

索 した り

,論

拠 を求めた り

,確

かめた りす る課題 形成 に関わる発言 を多 く用いる。 ②学習課題の解決に応 じるためには

,肯

定的な相互作用 を多 く展開す る。 また

,梅

野 ら

(1997)は

,単

元 レベルの学習成果 としての評価 を

,態

度測定法を用いて教師行動 と の関係 を検討 した。その結果

,態

度得点には 「相互作用」行動 と 「巡視」行動の

2つ

の寄与率がきわ

(8)

めて高値 であるこ とを認 めてい る。す なわ ち,「肯 定的 。矯 正的 フ ィー ドバ ック」 と「発 問」活動 の恒 常的 な働 きか けが重 要 で あ り

,そ

れ を的確 に発揮 され るた めには質 的 な教 師 の 「巡視 」行動 が重要 な 要 因で あ るこ とが指摘 され た。 また

,上

位 群 並び に下位 群 ともに 「評価 」得 点 に対 して 四大教師行動 が有意 に関係す る こ とが認 め られ た。 と りわ け

,態

度得 点 と相互 作用 の関係 を重 回帰分析 した結果 か ら,「評価 」 には

,矯

正 的 フィー ドバ ックか ら肯定的 フィー ドバ ックをか けるこ とが,「よろこび」 に は

,肯

定的 フィー ドバ ックか ら矯 正的 フ ィー ドバ ックをか け る こ とがそれ ぞれ効 いてい るこ とが認 め られ た。 これ らの こ とか ら

,態

度得 点 を高 め る教授 活動 は

,積

極 的 な 「巡視 」 を基盤 に

,教

師 が言語 的相互 作用 を適切 に営む こ との重要性 が示唆 され る。 しか も

,こ

うした教授活動 は態度得 点 のみ な らず

,当

然他 の学習成果 の向上 に も効 いて くるもの と予想 され る。 続 いて

,態

度得 点 と他 の学習成果 の相 関関係 につ い てみて い くこ とにす る。 菊池 ら(1989)は,中 学 生 を対象 に学習集 団 の機 能 を測定す る道具 (体育 にお け る学習集 団テ ス ト) を用 いて

,態

度得 点 と学 習集 団機 能 との関係 を検討 した。 そ の結果

,学

習集 団が高 い と態度得 点 も高 い が

,逆

に学習集 団機能 が低 いか らとい つて態度得点 も低 い とい う関係 はみ られず

,態

度得 点 と学習 集 団機 能 の間 に技能 の要 因が介在 してい る こ とが推察 され た。 加 えて

,梅

野・ 厚 東

(2004)は

,小

学校 高学年 の

9名

の教師 の授 業 (走 り幅跳び

)を

対象 に,「態 度得 点 の診 断結果 (態度得 点)」 「単元前後 の跳躍距離 の測定結果 (パフォーマ ンス)」 「学習集団テス トの診 断結果 (学習集 団機 能)」 の各測定間の順位相 関を算 出 した ところ,「パ フォーマ ンスー学習集 団機能 」関係 が最 も強 く

,次

い で 「態度得点 ―パ フォーマ ンス」関係,「態度得 点 一学習集 団機能」関 係 の順 に高い こ とが認 め られ た。これ よ り,運動技術 の習得 を機械 的生産 的 に行 つた場合 で あつて も, 学 習集 団機 能 は高 くな る可能性 は あ るが

,こ

れ らが即子 どもた ちの態度 にまで影響す るは と限 らない こ とを示唆 してい る。 それ故

,教

師 の教授 活動 の あ り方 が学習成果 の因果 関係 を決 定 してい る もの と 考 え られ る。 この よ うに

,体

育分野 にお いて は

,国

内外 を問わず 「プ ロセ ス」 を測 定す る道具 が開発 され

,授

業 の分析的研 究が積 み重ね られ て きた。 しか しなが ら

,高

(1992)は ,こ

れ まで の組 織 的 な観 察方法で は体育授業 の基礎 的条件 (マネー ジメン トや授業 の規律

,授

業 の雰 囲気

,学

習従事量や 運動 量 な ど

)の

適否 は判 断 で きて も

,内

容 的条 件 (授業 の 目標 0内 容 の押 さえ方

,教

材・ 教 具 の工夫

,学

習過程 の組織 化 な ど

)の

適否 は判 断す る こ とはで きない と指摘 してい る。 この ことは

,こ

れ までの教 師行動研 究 にお いて

,教

師 の相互作用行 動 と しての量的 な部分 は明 らか になったが

,学

習成 果 を高 め る教 師 の言語 的相 互作用 の内実 にまで迫 つ て いない こ とを示 してい る。す なわ ち

,学

習成果 を高 め る言語 的相 互作用 を適切 に営む た めの授 業分

(9)

析が必要であ り

,そ

のための新たな分析方法の開発が今 日的課題 として導出 された。

1990年

代後半に入 る と

,先

行研究の結果 をもとに した

2つ

の展開がみ られ るよ うになつた。 第

1に

,相

互作用 の中で もフィー ドバ ックに着 日した研究である。深見 ら

(1997)は

,単

元 レベル で研究 を進め

,単

元経過 における教師のフィー ドバ ック行動の推移 と

,そ

れが学習成果 に与える影響 を事例的に明 らかに した。その結果

,次

3点

を挙げている。 ①成功裡の単元では

,形

成的授業評価が授業時間の推移 とともに向上す る。 ②直接的指導場面やマネージメン ト場面の時間量は漸減

,逆

に運動学習場面が漸増す る。 ③教師の相互作用 は増加す る。 しか しなが ら

,授

業評価 の高まっていなかつた単元ではそのよ うな推移パ ター ンは見 られなかつた ことを指摘 している。 これ らの研究は

,こ

れ までの教師行動研究の問題である集団か らみた平均的, 一般的な傾 向を示す とい う限界 を超 えよ うとしてい るもの と考え られ る。 また

,深

見 ら

(2000)は

,「教師の積極的なフィー ドバ ック行動や望ま しい表現の しかたは

,子

ど もにとつてより『 役 に立つ助言』 として受 け止め られ

,そ

のことが よ り大きな学習成果 (形成的授業 評価

)を

生み出す」 とした研究仮説 を証明 した。すなわち

,教

師が子 どもの学習に有効なフィー ドバ ックを与 えるための指標 として

,次

4点

を挙げている。 ①技能的学習に対 して 「肯定的 。矯正的フィー ドバ ック」を積極的に与えること。 ②子 どもに確実に伝達 され るよ うな位置

,タ

イ ミング

,言

葉でフィー ドバ ックを与 えること。 ③肯定的フィー ドバ ックを与える際には

,感

情 をこめて (共感的に

)か

かわること。 ④具体的フィー ドバ ックを与える際には,子 どもの印象 に残 るよ う吟味 された言葉 を適用す ること。 さらに

,深

見・高橋

(2003)は

,子

どもか ら有益 に受 け止 め られた教師の矯正的 フィー ドバ ックに 焦点づけて

,器

械運動の授業を対象 に子 どもの学習成果 (技能

)に

つながるフィー ドバ ックのあ り方 を検討 した。その結果

,矯

正的 フィー ドバ ックのすべての分析視点 (課題 の挑戦性

,つ

まずきへの焦 点化

,言

語内容の具体性

,言

語内容の適切 さ

,子

どもの技能成果

)が

子 どもの役 に立った とい う「受 け止め方」に重要な影響 を及ぼす ことを認 めてい る。 これ らの研究は

,教

師の相互作用行動が直接, 子 ども。生徒の授業評価 と関係 があるとい う考え方でな く

,両

者の間に子 ども。生徒の相互作用行動の 「受け止め方」 とい う媒介変数があると想定する研究である。 これ ら一連の研究成果 よ り

,深

見 らは

,教

師が子 どもの学習に有効なフィー ドバ ックを与えるため の指標 を証明 し

,そ

の中で も特に学習成果 (技能

)に

つながる矯正的フィー ドバ ックについて明 らか に した。すなわち, 自主的な運動時間を確保 し

,そ

の中で技能 に関す る肯定的・矯正的フィー ドバ ッ クを多 くし

,そ

れ らを子 どもたちに とつて有益なもの と認識 させ ることが重要であるとした。

(10)

しか しなが ら

,上

記深見・高橋

(2003)の

研究では

,教

師の矯正的フィー ドバ ックが 「わかる」 と い う認知的側面には効果 を示 しているものの

,運

動技能 を達成 した り向上 した りす る 「できる」 とい う技能的側面には影響 していない ことを報告 している。今後の課題 として

,彼

らは子 どもの認知的側 面

,運

動 における技能的側面の双方に影響す る教師の矯正的フィー ドバ ックについて質的研究か ら明 らかにす ることを挙 げている。 近年深見 ら

(2015)は

,熟

練教師 と新任教師の指導技術 を比較す ることによつて

,熟

練教師の効果 的な指導技術 について事例的に明 らかに した。その結果

,次

3点

を挙 げている。 ①子 どもたちの 自主的な運動学習時間を確保す ること。 ②その中で多 くの技能に関す る肯定的・矯正的フィー ドバ ックを与えること。 ③ よ り多 くの子 どもか ら「役 に立つ助言 を受 けた」 と認識 させ ること。 これ らの指導 をす るためには

,毎

時間

,授

業のは じめに本時の学習 目標 と

,

どうすればそれ を習得 できるか とい う課題解決 の方法を具体的に説明す ることが重要であるとしている。 第

2に ,従

来の量的な授業研究では捉 えられなかつた熟練教師の もつ実践的知識 の内実を明 らかに す るために

,子

どもの態度得点 と品詞の使用頻度 とい う量的方法 を加 え

,態

度得点の上位群の教師の 言語的相互作用の事例 を考察す る質的方法 を用いた上原 。梅野

(2000)の

研究がある。すなわち

,上

原 。梅野は

,文

法上か らも,また語彙の意味の上か らも言葉 の最小単位である品詞 を基軸 に

,体

育科の 先行研究で認 め られた教師の作用言語 (Interactional Words,以 下

IW品

詞 と称す

)を

分析単位 とす

る品詞分析 を開発 し

,検

討 を行 つた。 まず

,学

習成果の うち運動の感 じ方・考え方 。行い方 とい う学力の中核 と深 く関係す る学習成果 (態 度得点

)を

高める教師の言語的相互作用 について検討 した (上原・ 梅野,2000)。 具体的には

,小

学 校高学年 (5・

6年 )を

対象 に同一の課題解決的プ ログラムによる走 り幅跳びの授業を行 つてもらい, 学習成果 を顕著に高めた学級 (上位群

)と

そ うでない学級 (下位群

)の

逐語記録 を品詞 により分析 し た。その結果

,一

単位授業における

IW品

詞の使用頻度の比較か ら

,名

詞 (動作

),名

詞 (時間

),副

詞 (叙述

),副

詞 (程度

),形

容詞 (対比

)の

5種

類の品詞 において上位群 の方が下位群 に比べて

,有

意 に多い結果が認 め られた。 さらに

,課

題把握場面 と課題解決場面における

IW品

詞 の使用頻度 を検 討 した結果

,双

方の場面では

,副

詞 (叙述

),副

詞 (程度

),形

容詞 (対比

)の

3つ

の品詞 において, 課題把握場面では助詞 (終助詞

),形

容詞 (肯定的

)の

2つ

の品詞 において

,課

題解決場面では代名 詞 (人称

),名

詞 (動作

),名

詞 (時間

)の

3つ

の品詞 において

,そ

れぞれ上位群の方が下位群に比ベ て有意 に使用頻度が多かった。 これ らの品詞 は

,子

どもの多様 な運動の感 じを発生 させ るとともに, 適切な言語であることが子 どもの心情調査か ら確認できた。 こ うした品詞 を伴 う指導方法を逐語記録

(11)

か ら抽 出 した結果

,得

られ た言語 的相互作用 は 「子 どもの課題 (めあて

)を

理解す るた めの言語的相 互作用 」 と 「運動教材 の もつ技能特性 に出会 わせ る言語 的相互作用 」 とに大別 され た。 次 に

,上

原 。梅 野

(2003a)は

,小

学校 高学年 (5・

6年

)の

走 り幅跳 び (ク ロー ズ ドスキル教材) の授 業 を対象 に学習成果 (技能

)を

高 め る教 師 の言語 的相 互作用 を検討 した。 す なわ ち

,小

学校 高学 年 (5・

6年 )の

態度得 点の高い学級 を対象 に

,同

一 の課題解決 的プ ログラムに よる走 り幅跳びの授業 を行 つて も らい

,学

習成 果 (技能

)を

顕著 に高 めた学級 (上位 群

)と

そ うでない学級 (下位 群

)の

逐 語記録 を品詞 に よ り分析 し

,技

能 を高 め る教 師 の言語 的相 互作用 を検討 した。 その結果

,一

単位授 業 にお け る

IW品

詞 の比較 において

,技

能 が高 まつた結果 と して発せ られ る形容詞 (肯定的

)に

おいて のみ

,上

位群 の方 が下位 群 に比べ て有意 に使 用頻度 が高か つた。 課題 把握 場 面 と課題解 決場 面 にお け る

IW品

詞 の使 用頻度 を比較 した結果

,双

方 の場 面で は形容詞 (肯定的

)に

お いて

,課

題解決場 面 で は走 り幅眺 び の技 能特性 にかかわ る品詞 (代名詞 :人 称

,名

詞 :身体部位・ 動作 。時 間

)に

おいて, それ ぞれ 上位群 の方 が下位群 と比べ て有意 に使用頻度 が高かった。 一方

,課

題 把握 場 面 で は

,授

業 の 雰囲気 を高 め る感 動詞 (肯定的

)に

おいて

,下

位 群 の方 が上位 群 に比べ て有意 に使 用頻度 の高 い結 果 となった。 また

,サ

ッカー (オー プ ンスキル教材

)を

対象 と した研 究 (上原 。梅 野

,2003b)で

,一

単位 授 業 にお け る

IW品

詞 の使 用頻度 を比較 した結 果

,副

詞 (程度

)と

名 詞 (空間

)に

お い て

,上

位群 の方 が下位 群 に比べて有意 に使 用頻度 が高い結果 とな った。まず,課題把 握場 面 と課題解決場面おける

IW

品詞 の使 用頻度 を比較 した結果

,双

方 の場 面 で有意差 の認 め られ た 品詞 はなか つた。 次 に

,各

IW品

詞 の使 用頻度 の比較 で は課題把握 場 面で は

,副

詞 (程度

)と

形容詞 (対比

)に

おい て上位群 の方 が下 位群 と比べ て有意 に使 用頻度 が多 く

,課

題 解決場 面では名詞 (空間

)に

お いて上位群 の方が下位群 と 比べ て有意 に使用頻度 が多かつた。 これ らの ことか ら

,運

動教材 のス キル構 造 (ク ロー ズ ドスキル教材 とオープ ンスキル教材

)が

異 な れ ば

,技

能 を高 め る品詞 も異 な る こ とが認 め られ た。 最後 に

,小

学校 高学年 (5・

6年 )の

走 り幅跳び の授業 を対象 に

,学

習集 団機 能 を 中心 と して態度 得 点 と技能 を高 めた学級 とそ うで ない学級 にお け る教 師 の発 言 を品詞 に よ り

,分

析 0検討 した (上原・ 梅 野,2007)。 その結果

,一

単位授 業 にお け る

IW品

詞 の比較 か ら上位 群 は

,下

位 群 に比 べて

,名

詞 (固有

)と

代名 詞 (人称

)の

使 用頻度 が有意 に多 い結果 で あつた。 課題 把握 場 面 と課題解決場 面 にお け る

IW品

詞 の使 用頻度 を比較 した結果

,双

方 の場 面 で有意差 の認 め られ た品詞 はなか った。課題 把 握場面で は

,名

詞 (動作

),副

詞 (叙述

),副

詞 (程度

),形

容詞 (対比

)の

4つ

の品詞 を併用す るこ とで

,上

位 群 の教 師 は子 どもの課題 の必然性 と意 味理解 を促進 させ る とともに

,形

容詞 (肯定的

),助

(12)

詞 (終助 詞

)を

多用す る こ とで授 業 の雰 囲気 を明 る くす る ところに特徴 がみ られ た。 また

,課

題解 決 場面 にお いて名詞 (時間

),名

詞 (動作

),副

詞 (叙述

),副

詞 (程度

)の

4種

類 の品詞 を併 用す る こ とで

,上

位群 の教 師 は子 ども一人 ひ と りの課題 の解決 に応 じる指導 方法 (走り幅跳 びの技能特性 に触 れ させ る指 導

)を

展 開 させ る ところに特徴 がみ られ た。 これ らの こ とか ら

,態

度得 点

,技

,学

習集 団機 能 の

3つ

の学習成果 を高 めるには

,子

ども一人ひ と りに よ り多 くかかわ り

,課

題把握 場 面 では子 どもの考 えを認 めた上で課題 を明確 に提示 し

,問

いか けなが ら課題 の形成情報 を流す ことが重要 で あ り

,課

題 解決 場 面 で は よ り具体的 な矯 正的 フ ィー ドバ ックをか け る こ とで子 どもの課題解決 に応 じる ことが重要で あるこ とが考 え られ た。 これ ら一連 の研 究成果 よ り

,上

原 。梅 野 は

,学

習成果 (態度得 点

,技

,学

習集 団機 能

)を

高 め る 教師 に よる特 定 の

8つ

の品詞 の用 い方 (計

12種

類 の品詞

)が

存在 してい る こ とを認 めてい る。 ① 助 詞 (終助詞

)は

,授

業 の雰 囲気 を明 る くす る。 ②名詞 (固有

),代

名詞 (人称

)は ,子

ども一人ひ とりの課題解決 を促す。 ③副詞 (叙述

)は

発問す る際に用い

,子

どもの多様な運動の感 じを引き出す。 ④形容詞 (対比

)は

,子

どもの課題 の形成 を促す。 ⑤副詞 (程度

)は ,ジ

ェスチャや フィンガーアクシ ョンな どの身体的所作 とともに用い

,子

どもの 課題解決 に応 じる動 きのイメージを明確 にす る。 ⑥形容詞 (肯定的

),感

動詞 (肯定的

)は ,子

どもの工夫 した動 きを認 める。 ⑦名詞 (身体部位

)は

,動

きのイメージを具体化す る。 ③名詞 (動作

),名

詞 (時間

),名

詞 (空間

)は

運動教材が有す る技能特性 を明確 に伝達す る。 す なわち

,従

来の量的な授業研究では捉 え られなかった熟練教師の もつ実践的知識 の内実を明 らか にす るために

,子

どもの態度得点 と品詞の使用頻度 とい う量的方法 を加 え

,態

度得点の上位群の教師 の言語的相互作用の事例 を考察す る質的方法 を用いた品詞分析 によ り検討 している。 しか しなが ら

,上

原 。梅野の先行研究は

,対

象 となつた授業が小学校高学年 に限定 されてお り

,ク

ローズ ドスキル教材である陸上運動領域 に とどまつてお り

,オ

ープ ンスキル教材であるボール運動領 域ではほ とん ど研究例がない。 そ こで

,本

研究では小学校高学年のバスケ ッ トボール (オープンスキル教材

)を

対象に

,学

習成果 (態度得点

)を

高める教師の言語的相互作用 について検討す る。 ところで

,近

年質的データの分析 においてテキス トマイニングとい う手法が注 目されている。テキ ス トマイニングとは,「蓄積 された膨大なテキス トデータを何 らかの単位 (文字

,単

,フ

レーズ

)に

分解 し

,こ

れ らの関係 を定量的に分析す ること」(金

,2009)と

定義 され

,具

体的には形態素解析 と

(13)

い う単語 の活用 を考慮 し最小 の意 味単位 に分割す る第一段 階 と形態 素か ら大 きな ク ロス表 に書かれ た 数字 を処理す る とい う

2つ

の メカニズムか らなつてい る (服部,2013)。 また

,言

葉や 文章 とい うテ キス トデ ー タか ら新 た な知識 を発 見す る手法 で あ り

,ル

ールやパ ター ンを発 見す る とい う探 索的な性 質 を もつデー タマイ ニ ングの

1つ

の種類 で ある と考 え られ てい る (藤井,2005)。 ま た

,こ

のテ キス トマイ ニ ングを用 いた体育 の授業研 究 と して伊藤 ら

(2013)の

小 学校

5年

生 を対 象 と した

50m走

に対す る記録 の評価 と意識 についての事例的研 究が挙 げ られ る。と りわ け

,子

どもの 感想 文 のテ キス トマイ エ ングでは

,記

述 され た文章 (子 ども全員 の感想 文

)の

中で抽 出 され た単語 を 度数 の高 い順 に並べ頻度 分析 を行 い

,子

どもの

50m走

に対す る全体的 な意識傾 向を把握 してい る。す なわ ち

,研

究授 業 として

50m走

をい か に速 く走れ るか を学習 した学級 で は,「走 る」「変形 ダ ッシュ」 「練 習方法」「中間疾走」な どが上位 に挙げ られ

,ス

ター トか ら加 速 し

,中

間疾 走 で手 を使 つて速 く走 れ る よ うにな って うれ しい こ とが読 み取れ た。これ に対 して

,体

力測 定 の走力判 定 だ けで

50m走

を行 った学級 では,「速 い」「良い」「走 る」「感 じ」「50m」 な どのい ろい ろな言葉 が挙 げ られ

,意

識 が分散 して い る こ とが読 み取れ た。 この よ うに

,テ

キス トマイ ニ ングを用 い た研 究方法 は

,上

原 。梅 野 の教 師 の発言 を品詞 分析す るの と同様 に

,子

どもの感 想 文 を単語 分析 してい る こ とは共通 してい る。 しか しなが ら

,テ

キス トマイ ニ ングは記述 され た文章 (子ども全員 の感想 文

)を

使用 され た単語 の度数 の高 い順 に並べ て

,学

級全 体 の

50m走

に対す る意識や傾 向を把握 してい るこ とに とどまつてい る。それ故

,本

研 究 で は上原 。梅 野 が開発 した品詞分析 を用 い るこ とと した。

(14)

第 Ⅱ章

学 習成 果

(態

度 得 点

)を

高 め る教 師 の言 語 的相 互 作 用 に関す る研 究

第 1節

研究の目的

一般 に

,体

育授 業 の主た る活 動 は

,身

体運動 お よび身体活動 で あ るが

,そ

こで営 まれ る実際の授業 は

,教

師 の発言 が大 き く影 響 を及 ぼす と言 われ てい る。 これ まで上原 。梅野 は文法上か らも語彙 の意味の上か らも言葉 の最小単位 である品詞 を基軸 に

,体

育科 の先 行研 究 で認 め られ た教 師 の作用言語 を分析 単位 とす る品詞 分析 を開発 し

,検

討 した (上原・ 梅野

,2000,2003a,2003b,2007)。

これ ら一連 の研 究成果 よ り

,小

学校 高学年 のハ ー ドル走や 走 り 幅跳 び な どの陸上運動領 域 (ク ロー ズ ドスキル教材

)に

お い て

,学

習成果 (態度得 点

,技

,学

習集 団機 能

)を

高 め る教 師 に よる特 定 の

8つ

の品詞 の用い方 (計

12種

類 の品詞

)が

存在 してい るこ とを 認 めて い る。 しか しなが ら

,上

記 の先行研 究 は

,ク

ロー ズ ドスキル教材 で ある陸上運動領域 に とどまつてお り, オー プ ンス キル教材 で あるボール運動領域 ではほ とん ど研 究例 (上原 0梅野

,2003b)が

ない。 そ こで

,本

研 究で は小学校 高学年 (5・

6年 )を

担任 してい る6名の教師 に

,同

一 の課題解決 的プ ロ グラム に よるバ スケ ッ トボール の授 業 (オー プ ンスキル教材

)を

行 つて も らい

,学

習成果 (態度得 点) を顕著 に高めた学級 とそ うでない学級 の逐語記録 を品詞 に よ り分析 し

,以

下 に示す

2つ

の研 究課題 の 回答 を得 よ うと した。 ① バ ス ケ ッ トボール (オー プ ンスキル教材

)の

授 業 におい て も教 師 に よる特定 の

8つ

の品詞 の用 い 方 が認 め られ るか。 ② さらに

,そ

れ らの品詞 の用 い方 に特徴 が あるのか。

(15)

2節

研 究 方 法

(1)対

象 とそ の授 業 本研 究 の対象 は

,兵

庫 県 下並 び に香川 県 下 の

3小

学校 高学年 (5・

6年 )を

担任 してい る6名の教師 であ る。各教師 には

,平

27年

6月 下旬 か ら 10月 下旬 にか けて

,同

一 の課題解決 的プ ログラムに よ るバ スケ ッ トボール (計

9時

)の

授 業 を展 開 して も らつた。 なお

,本

研 究 の対象 とな つた6名の教 師お よび学級 の コンテ キス トを表 1に示 してい る。

(2)指

導 プ ログ ラ ム 本研 究 の対象 とな った6名 の教 師 に

,今

回用 いた指導 プ ログラム注1)の意 図 と内容 に関す るオ リエ ンテー シ ョン と課題形成 的学習注2)にお ける具体 的 な指導 方法 につ いて の情報 を提 示 した。 図

1は

,今

回用 いたバ ス ケ ッ トボール の指 導 プ ログラムの内容 を模 式 的 に示 した もので ある。 この プ ログ ラムは

,子

どもた ちが 自らで課題 を形成す るた めの問題設 定 として 「共有課題 」 を単元経過 ご とに設 定 してい る。す なわち

,共

有課題

Iは

,「パ スをつ ないで シュー トを しよ う」で あ る。一人で ド リブル か らの シュー トまで持 ち込 む ので はな く

,味

方 にパ ス をつ な ぎなが らゴール に迫 る こ とを 目指 す。共 有課題 Ⅱは,「ズ レをつ くつて シュー トしよ う」で ある。相手 をかわす こ とに よつてズ レをつ く リパ ス を も ら うこ と

,そ

してパ ス を出す側 もす ばや いパ ス を意識す るこ とでシュー トにつなげること を 目指す。共有課題 Ⅲは,「スペ ー ス を うま く使 つてシュー トを しよ う」で ある。ここではポス トマ ン の役割 を導入 した コア作戦 の練習 を取 り入れ てい る。 そ して

,ポ

ス トマ ン との コン ビネー シ ョンを生 か し

,全

体 のスペ ー ス を うま く活 用 しなが らす ばや くシ ュー トヘ もち こむ こ とを 目指す。

(3)子

ど もの授 業 に対 す る態 度 と心 情 の測 定 単元前後 にお ける子 どもの授 業 に対す る愛好 的態度 を小林 (1978)の 態度測 定法 を用 いて測定 した。 表

1に

示 した よ うに

,態

度得 点 は男女別 に 「よろ こび」「評 価 」「価 値 」尺度 の診 断結果 が

A∼

Eで

評 価 され る。そ こで

,A:5点 ,B:4点 ,C:3点 ,D:2点 ,E:1点

と して

,単

元後 の合 計 点 を出 し, 順位 を決 定 した。 そ の結果

,合

計得 点

21点

以上 を上位 群

3学

(A,B,C学

)と

合計得 点

20点

以 下 を下位 群

3学

(D,E,F学

)に

分類 した。 表

1.態

度測 定 の診 断結果 と授 業者 の コンテ キス ト

学級名

学年人数 男子 女子 館 即 暑 継

診断結果

1評

価値 診断結果 劇 U こ 2 つ L r い 評価 価値 11

経験年数

車円教科

上位群

騨級 51F

呂いレ

ベル成功

5 5 5 宮い成功 4 5 男性 0年 体育 B学級 51F

昌いレ

ベル成功

5 5 4 高いレベル成功 5 4 男性 9年 英語 Cttll 5年

tシ

スやや成功

3 4 3

かなり

低いレ

ベルかなり

成功

4 4 男性 12年 理科

下位群

D学級 6年

かなり

低いレ

ベルやや失敗

2 3 かなり高いレベル成功 4 4 女性 7年 算数 [学級 6年 アンノ`ランスアンノ`ランス 3 4 2 かなり高いレベルやや成功 3 4 男性 2年 国語 F学級 6年 アンノ1ランスアンノ`ランス 3 4 2

かなり

低いレ

ルア

バラ

2 4 女性 41F 家庭科

(16)

共 有 課 題 とそ の 内容 1 2 3 4 5 6 7 8 9 図 1. バスケ ッ トボール の指導 プ ログラム

(17)

ところで

,本

研 究 では上位 群 と下位群 とで指導 プ ログラムが 同一 であ り

,さ

らに学習集 団 と施設等 の条件 もほぼ同一 で あつた こ とか ら

,態

度 得 点 の違 い は

,被

験教 師 の 日々の教授活 動 の違 いが影響 し てい る もの と考 え られ る。 よつて

,今

回収集 した上位 群 と下位 群 の逐語記録 は

,態

度得 点 を高 める教 師 の言語 的相互作用 を品詞 分析 に よつて究 明す る上 で十分 に意 味 の あるデ ー タ と考 え られ る。 一 単位 授業 の評価 としては

,高

田・ 小林 の 「よい授 業」へ の到 達度調 査 (小林

,1978)を

毎授業後 に実施 し

,各

質 問項 目に対す る好意 的反応 を量的並 び に質 的 の両面 か ら分析 した。

(4)授

業記 録 の収 集 バ スケ ッ トボール の指導 プ ログラムか ら

,各

単元過 程 の 中心 で あ る2・ 4・

7時

間 目の授 業 をIC コー ダーお よび ビデオ を用 いて収録 し

,教

師 の発 言 内容 の逐語記録 (準備 運動 と整 理運動 は除 く) 作成 した。

(5)品

詞 分析 の方 法 上原・ 梅野 が開発 した品詞分析

(2000)は

,名

,動

詞 とい つた品詞 の使 用頻度 の違 い を比較 ◆検 討 す る もので あ るが

,彼

らが これ までの教 師 の 「相 互作用 」研 究 の結果 に基づ いて

,体

育授業 にお け る教 師 の作用言語 を文法 上 か らもまた語彙 の意 味 の上 か らも言葉 の最小 単位 で あ る品詞

(IW品

詞 : Interactional Words)を 基軸 に検討 してい る注3)。

1つ

目は

,相

互作用 の雰 囲気 にかかわ るカテ ゴ リーで ある。先行研 究 よ り

,授

業全 体 で は

,授

業 の 雰 囲気 が子 どもの課題解 決 に影 響 を及 ぼす こ とか ら

,授

業 の雰 囲気 を和 らげ る教 師 の発 言 として,「…・ (だ

)ね

」「・…(だ

)よ

」 とい う助詞 (終助詞

)を

設 定 してい る。

2つ

日は

,相

互作用 の対象 にかかわ るカテ ゴ リー で ある。先行研 究 よ り授業 の雰 囲気 は

,教

師 の発 言 が個 人 に向 け られ てい るか否 か と深 く関係 す る こ とか ら,「○○君」「○○ さん」とい う名詞 (固有) と 「あな た」「きみ」 とい う代名詞 (人称

)を

設 定 してい る。

3つ

目は

,課

題 の確認 お よび深 化 にかか わ るカテ ゴ リー で あ る。 先行研 究 よ り

,課

題 の把握 場 面で は

,子

どもの授業評価 の高い授業 では

,発

問活動 に よつて課題 の意 味理解 を促 進 させ る こ とか ら,「な ぜ …?」 「ど う (して)…・?」 「も し… した ら?」 とい う副詞 (疑問・ 強調・ 仮 定

)を

分析 してい る。 ま た

,先

行研 究 よ り

,課

題解決 場 面では

,子

どもの授業評価 の高い授業で は

,子

どもの動 きを課題 に 合 つた動 きへ と高 め る矯 正的 フ ィー ドバ ックは

,主

と して技能的パ フォーマ ンスの誤 りを正す ために 与 え られ る言語 的・ 非言語 的 な行動 とされ てい る。 この矯 正的 フ ィー ドバ ックを言語 的活動 に限 つて 考 えて

,子

どもの課題 を確認 させ る 「長 い ―短い」「大 きい 一小 さい」 とい う形容詞 (対比

)や

教師 に よ る具体 的な動 きの説 明

,示

範や ジ ェスチ ャな どに よ く用 い られ

,課

題 を深化 させ る。「こ う(して)」 「そ う (して)」 とい う副詞 (程度

)を

設 定 してい る。 レ   を

(18)

4つ

日は

,子

どもの動 きの評価 にかかわ るカテ ゴ リーで ある。 先行研 究 よ り

,肯

定的 な相互作用 が 多 い と子 どもの授 業評価 も高い こ とか ら,「す ば ら しい」「いい」 とい う形容詞 (肯定

)と

「よ― し」 「よっ しゃ」 とい う感動詞 (肯定

)を

設 定 してい る。

5つ

日は

,運

動技術 の指 導 にかかわ るカテ ゴ リー で あ る。 体育科 にお いて

,課

題 内容 お よび運動 の しかた を説 明す るた めに不可欠 であるこ とか ら,「手」「足 」 とい う名 詞 (身体部位),「ス ター ト」「踏 切」 とい う名詞 (動作),「 今 」「さっき」 とい う名 詞 (時間),「前 」「横 」 とい う名詞 (空間

)を

設 定 した。 表

2は

,先

行研 究 に基 づ いて設 定 した

IW品

詞 をカテ ゴ リー別 に分 けた もの に具 体例 をカロえて示 し た もので ある。 品詞 分析 については

,逐

語 記録 に基 づい て一単位授業 にお ける品詞 の使用頻度 をカ ウン トした。 こ の時

,授

業者や 学習 段 階 に よつて授 業時 間 にバ ラツキが認 め られ た た め

,い

ずれ の授 業 も

45分

授 業 と して の使用頻度 にな るよ うに補正す る。す なわ ち

,課

題 の把 握場 面か ら課題 の解決場 面 に至 るまで の時間が

51分

の場合

,45分

を分母 とす る割合

(1.13)を

そ の時 の品詞 の使 用頻度数 に除 して補正 し た。

(19)

2.先

行研 究 に基 づ い て設 定 した

IW品

詞 とそ の具体例

品詞の特性 IW品詞名

具体例

相互作用の対象

名詞

(人

)

代名詞

(人

)

「OO君 」

OOさ

ん」

OOち

ゃん」

OO」

など

「あなた」

「あんた」

「きみ」など

相互作用の雰囲気

助詞

(文

末終助詞

)

「・

(だ)ね

「…

(だ)よ

「…

(た)わ

(た)な

「…

(た)の

「・

(た)か

な」

6つ

課題

(め

あて

)の

確認及び深化

副詞

(疑

間・強調口

仮定

)

形容詞

(対

)

副詞

(程

)

「なぜ」

「なんで」

「どう

(し

)」

「全然」

「もし」

「なるほど」

など

「速い一遅い」

「長い一短い」

「大きい一小さい」

など

「しつかり」

「こう

(し

)」

「ばつと」など

矯正的

(技

能的

)フ

ィードバック

名詞

(身

体部位

)

名詞

(動

)

名詞

(時

)

名詞

(空

)

「足」

「手」

「頭」

「腰」

「かかと」など

「パス」

「ドリブル」

「シュート」などの教材の運動局面のテクニ

カルターム

「今」

「さつき」

「最初」

「最後」

「…

(す

)と

き」

など

「前」

「後」

「横」

「上」

「下」

「ここ」など

子どもの動きの評価

形容詞

(肯

定的

)

感動詞

(肯

定的

)

「いい」

「うまい」

「きれい」

「よい」など

「よ―し」

「よつしゃ」

「お―し」

「ええ」など

(20)

3節

品 詞 分 析 の 結 果 並 び に 考 察

(1)上

位 群 と下位 群 にお け る品詞 使 用 頻 度 の特 徴 図

2は

,一

単位 授 業 (45分間

)に

お ける上位 群 と下位群 の品詞総数 を比較 した ものである。 上位 群 は約 3,000語

,下

位 群 は約 1,700語で あ り

,上

位 群 の方 が下位 群 に比 して有意

(P<.001)

に使用頻度 の多い結果 が認 め られ た。す なわ ち

,上

位 群 は下位 群 に比 べ て倍 程度 の発言 を行 つていた こ とが わか る。 ちなみ に

,先

行研 究 (上原・ 梅 野

,2000)の

幅眺 び (ク ロー ズ ドスキル教材

)で

は上 位 群3,300語

,下

位 群 1,900語 と同様 の結果 で あ つた。 これ らの こ とか ら

,バ

スケ ッ トボール (オー プ ンス キル教材

)に

おい て も

,学

習成果 (態度得 点

)を

高 め る教 師 に よる特 定 の

8つ

の品詞 の用い方 (計

12種

)の

存在 す る可能性 が高い もの と考 え られ る。 表

3は ,一

単位授 業 にお け る各一般 品詞 の使 用頻度 を上位 群 と下位 群 で比較 した もので ある。 各 品詞 の使 用頻度 には形容動詞 と連体詞 を除 く残 りすべ て の品詞 にお いて

,上

位 群 の方 が下位 群 に 比 して有意

(P<.05)に

使用頻度 の多い結果 が認 め られ た。す なわ ち

,上

位 群 と下位 群 は各 一般 品 詞 を同 じよ うな割合 で使 用 していた。 この こ とは

,上

位群

,下

位 群 ともに小 学校 教員 と して正 しい 日 本語 の文法 に則 り発 言 していた こ とを示す もの と考 え られ る。 さらに

,上

位 群 と下位 群 にかかわ らず 使用 した指導 プ ログ ラムが同一 で あつた こ と, しか も一単元授業 にお ける学習活動 の流れ もほぼ同様 で あった こ とが理 由 として考 え られ た。す なわ ち,一 単位授 業の流れ が上位群並び に下位群 ともに「教 師 と子 どもの話 し合 い (課題形成

)→

ドリル ゲー ム にお ける教師 と子 ども との相互作用 (課題把握) → ゲー ムにお ける教師 と子 どもの相互作用 (課題解決

)→

教 師 と子 どもに よる授 業 のま とめ (課題 解 決 と課題 発展)」 で あ り

,し

か もこれ らの学習活動 を方向づ ける学習 内容

(=教

育 内容

)が

指導 プ ログ ラムに よつて 同一 に既 定 され る結果 であつたため

,指

導 の発言パ ター ンが類似 した様相 にな った もの と考 え られ る。 ※ ※ ※ (語) 3500 3000 2500 2000 1500 1000 500 0 ■上位 群 ■下位 群 下位群 ※ ※ ※P<.ool 図2.上位群と

W騎

司劉節

"麟

(一単団廃約

(21)

3.一

単位 授 業 にお け る上位 群 と下位 群 の一般 品詞 の使 用頻度 の比較 有 意 差 の 認 め ら れ た 品 詞 一 単 位 授 業 名 言司 ★ 動 言司 ★ 形 容 詞 ★ 形 容 動 詞 冨u言司 ★ 連 体 言司 接 続 言司 ★ 感 動 詞 ● 助 言司 ★ 助 動 詞 ★ ●

:P<.05

:P<.001

次 に

,IW品

詞 の使 用頻度 を中心 に検討 してい くこ とにす る。 図

3は

,一

単位 授 業 にお ける上位 群 と下位 群 の

IW品

詞 の使 用頻度 を一 単位授 業 で比較 した もので ある。 形 容詞 (肯定的

)と

感 動詞 (肯定的

)は

,子

どもの工夫 した動 きを認 め

,授

業 の雰 囲気 を よ くす る 品詞 で あ る。上位群 の教 師 は 「うまい」「す ごい」な ど

,形

容詞 (肯定的

)を

用 いて子 どもの動 きを認 め,「よつ しゃ」「ナイス」な どの感動詞 (肯定的

)を

用 い て授 業 の雰 囲気 を明 る く していた と考 え ら れ る。 形 容詞 (対比

),副

詞 (疑間 。強調・ 仮 定

),副

詞 (程度

)は

,課

題 (めあて

)の

確認 お よび深化 を 促進 す る品詞 で あ る。 上位 群 の教 師 は,「 どこ」「なに」な どの副詞 (疑問・ 強調・ 仮 定

)を

用 い て子 どもの多様 な運動 の感 じを引 き出 しなが ら,「遠 い 一近 い」「強 い 一弱 い」 な どの形容詞 (対比

)を

用 いて課題 を明確 にす る とともに,「ふ わ つ と」「しゅつ と」「さつ と」な どの副詞 (程度

)を

用 いて動 き のイ メー ジを深 めていた もの と考 え られ る。 名 詞 (人名

)と

代名詞 (人称

)は

,個

人 を特 定 し

,子

ども一 人ひ と りに言葉 が けをす る ときによ く 用い られ る品詞 で あ る。 上位 群 の教師 は,「○ ○ くん」「○○ さん」 な どの名詞 (人名

)や

「あなた」 「きみ」な どの代名詞 (人称

)を

用 いて個 人 を特 定 し

,子

ども一人ひ と りにかかわ つていた もの と考

(22)

(語) 120 (語) 120 100 80 60 40 20 0 名詞(人名

)

代名詞(人称)

P<o5※

※p<ol※※※pく ool

3.一

単位 授 業 にお け る上位 群 と下位 群 の

IW品

詞 の使 用頻度 □上位群 ■下位群 形容詞(肯定り 形容詞(対比) 屋1詞(疑。強・側 副詞(程励 感動詞(肯定的

)

助詞(文末終助詞 ※Pく.05※※Pく.ol※※※Pく .o01 え られ る。 名 詞 (動作

),名

詞 (空間

),名

詞 (時間

)は ,運

動教材 が有す る技 能特性 を明確 に伝 達 し

,技

能 に 関す る矯 正 的 フ ィー ドバ ックを行 う品詞 で あ る。 上位 群 の教 師 は 「パ ス」「シュー ト」「 ドリブル 」 な どの名詞 (動作

)や

「前」「後 ろ」「横」な どの名詞 (空間),「今 」「す ぐ」「さつき」 な どの名 詞 (時 間

)を

用 い て具体性 の あ る矯 正的 な フ ィー ドバ ックを多 く行 い

,子

どもた ち をバ ス ケ ッ トボール の も つ技能的特性 に触れ させ ていた もの と考 え られ る。 これ らの こ とか ら

,上

位 群 の教師 は授 業 の雰 囲気 を高 めた上 で

,子

どもの多様 な運動 の感 じを引き 出 しなが ら

,個

人 に合 わせ た動 きのイ メー ジを用 いて課題 を明確 に し

,具

体性 の あ る矯正 的 な フ ィー

(23)

ドバ ックを多 く用 いてバ スケ ッ トボール の もつ技能特性 に触れ させ ていた もの と考 え られ る。 これ ら の ことが

,結

果 的 に授 業 の愛好 的態度 を高 めた もの と考 え られ る。

(2)課

題 把 握 場 面 と課 題 解 決 場 面 にお け る品詞 使 用 頻 度 の相 違 表

4は ,一

単位 授 業 にお け る課題把握 場 面 (19分

54秒

)と

課題解決場面

(25分

6秒 )に

お ける上 位 群 と下位 群 の

IW品

詞 の使 用頻度 を比較 した もので あ る。 双方 の場 面 で有意差

(P<.05)の

認 め られ た品詞 は

,名

詞 (身体部位

),名

詞 (空間

),名

詞 (時 間

),代

名詞 (人称

),形

容詞 (対比

),副

詞 (疑問 。強調・ 仮 定

),副

詞 (程度

)の

7種

類 であ り

,い

ず れ も上位 群 の方 が 下位 群 に比 して使 用頻度 の多 い結果 が認 め られ た。 代名 詞 (人称

)は ,個

人 を特 定 し

,子

ども一人ひ と りに言葉 が けをす る ときによ く用 い られ る品詞 で ある。上位群 の教 師 は,「あなた」「彼女」「彼 」な どが多 く用 い られ ていた。す なわち

,単

元後 半 に お けるポス トマ ン とい う役割 を明確 に して子 どもた ちに伝 え

,一

人 ひ と リヘ課題 を明確 に し

,解

決 を 促 してい た と考 え られ る。 形容詞 (対比

),副

詞 (疑問・ 強調・ 仮 定

),副

詞 (程度

)は

,課

題 (めあて

)の

確認 お よび深化 を 促進す る品詞 で あ る。 形容 詞 (対比

)は

,「遠 い 一近 い」「強い 一弱い」 な どが多 く用 い られ ていた。す なわ ち

,課

題 把握 場 面 と課題解決場 面 の双 方 を通 してパ スや シュー トにお け るボール の動 きにつ いて具体 的 に伝 える こ とで

,子

どもの課題形成 を深化 し

,ま

た課題解決 を促 していた と考 え られ る。 副詞 (疑問 。強調・仮 定

)は

,「 ど う…?」 「どこ…?」 「いつ …?」 な どの発 間が多 く用 い られていた。 す なわ ち

,課

題把握 場 面 にお いて は学級全体や グル ー プ にお ける話 し合 い にお いて課題 を共有 してい た もの と考 え られ る。 また

,課

題解決場面 においては

,個

人や グル ー プの課題解決 のた めに問いか け ていた もの と考 え られ る。 副詞 (程度

)は

,「ぱ つ と」「さっ と」「どん どん」 な どが多 く用 い られ ていた。 す なわ ち

,課

題 把 握 場面 と課題解決場 面 の双 方 を通 してパ スや フェイ ン トとい ったバ スケ ッ トボール の技 能特性 につ な が る動 きを

,ジ

ェスチ ャや フィンガーアクシ ョンな どの身体的所作 を使 いなが ら

,子

どもの課題解決 に通 じる動 きのイ メー ジを明確 に していた と考 え られ る。 名詞 (身体部位

),名

詞 (動作

),名

詞 (時間

)は

,運

動教材 が有す る技能 特性 を明確 に伝達 し

,技

能 に関す る矯正 的 フ ィー ドバ ックを行 う品詞 で あ る。 名詞 (身体部位

)は

,「足」「手 」「片足」 な どが多 く用い られ ていた。す なわち

,課

題把握場 面 と 課題解決場面の双方 を通 して主 にシュー トまでの流れ を説 明す る際 に用い られ てお り

,子

どもにシ ュ ー トの動 きを具体化 して説 明 し

,課

題 把握 と課題解決 を図 つていた もの と考 え られ る。 名詞 (空間

)は

,「こ こ」「そ こ」「ズ レ」「前」「上」「下」 な どが多 く用 い られ てい た。す なわち, 課題把握 場 面で は ドリル ゲー ムや話 し合 い の際 にバ スケ ッ トボール の もつ技能特性 を明確 に伝 え

,課

題解決場 面では コー ト内での具体的 な場所 を示 して矯正的 なフィー ドバ ックを行 うこ とで

,子

どもた ちの課題 把握 と課題解決 を促 していた もの と考 え られ る。

表 2.先 行研 究 に基 づ い て設 定 した IW品 詞 とそ の具体例
表 3.一 単位 授 業 にお け る上位 群 と下位 群 の一般 品詞 の使 用頻度 の比較 有 意 差 の 認 め ら れ た 品 詞 一 単 位 授 業 名 言司 ★ 動 言司 ★ 形 容 詞 ★ 形 容 動 詞 冨 u言 司 ★ 連 体 言司 接 続 言司 ★ 感 動 詞 ● 助 言司 ★ 助 動 詞 ★ ● :P&lt;.05  ★ :P&lt;.001 次 に ,IW品 詞 の使 用頻度 を中心 に検討 してい くこ とにす る。 図 3は ,一 単位 授 業 にお ける上位 群 と下位 群 の
図 3.一 単位 授 業 にお け る上位 群 と下位 群 の IW品 詞 の使 用頻度 □上位群■下位群形容詞(肯定り形容詞(対比)屋1詞(疑。強・側副詞(程励感動詞(肯定的) 助詞(文末終助詞※Pく.05※※Pく.ol※※※Pく .o01 え られ る。 名 詞 (動 作 ),名 詞 (空 間 ),名 詞 (時 間 )は ,運 動教材 が有す る技 能特性 を明確 に伝 達 し ,技 能 に 関す る矯 正 的 フ ィー ドバ ックを行 う品詞 で あ る。 上位 群 の教 師 は 「パ ス」「シュー
表 4.一 単位 授 業 にお け る課題把握場 面 と課題解 決場 面 にみ る 名 詞 (時 間 )は ,「 今 」「…。 (す る )と き」「さつ き」 な どが多 く用 い られ ていた。 す なわ ち ,課 題 把握場 面 で は ドリル ゲー ムな どにおい て シュー トやパ スな どに関す る動 き を明確 に伝 えてお り ,ま た 課題解決場面ではゲーム中に教師 が即時 にフ ィー ドバ ックを行 う機 会 を増や した もの と考 え られ る。 これ らの こ とか ら ,上 位
+6

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