あと施工アンカーの長期荷重(クリープ試験)に関す
るデータ取得
著者
香取 慶一, 柴田 大樹, 安藤 伸行
著者別名
KATORI Keiichi, SHIBATA Daiki, ANDO Nobuyuki
雑誌名
工業技術
巻
40
ページ
44-50
発行年
2018
URL
http://id.nii.ac.jp/1060/00009579/
Creative Commons : 表示 - 非営利 - 改変禁止 http://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/3.0/deed.ja***プロジェクト研究報告***
=産学連携プロジェクト研究報告=
あと施工アンカーの長期荷重(クリープ試験)に関するデータ取得
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香 取 慶 一 女 柴 田 大 樹 州 安 藤 伸 行 州
1.はじめに
1
.
1
緒論 あと施工アンカーは、主に軽微物の取り付けなどに使 用される。大きな長期荷重を受ける箇所には建築基準法 施行令において長期許容応力度が決められていないた め、建築基準法第3
7
条の示す「指定建築材料」にあと 施工アンカーは含まれていない。故に建築物の基礎や主 要構造部等に使用することは原則できず、構造部材とし ては建築基準法により長期荷重がかからず短期荷重の みがかかる耐震補強部材の取り付けのみに使用できる。 しかしながら、施工が楽であるというあと施工アンカー の特長は大変魅力的であり、現在は制限されている構造 部材の取り付けにも利用したいとし、う希望は、建築施工 現場からも多く聞く。そのためにもあと施工アンカーに 長期間引張試験を行い、力学的性状を明らかにしていく 必要がある。しかし、長期的に荷重を加える実験は、当 然ながら時聞がかかるため、既往の研究が大変に少ない。 また、長期間にわたりあと施工アンカーに荷重を加える と、その荷重により生じる各種の変形が時間経過ととも に増大するクリープ現象が発生することが多く、この取 り扱いの難しさも長期実験の少なさに拍車をかけてい る。 そこで、本研究は、いわゆる「接着系あと施工アンカーj を対象にして、あと施工アンカーに長期引張荷重を加え る要素実験を行い、その後短期引張荷重を加え平常状態 のものと比べることにより、あと施工アンカーが長期的 な引張力を受けた場合の挙動を明らかにすることを目 的としている。1
.
2
誌験の流れ 今回行う研究は、「①長期引張荷重を加える試験(② * 理 工 学 部 建 築 学 科 料 日油技研工業株式会社-44
の長期載荷試験)で加える荷重を決める試験(準備試験)J を行った後、「②長期載荷試験」を行う。その後、「③長 期載荷試験を行った試験体に引張力を加える試験(長期 載荷後の引張試験)Jと「④荷重を加えず保存しておい た試験体に引張力を加える試験(基準試験)Jの四つの 試験で構成される。2.
準備試験2. 1
誤験方法 後述する長期載荷試験の荷重を決めるために、カウン ターウェイト方式で長期載荷試験を行う試験体と同じ ものを作成し、引張荷重を加えることで最大荷重を求め る。そして、求めた最大荷重の平均値を長期載荷基準荷 重とし、長期載荷基準荷重に55%
を乗じた値を、長期載 荷荷重とする。2
.
2
試験体概要 試験体は、試験体外形が直径300mm
、高さ200mm
の コンクリートでできた円柱の中心にアンカーを打設す るものとする。使用するあと施工アンカーは、超早強セ メントを主成分とする無機系接着系のもので、コンク リートへの施工を想定した主に建築用途のもの (SRと 称する)、コンクリートに加えて岩盤にも施工可能な土 木用途のもの (QTと称する)を使用し、アンカ一筋は M12の全ねじボルトを使用した。さらに、比較対照用と して、試験体へのコンクリート打設前にあらかじめ配筋 しておいた先付け鉄筋を持つ試験体も製作した。 アンカ一筋の定着長さは一般的に1
0
d
(
d
=
アンカ一筋 直径)で使用するが、今回は基礎実験であることを考慮 して、5
d
に相当する60mm
に短く設定した。試験環境 は'恒温恒湿状態で行った。準備試験で使用する試験体一 覧を表ー1に示す。あと施工アンカーの長期荷重 (クリープ試験)に関するデータ取得 Research forcreep characteristics ofadhesion-typepostinstallconstruction anchorunder long-term tensileforce 香取慶一柴田大樹安藤伸行 表
-
1
準備試験の試験体一覧 試験 アンカーの 試験時の 定着長さ 圧 縮 号│張 体名 種類 状 態 強度 強 度 SR-l SR 非 拘 束 60mm 29.2N/mm' 2.29N/mm' SR-2 SR 非 拘 束 60mm 29.2N/mm' 2.29N/mm 2 SR-3 SR 非 拘 束 60mm 29.2N/mm' 2.29N/mm 2 QT-l QT 非 拘 束 60mm 29.2N/mm' 2.29N/mm' QT-2 QT 非 拘 束 60mm 29.2N/mm' 2.29N/mm' QT-3 QT 非 拘 束 60mm 29.2N/mm' 2.29N/mm 2 先付けー1 先 付 け 非 拘 束 60mm 29.2N/mm' 2.29N/mm'l 先付けー2 先 付 け 非 拘 束 60mm 29.2N/mm' 2.29N/mm' 先付け-3 先 付 け 非 拘 束 60mm 29.2N/mm'l 2.29N/mm'l 載荷を加える際、試験体の状態、を拘束状態と非拘束状 態に分けて行う。非拘束状態では、あと施工アンカーを 引っ張るこ とにより打設されているコンクリートも 引っ張られ変形してしまうが、拘束状態ではコンクリー トの変形を抑えることができる。本研究ではカウンター ウェイト方式のSR試験体とQT試験体の非拘束状態で のみコンクリート表面の変位量を計測するために変位 計を設置した。試験体の拘束状態、非拘束状態を示す図 を図-
1
に示す。 2. 3 試験結果及び考察 準備試験結果をそれぞれ表-
2
と図-
2
に、破壊形状を 写真ー1
に示す。この試験の結果より、長期載荷荷重を SRでは 10.55kN、QTでは9.54kNとする。SR試験体 の中でも最大荷重の大きい試験体では、破壊形状も大き くなっている。このことから破壊形状が大きくなるほど 最大荷重も大きくなると考えられる。また、図-
2
を見 ると最大荷重が大きい試験体でも、最大荷重時の変位量 が一様ではないことから、一概に最大荷重と最大荷重時 表-
2
準備試験結果(最大荷重) 試験体No SR最大荷重(kN) QT最大荷重(kN) 23.05 16.45 2 16.25 17.63 3 18.22 17.93 長期載街基準荷重N'a出 19.17 17.34 長期載荷荷重_Nsust 10.55 9.54 30。
2 変 位 量(m m) ーーーー-SR2 ーーーー-QT-2 一一先イ寸吋 2 ー- SRl ・---.QT'l 一 先 (寸吋3 図-
2
準備試験結果 (荷重一変位関係図) 写真一1
準備試験結果(試験体最終破嬢状況) の変位量は比例するような関係にあるとは断定できな し、。3.
長期載荷試験 3. 1 長期載荷試験の方法 長期載荷試験の方法として、後述するばね方式とカウ ンターウェイト方式の二つの方式がある。本研究では両 方の方式により試験を行う。載荷を行う期間は約90日 間とする。加える荷重は、ばね方式ではすべて2.3節に 記した1O.55kN(これをSR荷重と呼ぶ)、カウンター ウェイト方式のSR試験体ではSR荷重、 QT試験体で は2.3節に記した9.54kN(これをQT荷重と呼ぶ)、先 付け試験体ではSR荷重、 QT荷重を1体ずつ分けて加 国ー1
試験体の拘束状態(右)、非拘束状態(左)で えた。 の詳細図 p Aあと施工アンカーの長期荷重(クリープ試験)に関するデータ取得 Research for creep characteristics of adhesion-type post installconstruction anchor under long-term tensile force 香 取 慶 一 柴 田 大 樹 安 藤 伸 行
3. 2
ぱね方式載荷 ばね方式はばねが伸びる力を利用し荷重を加える方 式である。ばね方式の特徴として下記が挙げられる。 1. 実験装置が小さいことから狭い場所で複数の実験 が可能である 2. ばねが縮むことによ り弾性力が変化し一定の力を 加え続けることができない 3. ばねを縮める作業が容易ではなく変位計の事前設 置が難しいためーからの変位を計測することが困 難である ばね方式の外形、簡略図を写真一2、図-3
および図-4
に示す。 試験体外形、使用したボルトについては前述したもの とする。コンクリート圧縮強度は、実験の制約上、シュ ミッ トハンマーで、試験体のコンク リート圧縮強度のみ を調べた。 試験環境はd恒湿状態で行った。ばね方式で使 用する試験体一覧を、 表-3
に示す。 試験結果を図-5
に示す。ばね方式では一定の荷重を 写真一2
ばね方式 図ー3 ぱね方式載荷の 載荷装置 原理 ⑦ ②日 円
Q) @ ヨ} 通; 図-
4
ばね方式載荷装置の詳細 表ー3 長期載荷試験ーぱね方式載荷の試験体一覧 (DaC 先付け試験体) 試験 アンカーの 試験時の 定着長さ 圧縮 ヲ│張 体名 種類 状態 強度 強 度 SR-A SR 拘 束 70mm 37.4N/mm 2-
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-SR-B SR 拘 束 70mm 37.4N/mm 2-
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-SR-C SR 拘 束 70mm 37.4N/m m 2-
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-SR-O SR 拘束 70mm 37.4N/mm 2 ~ OQC OQC 拘束 70mm 37.4N/m m 2 ~ 加え続けることができないが、今回の試験では変位量が 微量であることから荷重の変化が小さいため、試験結果 に影響を与えていないものと考えられる。 図-
5
を見ると、変位量が細かく上下している。これ は、ばね方式の試験を行った部屋で、恒湿で、はあったもの の温度は変化していたため、このことが原因であったと 考えられる。 3. 3 カウンターウェイト方式載荷 カウンターウェイト方式はテコの原理を用いて荷重 を加える方式である。カウンターウェイト方式の特徴と して下記が挙げられる 1. テコの原理を用いるためテコの腕の長さを確保す る必要があることから装置が大きくなってしまう ので広い設置スペースを確保しなければならない 2. 錘(おもり)により加わる力は一定であるために一 定の力を加え続けることができる カウンターウェイト方式の外形、簡略図を写真一3、図-
6
および図-7
に示す。 0.05 0但5 0.04 0.035E
O田担
。
田
5 耐 0.02 0.015 0.01 0.005 10 20 ー- SR-A ー- SR-8 30 40 so 60 70 経 過 期間{日} ーーー-SR-C ーー-SR-D - DQC 図ー5 長期載荷誌験ーぱね方式載荷の詰験結果 (荷 重一変位関係図) 46-あ と 施 工 ア ン カ ー の 長 期 荷 重 (クリープ 試 験 ) に 関 す る デ ー タ 取 得 Research for creepcharacteristics of adhesion-typepost installconstruction anchorunderlong-term tensileforce 香 取 慶 一 柴 田 大 樹 安 藤 伸 行 変位量が上昇した後、緩やかな横ばいを描いている。本 来ならば拘束状態の試験体は非拘束状態の試験体より 変位量が小さくなるはずだが、
SR
試験体、QT
試験体 のどちらも拘束状態の変位量が非拘束 状態の変位量よ り大きくなっている。しかし90日載荷した結果、この 差が縮まっている。このことから荷重を加え始めた時点 ではあと施工アンカー単体に荷重が加わる拘束状態の 試 験 体 が 非拘束状態の試験体に比べ変位量が大きくな るが、長期的にはコンクリートも変位する非拘束状態の 試験体が拘束状態の試験体に比べ変位量が大きく なる と考えられる。 非拘束状態の試験体の変位量からコンクリート表面 の変位量を引くことで求められるあと施工アンカー単 体の変位量は、非拘束状態の試験体の変位量に対し概ね SR試験体は 1O ~20%、 QT 試験体は 20~30% となっ ていて、コンクリート表面の変位量の方があと施工アン カー単体の変位量より大きいことがわかる。このことか らあと施工アンカーの付着強度は十分であると考えら 図-
7
カウンターウェイト方式載荷装置の詳細 れる。 作用点 支点 写真一3
カウンター ウェイト方式 載荷装置 図-6
カウンターウェ イト方式載荷 の原理A
J
1
γ抽寸 試験体外形、使用したあと施工アンカーやボルト、試 験環境は 2 章で述べたものと同じである。カウンター ウェイト方式で使用する試験体一覧を、表-
4
に示す。 試験結果を図-
8
および図-9
に示 す。準備試験で計 測 された長期載荷基準荷重の 55%である長期載荷荷重を、 予定より23日間延びた
1
1
3
日間加え続けたが、あと施 工アンカ一、先付けアンカーともにアンカーボルトが引 き抜けてしまう試験体はなかった。 すべての試験結果は、荷重を加え始めた段階で急激に 表-4
長期載荷試験ーカウンターウェイト方式載 荷の試験体一覧 (拘 拘 束 試 験 先 付 け-SR:SR荷 重 で 載 荷 し た 先 付 け) 試 験 アンカーの 試 験時の 定着長さ 圧 縮 ヲI~長 体名 種 類 状態 強度 強 度 SR-4拘 SR 拘束 60mm 29.2N!mm' 2.29N!mm 2 SR-4 SR 非拘束 60mm 29.2N!mm' 2.29N!mm 2 QT-4拘 OT 拘 束 60mm 29.2N!mm' 2.29N!mm' OT-4 OT 非拘束 60mm 29.2N!mm' 2.29N!mm 2 先付け-SR 先付け 非拘束 60mm 29.2N!mm' 2.29N!mm 2 先付けーOT 先付け 非拘束 60mm 29.2N!mm' 2.29N!mm 2 恒温恒湿状態を目指して実験を行っていたが全体の 図の動きを見ていくと、68
日付近で変位量が下がった ものが多く恒温恒湿状態が崩れてしまい、気温が下がる などの変化から材料が収縮してしまったと考えられる。SR
非拘束試験体は特に大きく変位量が下がっているが、SR
非拘束試験体のコンクリート表面の変位量はあまり 下がっていなし、。これはあと施工アンカー単体の変位量 が下がったことを意味するので、SR
の接着剤の成分が 0.4",一一一一一一一一一日一一 0.3 E 025 咽 0.2 4証 刷 。 日 0.1 一 寸一
一
一
一
一
20 40 60 80 100 経 過 期 間{日} ーー-SR-4 - SR4コノクリート表面 ーー-SR-4アJ力一 単体 ーー-SR-4拘 - 由党付け-5R 図-
8
長期載荷試験ーカウンターウェイト方式載 荷の試験結果 (SR試験体の荷重一変位関係 図) 門 t A せあと施工アンカーの長期荷重(クリープ試験)に関するデータ取得 Research for creep characteristics of adhesion-type post install construction anchor under long-termtensileforce 香 取 慶 一 柴 田 大 樹 安 藤 伸 行 0.1 0.05 20 40 60 80 100 経過期間{日} - QT-4 - QT-4::J:'_"":)I)ート柑 - QT-4アノカ ー 単体ー 仰 向- 'lei1<:t-QT 図
-
9
長期載荷誌験ーカウンターウェイト方式載 荷の試験結果 (QT試験体の荷重一変位関係 図) 気温などの影響を大きく受けてしまい、収縮してしまっ た可能性が考えられる4.
長 期 載 荷 後 の 引 張 試 験 と 基 準 試 験4. 1
長 期 載 荷 後 の 引 張 試 験 あと施工アンカーは、長期間引張荷重を受けると付着 力に影響が出てしまうと考えられる。長期載荷試験を 行ったことによる影響を調べるために、長期載荷試験で 載荷を終えた試験体に引張荷重を加えることにより試 験体が破壊するまでの最大荷重を計測し、耐力がどれだ けあるかを調べる。試験体はカウンターウェイト方式に より行った長期載荷試験で使用したものを用いる。 長期載荷後の引張試験の結果を図一10に、破壊形状を 写真一4
に示す。あと施工アンカーの試験体と先付けア ンカーの試験体を比較すると、最大荷重はあと施工アン カーの方が先付アンカーより、2倍以上に大きくなって いる。このことから、あと施工アンカーの付着強度は十 4 図-10 長期載荷後の引張試験結果(荷重一変位関 係国) 写真ー4
長期載荷後の引張試験結果(試験体最終破 壊 状 況 上 段 :SR試 験 体 下 段 :QT試験 体) 分であると考えられる。また、準備試験の最大荷重に対 する長期載荷後の引張試験の最大荷重は、先付けアン カーは約1.3
倍、SR
試験体では約3
倍、QT
試験体で は約 3.2倍となる。以上のことからあと施工アンカーが 長期載荷試験によって大きく耐力が上昇したと考えら れる。 最大荷重時の変位量と写真の破壊形状を見ると、あと 施工アンカーの方が先付けアンカーより破壊形状が大 きくなっていて、それらすべての最大荷重時の変位量が 大きいことがわかる。あと施工アンカーの試験体では破 壊形状が準備試験と異なり、大きくなった理由のーっと して、あと施工アンカーが長期載荷試験で耐力が上昇し たことによりアンカーボルト付近の強度が大きくなっ たため、アンカーボルト付近では破壊が起きずコンク リート部分に力が分散したことが考えられる。また、他 の試験でも破壊形状が大きくなった場合は最大荷重が 大きくなることから、長期載荷を加えたあと施工アン カー以外の試験体でも試験体個々の差により破壊形状 が大きくなることは、最大荷重が大きくなる原因となる ことが考えられる。4. 2
基 準 試 験 時間経過による耐力の上昇を除き、純粋な長期載荷に よる影響を調べるために、長期載荷試験を行う試験体と 同じ条件の試験体に長期載荷を加えずに同室に保存す ることにより、室温や湿度などの保存状態を長期載荷試-48-あと施工アンカーの長期荷重 (クリープ試験)に関するデータ取得 Research forcreep characteristicsof adhesion-type post installconstruction anchorunder long-termtensile force 香 取 慶 一 柴 田 大 樹 安 藤 伸 行 験を行う試験体と同条件とし、長期載荷後の引張試験と 同時に引張荷重を加える。これにより、長期載荷後の引 張試験を行った試験体との異なる点を、長期載荷を加え ていないことのみとする。 試験体外形、使用したあと施工アンカーやボルト、試 験環境は2章「準備試験」で述べたものとする。基準試 験で使用する試験体一覧を、 表
-
5
に示す。 試験結果を図-11、破壊形状を写真一5に示す。長期載 荷後の引張試験を行った結果耐力が上昇した理由とし て長期間経過したことによる影響であると考えられた。 コンクリートは一般的に 4週間で耐力を発揮し、それ 以降はあまり変わらないと言われていて、あと施工アン カーもコンクリートと同じような材料であることと、あ と施工アンカーが素早く使えるように考えて作られて いることからあと施工アンカーの耐力も 4週間以降で はあまり変わらないと考えられる。このことから、打設 後69日から159日で、耐力が変わったことが影響である とは考えにくいが、期聞が経過しているため多少は耐力 が上昇していると思われる。しかし、基準試験と準備試 験を比較しでも耐力が上昇するような変化は見られな かったことから、長期載荷後の引張試験の結果耐力が上 昇した理由は長期間経過したことによる影響ではない と考えられる。6
.
引き抜き変位の長期予測 カウンターウェイト方式の載荷について、引き抜き変 位の長期予測の結果を図-12および図ー13に示す。 一般 に、あと施工アンカーの変位量は 以 下 の (式1)に示 す 予測式で求められることが分かつているため、予測式に よる計算結果と実験結果との比較をした。また、 90日 表-
5
基準試験の試験体一覧 試験 アンカーの 試 験時の 定着長さ 圧縮 ヲ│張 体名 種 類 状態 強度 強 度 SR-5 SR 非拘束 60mm 29.2N/m m2 2.29N/m m 2 SR-6 SR 非拘束 60mm 29.2N/mm2 2.29N/m m 2 SR-7 SR 非拘束 60mm 29.2N/mm2 2.29N/m m 2 QT-5 QT 非拘束 60mm 29.2N/mm2 2.29N/m m 2 QT-6 QT 非拘束 60mm 29.2N/mm2 2.29N/mm 2 QT-7 QT 非 拘束 60mm 29.2N/m m2 2.29N/mm 2 聖位量(m m) ー- SR-S - SR-6 司ー-SR-7 - Q1-5 図-11 基準試験の試験結果 (荷重一変位関係図) 写真一5
基準試験の試験結果 (試験体最終破壊状況 上段 :SR試 験 体 下 段:QT試験体) 聞の載荷では引き抜けなかったが、さらに長期間の載荷 を加えた場合を考えるために予測を行った。 8(t)=80+(a X tb) ・・・ (式1) ここで、8(t):時間 t経過後の引き抜け変位 (mm) 80 :載荷直後の変位(m m)a
およびb:実験により決まる定数 載荷開始後 5日から 35日までの結果による予測を載 荷初期予測とし、載荷開始後 15日から 45 日までの結 果による予測を載荷中期予測とした。実測値と予測値を 比較した結果、 90日時点では載荷初期予測と載荷中期 予測では違いは少なかったものの、載荷中期予測の方が 正確で、あった。このことから、より長く長期載荷試験を 行った結果による予測の方が基本的には正確で、あるこ とがわかった。 SR拘束試験体で比較すると 100年間でカウンター-
49
-あと施工アンカーの長期荷重(クリープ試験)に関するデータ取得
Research forcreep characteristics of adhesion-typepost installconstruction anchor under long-term tensileforce 香取慶一 柴 田 大 樹 安 藤 伸 行 ウェイト方式の方がばね方式より変位が 2倍大きく なった。この原因としては定着長さとコンクリート強度 の違いが考えられる。実際に使う場合は定着長さはさら に長くなり、コンクリート強度は材齢の増加により上昇 するため変位はより小さくなると考えられる。 載荷開始後 35 日から 65日までの結果を用いた予測 が正確であると判断し、その結果から
1
0
0
年間の予測を 行った。しかし、先付け-SRについてはこの期間の試験 結果から予測式を使用することはできなかった。 ACI基 準 1)では長期載荷に対する評価期間は 50年とされてい るため、 50年後の変位量を長期載荷後の引張試験の変 位量と比較すると、 50年後の変位量は破壊時の変位量 には達しなかったが、耐力の大幅な低下が起きると考え られる最大荷重時の変位量に達してしまった。しかし、 最大荷重時の変位量は長期載荷を加える場合は大きく なることや、実際には通常の定着長さでは耐力が増加し 変位量は小さくなることから、最大荷重時の変位量まで 達しないのではないかと考えられる。また、最大荷重時 の変位量を計測する時間は、あと施工アンカーは約6年、 先付けアンカーは約 5年となっている。このことから先 付けアンカーの方が先に破壊することが考えられる。 よって、あと施工アンカーは先付けアンカーより耐力が あると考えられる。7
. 結論および今後の課題
本研究により以下の知見が得られた。あと施工アンカー の引張試験で高い最大荷重を記録したもの程、あと施工ア ンカーの引張試験では破壊形状が大きくなった。カウン ターウェイト方式による長期載荷試験であと施工アンカー 単体の変位量が小さいことや、長期載荷後の引張試験で、 高い耐力を示したことから、あと施工アンカーの付着強度 は十分であると考えられる。 また今後の課題として、あと施工アンカーは長期的に荷 重を加えると耐力が上昇することが長期載荷後の引張試験 からわかったが、耐力が上昇する期間などは求めることが 出来なかったため、今後、今回と同じような実験を載荷期 間別に分けて行っていくことが望ましい。 経過期間{日) 図ー1
2
カウンターウェイト方式載荷の長期変位予測 (載荷初期の1
0
0
日固まで) 4.'E
:
岡 越 Z 嗣 1.5 0.5 m ~ w ~ 経過時間{草} 伽 闇-SR-4 舗 回一 5R-4コンク')ート表 面 相 剛 山5R-41句 ーー-QT-4 争 目-QT-4コンィフリート表 面 閉 山 町qタ-4tl旬 ー ー先付け-QT 100 図-
1
3
カウンターウェイト方式載荷の長期変位予測 (載荷開始後1
0
0
年まで) 参考文献:1. American Concrete Institute: ACI355.4-11 Qualification
of Post-Installed Adhesive Anchors in Concrete, Aug.2011 2 演 崎 仁 、 中 野 克 彦 他 接 着 系 あ と 施 工 ア ン カ ー の 長 期 特 性の評価に関する実験:その 1 日本建築学会大会学術講演 梗概集 pp691-692、2014年 9月 3 中野 克 彦 、 相 葉 雅 史 他 あ と 施 工 ア ン カ ー の 長 期 許 容 応 力度に関する研究(その 2~ その 3) 日本建築学会大会学術 講演梗概集 pp637-640、2011年 8月 4 あと施工アンカー設計指針(案)・同解説、日本建築あと施 工アンカー協会、 2005.5 5 コンクリートライブラリー141、コンクリートのあと施工ア ンカー工法の設計・施工指針(案)、土木学会、 2014.4 6 各種合成構造設計指針・同解説、日本建築学会、 2010.11 註:本稿の(式1)は、国立研究開発法人建築研究所主催「平成25 年度建築研究所講演会」で、演崎仁氏(元 建築研究所研究員、 現 芝浦工業大学教授)が講演資料として提示したもので、以下 のURLにて公表されています。 http://剛 w.kenken.go.jp/japanese/research/lecture/h25/pdf/ K2_S.pdf n u w h u