未来社会をプロデュースするICT : 9.学びと教えを豊かにする-身につく電子メディアの誕生を目指して-
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(2) 9. 学びと教えを豊かにする. ∼身につく電子メディアの誕生を目指して∼. ︻ 若手プロデューサ . 画は,板書内容に変化があったときのみ作成され静. 記憶への定着が促進されたと推測できる.. 止画アニメーションとして表示される.加えて,画 像処理を施すことで板書静止画から講師の姿を消去 し,講師の陰のない全体板書画像を常に学習者に配. 10 ︼ . 信できるようになっている.映像の再生は Web ブ. ICT によって学びと教えを どう変えてゆくべきか. ラウザまたはモバイルゲーム機で行えるようにした.. 小学校や塾においても IC タグを使って登下校確. 学習者の学習意欲を継続させるために,収録映像の. 認を行ったり,電子黒板を使って授業したりとい. 途中に演習問題スライドを挿入できる機能を有して. った ICT の本格導入が始まっている.10 年後には. いる.. 教室のキャビネットからタブレット PC を取り出し, クラウド上の電子教科書を閲覧する小学生の姿を見. ■. 身体性と教育効果の関係. ることも珍しくないに違いない.. 前述した講義支援にかかわる両プロジェクトに. しかし,前述した議論に基づけば,教材や通信手. おいて,学生がノートテイクするなどの 身体的動. 段を電子化すれば教育の問題が解決してゆくという. 作 を伴った行動の教育的効果の高さに着目する実. ようには楽観視できないことは明らかであり,筆者. 2). 験を実施した .まず,情報系大学学生に対し,講. はこの問題に対しては電子メディアに身体性を取り. 義映像をノートテイキングしながら視聴させた.タ. 入れることが必須であると主張したい.現在は教材. イピングにより筆記するグループと,手書きにより. をいかに電子化するかに議論が集中しているが,今. 筆記するグループに分け,一週間後,自分で作成し. 後は電子化された教材をいかに効果的・効率的に. たノートの見返しをさせた後に講義内容に関する理. 吸収 できるようにするかが議論の中心となるは. 解度テストを行った.この結果,手書きの方がタイ. ずである. 紙の上に鉛筆で文字を書く 以上に頭. ピングより有意に得点が高かった.. に入りやすいノートテイクのやり方が,電子メディ. タッチタイピングに熟達している学生は,手書き. アで可能となる可能性は十分にある.10 年以内に,. よりタイピングの方がはるかに入力が早い.しかし. 手書きより身体性に優れた電子メディアを誕生させ. ながら,正確にノートをとることや仮名漢字変換操. ることが筆者のチャレンジである.. 作に集中しているあまり,話の内容を理解すること に注意のリソースが向けられていない可能性が高く, 後から見返したときに 使えるノート になってい ないことが多かった.一方,手書きの場合,話の内. 参考文献 1) 市村他:紙答案と電子フィードバックを併用した講義支援シ ステム,情報処理学会論文誌,Vol.49, No.1, pp.525-533(2008). 2)中村他:ノートテイキングにおける要約の重要性,東京工科大 学研究報告論文,No.5, pp.3-13(2010). (平成 22 年 10 月 28 日受付). 容やスライドの記述をそのまま書き写すことは不可 能であり,重要なポイントや話に登場するキーワー ドに絞ってノートテイキングを行う必要がある.こ のため,聞いたり見たりした内容を一度頭の中で要 約するという認知プロセスを経ることが必須となり,. 市村 哲(正会員)[email protected] 慶應義塾大学卒業.博士(工学).富士ゼロックス研究員,米国 FXPAL 駐在研究員を経て 2002 年より東京工科大学准教授.ACM, 電子情報通信学会各会員.. 情報処理 Vol.52 No.1 Jan. 2011. 49.
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