• 検索結果がありません。

西マレーシア農村の保健と医療 [Rural Health Conditions in West Malaysia]

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "西マレーシア農村の保健と医療 [Rural Health Conditions in West Malaysia]"

Copied!
19
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

東南 ア ジア研 究 10巻1号 1972年6月

西 マレー シア農村 の保健 と医療

夫*

RuralHeal

t

h Condi

t

i

onsi

nWes

tMal

aysl

a

by

Hi

de

o

TAKIZAWA 筆者 は京 都 大 学東 南 アジ ア研 究 セ ンター とマ ラヤ大 学経 済 学部 との共 同 によ る, マ ラヤ稲 作 農 村 総合 調 査 の一 員 と して,1971年8月 か ら約 1カ月半 に わた り,三 つ の調 査 地 を含 む ク ラ ン タ ン,ケ ダ ー,マ ラ ッカの三 つ の州 に滞在 して調 査 を行 な った。 この総合 調査 の計 画 の あ らま し はす で に発 表 され て お り,1)2'また調 査終 了後 に正式 の報 告 が ま とめ られ る。 こ こで は西 マ レー シア農 村 に お け る保 健 医療 の事情 を

,

持 ち帰 った資料 と現 地 で の経 験 を 中心 に述 べ て み た い。 Ⅰ 農 村 保 健 事 業 1970年 に お こな われ た セ ンサ ス に よ る と,西 マ レー シア の人 口は8,801,399で あ るO その う ちで, い わ ゆ る農村 人 口の占め る割合 は正確 に は分 か らな い が,約70%,600万 人 とみて大 き な誤 りは な さそ うで あ る.3' マ レ-人 , llj国人 お よび イ ン ド ・パ キ ス タ ン人 な どか らな る複合 民族 国家 の マ レー シアで ,農村 部 の人 口の うちマ レー人 の 占め る割 合 は圧倒 的 に大 きい。 こ う した背景 か らみ る と, 政府 が力 を入 れ て い る農 村 保 健 事業 も,農 民 の健 康水 準 を高 めて ,生 活 を

か にす る とい う点 で この国 の農 業 政 策 と深 い関係 を も って い るよ うだ。 マ レー シアは1957年 の独 立 以前 には, わず か ばか りの病 院 と施薬 所 な どの医療 施 設 だ けで, 保 健 施設 は 全 く なか った。 独 立 後,4'

WHO

UNI

CEF

の協 力 に よ り 農 村保 健 事業 計画

(

Rur

a

lHe

a

l

t

hPr

ogr

a

mme

)

が軌 道 にの った。 この計画 が現 在 まで一 貫 して進 め られ て い る。

*

京都大学医学部 1) 川口桂三郎 ・口羽益生 ・坪内良博 ・前田成文

,

「マラヤ稲作農村総合調査計画- 準備調査 な らびにマ ラヤ大学 との共同計画に関す る報告- 」『東南アジア研究』 6巻2号,pp.1911199,1968. 2)坪内良博 「パ シルマスか ら-現地通信-」 『東南アジア研究』9巻3号,p.477,1971. 3) 1970年センサスか ら,人し」5,000以下の人

l

二」概算は5,806,152で約66.0%に相当する。ケダー州では都市 人口20%,ゴム園労働者10%,農村部人口70% とみている。 4) より正確には, この計画はマラヤ連邦の第1次5カ年計画 (総合開発計画 1956-1960)には じめてとり あげ られた。 86

(2)

滝沢 :西 マ レー シア農村 の保健 と医療

マ レー シアの医療 と保健 事 業は-一部 の開業医制度 を除 いて,すべて政府 の直轄事業 と して お こなわれて いる。 まず,農村保健 事業 の内容 をみて みよ う。行政組織 と しては,保健省- 医 療事業長官(連邦政府)- 保健 医療局長(州政府)- 保健 医療 医官- 農村保健単位 と系列化 されている.州 の中では--)あるいは幾 つかの郡 が一 つの農村保健単位(RuralHea一th Unit, R.H.U.)を 構成 して いるQ そ れ を 統括 して いるのが 保健 医療医官 (Medicaland Health Ofhcer)で ある。例 えば, クランタ ン州では五 つ,ケダー州では五 つ,マ ラ ッカ州では三 つの R.H.U.が あるわけで ある (表2参照)0 tl 農村保健単位

(

R.

H.U.

)

政府は この農村保健 事業計画をたて るにあた り,大都帝 と自治都市 (イポー, マ ラ ッカ) 杏 除 いた農村人 口を約 500万人 とみ こみ,人 口50,000に対 して一 つの R.H.U.を お くことに決 めた。 一 つの R.H.U.は一 つの保健所 (MainHealthCenter)と四つの保健支所 (Health Subcenter)と 20の住居 付 の助産所 (Midwife Cliniccumquarter)か らな って いる(図1)。5'こ の計画 に したがえば,保健所 と支所 はそれぞれ 1万 人,助産所 あるいは助産 婦(保健所 や支所 に 所属 して いる)は それぞれ2,000人の住民 を受 け もつ ことにな る。1956年か ら1970年 までの間に, この計画 がどの程度すすめ られたかが表 1に示 されて いる。当初の計画 では100の保健所,400 の保健支所, 2,000の住屠付 助産所 を作 る予定 であ った。人 目の増加 と計画 の遅れ によ り,施設 第 1次 5カ年 計画 終 了 時 (1956-1960) 第2次 5カ年計画 終 了時 (1961-1965) 第1次マレーシア計画終了時 (1966-1970) 第 2次 マ レ ー シ ア 計 画 (1971-1975) ○佳煤Ha/J崖pFl ● 伴傑 軒あ る日Ll支所竹島0)的産掃 図1 農村保健 単位 (RJi.U.) 表1 保 健 施 設 建 設 状 況 目 標 の 25% 148 175 +62 5) タイの衛生行政 の機構 もこれ に似てい る。西尾稚七

:

「タイ国の公 衆衛生」『東南アジア研究』 2巻1号, p.8877,1964.

(3)

東南 ア ジア研究 10番 1号 表2 酉 マ レ ー シ ア の 保 健 施 設 (1971, 3州) 人 口 ク ラ ン タ ン州 ケ ダ

州 マ ラ ッ カ 州 (自治市を除 く) ∼1970㌻ 」 保 健 所 保健支所 助 産 所 施 薬 所 680,626 5 22 72 955,374 5 21 117 6 317,365 3 11 60 付子保健 センタ-1 の充足率は1975年末 で約60% とみ られ る。1971年の段階では 1R.H.U.当 り人 口14万 ほどに なる。 これ は筆者 の調査 した三 つの州 に も当てはまる状況 である(表2)。 こうした施設の整備 が遅れて い る原因は大 き くわけて二 つ考 え られ る。資金不足 と要員不足で ある。サバ ・サ ラワ クの合併 によ り,第1次 マ レー シア計画(1966-1970)の資金 はか な りの部分 が同地域 の開発 と 整備 に注 ぎ こまれた といわれて お り, それだ け西 マ レー シアの開発が遅れた。 また,要員の不 足 は開発途上 の国では共通 の問題 で あ り, マ レ- シア もその例外ではない.例 を医師にとれば, 政府関係施設の医師の実人 員は758名で,要員1,112名 (1970年) に対 して その充足率 は68%に す ぎない。筆者 は クア ラル ンプール滞在中,保健省 に人的資源養成部門のマジス氏 を訪れたO あいに く同氏 は出張 ttjで 面会で きなか ったが,同氏 の部屋 でみた,壁一 面の大 きな黒板 にびっ しり書 きこまれた要 員充足の年次計画 に驚か された。 マ ラヤ大学医学部 は1969年4月 には じめ て61名の卒業生 を送 り出 した。政府 は これ らの若 い医師 に,政府機 関の施設へ数年問就職を義 務付 ける ことを検討 して いるといわれて いる。 m

R.

H.

U.

の仕事 とス タッフ

R.

H.

U.

は次のよ うな仕事をす ることにな って いる。 1. 母子保健衛生 (i) 助産婦活動 (ii) 学校保健 を含む小児保健活動 (iii) 公衆衛生 と精神衛生 (iv) 栄養改善計画 2. 環境衛生 3. 衛生教

4. 伝 染病対策 5. 医療活動- 外来診療 と巡回診療 6. 施 薬活動- 定着 と巡回 7. 簡 単な検査 8. 歯科診療 9.

録 と報告業務

(4)

滝沢 :西 マ レーシア農村の保健 と医療 義 3 R.H.U.の 要 員 配 置 保 健 所 1. 医 官 2. 歯科医官 3 . 公衆衛生監督 官 4. 公衆衛生看護婦 5. 歯科看護婦 6 . 書 記 7. 病 院助 手 8 . 薬 剤 士 9. 看護助 手 10. 助 産 婦 ll. 公衆衛生監督 員 12. 歯科技工助 手 13. 衛生作業員 14 . 補 助 嫡 15. 師科補助婦 16. 運転手 (日給

制)

1 7. 屋外作業員 (日給制) 保 健 支 所 1.公 衆衛生看護婦 1 2.薬剤士 または病院助 手 1

3

.

書 記 1 4. 看護助 手 2 5.助 産 婦 1 6.公 衆衛生監視 員 1 7. 衛生作業員 2 8.補 助 婦 2 9.運 転 手 1

1

0

.

屋外作 業員 (日給制) 1 こうした仕 事に従事す るスタ ッフを表

3

に示 した。地域 の事情 によ り要員配 置に多少 の変更 が ある。 また,実際 には要員の欠員や研修 出張 中で不在 などが しば しばみ られた。 これ らの ス タ ッフは施設 に付属す る官舎 に居住 して いる。 さきに述べたよ うに,一 つの

R.

H.

U.

には一 人 の医療保健 医官がお り,地 区の保健 管理事務所 で,

R.

H.

U.

を統括 して いる。 また保健管 理事務所 は各種 の登録業務 や海外旅行 などのための予防接種 ・証明書 の発行を行 な って いる。

R.

H.U.

の活動の うちで 目立 つ ものは母子保健衛生 と, 歯 科を含 めた医療 ・施薬活動であ ろ う。 筆者 は農村をまわ って保健所 や支所 を訪れ, さ らに その印象 を強 くした。 図1のよ う に ,

R.

H.U.

の末端機構 は住居付の助産所 である。 この点か らみて も, 助産活動を主体 と し た母 子保健活動 が

R.

H.

U.

の一 つの 中心 をなす ことを理解 で きるO ただ, このよ うに配 置 さ れた助産婦 は, 要員配 置の表3にみ られ るよ うに 看護助手 よ りも ランクが下 で, 中学卒業後 2年間助産技術 を修得 しただけである。 日本 の助産婦 のよ うに,看護婦教育終 了後 さらに 1年 間助産婦教育を受 けた者 と異 な る。 このため,住居付 とい う,折 角の地域活動の場 も助産 とい う 狭 い領域 に限 られて しま うことは惜 しい ことだ。 しか し,要員不足 で短期 間 に多 くの実務家 を 教育 し,配置 しなければな らない発展途上 の国 と してはそれ も止 むを得 まい。 ともあれ,無資 格 の産婆 (Kampongmidwife)にかえて,有資格 の助産婦 (Governmentmidwife)を配置 し てい こうとす る

R.

H.

U.

の組織か ら,母子保健衛生 にか ける政府 の意気込 みが うかがわれ る。

さらに,州 によ っては村 の産婆 を再教育 して不足 して いる助産 婦の補 い と している企て もある。 89

(5)

東南 ア ジア研 究 10巻1号 このほか,表 2にみ られ るよ うに, クランタ ンとマ ラ ッカの 2州では,母子保健 セ ンターが別 に作 られ,助産婦 の教育を兼 ねて運営 されていた。 R.H.U.の 目立 った活動の第 2は医療で ある。住民が保健所を Hospita1(病院)と呼んでい ることで示 され るよ うに, 開業 医の極度 に少 ない農村部で, 保健所 が医療 (Medical) と保健 (Health)の両面 の活動を して いるわけである。 診療活動 と予防活動は 本来表裏一体をなす も のであ り, その限 りでは うらやま し くさえ思 えた.一 つの R.H.U.には 1人の医師がお り, 保健所 に配 置されて い る (保健 医官-MedicalO侃cerofHealth,M.0.H.)。 この医師が管下 の保健所 と支所 との外来診療を行 な う。 そのため,少 な くとも過 に1回 は,保健所や支所 に医者 がいて,直接患者 を診察す ることにな る。 その間は病 院助手 (HospitalAssistant)が患者 の訴 えを聞 いて,対症療法的に薬 を与 え る。 しか し,抗生物質 や高価 な薬品 は医師の処方 にゆだね られ るため,私 の処方 で きるのは これ これだけだ と, ある病院助手は嘆 いて いた。 テ ォ ・キ ィ ・シン氏 (クバ ンク リア ン保健支所 ・病院助手) は週間予定表をみせて,次のよ うに説明 して くれた。「外来は8時か ら12時45分 まで と,午後 は 2時か ら 4時 までや ります。患者 は 1日に, そ うですね,

8

0

人か ら

1

0

0

人 くらいで しょうか。

1

週間の うち, 日曜 日と火曜 日の午前 中,近 くの農村-巡回診療 に出か けます。巡回診療は1カ月 に 1回決ま った場所 に出か けて, 1カ月 か けて地域 内を一巡す るわけです。土曜 日と木曜 日には ここで外来をみます。月曜 日には保健 所か ら医者 がや って きます。 伝 染病 や重 い病気 の患者 は 州の病院へ送 ります

」商科医師 も同 じよ うに,R.H.U.をまわ って診療 にあた る ことにな って いる。 歯科医師の不足 は医FHiのそ れ よ りも大 で,歯科の看護婦が簡単 な処 置を してい るのが実情 のよ うだ。 開業 医不足か ら,R.H.U.の活動 が医療面 に多少偏 っているとはいえ, 本来保

と医療は 章 の両輪で ある。地域 の保健 と医療 を一 つのセ ンターに集約 して活動す る ことは最 も望 ま しい ことで ある。 日本 のよ うに,明治 以来 の開業 医制度がすで に定着 して いるところ-,保健所

度 が もち こまれたための混乱 と, 相互 の連絡欠如の結果 をみ るにつ けて も, マ レー シアの R. 班.U.制度の充実 に期待 をか けたい。 しか し,現実 にはなお解決すべ き幾 つかの問題 がある。 「保健所や支所 内の仕事上の トラブルがみんな私の ところへ持 ちこまれ る。」 とある保健 医療 医 官 (MedicalHealthOfhcer,M.H.0.)が嘆いて いた。 保健支所での 公衆衛生看護婦を

心 とす る保健面 の スタ ッフと,病 院助手 を中心 とす る医療 スタ ッフとの連携 が必ず しもうま く い って いない ところもある。タテ割 りの行政組織 が こうした横のつなが りをはばんで いること も一 因で あろ う。 しか し,要員不足 のため実務家 の養成 を急 ぐので,地域の保健 と医療 に対す る理念 を養成の場で充分与 え られ ない ことが大 きな原因ではなか ろ うか。

(6)

滝沢 :西マレーシア農村の保健と医療

医療 保健活動の成果 政府 が 積極的 にすすめる このよ うな医療保健活動の成果は 統計的な 数値 とな って示 され る (表4,表 5)。一 つの国の衛生状態 または健康水準 の指標 と して い くつかの指標 が用 い られて いるが,訂正死 亡率,乳児死亡率 および平均寿命 を三 つの指標 と して用 いる ことが多 い。表5 にみ られ るよ うに10年間 に着実な成果 を あげている ことが分 か る。 しか し, マ レー シアのよ う な複合民族 国家 では,統計的な数値は平 均値であるために,人種差や地域差が消えて しま うこ とに注意 しなけれ ばなるまい。 例 えば1968年の粗死亡率 を とると, マ レー人8.3(男8.7,女 7.8), 中国人6.6(男7.9,女5.2), イ ン ド ・パ キスタ ン人8.5(男9.7,女7.1)とな る. また, 地域 差は クランタ ン州の9.6を最高 に,最低のジ ョホール州 の6.5まで とか な り開 きが ある。 地域差 に人種差 を加味 して要約すれば,西 マ レー シアでは東海岸 の諸州 は人 口構成上 マ レー人 が多 い ことと, 医療保健設備 や交通網 な どが整 って いない ことと相 ま って, こうした高 い値を 示 す もの と思 われ る。 そのため,次 に述べ る政府 の総合開発計画 の中で も, この較差是正 に重 点 がおかれて い ることもうなづかれ る。 表4 医 療 保 健 活 動 の 成 果 (1) 病 院 入 院 患 者 数 病 院 外 来 患 者 数 保健所 ・支所訪問者数 保健 婦 らの家庭訪問 日 J震 Lli 産*

*

政府助産婦の介助によるもののみ 健 保 ` 痴 医 5 義 粗 乳 妊 平 出 死 死 石 タ コ叩 新 生 E 目処 ヨし 〃 産 均 亡

1

E 命

-率

男女

率 91 1958年 1969年 277,804 492,891 3,737,691 5,705,091 1,494,701 7,260,494 617,581 1,851,268 32,247 F Jt 2 ll 川u 莱 成 の 動 活 74,672

(7)

東南 ア ジア研究 10巻1号 Ⅴ 第

2

次 マ レーシア計 画 におけ る医療 と保倭 第2次 マ レー シア計画 (1971-1975)において,政府 は医療 と保健 面で次 の よ うな五 つの方 針 を うち出 して い る。 1. これ まで と同 じよ うに農村保健 に力を そそ ぐ 2. 医療 と保健要員 の養成計画 3. 病 院ベ ッ トの増床 4. 国民 の環境衛生 と栄養状態 の改善 5. 家族 計画 事業 の助成 すで に述べ た ことと重複す るので, ここでは最後 の家族 計画 事業 について触れ る。 出壁率 が 依然 と して高 いの に もかか わ らず, 死亡率 が低下 したので (表5), 人 口の増加 は さけ られ な い。 このた め政府 は1965年か ら開 始 され た第1次 マ レー シア計画 の 中で,は じめて家族 計画事 業 を加 えた。 その方針 と して ほ,1985年 まで に人 口の増加率 を現在 の

3

%か ら2%に低下 させ る。 そのた め と りあえず,1971年 か ら75年 までの5年 間 に出生 率を現在 の 35%Oか ら 32%ooに低 めよ うとい うので あ る。西 マ レー シアには家族 計画公社 (NationalFamilyPlanningBoard) とい う政府 の事業体 と,家族 計画協会 (FamilyPlanningAssociation)とい う民 間組織 が ある。 前者 は無料 で後者 は有 料で, 内服薬 を主体 と した指導 を行 な って い る。場所 は助産 活動 の中心 で あ る保健 所 や支所 な どが使 われ て い るよ うだ。

公衆衛 生キ ャンペー ン 政府 は現在 次の六 つの医療 と保 健問題 に対 して,全 国的 なキ ャンペー ンを行 な って い る。 1. ヨーズ6'(1954),2. 結核(1961),3. フ ィラ リア7'(1956),4. マ ラ リア(1967), 5. らい(1968),6. 学校保健 事業(1968),7. 環境衛生 と上 水道事業。 西 マ レ- シアの届 出伝 染病 その他 の動態 (入 院患者 に基 づ く) は表6にま とめた。 これ は ク ア ラル ンプール の医学研究所長 の ア ブバ カール氏 が東 南 アジア教育機 構熱帯 医学 ・公衆衛生部 門 とのセ ミナー (1971,東 京 ・大 阪)で報告 した ものの一 部で ある08'この報告 の 中で同氏 も強 6) ヨーズ(Yaws)はフランベシアともいう。スピロフェ一夕の一種が原因で,皮膚 ・皮下組織 .骨などを 侵す。接触伝染。ペニシリンが極めて有効。かつてはマレー半島の東海岸,クランタンと トレンガヌの 2州を中心に患者が多発 した。ペニシリン使用前の患者数は4万 とも10万 ともいわれている。

7) ケダー州のスンガイパタニ(SungeiPatani)に対策センターがおかれている。図2にみ られるように, 西海岸のムダ川(Sg.Muda)とメルポック川(Sg.Merbok)の川口域の沼地に,マレー糸状虫の濃厚汚 染地帯がある。ここを中心に対策が進められ,大きな成果を収めている。

8) Theseminarontheepidemi ology,prevention and controloftheendemi cdiseasesinSoutheastAsi.,i andtlleFarEast.TokyO-Osaka,July,1971.

(8)

滝沢 :西マレーシア農村の保健と医療 表 6 届 出 伝 染 病 の 動 態 (入院患者に基づ く) 脳 発 ペ 天 姑 ら ポ 狂 腸 ト 痘 核 い オ 病 チ フ ス コ レ ラ マ フ リ ア ヨ ズ フ ィ ラ リ ア ア メ ー バ 赤 痢 細 菌 性 赤 荊 1965 1966 1967 1968 52 53 89 110 14,425 14,461 837 834 359 99 1,108 881 9,307 8,432 11 12 72 87 1,424 1,366 139 87 38 17 67 88 13,218 13,969 9,313 967 987 1,229 10 236 31 989 1,042 970 20 68 64,042 20,078 18,973 13 11 16 54 106 1 1,277 1,262 1,134 98 115 111 (注) 入院患者の疾病別の分類集計であるので. この数値が必ず しも マラリア以下は届出伝染病ではないが参考のためにのせた。 その年度の新患数を意味 しない。 調 して いるよ うに, マ レー シアで公衆衛生上重要 な疾 患は, マ ラ リア ・結核 ・寄生虫感染 ・栄 養不良 ・ビタ ミンな どの欠乏症 ・アメーバ赤痢 ・腸 チフス ・性病 ・細 菌性赤 痢で あ るとい う。 こうした背景か ら全 国 キ ャンペー ンをみ る と,やは り結核 ・マ ラ リアの二大 疾病 と,上水 道を は じめ とす る環 境衛生 ・栄養 改善 に問題 が しぼ られ る ことが理解 で きる。 ヨーズ とフ ィラ リアにつ いて は対策 が成功 をお さめて い るので, ここでは他 のキ ャンペ ー ン に対 して二 ,三 の説明を加 えよ う。 結核9' :1966年 の結核 罷患率 は 1.6%Oで あ る。R.H.U.で結 核 と診 断 され た り,結核 の疑 い を もたれ た患者 は州 の病 院 に付属 して い る結核外来 や結核病棟 に送 られ る。 予防接種 の BCG は

WHO

の勧告 によ り, ツ反 を しな い, いわゆ る 直接法 で15才 以下 の子供 に接種す るよ う努 力 されて い る。 こうして患者 が見 つ け られ治療 され るが,患者 自体 に病気 の 自覚 が少 な いので, その40%が治療 を 中断 して しま うとい う。 ど うして治療 が続 け られ ないか, 日本 の場合 と同 じ よ うに患者側 の言 い分 もぜ ひ聞 きたい ものだ. マ ラ リア10) :1967年 に根絶 10年計画 がたて られ たO- つは媒介蚊 の駆 除で あ り, マ レー シア の北 の州か ら DDT の散布 が開始 され た。年2回 ,専業 の作業員 が家屋 の壁 に DDTをふ き 9) クアラルンプールに悶立結核センターがあり, ここで 計画 ・立案 ・指導ならびに技術訓練を行なって いる。 10) 中央の対策本部,各州の対策センター,各地の現地作業員の系列はR.H・U・とは全 く別の組織である が,現地の作業事屠所や倉庫は保健所に同居 している。 93

(9)

東南 ア ジア研究 10巻1号

SINGAPORE

図2 マレーシアのフィラリア糸状虫の分布

(Med.∫.Ma一aya,Vol.XVIII,No・3,(1964)p・138よ り引用)

つ け る (計画 では同一家屋 に 4年 間計 8回). もう一 つは患者対策 で, 巡回診療 の場で もフル 工や発熱 な ど,疑 いの ある患者 の血液塗抹検査 が必ず行 なわれて いた。検体 は病 院検査室か州 のマ ラ リア根絶 セ ンター に送 られ る。 そ こで陽性 と判 定 され ると,患者 は州の病 院 に送 られて 治療 され る。 らい 11):外来治療 と中央登 録制 を 中心 と した, らい制圧 計画 は順調 に進 め られて いる。1970 年末 の全 国の登録患者数 は5,670人 (うち新 患368人) で ある.療養所 は ス ンガ イブロー (ス ラ ンゴール州) と タ ンポイ (ジ ョホール州)の2カ所 に 統合 された。現在約3,000人 が入所 して

l

l

)

スンガイブロー

(

Su

ng

e

iBu

l

o

h)

(スランゴール州)の療養所に対策本部がおかれ,所長が責任者を兼ね てい る。 94

(10)

滝沢 :西マレーシア農村の保健と医療 い る。患者 の比 較 的多 い ク ラ ンタ ン州 には入 院病 棟 (70床) が付属 されて い る。 療養所 で患者 を治 療 す る ことは経費 がか さむばか りで な く,社会 的偏見 を助 長 し,患者 の家 庭 を こわ し,袷 癒 した人 の リ- ビ リテ- シ ョンを お くらせ る。 この ため,新 患 の うちで感染 の おそれ の あ る患 者 は,希 望 が あれ ば短期 間入 所 させて 以後 は外来診 療 に移す。感染 の お それ のな い患者 はは じ めか ら外来 で診 療 す る。 こ うした基本 原 則 に立 って ,病 院 ・保健 所 で患者診 療 がで きるよ うに, 医療 従 事者 の研修 と施設 の整備 をすす めて い る。

農 村 の印象 と二 ,三 の考 察 1. 三 つ の 州 筆 者 は西 マ レー シアの三 つの州 を まわ った。北東 部 の クラ ンタ ン州 ,北 西 部 の ケダー州 と南 西部 の マ ラ ッカ州 で あ る。地理 的環境 や農村 構造 の違 いにつ いて は それぞれ の報 告 を参 照 して いただ きた い。12'ここで は公 衆衛 生 面 につ いて の み触 れ る ことにす る。 ご く大 ざっば に比 較 す るため に,三 つ の州 の人 口統計 を みて み よ う (表 7- 10)。州 の人 口の うちで , マ レー人 の 占め 表7 人 口 統 計 (1968) (1) 人 口 総 数 マ レ ー 人 中 国 人 イン ド・パキスタン人 己 の 他 クランタン州 ケ 703,482 644,458 38,837 8,329 11,858 ダ ー 州 マラッカ州 963,945 428,144 655,279 216,616 193,610 168,201 90,927 34,677 24,129 8,659 表 8 人 口 統 計 (1968) (2) 粗死亡率 粗 死 亡 率 マ レ ー 人 中 国 人 イン ド・パキスタン人 そ の 他 クランタン州 ケ 9.6 9.7 7.6 9.6 7.0 ダ ー 州 マラッカ州 8.1 7.5 8.4 7.4 6.3 6.9 10.2 8.4 5.7 6.2 12) クランタン州の調査地ガロ村については,坪内点博 「パシルマスか ら-現地通信-」『東南アジア研究』 9巻3号,pp・478-482. 同 じく

,

「クランタンの-農村におけるタバコ耕作の導入 と社会経済変化」 同誌 9巻 4号,pp・556-576.を参照.ケダー州の調査地パダンララン村については報告が多いが,棚 瀬嚢爾 「マ レーシア調査の現地か ら-現地通信-」『東南アジア研究』 2巻2号,pp.104-108, 口羽 益生・坪内艮博 ・前田成文 「マラヤ北西部の稲作農村一農地所有の零細化について-」同誌3巻1号, pp・26-32, およびLl羽益生 ・坪内良博 「マラヤ北西部の稲作農村-農業労働について-」同誌 5巻1 号.pp・2-22を参照 されたい。虚近,口羽益生 「水稲作農村パダンララン村-その自然条件 と二期作 化について」同誌 9巻4号, pp.533-555がでた。 マラッカ州の調査は1971年6月からはじめ られた ため,まだ報告がでていない。 95

(11)

東南 ア ジア研究 10巻1号 蓑 9 人 口 統 計 (1968) (3) その他の死亡率 ヨ クランタン州 ケ ダ ー 州 マラッカ州 乳 児 死 亡 率 マ レ

人 中 国 人 インド・パキスタン人 そ の 他 】 幼 児 死 亡 率 ・ l インド・パキスタン人 そ の 他 妊 産 婦 死 亡 率 表10人 出 生 率 マ レ

人 中 国 人 インド・パキスタン人 そ の 他 表11 出 政府助産婦か病院助産婦 村 の 産 婆 51.4 44.9 44.7 52.7 45.3 49.8 24.4 32.2 35.9 47.2 66.6 60.2 56.0 35.0 25.2 9.49 6.58 3.68 9.92 7.45 4.77 2.55 2.76 2.39 6.02 7.36 3.16 4.71 7.71 1.46 2.74 2.60 0.88 口 統 計 (1968) (4) 出生率 クランタン州 ケ ダ ー 州 マラッカ州 7 6 7 2 7 6 7 8 8 9 3 3 2 2 1 3 3 2 7 9 6 9 9 2 3 3 3 2 3 2 産 の 介 助 (1970) 34.8 36.0 31.4 35.4 70.6 クランタン州 ケ ダ ー 州* マラッカ州 37.8% 46.6% 約60% 62.2% 58.3% 約40%

*

北ケダーのみの値 (1968) る割合 は クランタ ン91.6%, ケダー68.0%, マ ラ ッカ50.6% とな り, この人種比 が以下 にみ ら れ るよ うな, いろいろな死亡率 に影響 を与 え る大 きな要 因 にな って い る (表8,表9)。すで に 述べ た よ うに,年 々の死亡率 の低下 によ り避 けがたい人 口増加 を抑 え るため,政府 は家族計画 をすす めて い る。 出生 率 が徐 々に低下 して い る ことは (表5),東南 ア ジアでは驚異 的な ことと いわれ る。 中国系 のマ レー シア人 の出生率 はマ レー系 に比べて さ らに低 い(表10)0 この三 つの州 の人 口統計 にみ られ る差異 の要 因は,すで に述べ たよ うに,生活 と行政 の両面 の較差で あ る。こ こでは二 つの例 を指摘す るに止 め るO- つは 出産 介助者 がだれ であ ったかの 問題 で あ る(義ll)。正規 の訓練 を うけた助産 婦 が出産 を介助す る傾 向が次第 に強 くな りつつ あ 96

(12)

滝沢 :西マ レー シア農村 の保健 と医療 るが, まだ 地域 差が あ る ことが分 か る。 ア イエル モ レ(AyerMolek)保健支所 (マ ラ ッカ州) では1970年 の 1年 間 に出生 児総数 は 917名, その うち政府 の助産婦が と りあげた児 は 440名, 村 の産婆 304名,病 院で 出産 173名で あ る。66.8% が正規 の介助 で これは州 の平均 を さ らに上 まわ る。 しか し,助産 は施 設や人 員だ けの問題 では な く,産婦 側 の介助者 の選択 に も問題 があ るか もしれ ない。 も う一 つは, クランタ ン州 の公衆衛生状況 を知 るために, コタバ ル にあ る国立病 院の統計 を み る ことにす る。表 12は1970年の 入rSlri足し者 の主要 な10の病気 を多 い服に並べ た もので あ る。比 較のために全 国 (1968) のを あわせてのせ た。 コタバルでは全 国 に比 して,妊娠合併症 , マ ラ リア, 胃腸 炎,精 神病 ,結核 がいずれ も多 い。 また, 同病 院の1970fF.・FhEj死 亡は 512人 で あ るが, その うち入院24時間以 内で は 208人 ,48時間以内では 264人 と,半数 以上 が48時間 以内で死亡 して いる。統計 に関す る限 り, クランタ ン州 では よ く整理 され て いた。 こ うした数値 が他 の2 州で は入 手で きず比 較で きないのは残念 で あ る。 この ほか, クランタ ン州 では1969年 の コ レラの発生 (68例申5例死亡) にみ られ るよ うな, 国境線 での防疫 の問題 をかか えて い る。 マ レー シアの穀倉地帯 のケダー州 は, ジ トラ (Jitra) に農村保健 訓練 セ ンターを持 ち, マ ラヤ大 学の医学生 をは じめ全 国か らの医療 闇係 の学生 に実 習教 育の場 を与 えて い る。 ス ンガ イパ ター(StlngeiPatani)には前述 のよ うにフ ィラ リア制圧 セ ンターが あ り,世界各 国か らの 来訪者 を迎 えて,主任 の - ツサ ン氏 は応接に暇がない。 マ ラ ッカ州 では 自治都 市の古都 マ ラ ッカは医療保健行 政 も分 け られて いる。港 の検疫業務 の 他 に,州

商属 す る学校保 健 の専 門 チー ムを持 って い る ことが他 の州 にみ られ な い特色 で あ っ た。 表12 国 文 病 院 入 院 患 者 の 主 な 疾 患 コタバル (クランタン州) (1970) 総 入 院 患 者 1. 妊 娠合併症 2.平

3. マラリア 4. 胃 腸 炎 5.精 神 病 6. 結 核 7. 心 疾 患 8. 皮膚疾患 9. 原因不明の発熱 10.気管支炎 17,219(100.0%) 2,369 (13.8%) 1,593 (9.3%) 1,399 (8.1%) 1,055 (6.1%) 936 (5.4%) 850 (4.9%) 500 (2.9%) 500 (2.9%) 486 (2.8%) 470 (2.7%)

国 (1968) 総 入 院 患 者 1

. 事

故 2. マラリア 3.妊 娠 合併症 4. 皮膚疾患 5. 胃 腸 炎 492,302(100.0%) 55,556 (ll.3%) 20,078 (4.0%) 19,673 (4.0%) 17,711 (3.6%) 17,626 (3.6%) 6. 原因不明の発熱 14,478 (2.9%) 7.精 神 病 8. 心 疾 患 9.気管支炎 10. 結 核 12.072 (2.5

%)

ll,201 (2.3%) 10,950 (2.2%) 10,797 (2.2%) 97

(13)

東南 ア ジア研究 10巻1号

2. 三 つ の 村

今回の総合調査 の対 象 とな る,三 つの村--バ グ ンララ ン村

(

Kg・Pa

da

ngLa

l

a

ng

,ケダー州), ガ ロ村

(

Kg.Ga

l

o

k

,クランタ ン州), ブキ ッ トペ ゴ村

(

Kg・

Buki

tPe

g

o

h

,マ ラ ッカ州)一 につ いてはすで に紹介 されて お り, その社会経済構造 や農 業労 働 な どの調査報告 はすで に一 部 出さ れて い るので詳 しい ことは そち らに譲 る。12) この三 つの村 はマ レー農民 を主体 と した稲作農村 で あ り,村 の構成規模 もそれ ほど違 わな い。生 活, と くに衣 食住 と環境衛生 の

で, この三 つ の村 にどれ だ けの差異 が あるだ ろ うか。13'短 期間 の観察か らは比較 が充分 ではな いが,政府 が すすめて いる環境衛生 の点か ら二 ,三 の問題 につ いて述べ よ う。 飲 料水 :生活 に欠 くことがで きないのが飲料水 で ある。 ケダー州 のバ グ ンララ ン村 は国道沿 いに水道 がひかれて い る。1コの蛇 口は周辺 の家 々にまで その恩恵 を及 ぼ して い る。 マ ラ ッカ 州 の ブ ッキ ッ トペ ゴ村 は,近 くの国道沿 いにはすで に水道 がひかれて い るのに,村 は国道か ら 田を- だてた集落 で あ るため,i捌 宴には

道水 を利用す る ことがで きない。 そのため, クラ ン タ ン州 の ガ ロ村 と同 じよ うに井戸水 を利用 して い る。 これ らの井戸水 の水質検査 はで きなか っ たが,濁 りのない きれ いな水 であ った。井戸水 は必 ず

して飲 む。 水浴 :井戸 端 で水 を浴 び るブキ ッ トペ ゴ村 とガ ロ村 に比べて,パ ダ ンララ ン村 では事情 が異 な る。 「これが井戸 ですか」 と驚 きの声 を あげた古 井戸 が あ った。 井戸 とい うよ りは庭 の古池 で あ る。か つて は この水か天水 が飲料水 であ った。水 は濁 り水 草が浮 いて いる。 その水 を水浴 に使 って い る。 そ うでな けれ ば,村 の中 央 を流れ る ?ア ロールジ ャングス川の濁 水 に飛 び こむ ことにな る。 マ レー半 島の

は飛 行機か らみ る限 りどれ も濁 って い る。上 流か ら流れ込 む土砂 のせ いだ ろ うか。パ シルマ ス (クラ ンタ ン州) で クランタ ン川 の渡 しを利用 して対岸 にわた っ た。渡 し場 では女 は水浴や ら洗 濯,子 供 た ちほ泳 いで いた。す こし上 流 には廓 が ある。サ ロ ン 一 枚で水 のL吊こも ぐり, つ いで に

髪o

j

毛 も洗 う。歯ブラシもみか けた.汗 を流 して肌 を清潔 に 保 つ生活 の知恵 に感心 しなが らも,私 は衛生 問題 と してほ寒心 にたえなか った。 便 所 :

R.H.U.

で は便所作 りが積極 的 にすす め られて いる。 た しか に 便所 は あま り見 あた らぬ。半数 以上 の農家 はないだ ろ うか。家 の周辺 のヤ ブの「卜で用 を足 す ら しい。便所 がない と い うのは正確 ではな く, ヤ ブの中 には囲 いのない排潤用 の穴 が あるのだ とい う意見ユ4'もある。

R.H.U.

ではモデル地 区を作 って, 環境 整備 をや って いた。 農村 部で も比較 的家 が密集 し て いる と ころ,例 えば ボ ン ドック

(

Po

ndo

k)

(寄宿宗教塾 ,小 さな小屋 が集 ま って い る) な ど がモデル地 区に選 ばれて お り, クラ ンタ ン州 では筆者 も連 れて いかれ た。井戸 と便所, そ して 13) バグンララン村には隣接するアロールジャンブス(AlorJunggus)に施薬所 (dispensary)がある.柄 院助 手 1名が常在 して,簡単な診療と与薬を行なっている。施薬所は保健支所の変形とみるべきだが, 設立の歴史はずっと古 く独立前のようだ。 ガロ村は4マイル離れたところにカンコン (Ran Kong) の保健支所がある。またブキットペゴ村から4マイル離れたところのアイエルモレに保健支所がある。

1

4

)

東京農大奉仕会,海外活動,東南アジア編

2,T.

U.A.A.

V.

S.No

.6(

1

9

7

1

)

.

9

8

(14)

滝沢 :西 マ レー シア農村の保健 と医療 台所 か らの下水 の排 水溝 を つ くる ことで あ る。 糞尿 を肥 料 と しな い点 は 日本 や 中国 の農村 と違 う点 だ。 イス ラムの教 えに よ る ら しいが, 隣 りの仏教 国 タ イで も使用 して いな い といわれ る。 宗 教 だ けの問題 では な さそ うで あ る。 村 民の健康 状態 :今 回 は三 つの村 の村 民 を対 象 と した健康 調 査 は で きなか った。 マ ラ ッカの 調 査地 に近 いア イエル モ レの保健支所 で

1

9

7

0

1

年 間 の巡 回診 療 の成績 か ら, あ りふれ た病 気 を探 って み る と,表

1

3

の よ うにな る

.1

9

7

0

年の新

患 2,

7

26

名の約

9

0

%

は マ レー人 だ とい う。神 経痛 な どの痛 み を訴 え る病 気 が約4割 , その他風邪 ひ き,皮膚 病 ,寄生 虫 の版 にな って い る.15' どの家 に も常 備 薬 といわれ るよ うな粟 はな に一 つ な い。病 気 にな る とど うす るのだ ろ うか。 じ っ と家 で寝 て い るのか。 ま ちの漢方薬 の店 には しるか ,保健 所 の外来 へ い くか。 それ よ りさ き に

Bomoh

と呼 ばれ る民 聞 きと う帥 - ち ょっと心得 の あ る隣 の おば さん の こともあ るが-を呼 んで くる。 保榔 軒の与薬 は対症 的 で あ り,病 院 の外来 は混 雑 を きわめて い るので あま りい か な い し, それ に遠 す ぎる。 しか し,薬 の効 きめは よ く知 って い るよ うだ。結 局 ,状 況 に応 じ て , あれ これ試 み るのが,最 も実情 に近 いだ ろ う。 ときに手 遅 れ にな る こと もあ るが, ときに は寝 て い るだ けで治 って しま う病 気 もあ る。 表

1

3

巡回診療の主な病気

(

1

9

7

0

,アイエルモ レ保健支所)

1

1 総 数 (

/

%/

)

道 虫 し 約 ㌔ 集 まん 神 上 皮 寄 じ 1

2

3

4

5

総 忠 咲 の 患 患 患 疾 疾 - 山矢 他 の そ ん 数

1

,

1

6

1

4

3

8

2

4

3

2

3

5

1

6

1

6

1

9

6

9

2

6

8

8

5

.

4

1

2

,

7

2

6

(

1

0

0

.

0

%) 子 供 た ちの健 康状態 :大 人 た ちの代 りに,年 齢 的 に も比較 しやす い小 学校 の生徒 を対 象 にこ っの検査 をや って み た。一 つは大 人 によ り近 い高学 年 (6年生 を主 に) を選 んで,環境 衛生 の 一 つ の指 標 で あ る糞 便 中の寄生 虫卵検 査 で あ る。 も う一 つは2年生 を対象 に身 体 の計測 (身長 ・体 重 ・胸 囲) を行 な った。 マ レー シアでは学 校保 健 がや っと緒 につ いた ばか りで あ る. 「小 学生 の身体 計測 も入 学時 と卒業 時 にで きれ ば上 々で あ る」 とあ る校長 は話 して いた。全 国一 率 の学籍 簿 に相 当す る大 きな カー ドが2枚 あ り,学業 成績 の記入 らんの他 ,身体 計測 (身 長 ・体 重) と身体 検査 の所見 らん も一 応 そろ って い る.2年生 を選 ん だ理 由は, で きれ ば入 学 時 と今

1

5

)

前掲,口羽 .坪内 『東南アジア研究

』5

1

,p.5

でアロールジャングスで多い病気 として,皮膚 病,呼吸器疾患,眼病,胃腸病をあげている。

9

9

(15)

東 南 ア ジア研 究 10巻1号 回 の計 測 とを比 較 して 一 年 間 の発 育 状 態 を も知 ろ う と した か らで あ るo (後 に述 べ る理 由で , 結 局 は入 学 時 と比 較 で きなか った が 。) 小 学 生 の 寄 生 虫保 有 状 態 :表 14は検 査 成 績 を ま とめ た もの で あ る。 6年 生 を主 と した が , 翠 校 に よ って は他 の 学 年 も加 えて い る。 陽性 率 は少 な くと も1種 類 の虫 卵 の保 有 率 を示 し, 他 は それ ぞ れ塗 沫 法 で の陽 性 率 で あ るO 少 な くと も この値 か それ 以上 と理 解 して い た だ きた い 。三 つ の 州 の違 いを ど うみ るか は この結 果 か らは な ん と もい え な い。 チ エ ト枚 で は4年 か ら6年 ま で を一 緒 に した こ と, ア ロー ル ジ ャ ング ス校 で は検 体 の未 提 出者 が多 か った こ と, 塗 沫 標 本 の 作 成 は筆 者 の方 法 で 現 地 の 長 期 調 査 班 員 の

に 協力 を願 った が, ケ ダ ー の場 合 には ア ロール ス ター病 院 の検 査 技

oj助 け をか りた (作 り方 が 多少 異 な る), な どの理 由で この結 果 を単純に 比 較 で きな い。 いず れ に して も 高 い寄 生 虫 保 有 率 は確 か で あ る。 ア ロール ジ ャ ング スの 中華 小 学 校 (文 聾 学 校国 民 型 華 文 小 学 校 ) は校 長 の 司徒 麟 氏 の 積 極 的 な協 力 に よ り, 数 が少 な いが 一 応 比 較 の た め に検 査 した。 この成 績 か ら農 村 部 に お け る rl個 人 とマ レー人 の生 活 の違 い,環 境 衛 生 の違 い,生 活 改 善 の意 欲 の 違 い な どを知 る一 つ の 手 が か りが つ か め そ うだ。 表14 糞 便 の 虫 卵 検 査 成 績 チ エ ト 校* (クランタン州) ア ロ ー ル ジ ヤ ン グ ス 校 (ケダー州)

華 小 学 校** (ケダー州) プルヌー校 と トロックマス校 (マラッカ州) ミ 対 象 検査数 陽性率 姻虫卵 鞭虫卵 鈎虫卵 : (%)

(

%)

(%) (形) 130 127 85.0 78.7 37.0 35.4 118 102 77.5 65.7 42.2 2.9

*

4年生か ら6年/生.までを対象。

*

*

5年生 と6年生が対象。 小 学 生 の 樹 立 :胸 囲 の み は持 参 した メジ ャー を用 いて筆 者 自身 で 測 定 した。 男 子 は上 半 身 裸 に した が , 女子 は着 衣 の ま ま で あ る。 計 測 しな が ら,子 供 た ちの皮膚 の状 態 を観 察 しよ う と し た か らで あ る。16)身 体 と体 重 は学 校 あ る いは保 健 所 の計 器 を利 用 し, 看 護 婦 が協 力 して くれ た 。 身 長 は イ ンチで , 体 蔓 は ポ ン ドで 記入 され た もの を それ ぞ れ cm・と kg・に換 算 した。 計 器 は 検 定 され て お らず , 計 測結 果 を相 互 に比 較 す るの は むず か しい と考 え る ほ ど粗 末 な計 器 も含 ま 16) 予想以上に肌がきれいであ り,サ ラッとしていた。 時 季的な関係 もあるが, 多視の沖縄の学宣汗こ比 べ て も皮膚病は少なか った

中央マ ラッカの R.H.U.の年報か ら,学校保健の身体検査の成績をみると 次のようである。1970年の小学生の検査総数は 23,510人で,そのうち,要治療の疾患は皮膚病 (折碑 1,363人, きず3,994人,その他92人),有熱33人,感 冒51人,咳34人 目の病気65人,耳の病気21人, 貧血559人,寄生虫129人,毛 ジラ ミ1,777人。

(16)

滝沢 :西マレーシア農村の保健と医療 表15 小 学 生 の 体 位 (2年生) クランタン州 チエ ト校* 2 2 3 2 6 1 7 6 1 1 1 1 男 女 長 1 ) mC ′t . 身 体 屯 男 (kg) 女 胸 囲 里 (cm) 女 1 2 9 0 1 2

*

学校の資料を利用 した。 rtl畢 ヤング封 .ヒ ● 0 4 1 1 校 州 プ J-誓 二校 電 ;再 ‡ 23 20 32 30 122.1 123.7 宅 115.7 118.9 118.6 120.9 ! 116.5 117.6 0 3 9 8 0 8 5 4 2 1 5 5 56.1 55.8 55.1 55.3 4 2 9 8 1 1 9 1 55 5 5 (1970) 2 3 4 8 2 6 0 9 2 1 9 7 2 1 2 2 5 5 1 1 れ て い る。 その ため大 体 の傾 向を知 るに止 めた。 「日本 の 子供 に比べ て ,少 し小 さ くて ,少 し やせ て い るな あ

とい う印象 を数 値 が や や は っき り示 した もの と

う。17'しか しこれ は健 康 度 ・ 元気 の よ さ とは あま り関係 が な さそ うだ。近 頃 の 日本 の子 供 は太 り過 ぎの傾 向 にあ るか ら。 生 まれ た ときは :それ で は生 まれ た ときは ど うだ ろ うか。 コタバ ル (ク ラ ンタ ン州) の 母子 保健 セ ンター とジ トラ (農 村保健教 育セ ンター, ケ ダー州) で,最 近生 まれ た第一 子 と第二子 を無 差別 に抽 き出 して も らった。 その結果 は前者 は男児33名, 女児30名 (第一子29名, 第二子 34名) で あ り,後者 は男児24名 ,女児24名 (第一 子 20名, 第二子28名) で あ った。 な お記載 も れ と未 熟 児 は除 いた。生下 時 の体 重 と身長 は表16に示 した. コタバル は市街 地 で, マ レー系 の ほか 中国 系 ・イ ン ド系の 母親 も混 じて い る。 ジ トラは農村 部 で主 と して 母親 は マ レー系 で あ る. 母親 の!判船は表17にま とめ た。 市街 地 と農 村部 , 母親 の人種 差な どによ り, 日本 の平均 と単純 表16 新 雄 児 の 体 位 1 コ タ バ ル ジ ト ラ f] 本 . (クランタン州) (ケダー州) (1970) 体 頚 (kg ) 身 長 (cm)

女 男 女 4 1 6 3 3 3 2 8 5 4 2 9 0 8 3 2 9 7 4 4 2 1 2 7 3 3 0 9 5 4 17) インドネシアで, 主として成人の体位 と体力の調査を した戸B]らの報告 (Kobe

J

・Med・SE.l'・16・pp・ 157-175,1970)によると, 日本人に比べて,体位はすべての点で,体力はほとんどの点で劣 っている という。 しか し, 熱帯の環境からすればインドネシア人の体位のほうが熱帯に適 しており, 体力の測 定法にも問題があるという。 101

(17)

東南 ア ジア研 究 10巻1号 表

1

7

母 親 の 年 齢 コタバ ル (ク ラ ンタ ン州 ) ジ トラ (ケ ダー州) 15- 19(才) 20- 24 25- 29 30 -記 載 な し 4 0 U 7 3 1 2 2 15 19 13 0 1 に比較で きないが,生 まれ た ときは さ して変わ らず, その後 の成長 に差異 があるよ うに思 える。 母乳や離乳食の問題, その後 の成長期 の栄養問題など興味がひかれ る。 食 べ物 と栄華 :パ シルマスに滞在 中, 東京農大 の 藤本君 らが 付近の農家 に 直結 して調査活 動 18'を して いるのを知 った。彼 らに頼んで毎 日の

献_

-

;

T

.

と一家 の消費 量を調べて もらい, これか ら栄養分析 の手がか りを得 よ うと した。 ところが,止宿人 の払 いが良す ぎたためか (彼 らは1 円

M$3

を食費 と して支払 って いた) あるいは来客を大 いに歓待す るマ レー人気質 によるもの か,一家 の食 事内容 が ぐっと良 くな り, 日常 の食事 とあま り比較で きない と聞か されが っか り した。 それ と買い物は

-L

吊 、くらで, 目方はわか らない。 そ こで現地調査の方 々か らの報告を もとに少 し く考察 して みた(表18)0 主食 はなん とい って も米であ り, カロ リーの ほ とんどは これ によ って いる。 米 も 食 え な い家庭 はないそ うだ. 米は精 白されて お り, ビタ ミン

B

1不 足 は Ⅰ

.

M.

R.

の栄養部門の主 要 な テーマに な って い る。 それ に ついての 論文 も多 い。19

'Bl

強化米 に関す る論文 もでて い 表18 食 べ 物 と 栄 養 1. 糖 糖 米 砂 円川川川1相 川川川川u 質 2. 蛋 白 質 3.

4. ビタ ミン類 5. 番 辛- 料 - 精白米 → 7ィー 魚 肉 牛肉, トリ肉,山羊肉他 卵 豆 類 榔子油 水 溶 性ピタミパ 芸芸 脂 溶性 ビタ ミン 18) 東京農 大 奉仕 会海外 活動東南 ア ジア編 T.U.A.A.Ⅴ.S. 主食 来客のときやコ-ヒ-ショップで 比 較 的 よ く食べ る (ク ラ ンタ ン) 祝宴や来客のとき,断食月など

F

'1家 消費 あまり食べない カロリー源 ?,食品保存 ? 割合 に種類 が少 ない バ ナナ . ドリア ン ・ランブー タ ン ・ ドゥク ・ジ ャンプ一 ・パ パ イアな ど 食欲増進,食品保存 ? No.6(1971),pp.33-38.

19) Simpson I.A.,"StudiesinvitaminBl,"

I

.

M.

R.Bulletin(1931),p.10; ibid(1934)p.24;Simpson I・Aリ"Thedistributionofthiamin and riboflavin in ricegrainsand thiamineinparboiledrice,"

(18)

滝沢 :西マレーシア農村の保健 と医療 る。20'それ に もかか らず,脚 気などの典型的なBl欠乏症状 の少 ないのはなぜ だろ うか (表19)o 潜在 的な

l

1不足 が, マ レー農民の活力低下 の一 因であると説 く人 もいる。定量的に検査 しな い限 りなん ともいえない。21' 朝はほ とんど米 のみ (ケダー州ではバ ナナの天ぷ ら(chuchor)とテ ィーだけで済 ませ ること も多 い。農繁期 には米 を食べ るが。) 副 食は昼 に作 り, その残 りを夜 に食べ るとい う。 副食の 調味 に も種 子の実や種子

がよ く使 われ る。 これは熟

地 での カロ リー源の一 つ と考 え られ る。 と同時 に,食品保存 と して の生活の知恵 とも考 え られないだろ うか。 しか し,種子 油は動物性 脂肪 と同 じ く不飽 和の脂肪 酸の含有が極度 に少 ないため,他 の植物

に比べて好 ま し くないと の指摘 もある。22'しか し, 自家用 や安価 に入 手で きる (ヤ シの実 1個 20一冊25¢) ヤ シ油 を他 の 植物

にかえる ことはむずか しい ことだろ う。 表19 栄養不良 の報告 (コタバル国立病院,1970) 入

外 来 脚 気 貧 血 ビ タ ミ ンA欠 乏 症 栄養不良 によ る皮膚病 総 数 一 Ⅶ 6 9 6 1 5 1 3 3 12,5613 973 1,145 14,713 表20 マ レー世帯食料消費調査 (1人1日当 りの摂取嵐) カ 蛋 ビ ビ ど こ ビ 鉄 力 脂 ロ リ

白 、、、 ミ 、 、 1 チ ミ シ タ タ タ コ タ ル 質

(

g

)

ン A (Ⅰ.U.) ン ン ン

B

l(

mg

)

B

2

(

mg

)

醍 (

mg

)

ン C

(

mg

)

ム ウ 一 日必要量 稲作農 民 パ リ地 区 (大人) (1950) (1958) (%) (ib')ー 2,500 1,630(65) 1,812(72) 55 47(85) 49(90) 2,500 1,084(40) 1,998(80) 1.0 0.6(60) 0.56(56) 1.4 0.4(29) 0.40(29) 16.5 8.6(52) 9.2(55) 30 29(100) 34(>100)

'

(

:g

g

'

。三3 5三喜…;壬崇 57.7…7,0三。。)

防 (

g

)

官吏世帯 (1962) て兎)一一 2,556(>100) 。 山 側 ︰ 屈 眉 一

PJ 〟 / ク

) \tノ % 87 70(>100) (100) 1,620(65) (53) 0.79(79) (56) 0.85(60) (43) 13(80) (81) 37(>100) (>100) 15(>100) (87) 466(>100) (74) 62

注:

()

%は一 日必要 藍に対す る割合.

20) A reportonZheePeclof thecon∫umPlionof enrichedriceonthehaemogZobinlevelsofSouthIndian Zabourer∫cmp/Dyedonrubbere∫late∫in SeZangor.Ⅰ.M.R.MedicalReport(1956).p・16.

21) クア ラル ンプ -ルの医学研究所 (I・M.R・)の栄養部門で, これ までマ レー シアで行なわれた栄養調査 の成績をまとめた ものが 表20である。調査方法 な ど詳 しい ことが分か らないが参 考のためにのせ た。 22) Chong,Y.H.,"Food and Nutritionin Malaysia,〟 ).M IR・BuZZctiw,No・14 (1969)p・5・

(19)

東南 ア ジア研 究 10巻1号 ビタ ミン類の中では,果物か ら比較的よ く得 られ るCを除いて,Al・Bl・B2の欠乏が注 目さ れて いる。 表19にみ られ るよ うに,鉱質 の中では鉄分 不足 による貧 血が大 きな問題 である。 これは鉄分 の摂取量ばか りでな くマ ラ リアの流行,鈎虫 などの寄生虫,それ に多産 傾 向 と生活全体 の問題 であろ う。 栄養 に関 しては回教徒 の断食月の ことがあるが(1971年は11月である),調査時期 とずれて い て調査 で きなか ったので ここでは触れない。 Ⅷ ま と め 今回はマ レー シア農村 の保健 医療 について,農村保健事業 の制度 と内容,政府 の方針 など, 主 として行 政の姿勢 を中心 にま とめた。 この調査 を土台 に,今後, 自然環境 と健康,生活環境 と健康 の問題 について マ レー シア農村 の実態調査をすすめて ゆ きたい。調査は単 な る資料収集 の作業 ではな く, それが具体的に対象 の村民 の生活 にはねか え って い くよ うな形 を と りたい も のだ。 それ には くり返 しが必要で ある。例 えば,モデルの小学校 を選 んで子供 たちの調査 と指 導 を行 な って,一 つの成果 を子供 た ちの上 に作 り上 げる。 しか し,生活改善 がどんなに困難 な ものかは 日本 の例をひ くまで もな い。生活改善 の甫接 的な作用 よ りは他の困子 が強 く働 いて, 戦後 の 日本農村 の構造 が大 き く変 わ った ことはわれわれの経験 した ところである。 マ レー シア の農村 をみて,私 はそんな感慨 に とらわれた。 いまの/生活 を大 き くか えないで,一 つの 目標 に 近づけるO それは統計 か らみたマ レー シアの姿のよ うだ。最少 の努 力で著 明な改善 , とい うこ とは少 な くとも保健 医療 の面ではいえそ うだ。 しか し,次 の段階,牡活の thいわゆ る近代化'' に好 む と好 ま ざるとに関わ らず入 らなければ得 られない成果 を得 るためには ど うす るか。大事 な ものを失 って得 た生活 の近 代化がどんな ものであるか, われわれ 日本人 には苦 い経験がある。 マ レー シアの人 々が 自然環境 をそ こなわず, しか も/1・-.活を

か に して行 く道を探 しだ して,ゆ っ くりと着実 に矩 んで い くことを願 わず にはい られない。 参 考 文 献

Ministry oftIealth,Organization of RuralHealth Seryz●rg∫in jl/ZaZaya.(W H()/UNICEF assisted)

GovernmentPress(1971),(二炉ciaZYearBookMaZay∫ia1965.

GovernmentPress(1971),Second MalaysiaPlan1971-1975, DepartmentofStatistics,VitalSlati∫zic∫We∫zM alay∫ia1968.

表 2 酉 マ レ ー シ ア の 保 健 施 設 ( 1 9 7 1 , 3 州) 人 口 ク ラ ン タ ン州 ケ ダ ー 州 マ ラ ッ カ 州 (自治市を除 く) 〜 1970㌻ 」 保 健 所 保健支所 助 産 所 施 薬 所680,62652272955,3745211176317,36531160 付子保健 センタ‑1 の充足率は 1975 年末 で約 60 % とみ られ る 。1 97 1 年の段階では 1R.H.U
表 1 7 母 親 の 年 齢 コタバ ル (ク ラ ンタ ン州 ) ジ トラ (ケ ダー州) 1 5‑ 1 9( 才) 20‑ 2 4 25‑ 29 30 ‑ 記 載 な し 40U73122 15 191301 に比較で きないが,生 まれ た ときは さ して変わ らず, その後 の成長 に差異 があるよ うに思 える。 母乳や離乳食の問題, その後 の成長期 の栄養問題など興味がひかれ る。 食 べ物 と栄華 :パ シルマスに滞在 中, 東京農大 の 藤本君 らが 付近の農家 に 直結 して調査活

参照

関連したドキュメント

 神経内科の臨床医として10年以上あちこちの病院を まわり,次もどこか関連病院に赴任することになるだろ

わからない その他 がん検診を受けても見落としがあると思っているから がん検診そのものを知らないから

次に、第 2 部は、スキーマ療法による認知の修正を目指したプログラムとな

いしかわ医療的 ケア 児支援 センターで たいせつにしていること.

巣造りから雛が生まれるころの大事な時 期は、深い雪に被われて人が入っていけ

   遠くに住んでいる、家に入られることに抵抗感があるなどの 療養中の子どもへの直接支援の難しさを、 IT という手段を使えば

とされている︒ところで︑医師法二 0

2 保健及び医療分野においては、ろう 者は保健及び医療に関する情報及び自己