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形のロボットから機能のロボットへ −革新的ロボットシステム構成手法のチャレンジ−

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Academic year: 2021

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形のロボットから機能のロボットへ

∼革新的ロボットシステム構成手法へのチャレンジ∼

産業技術総合研究所 ○ 平井成興

From Robot as Looks to as Functions

-Challenging Novel Methodology for Building Robotic Systems –

○ Shigeoki HIRAI

Intelligent Systems Research Institute

National Institute of Advanced Industrial Science and Technology (AIST)

Abstract: Robotics product is composed of various components based on mechanics, electronics, and informatics. RT gives independency for those components and freedom of recomposing them to create a customized robotic system corresponding to the request of the customer. This paper introduces novel methodology for building robotic systems; one is Robotic Systems based on Distributed Knowledge and the other is RT Middleware for customizable approach for robotic systems.

1.はじめに ロボットを特徴付ける表現として、動物性、能動性、 適応性、知能性などさまざまなものが使われる。一方 これらを実現する技術の側から眺めた場合、その本質 は、機械的作用と電子・情報的作用を統合した複合性 にある。ロボット工業会が平成12年度に行った調査 研究の中で、これを「形」のロボットではなく、「機能」 のロボットとして位置づけ、あえて直接的な「ロボッ ト」技術という表現をさけ「RT」と略号化することを 提案した[1]。これは、従来の「形のロボット」に染み 付いてしまった固定観念からくるさまざまな呪縛から 解放することで、新しいロボット構成手法を可能とし、 新規ロボット産業の創出を目指すためである。 そのような方向の取り組みとして、本稿では2つの 事例を紹介する。 そのひとつは、RF-ID タグを利用して空間をロボット フレンドリーに構造化を行う知識分散ロボットシステ ム、もうひとつはロボットを構成する様々な機能を独 立したモジュールとして柔軟に統合し、様々なロボッ トシステムの構築を容易なものとする RT ミドルウェア である。 2.知識分散ロボットシステム 2.1 整備環境の本質 ロボットが導入され、実用化されている場所として 真っ先に上げられるのが工場である。一方、ロボット の導入が期待されているが難しい場所として家庭が上 げられる。その理由は、これまで漠然と、「ロボットの 知能の問題」とされてきた。 両者の違いはまた、整備環境と非整備環境との違い とも表現される。工場は、環境を整備し、ロボットに 特別な知能を必要としないようにすることでロボット の利用を可能にしているということである。この「知 能」という機能の実態は、環境中におかれる作業対象 物の認識機能、位置計測機能、作業手順の決定機能な どである。これを、同じ部品しか扱わない、部品が供 給されてくる場所を固定する、単純作業しか行わない といった設計の工夫によって、単純なマニピュレーシ ョン作業でも十分に用が足りるように工夫しているの である。一方、非整備環境とは、そのような整備がで きない環境のことである。すなわち、ロボットにとっ て未知の物体が存在する、その物体についてはそれを 使った作業手順や作業の仕方を知らない、といった具 合である。このように整備環境/非整備環境の実質的 な違いは、そこに存在し、ロボットが扱わないといけ ない物体に関する知識の問題ともいえる。 2.2 TAG を用いた知識分散生成 ロボットが取り扱うことが期待される物体について、 その物体操作に必要な知識が簡単にロボットに与えら れれば、そのような物体から構成される環境は、整備 環境に近いものと考えられよう。従来、このような知 識の生成や付与は、直接的な作業教示に加え CAD デー タ等の物体の幾何モデルを利用したモデルベーストロ ボティクス、あるいは知識ベースロボットなどの形で 行われてきたが、これらの方法が、ロボットへの知識 付与の手段として必ずしも簡単なものではなかったと ころに一つの問題がある。 これに対し、我々は、個々の物体のロボットによる 操作に必要な知識を TAG に書き込み、それを物体に添 付しておき、ロボットが当該物体を操作するときに、 TAG リーダーによりそれを読み出し活用するという枠 組み「知識分散ロボットシステム」を提案している[2]。 図1にシステムの概念を示す。

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食器など、ロボットで操作を行うことを想定した物 品について、その製造者がロボットに必要な操作知識 を生成する。例えば、物体の位置・姿勢を計測するた めの画像テンプレート、物体の把持位置などの基本デ ータ、その物体の典型的な利用法などである。これら は、ロボットユーザーやロボットメーカーが作成する より、物体製造者が作成する方が自然と考えられるか らである。こうして生成した知識は、基本的には TAG に入れて物体に添付すれば用がたりるのであるが、実 際にはいくつかの問題点がある。 一つは、TAG の記録容量が必ずしも十分に大きくない こと、もう一つは、操作知識も変更される可能性があ ることである。すなわち、より良い操作方法などが見 つかった場合に、それを現場で反映できた方がよりロ ボットの利用性が高まると想定される。 これらの観点から、我々は TAG に全ての情報を書き 込むのではなく、TAG には URL のみを記入し、そこから ネットワークを利用して必要な知識をダウンロードす るという仕組みを考案している。 図2 知識分散ロボット実験システム 図1 知識分散ロボットシステム 図3 食器につけられた RF-ID タグの例 図2は構築された実験システムである。天井のカメ ラは2次元画像を取り扱うもので、テーブル上にある 食器をテンプレートマッチングでとらえ、その位置を 計測する。テンプレートは各食器に取り付けられてい る TAG から食器の製造者を模擬した Web Server の URL を読み取り、そこからダウンロードして利用するとい う方法で行っている。TAG は一般的な RF のものである。 図3に、皿の後ろに貼り付けた例を示す。TAG リーダー (アンテナ)机の下に設置されている。 して、外界の状況や変化に応じてその振る舞いを変え、 適応的に作動できることがロボットの定義である。 このようなロボットを構成する方法は、基本的には 外界の状況を捉えるセンサ、その信号を処理してロボ ットの行動を決める知能的ソフトウエア、そして実際 に行動を行い物理的な効果を環境に加えるアクチュエ ータの3要素をシステムとして結合することである。 従来は想定ニーズに合わせ、製品としてモデル化され たロボットの設計があって、それにあわせて上記3要 素を設計・製作し、それらを統合した製品が販売され、 ユーザーはこれらの製品の中から自分のニーズに適合 しそうなものを購入する形であった。 3.RT ミドルウェア 3.1 ロボットのソリューションビジネス化 ロボットの本質は、その外見ではなく、その機能に ある。すなわち、ロボットが他の機械と異なる特徴と 産業用のロボットであれば、その利用の仕方はかな

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り限定されているのでこのようなロボット市場モデル で十分に機能してきた。一方、このようなしくみの場 図4 ロボット産業に期待される構造変化 合、かならずしもユーザのニーズに適合したロボット が販売されているとは限らず、様々な問題が生じてい た。これは、新規のロボット市場開拓が、産業用ロボ ット、特に製造業以外のサービス産業やホームロボッ トなどの多品種少量生産型、多様なユーザニーズに合 わせたものと想定される議論のなかで重要視されてき た。ロボティックルームに代表される、機能のロボッ トにおいてはさらに本質的な問題点である。 この関係をイメージ化したのが図4である。左側は 従来のロボット市場のモデルである。ここでは、いわ ゆるロボットメーカーが想定されるニーズに合わせた 製品のカタログ販売を行っている。一方、右側のモデ ルでは、ここのユーザのニーズにあわせ、ロボットシ ステムデザイナーが適当なシステムをデザインし、そ れに適したパーツを集めて多様なユーザごとのニーズ に合わせたロボットシステムを設計・製作するという モデルである。 このような市場が展開されると、ロボットの要素機 能だけを製造販売する様々な専門メーカーが出現し、 競争的に要素製品の向上、低価格化、新規アイデア要 素の創出なども期待される。これが新規ロボット産業 としてのソリューションビジネス化の意味するところ である。 3.2 RT 要素機能のモジュール化とオープン化 ロボット産業においてソリューションビジネスが進 展するために重要なフレームワークが、様々なロボッ ト機能要素の汎用性をもったモジュール化である。す なわち、センサーやアクチュエータなどのロボット機 能要素が販売されても、それらの相互接続性や機能仕 ソリューションビジネス=>個別ニーズ対応、オーダーメード化 多様な顧客 競争的パーツ 供給企業群 RSデザイナー 固定され た既製品 A社 B社 部品製造 者たち 多様な顧客 新しいRT産業の構造 これまでのロボット産業 顧客からの注文 新規製品トライ 迅速で最適な 部品の選択 個人個人に適合しRT製品の入手 様の明示化がなされていないとシステムデザイナーも それを活用できない。ここにおいて重要となるのが、 PC で IBM モデルが果たしたようなオープンなプラット フォームである。ロボット機能要素の統合においても 同様にこのようなプラットフォームが重要となる。具 体的にはネットワークを利用した統合基盤である。ロ ボットの様々な機能要素を統合して一つのシステムと するには、ハードウェア、ソフトウェア両方の観点か らの統合技術が必要であるが、特にソフトウェア的な ものの重要性がこれまで十分には検討されていなかっ た。それについて、われわれはロボットシステムを指 向した次のようなミドルウェアの開発を進めている。 3.3 ミドルウェアの役割 ミドルウェアというのはその名の通り、コンピュー タ基盤とアプリケーションの間にあるソフトウェアツ ールの総称である。ライブラリはじめ、当該ライブラ リを利用し、アプリケーションを開発するためのツー ル群、開発環境などもミドルウェアである。ロボット システムにおいても様々なレベルでコンピュータとソ フトウェアが使われており、それが何らかのツールと して提供されるならば、ミドルウェアと考えられる。 それぞれ、それぞれの発想、コンセプト、目的に適合 するように作られている。実際にはさまざまなオープ ン化が提案されているが、共通点は「ソフトウェアモ ジュールの切り口」である。そして、ソフトウェア的 な切り口でモジュールを作成し、この切り口でさまざ まなものをソフトウェアとして柔軟に結合できるよう にするためのツールセットがミドルウェアである。

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3.4 RT ミドルウェアの要件 ミドルウェアの一般的な定義は前節のようなもので あるが、ロボットシステムのソフトウェアを単にモジ ュール化し、セットにしたものが RT ミドルウェアとい うわけではない。RT モジュールとして備えないといけ ない機能は何か、RT モジュールを利用することで得ら れるメリットは何かといった設計で RT モジュールを作 り、利用するための一群のソフトウェアを整備したも のが RT ミドルウェアという位置付けになるのであろう。 我々は RT システム特有の機能として、以下のような点 に注目している[3]。 ・パッシブなモジュールだけではなく、アクティブな モジュールを実現する機能 RT ミドルウェアを作る 上で分散オブジェクト技術は極めて有用なツールで ある。しかし、いわゆるオブジェクトはメッセージを 受けてそれに応えるというパッシブな動作を基本と している。一方、ロボットの要素はサーボなどのよう にアクティブな性格をもっている。 ・通信障害に対する動作の安全性を確保するための機 能 物理的な作用を持つロボットにおいては、通信障 害時においても安全に動作させる工夫がいる。 ・モジュールの周期動作やモジュール間の時刻同期な どの時間管理機能 サーボ制御では周期的動作機能 が必要である。 ・モジュール間の高速で密な連携を実現する機能 た とえば、サーボ制御においてモジュール間の高速で密 な連携がもとめられる。 RT モジュールにはこれらの機能が重要であり、RT ミ ドルウェアはそれを使いやすい形で提供できるもので なければならない。 図5 開発された RT モジュール仕様 3.5 RT ミドルウェアの開発事例 このようなロボットミドルウェアの必要性に鑑みて、 METI および NEDO では平成 14 年度から3年間の計画で 「ロボット機能発現のために必要な要素技術開発」お よび「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の基 盤整備」、通称、ロボットミドルウェアプロジェクトを 進めてきた。ここでは、上記のようなスペックを持っ た形でロボットの機能要素を標準的なソフトウェアモ ジュールとできるしくみとしてミドルウェアの開発を 進めてきた進めてきた。開発されたモジュールは図5 のような構造仕様となっている[4]。図6は実際にこの 構造仕様に従ってロボットの研究環境を構成してみた 事例である[5]。 図6 提案された RT コンポーネントを利用したロ ボットシステム 4 まとめ 本稿のような手法はまだ提案されたばかりで、実際 の産業用技術となるためには、まだ多くの課題が残さ れているが、RT に基づくイノベーションによる新産業 創成が期待される。 参考文献 [1] 21 世紀におけるロボット社会創造のための技術戦 略調査報告書、(社)日本機械工業連合会、(社)日本ロ ボット工業会、2001.5. [2] 宮崎学、他6名 “ 知識分散型ロボットシステム のための知識構造と管理手法,”ロボティクス・メカト ロニクス講演‘04,講演論文集,2P1-L1-32,2004. [3] 末廣、他4名、RT 要素のモジュール化に関する検 討-RT ミドルウェアの機能に関する研究開発(その1) -第 15 回日本ロボット学会学術講演会、1F27 [4] 安藤、他4名, "RT 複合コンポーネントおよびコン ポーネントマネージャの実装−RT ミドルウェアの基本 機能に関する研究開発(その 8)−", 第 22 回 日本ロ ボット学会学術講演会予稿集, p.1C26, 2004.09 [5] 北垣、他4名, "システム開発支援のための GUI コ ンポーネント− RT ミドルウェアの基本機能に関する 研究開発(その 9)", 第 22 回 日本ロボット学会学術 講演会予稿集, p.1C23, 2004.09

参照

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