中学部第3学年 ○グループ 数学科 学習指導案
1 単元名 「広さを比べてみよう」 2 指導観 ○ 本学習グループは知的障がいを主障がいとする生徒4名で構成されている。生徒の実態は次のと おりである。 生活全般の実態 数学に関する実態(主に本単元に関わる実態) 生 徒 A ・教師からの言語での説明や指示を 理解して、意欲的に学習に取り組 むことができる。 ・課題に対して集中して取り組むこ とができる。 ・問題や指示をよく理解せずに、自 分の思い込みで行動して失敗した り、間違ったりすることがある。 ・自分の考えを積極的に発表するこ とができる。 ・繰り上がり、繰り下がりを含む3位数までの加法・減 法ができる。 ・九九は全て覚えているが、2位数同士の乗法は学習し ていない。 ・○cm○mmなどの直線の長さを定規で測ったり、直線を 引いたりすることが正確にできる。 ・物の長さを定規で測り、数値から長短を比べることが できる。 ・プールの長さは25m、ファイルの長さは31cm等、物の 長さをmやcmで的確に表すことができる。 生 徒 B ・言語による説明や指示は理解でき るが、教師に注目できず説明など を聞き漏らすことが多いため、個 別に説明する必要がある。 ・興味のある課題には意欲的に取り 組むことができるが、そうでない 場合は集中できないことがある。 ・興味のある話題については、自分 の考えを発表することができる。 ・繰り上がり、繰り下がりを含む2位数までの加法・減 法ができる。 ・四の段までの九九を覚えている。 ・○cm○mmなどの直線の長さを定規で測ったり、線を引 いたりすることができつつある。 ・物の長さを定規で測り、数値から長短を比べることが 概ねできる。 ・1mと10cm、1cmのそれぞれの量感をつかむことがで きている。 生 徒 C ・教師からの言語での説明や指示を 理解して、意欲的に活動すること ができるが、思ったことをすぐに 口に出してしまうため、説明を最 後まで聞かないことがある。 ・課題に対して集中して取り組むこ とができる。 ・自分の考えを積極的に述べること ができる。 ・繰り上がり、繰り下がりを含む3位数までの加法・減 法ができる。 ・九九は全て覚えているが、2位数の乗法は難しい。 ・○cm○mmなどの直線の長さを定規で測ったり、線を引 いたりすることが正確にできる。 ・物の長さを定規で測り、数値から長短を比べることが 正確にできる。 ・mやcmで表される長さの量感を概ねつかむことができ ている。 生 徒 D ・教師からの言語での説明や指示を 理解して、活動することができ る。 ・課題に対して集中して取り組むこ とができる。 ・発音が不明瞭になることがある が、自分の考えを発表することが できる。 ・繰り上がり、繰り下がりを含む2位数までの加法・減 法ができる。 ・九九は全て覚えているが、2位数の乗法は難しい。 ・○cm○mmなどの直線の長さを定規で測ったり、線を引 いたりすることが正確にできる。 ・物の長さを定規で測り、数値から長短を比べることが 正確にできる。 ・1mと10cm、1cmの量感をつかむことができている。 本学習グループの生徒は、基本的な図形の名称や簡単な特徴については理解している。また、 長さやかさ、重さを計測したり、比べたりした経験はあるが、平面の広さを比べるなどの学習は 経験していない。○ 本単元では、部屋の広さについて畳を任意単位として考えることができ、間取り図を見ておお よその広さをつかめるようになることをねらいとしている。 本単元の指導内容は、特別支援学校小学部・中学部学習指導要領においては、数学科の内容 (2)「長さ・重さなどの単位が分かり、測定する」にあたる。 生徒は、体育館は「広い」、教室は「せまい」など、視覚的な感覚である程度広さを判断する ことができている。しかし、それはあくまでも感覚としての比較であり、根拠を用いて比較する ことはできてない。また、部屋の間取り図で「○畳」などの情報から広さのイメージをつかんだ り、広さを比較したりすることは学習していない。広さについて、任意単位を基に比較すること は、cm2、m2などの面積の普遍単位や求積の学習へと進むために必要な学習である。また、間取り 図を見て部屋の広さをある程度イメージできることは、自分が住む部屋や旅行先でのホテルの部 屋などを適切に選ぶことができることにつながり、将来生徒が自立した生活を送る上で大変意義 深い学習であると考える。 ○ 指導にあたっては、レジャーシートや畳などの身近な具体物を操作する活動を通して広さを比 較すること、広さに対する量感を育むことをねらいとする。また、生徒が意欲的、主体的に学習 に取り組むことができるように、次のような配慮をして指導する。 第一次は、「見て比べる」「端をそろえて比べる」「重ねて比べる」「ある広さのいくつ分か で比べる」など、基本となる広さの比べ方を体験させることで、広さについて具体的に考えられ るようにする。最初に、新聞紙と黒板の広さを見て比べさせ、平面の大小でどちらが広いかが決 まることを確認する。 次に目視してどちらが広いか分かりにくい2枚のレジャーシートを提示し、端をそろえたり、 重ねたりして比べる直接比較の活動を設定する。重ねる際は1点の角を合わせ、次に縦横2本の 端をそろえることで正確に比べられることに注意させる。次に2人組でじゃんけんをして勝った 方がマス目を塗りつぶしていき、最終的に塗ったところが多い方が勝ちになる「広さとりゲー ム」を行う。どちらが広いかを見た目で判断させた後、次にマス目の個数で判断すれば勝敗がは っきりすることに気付かせる。このゲームを通してマス目を任意単位として広さを数値化して比 べるという間接比較のよさを感じとらせる。 第二次は、比べる平面を拡大し、部屋などの広さを考えさせる。ここでは生徒の実態から、生 徒が好むテレビアニメを教材として用いることで、広さについてより身近に感じることができ、 課題に興味を持ち、意欲的に学習に取り組むことができるようにする。テレビアニメの一場面を 見せて、日本家屋の一般的な部屋の広さは畳を任意単位として考えるとわかりやすいことを読み 取らせるようにする。次に、実際に畳を用意して畳一畳の広さを感じとらせる。ただし、教室に 敷く際は、操作し易い畳の大きさの模造紙を用意し、6枚敷いて6畳間を再現させる。再現した 6畳間の上に生徒たちを座らせて広さを実感させ、畳を基準にした広さの量感を育みたい。ま た、授業では課題解決については自分の意見を積極的に発表できる生徒(生徒A、C、D)がよ り主体的に授業に取り組めるように、生徒の考えを発表する場をつくり、より深い学びとなるよ うにしていきたい(生徒A、B、C、D)。 第三次は、不動産の間取り図について、間取り図の意味や基本的な見方を説明した後、間取り 図にある部屋の広さについて注目させる。ほとんどの間取り図が「6畳」や「4畳半」など、畳 を任意単位として部屋の広さを表していることを、広告を観察させて生徒自ら気付かせたい。ま た、間取り図を見ることで部屋のおおよその広さをつかむことができ、実際に部屋を見なくても 広さがわかる便利さを気付かせたい。最後に、生徒の自宅で6畳間や8畳間など、部屋の広さを 自ら調べさせ、広さの学習が生徒の日常生活につながっていることを実感させたい。 3 目標 ○マス目や畳を任意単位にして、広さを比較できることが分かる。 ○畳を任意単位にしたり、間取り図を見たりして、部屋の広さを比べることができる。 4 指導計画 全3時間(本時2/3)
第一次 第二次 本時(2/3) 第三次 活 動 内 容 ○始めのあいさつをする。 ○本時の学習のめあて、内容について知る。 ○広さを比べる。 ①画用紙と黒板の広さを見 て比べる。 ②2枚のレジャーシートの 広さを重ねて比べる。 ③「広さとりゲーム」を2 人組で行い、マス目の数 を数えて広さを数値化し て勝敗を決める。 ○部屋の広さを比べる。 ①アニメの主人公達の部屋 と教室のどちらが広い か、調べる方法を考え る。 ②畳が敷いてあることに注 目して、主人公の部屋の 広さを教室で再現する。 ③畳の大きさの模造紙を敷 いて、6畳間や8畳間を 教室で再現する。 〇間取り図から部屋の広さを 考える。 ①間取り図の意味や見方を 知る。 ②不動産の広告に載ってい る間取り図を見て、広さ を考える。 ③自分の家の部屋(自室) の広さを調べる。 ○本日の学習のまとめをする。 ○終わりのあいさつをする。 5 本時 平成○年○月○日 ○曜日(○校時) (1)本時指導の考え方 生徒は前時の学習において、「重ねて比べる」「ある広さのいくつ分かで比べる」などの基本 的な広さの比べ方について理解することができた。2枚のレジャーシートの広さ比べでは、重ね ることで広さが比べられることに気付くことができた(生徒A、C)。また、「広さとりゲー ム」では、友達の説明を聞いて、マス目の数を数えることで広さを比べることができると気付く ことができた(生徒B、D)。 本時は教室とアニメの主人公達の部屋の広さを比較する場面を設定する。導入ではアニメの動 画を見せ、生徒が教室と主人公達の部屋のどちらが広いか予想したり、それを確かめる方法につ いて考えたりする場面を設定する。生徒が本時で任意単位として用いる畳に着目できるように、 畳が描かれていない部屋と畳の描かれた部屋の動画を提示する。動画を見せた後に生徒が意見交 流する場を設け、部屋に畳が敷かれていることや畳の枚数に着目して考えればよいことに気が付 くようにする。また、実際の畳(縦176㎝、横88㎝)を提示して、教師が畳の横に並び、その広さ を確認できるようにする。畳を敷いて広さを比べる活動では、操作し易いように畳の広さの模造 紙を用いて、アニメと同じ敷き方で教室内に6畳の広さを再現できるようにする。その際、前時 の学習内容である「重ねて比べる」ことと関連付けて、模造紙が教室からはみ出なければ、教室 の方が広いことを確認する。また、6畳の広さの模造紙の上に座り、生徒がその広さを実感でき るようする。部屋の広さについては、前時の学習である「ある広さのいくつ分かで比べる」こと と関連付けて、生徒が「畳1畳分」で広さを考えることに気付くようにする。終末では、電子黒 板で活動時に撮影した写真を提示し、授業を振り返るための材料としたい。 本時指導に当たっては以下の点に留意する。 【全体で留意する点】 ・前時までの学習内容を模造紙にまとめて掲示し、すぐに振り返られるようにする。 ・動画では残らない重要な場面や要点は、写真や図にして黒板に掲示し、すぐに振り返えられる ようにする。 ・学習プリントと黒板の板書を対応させて、生徒の思考の流れがスムーズになるようにする。 ・課題を考える際は、まずは個人で考えさせた後、生徒同士で考えを交流させる機会を設定し、 生徒が授業に参加している実感や達成感を味わわせる。 ・タブレットパソコンで撮影した写真を電子黒板に投影して、授業の最後に学習の活動を振り返 られるようにする。
【個別に留意する点】 ・全体に指示する前に名前を呼んだり、指示の内容を確認したりして、きちんと指示が理解でき るようにする。(生徒B) ・自分の考えをすぐに口に出さずに、まずプリントに記述させて、教師の指示の後に挙手をさせて 答えるようにする。(生徒C) ・自分の考えを全体に発表する際は、まずプリントに記述させた後、プリントを見ながらゆっくり 落ち着いて発表させる。(生徒A、D) (2)本時の目標 生 徒 A ・アニメの動画を見て、畳を利用すれば教室と主人公達の部屋の広さを比べられることに自分 から気付き、説明することができる。 ・教室に敷いた畳と同じ大きさの模造紙を見て、教室と主人公達の部屋の広さを比較したり、 教室がおよそ何畳かを予想したりすることができる。 生 徒 B ・アニメの動画を見たり、友達の意見を聞いたりして、畳を利用すれば教室と主人公達の部屋 の広さを比べられることに気付くことができる。 ・教室に敷いた畳と同じ大きさの模造紙を見て、教室と主人公達の部屋の広さを比較すること ができる。 生 徒 C ・アニメの動画を見て、畳を利用すれば教室と主人公達の部屋の広さを比べられることに自分 から気付き、説明することができる。 ・教室に敷いた畳と同じ大きさの模造紙を見て、教室と主人公達の部屋の広さを比較したり、 教室がおよそ何畳かを予想したりすることができる。 生 徒 D ・アニメの動画を見たり、友達の意見を聞いたりして、畳を利用すれば教室と主人公達の部屋 の広さを比べられることに気付くことができる。 ・教室に敷いた畳と同じ大きさの模造紙を見て、教室と主人公達の部屋の広さを比較すること ができる。 (3)準備 ①前時のまとめの模造紙、②電子黒板、③学習プリント、④アニメDVD、⑤DVDデッキ、 ⑥畳、⑦畳の広さの模造紙、⑧タブレット型パソコン (4)展開 配 時 学習活動・内容 指導上の留意点 教材・ 教具 10 分 1 始めのあいさつをする。 2 本時の学習内容を知る。 (1)前時までの学習を振り返 る。 (2)本時のめあてを知る。 ・号令に合わせて始めのあいさつをさせる。 ・前時の学習を思い出すことができるように、前時まで学 習のポイントをまとめた模造紙をホワイトボードに貼 る。 ・テレビアニメで、主人公達が部屋で過ごしている場面の シーンを見せる。 ① ②④ ⑤ 30 2 主人公達の部屋の広さを 調べる。 (1)調べる方法を考える。 (2)教室に畳の広さの模造 ・生徒から「どちらが広いか」、「それを調べるための方 法」を予想させる。 ・主人公達の部屋を畳敷きで描いているシーンを見せ、畳 に注目すればよいことに気付かせ、考えを発表させる。 ・本物の畳を1枚提示して広さを確かめさせる。 ・部屋の畳の配置に気をつけて、畳の広さの模造紙を ②③ ②④ ⑤ ⑥ ②⑦ めあて:主人公達の部屋と教室のどちらが広いかを、調べてみよう。
分 紙を6畳分広げて、6畳 間を再現する。 (3)どちらが広いか結論を 出す。 3 教室が何畳の広さになる か予想する。 6枚敷かせる。 ・振り返りに提示するため、タブレットパソコンで写真を 撮り、畳6畳の広さを記録する。 ・予想したり、予想を修正したりしやすくするために、教室 に敷く模造紙を8枚、12枚と段階的に増やす。 ・タブレットパソコンで写真を撮り、畳8畳と12畳の大き さを記録して、振り返りに使う。 ②⑧ ②⑦ ②⑧ 10 分 4 本時のまとめをする。 5 終わりのあいさつ (1)次回の学習にふれる。 (2)終わりのあいさつをす る。 ・不動産の広告の中の間取り図を見せて、次回の学習内容 を予告し、意欲をもたせる。 ・号令に合わせて終わりのあいさつをする。 ②③ ② (5)本時の評価 生 徒 本時の目標 評価 生 徒 A ・アニメの動画を見て、畳を利用すれば教室と主人公達の部屋の広さを比べられること に自分から気付き、説明することができる。 ・教室に敷いた畳と同じ大きさの模造紙を見て、教室と主人公達の部屋の広さを比較し たり、教室がおよそ何畳かを予想したりすることができる。 生 徒 B ・アニメの動画を見たり、友達の意見を聞いたりして、畳を利用すれば教室と主人公達 の部屋の広さを比べられることに気付くことができる。 ・教室に敷いた畳と同じ大きさの模造紙を見て、教室と主人公達の部屋の広さを比較す ることができる。 生 徒 C ・アニメの動画を見て、畳を利用すれば教室と主人公達の部屋の広さを比べられること に自分から気付き、説明することができる。 ・教室に敷いた畳と同じ大きさの模造紙を見て、教室と主人公達の部屋の広さを比較し たり、教室がおよそ何畳かを予想したりすることができる。 生 徒 D ・アニメの動画を見たり、友達の意見を聞いたりして、畳を利用すれば教室と主人公達 の部屋の広さを比べられることに気付くことができる。 ・教室に敷いた畳と同じ大きさの模造紙を見て、教室と主人公達の部屋の広さを比較す ることができる。 ※評価の基準 ◎:達成できた ○:言葉掛け等の支援により達成できた △:達成できなかった (6)配置図