(1)品
詞 総 数 につ い て図
2に
示す よ うに,一単位 授 業 (45分間)にお ける上位群 と下位 群 の品詞総数 は,上位群 が約 3,000 語,下
位 群 が約 1,700語で あ り,上
位 群 は下位 群 に比べ て倍 程度 の発言 を行 つていた こ とがわか る。ちなみ に
,先
行研 究 (上原 。梅 野,2000)の
走 り幅跳 び (ク ロー ズ ドスキル教材)で
は上位群 3,300 語,下
位 群 1,900語と同程度 の結果 で あつた。この こ とか ら,小学校 高学年 にお ける学習成果 (態度得 点)を高 め る教 師 は,オー プ ンスキル教材,
ク ロー ズ ドスキル教材 にかかわ らず
,学
級 全 体や個人 に対 して一 単位授 業 (45分間)あ
た り3,000語 程度 の発 言 を行 つてい る こ とがわか る。この よ うな発言 をす るためには
,教
師 はまず運動 につ い ての知識 を有 してい るこ と,次
に指導 プ ログラムの 内容 につい ての理解 を してい るこ と
,さ
らに相互作用 の対象 で ある子 どもについての理解 を してい る こ とが必要 である と考 える。 とくに,子
どもにつ い て の理解 をす る際,山
口 ら(2010)は
,優 れ た教 師 (恒常的 に態度得 点 の高い教 師
)に
お ける特有 の知識 の介在 を認 めてい る。す なわ ち,優
れ た教師 は 「運動教材 にお ける児童 のつ まず きの類型 とその手 だて に関す る知識 」 を有 してい るこ と を報告 してい る。
また
,バ
スケ ッ トボール の上位群 と下位 群 の教 師は,走
り幅眺び に比べてそれ ぞれ200語
か ら300 語 程度 発 言 が少 なか つた。 これ は,オ
ー プ ンスキル教材 とク ロー ズ ドスキル教材 の違 いに よるもの と 考 える。 す なわ ち,発
言 の対象 レベ ル にお いて,走
り幅眺び は個人 的スポー ツであ るため,教
師 は個 人 レベル で子 どもに関わ りなが ら授 業 を展 開す る。 これ に対 して,バ
スケ ッ トボール の よ うな集 団ス ポー ツで は,教
師 の発言 が集 団 レベル にか かわ る こ とが多 い もの と考 え られ る。 また,運
動空 間 におい て,走 り幅跳びでは運動場 の一部分 のみ を利用 し授業 を展 開す るため,運動空 間が狭 いの に対 して, バ スケ ッ トボールで は体育館全体 を利 用 して ドリル ゲー ムや ゲー ム を行 うため
,運
動 空 間が広 い。 さらに
,子
どもた ちの運動 時間について も,走
り幅跳 び で は助 走,踏
み切 り,滞
空 。着地のス ター トか ら終わ りまでの一連 の動作が10秒
程 度 と短 いの に対 して,バ
スケ ッ トボール では ドリル ゲー ム とゲ ー ムの双方 において 10分程度 と長 く連続 したプ レー が続 く。これ らの特性 は,1回
の運動時間が短い 走 り幅跳 び で は,教
師 は 日本語 の文法 に則 り,長
い文章 を用 いて発言 して,子
ども とかかわ るこ とが 可能 で あ る と考 え られ る。 これ に対 して,長
く連続 したプ レー が続 くバ スケ ッ トボール で は,短
い言葉 で即 時 に発 言す る もの と考 え られ る。
この よ うに運動教材 の もつ技能特性 の違 い に も とづ く相 互作 用 の しかたの相違 がオー プ ンス キル 教 材 とク ロー ズ ドス キル 教材 の品詞 の使用頻度 の差異 とな って現れ た もの と考 え られ る。
(2)一
般 品詞 につ い て一単位 授業 にお ける一般 品詞 の使 用頻度 について
,本
研 究 のバ ス ケ ッ トボール (オー プ ンスキル教 材)と
先 行研 究 (上原・梅 野,2000)の
走 り幅跳び (ク ローズ ドスキル教材)を
比較 。検討す る。バ スケ ッ トボール では形容動詞 と連体詞 を除 く残 りすべ ての品詞 (表
3参
照)に
おいて,走
り幅眺 びで は,形
容動詞,感
動詞 を除 く残 りすべ て の品詞 におい て,そ
れ ぞれ 上位群 の方 が下位群 に比 して 有意 に使 用頻度 の多 い結果 が認 め られ た。これ らの こ とか ら, どち らの教材 において も
,品
詞総数 において認 め られ た有意差 が各一般 品詞 に おい て も認 め られ,上
位 群 と下位 群 は各一般 品詞 を同 じよ うに使 用 してい る こ とがわか る。 この こ と は, どち らの教材 において も上位 群 と下位群 ともに小学校教員 として 日本語 の文法 に則 り発言 してい た もの と考 え られ る。す なわち,上
位 群 と下位群 にかかわ らず使 用 した指導 プ ログ ラムが 同一 で あ つ た こ と,しか も一単元授 業 にお ける学習活動 の流れ もほぼ同様 で あつた こ とが理 由 として考 え られ る。この こ とに関 して
,バ
ー ンステ ィン (1981)は,文
の構造や 品詞使用 の しかた に着 目し,中
産階級と労働 者 階級 にお ける言語 的 コ ミュニケー シ ョンの内実 を比較 。検討 した結果
,形
容詞や 副詞 な どの 多数 の品詞 におい て両階級 での使 用頻度 に有意差 がみ られ た こ とを報告 してい る。す なわ ち,労
働者 階級 に属す る家庭 の生徒 は特定 の文脈 で意 味 が通 じる 「限定 コー ド」 に よつて発話 してい るこ とを,また 中産 階級 に属す る家庭 の生徒 は抽象的 な概念 を論理 的 に活用す る 「精密 コー ド」 によつて発話 し てい る こ とをそれ ぞれ 明 らかに した。加 えて
,バ
ー ンステ ィンは,労
働 者 階級 の家庭 にお いて使 用 さ れ る 「限定 コー ド」が子 ども 。生徒 の認知発達 を阻害 し,結
果 として彼 らの学業成 績 が低 くな ってい る こ とを指摘 した。 この結果 か ら,彼
は,中
産階級 では 自分 の考 えや思い を的確 に表現す る言葉 (正 確 には品詞)を
選択・ 決 定す る言語計画 (Verbal Planning)の存在 を推察 した。 この こ とは,「教 師 の発話 」 が授業場 面での時 々の気分 で発せ られ るものでな く,指
導 プ ログラムの内容 と実際 の授業 の 文脈 との関連 で言語 (正確 には品詞)を
選択 0決定 し,使
用 してい るこ とを推 定 させ る もので ある。これ らの こ とか ら
,優
れ た教師の言語 的相互作用 では,指
導 プ ログ ラム並 び に実際 の授 業 の文脈 との 関連 か ら,そ
れ まで身 に付 けた 「教師 の知識 」 を駆使 し,そ
の内容 を子 ども 。生徒 に理解 されやす い 言葉 (品詞)に
変換 して,そ
れ を多用 してい るもの と予想 され る。(3)一
単位 授 業 にお け るIW品
詞 につ い て一 単位授業 にお ける
IW品
詞 の使 用頻度 について,本
研 究 のバ スケ ッ トボール (オー プ ンス キル教 材)で
は,名
詞 (身体部位)と
助詞 (文末終助詞)の 2つ
を除 く残 りすべ ての品詞 において,上
位 群 の方 が下位群 に比 して有意 に使用頻度 の多い結果 が認 め られ た (図3参
照)。 この こ とか ら,学
習成 果 (態度 得 点)を
高 め る特 定 の8つ
の品詞 の用い方 (計12種
類)が
存在 す る可能性 が高 い もの と考 え られ る。ちなみ に
,先
行研 究 (上原・梅 野,2000)の
走 り幅跳 び (オー プ ンスキル教材)で
は,名詞 (動作),名 詞 (時間
),副
詞 (疑問・ 強調 0仮定),副
詞 (程度),形
容詞 (対比)の 5種
類 の品詞 にお いて,上位 群 の方 が下位群 に比 して有意 に使用頻度 の多い結果 が認 め られ てい る。
以 下
,先
行研 究 (上原・梅 野,2000)と
本研 究 にお いて認 め られ たIW品
詞 の使 用頻度 の差 につい て検討す る。品詞 総 数 は双方 とも3,000語程度 だ つた に もかかわ らず
,有
意差 の認 め られ たIW品
詞 は,バ
スケッ トボール で は
10種
類 で,走
り幅跳びでは5種
類 で あつた。 この差異 が生 じた理 由 と して,指
導 プ ログラムの内容 が異 な り,IW品
詞 の使 用頻 度 に影響 が 出た もの と考 え られ る。 また,先
行研 究 の走り幅眺 び (上原 。梅 野
,2000)で
は,課
題把 握場 面 が平均約7分
で あ り,課
題 解決場 面が平均約 32 分 だ つた の に対 して,本研 究 で は課題 把握 場 面 が平均約20分
,課題 解決場 面が平均約25分
であつた。これ よ り
,バ
ス ケ ッ トボール では,課
題把握 場面 と課題解 決 場 面 の双方 の時 間が十分 に確保 され てお り,走
り幅眺 び にお いて は課題 把握場 面 が短 く,課
題解決場 面 のみ が長 か つた ことも影響 してい るも の と考 え られ る。(4)課
題 把 握 場 面 と課 題 解 決 場 面 にお け るIW品
詞 につ い て一 単位授 業 にお ける課題把握場 面 と課題解決場面 にお ける
IW品
詞 の使 用頻度 について,本
研 究のバ スケ ッ トボール (オー プ ンスキル教材
)と
先行研 究 (上原 。梅 野,2000)の
走 り幅跳 び (ク ロー ズ ドスキル 教材)を
比較検討す る。バ スケ ッ トボール では
,表 4で
示 した よ うに,課
題把握場 面 と課題解決場 面 に共通 して有意差が認 め られ た 品詞 は,名
詞 (身体部位),名
詞 (空間),名
詞 (時間),代
名詞 (人称),形
容 詞 (対比),副
詞 (疑問 。強調・ 仮 定
),副
詞 (程度)の 7種
類 で あつた。 これ に対 して,走
り幅跳 びでは,上
位 群 の方が下位群 に比 して有意差 の認 め られ た品詞 は,副
詞 (疑問・強調・ 仮 定),副
詞 (程度),形
容詞(対比
)の 3種
類 で あつた。バ スケ ッ トボール と走 り幅眺 び の双方 で有意 差が認 め られ た品詞 は
,副
詞 (疑問 。強調・ 仮 定),副詞 (程度
),形
容詞 (対比)の 3種
類 で あ り,こ
れ らは,体
育授 業 におい て教 師 が 「発 問」 と 「矯 正 的 フ ィー ドバ ック」 を行 う上 で基本 とな る言葉 である。 また,バ
スケ ッ トボール のみで有意差が認 め られ た品詞 は,名
詞 (身体部位),名
詞 (空間),名
詞 (時間),代
名 詞 (人称)の 4つ
であ る。 こ れ は,本
研 究 で用 い たバ スケ ッ トボール の指 導 プ ログラム にお ける課題 把握場 面 で ドリル ゲー ムを含 めた こ とに よる影響 であ る と考 え られ る。課題 把握場 面 のみ で有意差 が認 め られ た品詞 は (表
4参
照),名詞 (動作)と感 動詞 (肯定的)の
2種 類 で あつた。
名 詞 (動作
)は
,「シ ュー ト」「 ドリブル 」「パ ス」 な どが多 く用 い られ ていた。す なわ ち,課
題 把握 場 面 にお いてバ スケ ッ トボール の基礎 的 な言葉 を多 く用 いていた こ とが考 え られ る。加 えて,「フェ イ ン ト」「チ ェ ック」「カ ッ ト」 な どは上位群 にのみ認 め られ
,バ
ス ケ ッ トボール の技能特性 を把握 し てい る もの と考 え られ る。 また,「 ピポ ッ ド」「コンパ ス」 な ど,本
指導 プ ログ ラム特有 の言葉 も多 く あ り,これ らの言葉 を把握場 面で積極的 に用い る ことで子 どもの課題把握 を促 していた こ とがわか る。感 動詞 (肯定的
)は
,「そ う」「よつ しや」 な どが多 く用 い られ ていた。す なわち,課
題 把握場面 にお ける子 どもた ちのプ レー を肯 定 し
,授
業序盤 で雰 囲気 を明 る くしていた もの と考 え られ る。これ らの こ とよ り
,上
位 群 の教 師 はバ スケ ッ トボール の技能特性 に触れ る言葉や プ ログラムの特性 を理解 した言葉 を積極的 に用 いて,矯
正的 な フィー ドバ ックを行い なが ら,子
どもた ちのプ レー を肯 定 し授 業 の雰囲気 を明 る くしていた もの と考 え られ る。課題 解 決場 面 のみ で有意 差 が認 め られ た品詞 は
,名
詞 (人名),名
詞 (時間),形
容詞 (肯定的)の 3種
類 で あつた (表4参
照)。名詞 (人名
)は ,子
ども一人ひ と りに対 して言葉 が けを してい る こ とを示 してい る。 す なわ ち,課
題解決場 面では
,ゲ
ー ム 中に個人 を特定 し,一
人 ひ と りの課題 解決 を促 してい る もの と考 え られ る。助詞 (文末終助詞
)は
,「・・・ね。」「・…よ。」「…な。」な どが多 く用い られ ていた。す なわち,命
令 口調 にな らず に
,個
人や 学級 全体 に対 して も雰 囲気 を和 らげ,明
る く してい た もの と考 え られ る。形容詞 (肯定的
)は
,「い い」「うまい」 な どを多 く用 い られ ていた。す なわ ち,課
題解決場面にお け るゲー ム中に生 じた子 どもた ちの多様 な動 きを認 めてい た もの と考 え られ る。これ らの こ とか ら
,上
位 群 の教 師 は課題解 決 に向 けた命令 口調 で はない優 しい言葉 が けを して,子
ども一 人 ひ と りを認 めなが ら
,臨
機応 変 に授 業 の雰 囲気 を明 る く し,さ
らにゲー ム 中の多様 な動 きを 認 めなが ら指導 を展 開 していた もの と考 え られ る。(5)各
単 元過 程 に お け るIW品
詞 につ い て各 単元経過 にお け る
IW品
詞 の使用頻度 につ い て,本
研 究 のバ スケ ッ トボール (オー プ ンスキル教 材)と
先 行研 究 (上原 。梅 野,2000)の
走 り幅跳 び (ク ロー ズ ドスキル教材)を
比較検討す る。表
7で
示 した よ うに,本
研 究 のバ スケ ッ トボール (オー プ ンスキル教材)で
は,共
有課題I(2時
間 目
)で ,名
詞 (時間),形
容 詞 (対比),副
詞 (疑問 。強調・ 仮 定),感
動詞 (肯定的)の 4種
類,共有課題 Ⅱ (4時間 日
)で ,名
詞 (空間),副
詞 (疑問 。強調・ 仮 定),副
詞 (程度)の 3種
類,共
有 課題 Ⅲ (7時間 日)で ,名
詞 (動作),名
詞 (空間),代
名 詞 (人称),副
詞 (程度)の 4種
類 にそれ ぞ れ 有意 差 が認 め られ た。 これ らの こ とは,上
位群 の教 師 は,共
有課題 Iにおいて子 どもが感 じた多様 な動 きのイ メー ジを引 き出 しなが ら課題 を明確 に し,共
有課題 Ⅱで は動 きのイ メー ジ を具体化 しなが ら課題 解決 に向かい,共
有課題 Ⅲで は,技
能 を高 めなが ら課題 を解 決 しよ うと して いた もの と考 え ら れ る。ちなみ に
,先
行研 究 (上原 。梅 野,2003)の
走 り幅跳 び で は,表
10に示 す よ うに,共
有課題I(2
時 間 目
)で ,代
名詞 (人称)と
形容詞 (対比)の 2種
類,共
有課題 Ⅱ (5時間 目)で ,副
詞 (疑間 0強調 0仮定
)と
名詞 (時間)の 2種
類,共
有課題 Ⅲ (8時間 日)で ,代
名詞 (人称),副
詞 (疑問・ 強 調・ 仮 定),名
詞 (時間),副
詞 (程度),助
詞 (文末終助詞),名
詞 (動作),形
容 詞 (肯定的)の
7種類 でそれ ぞれ 有意差 が認 め られ てい る。 これ らの こ とは
,バ
スケ ッ トボール と同様 に,上
位 群 の教師 は
,共
有課題 Iにお い て子 どもが感 じた多様 な動 きのイ メー ジを引き出 しなが ら課題 を明確 に し,共有課題 Ⅱでは動 きのイ メー ジ を具体化 しなが ら課題解決 に向かい
,共
有課題 Ⅲで は,技
能 を高 めなが ら課題 を解決 しよ うと していた もの と考 え られ る。
と りわ け
,バ
スケ ッ トボール (オー プ ンスキル教材)と
走 り幅跳 び (ク ロー ズ ドスキル教材)に
おいて技能特性 に関す る品詞 は
,バ
スケ ッ トボール では,名
詞 (空間)で
あ り,走
り幅跳 びでは,名
詞(空間