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名無しさん@情報リテラシ教育

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Academic year: 2021

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(1)第9回 コンピュータ犯罪に関する白浜シンポジウム REPORT. 名無しさん@情報リテラシ教育 東京農工大学 助教授 辰巳 丈夫 り、こういう社会的な機能をもっているというのが、 法令で言うとこうなりますと言う話です。ここをま とめると、「学校教育とは、国家および社会の形成 者の人格を、全体の奉仕者である教員が行うもの」 ということができます。. はじめに 自己紹介をしておきます。私は、教育のセッショ ンをするので、教育の専門家だろうと思われている かもしれませんが、そうではありません。もともと は、数学が専門で、早稲田大学の情報科学教育セン ターの助手をしておりまして、このころに教育のこ とにかかわり始めました。早稲田で助手をしていた 1995年に 「第1回 Japan World Wide Web カンフ ァレンス」で発表しました。当時「Japan World Wide Web カンファレンスは、オフィシャルな紙媒 体のペーパーを出しません。ウェブに出す物がオフ ィシャルです」と言っていたのですが、そのページ が今はなく、削除されています。. 1.2 「自己」の獲得. 当時のCFPには「日本インターネット協会では、 現在非常に多くの注目を集めている、 World Wide Web」とあります。当時は、Webがインターネット の重要アプリケーションであるという認識はなか ったということが、この文でわかりますね。いろん な方が発表されていますが、私は午前の2番目でし た。ほかの発表タイトルを見ると、企業やコラボレ ーション、国際化ブラウザの提案とか、プロキシの 話とかがあります。しかし、情報倫理のような話を しているのは、私だけでした。私はこの辺から道を 踏み誤って、情報倫理教育の専門になったらしいの です。その後、神戸大学にしばらくおりまして、今 は東京農工大学におります。1995年は第1回で、主 催が日本インターネット協会で、私一人しかこのよ うな話をしていないのですが、そして、この話題は 今では非常に重要な話題なのですが、日本インター ネット協会からは、あれっきり何も連絡はありませ ん。. 子どもの発達における「自己」の獲得について考 えてみます。子供が、自分は自分という認識を獲得 していく過程において、他者と自分を区別させてお きたい。さて、自分の名前、家族の名前、ペットの 名前、苗字と名前の違いなどを理解するのは、いつ のことだろうかということを考えると、これはどう 考えても、小学校にあがる以前の話ですね。たぶん、 この種の話題は、家庭教育でなされなければいけな い。ここがちょっと大事なことでして、家庭教育で ということは、保護者が教えるということです。最 近、保護者の育児能力が下がったと言われています が、それでも「苗字と名前の違いまで教えない」ほ ど下がってはいないだろうと、思っております。 1.3 私有と自立 例えば、子どもに持ち物を持たせるときに、名前 を書いて持たせます。小学校1年生の時には、家が 裕福だから、あるいは別に失くしてもいいからとい って、名前を書かないで子どもにものを持たせるの はやめてください。やっぱり名前が書いてあるとい うことで、キミのものだよという自己概念、自己の 確立を促すわけです。それから、教室で出席をとる というのも、同じですね。 「○○君」 「はーい」とい うのは、それで「あなたの名前は、○○ですよ」と いうことを結びつけていく作業なんです。. 1 自己の確立と発達段階 次に、小学校4年生くらいになってくると、保護 者からだんだん自立しますね。反抗期もやってきま す。修学旅行にも行きます。こういった過程で、学 校における匿名性の扱いを調べてみるのですが、ほ とんどないんですよね。. 話を本編に戻していきましょう。 1.1 学校教育の法律上の取り扱い まず「教育って一体何だろう」ということで、考 えました。教育基本法を全部読むのはやめますが、 基本的には、学校というのはこういう目的の為にあ 66. 学校では匿名というのは扱わないものですから、 「匿名」が読めない中学生がいっぱいいると思うん.

(2) 第9回 コンピュータ犯罪に関する白浜シンポジウム REPORT. です。 「トクメイ」ではなくて、 「先生、ジャクメイ セイってなんですか」と。ありがちな話です。なぜ 「匿名」が避けられているか。あなたはこうですよ、 確立していきなさいと言うのと逆向きのことを言 っているわけですから避けられているのです。 1.4 避けられてきた匿名性と避けられなかった匿 名性 匿名に近いものとしては、例えば、作家の名前、 ペンネームなどがあります。また「ボランティアは 匿名で」という話もあります。それから、家族の性 別や、家族構成を他人に話したくないという場合が あります。これは、子どもが自立をするにつれて、 家族のことを友達に聞かせたくないというような プライバシの概念が子どもに芽生えてくることで す。他にも、例えば同和地区の問題とか部落差別の 問題といった社会差別の問題があります。こういう 話題を議論するときには、どうしても参加者が匿名 にならざるを得ない。「学校の匿名性」といえば、 このぐらいはあるのでしょうけども、結局、匿名と いうのは避けられていまして、学校では、この程度 しか取り扱わないともいえます。 2 情報教育と教育の情報化. ましょうとなるわけです。 そして、個人情報については、ほとんど扱ってい ません。この話はあとでしましょう。 2.1 指導要領の変化と情報教育 必修になる以前の平成4年施行の学習指導要領で は、小学校ではほとんど情報教育を扱っていません。 中学校では、情報教育を、技術家庭科で選択実習で、 実際には履修率が90%を超えていますのでほとん ど必修に近い形でやっています。高校では、情報教 育の内容が数学のABCと物理にあるのですが、これ は同じ教科の他の選択科目の都合で、ほとんど実施 されませんでした。 したがって、平成4年施行の学習指導要領では、 情報教育は高校ではほとんど扱われず、中学で何か BASICみたいなものを学ばされ、高校では3年間の 空白を経て、大学へやってくるわけです。しかし、 新指導要領は、小中学校では平成14年から、高校は 平成15年から実施です。ですから、旧指導要領を学 んだのは、今の浪人生までで、今の高校生3年生は 新指導要領です。したがって、来年の大学1年生か ら状況が変わります。 新指導要領の特徴として、総合的な学習の時間と いうのがあります。総合的な学習の時間というのは、 単一教科では学べないことを取り上げようという ことです。小学校中学校全員が「1単位時間必修」、 高校では「卒業までに3単位時間必修」です。これ を、本来の主旨に合わせるなら3年間にばらまくべ きですが、進学校などは、1年生で総合的な学習の 時間を週3時間やってしまって、2年生と3年は受験 対策なので、やらないという学校もあります。. さて、いったん話は別の方向にいきます。会場の みなさんに質問です。高校では必修教科「情報」が あります。というのを聞いて「えっ?」と思った方 もいるかもしれません。そのことをみなさんご存知 でしたか? 僕の講演資料を見て、あるいは、今日こ の会場で初めて知ったという方はどれくらいいら っしゃいますか? (挙手してもらう…)ほとんどの方 がそうですよね。 ここに教科書があります。これが情報Aの教科書 です。シェアの大きい2社のものを持ってきました。 では問題です。高校の情報で最も重点的に実施され ている教育は一体何でしょうか? いくつか選択肢 を挙げてみましょう。かな・漢字変換、タッチタイ ピング、ワープロ表計算、プレゼンテーション、グ ループワーク、電子メール、Web閲覧、Web検索、 Webページの作成、コンピューターのハードウェア、 アルゴリズムとプログラミング、シミュレーション モデル化、著作権、個人情報、コンピュータセキュ リティ…。 実は、一番取り組まれているのは、プレゼンテー ションと、それに対しての、コラボレーティッドワ ーク、プロジェクトワークです。そのために、情報 ツールを使って、その中でWebの検索もやっていき 67. ちなみに、この分野の「内容はなんですか」と文 部科学省に聞くと、当初は「ありません。決めてま せん。現場の先生で考えてください。」となり、 「な にをやればいいんですか?」 「単一教科で学べないこ とをやってください。」 「だから、何をやればいいで すか?」 「だから、単一教科で学べないことをやって ください。」この押し問答で、現場は非常に混乱し ました。 指導要領が出る頃になって「こんなものはどうで しょう?」と例示されたのが「国際理解、情報、環 境、福祉・健康」です。つまり、総合的な学習の時 間が制度化されたので、小学校でも「国際理解」と して英語の授業ができるようになりました。.

(3) 第9回 コンピュータ犯罪に関する白浜シンポジウム REPORT. 新教科の免許を持っている人は誰もいませんでし た。誰もいない新教科を誰が教えるのですか。全国 には4,000を越える高校があります。高校の先生を どうやって養成するんでしょうか。「指導要領は出 来ました。3年後には授業をしてください」と言わ れ、全国の高校が大変なことになったわけです。. また、中学校の技術・家庭での情報分野が必修化 しました。それから、高校に新教科「情報」が出来 ました。さらに専門教科「情報」というのがありま す。これは、工業高校とか農業高校と並んで情報高 校と言うのも作ってもよいということです。実際も う出来ています。その代わりに、以前は数学や物理 に情報に関する話題があったんですけども、これは 縮小したり、廃止になりました。. 各学校に、情報系の先生は3人ぐらい必要とすれ ば、1万2000人から1万5000人ぐらいの教員が必要 になるわけです。誰も免許持っていない状況から3 年間で1万人以上を養成するというのは大変です。. 2.2 高等学校の教科「情報」の内容の指導要領にお ける取り扱い 高校の教科「情報」では、プレゼンテーションが 重要な役割を果たしています。 まず、新課程における情報教育の目標ですが、 1997年の文部省の報告書で「情報活用の実践力」 「情 報の科学的な理解「情報社会に参画する態度」の三 つが情報教育の中心であると決められました。 実際の指導要領を見ると、情報ABCに関しては、 こういうふうなバランスで、教科書は作られていま す。 Aは、情報活用の実践力が中心である。 それに対してBは、情報の科学的な理解が中心で ある。 そしてCは、情報社会に参画する態度が中心であ る。 この3つは一体何だろうという話なんですけども、 簡単に話をすると、ワープロと表計算がAです。C が情報モラルとか、あとはデジタルツールなどです。 情報社会に参画する態度というところに、どうもプ ライバシが入るらしいのですが、私はちょっとここ で資料の単語に注意しました。個人情報と書かない で、あえてプライバシと書きました。それはなぜか。 もう一回戻ってみてください。1997年に報告書がで きて、これに従って指導要領が出来上がり、今、授 業が実施されている。1997年ですから、個人情報と いう言葉もほとんど出てきていません。プライバシ というのが少し出ております。折しもこの時期は、 著作権の話が花盛りでした。 2.3 高等学校の現実 さて、高校の情報では教員養成も必要です。 教科「情報」が指導要領の中で確立した時点で、 68. まず、文部科学省は、年間3,000名の講習を実施 しました。講習は15日間、月∼金を3週間繰り返す もので、夏休みにやりました。現職の高校教員で、 数学、理科、技術・家庭の先生に来ていただいて、 「情報」の免許をあげましょうということになった のです。しかし、「わたしは学校に数学を教えに来 ているのに、なんで情報を教えないといけないのか、 行きたくない。」ということで、みんな嫌がりまし た。結局、弱い立場の若手の教員が行くことになり ます。新指導要領で授業数の減少が激しいのが数学 と、理科の中でも物理ですから、特に数学の先生と 物理の先生に「行け」ということになります。「行 きたくない」と言うと「まあ何年かしたら情報の先 生を新規採用する。そしたら元の教科に戻ってい い」と口約束をもらいます。口約束で戻れるかは、 わかりません。 一方、大学には教員養成課程というのがありまし て、2001年4月から「情報の先生を養成する授業」 が開始しました。教員養成は3年生から受講できて、 免許は2年間がんばれば取れますから、うまくする と2003年の新指導要領スタートに間に合うわけで す。そこで、学生募集に苦しんでいる私立大学が教 員養成課程をどんどん作っていきました。大ブーム が巻き起こりました。 ところが、文部科学省の「標準的には1年生で履 修」という方針を裏切る事件が起きました。東京都 は教科「情報」を2003年にも2004年にもやらない と決めてしまいました。つまり、2005年4月から、 3年生に履修させるということです。他の道府県の 多くは2003年の1年生に履修させましたが、東京都 がやらないと決めてしまったわけですから「先生が 足りない」と言っていたのが急に足りるようになっ たわけです。さらに、教科「情報」の科目「A」 「B」 「C」というのは、生徒が選ぶというのが原則です が、それでは先生が大変なので、学校による選択を 認めようということになりました。つまり、「うち の学校は「情報A」しかやりません」 「うちの学校は.

(4) 第9回 コンピュータ犯罪に関する白浜シンポジウム REPORT. 「情報B」しかやりません」 「うちの学校は「情報C」 しかやりません」ということです。 こんなことを認めてしまったものですから、教員 欠乏感は急速に解消されました。 さて、このような方法で免許を授与された高校の 先生の多くは「教えるのが大変なことは教えたくな い。15日間の認定講習会の中で教えてもらったこと を教えればいい」ということで、かな漢字変換、ワ ード、パワーポイント、著作権、AD変換、ネチケ ット(ネチケットというのは死んでいる言葉ですけ ど)等々、こんな授業をしているわけです。ところ が、現在、かな漢字変換なんて携帯でピッピッピッ とやればできるので、もうそれは教えてもしようが ない……ということで、どうもプレゼンテーション に授業の中心が移ってきたわけです。. な内容にプログラミングがあります。難しいので嫌 われたらしいですね。難しいというのは、高校生に 難しいのでもなく、高校の先生に難しいのでもなく、 学習指導要領を作った大学の先生に難しいのだそ うです。プログラミングを教えたことがない人達、 中には自分でプログラムを書いたことがない人達 が指導要領を決めているわけですから、自分たちが わからないものをいれられないということになっ ているわけです。 また、インターネットの話も実はほとんど入って いません。もし、指導要領にインターネットの話を 入れても、この指導要領が作られた1997∼1998年 は、日本中の学校で平等に実施できないと思われて いたからです。島や僻地、そこまでネットワークが きていないからその内容は扱うのはやめようとい うことになっていました。当時はADSLなんてまだ まだという時代だったのです。. このように、高校では「現場の先生が教えたいこ と」を教えている場合が多い。「教えなきゃいけな いことを教えている」のではありません。知らない ことは教えたくないという先生には、是非とも知ら ないことを勉強してほしいのですが、ひょっとする と、知らないことを中途半端に勉強しても生徒の方 が知っているかもしれない。先生が「ここですね、 Winnyが・・・」とか言うと生徒の方が知っているか もしれないのです。そうなると「そもそも私は数学 の教員でして・・・」なんてことを言い始めてしまう ので、結果としてひどいことになるわけです。 また、科目の構成ですが、平成14年度は情報Aが 80%、情報Bが8%、情報Cが12%でスタートしまし た。今年はちょっと比率が変わっているのですが、 情報Bは全然増えなくて、AからCに少し流れ込んだ という感じです。 ここにX社の「情報A」とY社の「情報A」があり ますが、これを見比べると、Y社Aの方は、情報と はいったい何かということを、まじめに書いていま すが、X社Aでは、ほとんどWindowsの使い方を書 いておりまして、現実にはX社の方がシェアが高い。 つまり、先生は教えたいこと、教え易いことを教え ているわけです。 ところが、中学校も情報分野が必修になり、中学 校で学習した生徒が高校に入学しました。そうなる と「先生、ほとんど中学校でやりました」となるわ けです。その影響が今年春の「AからCへ」という シェアに影響したのだろうと思います。. そして、当時は、個人情報に関する項目もほとん どなく、著作権の話題が中心でした。 2.4 各教科の情報化 「総合的な学習の時間」と教科「情報」以外の教 科では、たとえば英語、数学、音楽、国語、地理、 歴史など多数の教科にコンピュータを使います。し かし、ここでも個人情報については扱っていない。 「情報モラルといえば著作権の話ですむ」となりま した。 3 情報教育と個人情報、匿名性 現在の情報教育の大雑把な仕様となっている「体 系的な情報教育の実施に向けて」という報告は1997 年に出ています。ここで「情報社会に参画する態度」 としてプライバシも出ているのですが、中心はモラ ル、道徳、知的所有権という話です。当時、ある非 常に有名な先生が、「WWWに掲載されたものには 著作権はないんだ」と、堂々と発言をされていた時 代です。商業利用も始まっていなかった頃のインタ ーネットの文化としては正しかったのでしょう。そ れが残っていた。当時はかなりの混乱があったとい ってもいいでしょう。 3.1 情報社会に参画する態度 商業利用が始まると、「学術・研究利用」を前提 としていた利用方法が原因で生じてた著作権の問 題がたくさん出てきました。しかし、個人情報は、 このころはあんまり議題ではありませんでした。. それから、高校の情報教育で扱われていない重要 69.

(5) 第9回 コンピュータ犯罪に関する白浜シンポジウム REPORT. その結果が、検定教科書にも現われています。教 科書をめくって、「個人情報の匿名性」が載ってい ないかと探してみました。X社では「ネット犯罪の 特徴として匿名性が高いことがある」と出ています。 Y社には「自分に関する情報を何かに記入したり、 公開したり、公開された場合の不利益も考えて、慎 重に行うこと。電話帳には名前、電話番号、住所の 記載以外掲載しない」というように載っておりまし た。これくらいしかありません。 実は、私は、Y社で高校生向けのワークブックを 書きました。そこに「BBSでなりすましがあります」 と書きました。また「ネットオークションでは、最 初は本当の住所は語らないようにしておいた方が いい」とか、「本当のメールアドレスを他人に教え たくない場合は、とりあえずフリーメール」とも書 きました。私は「匿名というのは危険の回避、実名 というのは責任の明確化」まとめました。 4 提案 さて、私個人の提案です。 4.1 小学校1年生∼3年生程度. ということは、アジア人は、ヨーロッパ人と比べ て前頭葉の発達が遅いですから、この年代ではプレ ゼンテーションの練習もほどほどにした方がいい でしょうということです。 4.2 小学校4年生程度∼6年生程度 小学校4年生から6年生ぐらいになりますと、子ど もは保護者から自立します。ということは、「精神 的な自立をしたいのに、メールは使っちゃだめ」と いうのはやめて、自立させた方がいいんですね。 そして、児童は必ず失敗し、失敗を通して物事を 学ぶわけです。基本的には失敗に対して、どんな救 いの手を保護者が差し伸べられるかということと、 失敗が大事件にならないような失敗で済むかが重 要でしょう。ちょっとした失敗で写真が消えてしま うというのと、その失敗のおかげでどこかの国の警 察サイトがダウンするという失敗はやっぱり違う わけですが、インターネットがこれほど普及すると、 事件を起こす立場では、それらの差は非常に小さく なっている。 この年代では、日本では、基本的に保護者との距 離はまだ近いので、個室ではなくリビングルームで 勉強するのが普通です。. まず家庭では、本人の自己確立というのはままな らないわけです。 小学校1年生から3年生ぐらいまでになると、基本 的には保護者と一体となって何かやることは正し いでしょう。この場合、保護者は大人であることが 必要なわけです。つまり、子どもと一緒にケンカを してはだめです。子どもがケンカしているときに、 保護者が行ってはだめです。いっしょにケンカをし ましょうというのはちょっと困るわけです。だから、 大人であるというのは、これは20歳を過ぎていると いう意味ではなく、人格として大人という意味です。 自分の名前と自分がちゃんと結びついていない 子どもたちに、メールアドレスを与えるのはやっぱ りおかしい。. 学校の国語の授業では、作品を発表して他人に意 見を聞くということをやっているわけですから、そ れと同じで、コンピュータを使って何か発表すると いうこともあります。だからといって、それをWeb に必ずしもアップロードする必要はないと思いま す。むしろ個人情報のことを考えたら、しないほう が良いだろうということです。プレゼンテーション の練習も、クラス内でやれば十分です。ただし、個 人の能力差は次第に拡大しています。「うちは今4 年生だから、5年生だから」と固定して考えるので はなく、「この子は4年生ぐらいだから、この子は5 年生ぐらいだから」と弾力的に学ばせる必要が出て きます。 4.3 中学校∼高校. ところで、 「白人は脳の前頭葉の発達が早いので、 赤ん坊とか、2、3歳でも個室を与えてもいいが、ア ジア人の場合は脳の前頭葉の発達が遅いので、中学 生ぐらいまでは保護者と一緒に同じ部屋で寝ても いい」という話を聞いたことがあります。本当なの かどうなのか分かりませんけど、アジアには親戚20 人くらいが同じ家に住んでいるところもあります。 家族共同体意識は、そういう脳の発達の影響である という話は聞いたことがあります。 70. 中学校から高校だと、家庭では子どもを緊密な管 理下に置いたりするとよくないし、子どもの自主性 はやっぱり尊重した方が良いと思います。しかし、 それまでよりも更に多くのてんで社会と接するこ とにもなります。保護者も、子どもが失敗したとき の支え、つまり「子ども自身の危機管理」に入り込 むべきです。そして、ここでいう「子どもの危機管 理」で匿名性をちゃんと扱ってあげた方が良いだろ.

(6) 第9回 コンピュータ犯罪に関する白浜シンポジウム REPORT. うと思います。 例えば、学校では、コンピュータを利用する演習 授業のために、個人アカウントを作らざるを得ない。 メールの練習も授業に入ります。適切に自分を管理 し、自分の危機を管理し、そして、社会的な存在と しての個人が確立されてくる、ちょうどそういう年 令が中学校から高校です。 ただ、先ほどの話の続きになりますが、中学生、 高校生は、さらに能力の個人差が拡大化します。携 帯電話のメールしか使いたくないという子もいま すが、PCでのメールの取扱などについても、やは りうまく指導するタイミングが欲しいという気が します。 4.4 子どもへの教育だけでは不十分 それからもっと大事なのは、子どもへの教育だけ では不十分だということです。. たまたまですが、私は放送大学の授業も担当して おります。そこでもこういう危機管理の話題を取り 扱おうと思い、宇治市役所まで取材に行きました。 しかし、放送大学を見ている人はまだまだ少数です。 もっと成人教育の環境を充実させるべきです。 5 まとめ 私は、ここにいるみなさんに、ぜひお願いしたい ことがあります。お子さんがいらっしゃる方は、学 校に行って、こういった情報モラルの話を先生方や 保護者の方々に教える講師になっていただきたい のです。学校もボランティアを歓迎しておりますの で、保護者がこの分野の専門家であれば、ボランテ ィアとして、保護者の勉強会だとか、先生同士の研 修会といったところで講師ができるはずです。直接、 子どもに教える必要はないと思うのですが、なるべ くこういう問題に関して、啓発活動をしていただき たいと思います。 それからもう一つ、この会場にいらっしゃる方の 中で、政府および各都道府県の施策に関わっていら っしゃる方がおられましたら、こういった問題をも う少し真剣に考えていただきたいと思います。特に その先生のスキルが低い、保護者のスキルが低いこ とが問題で、個人情報であろうと、著作権であろう と、コンピュータがらみの事件が非常に大量に起こ っているので、これをどういうふうにして決着して いくかというときに「単に有名な先生を呼んで講演 会をしましょう」とか、 「お金をばらまきましょう」 みたいな話ではなく、もっと違った形でできること がいっぱいあるはずです。. 実は保護者をどう教育するかというのが、我々に とってもっと深刻な問題です。学校での事件例を見 ても「保護者がためだ」という場面が多い。保護者 が子どもをちゃんと教育しないから子どもが事件 を起こした、という場合が多いので、どうやって保 護者を教育すればいいのかを考える必要がありま す。 それからもう一つ、先生を教育しなければならな いのです。先生は教育する側ではなく、される側と して考えなければならないということです。各教科 の内容に関しては、その先生が教育すればいいので すが、とくに情報モラル、情報倫理、コンピュータ ということに関しては、先生をどうやって適切に教 育するかということが大事です。. 地域ぐるみで、勉強会というかワークショップみ たいなことをやるほうがいいのだろうと思います。 そういった対応がどんどんついていくことで、例え ば、重大な犯罪・事件を未然に防ぐ可能性はより高 くなるのではないかと思っているわけです。. 学校の先生も、子どもたちの保護者も、その人自 身は情報教育を受けていないのですから、成人教 育・社会教育・生涯教育として、きちんとした情報 教育をどうすればいいのかということを考え直す 時期に来ていると思っています。. この辺で終わりにしたいと思います。どうも有難 うございました。. 71.

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