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誘電特性を用いた温虚血下における膵viability評価に関する検討

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Academic year: 2021

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Title

誘電特性を用いた温虚血下における膵viability評価に関する

検討( 内容の要旨(Summary) )

Author(s)

水谷, 知央

Report No.(Doctoral

Degree)

博士(医学)乙 第1368号

Issue Date

2003-03-13

Type

博士論文

Version

URL

http://hdl.handle.net/20.500.12099/14913

※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。

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氏 名(本籍) 学位の種類 学位授与番号 学位授与日付 学位授与の要件 学位論文題目 審 査 委 員 水 谷 知 央(神奈川県) 博 士(医学) 乙第 1368 号 平成15 年 3 月13 日 学位規則第4条第2項該当

誘電特性を用いた温虚血下における膵viability評価に関する検討

(主査)教授 虞 瀬 (副査)教授 恵 良 聖 一 教授 安 田 圭 吾 論文内容の要旨 背景と目的 膵移植における膵グラフトviability判定は膵の生者上重要である。現在まで,保存膵のviabilityを評価する研 究がなされているが臨床的に使用し得るような評価法は開発されていない。一方,これまでに当教室では心,肝, 腎等の虚血に伴う誘電特性の変化により,組織のviabilityを評価する可能性を報告してきた。誘電特性(BEI)を 用いた移植膵のviabilityの評価は簡便且つ短時間に客観的評価が可能で,非侵襲的である。 本研究の目的は,心停止下温虚血における膵グラフトのviabilityを判定するために,膵のBEIと膵組織中ATP 含有量,また膵のBEIと移植後膵グラフト機能から,BEIが膵viability評価に際し有効か否かを明らかにするこ とである。 対象と方法 (実験1)ラット心停止下温虚血モデルによる生体誘電評価とATPとの相関に関する研究 対象:Lewis系雄性ラット(体重180∼350g,6∼12過齢)を用いた。 心停止下温虚血膵の作成方法:エーテル麻酔下に開腹し,尾静脈よりヘパリンとベクロニウムを静注し,呼吸 停止から心停止を確認し∴その時点で温虚血状態になったと判定した。保温マットを用いて,直腸温35.0∼36.0 ℃,膵臓温34.0∼35.0℃に保った。 心停止下温虚血モデル:非虚血時をC群(n=3)とし,心停止時を0分群,心、停止後30分,60分,90分の各群(各n= 9)を用いて電気インピーダンスを経時的に測定した。各個体測定終了後,膵組織を摘出し,高速液体クロマトグ ラフィー(HPLC)を用いて膵組織中ATP含有量を測定した。 測定項目:誘電特性はインピーダンスアナライザーを用いて100KHz∼100MHzの電気伝導度と電気容量を測 定し,誘電率,比誘電率から誘電正接(tan6)を算出し,そのβ分散領域である10MHz周辺のtan6の最高値 をtan6mとした。ATP含有量の測定は膵組織を摘出し,凍結乾燥した後,HPLCを用いて単位乾燥重量あたり の膵組織中ATP含有量(FLmOl/gdw)を測定した。 (実験2)ラット頸部異所性膵移植モデルによる生体誘電評価を用いた膵viabilityの評価に関する研究 糖尿病ラットの作製:Lewis系雄性ラット(体重180∼350g,6∼12週齢)を用いた。レシピエントはストレプ トゾトシン(Upjohn)65mg/kgを静注し,血糖が300mg/dl以上となったものを糖尿病ラットとして用いた。 心停止下温虚血膵の作成方法:実験1と同様の方法で作成した。 膵異所性移植モデルの設定及び移植方法:呼吸停止前および心停止後温虚血下における誘電特性を経時的に測 定し,tan6mが一定の値すなわちtan6mが4.5,4.0,3.5の3群(各n=6)に低下した時点で冷虚血開始し,膵を摘 出して膵移植操作に移った。摘出したグラブトは,4℃UW液10mlで濯流し,4℃UW液中に浸漬保存した。グ ラフトとして膵体尾部を用い,レシピエント右頚部へカフを用いて移植した。冷虚血開始時より60分後に移植後 再湾流し,冷虚血時間を6d分とした。移植後の血糖値を術後1,3,5,7,10,14日目に測定した。なお移植後2 週目に移植膵を摘出し,摘出後1日目にも血糖を測定した。 結果 (実験1):tan6mは温虚血時間の経過とともに低下した。一方,膵組織ATP含有量の各群における膵組織

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ATP含有量は温虚血時間の経過とともに低下した。tan6mと膵組織ATP含有量は分散分析による検定上,有意 な正の直線相関を認めた(p<0.001)。 (実験2):呼吸停止操作前に測定したtan6mの値は5.1±0.1であった。グラフトが生者したラットは,移 植前の高血糖が移植術後1日目で正常化し,以後正常血糖(<200mg/dl)を続け,摘出後には再び高血糖に復した。 心停止時よりtan6m:4.5,4.0,3.5(各n=6)に低下するまでに要した温虚血時間は各7.7±6.7,45.5±19.8, 72.7±21.8(分)であった。tan∂m=4.5,4.0,3.5のときの生者率は各100%(6/6),33.3%(2/6),16.7%(1/6)であっ た。 温虚血時間が48分以上では全例生者せず,25分以内では全例生者した。グラフトの生者群と非生者群を温虚血

時間で比較すると,前者は15.3±13.7,後考は68.6±19.6(分)となり,両者の間には有意差(p=0.0005)を認めた。

考察 現在まで,保存膵のviabilityを評価する指標として,膵組織中ATPの定量,膵蛋白合成率,P31NMRスペク トログラム,膵組織PO2,膵酵素測定等が挙げられる-が,これらの指標は単独では信頼性に乏しいこと,測定に 時間を要すること,手技が煩雑であることなどから,臨床的には使用されていないのが現状である。 一方これまでに我々の教室では)[、,肝,腎等の虚血に伴う誘電特性の変化により,組織のviabilityを評価する 可能性を報告してきた。誘電特性法の利点は非侵襲的で,測定が容易,また,リアルタイムに連続的かつ客観的 評価が可能なことである。本実験ではβ分散領域の高周波領域における誘電正接の最大値:tan∂mを指標とし た。この周波数域では界面分極の関与が最も大きいと報告され,構成する細胞の浮腫や細胞の膨化,膜の破壊な どといった組織構造の変化を鋭敏に反映する。

本実験1におIjる心停止下温虚血モデルでのtan6mは温虚血の進行と共に低下し,膵組織内ATP含有量も低

下し,両者が相関することを示した。膵組織内ATP含有量は膵組織のエネルギー状態を現すとされ,これとtan 6mが相関したということ,すなわち,tan6mは交流電場中での膵組織のエネルギー損失及び,虚血障害の進 行の一つの指標として用いることが可能であると思われた。・ 本実験2における移植実験では,カフを用いた頸部への異所性膵移植手技を選択した。短期の膵内分泌機能を 評価するには,簡便で手技的問題や他臓器因子を考慮に入れずに済むこと,操作が短時間なためグラフト吻合時 の温阻血時間が短いこと等により,膵移植モデルとして適当であると考えた。 移植実験において,グラフト生者した最長温虚血時間は45分で,生者しなかった場合の最短温虚血時間は41分 であった。このことより安全保存限界時間は40分未満と推測された。一方,呼吸停止操作前のtan∂mの値は5.1 ±0.1であった。その後心停止とし,tan6mが4.5に低下した時点での温虚血から移植操作に移れば全グラフト が生者した。その後tan∂mが4.0,3.5ではグラフトの生着率は悪化した。温虚血時間からすると,45分以上は 全例生者しなかった。一方25分以内では全例生者した。従ってtan∂mが4.5,或いは温虚血時間が25分は安全限 界であるが,tan∂mが4.5∼4.0の間並びに温虚血時間が25∼45分の間に関してはなお検討が必要であると考え られた。 結語 膵グラフトのviabilityを判定するために,膵のBEIと膵組織中ATP含有量の比較,また同系移植を用いて,膵 のBEIが膵グラフトのviability評価に際し有効であるかを検討した。 1.tan6mは膵組織内のATP含有量と有意に正の相関を示した。 2..正常膵のtan6mは5.1±0.1であるが,tan6m=4.5までの温虚血時間では膵グラフトは生者した。 論文書査の結果の要旨 申請者 水谷 知央は,膵移植時における保存膵のviabilityの評価に誘電特性を用いて実験し,誘電特性が温 虚血下ラット膵異所性移植モデルにおける膵viability評価の際に有効であることを明らかにした。 本研究は,保存膵のviability評価を可能にし,膵移植の発展に少なからず寄与するものと認める。 [主論文公表誌] 誘電特性を用いた温虚血下におけ_る膵viability評価に関する検討 岐阜大医紀.2003;51:136∼140

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