Spectrochemical Characteristics of Pulsed Glow
Discharge Plasma and the Application to
Emission Spectrometric Analysis
著者
張 心月
number
64
学位授与機関
Tohoku University
学位授与番号
環博第131号
じゃん しんゆえ
氏
名
張 心月
授
与
学
位
博士(環境科学)
学 位 記 番 号
学 位 授 与 年 月 日
令和元年 9 月 25 日
学位授与の根拠法規 学位規則第
4 条第 1 項
研究科,専攻の名称 東北大学大学院環境科学研究科(博士課程)先端環境創成学専攻
学 位 論 文 題 目
Spectrochemical Characteristics of Pulsed Glow Discharge
Plasma and the Application to Emission Spectrometric
Analysis(パルスグロー放電プラズマの分光化学特性とその発
光分光分析への応用)
指
導
教
員 東北大学教授 我妻 和明
論 文 審 査 委 員
主査 東北大学教授 我妻 和明 東北大学教授 和田山 智正
東北大学教授 折茂 慎一 東北大学准教授 今宿 晋
論 文 内 容 要 旨
本論文は、大略2 つの部分から構成されている。前半は、発光分光分析の励起源として用いられ ているグロー放電プラズマに関して、従来から用いられている直流放電および13.56MHz 高周波放 電にくらべて研究例が少ない、6.78MHz 高周波放電およびパルス放電中で起こる試料原子の励起 /電離過程を解明したものである。後半は、従来型のグロー放電励起源では得ることができなかっ た分析情報を得るために開発した、2 種類の新しいグロー放電発光分析装置について報告している。 その一つは試料の面方向元素情報も得られるグロー放電発光分析法の新しい分析システム、もう一 つはグロー放電プラズマとレーザーを組み合わせた新しい測定システムである。 第一章では、本研究の背景およびグロー放電プラズマ中で起こる励起・発光過程や従来のグロー 放電発光分析法の特徴を述べている。 第二章では、6.78 MHz 高周波放電を用いた場合のグロー放電プラズマの励起特性を調べた。6.78 MHz 高周波放電を用いた場合の鉄原子線の発光スペクトルの特性を測定した。今までは 13.56 MHz の高周波電源を使われたが、6.78 MHz 高周波では 13.56 MHz より大きい電位勾配ができる ため、スパッタリングされた試料原子の量も増える。しかし、6.78 MHz 高周波グロー放電に関す る報告がまだ少ないため、その励起プロセスについて研究する必要があると考えた。ボルツマン統 計を用いたスペクトル強度の解析を行って、励起温度を計算し、励起プロセスを調べた。その結果、 従来型の直流放電の場合と類似していることを明らかにした。鉄原子線のボルツマンプロットを解 析した結果、3.4 – 4.8 eV の低エネルギー準位ではでボルツマン分布が成立し、励起メカニズムは主
環博第131号
に電子衝突による熱励起であると考えられる。しかし、5.5eV 以上の高いエネルギー準位ではボル ツマン分布から離れた。高いエネルギー準位では非熱的な励起メカニズムが存在すると考えられる。 第三章では、6.78 MHz パルスモードのグロー放電プラズマの励起特性について調べた。パルス モードでは、スパッタリング速度を抑えることで、試料表面へのダメージを減らすことができる。 しかし、6.78 MHz のパルス高周波グロー放電に関する研究がまだ少ないため、その励起プロセス について研究する必要があると考えた。ボルツマン統計を用いたスペクトル強度の解析を、6.78 MHz 高周波放電およびそのパルスモード放電の場合に行い、プラズマの励起温度はこれらの放電 で大きな差はなく、また従来型の直流放電の結果とも類似していることを明らかにした。これらよ り、グロー放電プラズマの励起過程は、放電電源のモードにより大きく変化することはないことを 初めて解明することができた。 第四章では、従来型のグロー放電発光分析装置では不可能であった試料表面の面方向の元素分布 を測定するために、2 次元分光器と ICCD 検出器を組み合わせた新しい測定装置を開発した。これ により、従来の発光分析測定では不可能であった、深さ方向と面方向の元素分布の情報を高速応答 できるシステムが得られた。試料表面の元素分布の情報がそのまま発光光の二次元分布に反映され ることができた。またスパッタリングの進行と共にこの二次元像を追跡すれば三次元像を得ること も可能だと考えられる。しかし、GD-OES をイメージ分光器システムに適用するにあたって、試料 原子のプラズマ内での拡散が問題になり、二次元元素分布の分解能が悪化する。高感度で時間分解 測定ができるICCD 検出器を採用することにより、短時間の微弱な発光も測定することができ、短 時間露光により面方向情報分解能が改善された。ICCD 検出器のゲート幅や Delay を小さくすること で、面方向情報分解能を向上させることができた。そして露光時間をできるだけ短くする必要があると 考えられる。良好な空間分解能を得るために測光条件の最適化を行い、面方向における試料原子の 分布に対応する情報を得ることができた。さらに深さ方向では、スパッタリング速度が約一分間で 12um で、水平方向の分解能は約 1.5 に保つことができた。薄いチップ状の試料をスパッタリング することによって三次元測定が可能だと証明された。 第五章では、プラズマガスとして通常用いられているアルゴンと比較して、励起・電離能が高い ヘリウムに注目した新しい測定装置を開発した。ヘリウムプラズマのスパッタリング速度はアルゴ ンプラズマより低いため、スパッタリング能力が弱くスパッタリング効率が大幅に低下するという 難がある。この問題点を克服するために、パルス GD-OES を Q スイッチ Nd:YAG レーザーと組み
合わせて、Laser-Assisted Glow Discharge (LAGD)と名付けた新しいサンプリング方法を開発した。 この方法では、高いエネルギーのパルスレーザーアブレーションを使用して、試料原子を He グロ ー放電プラズマに導入する。そして試料原子は He プラズマで発光する。このシステムの特徴とし て、サンプリング量はレーザーによって精密にコントロールすることができる。グロー放電プラズ マの励起プロセスはサンプリングプロセスから個別に制御されることができる。LAGD 法の効果を 評価するため、ヘリウムグロー放電プラズマのみの場合、ヘリウムグロー放電プラズマを付けずに LIBS のみの場合、そしてヘリウムグロー放電プラズマにレーザーを打ち込む LAGD の場合、この 三つの条件で調べた。それぞれの条件で銅の原子線とイオン線の発光スペクトルと発光強度を測定 し、解析した。LAGD の効果を発揮するために、レーザーパルスエネルギーは約 50-400 μJ/p に設 定する方が適切だと判明しされた。そして LAGD では、原子線よりイオン線のほうでレーザー照射 による影響強いと考えられた。これは metastable 状態のヘリウムとの衝突による penning-type の励 起メカニズムが原因になっていると考えられます。 これにより、高い励起エネルギーを必要とす る発光線強度が著しく増大することを明らかにした。 第六章は論文全体の結論を述べた。
論文審査結果の要旨及びその担当者
論文提出者氏名 張 心月(Zhang Xinyue)
論 文 題 目
Spectrochemical Characteristics of Pulsed Glow Discharge Plasma and the Application to Emission Spectrometric Analysis
(パルスグロー放電プラズマの分光化学特性とその発光分光分析への応用) 論文審査担当者 主査 教 授 我妻 和明 教 授 和田山 智正 教 授 折茂 慎一 准教授 今宿 晋