第3学年 数学科学習指導案
1 単元 二次方程式 2 指導観 ○ 二次方程式は、中学校数学における「数と式」の領域のまとめとなる単元であり、これまでに 学習してきた「数と式」に関する様々な知識や技能を活用して学習を進めていく。第1学年では 一元一次方程式、第2学年では連立方程式を取り扱い、方程式やその解の意味、方程式を解くこ と、方程式を利用して問題解決することを学んでいる。本単元では、これらの基礎の上に立って、 二次方程式の学習をすることで、これまで以上に多様な問題解決が可能になり、代数的な操作で 身近な事象にある問題を解決できるという数学の有用性を感得することができる。 中学校第1学年では、等式の性質を用いて一元一次方程式の解を求め、第2学年では2つの文 字の一方を消去し、すでに知っている一元一次方程式に変えて解を求めた。本単元では、等式の 性質、一次方程式の解法、平方根、因数分解の学習内容を活用し、二次方程式を解くことになる。 このように既習の学習内容を使って処理の仕方を考える学習を通して、新しい問題解決場面に直 面したとき、すでに知っている方法に帰着するという考え方を育てることができる。 本単元では、数量の関係を把握し、二次方程式を立式することによって、簡潔明瞭に処理でき ることを味わう。また、いろいろな方法で1つの事象の中の問題を解決することを通して、数学 的な見方や考え方を身に付けることができ、大変意義深い学習内容であると考える。 ○ 本学年の生徒の約半数は、数学が嫌いと答えている。生徒が数学を好き、嫌いと判断する理由 として「問題が解ける、解けない」「分かる、分からない」をあげており、考える過程に楽しみを 感じる生徒はほぼいない。また、嫌いと答えた生徒の多くは「数学はめんどくさい」「何をすれば いいのか分からない」と答えている。学力診断テストの結果から、数学的な表現・処理より数学 的な見方や考え方の正答率が大きく下まわっており、無解答率も高い。特に「数と式」の領域に おいては、その傾向が顕著であり、文字と式ではその差が20%以上開いている。この原因は、形 式的に処理することはできるが、処理の仕方を自分で考え出したり、数量の関係をとらえたりす る力が不足しているからであると考える。 ○ 指導にあたっては、数学が単に問題を解いて答を求めるだけではなく、自ら課題を見つけ、自 ら学び、自ら問題を解決していくことを大切にしたい。したがって、授業の展開が教師の誘導に よるものではなく、生徒自らがその根拠を考える過程を大事にする。 第1次では、まず問題の中の数量の結び付きを図に表現することを通してとらえさせ、立式す ることができるようにする。その後、解を求める活動を通して、二次方程式とその解の意味を考 えることができるようにする。 第2次では、まず既習である等式の性質、一次方程式、平方根、因数分解の学習内容に帰着さ せ、処理の仕方を考えることができるように支援する。このように、自ら処理する方法を考えさ せることによって、数学的な見方や考え方を身に付けることができるようになる。その後、二次 方程式の処理の仕方の習得を図り、身に付けた二次方程式の処理の仕方を基に、自ら(χ+a)2= bの形に変形しなければならないような少し発展した処理の仕方の定着を目指す。 第3次では、身近な事象の中の問題を二次方程式を利用して解決することができるようにする。 身近な事象の中の数量の関係を二次方程式で表すには、問題解決に必要な数量と関係を見つける 必要がある。ここで、図に表現することを通して、事象の中の数量の関係を把握することができ るように支援する。また、1つの事象に対して、いろいろな視点から数量の関係を把握すること ができることを理解させることを通して、解答の正誤ではなく、問題解決の途中にも興味を持ち、 数学に意欲的に取り組む態度を育てる。3 評価規準 観 点 評 価 規 準 数学への 関心・意欲・態度 ・既習内容を利用する解き方に関心を持ち、二次方程式を解こうとする。 ・二次方程式を使っていろいろな問題を解決しようとする。 数学的な 見方・考え方 ・既習内容に着目し、二次方程式の解き方を見いだすことができる。 ・身近な事象の中の数量の関係をとらえ、二次方程式を作り、問題を解決す ることができる。 数学的な表現・処理 ・既習内容に着目し、二次方程式を効率的に解くことができる。 ・身近な事象の中の数量の関係を二次方程式で表現することができる。 数量・図形などにつ いての知識・理解 ・二次方程式とその解の意味、二次方程式の解き方を説明することができる。 ・二次方程式を利用して問題を解決する手順を説明することができる。 4 単元計画(全時間 17 時間) 次 次のねらい 学習活動 1 (2) ○二次方程式とその解の意味を理 解することができる。 ○身近な事象の中から、数量の関係をとらえる。 ○とらえた数量の関係を式に表現する。 ○表を使って、二次方程式の解とその意味を考える。 2 (7) ○二次方程式の処理の仕方を見い だし、二次方程式の処理の仕方を 身に付けることができる。 ○二次方程式の処理の仕方を基に、 いろいろな二次方程式を処理す ることができる。 ○平方根の学習内容を使って、処理の仕方を見いだす。 ○因数分解の学習内容を使って、処理の仕方を見いだ す。 ○二次方程式の処理の仕方を習得する。 ○既習の学習内容を使って、いろいろな二次方程式を 処理する。 3 (5) ○二次方程式を活用して、身近な事 象の中の問題を解決することが できる。 ○図に表現することを通して、問題解決に必要な数量 の関係をとらえる。 ○図から二次方程式を立式し、問題を解決する。 ○いろいろな視点から数量の関係をとらえ、図に表現 する。 ○図を使って数量の関係のとらえ方を交流する。 ○複数の問題から図に表現する必要のある問題を選択 し、数量の関係をとらえ、二次方程式を立式し、問 題を解決する。 コース別学習 (3) ○二次方程式の処理の仕方を応用し、発展的な二次方 程式を処理する。 ○二次方程式をいろいろな問題場面に活用し、問題を 解決する。
5 本時(10/17) (1) 主眼 図に表現することを通して、数量の関係を把握し、二次方程式を立式することができる。 (2) 準備 学習プリント、掲示用(7つの間違い探し、問題2問、複雑にした3つの図) 発表用(紙・マジック) (3)本時の展開 ○本時の主な手だてについては、強調・下線で表示する 学習活動・内容 教師の支援 学習 形態 配時 導 入 1 本時のめあてを確認する。 (1) 図の違いを探す。 (2) めあてを理解する。 めあて 数量の関係を分かりやすく図に表現 しよう ○違いを意識させるために、2つの図を提示し、 違いを探させる。(7つの間違い探し) ○分かりやすい図を意識させるために、問題と 複雑にした図を提示する。 (問題) ・連立方程式で解決できる問題を提示 (提示する図) ・数量が言葉で表現されていない図 ・問題解決に必要な数量に過不足がある図 ・関係が表現されていない図 全 体 全 体 5 3 展 開 2 分かりやすい図の仕組みを考え る。 (1) 3つの図を比べ、分かりやすい図 の仕組みを考える。 (2) 考えた図の仕組みを交流する。 3 新たな問題の中の数量の関係を図 に表現し、二次方程式を立式する。 (1) 問題の意味を理解する。 (2) 数量の関係を図に表現しながら、 問題解決につながる数量の関係を考 える。 (3) 図から二次方程式を立式する。 (4) 数量の関係を表現した図と図から 立式された二次方程式を交流する。 ○数量の関係を分かりやすく 図に表現させる ために、図の仕組みを考える場を設定する。 ○図の仕組みを考えさせるために、個人で図の 仕組みを考えさせた後に、ペアで意見交流さ せる。 (予想される反応) ・数量の意味が分かるようにかく ・関係が分かるようにかく ○図の仕組みをまとめるために、類似したもの を集めて板書する。 ○図に表現することを通して、数量の関係をと らえられることを理解させるために、新しい 問題を提示する。 ○数量の関係を把握させるために、とらえた数 量の関係を図に表現する活動を設定する。 ○問題の意味を理解させるために、求めたい数 量と求めたい数量に依存している数量を確認 する。 ○数量の関係を正しくとらえることができてい ない生徒には、ひもや条件の図を与えながら 個別指導をする。 ○数量の関係のとらえ方を発表させるために、 紙とマジックを配る。 個 人 ↓ ペ ア 全 体 全 体 個 人 全 体 10 5 4 10 10 ま と め 4 本時のまとめとして、振り返りシ ートをかく。 ○「数量の関係を分かりやすく表現した図には 何がかかれていればよいですか」「図に表現する とどんなよさがありますか」という発問をする。 個 人 3 (問題)3年A組の生徒36人で、公園 に出かけ昼食を取って、帰ってこようと思 います。先生は、昼食場所を確保するため に26mのロープを持って行きました。 一人、1㎡のシートを36人分敷くため には、どのように場所を取ればよいでしょ う。
20 m 36m 6 本時 (12/17) (1) 本時の主眼 身近な事象の問題からいろいろな視点で数量の関係をとらえられることを理解することができる 。 (2) 準備 操作活動で使用する紙(長方形の土地、道3本)、学習プリント(個人追究用、小グルー プ追究用)、掲示用(問題、図)、発表用(紙、マジック) (3) 本時の展開 ○本時の主な手だてについては、強調・下線で表示する 学習活動・内容 教師の支援 学習 形態 配時 導 入 1 本時のめあてを確認する。 めあて 問題の中の数量の関係を表す図をたく さん考えてみよう ○身近な事象であることを意識させるため に、映像(花畑の)を見せる。 ○問題の意味を理解させるために、問題と図 を提示する。 全体 3 展 開 2 いろいろな視点から数量の関係をと らえ、図に表現する。 (1) 問題の意味を理解する。 (2) 図に表現することを通して、数量の関 係をとらえる。 3 数量の関係のとらえ方を交流する。 (1) 自分のとらえ方を図を使って説明す る。 ・分からないところは質問し、質問された ことには答える。 ・他の人の説明の中で自分にはないとらえ 方があれば、学習プリントに記入する。 (2) 他のグループにはない数量の関係の とらえ方ができないかを考える。 (3) 数量の関係のとらえ方を交流する。 ・分からないところは質問する。 ・発表された考えの中で、自分にない考え 方があれば、学習プリントに記入する。 ○求めたい数量に依存する数量とその関係 を見つけるために、紙を操作する活動を設 定する。 ○問題の中の数量の関係をいろいろな視点 からとらえさせるために、学習プリントに かかせる。 (予想される生徒の反応) ・全体の長方形から道の面積をひく ・道幅だけの面積の関係を考える など ○複数の数量の関係のとらえ方ができてい ない生徒には個別指導する。 ○いろいろなとらえ方ができることを理解 させるために、図を使って交流する場を設 定する。 ○自分の考えと他の人の考えが区別できる ように、学習プリントにかかせる。(他の 人の考えは青色でかかせる) ○いろいろな意見を発表させるために、机間 指導において生徒の学習内容をメモする。 ○発表をさせるために紙とマジックを配る。 ○いろいろな見方や考え方ができることを 理解させるために、生徒に発表させる。 ○自分の考えと他の人の考えが区別できる ように、学習プリントにかかせる。(他の 人の考えは赤色でかかせる) 全体 個人 小 グループ 全体 5 15 15 10 ま と め 4 本時の振り返りをする。 (1) 本時のまとめをする。 (2) 振り返りシートをかく。 ○本時のまとめとして、学習プリントを整理 させる。 ○「いろいろなとらえ方ができることを理解 することができたか」という発問をする。 個 人 2 (問題)縦 20m,横 36m の土地にチューリ ップを植えます。図のように6種類のチ ューリップを植え、縦に2本,横に1本同 じ道幅の歩道を付けたいと考えていま す。用意した球根の数を考えれば、576 ㎡は花を植える場所が必要です。 できるだけ多くの人に見てもらいたい のですが、道幅は1m以上とれますか。