生徒指導の施策と実践
一戦後高等学校史の観点から-専 攻 人間教育専攻 コ ー ス 氏 名 人間形成コース 酒 井 修 研究目的と方法 本研究の目的は、戦後生徒指導における施策 と実践の在り方について、徳島県を一事例とす る形で考察し、それらの実態について新たな知 見を明らかにしていくことで、ある。またそこか ら得た知見を、いかに生徒指導実践の場におい て生かしていくかについて論究してし1く。 本研究は、徳島県における教育委員会発行の 生徒指導に関する資料を、文部省発行の資料と は違う視点から分析考察し、当時の生徒指導の 実態に迫ろうとするものである。 しかしながら当時の行政資料のみでは実態に は遠い。そこで 1980年代に現場で働かれた徳 島県の教員経験者に対してインタビューを行っ た。そこから施策を受けて'学校現場においてど のような実践が展開されたのかを明らかにする とともに、社会の変化に伴、って生徒指導がどの ように在ったのかを、現場にあった教師の語り をもとに論じてし吋。なお本研究において女橡 を高校としたのは、小中苧佼に比して、自身で 意思決定できる年齢であることなどから、教師 と生徒、相互の関係性をとらえやすいと思われ たためである。 指導教員 梶 井 一 暁 各章の要点、 第一章、第一節では宮坂哲文の研究を主たる 先行研究とし、生徒指導概念がその前史におい て複数の背景を持っていることを確認し、また これを現場に引き付けて見たとき、その背景が 相互に重なり合いながら顕在化している点を指 摘し、本研究が生徒指導について、その施策と 実践の両面から扱う意義を橋君、した。第二節に おいては、中央教育行政の視点から、戦麦生徒 指導概念の成立と、社会情勢とともにその意義 が変容してきた事実を確認し、本研究における 問題爵哉の所在を明らかにした。それは施策が 実践に反映されるに至ったブ。ロセスへの疑問で、 ある。 第二章、一節において出忠島県教育委員会が 1966年に発行した『徳島県中判交・高等学校生 徒指導のしおり』を資料として分析考察を行い、 同資料が1965年の文部省発行『生徒指導の手 引』に示されるところに拠るものであることと ともに、同資料が当時の徳島県の現場において 活用されることを目的としたもので、あったこと を明らかにし、この点から当時の県教育委員会 が、中央教育行政と学校現場との問で、施策を 実践に即した形へと仲介する儲リを果たしてい たことを指摘した4 また同資料の言謎を分析す-5-ることで、県教委が担う役割が単なる伝達では なく、そこには施策の掲げる理念と、現場にお ける実態との事離をどのように埋めるかという 課題に向き合う姿勢があったことを明らかにし た。第ご節においては、徳島県教育委員会が 1970年に発行した『高等学校生徒指導資料最 近における生徒指導上の諸問題』を主資料とし、 分析考察を行った。そこでから「高校生の政治 活動Jとしづ事案について、一概的な指導方法 が用いられず、その判断が個々の朝交現場にゆ だねられた点を砺忍する一方で、実態としては 従来の方法論が通じない事案に対して、学校現 場が対応に苦慮する様子を明らかにした。 第三章では当時の教員経験者へのインタビ、ユ ーを通じて、1980年代から現在における生徒指 導上の課題とその変容について、話者の視点を もとに明らかにした。またこれらの生徒指導上 の課題が、現象においては異なる様相を見辻な がらも、その根底には同じ要因を持つで、あろう 点を指摘した。また県教委生徒指導担当I氏へ のインタビ、ューから、県教委は第二章において 確認したような役割を現在は