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昭和30年代の「勤務評定制度」の政策的意図 - 「勤務評定制度」は戦後教育の自立・発展の教育政策か -

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(1)昭 和30年 代 の 「勤 務 評 定 制 度 」 の 政 策 的 意 図 一 「勤 務 評 定 制 度 」 は戦 後 教 育 の 自立 ・発 展 の 教 育 政 策 か 一. 昭和30年 代 の 「勤 務 評 定 制 度 」 の政 策 的意 図 「勤務評定制度」 は戦後教育 の 自立 ・発展 の教育政策 か. 堀. 切. 勝. 之*. は じめ に 昭 和31年 か ら33年 にか けて 、 日本 の 教 育 界 を疾 風 怒 涛 、 狂 乱 の 極 地 に ま き こん だ の は 「勤 務 評 定 」 の 問 題 で あ っ た。 何 故 、 勤 務 評 定 制 度 が 導 入 され たの か と い う こ とで あ る。 穿 った 見 方 をす れ ば、 勤 務 評 定 を 実 施 して 教 師 の 勤 務 姿 勢 が 正 され 、 戦 後 の 教 育 の 自立 と発 展 を 図 れ る と 当時 の 文 部 省 は真 剣 に考 え て い たの だ ろ うか と い う こ とで あ る。 当時 の 日本 の 歴 史 的 環 境 は各 界 に お いて 占領 政 策 の 残 した制 度 の 残 務 整 理 的 調 整 と新 たな 制 度 設 計 との 整 合 性 の 理 念 化 を 模 索 して い た時 期 で あ り、 特 に、 教 育 界 で は戦 後 の 民 主 的 教 育 政 策 か ら 中央 集 権 的 教 育 政 策 へ の 過 渡 的 模 索 が な され て い る時 期 で あ る。 それ ゆえ に 中央 集 権 的 体 制 を 強 化 す る手 法 と して 、 政 府(文 教 族 を 含 む)や 文 部 官 僚 に よ って20年 代 の戦 後 教 育 か らの脱 却 を 目指 す 政 策 方 向 と して、 「教 育 秩 序 の確 立 」・「新 学 制 の充 実 」の 文 教 施 策 が 掲 げ られ たの で あ る。 この よ うな 文 教 政 策 は 公 選 制 教 育 委 員 会 制 度 か ら任 命 制 教 育 委 員 制 度 の 制 度 改 革 、中央 教 育 審 議 会 の 答 申(「教 育 の 政 治 的 中立 性 につ い て」)、日教 組 教 育 路 線 の 「偏 向 教 育 」 の 打 破 、 「教 育2法. 」の公布等 が背景. とな って い るが 、 な か で も最 も ア グ レ ッシ ブな 文 教 政 策 は勤 務 評 定 制 度 の 制 度 設 計 で あ った の で は。 戦 後 の 教 育 事 情(教 育 制 度 ・教 員 養 成 制 度 ・教 員 問 題 等)を 省 察 しな が ら、 勤 務 評 定 実 施 に伴 う反 対 声 明 や 表 明 等 を 通 して 、 この 制 度 設 計 に 内包 され る政 策 的 意 図 と政 策 実 施 に よ る 予 期 しな い結 果(全 国 規 模 的 な 反 対 闘 争 ・反 対 運 動 の 展 開)に つ いて 考 察 を 試 み る。. 1.勤. 務評定制度設計の責任不在. 1)都. 道 府 県 教 育 委 員 会 に 「勤 務 評 定 実 施 」 を 委 ね た 文 部 省 の 責 任 回 避. 昭 和31年6月30日 布 後 、10月1日. の 「地 方 教 育 行 政 の 組 織 及 び運 営 に 関 す る法 律 」(地 方 教 育 行 政 法)の 公. に任 命 制 教 育 委 員 会 が 設 置 され 、 昭 和32年8月13日. *近 畿大学教職教育部教授. 19. に文 部 省 が 勤 務 評 定 の 実 施.

(2) 近畿大学教育論叢. 第22巻 第1号(2010・7). を通 達 し、教 育 の 中央 集 権 的体 制 を 図 る一 つ の手 法 と化 す が、岸 信 介 総 理 は、「文 部 省 が 基 準 を 示 して や る よ うな もの で はな い。 県 教 育 委 員 会 の 計 画 の も と に市 町 村 教 育 委 員 会 に お いて(法 律 に規 定 して あ る)立 場 を 尊 重 す べ きで あ る。 文 部 省 は基 準 を 示 さな い と い う こ との ほ うが 正 しいの で あ る」 と答 弁 で 、 地 方 自治 の 姿 勢 を 貫 くと い う文 部 省 の 動 き に変 じ、 昭 和33年4月. 以. 降 は各 都 道 府 県 教 育 委 員 会 で 勤 務 評 定 の 提 出を 求 め る方 向 とな るの で あ る。 つ ま り、 政 府 や 文 部 省 は勤 務 評 定 実 施 の 実 行 部 隊 と して 、 教 育 の 「地 方 分 権 」 を 尊 重 した か の よ う に して 都 道 府 県 教 育 委 員 会 に全 権 を 委 ね る と い う手 法 に 出 る こ と に よ って 、 文 部 省 と 日教 組 の 直 接 的 対 決 路 線 を回 避 す る方 略 を と っ たの で は と も考 え られ る。 しか し、 昭 和30年 代 の 教 育 問 題 は 「勤 務 評 定 制 度 」 を確 立 し、 実 施 し、 評 価 し、 教 員 の 資 質 や 能 力 の 向 上 策 につ な が る とか 、 学 校 教 育 の 質 的 向上 を図 れ る ほ ど簡 単 な 問 題 で はな い く らいの こ と は政 府 も文 部 官 僚 も熟 知 して いた はず で あ る。 その こ と は、 当時 の 政 治 事 情 や 教 育 事 情 は ま さ に戦 後 の 日本 の 新 しい諸 制 度 の 制 度 設 計 中 で あ り、 憲 法 改 正 を め ぐる問 題(護 憲 派 と改 憲 派 と の 問 題)、1955年 体 制(55年. 体 制)民. 主 党 と 自民 党 の 保 守 合 同結 成 を め ぐる問 題 、 再 軍 備 を め ぐる問 題 、 米 軍 基 地 問 題(砂 川 闘 争)、 第24回 通 常 国会(社. 会 党 統 一 、 保 守 合 同 後 の 初 の通 常 国 会:暴 力 国 会 と呼 ば れ る)、 暁 の 国 会. (衆議 院本 会 議 で議 長 職 権 に よ る新 教 育 員 会 法 案 の可 決)、 教 育 二 法 案 反 対 声 明(在 京 、10大 学 長 ・元 学 長 、 関 西10大 学 長 に よ る声 明)、 紀 元 節 復 活 反 対 声 明(歴 史 教 育 者 協 議 会)、 日米 共 同 声 明(日 米 安 保 条 約 の検 討 す るた め の 両 国政 府 間 の委 員会 を設 置 す る こ とな ど)、沖 縄 民 政 府 長 官 を高 等 弁 務 官(現 役 軍 人)に す る こ との 決 定(大 統 領 行 政 命 令 に よ る)な ど戦 後 処 理 問 題 を 引 きず りな が ら、 新 しい制 度 設 計 が 模 索 され て い る。. 2)勤. 務 評 価 制 度 設 計 の 未 熟 性 一 学 校 教 育 の 改 革 的 破 壊 を 引 き起 こす 要 因 一. 当時 の 勤 務 評 定 の 評 価 事 項 や 評 価 内容 で は教 員 の 資 質 や 能 力 を 測 定 す るな ど無 理 な こ とで あ る。 評 価 で き る と い う幻 想 以 外 の な に もの で もな い。 学 校 に お け る教 育 作 用 は無 数 の 有 形 ・無 形 の 相 互 作 用 に よ って 成 り立 つ もの で あ る と い う こ とを 認 識 過 程 にお け ば、 如 何 な る評 価 シ ス テ ム を も って して も、 教 員 の 資 質 や 能 力 を計 測 ・計 量 で き る もの で はな い。 当 時 の 地 方 の 教 育 委 員 会 レベ ル で 勤 務 評 定 を 行 うな ど教 職 に対 す る 冒涜 行 為 で あ り、 教 育 委 員 会 の 自縄 自縛 行 為 で あ る。 何 の た めの 教 育 委 員 会 か 。 誰 の た めの 教 育 委 員 会 か 。 公 選 制 教 育 委 員 会 か ら任 命 制 教 育 委 員 会 が 発 足 して 緒 に就 い た ばか りの 未 熟 で 不 安 定 な 制 度 機 構 で 短 期 的 に戦 後 教 育 か らの 教 育 脱 却 を 目指 した と して も、 教 育 政 策 能 力 の 欠 落 を 示 す の み で あ る。 例 え ば、 昭 和30年 代 か ら. 一20一.

(3) 昭 和30年 代 の 「勤 務 評 定 制 度 」 の 政 策 的 意 図 一 「勤 務 評 定 制 度 」 は戦 後 教 育 の 自立 ・発 展 の 教 育 政 策 か 一. 50年 代 に か け て 中央 教 育 行 政 に よ る教 育 改 革 の外 交 辞 令 的 常 套 標 語 は、 「学 校 教 育 振 興 の た め」、 「学 校 教 育 の 秩 序 回 復 の た め」、 「国 民 教 育 の 向 上 の た め」、 「民 主 的 ・文 化 的 国 家 社 会 の た めの 人 材 育 成 の た め」、 「子 ど もの 教 育 権 ・学 習 権 の 保 持 の た め」 な ど、 変 わ り映 え の しな い も の で あ り、 時 の 「政 争 の 具 」 に され た教 育 政 策 は ま さ に 「思 考 停 止 」 状 態 の 政 策 レベ ル で 終 始 して い る。 それ ゆえ に、 当時 の 混 乱 した政 治 事 情 や 中央 集 権 制 教 育 体 制 化 か 推 し進 め られ た 教 育 事 情 か ら察 す れ ば、 勤 務 評 定 実 施 や 全 国 学 力 テ ス ト実 施 で 教 師 問 題 や 学 校 教 育 問 題 を 解 決 し、 国 民 教 育 を充 実 ・発 展 させ る こ とが で き るな ど、 安 直 な 歴 史 的 環 境 で はな い こ とが 知 見 で き る。 同時 的 に、 教 育 制 度 や 教 員 養 成 制 度 の 未 熟 な 折 に、 「勤務 評 定 制 度 」 を導 入 す る と い う文 部 省 の 政 策 的 立 ち位 置 が ま さ に、 学 校 教 育 の 教 育 事 情 を 傭 鰍 で きな い次 元 で 終 始 して い る と い う こ とが 指 摘 で き る。 最 も根 本 的 に して 致 命 的 な こ と は、 当 時 の わ が 国 に お け る人 事 考 課 の 研 究 レベ ル 、 都 道 府 県 の 教 育 委 員 会 行 政 能 力 の レベ ル 、 地 方 自治 の 自治 能 力 の レベ ル か ら察 す れ ば、 勤 務 評 定 制 度 の 制 度 理 念 ・評 定 方 法 ・評 定 事 項 等 に関 す る原 理 性(理 念 性 ・科 学 性 ・信 頼 性 ・客 観 性 〈評 価 の基 本 原 理 〉)も 曖 昧 で あ り、 勤 務 評 定 制 度 自体 が 自縄 自縛 化 して お り、 この こ と は 「勤 務 評 定 問 題 第 一 次 検 討 」(日 本 教 育 学 会 教 育 政 策 特 別 委 員 会:1957年12月18日)に. 明確. に示 され て い る こ とか らも明 らか で あ る。(「勤 務 評 定 問 題 第 一 次 検 討 」 に関 して は後 方 の 箇 所 で 触 れ る こ と にす る。). 2.「 勤 務 評 定 制 度 」 に 包 摂 さ れ る 制 度 設 計 の 問 題 一 戦 前 の 「複 線 型 教 育 制 度 」 と 「師 範 学 校 制 度 」 の 廃 止 に伴 う教 育 事 情 一 占領 政 策 に よ る戦 前 の 複 線 型 教 育 制 度 の 廃 止 に伴 う米 国 の 単 線 型 教 育 制 度 の 導 入 と義 務 教 育 の 延 長 は多 くの 教 育 問 題 を 抱 え こむ こ と にな る。 特 に 「6・3・3・4制. 度 」 と い う教 育 制 度. を金 貨 玉 条 ご と く保 持 し現 在 に至 って い るが 、 この 制 度 はわ が 国 の 歴 史 的 ・文 化 的 風 土 にお け る人 間 形 成 に適 して い るの だ ろ うか 。 同 じ敗 戦 国 の ドイ ツで は米 国 の 占領 政 策 に よ る教 育 制 度 改 革 の 導 入 を拒 否 し、 戦 前 同様 の 複 線 型 教 育 制 度 を 保 持 して い る。 戦 後 の 米 ・ソの 軍 事 的 国 家 戦 略 の 立 ち 位 置 か ら、 日本 と ドイ ツ と を地 政 的 状 況 か ら比 較 し て 、 極 東 に領 土 を 保 有 す る共 産 主 義 国 家 ・社 会 主 義 国 家 の 軍 事 的 脅 威 か ら防 波 堤 的 役 割 を 演 じ れ るの は 日本 国 で あ り、「極 東 の軍 事 的戦 略 の基 地 化 」を 強 要 して い る。 そ れ は米 政 府 が 占領 政 策 期 間 に お いて 、 戦 前 の 制 度 を解 体 し、 ア メ リカの 制 度 の 導 入 に よ って 半 植 民 地 的 従 属 的 支 配. 一21一.

(4) 近畿大学教育論叢. 第22巻 第1号(2010・7). 関 係 を構築 す る方 略 と して、 「複 線 型 教 育 制 度 」 か ら 「単 線 型 教 育 制 度 」 へ 、 「師 範 学 校 制 度 」 を廃 止 して4年 制 大 学 で の教 員 養 成 制 度 へ の 制 度 変 更 、 加 え て、 「開 放 制 教 員 養 成 制 度」 の 導 入 で あ る。 これ らの 制 度 設 計 の 導 入 は、 多 くの 教 育 問 題 を 引 き起 こ し、 悲 惨 な 教 育 現 場 を 創 出 して い くこ と にな る。 それ は戦 後 の 教 員 の 状 況 と教 員 の 需 給 の 状 況 や 終 戦 直 後 の 学 校 施 設 の 状 況 か ら、 以 下 の 資 料 等 で 証 左 す る。. 1)終. 戦直後の教員の状況. 終 戦 直 後 の 学 校 教 育 は、 校 舎 の 焼 失 、 破 損 等 に よ る教 育 環 境 の 荒 廃 の み で な く、 教 員 の 不 足 や 無 資 格 教 員 の 悩 み も深 刻 で あ った。 敗 戦 に よ る価 値 観 の 倒 錯 と社 会 生 活 の 混 乱 と窮 乏 とが、 多 くの 教 師 に不 安 と動 揺 を 与 え 、 食 糧 難 や 生 活 苦 も加 わ って 教 職 を離 れ る者 が 少 な くな か っ た。 教 員 は、 当時 の 制 度 下 の 有 資 格 教 員 の ほか 、 高 年 齢 の 退 職 教 員 の 再 採 用 に よ って も まか な え ず 、 教 員 免 許 状 を 有 しな い 中等 学 校 卒 業 者 を 助 教 と して 採 用 したが 、 そ の 中 に は高 等 女 学 校 卒 業 者 が 多 か っ た。 特 に北 海 道 、 東 北 な どへ き地 に お いて は、 いわ ゆ る 「豆 訓 導 」 と称 して 国 民 学 校 高 等 科 の 卒 業 者 を 教 壇 に立 たせ る と い う よ うな 事 態 も生 じて いた 。 昭 和25年 当 時 の 助 教 諭 相 当の 教 員 数 は、 全 教 員 数 の 約4分 の1に 達 し、 その 約70%近. くは女 子 で あ った 。 また 、 中. 堅 層 の 教 員 を欠 くゆが ん だ 教 員 構 成 の 学 校 が 多 く、 しか も、 助 教 等 の 定 着 率 は低 く依 然 と して 教 員 不 足 の 状 況 が 続 い た。 一 方 、 占領 政 策 と して の 教 育 関 係 者 の 適 格 審 査 と不 適 格 者 の 教 職 追 放 に関 す る指 令 に基 づ く措 置 が 厳 し く、 教 育 界 は大 きな 不 安 につ つ まれ な が ら、 新 教 育 へ の 道 を歩 まな けれ ばな らな か っ た1)。. 2)教. 員の需給の状況. 昭 和22年4月. 、 新 学 制 の 実 施 に伴 い、 教 員 の 需 給 は急 激 に増 大 した。 ちな み に、20年 度 にお. け る国 民 学 校 の 児 童 ・生 徒 数 は約1280万 人 で あ り、 その 教 員 数 は31万 人 で あ った の に対 し新 制 中学 校 の 完 成 年 度 で あ る24年 度 に お け る小 ・中学 校 の 児 童 ・生 徒 数 は 約340万 人 増 加 し、 そ の 教 員 数 は約17万5,000人 多 い48万5,000人 とな って い る。 特 に新 制 中 学 校 の 発 足 に 際 して は、 青 年 学 校 教 員 の 大 多 数 と小 学 校 教 員 の 中堅 層 が 中学 校 教 員 とな っ た もの とみ られ 、 小 学 校 の 教 員 構 成 が さ らに弱 体 化 す る事 態 が 生 じた。 ま た、 当時 、 退 職 等 に よ る教 員 の 減 耗 は、 総 教 員 の 約 10∼11%に. 当 た る5万 人 程 度 に 達 して い た と み られ 、 教 員 の需 給 関 係 は 窮 迫 した 状 況 に あ っ. た。 この よ う に教 員 の 需 要 が 増 大 して い た に もか か わ らず 、 当時 師 範 学 校 等 へ の 入 学 希 望 者 は. 一22一.

(5) 昭 和30年 代 の 「勤 務 評 定 制 度 」 の 政 策 的 意 図 一 「勤 務 評 定 制 度 」 は戦 後 教 育 の 自立 ・発 展 の 教 育 政 策 か 一. 激 減 し、 ま た24年 か ら教 員 を 大 学 に お いて 養 成 す る と い う理 念 の も と に教 員 養 成 大 学 ・学 部 が 発 足 したの で あ るが 、 当初 は その 志 願 者 数 が 期 待 に反 して 少 な く、 関 係 者 を 憂 慮 させ た 。 文 部 省 は、 一 日 も早 く教 員 養 成 大 学 ・学 部 の 卒 業 者 を 教 育 現 場 に送 るた め、 当 該 大 学 ・学 部 に4年 の 課 程 の ほか に2年 課 程 を 設 け、 さ らに都 道 府 県 に臨 時 の 教 員 養 成 所 の 設 置 を 認 め、 こ れ に対 助 成 す る と と も に、 現 職 教 員 に対 して は、 計 画 的 な 現 職 教 育 を 実 施 して 、 そ の 資 格 と資 質 の 向上 の 措 置 を講 じた。26年3月. か らは、 教 員 養 成 大 学 ・学 部 の2年 課 程 の 出身 者 が 教 員 と. して 就 職 す る よ う にな っ た。 ま た、 教 員 の 減 耗 も23年 度 に は11%程 度 で あ った 者 が 、 社 会 の 安 定 に伴 い漸 減 す る に い た り、27年 度 に は6%隣. 、 一 応 の 落 ち着 きを 示 す に至 った 。 さ ら に28年. 度 末 に は、 教 員 養 成 大 学 ・学 部 の4年 課 程 の 者 の 卒 業 が 見 込 まれ るの で 、 これ と2年 課 程 を 合 わ せ れ ば需 要 数 の 過 半 数 を 占 め る見 通 しが たつ よ う にな っ た。 高 等 学 校 教 員 の 場 合 は、 職 業 課 程 を は じめ一 般 の 教 科 担 当 につ いて も、 旧制 高 等 師 範 学 校 の 教 員 養 成 所 学 校 の 卒 業 者 お よ び 旧 制 の 大 学 ・専 門 学 校 等 の 失 業 者 に よ って 供 給 され て お り、 さ らに27年 度 末 、 そ して28年 度 末 か らは大 量 の 新 制 大 学 卒 業 者 の 就 職 が 期 待 され る よ う にな っ た。 こ う して 教 員 の 需 給 関 係 につ い て も、 よ うや く戦 後 の 混 乱 期 か ら脱 却 の き ざ しが 見 え 始 めて き たの で あ る2)。. 3)終. 戦直後の学校施設の状況. 戦 災 に よ る学 校 施 設 の 被 害 面 積 は、国 ・公 ・私 立 を合 わ せ て約930万 平 方 メ ー トル 、被 災 学 校 数 は3,556校 で 、 当時 の保 有 面 積 の12%強. に 当 た る と推 定 さ れ て い る。 こ の うち 公 立 学 校 の 被. 害 は686万 平 方 メ ー トル に も及 び、 約200万 人 以 上 の 児 童 ・生 徒 が 学 ぶ べ き教 室 を 失 った こ と に も な る。 しか も、 そ の 復 旧 は遅 々 と して 進 まず 、 よ うや く昭 和21年 度 下 半 期 に 至 って 、 当時 、 経 済 安 定 本 部 所 管 で あ っ た公 共 事 業 費 の 中か ら学 校 の 戦 災 復 旧事 業 費 が 計 上 され た が 、 困 難 な 財 政 事 情 と建 築 資 材 の 不 足 の た め、 本 格 的 な 復 旧計 画 は実 現 され ず 、 わ ず か の バ ラ ックの 応 急 校 舎 を建 て るの に過 ぎな か っ た。 す な わ ち、 戦 災 復 旧事 業 は27年 度 まで に国 立 学 校 にお いて 被 災 面 積 の58%、. 公 立 学 校 に お いて は41%が 復 旧 され た に過 ぎず 、 完 全 な 復 旧 まで に はそ の 後 な. お10年 の 歳 月 を 必 要 と した3)。. 4)「1950年8月 第三章. 第2次 訪 日ア メ リ力教 育 使 節 団 に提 出 した文 部 省 報 告 書 教員の諸問題. 六. 教 員 に関 す る今 後 の 問 題 」. 教 員 の 質 及 び量 は、 次 第 に向 上 の 傾 向 に あ るが 、 財 政 上 お よ び待 遇 上 の 障 害 な ら び に地 方 財. 23.

(6) 近畿大学教育論叢. 第22巻 第1号(2010・7). 政 平 衡 交 付 金 制 度 の 実 施 に伴 う義 務 教 育 国 庫 負 担 金 制 度 の 廃 止 等 に さ また げ られ て 、 前 途 に多 くの 問 題 を残 して い る。 まず 教 員 の質 に つ い て は、1949年 度 に お い て 、 小 学 校 の無 資 格 教 員 の数 は、 全 国 平 均25.9% にの ぼ り、 中学 校 で は12%と な って い る。 さ らに、 これ を 都 道 府 県 別 にみ れ ば、 小 学 校 にお い て 最 高26.8%、 最 低2.9%と. な って い る。 教 員 の質 を 学 歴 に よ って み れ ば、 専 門 学 校 卒 業 者 は、. 全 教 員 に対 して、 小 学 校 に お い て 全 国 平 均54%、. 中学 校 に お い て は75.7%と な って い る。 これ. を さ らに都 道 府 県 別 に み れ ば、 小 学 校 にお い て は最 高88.2%、 最 低30.9%中 学 校 に お い て は最 高93.6%、 最 低60.2%と な って お り、都 道 府 県 間 に お け る差 は非 常 に大 き な もの で あ る。 ま た、 若 い教 員 の 多 い こ と は きわ めて 顕 著 で 、26歳 以 下 の 勤 務 年 数5年 未 満 の 教 員 が 、 小 学 校 にお い て は50%を. こえ て い る現 状 で あ る。 これ に対 し文 部 省 お よ び都 道 府 県 の 教 育 委 員 会 は、 現 職 教. 育 、 認 定 講 習 お よ び認 定 通 信 教 育 に よ って 教 員 の 再 教 育 を 試 み て き たの で あ るが 、 この 場 合 に お け る受 講 者 の 経 済 的 負 担 に対 して 財 政 的 援 助 を 与 え る こ とが 、 重 要 な 問 題 とな って い る4)。 以 上 の よ うな 事 柄 を省 察 して 、 戦 後 の 教 育 制 度 と教 員 養 成 制 度 の 制 度 設 計 の 問 題 は行 財 政 上 の 問 題 ・課 題 と深 く関 連 して い る こ とか ら、 戦 後 の 教 育 復 興 計 画 は遅 々 と して 進 まな か った こ とが 報 告 され て い る。 特 に、22年 に始 ま る戦 後 出生 児 の 急 増 の 波 頭 は28年 小 学 校 に達 し、 以 後 35年 中学 校 に、38年 高 等 学 校 に、 そ して41年 に は大 学 の 門 戸 に迫 る教 育 事 情 を 生 み 出す こ と に な る。 ま た この 「団 塊 の 世 代 」 と呼 ばれ る世 代 の 教 育 政 策 と義 務 教 育 の3年 間 の 延 長 とな った 「6・3制. 度 」 に よ る新 制 中学 校 の 教 育 政 策 は 国 家 ・地 方 の 教 育 財 政 を ひ っ迫 させ る事 態 とな. り、 教 育 行 政 当局 は学 校 数 や 教 員 数 の 増 加 対 策 に窮 し、 一一ク ラ ス 「60人」 と い うマ ス プ ロ教 育 が 創 出 され て い く。 当然 の 理 で あ るが 、 新 しい教 育 制 度 を充 実 ・発 展 させ て い くた め に は大 学 制 度 の 拡 充 政 策 が 欠 か せ られ な い。 しか し、4年 制 教 員 養 成 制 度 の 設 置 の 遅 れ は昭 和30年 代 の 学 校 教 育 に負 の遺 産 を背 負 わ す こ とに な る。 そ れ は 以 下 の よ うな 戦 後 の 大 学 設 置 等 に 関 す る 「答 申」 「建 議 」 「公 布 」 等 の経 緯 か ら も知 見 で き る。 昭 和22年 か ら昭 和25年 まで の 大 学 設 置 等 に関 す る答 申 ・公 布 等 は以 下 の よ う にな って い る。 1)昭. 和22年7月8日:大. 学基準協会設立。大学基準を決定。. 2)同. 年11月6日:教. 育 刷 新 委 員 会 、 教 員 養 成 に関 し建 議 。. 3)同. 年12月16日:大. 学 設 置 委 員 会 第1回 総 会 開 催 。. 4)同. 年12月27日:教. 育刷新委員会、大学の地方移譲反対。. 5)昭. 和23年1月15日:大. 学 設 置 委 員 会 官 制 を公 布 。. 一24一.

(7) 昭 和30年 代 の 「勤 務 評 定 制 度 」 の 政 策 的 意 図 一 「勤 務 評 定 制 度 」 は戦 後 教 育 の 自立 ・発 展 の 教 育 政 策 か 一. 6)同. 年2月23日:大. 学 設 置 委 員 会 「大 学 設 置 基 準 」 を 答 申(新 制 大 学 設 置 認 可 の 基 準 決. 定)。 7)同. 年3月29日:文. 部 省 、 教 員 養 成 はす べ て 大 学 で 実 施 す る 旨を 発 表 。. 8)同. 年7月26日:教. 育 刷 新 委 員 会 、 大 学 の 国 土 計 画 配 置 につ いて 建 議 。. 9)同. 年8月24日:大. 学 設 置 委 員 会 、 新 制 大 学 審 査 申請219校 を発 表 。. 10)同 年12月25日:国. 立 新 制 大 学 を 昭 和24年 か ら開 校 す る こ とを 閣 議 決 定 。. 11)昭 和24年1月18日:教. 育 刷 新 員 界 、2年. ま た は3年 制 の 大 学 につ いて 建 議 。. 12)同 年5月9日:新. 制国立大学入学試験要項を発表。. 13)同 年5月18日:学. 校 教 育 法 改 正(短 期 大 学 成 立)。. 14)同 年5月31日:「. 国立 学 校 設 置 法 」 公 布 。. 15)同 年12月15日:「 私 立 学 校 法 」 公 布 。 16)同 年12月15日:私. 立大学審議会設置。. 17)昭 和25年3月18日:新. 学 制 実 施 に伴 い,旧 制 高 等 学 校 最 後 の 卒 業 式 。. 18)同 年8月9日:大. 学設置員会を大学設置審議会の改組。. 19)同 年8月29日:大. 学設置審議会、大学基準改定を決定。 :短 期 大 学 通 信 教 育 基 準 を決 定5)。. 戦 後 の 教 員 不 足 に加 え 、 上 述 の 中の 、 昭 和23年3月29日 で 実 施 す る 旨を 発 表 」 と昭 和24年5月9日. の 「文 部 省 、 教 員 養 成 はす べ て 大 学. の 「新 制 国立 大 学 の 入 学 試 験 要 項 を 発 表 」 に よ り、. 国 立 大 学 の 教 員 養 成 で の 教 員 の 初 卒 業 が 昭 和29年3月. とな り、 小 学 校 教 育 に は教 員 の 資 質 ・能. 力 の 問 題 が 制 度 的 問 題 と表 裏 して い る こ とが 指 摘 で き る。 前 述 して い るが 、 昭 和28年 と い う年 は 昭和22年 生 ま れ の255万 人 の ベ ビー ブー ム の 波 が 小 学 校 に や って 来 た 年 で もあ る。 しか し、 昭 和26年 か ら30年 ま で の 小 学 校 の 学 校 数 は(昭 和26年:26,056校 26,555校 、29年:26,804校. 、30年:26,880校)6)微. 、27年:26,377校. 、28年:. 増 しな が ら推 移 して い る こ とか ら、 「マ ス プ. ロ教 育 」 と い う名 称 が 物 語 る よ う に 「学 校 の 建 物 あ りて 、 劣 悪 な 学 習 条 件 ・教 育 条 件 」 と い う 事 態 を引 き起 こ して い くの で あ る。 それ に輪 を か け るか の よ う に、「開放 制 教 員 養 成 」の 教 育 条 件 も不 整 備 の ま ま、教 員 養 成 が行 わ れ て い く歴 史 的土 壌 が作 られ て い くの で あ る。 つ ま り、「開 放 制 教 員 養 成 」 機 関 で の 大 学 の 教 員 の 質 的 問 題 を 内包 しな が ら、 教 育 学 専 攻 や 心 理 学 専 攻 の 学 生 に は 「英 語 の 免 許 状 」 を 出す な ど、 教 員 の 質 の 低 下 は 「国 民 教 育 」 を 愚 弄 す るか の よ う に歴 史 的 経 過 を た ど る こ と にな る。 この よ うな 事 態 は 「教 員 免許 状 の安 売 り的体 質 化 」を温 存 させ 、. 一25一.

(8) 近畿大学教育論叢. 第22巻 第1号(2010・7). 教 員 養 成 制 度 の 形 骸 化 を 生 み 出 し、 加 え て 戦 前 の 「師 範 学 校 卒 」 の 教 員 と戦 後 の 「開 放 制 教 員 養 成 制 度:大 学 卒 」 の 教 員 の 確 執 や 、 共 産 主 義 的 ・社 会 主 義 的 イ デオ ロギ ー を 信 奉 す る 日教 組 の 闘 争 体 質 化 と綱 領 主 義 ・教 条 主 義 的 体 質 化 は学 校 本 来 の 「教 育 」 の 本 質 か ら乖 離 した 教 育 事 情 を作 り出 し、「児 童 ・生 徒 不 在 」の 学 校 と化 して い くの で あ る。 この よ うな 事 態 を 収 拾 す る方 向性 と して 学 校 教 育 問 題 を 教 員 の 勤 務 姿 勢 に照 準 に して 、 為 政 者(政 府 ・文 教 族 ・旧文 部 省 官 僚)の 集 権 的 体 質 化 を 強 化 して い く方 略 は、 反 体 制 化 体 質 の 強 化 を 呼 び込 み 、 体 制 ・反 体 制 の 図 式 に よ る闘 争 が ま さ に政 治 的 イ デオ ロギ ー闘 争 化 で あ り、 わ が 国 にお け る 旧文 部 省 と 日教 組 の 政 治 的 イ デオ ロギ ー 闘 争 は 「学 校 ・教 職 ・教 師 ・児 童 生 徒 」 の 属 性 を 体 制 側 と反 体 制 側 の 政 治 的 闘 争 エ ゴの 手 段 に して 展 開 され て い く。 当然 の 帰 結 と して 、 昭 和30年 代 の 教 育 現 場 の 混 乱 と混 迷 は、 昭 和40年 代 、50年 代 の 学 校 教 育 問 題 に底 流 して い くの で あ る。 勤 務 評 定 実 施 後 の 顕 在 化 して い く文 部 省 と 日教 組 の 対 立 的 闘 争 に よ って 、 学 校 教 育 問 題 の 解 決 の 糸 口が 見 え な い ま ま、 有 形 無 形 に して 学 校 教 育 が 政 治 的 イ デオ ロギ ー闘 争 の 渦 中 に おか れ 、 政 府 や 文 部 省 が 想 定 した戦 後 の 自立 ・発 展 で の復 興 政 策 で の 「教 育 秩 序 の確 立 を 目指 す 教 育 政 策」 に 誤 差 が 生 じ、 学 校 教 育 の 荒 廃 化 を 呼 び こむ 歴 史 環 境 を つ く り出 して い くの で あ る。 つ ま り、「教 育 制 度 」、「教 員 養 成 制 度 」、 「教 員 採 用 の 在 り方 」 に お け る制 度 的 ・政 策 的 欠 陥 よ る学 校 教 育 問 題 を 「勤 務 評 定 制 度 」 を導 入 す る こ と に よ って 、 教 員 の 資 質 ・能 力 の 問 題 にす り替 え 、 公 権 力 的 教 育 管 理 体 制 を推 し進 め る教 育 政 策 は、 以 下 の よ うな 、1956(昭. 和31)年. か ら1960(昭 和35)年. まで の 政. 府 ・文 部 省 の 「要 綱 、 法 案 、 設 置 、 表 明 、 通 達 、 公 布 、 要 望 、 告 示 等 」 に如 実 に表 れ て い る。 1)自. 民 党 文 教 制 度 調 査 員 会 特 別 委 員 会 、 教 育 委 員 会 制 度 改 正 要 綱 を 発 表(公 選 制 廃 止 、 教. 員 任 命 権 を県 教 育 委 員 会 へ 移 す な ど):1956年1月16日 2)「 臨 時教 育 制 度 審 議 会 設 置 法 案 」 を 閣議 決 定:同 年1月27日 3)「 地 方 教 育 行 政 の組 織 及 び運 営 に 関す る法 律 案 」 国会 に提 出:同 年3月8日 4)衆. 議 院 本 会 議 、 教 科 書 法 案 を 社 会 党 棄 権 の ま ま可 決:同 年3月31日. 5)参. 議 院 、 地 方 教 育 行 政 法 案 の 審 議 を め ぐ り混 乱 、 警 察 隊 出動 、 原 案 通 り可 決(教 科 書 法. 案 ・臨 時 教 育 制 度 審 議 会 設 置 法 案 は審 議 未 了 ・廃 案) 6)「 地 方 教 育 行 政 の組 織 及 び運 営 に 関す る法 律 」(地 方 教 育 行 政 法)公 布:同 年6月30日 7)地. 方 教 育 行 政 法 に よ る任 命 制 教 育 委 員 会 発 足:同 年10月1日. 8)文. 部 省 に教 科 書 調 査 官 定 員40人 を設 置:同 年10月10日. 9)教. 科 用 図 書 検 定 調 査 審 議 会 を 改 組 強 化 し、 委 員 を 大 幅 に増 員:同 年10月19日. 一26一.

(9) 昭 和30年 代 の 「勤 務 評 定 制 度 」 の 政 策 的 意 図 一 「勤 務 評 定 制 度 」 は戦 後 教 育 の 自立 ・発 展 の 教 育 政 策 か 一. 10)松 永 東 文 部 大 臣、 道 徳 に関 す る独 立 教 科 設 置 の 意 向 を 表 明:1957年7月30日 11)文 部 省 、 教 員 勤 務 評 定 制 度 の 趣 旨の 徹 底,教 員 服 務 の 厳 正 につ いて 配 慮 す る よ う通 達: 同年9月20日 12)文 部 省 、 学 校 教 育 法 施 行 規 則 を 改 正 、 小 中高 教 頭 の 設 置:同 年12月4日 13)「 公 立 学 校 教 職 員 の勤 務 評 定 試 案:都 道 府 県 教 育 長 協 議 会 」:同 年12月20日 14)文 部 省 、 勤 務 評 定 は職 員 団 体 の 交 渉 事 項 で はな い 旨 と通 達:1958年1月27日 15)勤 務 評 定 、1都38県. で 強 行 実 施:同 年4月23日. 16)文 部 大 臣、 全 国 都 道 府 県 知 事 会 議 で 勤 務 評 定 の 完 全 実 施 を 要 望:同 年7月28日 17)文 部 省 に教 科 調 査 官 、 視 学 委 員 を 置 く:同 年11月10日 18)文 部 省 、 教 科 用 図 書 検 定 基 準 を 告 示:同 年11月12日 19)文 部 大 臣、 閣 議 で 勤 評 神 奈 川 方 式 は勤 評 と認 めな い と文 部 省 の 見 解 を 表 明:1959年1月 16日 20)文 部 省 に官 房 長 官 を設 置:同 年4月14日 21)教 職 員 の 服 務 等 につ いて 通 達:同 年8月6日 22)文 部 省 、 道 徳 指 導 者 講 習 会 を 各 地 で 開 催(9月6日. ∼9月9日):同. 年9月6日. 23)昭 和35年 か ら教 頭 に も管 理 職 手 当て を支 給:1960年4月1日 24)文 部 大 臣、 国 立 学 長 会 議 で 大 学 教 官 の 責 任 と学 園 の 秩 序 確 立 につ いて 要 望:同 年6月18 日 25)文 部 省 、 高 等 学 校 生 徒 に対 す る指 導 体 制 の 確 立 につ いて 通 達:同 年6月21日 26)文 部 省 、 初 めて 校 長 ・指 導 主 事 等 研 修 講 座(1期2週. 間)を 開 催(以 後 毎 年 継 続):同 年. 7月25日 27)文 部 大 臣、 日教 組 は任 意 団 体 で あ るか ら交 渉 に応 ず る必 要 はな い 旨を 伝 達 させ る:同 年 7月29日 28)文 部 省 、 教 職 員 の 政 治 活 動 に関 し通 達:同 年11月5日7). 3.「 勤 務 評 定 制 度 」 導 入 の 政 策 的 意 図 と 文 部 省 に と っ て 「予 期 しな い 結 果 」 任 命 制 教 育 委 員 会 を 中心 とす る新 しい地 方 教 育 行 政 制 度 の も とで 、 教 育 委 員 会 の 最 初 で 最 大 の 仕 事 は勤 務 評 定 の 実 施 で あ っ た いわ れ て い る。 地 方 教 育 行 政 法 の46条 の 「県 費 負 担 教 職 員 の. 27.

(10) 近畿大学教育論叢. 第22巻 第1号(2010・7). 勤 務 成 績 の 評 定 は、… …都 道 府 県教 育 委 員 会 の 計画 の下 に、市 町村 教 育 員 会 が行 う もの とす る」 と い う条 文 に よ って 実 施 され たの で あ る。 その は じめが 愛 媛 県 の 財 政 赤 字 の 事 由 に勤 務 評 定 が 実 施 され たの で あ る。 この 実 施 は単 な る地 方 財 政 の 逼 迫 か らだ けの 問 題 で な く、 教 育 の 官 僚 統 制 と 日教 組 対 策 を 根 底 に した実 施 で あ る。 当 時、 政 府 ・自民 党 は 日教 組 対 策 に 腐 心 して お り、 文 部 省 に対 して 「文 部 省 の措 置 す べ き事 項 」 や 「教 育 委 員 会 の 措 置 す べ き事 項 」 を 成 文 化 し、 全 国都 道 府 県 教 育 協 議 会 は、 「公 立 学 校 教 職 員 の 勤 務 評 定 表 試 案 」 を 作 成 し、 都 道 府 県 教 育 員 会 の 勤 務 評 定 計 画 樹 立 に試 案 の 概 要 を 示 し、「特 性 ・能 力 、職 務 の状 況 ・勤 務 状 況 、特 別 事 項 の 具 体 的 記 述 と総 合 的 な 評 価 を 総 評 と して 示 す よ う に示 唆 を 与 え て い る。 この よ うな 政 府 ・自民 党 、 全 国 都 道 府 県 教 育 協 議 会 、 都 道 府 県 教 育 員 会 の 動 静 に対 して 、1957(昭 (昭和33)年. 和32)年. か ら1958. ま で、 「勤 務 評 定 」 実 施 に関 して 、 以 下 の よ うな 反 対 声 明 が 出 され 、 反 対 運 動 等 が. 展 開 され て い る。 1)日. 教 組 、 「午 後2時 授 業 打 ち切 り闘争 」 を実 施:1957年3月11日. 2)日. 教 組 、 勤 評 ・不 当弾 圧 反 対 全 国 い っせ い職 場 集 会 を開 催:同 年5月10日. 3)日. 教 組 、 勤 務 評 定 反 対 阻 止 闘 争 強 化 を 決 議 、 「非 常 事 態 宣 言 」 を発 表:同 年12月22日. 4)「 日教 組:勤 務 評 定 反 対 闘争 に お け る職 員 団体 の交 渉 権 と教 職 員 の政 治 活 動 につ い て」: 1958年1月30日 5)日. 教 組 、 東 京 で 「教 育 危 機 突 破 中央 大 会 」 を 開 催:同 年3月8日. 6)都. 教 組 ・各 県 教 組 、 勤 評 反 対 闘 争 展 開:同 年4月23日. 7)日. 教 組 ・総 評 加 盟 労 組 、 「勤 評 反 対 ・民 主 教 育 を 守 国 民 大 会 」 を 和 歌 山市 で 開催(右. 翼. 団 体 、 学 生 等 衝 突):同 年8月15日 8)和. 歌 山県 で 勤 務 評 定 実 施 、 県 教 組 は勤 務 評 定 阻 止 統 一 行 動 実 施 、 デ モ隊 と警 官 と衝 突 で. 混 乱:同 年6月27日 9)「 日教 組 ・高 教 組:勤 務 評 定 に 関す 共 同声 明」:同年9月14日 10)日 教 組 、 「勤 評 阻止 全 国統 一 行 動 」 を実 施:同 年9月15日 11)日 教 組、 「労 働 組 合 権 の 侵 害 」 を理 由 に、 日本 政 府 を相 手 と してILO(国. 際 労 働 機 構i). に 申 し立 て る:同 年11月9日 12)日 教 組 、 勤 務 評 定 反 対 第2波 闘 争 を 実 施(同 年11月5日. 第3波 、11月26日 第4波 統 一 行. 動 実 施) 13)神 奈 川 県 教 育 委 員 会 、 独 自の 勤 務 評 定 方 式(神 奈 川 方 式:自 己 反 省 の 記 録)を 決 定(文. 一28一.

(11) 昭 和30年 代 の 「勤 務 評 定 制 度 」 の 政 策 的 意 図 一 「勤 務 評 定 制 度 」 は戦 後 教 育 の 自立 ・発 展 の 教 育 政 策 か 一. 部 省 は反 対 、 日教 組 は賛 成):同 年12月9日8) 以 上 の よ うな 反 対 声 明 や 反 対 運 動 は教 育 界 を 震 憾 させ る事 態 を 招 き、 勤 務 評 定 実 施 後 の 日教 組 は、 新 しい政 治 的 ・教 育 的 事 態 に対 す る運 動 指 針 と して 「教 師 の倫 理 綱 領(新)」 年6月. を 昭 和36. に策 定 して い る。 その 前 文 は以 下 の よ う にな って い る。. 「私 た ち組 合 は、昭和27年 に 「教 師 の 倫 理 綱 領 」を決 定 しま した。 決 定 され る ま で の約1年. 間、. 全 国 の各 職 場 で は倫 理 綱 領 の草 案 を め ぐ って検 討 を 続 け ま した。 「自分 た ち の倫 理 綱 領 を 、 自 分 た ちの な か か らつ くろ う」 これ が 、 私 た ちの 考 え 方 で した。 私 た ちが 、 綱 領 草 案 を め ぐって 話 し合 いを 行 って い た昭 和26年 と い う年 は、 全 面 講 和 か 、 単 独 講 和 か 、 これ らの 日本 の 歩 む 途 を め ぐって 国 論 が 二 つ にわ か れ て た たか わ され て いた 時 期 で す 。 私 た ち は敗 戦 と い う大 きな 代 償 を 払 って 、 や っ と手 中 に した 「民 主 主 義 と平 和 」 を 危 機 に お と しいれ る心 配 の 濃 い 「単 独 講 和 」 に反 対 して き ま した。 平 和 憲 法 に対 す る理 由の な い攻 撃 も、この 時 代 か ら始 め られ ま した。 この よ うな 時代 を 背景 に、私 た ち の討 論 は続 け られ ま した。 そ して 、 「平 和 と民 主 主 義 を守 りぬ くた め に、 今 日の教 師 は い か に あ る べ き か」 「望 ま しい教 師 の 姿 勢 は ど う あ るべ き か」、 私 た ち の倫 理 綱 領 草 案 の 討 論 に は以 下 の よ う な考 え 方 が 基 礎 に な って い ま した。 で す か ら、 これ は単 な る 「標 語 」 で な く、 私 た ち 自身 の 古 さを の りこえ 、 新 しい 時代 を 見 きわ めて 、 真 理 を追 究 す る者 の き び し さ、 正 義 を 愛 す る情 熱 に支 え られ た倫 理 、 民 族 の もつ 課 題 に正 し く応 え る倫 理 と い う考 え 方 が 、 私 た ち の 倫 理 綱 領 の 基 調 に な って い ま す 。 以 下 、 私 た ちの 倫 理 綱 領 の 各 項 につ いて 簡 単 にふ れ た い と思 い ます 。」9). 4.「 愛 媛 県 教 組 闘 争 声 明 」(昭 和32年12月12日) 差 別 評 定 の もつ ね らいが 、 教 育 を 権 力 支 配 の も と に お き、 教 員 組 合 活 動 を お さえ つ け よ う と す る もの で あ る こ と は、 す べ て の 職 場 で あ き らか に され て い た。 昨 年 、 全 国 の トップを き って 愛 媛 に強 行 され た勤 務 評 定 が 、 わ れ わ れ の 全 職 場 に大 きな 障 害 を与 え 、 再 び この よ うな 差 別 評 定 は、 う け入 れ る こ と はで きな い と い う、 教 育 的 信 念 が 、 わ れ わ れ を つ よ く結 びつ けた の で あ る。 本 年10月 、 県 教 育 委 員 会 が 再 度 評 定 強 行 の 方 針 を 決 定 して か ら、 わ れ わ れ の 運 動 はか つ て な い発 展 を と げ、 学 校 を と りま く地 域 との 提 携 は、 一 層 強 化 され 全 国 的 支 援 の も と にお こな わ れ たわ れ わ れ 自身 の 統 一 行 動 は差 別 評 定 に た い し大 きな 打 撃 を 与 え つ づ けた 。 この よ う なわ れ わ れ の 力 量 に狼 狽 した 自民 党 は、 本 性 を 暴 露 して 教 育 に介 入 し、 県 教 育 委 員 会 を叱 咤 激 励 して 、 どの よ う に して 評 定 票 を と りつ け るか に狂 奔 した 。. 一29一.

(12) 近畿大学教育論叢. 第22巻 第1号(2010・7). す な わ ち、 数 次 にわ た って 提 出期 限 を 延 期 し、 最 終 段 階 に は言 語 に絶 す る強 圧 的 態 度 で の ぞ ん で き た。 県 下 各 地 で は提 出拒 否 を つ づ け る校 長 と その 職 場 に た い し、 あ りと あ ら ゆ る脅 迫 と ご まか し、 人 権 を無 視 した暴 力 的 行 為 に よ って 、 言 語 に絶 す る攻 撃 を か けつ づ けた 。 しか しな が ら全 国 の 同志 と父 母 、 県 民 の 激 励 に よ って 職 場 は団 結 し、 校 長 は い よ い よ決 意 を 固 め、 は げ しい強 圧 の な か に も、 な お3百 余 校 が 評 定 票 の 提 出を 拒 否 して い る。 わ れ わ れ は勤 務 評 定 の 意 図 す る もの は、 民 主 教 育 を す す め る基 盤 を う ち こわ す もの で あ るが ゆえ に、 教 育 者 の 良 心 にか けて これ を う け入 れ る こ と は 出来 な い。 しか しな が ら、 政 府 自民 党 の 中央 地 方 を つ う じて の す べ て の 権 力 に よ る暴 力 的 圧 力 が 愛 知 県 教 育 界 を混 乱 の 一 途 にみ ち び いて い る事 態 を み る と き、 た とえ 県 教 育 委 員 会 が 、 そ の 責 任 を 感 じな い と して も、 わ れ わ れ の 教 育 者 と して の 良 心 は これ を 座 視 す る こ と に しの びな い。 わ れ わ れ は こ こ に大 いな る勇 気 と決 断 の も と に、 新 しい段 階 に進 も う とす る もの で あ る。 しか しわ れ わ れ は この 暴 力 的 圧 力 に よ って 、 教 育 を 破 壊 す る もの はだ れ か 、 また 真 に民 主 教 育 を 守 るの は だれ か 、 と い う こ と を闘 いの な か か ら県 民 の 前 に あ き らか にす る こ とが で きた 。 また 職 場 で は い よ い よ団 結 をつ よ め父 母 と はな しあ い、 あか る い営 み が つ づ け られ て い るの で あ って 、 差 別 評 定 の もつ 本 質 的 な ね らい は、 完 全 に打 ち倒 され て い る。 い ま全 組 合 員 は闘 う意 欲 に もえ 、 無 限 の 闘 争 力 を保 持 して い る。 わ れ わ れ は今 後 も、 父 母 県 民 、 働 く もの の 団 結 の も と全 国50万 の 同志 と と も に、 長 期 の 闘 い に立 ち向 か う者 で あ る。 1957年12月12日. 第29回 愛 媛 県 教 組 臨 時大 会10). こ こで の 声 明 は、 ま さ に政 治 闘 争 化 す る方 向 性 を 示 し、 学 校 対 教 育 委 員 会 の 対 決 路 線 が 保 護 者 ・生 徒 を巻 き込 む 抗 争 事 件 的 要 素 を 内包 す る こ と にな り、 戦 後 の 国 民 教 育 の 基 軸 の ぶ れ を 大 き くす る発 端 とな って い くの で あ る。. 5.「 勤 務 闘 争 で の 日 教 組 非 常 事 態 宣 言 」(1957年12月22日. 日 教 組 第16回 臨 時 大 会). 権 力 に よ る教 育 の 統 制 が 、 型 に は ま っ た人 間 を つ く りあ げ、 国 民 全 体 を 大 きな 不 幸 に お と し いれ る もの で あ る こ と は、 わ れ わ れ が あの 悲 惨 な 戦 争 を と お して 、 骨 身 に徹 す る まで 思 い知 ら され た こ とで あ っ た。 しか し、 戦 後 十 年 を へ た こん に ち、 日本 の 教 育 は、 ふ た た び重 大 な 局 面 に立 た され て い る。 世 論 を ま っ た く無 視 して 強 行 され た任 命 教 育 委 員 会 の 発 足 は、 政 府 が ほ しい ま ま に教 育 を 統 制 し、 政 党 の 教 育 支 配 に道 を開 くもの で あ っ た。 この1年 間 、 文 部 省 は、 視 学 制 度 を 復 活 して. 一30一.

(13) 昭 和30年 代 の 「勤 務 評 定 制 度 」 の 政 策 的 意 図 一 「勤 務 評 定 制 度 」 は戦 後 教 育 の 自立 ・発 展 の 教 育 政 策 か 一. 教 育 査 察 の 体 制 を固 め、 教 科 書 の 固 定 化 を 進 め、 ま た、 きわ めて 一一 方的な学校管理規則をつ く り、 教 師 の か つ ど うの 自 由を 拘 束 しよ う と した。 そ して 、 わ れ わ れ の 憂 慮 は、 す で に現 実 の も の に な っ た。 政 府 な らび に 自民 党 は、 さ らに あ くな い野 望 を も って 、 道 徳 教 育 振 興 の 美 名 にか くれ て 、 修 身 科 の 復 活 を企 図 し、 科 学 的 人 事 管 理 と いつ わ って 勤 務 評 定 の 強 引 な 実 施 を はか ろ う と して い る。 と くに勤 務 評 定 は、 近 来 急 速 にす す め られ て き た一一 連 の 反 動 文 教 政 策 の 仕 上 げを ね ら って 持 ち だ され た もの で る こ と は、 疑 う余 地 が な い。 それ は、 権 力 を も って 教 師 を た え ず 束 縛 し、 そ の 自 由 を圧 殺 しよ う とす る もの で あ る。 ま た それ は、 教 育 の 自主 性 を う ば い、 創 意 に よ るか っ 達 な 教 育 実 践 を お さえ 、 教 員 組 合 活 動 を 封 じこ め よ う とす る陰 険 な 意 図 を 含 ん で い る。 愛 媛 県 で 見 られ た よ う に、 自民 党 の 教 育 に た いす る介 入 は、 い まや 公 然 た る もの で あ り、 そ の 方 法 は暴 力 的 な もの に さえ な って い る。 全 国 都 道 府 県 教 育 委 員 長 協 議 会 の12月10日 の 声 明 の ご と き は、 教 育 委 員 会 が 自民 党 へ の 積 極 的 な 奉 仕 者 とな りか わ っ た こ とを 如 実 に示 す もの で あ る。 か くて 、 教 育 は政 党 の 不 当な 支 配 に服 す る こ とな く、 国 民 全 体 にた い して 、 直 接 の 責 任 を 負 って お こ なわ れ な けれ ばな らな い と い う教 育 基 本 法 の 精 神 は、 根 本 的 に くつ が え され つ つ あ る。 政 府 ・自民 党 、 な らび に、 自主 性 を喪 失 した教 育 委 員 会 の この よ うな 動 向 は、 国 民 教 育 の 将 来 に と って 、 重 大 な 危 機 を は らむ もの と断 ぜ ざ るを え な い。 教 育 は 国 民 の もの で あ る。 ひ と りひ と りの 子 ど も の、 生 命 の 伸 張 に か ん す る こ とが らで あ る。 ま た愛 す る 日本 の 将 来 に か か わ る問 題 で あ る。 そ の教 育 に直 接 の責 任 を もつ わ れ わ れ は、 教 育 が 国 民 の 手 か ら奪 わ れ る こ とを 許 さな い。 わ れ わ れ は、 全 国 民 が 教 育 にた い して い よ い よ 積 極 的 に発 言 され る こ とを 期 待 し、 あ い と も に、 反 動 的 教 育 行 政 の 動 き に厳 重 な 監 視 と強 い抵 抗 を怠 らな い こ と を誓 う もの で あ る。 勤 務 評 定 は、 わ れ わ れ の 強 い警 告 に もか か わ らず 、 い まや 全 国 の 各 都 道 府 県 で 具 体 的 な 問 題 と な る段 階 に な っ た。 この よ う に教 育 を 混 乱 に お と しいれ 、 ふ た た び 日本 を 不 幸 にみ ち び く暴 挙 に た い し、 教 師 の 良 心 は心 か らの 憤 りを感 ぜ ず に は い られ な い。 こ こに、 全 国50万 の教 師 は、 こん に ち の状 態 こそ民 主 主 義 の非 常 事 態 で あ る こ とを確 認 し、 覚 悟 を新 た に し、 ゆ るが ぬ 団 結 と統 一 行 動 を も って 、 勤 務 評 定 を 阻 止 し、 教 育 の 権 力 支 配 を 粉 砕 す る た め に、 ね ば りつ よ く強 力 に闘 いぬ くこ と を宣 言 す る。 1957年12月22日. 31. 日本 教 職 員 組 合11).

(14) 近畿大学教育論叢. 第22巻 第1号(2010・7). この 宣 言 は 自民 党 や 公 権 力 に対 す る闘 争 宣 言 で あ り、 敗 戦 の 傷 跡 が 癒 え な い国 民 感 情 を 逆 な で す る よ うな こ と に も連 関 し、 教 育 闘 争 と い う よ り、 政 治 闘 争 化 路 線 を 宣 言 した もの で あ る。. 6.「 勤 務 評 定 は 断 行 す る 」(1957年12月5日. 朝 日 新 聞). 〈自民 党 総 務 会 決 定 、 党 有 力 者 を地 方 派 遣 〉 自民 党 は5日 の 定 例 総 務 会 議 に松 永 文 相 の 出席 を 求 め、 愛 知 県 教 員 勤 務 評 定 問 題 に対 す る対 策 を協 議 した。 その 結 果 、 自民 党 と して は、 一. 教 員 勤 務 評 定 は確 固 た る決 意 を持 って 既 定 方 針 通 り実 施 す る. 二. 総 評 や 日教 組 の 反 対 闘 争 に対 抗 す る た め今 後 自民 か らも有 力 者 を 現 地 に派 遣 す る. な ど の強 行 態 度 を 決 定 、 と りあ え ず 同 日夕 刻 、 全 国組 織 委 員 会 の三 浦 委 員 長 、 森 山労 働 局 長 、 政 調 会 長 の 高 村 文 教 部 長 らが 羽 田発 、 空 路 現 地 に向 か う こ と とな った 。 また この 総 務 会 で 「日 教 組 が 愛 媛 県 下 で 反 対 闘 争 の た め資 金 を ば らま いて い る時 事 が あ る」 と して 問 題 とな り、 場 合 に よ って は 自民 党 か ら刑 事 事 件 と して 告 発 せ よ との 強 い意 見 が 出 され た 。 この 総 務 会 で は福 田 副 幹 事 長 か ら執 行 部 と して は勤 務 評 定 を 既 定 方 針 通 り強 行 す る方 針 だ との 決 意 が 表 明 され 、 こ れ を満 場 一 致 で 了 承 した。 この あ と松 永 文 相 か ら文 部 省 の考 え 方 や これ ま で の 経 緯 に つ い て 「文 部 省 と して も勤 務 評 定 に つ いて は これ ま で の 方 針 を変 え る つ も りはな い。 勤 務 評 定 の 基 準 につ いて は去 る10月22日 、23日 に開 か れ た全 国 都 道 府 県 教 育 委 員 長 会 議 、 お よ び全 国 都 道 府 県 教 育 長 会 議 な どで 試 案 が 練 られ て い るが 、 愛 媛 県 の 基 準 と は多 少 の 食 い違 いが 考 え られ るか ら これ を調 整 した い。 私 が この 実 施 につ いて"よ. ろ め いて い る"と い った 報 道 が 一 部 伝 え られ て. い るが 事 実 に反 す る」 と述 べ た12)。 この 報 道 内容 は ま さ に、 教 育 の 素 人 政 治 家 が 国 家 権 力 的 な 政 治 力 を も って 学 校 教 育 の 問 題 を とや か く言 え る ほ ど文 部 省 が 脆 弱 化 して い る証 拠 を 物 語 る もの で あ り、 自民 党 総 務 会 が 文 部 大 臣 に諮 問 す るな ど、 後 進 国 の 域 を 出な い戦 後 の 政 治 家 の 資 質 ・能 力 の 問 題 を 露 呈 して い る と い え る。 この よ うな 体 質 化 は 自民 党 一 党 独 裁 の 政 策 レベ ル に反 映 され 、 昭 和40年 代 、50年 代 の 教 育 問 題 を混 迷 させ て い く要 因 に もな る。. 32.

(15) 昭 和30年 代 の 「勤 務 評 定 制 度 」 の 政 策 的 意 図 一 「勤 務 評 定 制 度 」 は戦 後 教 育 の 自立 ・発 展 の 教 育 政 策 か 一. 7.「. 日 教 組 臨 時 大 会 開 く」(1957年12月22日. 朝 日 新 聞). "権力 と の 闘争 緩 めず" 日教 組 の 第16回 臨 時 大 会 は22日 午 前10時20分 か ら東 京 九 段 会 館 で 開 か れ た 。 大 会 は1日 だ け で 終 わ る 予定 で 、 同 日午 後 勤 務 評 定 反 対 闘 争 強 化 の 方 針 を き め た の ち、 「非 常 事 態 宣 言 」 を 行 う予 定 。 こ の 日の 出席 代 議 員 は480人 で、 来 賓 や傍 聴 の組 合 員 を ふ くめ 約2,000人 近 くの 来 賓 で あ っ た。 大 会 は 「緑 の 山河 」 斉 唱 に は じま り、 議 長 団 に成 田真 澄(東 京)林 雅 代(兵 庫)宇 根 内良 子(広 島)竹 野 米 吉(福 井)伊 東 良一(青 森)の5氏. を選 出、 次 いで 小 林 委 員 長 が 「政 府 、. 自民 党 は勤 務 評 定 を 通 じて ます ます 暴 力 的 な 弾 圧 を わ れ わ れ に加 え よ う と して い る。 闘 争 は今 後 い ろ い ろ の 困 難 を 伴 う とみ られ るが 、 わ れ わ れ50万 組 織 の 全 力 を結 集 して これ と闘 い た い」 と挨 拶 し、 つ いで 細 迫 社 会 党 国 会 対 策 委 員 長 、(志 賀 茂 雄(共 産 党)、 荒 木 正 三 郎(社 会 党)氏 ら国 会 議 員 、 岩 井 総 評 事 務 局 長 、 宗 像 東 大 教 授 ら来 賓 の 祝 辞 が あ った13)。. 8.「 公 立 学 校 教 職 員 の 勤 務 評 定 試 案 」(都 道 府 県 教 育 長 協 議 会32.12.20) 一 .勤 務 評 定 の 趣 旨 勤 務 評 定 は、 一 般 公 務 員 や 、 会 社 その 他 の 企 業 の 職 員 等 につ いて 、 す で に ひ ろ く実 施 され て い る。 お よ そ人 事 管 理 は、 職 員 の 勤 務 実 績 や 能 力 に即 応 して 行 わ れ る もの で 、 わ が 国 の 公 務 員 制 度 も職 員 の 実 績 や 能 力 に応 じた いわ ゆ る成 績 主 義 を 基 本 原 則 と して お り、 職 員 の 適 性 配 置 、 給 与 の 決 定 、 研 修 、 指 導 、 褒 章 な どの 人 事 管 理 を 公 正 に行 う た めの 基 礎 資 料 と して 勤 務 評 定 が 考 え られ るわ けで あ る。 勤 務 評 定 の ま だ行 わ れ て いな い職 員 につ いて も、 従 来 ま っ た く成 績 の 評 価 が 行 わ れ な か った わ けで はな く、 上 級 の 職 へ の 昇 任 や 、 昇 給 等 の 人 事 管 理 上 の 措 置 が 、 職 員 の 勤 務 成 績 の 何 らか の 評 価 と と も に して 行 わ れ て き たの で あ るが 、 勤 務 評 定 制 度 は その よ うな 人 事 管 理 に と もな う 成 績 の 評 価 を組 織 的 に統 一 的 に行 い、 これ を 責 任 あ る公 式 の 記 録 とす る こ と に よ って 評 定 の 結 果 を よ り公 正 にか つ 妥 当な もの に しよ う とす る趣 旨の 制 度 で あ る。 公 正 な 評 定 結 果 に応 じた 教 職 員 の 人 事 管 理 に よ って 、 志 気 が 高 ま り、 教 育 効 果 の 向 上 が 図 られ る もの と考 え る。 二.教. 職 員 の 勤務 評 定 実 施 の 経 緯. 地 方 公 務 員 が 昭 和25年12月13日. に公 布 され 、 第 四 十 条 の 勤 務 成 績 の 評 定 につ いて は、 公 布 の. 日か らニ ケ月 を経 過 したか ら実 施 され た。 しか も 当時 は計 画 を立 て るべ き任 命 権 者 が 都 道 府 県. 一33一.

(16) 近畿大学教育論叢. 第22巻 第1号(2010・7). お よ び五 大 市 に分 か れ 、 一一 部 に は教 育 委 員 選 挙 施 行 に よ って 任 命 権 を 有 す る市 町 村 が あ り、 昭 和27年11月 に は、 全 市 町 村 に教 育 委 員 会 が 設 置 され 、 各 教 育 委 員 会 が そ れ ぞ れ 任 命 権 を 有 す る と い う状 態 に あ っ た。 この よ うな 状 態 の た め、 知 事 部 局 に お いて は、 現 在 まで に30数 県 につ い て 実 施 をみ て い る勤 務 評 定 が 教 職 員 につ いて は数 県 しか 実 施 され な か った こ と は、 や む を 得 な い成 り行 き と考 え られ る。 しか し、 地 方 教 育 行 政 の 組 織 お よ び運 営 に関 す る法 律 の 制 定 に よ り、 任 命 権 者 は都 道 府 県 に 一 本 化 され 、 制 度 の 変 革 に よ る困 難 性 は除 去 され た。 わ れ わ れ は遅 くと も新 年 度 を 期 して 実 施 で き る よ う第3部 会 を 煩 わ して 、 試 案 を 作 成 した次 第 で あ る。 三.試. 案 を 計 画 に 移 す 間 に 留意 点. 試 案 は、 各 都 道 府 県 に共 通 の 点 を 目標 と して 作 成 され もの で あ る。 各 都 道 府 県 教 育 委 員 会 が 、 教 職 員 の 勤 務 評 定 を 計 画 す る場 合 は、 都 道 府 県 の 実 情 を 考 慮 しつ つ 、 この 試 案 を基 本 的 な 参 考 資 料 と して 利 用 され る こ とが 考 え られ る。 勤 務 評 定 家 一 買 う樹 立 の 間 に留 意 す べ き点 につ いて 次 の よ うな こ とが あ る。 イ. 地 方 教 育 行 政 の 組 織 及 び運 営 に関 す る法 律 第46条 に、 「… …都 道 府 県 委 員 会 の計 画 の 下 に、 市 町 村 委 員 会 が 行 う もの とす る。」 とあ るが 、 都 道 府 県 委 員 会 の 計 画 とは、 勤 務 評 定 の 時 期 、 方 法 、 内容 の 細 部 にわ た って 定 め る こ とで あ り、 ま た細 部 にわ た って 定 めな けれ ば、 任 命 権 者 と して の 都 道 府 県 委 員 会 の 意 図 す る 内容 が 得 られ な い と い う結 果 とな る。. ロ. 実 施 に関 す る規 定 を、 規 則 、 通 達 の いず れ か は、 各 都 道 府 県 の 実 情 に よ って 決 定 す れ ば よ い。 別 に法 的 な 規 制 はな い。 規 則 で 制 定 す る場 合 は、 大 綱 だ け を規 定 す べ きで あ り、 評 定 書 等 の 様 式 は改 正 され る こ とが 予 想 され る こ とか ら、 規 則 の 中 に規 定 す べ きで な い と考 え る。 いず れ に して も、 別 紙 規 則 案 を 参 考 と して 決 定 す れ ば よ い。. ハ. 評 定 の 内容 は、 非 公 開 とす る こ とが 適 当で あ る。. 二. 被 評 定 者 を(校 長)、(教 諭 ・助 教 諭 ・講 師)、(養 護 教 諭 ・養 護 助 教 諭)、(事 務 職 員)の 四つ に分 類 したが 、 授 業 を 担 当 しな い教 頭 、 分 校 主 事 、 定 時 制 主 事 等 は校 長 と 同 じ取 り扱 い を し、 授 業 を担 当 しな い教 諭 、 助 教 諭 、 講 師 は事 務 職 員 と 同 じ取 扱 いを す る等 の 取 扱 い 上 の 問 題 が 残 って い る。. ま た、 寮 母 につ いて は(養 護 教 諭 ・養 護 助 教 諭)を 、 雇 用 員 につ いて は(事 務 職 員)参 考 と して 、 作 成 され る よ う に と考 え て い る。. 一34一.

(17) 昭 和30年 代 の 「勤 務 評 定 制 度 」 の 政 策 的 意 図 一 「勤 務 評 定 制 度 」 は戦 後 教 育 の 自立 ・発 展 の 教 育 政 策 か 一. ○ ○ 県 市 町 村 学 校 職 員 の 勤 務 成 績 の 評 定 に関 す る規 則(案) 評 定 要 素 の 観 察 内容(教 諭 ・助 教 諭 ・講 師) (1)職 務 の 状 況 (イ)評 定 要 素(学 級 経 営) 1.学 級 経 営 は、 学 校 経 営 の 基 本 に即 して い るか 。 2.学 級 は集 団 と して よ く親 和 し、 秩 序 が 保 たれ て い るか 。 3.学 級 内 に お け る児 童 ・生 徒 の 編 制 を 教 育 的 に配 慮 して い るか 。 4.学 級 内 に お け る児 童 ・生 徒 につ いて よ く理 解 し、 掌 握 して い るか 。 5.教 室 に お け る備 品 、 教 材 、 教 具 、 児 童 ・生 徒 の 整 備 が よ くな され て い るか 。 6.清 潔 、 採 光 、 換 気 、 保 温 等 保 健 上 の 配 慮 が 行 き と ど いて い るか 7.他 の 学 級 との 協 調 に努 めて い るか 。 (ロ)評 定 要 素(学 習 指 導) 1.学 校 の 指 導 計 画 が 適 切 に実 施 され る よ う に くふ う して い るか 。 2.日. 々の 指 導 に あ た って 教 材 研 究 その 他 の 準 備 を よ く行 って い るか 。. 3.熱 意 を も って 学 習 指 導 に あ た って い るか 。 4.指 導 内容 は、 正 確 適 切 で あ るか 。 5.児 童 ・生 徒 全 体 を よ く掌 握 して 指 導 して い るか 。 6.指 導 方 法 は、 児 童 ・生 徒 の 実 態 に即 して い るか 。 7.児 童 ・生 徒 の 能 力 差 に応 ず る配 慮 が な され て い るか 。 8.教 科 書 その 他 の 教 材 の 活 用 を 効 果 的 に行 って い るか 。 9.家 庭 に お け る学 習 につ いて の 指 導 が 適 切 で あ るか 。 (ハ)評 定 要 素(生 活 指 導) 1.生 活 指 導 につ いて 具 体 的 な 計 画 を 立 て て い るか 。 2.生 活 指 導 、 道 徳 教 育 を 熱 意 を も って 行 って い るか 。 3.基 本 的 生 活 習 慣(し つ け)道 徳 的 心 情 や 判 断 力 を 育 成 す るた め に よ く研 究 努 力 して い るか 。 4.豊 か な愛 情 を も って 親 切 に指 導 を 行 って い るか 。 5.児 童 ・生 徒 の 性 格 、 境 遇 、 希 望 、 悩 み 等 を理 解 して 指 導 を適 切 に行 って い るか 。 6.個. 々の 児 童 ・生 徒 の 健 康 や 安 全 の 指 導 に じゅ うぶ ん に配 慮 して い るか 。. 一35一.

(18) 近畿大学教育論叢. 第22巻 第1号(2010・7). 7.問. 題 児 の 早 期 発 見 や 指 導 に 配 慮 して い る か 。. 8.児. 童 会 、 生 徒 会 、 ホー ムル ー ム、 ク ラ ブ活 動 の 指 導 を 適 切 に行 って い るか 。. 9.儀. 式 、 行 動 等 に お け る 指 導 が よ くな さ れ て い る か 。. 10.校. 外 に お け る生 活 指 導 が な され て い るか 。. 11.生. 徒 の 進 路 指 導 を 適 切 に行 って い るか 。. 12.家. 庭 との 連 絡 を よ くと って い るか 。. (二)評. 定 要 素(評. 価). 1.適. 切 な 評 価 計 画 を 立 て て い るか 。. 2.計. 画 に基 づ いて 適 切 に評 価 を 行 って い るか 。. 3.評. 価 の 結 果 を 的 確 に 整 理 し、 記 録 して い る か 。. 4.評. 価 の 結 果 を 指 導 の 改 善 に役 立 て て い るか 。. 5.評. 価 の 結 果 につ いて 家 庭 と適 切 に連 絡 を と って い るか 。. (ホ)評. 定 要 素(研. 究 修 養). 1.日. 頃 、 研 究 修 養 に努 めて い るか 。. 2.教. 育 上 の 必 要 な 研 究 を 熱 心 に行 って い るか 。. 3.児. 童 ・生 徒 の 指 導 と 研 究 活 動 の 調 整 を と っ て い る か 。. 4.研. 究 の 結 果 を 指 導 の 上 に よ く生 か して い る か 。. 5.指. 導 計 画 を た え ず くふ う 改 善 す る よ う に 研 究 が な さ れ て い る か 。. (へ)評. 定 要 素(校. 務 へ の 処 理). 1.分. 掌 し た 校 務 を 積 極 的 に 処 理 して い る か 。. 2.正. 確 で 間 違 い の な い 仕 事 を して い る か 。. 3.仕. 事 は必 要 な と き に間 に合 うか 。. 4.仕. 事 の 計 画 や 企 画 は う ま いか 。. 5.諸. 表 簿 は正 確 に記 録 され 、 書 類 、 資 料 、 物 品 等 の 整 理 、 整 とん はな され て い るか 。. 6.規. 律 に 従 っ て 仕 事 を し、 秘 密 を 守 っ て い る か 。. 7.同. 僚 と連 絡 を よ くと って い るか 。. 8.仕. 事 の 報 告 を 的 確 に行 って い るか 。. 一36一.

(19) 昭 和30年 代 の 「勤 務 評 定 制 度 」 の 政 策 的 意 図 一 「勤 務 評 定 制 度 」 は戦 後 教 育 の 自立 ・発 展 の 教 育 政 策 か 一. (2)特. 性 ・能 力. (イ)評. 定 要 素(教. 育 愛). 1.児. 童 ・生 徒 に 愛 情 を 持 っ て い る か 。. 2.児. 童 ・生 徒 を 正 し く理 解 して い る か 。. 3.教. 育 に対 す る信 念 を も って い るか 。. 4.児. 童 ・生 徒 に 親 し ま れ て い る か 。. (ロ)評. 定 要 素(指. 導 力:知. 識 ・技 能 ・熱 意 等). 1.教. 養 や 情 操 が 豊 か で あ るか 。. 2.職. 務 に関 す る専 門 的 な 知 識 、 技 能 を じゅ うぶ ん 身 につ けて い るか 。. 3.指. 導 技 術 を 身 につ けて い るか 。. 4.児. 童 ・生 徒 に 信 頼 さ れ て い る か 。. 5.判. 断 が 的 確 で あ るか 。. 6.創. 意 くふ う が で き る か 。. 7.臨. 機 の 措 置 が で き るか 。. (ハ)評. 定 要 素(誠. 実). 1.勤. 勉 に職 務 に精 励 す るか 。. 2.正. 直 で 良 心 的 で あ るか 。. 3.謙. 虚 で あ るか 。. 4.言. 行 が 一 致 して 率 先 実 行 す る か 。. 5.き. ち ょう めん で あ るか 。. (二)評. 定 要 素(責. 任 感). 1.教. 育 者 と して の 使 命 と 職 務 に つ い て の 責 任 を 自 覚 して い る か 。. 2.義. 務 の 履 行 、 約 束 の 実 行 が 確 実 にで きて い るか 。. 3.自. 発 的 、 積 極 的 に職 務 上 必 要 な こ とを 行 うか 。. 4.困. 難 な 事 態 に際 会 した と き、 責 任 を も って 処 理 に努 めて い るか 。. 5.自. 己 の 失 敗 や 誤 り に 対 して 責 任 を 回 避 して い な い か 。. (ホ)評. 定 要 素(公. 正). 1.え. い ご ひ い き を しな い か 。. 2.判. 断 に か た よ りが な い か 。. 一37一.

(20) 近畿大学教育論叢. 3.正. 第22巻 第1号(2010・7). しい こ とを 言 い ま た行 うの に勇 気 が あ るか 。. 4.上 司 や 有 力 者 にへ つ らい、 取 り入 る こ と はな いか 。 5.公 私 の 区 別 を わ き まえ て い るか 。 (へ)評 定 要 素(寛 容 ・協 力) 1.習 慣 に対 す る理 解 や 包 容 性 が あ るか 。 2.他 人 の 欠 点 や 誤 りに寛 容 で あ るか 。 3.同 僚 等 に対 して 積 極 的 に協 力 す るか 。 4.自 説 に こだ わ る こ と はな いか 。 5.利. 己的 、 打 算 的 な と こ ろ はな いか 。. 6.自. 己の 周 囲 を な ごや か な 空 気 にす る こ とが で き るか 。. (ト)評 定 要 素(品 位) 1.礼 儀正 しいか 。 2.身 体 や 服 装 が 清 潔 で あ るか 。 3.身 辺 の 整 理 、 整 とん が 行 き と ど いて い るか 。 4.生 活 態 度 が 清 廉 で あ るか14)。 こ こ で の 稚 拙 な こ と が らは 、 公 務 員 制 度 に成 績 主 義 を基 本 原 則 に して 人 事 管 理 を 行 って お り、 教 員 も地 方 公 務 員 で あ るか ら勤 務 評 定 を実 施 して 、 公 正 な 評 定 結 果 を 人 事 管 理 して 生 か し て い く こ とが 「正 論 」 「正 義 」 で あ る と い うよ うな次 元 で あ る。 学 校 教 育 にお け る複 雑 な 教 育 作 用 に よ る教 育 成 果 を 公 正 な 評 価 が 可 能 か ど うか の 判 断 す らで きな い レベ ル で あ る と い う こ と で あ る。 「法」 に あ る か ら実 施 す る と い う次 元 で あ る。 ま た、 評 定 要 素 は別 に して、 観 察 内 容 を考 察 す れ ば、 明 らか な よ う に、 如 何 な る評 定 者 と いえ ど教 員 の 精 神 活 動 に関 す る観 察 要 素 な ど評 価 で き る もの で はな い。 実 に幼 稚 な 観 察 内容 で あ る こ とが わ か る。 しか し、 この よ うな レベ ル の こ とが21世 紀 と い う文 明 社 会 で 、 か つ 成 熟 社 会 と呼 ばれ る現 在 に お いて 、 平 然 と行 わ れ て い る こ と は教 育 界 の 末 期 的 症 状 で あ り、 教 育 行 政 の 「劣 化 」 以 外 の な に もの で もな い。 「教 育 」 とい う事 象 を考 究 した こ との な い レベ ル の官 僚 役 人 的教 育 行 政 で は、 国 民 教 育 の 救 済 策 は見 え な い。. 9.「 職 員 団 体 の 交 渉 権 と 勤 務 評 定 と の 関 係 に つ い て 」(文 部 省 通 達33.1.27) 1月13日 付 発 高 秘 第 二 号 で の 照 会 の 標 記 の こ と につ いて 次 の と お り回 答 す る。. 38.

(21) 昭 和30年 代 の 「勤 務 評 定 制 度 」 の 政 策 的 意 図 一 「勤 務 評 定 制 度 」 は戦 後 教 育 の 自立 ・発 展 の 教 育 政 策 か 一. な お、 この こ と につ いて は 自治 省 行 政 局 長 と も連 絡 ず み で あ るか ら念 の た め。 記 地 方 公 務 員 法 第40条 に規 定 す る勤 務 評 定 は、 同法 第24条 、 第46条 及 び第52条 等 に規 定 す る勤 務 条 件 で はな い。 従 って 勤 務 評 定 の 立 案 お よ び その 実 施 は いず れ も地 方 公 務 員 法 第 五 十 五 条 に 規 定 す る職 員 団 体 の 交 渉 事 項 と は解 せ られ な い15)。. 10.「 日教 組:勤. 評 反対 闘 争 に お ける職 員 団体 の交 渉権 と教職 員 の政 治 活動 につ い て」 (33.1.30) 記. 昭 和33年1月27日. 付 文 部 省 初 中局 長 名 を も ち各 都 道 府 県 教 育 長 宛 に発 せ られ た 「職 員 団 体 の. 交 渉 権 と勤 務 評 定 との 関 係 につ いて 」 の 通 達 は明 らか に文 部 省 の 不 当 な 干 渉 で あ り、 法 の 精 神 を曲 解 す る こ と はな はだ しい もの が あ る。 さ らに これ も文 部 省 の 指 導 と思 わ れ るが 各 都 道 府 県 教 育 長 名 を も って 各 地 方 事 務 局 長 お よ び地 教 委 教 育 長 等 に た い し勤 評 反 対 の 署 名 運 動 、 資 金 カ ンパ が 人 事 院 規 則(147)の. 教 職 員 の 政 治 活 動 禁 止 規 定 にて い触 す る もの で はな い 旨の 通 達. を流 して い る。 日教 組 本 部 と して は法 律 顧 問 団 と十 分 検 討 の 上 、 つ ぎの ご と き見 解 を も ち、 何 ん ら法 にて い触 す る もの で はな い こ とを 通 達 す る。 一. 職 員 団 体 の 交 渉 権 と勤 評 との 関 係 につ いて. 通 達 に よれ ば 「地 方 公 務 員 法 第40条 に規 定 す る勤 務 評 定 は 同法 第24条 、 第46条 お よ び第52条 等 に規 定 す る勤 務 条 件 で はな い」 と あ るが 、 何 らその 根 拠 を 示 して いな い。 職 員 団 体 の 交 渉 権 は地 公 法 第55条 に も とつ いて い るの で あ るが 、 同条 に よれ ば職 員 団 体 に は 職 員 の 給 与 、 勤 務 時 間 その たの 勤 務 条 件 にか ん し当局 と交 渉 す る こ とが で き る と あ り、 勤 務 は 人 事 院 規 制 に も示 され 、 され に国 会 答 弁 に お いて も文 部 省 内藤 小 中局 長 が しば しば述 べ て い る と お り、 人 事 お よ び給 与 に適 用 す る こ とが 明 確 で あ る。 す な わ ち人 事 は職 員 の 勤 務 条 件 の 一 環 で あ り、 ま た給 与 に深 い関 連 が あ る こ と は愛 媛 等 の 実 例 を み て も明 らか で あ る。 故 に勤 務 評 定 は第55条 の 交 渉 権 の 中 に含 まれ る解 釈 す る こ とが 至 当で あ る。 従 来 人 事 等 につ いて は常 に交 渉 を もって き た こ と は論 を ま たな い。 二. 県 教 育 長 よ り各 地 方 事 務 局 長 、 地 教 委 教 育 長 に対 す る教 職 員 の 政 治 活 動 につ いて の 見 解 は次 の と お りで あ る。. ①. 勤 務 評 定 実 施 に反 対 す る た めの 署 名 運 動 、 資 金 カ ンパ 等 は、 人 事 院 規 則1417に い う政 治. 一39一.

(22) 近畿大学教育論叢. 第22巻 第1号(2010・7). 的 行 為 で はな い。 人 事 院 規 則1417第6項. は政 治 的 行 為 の 定 義 と して 、. 九 、 政 治 的 目的 の た め に署 名 運 動 を 企 画 し、 主 宰 し又 は指 導 しその 他 これ に積 極 的 に参 与 す ること 三 、政 治 的 目的 を もって 、賦 課 金 、寄 付 金 、会 費 又 は そ の他 の金 品 を求 め、若 し くは受 領 し、 又 はな ん らか の 方 法 を も って す るを 問 わ ず これ らの 行 為 に関 す る こ と 十 三 、 政 治 的 目的 を 有 す る署 名 又 は無 署 名 の 文 書 、 企 画 、 音 盤 又 は… … 十 、 政 治 的 目的 を も って 、 多 数 の 人 の 行 進 その 他 の 示 威 運 動 を 企 画 し、 … … 十 一 、 集 会 その 他 多 数 の 人 に接 しう る場 所 で … … 公 に政 治 的 目的 を 有 す る意 見 を 述 べ る こ と を あ げて い る。 以 上 の よ う に引 用 した よ う に教 職 員 が 署 名 運 動 や 資 金 カ ンパ を 行 い、 また 集 会 、 デ モ を行 って も、 それ だ けで は何 ら人 事 院 規 則 に い う政 治 的 行 為 と はな らな い。 これ ら の 行 為 が 「政 治 的 目的 を も って 」 行 わ れ る場 合 に は は じめて 政 治 的 行 為 を 行 った こ と にな る の で あ る。 と こ ろで 人 事 院 規 則 で 「政 治 的 目的 」 と は何 を い うか は1417の 第5に 定 めて あ る。 す な わ ち、 六. 国 の 機 関 又 は公 の 機 関 に お いて 決 定 した政 策(法 令 、 規 則 又 は条 例 に包 含 され た もの を 含. む)の 実 施 を妨 害 す る こ と は政 治 的 目的 で あ る と い う、 と こ ろで 昭 和24年10月28日 人 事 院 事 務 総 長 通 ち ょう 「人 事 院 規 則1417の 運 用 方 針 」 に よれ ば右 第 五 項 六 項 に い う政 策 の 実 施 を 「妨 害 す る」 と は 「単 に 当該 政 策 を 批 判 す る こ と は これ に該 当 しな い」 との べ て お り、 人 事 院 総 裁 浅 井 清 は その 著 書 に お いて 、 実 施 を妨 害 す る こ と は実 力 の 行 使 を も って 、 実 現 を 妨 げ る こ とを い う と解 説 して い る。 し た が って 単 に勤 務 評 定 を 批 判 し、 こ れ に 反 対 す るた め に署 名 運 動 を 行 い、 カ ンパ を集 め、 文 書 、 図 画 を 掲 示 、 回 覧 し、 公 衆 に演 説 を 行 い、 デ モ行 進 を 企 画 して も何 ら政 治 的 目的 行 為 と はな らな い。 ②. 前 掲 通 ち ょ うは 勤 務 評 定 反 対 闘 争 を 抑 圧 す る意 図 を も って 不 法 に発 せ られ た もの で あ る。. 前 項 に 述 べ た解 釈 は従 来 人 事 院 や文 部 省 の 通 ち ょ う に もは っ き り書 か れ て い る こ とで あ っ て 、 勤 務 評 定 反 対 の 署 名 運 動 等 が 何 ら政 治 活 動 とな らな い こ と は一 分 教 育 長 も これ を 知 って い る はず で 、 この こ とを 知 りな が ら、 こ と さ らに教 職 員 を 威 か く して 勤 務 評 定 反 対 闘 争 を 抑 圧 す べ く前 期 通 ち ょう を発 した もの で あ る。 こ の こ と は右 通 ち ょ うが 人 事 院 規 則1417を 引 用 しな が ら前 掲 本 意 見 書 中 に 引 用 した傍 点 部. 一40一.

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