• 検索結果がありません。

わが国における議員定数不均衡をめぐる司法消極主義と積極主義

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "わが国における議員定数不均衡をめぐる司法消極主義と積極主義"

Copied!
31
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

亀 滋 賀 大 学 教 育 学 部 紀 要   人 文 科 学 ・ 社 会 科 学 ・ 教 育 科 学   第 四 十 号   一 -三 一 頁   一 九 九 〇

262 は じ め に   昭 和 二 五 年 、 公 職 選 挙 法 が 制 定 さ れ た 時 、 両 議 院 の 議 員 定 数 配 分 は 、 昭 和 二 一 年 の 人 口 調 査 に 基 づ い て 配 分 さ れ 、 選 挙 区 の 議 員 一 人 あ た り 人 口 の 最 大 ・ 最 小 の 較 差 は 二 倍 内 に と ど ま っ て い た 。 そ の 後 、 諸 外 国 と 同 じ く 、 わ が 国 に お い て も 人 口 の 都 市 へ の 集 中 仮 が 進 ん だ が 、 議 員 定 数 不 均 衡 の 修 正 は 政 治 権 力 の 構 成 に 直 接 は ね が え っ て く る こ と も あ り 、 立 法 府 は 十 分 な 対 応 を な さ ず 、 一 票 の 較 差 が 拡 大 す る こ と に な っ た 。 本 稿 は 、                                             ハヨ   そ の よ う な 状 況 に お い て 生 じ た 選 挙 の 無 効 を 争 う 訴 訟 を 対 象 と し 、 最 高 裁 の 多 数 意 見 、 反 対 意 見 、 な ら び に 下 級 審 に よ っ て 用 い ら れ た 訴 え を 処                                                         ハヨ ロ 理 す る た め の 種 々 の テ ク ニ ッ ク を 、 筆 者 の 司 法 消 極 主 義 、 積 極 主 義 の 枠 内 に お い て 整 理 す る 。 次 い で 、 各 テ ク ニ ッ ク に 内 在 し 、 各 テ ク ニ ッ ク を 支 え て い る と 思 わ れ る 代 表 駆 や 司 法 鍾 を 抽 出 す る と と も に 、 学 説 の 対 応 を も 検 討 し よ う と す る も の で あ る 。 議 員 定 数 不 均 衡 訴 訟 は 、 日 本 国 憲 法 に お け る 代 表 制 と は 何 か と い う 根 本 問 題 を 内 在 さ せ て い る だ け で な く 、 こ の よ う な 訴 え を 裁 判 所 が 受 け 入 れ う る の か 、 違 憲 と 判 断 し た 後 の 処 理 を ど の よ う に す る の か と い う 争 点 も 抱 え て お り 、 司 法 機 能 の 再 考 を 促 す と い う 意 味 に お い て 憲 法 訴 訟 ( 論 ) に お い て 重 要 な 位 置 を 占 め る と 思 わ れ る 。   わ が ・国 の 違 憲 審 査 制 の 性 格 に つ い て 当 初 、 種 々 の 議 論 が あ っ た が 、 実 務 上 は 、 付 随 的 審 査 制 と し て 定 着 し て い る 。 し か る に 、 最 高 裁 に よ る 違 憲 判 断 が 少 な く 、 違 憲 審 査 が 十 分 に 機 能 し て い な い の で は な い か と い う                                                    こ と か ら 、 司 法 消 極 主 義 と い う ラ ベ ル が 貼 ら れ て い る 。 そ の よ う な ラ ベ ル 付 け が 至 極 当 然 と 思 わ れ る た め で あ ろ う か -筆 者 も そ の よ う な 評 価 を 否 定 し な い が 一 、 そ の よ う に 規 定 さ れ る 割 り に は 、 消 極 主 義 の 判 決一 一 お よ び 僅 か な が ら も 存 在 す る 積 極 主 義 の 判 決 1 の 発 想 構 造 を 体 系 的 に 把 握 し よ う と し た 研 究 は 、 必 ず し も 十 分 で な い よ う に 思 わ れ る 。 本 稿 は 、 そ の よ う な 認 識 の も と に な さ れ る 、 ﹁ わ が 国 に お け る 司 法 消 極 主                                                ア ソ 義 と 積 極 主 義 シ リ ー ズ ﹂ の 一 部 を 構 成 す る も の で あ る 。 ( 1 ) 較 差 が 生 じ た 理 由 と し 、 ( ア ) 疎 開 復 帰 に よ っ て 人 が 都 会 に 帰 っ て き た こ と 、 ( イ ) 三 〇   年 頃 の 人 口 の 大 都 市 へ の 集 中 、 ( ウ ) 爆 発 的 な 大 都 市 人 口 の 郊 外 拡 散 等 が あ げ ら れ て い る 。   座 談 会 ﹁ 議 席 定 数 違 憲 判 決 を め ぐ っ て ﹂ ジ ュ リ ス ト 六 一 七 号 一 八 頁 ︹ 清 水 教 授 の 発 言 ︺

(2)

261 中谷 実     ( 一 九 七 六 ) 。 ( 2 ) 主 要 な 訴 訟 の 流 れ を 表 に し て お く 。 森 英 樹 ﹁ 最 高 裁 衆 議 院 定 数 判 決 と そ の 波 紋 ﹂ 法 学     セ ミ ナ ー 一 九 八 五 年 一 〇 月 号 三 三 頁 、 辻 村 み よ 子 ﹁ ﹁ 投 票 価 値 の 平 等 ﹂ 原 則 の 適 用 ﹂ 法     学 教 室 一 一 一 号 二 九 頁 ( 一 九 八 九 ) 参 照 。 ︹衆 議 院 議 員 定 数 不 均 衡 訴 訟 ︺ , 昭 和 二 五 年   公 選 法 の 制 定   較 差 一 ・ 五 一 倍

=

月贔

鯨舗

踊口罰

六頁

.

三 ・ 五 五 ( 最 大 較 差 、 以 下 、 同 じ ) 昭 和 三 九 年   公 選 法 の 改 正   一 九 名 増   較 差 二 ・ 三 四 倍                 東 京 高 判 昭 和 四 九 年 四 月 三 〇 日 (判 時 七 三 七 号 一 〇 頁 )

月一

                最 大 判 昭 和 五 一 年 四 月 一 四 日 (民 集 三 〇 巻 三 号 二 二 三 頁 ) 四 ・ 九 九       (衆 五 一 年 判 決 と 略 す ) 公 選 法 の 改 正   二 〇 名 増   較 差 二 ・ 九 二 倍   東 京 高 判 (民 九 ) 昭 和 五 三 年 九 月 一 一 日 (判 時 九 〇 二 号 二 四 頁 )   東 京 高 判 (民 一 五 ) 昭 和 五 三 年 九 月 = 二 日 (判 時 九 〇 二 号 三 四 頁 )   最 判 昭 和 五 四 年 = 一月 二 四 日   東 京 高 判 昭 和 五 五 年 = 一月 二 三 日 (判 時 九 八 四 号 二 六 頁 )   大 阪 高 判 昭 和 五 七 年 二 月 一 七 日 (判 時 一 〇 三 二 号 一 九 頁 )   最 大 判 昭 和 五 八 年 一 一 月 七 日 (民 集 三 七 巻 九 号 = 一四 三 頁 ) (衆 五 八 年 判 決 と 略 す )   広 島 高 判 昭 和 五 九 年 九 月 二 八 日 (判 時 一 = 二 四 号 二 七 頁 )   東 京 高 判 昭 和 五 九 年 一 〇 月 一 九 日 (判 時 一 = 二 一 号 六 一 頁 )   大 阪 高 判 (民 五 ) 昭 和 五 九 年 一 [ 月 二 七 日 (判 時 一 一 四 二 号 七 頁 )   大 阪 高 判 (民 一 ) 昭 和 五 九 年 一 一 月 二 九 日 (判 タ 五 四 一 号 一 一 七 頁 )   大 阪 高 判 (民 四 ) 昭 和 五 九 年 一 一 月 三 〇 日 (判 時 一 一 四 二 号 二 〇 頁 ) 立 法 裁 量 立 法 裁 量 立 法 裁 量 事 情 判 決 昭 和 五 〇 年

耳田

  誉

四   ノ、 ●  日 四 〇 昭 和 五 ノ、 年 月     立 法 裁 量     事 情 判 決 訴 え の 利 益 喪 失     事 情 判 決     事 情 判 決 合 理 的 期 間 内 大 阪 高 判 ( 民 一 二 ) 昭 和 五 九 年 一 一 月 三 〇 日 ( 判 タ 五 四 一 号 一 二 三 頁 ) 事 情 判 決: 事  事  事  事  事 情  情  情  情  情 半口  半1」  半p 半U 半り 決  決  決  決  決 , ﹁  大 阪 高 判 (民 二 ) 昭 和 五 九 年 一 二 月 七 日 (判 タ 五 四 一号 一 二 七 頁 )   札 幌 高 判 昭 和 五 九 年 = 一月 二 五 日 (判 時 一 一 四 二 号 三 一頁 )   最 大 判 昭 和 六 〇 年 七 月 一 七 日 (民 集 三 九 巻 五 号 一 一 〇 〇 頁 ) ( 衆 六 〇 年 判 決 と 略 す ) 事 情 判 決 事  事 情 情 判 判 決:決 昭 和 六 一 年 昭 和 六 一 年 七 月 六 日 選 挙 二 ・ 九 二 ( 平 成 二 年 三 月 選 法 の 改 正   八 名 増 七 名 減   較 差 二 ・ 九 九 倍   仙 台 高 判 昭 和 六 二 年 九 月 八 日 (判 時 一 二 五 一 号 二 五 頁 )              立 法 裁 量   大 阪 高 判 昭 和 六 二 年 一 〇 月 = 百 (判 時 = 一五 一 号 二 六 頁 )        合 理 的 期 間 内 東 京 高 判 昭 和 六 二 年 一 〇 月 二 二 日 (判 時 一 二 五 一 号 七 四 頁 )            立 法 裁 量   広 島 高 判 昭 和 六 三 年 三 月 二 五 日 (判 タ 六 七 五 号 = 一五 頁 )              立 法 裁 量   最 判 昭 和 六 三 年 一 〇 月 二 一 日 (民 集 四 二 巻 八 号 六 四 四 頁 )            立 法 裁 量 ( 衆 六 三 年 判 決 と 略 す )     較 差 三 ・ 二 六 倍 ) ︹参 議 院 議 員 定 数 不 均 衡 訴 訟 ︺ 昭 和 三 七 年 七 月 一 日 選 挙 四 ・ 〇 九 昭 和 四 六 年 六 月 二 七 日 選 挙 五 ・ 0 八 昭 和 五 二 年 七 月 一 〇 日 選 挙 五 ・ 二 六 昭 和 五 五 年 育 ﹂ 、 大 阪 高 判 昭 和 五 七 年 九 星 一合 (判 タ 四 八 三 芝 一 八 頁 )     東 京 高 判 昭 和 三 八 年 一 月 三 〇 日 (行 集 一 四 巻 一 号 二 皿 頁 )              立 法 裁 量     最 大 判 昭 和 三 九 年 二 月 五 日 (民 集 一 八 巻 二 号 二 七 〇 頁 )              立 法 裁 最     ( 参 三 九 年 判 決 と 略 す )     仙 台 高 判 昭 和 三 八 年 三 月 二 八 日 (行 集 一 四 巻 三 号 四 五 八 頁 )            立 法 裁 量     最 判 昭 和 四 一年 五 月 三 一 日 (裁 判 集 民 事 八 三 号 六 二 三 頁 )            立 法 裁 量     ( 参 四 一 年 判 決 と 略 す )       京 高 判 昭 和 四 八 年 七 月 三 一 日 (判 時 七 〇 九 号 三 頁 )  違 憲 し か し 公 選 法 二 〇 四 条 は 判 昭 和 四 九   二 百 (判 時 七 三 七 号 三 頁 )     立 甕     (参 四 九 年 判 決 と 略 す )     大 阪 高 判 昭 和 五 四 年 二 月 二 八 日 (判 時 九 二 三 号 三 〇 頁 )              立 法 裁 量

1

    東 京 高 判 昭 和 五 四 年 六 月 = 二 日 (判 時 九 三 三 号 一 六 頁 )            合 理 的 期 間 内     最 大 判 昭 和 五 八 年 四 月 二 七 日 (民 集 三 七 巻 三 号 三 四 五 頁 )              立 法 裁 量     (参 五 八 年 判 決 と 略 す )                                                         合 理 的 期 間 内 、

(3)

「わが国にお ける議員定数不均衡をめ ぐる司法消極主義 と積極 主義」 260 二 二 日 選 挙   ﹁ 最 判 昭 和 六 一 年 三 月 一 毛 見 判 時 = 九 五 号 六 六 頁 ) 五 ・ 三 七     ( 参 六 一 年 判 決 と 略 す )

月■

                東 京 高 判 昭 和 六 一年 八 月 一 四 日 (判 時 = 一〇 二 号 二 一 頁 )                 最 判 昭 和 六 二 年 九 月 二 四 日 (判 時 一 二 七 三 号 三 五 頁 ) 五 ・ 五 六       (参 六 二 年 判 決 と 略 す )                 仙 台 高 判 昭 和 六 二 年 九 月 八 日 (行 業 三 八 巻 八 11 九 号 九 八 三 頁 )

調

月一

                最 判 昭 和 六 三 年 一 〇 月 二 一 日 (判 時 = 二 一 = 号 = 一三 頁 ) 五 ・ 八 五       (参 六 三 年 判 決 と 略 す ) ( 平 成 二 年 三 月   較 差 六 ・ 三 三 倍 ) 立 法 裁 量 立 法 裁 量 立 法 裁 量 立 法 裁 量 立 法 裁 量 ( 3 ) 消 極 主 義 、 積 極 主 義 と い う 概 念 は 、 現 実 を 記 述 す る 概 念 と し て も 、 ま た 、 あ る べ き 司     法 像 を 記 述 す る 概 念 と し て も 用 い ら れ 、 定 義 も 錯 綜 し て い る 。 本 稿 で は 、 現 実 を 記 述 し 、     分 析 す る た め の 道 具 と し て 用 い る 。 中 谷 実 ﹁ 司 法 消 極 主 義 と 積 極 主 義 ﹂ 中 谷 実 編 著 ・ 憲     法 訴 訟 の 基 本 問 題 二 〇 頁 ( 一 九 八 九 ) 参 照 。 消 極 主 義 に は 二 つ の タ イ プ が あ る 。 一 つ は 、     憲 法 判 断 に 入 ら な い 場 合 ( 消 極 主 義 1 ) で あ る 。 こ れ に は 、 例 え ば 、 訴 え を 事 件 性 を 欠     く と し て 却 下 し た り 、 憲 法 訴 訟 の 当 事 者 適 格 を 欠 く と し て 違 憲 の 争 点 を 提 起 す る 資 格 を     否 定 し た り 、 法 律 レ ベ ル の 判 断 で 処 理 す る こ と に よ っ て 憲 法 判 断 を 回 避 す る 場 合 等 が 含 ・     ま れ る 。 も う 一 つ は 、 憲 法 判 断 に 入 り 、 か つ 合 憲 と 結 論 す る 場 合 ( 消 極 主 義 H ) で あ る 。     積 極 主 義 は 、 憲 法 判 断 に 入 り 、 違 憲 判 断 が な さ れ る 場 合 を 意 味 し 、 法 令 そ の も の を 違 憲     と す る こ と や そ の 適 用 が 違 憲 で あ る と 判 断 す る 場 合 1 さ ら に 違 憲 判 断 に 基 づ い て [ 定     の 作 為 を 命 ず る 場 合 も i 含 ま れ る 。 本 稿 と の 関 連 で は 、 消 極 主 義 1 と し て 、 公 選 法 二     〇 四 条 テ ク ニ ッ ク が 、 消 極 主 義 H と し て は 、 立 法 裁 量 テ ク ニ ッ ク と 合 理 的 期 間 内 テ ク ニ     ッ ク が 、 積 極 主 義 の テ ク ニ ッ ク と し て は 、 事 情 判 決 テ ク ニ ッ ク と 可 分 一 部 無 効 テ ク ニ ッ   ・ ク が 見 ら れ る 。 消 極 主 義 、 積 極 主 義 の ア プ ロ ー チ は 、 松 井 教 授 に よ っ て 種 々 批 判 さ れ る 。     松 井 茂 記 ﹁ 現 代 民 主 主 義 社 会 に お け る 司 法 権 の 役 割 ﹂ ジ ュ リ ス ト 八 八 一 号 ㎜ 一 七 、 一 一     八 頁 ( 一 九 八 七 ) 。 そ の 批 判 の う ち 、 ﹁ 我 が 国 の 最 高 裁 を こ の 司 法 積 極 主 義 ・ 消 極 主 義 の     パ ラ ダ イ ム で 分 析 し た も の は 余 り 見 受 け ら れ な い ﹂ 、 ﹁ 積 極 主 義 ・ 消 極 主 義 は 記 述 概 念 と     し て 用 い ら れ て い る の か 、 規 範 的 乃 至 評 価 的 概 念 と し て 用 い ら れ て い る の か 定 か で な     い ﹂ 、 ﹁ 定 義 自 体 定 か で な ﹂ い 、 と い う 点 は 同 感 で あ る 。 し か し 、 ﹁ 我 が 国 の 司 法 権 が 一     貫 し て 司 法 消 極 主 義 を 採 っ て 来 た の で あ れ ば 、 我 が 国 の 司 法 審 査 権 行 使 の 態 様 を 司 法 積     極 主 義 ・ 消 極 主 義 と し て 区 分 す る 意 味 は 殆 ど な ﹂ い 、 と の 指 摘 は 、 わ が 国 の 司 法 消 極 主     義 に も 、 種 々 の 濃 淡 、 含 み が あ る こ と 、 最 高 裁 の 一 部 、 そ し て 下 級 審 に お い て 時 々 見 ら     れ る 積 極 主 義 の ア プ ロ ー チ を 軽 視 す る 点 で 同 意 で き な い 。 ( 4 )   人 口 比 へ の コ ミ ッ ト の 度 合 や 、 議 員 定 数 配 分 に お い て 立 法 府 が 考 慮 し う る フ ァ ク タ ー     に つ い て の 考 え 方 の こ と 。 ( 5 )   議 会 制 民 主 主 義 に お け る 違 憲 審 査 権 行 使 の あ り 方 と い う 大 局 的 な ス タ ン ス か ら 、 訴 え     を 裁 判 所 に 取 り 込 む か 否 か 、 憲 法 判 断 に 入 る か 否 か 等 の 判 断 に 潜 在 す る 司 法 機 能 に つ い     て の 見 方 、 さ ら に 、 個 々 の 審 査 態 度 や 救 済 の 方 法 に 内 在 す る 司 法 自 身 の ア イ デ ン テ ィ テ     ィ の 認 識 等 を 含 む 。 ( 6 ) 例 た ば 、 ﹁ わ が 国 の ば あ い 、 下 級 審 の 憲 法 判 決 例 を 別 に し て 最 高 裁 レ ベ ル で い え ば 、     一 体 全 体 、 司 法 積 極 主 義 を 体 現 あ る い は 暗 示 す る よ う な 判 例 が あ っ た だ ろ う か ﹂ ( 奥 平     康 弘 ﹁ 憲 法 訴 訟 の 軌 跡 と 理 論 ﹂ 別 冊 法 学 セ ミ ナ ー ・ 憲 法 訴 訟 三 頁 ( 一 九 八 三 ) ) 、 コ 言     に し て そ の 概 括 的 評 価 を あ ら わ せ ば 、 こ の 四 〇 年 間 に 法 令 を 違 憲 と し た 判 決 が わ ず か 数     件 ⋮ ⋮ 、 判 決 理 由 の な か で 厳 し い 憲 法 解 釈 を 示 し 法 令 の 解 釈 適 用 い か ん で 政 治 部 門 の 決                               へ    も    も     定 が 違 憲 と な り う る な ど し た 違 憲 的 判 決 が 二 〇 件 前 後 ⋮ ⋮ と い う 寥 々 た る 実 情 に 端 的 に     あ ら わ れ て い る ご と く 、 わ が 裁 判 所 は 一 貫 し て 司 法 消 極 主 義 の 立 場 を 固 持 し て き た ﹂     ( 新 井 章 ﹁ 司 法 の 積 極 主 義 と 消 極 主 義 ﹂ 芦 部 信 喜 編 ・ 講 座 憲 法 訴 訟 三 巻 二 一 六 頁 ( 一 九     八 七 ご と い う コ メ ン ト が あ る 。 ( 7 ) 各 テ ク ニ ッ ク を 支 え て い る 代 表 観 や 司 法 観 を 明 ら か に し ょ う と す る 作 業 は 、 思 考 の 構     造 を 明 確 に す る と い う 意 味 に お い て 、 よ り 妥 当 な 憲 法 解 釈 探 究 の 前 提 作 業 と も な り う る 。     松 井 教 授 は 、 ﹁ 問 わ れ る べ き 根 本 問 題 は 、 司 法 積 極 主 義 か 司 法 消 極 主 義 か で は な く 、 結     局 の と こ ろ 現 代 民 主 主 義 社 会 に お い て 司 法 府 が 果 た す べ き 役 割 は 何 か で あ る ﹂ と い う 。                                     ヘ    ヨ    も    ヤ    も     松 井 ・ 前 出 注 ( 3 ) 一 一 八 頁 。 筆 者 の 究 極 的 課 題 も 、 ﹁ 現 代 民 主 主 義 社 会 に お い て 司 法 府     が 果 た す べ き 役 割 ﹂ の 探 究 で あ り 、 教 授 と 何 ら 異 な ら な い 。 本 シ リ ー ズ は 、 そ れ 自 体 独     立 し た 研 究 で あ る と 同 時 に 、 右 の 究 極 的 課 題 解 決 の た め の 準 備 作 業 と し て も 位 置 づ け た     い 。

(4)

259 実 中谷 二   消 極 主 義   本 章 で は 、 消 極 主 義 の テ ク ニ ッ ク を 、 憲 法 判 断 に 入 ら な い で 処 理 す る 消 極 主 義 1 の テ ク ニ ッ ク と 、 憲 法 判 断 に 入 る が 合 憲 と す る 消 極 主 義 H の テ ク ニ ッ ク に 分 け て 考 察 す る 。 ︿ 消 極 主 義 1 >   こ れ は 、 憲 法 判 断 に 入 ら な い テ ク ニ ッ ク で あ り 、 公 選 法 二 〇 四 条 テ ク              ソ ニ ッ ク が あ る 。 公 選 法 二 〇 四 条 テ ク ニ ッ ク ω 概 説   こ れ は 、 公 選 法 二 〇 四 条 は 、 公 選 法 自 体 の 違 憲 性 を 争 う 訴 訟 を 予 定 し て い な い と し 、 訴 え を 不 適 法 な も の と し て 却 下 す べ き と す る テ ク ニ ッ ク で あ る 。 裁 判 所 は 、 厄 介 な 憲 法 問 題 に 面 し た 時 、 訴 訟 要 件 段 階 に お い て 処 理 し 、 憲 法 判 断 を 回 避 す る 傾 向 が あ る 。 公 選 法 二 〇 四 条 テ ク ニ ッ ク も こ れ に 類 す る も の と い え る が 、 議 員 定 数 不 均 衡 訴 訟 で は 、 反 対 意 見 に 見 ら れ る 程 度 で あ る 。 ω   衆 議 院 議 員 定 数 不 均 衡 訴 訟   ① 最 高 裁   衆 五 一 年 判 決 (事 情 判 決 テ ク ニ ッ ク で 処 理 ) に お け る 天 野 反 対 意 見 は 、 公 選 法 二 〇 四 条 に よ る 選 挙 訴 訟 は 、 具 体 的 権 利 義 務 に 関 す る 法 律 上 の 争 訟 で は な く 、 選 挙 の 管 理 執 行 機 関 の 公 選 法 規 に 適 合 し な い 行 為 の 是 正 を 目 的 と し て 、 法 律 に よ り 特 に 裁 判 所 の 権 限 に 属 せ し め ら れ た 民 衆 訴 訟 で あ っ て 、 当 該 選 挙 が ﹁ 選 挙 の 規 定 に 違 反 ﹂ し 、 か つ 、 ﹁ 選 挙 の 結 果 に 異 動 を 及 ぼ す 虞 が あ る 場 合 に 限 り ﹂ 選 挙 の 全 部 ま た は 一 部 の 無 効 を 判 決 す る も の で あ っ て ( 公 選 法 二 〇 五 条 一 項 ) 、 公 選 法 自 体 の 違 憲 性 を 争 う よ う な 訴 え に は 、 裁 判 所 の 審 査 権 は 及 ば な い と す る 。 そ の 他 、 衆 五 八 年 判 決 ( 合 理 的 期 間 内 テ ク ニ ッ ク で 処 理 ) に お け る 藤 崎 反 対 意 見 に み ら れ る 。 ② 下 級 審   見 ら れ な い 。 ㈲   衆 議 院 議 員 定 数 不 均 衡 訴 訟 ① 最 高 裁   参 三 九 年 判 決 ( 立 法 裁 量 テ ク ニ ッ ク で 処 理 ) に お け る 斉 藤 意 見 は 、 公 選 法 二 〇 四 条 の 訴 訟 は 、 ﹁ 本 来 は 、 選 挙 の 管 理 執 行 上 の 過 誤 を 是 正 す る こ と を 目 的 と す る 制 度 ﹂ と す る 他 、 訴 訟 の 結 果 に よ る 再 選 挙 は 、 こ れ を 行 う べ き 理 由 が 生 じ た 日 か ら 四 〇 日 以 内 に 行 わ な け れ ば な ら な い が ( 公 選 法 三 四 条 一 項 ) 、 四 〇 日 と い う 短 期 間 内 に 別 表 の 改 正 が 行 わ れ る こ と は 期 待 で き ず 、 無 効 の 選 挙 を く り 返 し て い く よ り 仕 方 が な い と い う 。 こ の 発 想 は 、 参 四 一 年 判 決 ( 立 法 裁 量 テ ク ニ ッ ク で 処 理 ) に お け る 田 中 ( 二 ) 意 見 に そ の ま ま 現 れ て い る 。 そ の 他 、 参 五 八 年 判 決 ( 立 法 裁 量 テ ク ニ ッ ク で 処 理 ) に お け る 藤 崎 反 対 意 見 に も 見 ら れ る 。   ② 下 級 審   変 形 的 で は あ る が 、 東 京 高 判 昭 和 四 八 年 七 月 三 一 日 に 見 ら れ る ( 後 述 ㈹ ω 参 照 )。 勿   こ の テ ク ニ ッ ク を 支 え る 思 想 川 代 表 観 ( 人 。 比 へ の 弱 い コ ミ ・ ト )   こ の テ ク ニ ッ ク は 、 憲 法 判 断 に 入 ら ず に 処 理 す る テ ク ニ ッ ク で あ る た め 、 代 表 観 に つ い て 正 面 か ら 論 じ て い な い が 、 人 口 比 へ の コ ミ ッ ト が 極 め て 弱 い こ と は 垣 間 見 る こ と が で き る 。 天 野 反 対 意 見 は 、 そ れ ま で の 参 議 院 議 員 定 数 不 均 衡 訴 訟 に お け る 最 高 裁 の 立 法 裁 量 テ ク ニ ッ ク に よ る 処 理 に 対 し 、 ﹁ 一 定 の 明 確 な 客 観 的 基 準 を 見 出 し え な い ま ま に 請 求 棄 却 の 判 断 を 維 持 し て い る ﹂ と 批 判 し 、 衆 五 一 年 判 決 に 対 し て も 、 ﹁ な お 依 然 と し て 明 確 な 司 法 判 断 の 基 準 は 示 さ れ ず ﹂ と 批 判 す る 。 こ れ は 、 議 員 定 数 の 平 等 の 判 断 に お い て 明 確 な 判 断 基 準 は な い こ と を 示 唆 す る も の で あ る 。 参 五 八 年 判 決 に お け る 藤 崎 反 対 意 見 は 、 憲 法 一 四 条 ﹁ に も そ の 他 の 憲 法 の 条 章 に も 、 国 会 両 議 院 の 議 員 定 数 を 選 挙 区 別 の 選 挙 人 の 数 に 比 例 し て 配 分 す べ き こ と を 積 極 的 に 命 ず る 規 定 は 存 在 し な い ﹂ 、 比 例 し て 配

(5)

「わが国における議員定数不均衡 をめ ぐる司法消極主義 と積極主義」 258 分 す る こ と は 、 ﹁ 法 の 下 に お け る 平 等 と い う 憲 法 の 原 則 か ら い っ て 望 ま ・し い こ と で あ る が 、 そ れ は 望 ま し い と い う に と ど ま る と 解 す べ き も の ﹂ で 、 ﹁ 政 治 の 努 力 目 標 ﹂ 、 ﹁ 綱 領 的 ﹂ な も の で あ り 、 ﹁ 違 憲 の 問 題 を 生 ず る こ と は な い ﹂ と い う 。 ㈲ 司 法 観   ① 議 会 制 民 主 主 義 の プ ロ セ ス に 対 す る 強 力 な 敬 譲   極 め て 消 極 的 な 人 口 比 観 を 内 在 さ せ る こ の テ ク ニ ッ ク で は 、 議 員 定 数 配 分 に お け る 立 法 府 の 積 極 的 な 役 割 が 強 調 さ れ る と と も に 、 司 法 の 自 制 が 促 さ れ る 。 天 野 反 対 意 見 は 、 ﹁ こ こ に お い て 司 法 判 断 の 対 象 を な す 事 象 と し て 、 各 意 見 の な か で 論 議 さ れ 提 示 さ れ て い る 問 題 点 こ そ は 、 投 票 価 値 の 平 等 を 図 る た め に 、 す べ て 国 会 自 身 の 責 任 に お い て 立 法 的 に 解 決 す る ほ か な い 課 題 で あ る こ と を 、 そ れ 自 体 で 証 明 し た も の ﹂ と し 、 議 員 定 数 不 均 衡 の 是 正 は 司 法 の 課 題 で な い と す る 。 斉 藤 意 見 は 、 参 三 九 年 判 決 の 用 い た 立 法 裁 旦 里 テ ク ニ ッ ク で は 違 憲 と な る 余 地 が あ る こ と を 批 判 し 、 ア メ リ カ の bコ 築 ① ﹁ タ O 霞 5 。。 ① り ¢ .しり ﹂ 。。 ① ( 一 り 爵 ) に お け る フ ラ ン ク フ ァ ー タ ー 裁 判 官 の 少 数 意 見 を 援 用 し な が ら 、 統 治 行 為 論 に よ る 処 理 を 示 唆 す る 。 ﹁ 私 は 、 世 論 の 力 、 立 法 機 関 や 行 政 機 関 の 良 識 を 、 も っ と 信 頼 し て よ い の で は な い か と 考 え る 。 明 確 な 基 準 の な い 場 合 に 、 判 決 で 違 憲 と す べ き 場 合 の あ り 得 る こ と を 約 束 し て み て も 、 そ れ に 当 た る も の と し て 提 起 さ れ る 訴 訟 は 、 基 準 に 達 し な い も の と し て す べ て 排 斥 さ れ て し ま う の で は な か ろ う か 。 そ れ で は 、 ﹃ 将 来 を 約 束 す る 言 葉 の 響 き を 与 え な が ら 、 期 待 を ふ み に じ る ﹄ 結 果 に な り 、 か え っ て 国 民 の 司 法 に 対 す る 信 頼 を 裏 切 る こ と に な ら か ﹂ 、 公 選 法 ﹁ 二 〇 四 条 の 規 定 を 合 理 的 な 範 囲 内 で 拡 張 解 釈 す る こ と は 差 し 支 え な い と し て も 、 国 会 と 裁 判 所 と の 問 に お い て 、 裁 量 判 断 に く い ち が い の 生 じ る お そ れ の 多 分 に 存 す る 問 題 に つ い て ま で 、 司 法 的 解 釈 を 与 え ん と す る こ と は 、 拾 収 す べ か ざ る 混 乱 を 招 来 す る 。 ﹂ 他 の 裁 判 官 も 、 大 な り 小 な り こ の よ う な 発 想 を 内 在 さ せ て い る と 思 わ れ る 。   ② 実 定 訴 訟 手 続 へ の 固 着   公 選 法 の 訴 訟 手 続 を 厳 格 に 解 釈 し 、 実 定 訴 訟 手 続 に 固 着 す る 態 度 も 、 こ の テ ク ニ ッ ク を 支 え る 重 要 な 司 法 観 で あ る 。 な お 、 訴 え を 公 選 法 二 〇 四 条 の 訴 訟 と し て 受 け 入 れ 、 事 情 判 決 的 処 理 を 行 っ た 衆 五 一 年 判 決 に つ い て 、 天 野 反 対 意 見 は 、 ﹁ お よ そ 忠 実 な 法 解 釈 ﹂ で は な い と 批 判 し て い る 。 ㈲ 若 干 の 補 足 0   違 憲 し か し 公 選 法 二 〇 四 条 テ ク ニ ッ ク   既 に 述 べ た よ う に 公 選 法 二 〇 四 条 テ ク ニ ッ ク は 、 極 め て 消 極 的 な 人 口 比 観 に 基 づ い て い る が 、 参 議 院 議 員 定 数 不 均 衡 訴 訟 で あ る 東 京 高 判 昭 和 四 八 年 七 月 三 一 日 は 、 ﹁ 別 表 第 二 が 、 今 日 な お 違 憲 無 効 の も の で な い と 断 定 す る こ と は 困 難 で あ る ﹂ 、 ﹁ 国 会 に お い て 近 い 将 来 、 現 情 勢 に 即 応 し て 、 不 均 衡 を 除 去 す る た め 、 何 ら か の 改 訂 が 行 わ れ る こ と を 期 待 せ ざ る を 得 な い ﹂ と し 、 実 質 的 に 違 憲 判 断 を 示 す 。 し か し 、 公 選 法 の 定 め に よ り 再 選 挙 は 、 こ れ を 行 う べ き 事 由 が 生 じ た 日 か ら 四 〇 日 以 内 に 行 わ な け れ ば な ら な い が 、 そ の よ う な こ と が 不 可 能 で あ る ゆ え 、 選 挙 の 結 果 に 異 動 を 及 ぼ す 虞 が な い も の と し 、 最 終 的 に は 公 選 法 二 〇 四 条 テ ク ニ ッ ク で 処 理 し た 。 訴 訟 法 上 の 枠 を 忠 実 に 守 る と い う 消 極 的 な 司 法 機 能 観 が 人 口 比 に 対 す る 積 極 的 な コ ミ ッ ト を 圧 倒 し て し ま っ た と い え る 。 後 述 の 事 情 判 決 テ ク ニ ッ ク が 、 違 憲 判 断 の 衝 撃 を そ の 事 後 処 理 の 段 階 で 緩 衝 さ せ る 機 能 を も つ と い え る な ら ば 、 こ の テ ク ニ ッ ク は 、 実 質 的 に な さ れ た 違 憲                                                    ソ 判 断 の 衝 撃 を 、 前 倒 し 的 に 吸 収 す る 機 能 を も つ と い え よ う 。 ㈹   選 挙 管 理 委 員 会 の テ ク ニ ッ ク   訴 訟 を 受 け て た つ 選 挙 管 理 委 員 会 は 、 ま ず 、 公 選 法 二 〇 四 条 テ ク ニ ッ ク を 援 用 す る 。 つ い で 、 訴 え が 適 法 で あ る と し て も 、 統 治 行 為 論 ま た は 政 治 問 題 の 法 理 に よ っ て 要 求 を 退 け る べ き だ と 主 張 す る 。 ㈹   ア メ リ カ と の 対 応   公 選 法 二 〇 四 条 テ ク ニ ッ ク は 、 極 め て 消 極 的 な 人 口 比 観 と 、 議 会 制 民 主 主 義 の プ ロ セ ス に 対 す る 強 力 な 敬 譲 と い う 消 極 的 な 司 法 観 に 支 え ら れ て お り 、 最 も 消 極 主 義 の テ ク ニ ッ ク と い え る 。 こ れ に 類 す る も の を ア メ

(6)

257 実 中谷 リ カ 連 邦 最 高 裁 に 求 め る と 、 筆 者 が オ ー ソ ド ッ ク ス ・ パ ッ シ ヴ ィ ス ト と ・名 付 け る フ ラ ン ク フ ァ ー タ ー や ハ ー ラ ン に 代 表 さ れ る 消 極 主 義 の 裁 判 官 の テ ク ニ ッ ク に 対 応 さ せ る こ と が で き る 。 彼 ら は 、 法 廷 で 多 数 派 を 形 成 し て い る と き は 、 議 席 不 均 衡 の 訴 え に 対 し 、 ( ア ) そ の 訴 訟 の 基 礎 は 私 的 な 利 益 の 侵 害 で は な く 、 政 治 体 と し て の 州 が 悩 ん で い る 害 悪 で あ っ て 権 利 章 典 の 問 題 で は な い 、 ( イ ) 司 法 判 断 適 合 性 の な い 政 治 問 題 で あ る 、 ( ウ ) 裁 判 所 が 介 入 す れ ば 民 主 的 プ ロ セ ス は 侵 害 さ れ 、 国 民 の 不 活 性 が 生 じ 、 司 法 の 権 威 が 失 わ れ る 、 ( エ ) 裁 判 所 が 適 用 す べ き 基 準 が な い 等 の 理 由 か ら , こ の 種 の 問 題 は 、 議 会 と 国 民 が 匡 正 す べ き で あ る と し 、 訴 え を         ハヨ   斥 け て い る 。 の   こ の テ ク ニ ッ ク を め ぐ っ て 川 批 判 的 立 場 の 主 張   こ の テ ク ニ ッ ク は 、 憲 法 判 断 に 入 り 違 憲 判 断 を 行 う べ き と す る 立 場 か ら 批 判 を 受 け る 。 選 挙 の 規 定 に 違 反 し 、 選 挙 の 結 果 に 異 動 を 及 ぼ す 虞 が あ る 場 合 の み 選 挙 無 効 判 決 を し う る と す る 公 選 法 二 〇 五 条 一 項 の 要 件 に 関 し 、 そ れ は ﹁ 選 挙 の 管 理 執 行 に 関 す る 手 続 規 定 に 限 定 す る 趣 旨 で は な く 、 明 文 に 反 す る こ と が な く て も 選 挙 の 自 由 公 正 が 著 し く 害 さ れ た 場 合 を 含 む ﹂ 、 ﹁ 定 数 不 均 衡 は 、 選 挙 の 手 続 規 定 に も ま し て 、 選 挙 の 公 正 を 根 本 的 に 阻 害 す る も の で あ り 、 そ の 是 正 が な さ れ て 始 め て 選 挙 を 行 う 土 俵 が で き 上 が る ﹂ の で 、 ﹁ い わ ば ﹃ 選 挙 の 規 定 に 違 反 す る ﹄ 最 た る も の ﹂ 、 ﹁ し か も 、 定 数 配 分 規 定 が 改 正 さ れ れ ば 、 ﹃ 選 挙 の 結 果 に 異 動 を 及 ぼ す 虞                       ハる   が あ る ﹄ こ と は 明 白 で あ る ﹂ と い う 批 判 、 無 効 判 決 が 出 さ れ れ ば 四 〇 日 以 内 に 再 選 挙 を し な け れ ば な ら な い と す る 公 選 法 の 規 定 に つ い て 、 ﹁ 四 〇 日 の 期 間 内 に 法 律 を 改 正 し て 再 選 挙 に 間 に 合 わ せ る か ど う か は 、 国 会 の 権 限 と 責 任 に お い て 解 決 す べ き 問 題 で あ る し 、 右 期 間 を 徒 過 す れ ば 再 選 挙 が で き な く な る も の で も な く 、 後 れ て 行 っ た 再 選 挙 が 違 法 に な る も          う り の で も な い ﹂ と い う 批 判 が 見 ら れ る 。 立 法 裁 量 テ ク ニ ッ ク に 好 意 的 な 立 場 か ら の 批 判 は 見 あ た ら な い が 、 そ れ は 、 本 質 的 な と こ ろ で 共 通 す る も の を も っ て い る か ら で あ ろ う 。 ㈹   好 意 的 立 場 の 主 張   後 述 す る 事 情 判 決 テ ク ニ ッ ク が 基 本 的 な 発 想 と な っ て い る 現 在 、 公 選 法 二 〇 四 条 テ ク ニ ッ ク の 力 は 強 い と は い え な い が 、 ﹁ 議 員 定 数 の 是 正 に 関 す る 制 度 そ の も の の 改 訂 に か か わ る 訴 訟 は 、 現 行 の 公 選 法 の も と で は 、                                  け 初 め か ら こ れ を 予 想 し て い な か っ た ﹂ 、 ﹁ 公 選 法 改 正 、 定 数 是 正 の 問 題 は 、                                  ア へ も っ ぱ ら 国 会 に お い て 論 議 さ れ る べ き ﹂ と す る 主 張 の よ う に 一 部 に は 強 い 支 持 が 見 ら れ る 。 ま た 、 投 票 価 値 の 結 果 的 平 等 は 観 念 論 で あ り 、 憲 法 一 四 条 一 項 に 挙 げ ら れ て い る 自 由 は 制 限 的 列 挙 と 解 す べ き で 、 ﹁ 居 住 場                                                      き り 所 に よ る 投 票 価 値 の 差 別 不 平 等 は 、 憲 法 一 四 条 の 違 反 で は な い ﹂ と の コ メ ン ト も あ る 。 ︿ 消 極 主 義 ∬ V   憲 法 判 断 を 行 い 、 合 憲 と 結 論 す る 消 極 主 義 H の テ ク ニ ッ ク と し て は 、 立 法 裁 量 テ ク ニ ッ ク と 合 理 的 期 間 内 テ ク ニ ッ ク が あ る 。 H   立 法 裁 量 テ ク 一 一 ッ ク ω 概 説   こ れ は 、 問 題 と な っ た 較 差 が 立 法 府 の 合 理 的 裁 量 内 に あ る 、 立 法 政 策 だ と し て 合 憲 と す る テ ク ニ ッ ク で あ る 。 他 の 憲 法 領 域 で も 消 極 主 義 の 主 要 な テ ク ニ ッ ク と し て 機 能 し て い る が 、 参 議 院 議 員 定 数 不 均 衡 訴 訟 で は 全 面 的 に 用 い ら れ て い る 。 ω   衆 議 院 議 員 定 数 不 均 衡 訴 訟 ① 最 高 裁             ハ      衆 六 三 年 判 決 は 、 二 ・ 九 二 倍 の 較 差 に つ い て 、 ﹁ 選 挙 人 数 又 は 人 口 と 配 分 議 員 数 と の 比 率 の 平 等 が 最 も 重 要 か つ 基 本 的 な 基 準 と さ れ る 衆 議 院 議 員 の 選 挙 制 度 の 下 で 、 国 会 に お い て 通 常 考 慮 し 得 る 諸 般 の 要 素 を し ん し ゃ く し て も な お 、 一 般 に 合 理 性 を 有 す る も の と は 考 え ら れ な い 程 度 に 達 し て い る 、 と ま で は い う こ と が で き な い ﹂ と す る 。

(7)

「わが国における議員定数不均衡 をめ ぐる司法消極主義 と積極主義 」 256   ② 下 級 審   ( ア ) 東 京 高 判 昭 和 三 九 年 一 〇 月 二 〇 日 、 ( イ ) 東 京 高 判 昭 和 四 一 年 五 月 一 〇 日 、 ( ウ ) 東 京 高 判 昭 和 四 九 年 四 月 三 〇 日 、 ( エ )東 京 高 判 昭 和 五 三 年 九 月 一 一 日 、 ( オ ) 仙 台 高 判 昭 和 六 二 年 九 月 八 日 、 ( カ )東 京 高 判 昭 和 六 二                                                          リ リ 年 一 〇 月 二 二 日 、 ( キ ) 広 島 高 判 昭 和 六 三 年 三 月 二 五 日 等 に 見 ら れ る 。 ω   参 議 院 議 員 定 数 不 均 衡 訴 訟   ① 最 高 裁             ハけ ロ   参 三 九 年 判 決 は 、 四 ・ 〇 九 倍 の 較 差 に つ い て 、 ﹁ 所 論 の よ う な 程 度 で は な お 立 法 政 策 の 当 否 の 問 題 に 止 り 、 違 憲 問 題 を 生 ず る と は 認 め ら れ な                                             らに ソ い ﹂ と し た 。 そ の 他 、 同 じ 較 差 を 扱 っ た 参 四 嗣 年 判 決 、 五 ・ ○ 八 倍 の 較                                     ハお レ 差 を 立 法 裁 量 内 に あ る と し た 参 四 九 年 判 決 、 五 ・, 二 六 倍 の 較 差 を 合 理 的                              け   裁 量 内 に あ る と し た 参 五 八 年 判 決 、 五 ・ 三 七 倍 の 較 差 を 合 理 的 裁 量 内 だ                 ハお ロ と し た 参 六 一 年 判 決 、 五 ・ 五 六 倍 の 較 差 を 合 理 的 裁 量 内 だ と し た 参 六 ニ     ハリ リ                                              レ リ 年 判 決 、 五 ・ 八 五 倍 の 較 差 を 合 憲 と し た 参 六 三 年 判 決 等 に 見 ら れ る 。   ② 下 級 審   東 京 高 判 昭 和 三 八 年 一 月 三 〇 日 、 仙 台 高 判 昭 和 三 八 年 三 月 二 八 日 、 大 阪 高 判 昭 和 五 四 年 二 月 二 八 日 等 に 見 ら れ る 。 ②   こ の テ ク ニ ッ ク を 支 え る 思 想   以 下 、 参 議 院 に 関 す る 議 員 定 数 不 均 衡 訴 訟 に お け る 立 法 裁 量 テ ク ニ ッ ク に 焦 点 を あ て る 。 衆 議 院 の 議 員 定 数 不 均 衡 訴 訟 に お け る 立 法 裁 量 テ ク ニ ッ ク を 支 え る 思 想 に つ い て は 、 事 情 判 決 テ ク ニ ッ ク の 乏 こ ろ を 参 照 さ れ た い 。 ω 代 表 観   ① 人 口 比 へ の 弱 い コ ミ ッ ト   ま ず 、 公 選 法 二 〇 四 条 テ ク ニ ッ ク の 場 合 と 同 じ よ う に 、 人 口 比 へ の 弱 い コ ミ ッ ト が あ げ ら れ る 。 参 三 九 年 判 決 は 、 ﹁ 議 員 数 を 選 挙 人 の 人 口 数 に 比 例 し て 、 各 選 挙 区 に 配 分 す る こ と は 、 法 の 下 に 平 等 の 憲 法 の 原 則 か ら い っ て 望 ま し い ﹂ と す る も の の 、 憲 法 四 三 条 二 項 、 四 七 条 を 援 用 し 、 さ ら に 、 ﹁ 憲 法 一 四 条 、 四 四 条 そ の 他 の 条 項 に お い て も 、 議 員 定 数 を 選 挙 区 別 の 選 挙 人 の 人 口 数 に 比 例 し て 配 分 す べ き こ と を 積 極 的 に 命 じ て い る 規 定 は 存 在 し な い ﹂ 、 ﹁ 議 員 数 の 配 分 が 選 挙 人 の 人 口 に 比 例 し て い な い と い う 一 事 だ け で 、 憲 法 一 四 条 一 項 に 反 し 無 効 で あ る と 断 ず る こ と は で き な い ﹂ と す る 。 参 五 八 年 判 決 は 、 憲 法 一 四 条 の 平 等 原 則 は 選 挙 資 格 の 平 等 の み な ら ず 投 票 価 値 の 平 等 も 要 求 し て い る と す る 衆 五 一 条 判 決 を 確 認 し な が ら も 、 憲 法 は 、 ﹁ 投 票 価 値 の 平 等 を 選 挙 制 度 の 仕 組 み の 決 定 に お け る 唯 一 、 絶 対 の 基 準 と し て い ﹂ な い 、 憲 法 四 三 条 一 項 ﹁ に い う 議 員 の 国 民 代 表 的 性 格 と は 、 本 来 的 に は 、 両 議 員 の 議 員 は 、 そ の 選 出 方 法 が ど の よ う な も の で あ る か に か か わ ら ず 特 定 の 階 級 、 党 派 、 地 域 住 民 な ど 一 部 の 国 民 を 代 表 す る も の で は な く 全 国 民 を 代 表 す る も の で あ っ て 、 選 挙 人 の 指 図 に 拘 束 さ れ る こ と な く 独 立 し て 全 国 民 の た め に 行 動 す べ き 使 命 を 有 す る も の で あ る と い う こ と を 意 味 し 、 右 規 定 が 両 議 院 の 議 員 の 選 挙 の 仕 組 み に つ い て な ん ら か の 意 味 を 有 す る と し て も 、 全 国 を 幾 つ か の 選 挙 区 に 分 け て 選 挙 を 行 う 場 合 に は 常 に 各 選 挙 区 へ の 議 員 定 数 の 配 分 に つ き 厳 格 な 人 口 比 例 主 義 を 唯 一 、 絶 対 の 基 準 と す べ き こ と ま で 要 求 ﹂ し な い と い う 。   ② 立 法 府 の 考 慮 し う る 種 々 の フ ァ ク タ ー   参 三 九 年 判 決 は 、 ﹁ 議 員 数 を 選 挙 区 に 配 分 す る 要 素 の 主 要 な も の は 、 選 挙 人 の 人 口 比 率 で あ る こ と は 否 定 で き な い と こ ろ で あ る と し て も 、 他 の 幾 多 の 要 素 を 加 え る こ と を 禁 ず る も の で は な い ﹂ 、 ﹁ 選 挙 区 の 大 小 、 歴 史 的 沿 革 、 行 政 区 画 別 議 員 数 の 振 合 等 の 諸 要 素 も ﹂ ﹁ 考 慮 に 入 れ て 議 員 数 の 配 分 を 決 定 す る こ と も 不 合 理 と は い え な い ﹂ と い う 。 参 五 八 年 判 決 は 、 参 議 院 の 特 殊 性 に つ い て 論 じ 、 積 極 的 に 立 法 府 に よ る 人 口 比 の 相 対 化 を 正 当 化 す る 。 第 一 は 、 三 年 ご と の 半 数 改 選 制 で あ る 。 第 二 は 、 全 国 区 選 出 議 員 の 職 能 代 表 的 性 格 I I -﹁ 全 国 を 一 選 挙 区 と し て 選 挙 さ せ 特 別 の 職 能 的 知 識 経 験 を 有 す る 者 の 選 出 を 容 易 に す る こ と に よ っ て 、 事 実 上 あ る 程 度 職 能 代 表 的 な 色 彩 が 反 映 さ れ る こ と を 図 ﹂ る 一 で あ る 。 第 三 は 、 都 道 府 県 選 出 議 員 の 地 域 代 表 的 性 格 l l ﹁ 都 道 府 県 が 歴 史 的 に も 政 治 的 、 経 済 的 、 社 会 的 に も 独 自 の 意 義 と 実 体 を 有 し 一 つ の 政 治 的 ま と ま

(8)

255 実 中谷 り を 有 す る 単 位 と し て と ら え う る こ と に 照 ら し 、 こ れ を 構 成 す る 住 民 の 意 思 を 集 約 的 に 反 映 さ せ る と い う 意 義 な い し 機 能 を 加 味 し よ う と し た ﹂         ハ  り 一 で あ る 。 ω 司 法 観   ① 立 法 府 へ の 強 い 敬 譲   こ の テ ク ニ ッ ク は 、 公 選 法 二 〇 四 条 テ ク ニ ッ ク ほ ど で も な い と し て も 、 や は り 議 会 制 民 主 主 義 尊 重 、 立 法 府 尊 重 と い う 消 極 主 義 の 司 法 観 に 支 え ら れ て い る 。 参 三 九 年 判 決 は 、 ﹁ 議 員 定 数 、 選 挙 区 お よ び 各 選 挙 区 に 対 す る 議 員 数 の 配 分 の 決 定 に 関 し 立 法 府 で あ る 国 会 が 裁 量 的 権 限 を 有 す る 以 上 、 選 挙 区 の 議 員 数 に つ い て 、 選 挙 人 の 選 挙 権 の 享 有 に 極 端 な 不 平 等 を 生 じ さ せ る よ う な 場 合 は 格 別 、 各 選 挙 区 に 如 何 な る 割 合 で 議 員 数 を 配 分 す る か は 、 立 法 府 で あ る 国 会 の 権 限 に 属 す る 立 法 政 策 の 問 題 ﹂ だ と す る 。 参 五 八 年 判 決 は 、 ﹁ 憲 法 は 、 国 会 両 議 院 の 選 挙 に つ い て 、 お よ そ 議 員 は 全 国 民 を 代 表 す る も の で な け れ ば な ら な い と い う 制 約 の 下 で 、 議 員 の 定 数 、 選 挙 区 、 投 票 の 方 法 そ の 他 選 挙 に 関 す る 事 項 は 法 律 で 定 め る べ き も の と し ( 四 三 条 、 四 七 条 ) 、 ど の よ う な 選 挙 の 制 度 が 国 民 の 利 害 や 意 見 を 公 正 か つ 効 果 的 に 反 映 さ せ る こ と に な る か の 決 定 を 国 会 の 極 め て 広 い 裁 量 に 委 ね て い る ﹂ と す る 。   ② 公 選 法 二 〇 四 条 の 訴 訟 で あ る   こ の テ ク ニ ッ ク は 、 訴 え を 公 選 法 二 〇 四 条 の 訴 訟 と し て 受 け 入 れ て お り 、 公 選 法 二 〇 四 条 テ ク ニ ッ ク ほ ど 狭 い 司 法 の 入 口 観 を と っ て い な い は                                               けド   ず で あ る が 、 最 高 裁 は 、 そ の 点 に つ い て 何 ら 言 及 し な い 。 ㈹ 若 干 の 補 足 ω   参 五 八 年 判 決 へ の 補 足   参 五 八 年 判 決 は 、 ﹁ 人 口 の 異 動 が 当 該 選 挙 制 度 の 仕 組 み の 下 に お い て 投 票 価 値 の 平 等 の 有 す べ き 重 要 性 に 照 ら し て 到 底 看 過 す る こ と が で き な い と 認 め ら れ る 程 度 の 投 票 価 値 の 著 し い 不 平 等 状 態 を 生 じ さ せ 、 か つ 、 そ れ が 相 当 期 間 継 続 し て 、 こ の よ う な 不 平 等 状 態 を 是 正 す る な ん ら の 措 置 を 講 じ な い こ と が 、 前 記 の よ う な 複 雑 か つ 高 度 に 政 策 的 な 考 慮 と 判 断 の 上 に 立 っ て 行 使 さ れ る べ き 国 会 の 裁 量 的 権 限 に 係 る も の で あ る こ と を 考 慮 し て も 、 そ の 許 さ れ る 限 界 を 超 え る と 判 断 さ れ る 場 合 に 、 初 め て 議 員 定 数 配 分 の 定 め が 憲 法 に 違 反 す る に 至 る ﹂ と し 、 較 差 が 合 理 的 裁 量 内 か ど う か の み な ら ず 、 合 理 的 期 間 内 に 是 正 さ れ な か っ た か ど う か を 問 い 、 事 情 判 決 テ ク ニ ッ ク の 論 理 を 取 り 入 れ て い る 。 し か し 、 こ の 場 合 の 合 理 的 と さ れ る 裁 量 の 範 囲 は 極 め て 広 く 、 参 三 九 年 判 決 に お け る 立 法 政 策 の 発 想 と 大 差 な い よ う に 思 わ れ る 。 ㈹   地 方 議 会 の 議 員 定 数 不 均 衡 訴 訟 の 場 合   地 方 議 会 の 議 員 定 数 不 均 衡 訴 訟 に お い て も 、 最 判 平 成 元 年 一 二 月 一 八 日 ( 判 時 = 二 一二 七 号 一 七 頁 ) 、 最 判 平 成 元 年 一 二 月 二 一 日 ( 判 時 一 三 三 七 号 三 八 頁 ) 等 に 立 法 裁 量 テ ク ニ ッ ク が 見 ら れ る 。 ⑯   選 挙 管 理 委 員 会 の テ ク ニ ッ ク   選 挙 管 理 委 員 会 は 、 公 選 法 二 〇 四 条 テ ク ニ ッ ク が 受 け 入 れ ら れ な い と し て も 、 と い う 形 で 二 段 構 え 的 に 立 法 裁 量 テ ク ニ ッ ク を 援 用 す る 。 ㈹   ア メ リ カ と の 対 応   ア メ リ カ 連 邦 最 高 裁 に お い て 、 筆 者 が オ ー ソ ド ッ ク ス ・ パ ッ シ ヴ ィ ス ト と 名 付 け る 裁 判 官 達 は 、 ウ ォ ー レ ン ・ コ ー ト に お い て 少 数 派 に な っ て か ら は 、 法 律 に 強 い 合 憲 性 の 推 定 を 認 め 、 緩 や か な 合 理 性 の テ ス ト で も っ て 立 法 裁 量 だ と し 、 合 憲 と す べ き だ と 主 張 し た 。 そ の 際 、 地 域 代 表 的 、                                      の り 利 益 集 団 代 表 的 な 代 表 観 を 明 ら か に し て い る 。 彼 ら の ア プ ロ ー チ は 、 わ が 国 の 立 法 裁 量 テ ク ニ ッ ク に 対 応 さ せ る こ と が で き よ う 。 の   こ の テ ク ニ ッ ク を め ぐ っ て 川 批 判 的 立 場 の 主 張   参 三 九 年 判 決 に 対 し て は 、 ﹁ ど の 程 度 な ら ﹃ 極 端 な 不 平 等 ﹄ に な る の か と い う 基 準 を 提 示 し て い な い た め 、 違 憲 を 主 張 す る 側 が 論 証 の 際 に 依                         ハね ロ 拠 す べ き 物 差 を 持 て な く な る ﹂ と す る 批 判 が あ る 。 参 五 八 年 判 決 に つ い て 、 ﹁ 参 議 院 の 定 数 配 分 の 場 合 は 、 .公 正 か つ 効 果 的 な 代 表 の 実 現 に と っ て 真 に 止 む を 得 な い と 合 理 的 に 考 え ら れ る 限 り 、 人 口 比 例 の 幅 が 衆 議 院 の 場 合 よ り も 若 干 は 広 く な る 可 能 性 が あ る こ と ﹂ は 否 定 し な い が 、 や は

(9)

「わが国 にお ける議員定数不均衡 をめ ぐる司法消極主義 と積 極主義」 254 り 衆 議 院 の 場 合 と 同 じ く 、 人 口 比 例 が 出 発 点 で あ っ て 、 非 人 口 的 要 素 の 役 割 は 二 次 的 な も の だ と し 、 ﹁ 参 議 院 の 場 合 も 平 等 原 則 に よ っ て 立 法 府 裁 量 が 今 回 の 判 決 の 言 う よ り 厳 し く 限 定 さ れ る と い う 論 理 を と る 必 要 が      あ る ﹂ と の 批 判 、 ﹁ 日 本 国 憲 法 下 の 国 民 代 表 制 が 社 会 学 的 代 表 制 を 含 意 し て い る の で あ れ ば 、 参 議 院 の 場 合 を 含 め て 議 員 定 数 配 分 に つ き 人 口 ( 有 権 者 数 ) 比 例 の 原 則 は 憲 法 上 の 要 請 で あ る ﹂ と し 、 ﹁ 参 議 院 の 場 合 に も 実 質 的 に 複 数 選 挙 制 度 を 認 め る こ と に な る 一 対 二 以 上 の 格 差 を 認 め る             へお り こ と は で き な い ﹂ と す る 批 判 、 同 判 決 が 、 地 方 区 制 の 地 域 代 表 的 性 格 を 持 ち 出 し 、 較 差 を 正 当 化 し よ う と し た こ と に 関 し て 、 ﹁ 現 行 の 地 方 区 制 が 憲 法 の 定 め る 両 院 制 の 妙 味 を 実 現 す る う え に 必 要 不 可 欠 と も 言 え る ほ ど 実 質 的 な 理 由 を も つ 制 度 で あ れ ば 格 別 、 そ う で な い と す れ ば 、 定 数 再 配 分 問 題 の 審 査 に あ た っ て 都 道 府 県 を 単 位 と す る 地 方 区 の 地 域 代 表 的 性 格 を 人 口 比 例 主 義 か ら の 大 き な 逸 脱 を 正 当 化 す る 理 由 と す る こ と は 、 い                                       ハね り わ ば 逆 立 ち の 論 理 で あ り 適 切 と は 言 い が た い ﹂ と の 批 判 、 ま た 、 ﹁ 参 議 院 地 方 区 ( 選 挙 区 ) 選 出 議 員 が 地 域 代 表 的 性 格 を も っ て い る ﹂ と い う 理 由 づ け は 、 ﹁ 憲 法 上 、 参 議 院 議 員 も 、 衆 議 院 議 員 も 同 じ く 、 ﹃ 全 国 民 の 代                                       ハお                                                             ハお ね 表 ﹄ で あ る と こ ろ が ら す れ ば ﹂ ﹁ 合 理 性 が な い ﹂ と い う 批 判 等 が あ る 。 紛   好 意 的 立 場 の 主 張   好 意 的 立 場 は 多 い と は い え な い 。 参 五 八 年 判 決 に つ い て 、 ﹁ 投 票 価 値 の 平 等 が 憲 法 原 則 と は い え 、 選 挙 制 度 の 仕 組 み の 選 択 と 密 接 に 関 連 し 、 選 挙 制 度 は 国 会 が 決 め る の で あ る か ら 、 こ の よ う な 問 題 は 、 国 民 自 身 が 決 め る べ き 政 治 問 題 と い え よ う か ら 、 , ま ず 、 そ の 是 正 は 第 一 次 的 に 国 会 の 判 断 に 任 せ る べ き で あ り 、 国 民 全 体 が そ の 是 正 を 強 く 望 ん で い る の に 国 会 が 是 正 し な い 場 合 に の み 、 司 法 が 介 入 す べ き ﹂ で あ り 、 ﹁ 最 高 裁 が 議 員 定 数 配 分 の 合 憲 違 憲 に つ き 、 厳 格 な 基 準 を 設 定 せ ず 柔 軟 に 対 応 し                         ハめ ね て い る こ と は 、 か え っ て 賢 明 ﹂ と の コ メ ン ト が あ る 。 公 選 法 二 〇 四 条 テ ク ニ ッ ク に 好 意 的 な 立 場 も 基 本 的 に 好 意 的 と 思 わ れ る 。 口   合 理 的 期 間 内 テ ク 一 一 ッ ク ω 概 説   こ れ は 、 訴 え を 公 選 法 二 〇 四 条 の 訴 訟 と し て 受 け 入 れ 、 憲 法 判 断 に 入 る 。 そ し て 、 較 差 は 合 理 的 裁 量 を 超 え て は い る が 、 合 理 的 期 間 内 に 是 正 さ れ な か っ た わ け で は な い と し て 合 憲 と す る テ ク ニ ッ ク で あ り 、 事 情 判 決 テ ク ニ ッ ク の 論 理 内 に あ る 。 多 数 意 見 で は 、 一 度 用 い ら れ た の み で あ る 。 ω   衆 議 院 議 員 定 数 不 均 衡 訴 訟   ① 最 高 裁              の ロ   衆 五 八 年 判 決 は 、 三 ・ 九 四 倍 の 較 差 に つ い て 、 ﹁ 選 挙 区 の 人 口 と 配 分 さ れ た 議 員 数 と の 比 率 の 平 等 が 最 も 重 要 か つ 基 本 的 な 基 準 と さ れ る 衆 議 院 議 員 の 選 挙 の 制 度 に お い て 、 右 較 差 が 示 す 選 挙 区 間 に お け る 投 票 価 値 の 不 平 等 は 、 国 会 に お い て 通 常 考 慮 し う る 諸 般 の 要 素 を し ん し ゃ く し て も な お 、 一 般 的 に 合 理 性 を 有 す る も の と は 考 え ら れ な い 程 度 に 達 し て い た ﹂ と し 、 合 理 的 裁 量 内 に な い と す る が 、 昭 和 五 〇 年 の 法 律 改 正 に よ っ て 較 差 は 二 ・ 九 二 倍 に 減 少 し 、 投 票 価 値 の 不 平 等 状 態 は 一 応 解 消 さ れ た と す る 。 そ し て 、 問 題 と な っ た 選 挙 は 、 昭 和 五 〇 年 改 正 法 の 公 布 の 日 か ら ほ ぼ 五 年 後 、 右 規 定 の 施 行 の 日 ( 五 一 年 一 二 月 五 日 ) か ら 約 三 年 半 後 に 行 わ れ 、 そ の 間 に 、 ﹁ 漸 次 的 に 生 じ た 人 口 の 異 動 に ﹂ よ っ て 違 憲 状 態 と な っ た も の で あ り 、 ﹁ 選 挙 区 間 に お け る 議 員 一 人 当 た り の 選 挙 人 数 の 較 差 が 憲 法 の 選 挙 権 の 平 等 の 要 求 に 反 す る 程 度 に 達 し た 時 か ら 本 件 選 挙 ま で の 問 に 、 そ の 是 正 の た め の 改 正 が さ れ な か っ た こ と に よ り 、 憲 法 上 要 求 さ れ る 合 理 的 期 間 内 に お け る 是 正 が さ れ な か っ た も の と 断 定 す る こ と は 困 難 で あ る ﹂ と 結 論 す る 。   ② 下 級 審                                の り   大 阪 高 判 昭 和 六 二 年 一 〇 月 一 二 日 に 見 ら れ る 。 ω   参 議 院 議 員 定 数 不 均 衡 訴 訟 ① 最 高 裁   参 五 八 年 判 決 ( 立 法 裁 量 テ ク ニ ッ ク で 処 理 ) と 参 六 一 年 判 決 ( 立 法 裁

(10)

253 実 中谷 量 テ ク ニ ッ ク で 処 理 ) に お け る 谷 口 意 距 に 見 ら れ る 。   ② 下 級 審   東 高 判 昭 和 五 四 年 六 月 = 二 日 、 大 阪 高 判 昭 和 五 七 年 九 月 二 八 日 に 見 ら れ る 。 ω   こ の テ ク ニ ッ ク を 支 え る 思 想 ω   代 表 観 ( 事 情 判 決 テ ク ニ ッ ク と 大 差 な し )   こ の テ ク ニ ッ ク は 、 合 理 的 裁 量 内 に な い と い う 点 ま で 事 情 判 決 テ ク ニ ッ ク と 同 じ 論 理 を と る 。 し た が っ て 、 人 口 比 へ の コ ミ ッ ト や 、 立 法 府 の 定 数 配 分 に お い て 考 慮 し う る フ ァ ク タ ー 等 に つ い て は 変 わ ら な い と い え る 。 ㈲   司 法 観 ( 立 法 府 へ の よ り 敬 譲 の 姿 勢 )   衆 五 八 年 判 決 は 、 合 理 的 期 間 内 に 是 正 さ れ な か っ た の で は な い と し た 際 、 ﹁ 選 挙 区 間 に お け る 議 員 一 人 当 り の 選 挙 人 数 ま た は 人 口 の 較 差 が 憲 法 の 選 挙 権 の 平 等 の 要 求 に 反 す る 程 度 に 達 し た か ど う か の 判 定 は ﹂ 、 ﹁ 国 会 の 裁 量 権 の 行 使 が 合 理 性 を 有 す る か ど う か と い う 極 め て 困 難 な 点 に か か る も の で あ る た め 、 右 の 程 度 に 達 し た と さ れ る 場 合 で あ っ て も 、 国 会 が 速 や か に 適 切 な 対 応 を す る こ と は 必 ず し も 期 待 し 難 い ﹂ 、 ﹁ 人 口 の 異 動 は 絶 え ず 生 じ る も の で あ る 上 、 人 口 の 異 動 の 結 果 、 右 較 差 が 拡 大 す る 場 合 も 縮 小 す る 場 合 も あ り う る の に 対 し 、 議 員 定 数 配 分 規 定 を 頻 繁 に 改 正 す る こ と は 、 政 治 に お け る 安 定 の 要 請 か ら 考 え て 、 実 際 的 で も 相 当 で も な い ﹂ と し 、 事 情 判 決 テ ク ニ ッ ク に 比 し 立 法 府 尊 重 の 姿 勢 が よ り 前 面 に 出 て い る 。 ㈹ 若 干 の 補 足 ω   地 方 議 会 議 員 定 数 不 均 衡 訴 訟 の 場 合   地 方 議 会 の 議 員 定 数 不 均 衡 訴 訟 の 場 合 に お い て 、 一 例 だ け 合 理 的 期 間 内 テ ク ニ ッ ク が 用 い ら れ て い る ( 最 判 平 成 元 年 一 二 月 二 一 日 判 時 = 二 七 七 号 二 六 頁 ) 参 照 。 ㈹   西 ド イ ツ の 違 憲 警 告 判 決 と の 類 似   こ の テ ク ニ ッ ク の 代 表 観 は 、 事 情 判 決 テ ク ニ ッ ク と 一 応 同 じ と い え る が 、 司 法 機 能 の 捉 え 方 は 、 立 法 裁 量 テ ク ニ ッ ク と 事 情 判 決 テ ク ニ ッ ク の 中 間 に 位 置 づ け ら れ よ う 。 西 ド イ ツ に お け る 違 憲 警 告 判 決 一 ﹁ 主 文 に お い て は 法 律 の 違 憲 性 を 確 認 す る こ と も し な い で 憲 法 訴 願 を 棄 却 す る が 、 判 決 理 由 の 中 で 違 憲 性 の 確 認 な い し 違 憲 性 の 強 い 疑 義 を 表 明 し 、 立 法 府                                              ぬ ソ に 対 し て 改 廃 の 義 務 を あ る こ と を 強 く 警 告 す る 方 法 ﹂ 1 も こ の よ う な 司 法 観 を 内 在 さ せ て お り 、 事 情 判 決 テ ク ニ ッ ク と の 類 似 性 が 指 摘 さ れ る 。 実 際 、 衆 五 八 年 判 決 は 、 ﹁ 選 挙 区 間 に お け る 本 件 選 挙 当 時 の 投 票 価 値 の 較 差 は 憲 法 の 選 挙 権 の 平 等 の 要 求 に 反 す る 程 度 に 至 っ て い た も の で あ る か ら 、 議 員 定 数 配 分 規 定 は 、 公 職 選 挙 法 別 表 第 一 の 末 尾 に 、 五 年 ご と に 直 近 に 行 わ れ た 国 勢 調 査 の 結 果 に よ っ て 更 正 す る の を 例 と す る 旨 規 定 さ れ て い る こ と に も 照 ら し 、 昭 和 五 〇 年 改 正 法 施 行 後 既 に 約 七 年 を 経 過 し て い る 現 在 、 で き る 限 り 速 や か に 改 正 さ れ る こ と が 強 く 望 ま れ る ﹂ と し 、                                 ハお   修 論 に お い て 違 憲 の 警 告 を 発 し て い る 。 の   こ の テ ク ニ ッ ク を め ぐ っ て 川 批 判 的 立 場 の 主 張   合 理 的 期 間 内 テ ク ニ ッ ク は 、 よ り 積 極 主 義 の 処 理 を 求 め る 立 場 か ら 批 判 を 受 け る 。 ﹁ ﹃ 合 理 的 期 間 ﹄ 自 体 、 基 準 と し て か な り あ い ま い で あ り 、 ど の よ う な 要 素 を ど の 程 度 考 慮 で き る か 論 理 的 に つ め る 作 業 が 必 要 ﹂ 、 ﹁ 違 憲 状 態 を 前 提 と し た 猶 予 期 間 と み る か ぎ り 、 相 当 な 限 定 が な さ れ な             ハお   け れ ば な る ま い ﹂ と い う コ メ ン ト 、 衆 五 八 年 判 決 に 関 し て 、 ﹁ 違 憲 状 態 は 昭 和 五 〇 年 法 改 正 に よ っ て 解 消 さ れ ず 、 若 干 縮 小 さ れ た に せ よ 従 前 か ら の 違 憲 状 態 が 継 続 し て 存 在 す る と い う こ と に な る か ら 、 本 件 の 場 合 ﹃ 合 理 的 期 間 ﹄ は ど う の 昔 に 経 過 し て し ま っ て お り 、 問 題 に す る 余 地 が な い ﹂ 、 ﹁ こ の よ う な 判 決 方 法 は 、 最 初 は 合 憲 の 定 数 配 分 が は じ め て 違 憲 状 態 に 達 し た と き に 提 起 さ れ た 訴 訟 に つ い て な ら ば 、 お そ ら く 適 正 で あ り 、 説 得 力 を も っ た ﹂ が 、 ﹁ 今 の 段 階 で の こ の 判 決 方 式 は 過 度 の 自 己 抑                           ハ  り 制 で あ り 、 適 切 と は 思 わ れ な い ﹂ と の 批 判 、 そ の 他 、 違 憲 警 告 判 決 に つ い て 、 ﹁ ひ と つ 扱 い を 間 違 え る と 、 本 来 違 憲 な の に 違 憲 の 宣 告 を 猶 予 す る と い う と こ ろ だ け が 機 能 し て し ま っ て 、 む し ろ 違 憲 審 査 制 の 本 来 果 た

(11)

「わが国 にお ける議員定数不均衡をめ ぐる司法消極主義 と積極主義 」 252                                                                   (35 } す べ き 役 割 か ら す る と 邪 道 に 陥 っ て い く 危 険 性 が 含 ま れ て い る ﹂ と い う 批 判 も あ る 。 さ ら に 、 ﹁ 西 ド イ ツ で は 違 憲 判 決 に 一 般 的 効 力 が 認 め ら れ て い る た め 警 告 に と ど め ざ る を 得 な い と い う 事 情 が あ る ﹂ が 、 ﹁ わ が 国 の 場 合 は 個 別 的 効 力 説 が と ら れ て い る た め 、 特 に こ の よ う な 判 決 を す る 必 要 性 は 一 般 的 に な ﹂ く 、 ﹁ こ の な お 書 き に 特 別 の 法 的 効 力 が 認 め ら れ               (36 V る わ け で も な い ﹂ と い う 指 摘 が あ る 。 ω   好 意 的 立 場 の 主 張   合 理 的 期 間 内 テ ク ニ ッ ク は 、 事 情 判 決 テ ク ニ ッ ク の 論 理 内 に あ る と は い え 、 実 際 は 、 ず っ と 立 法 府 尊 重 の 姿 勢 を 内 在 さ せ て い る 。 し た が っ て 、 ﹁ 合 理 的 期 間 論 に お い て も 司 法 の 自 己 抑 制 の 原 理 ( 司 法 消 極 主 義 ) が 窺 わ れ る ﹂ 、 ﹁ 長 い 期 間 に わ た る 立 法 過 程 の 当 否 を 法 的 に 判 断 す る こ と が 困 難 で あ る た め 、 司 法 判 断 に 限 界 が 存 す る ﹂ 、 ﹁ 本 件 で 、 裁 判 所 が 司 法 の 自                                                                   (37 } 己 抑 制 の 原 理 ( 司 法 消 極 主 義 ) を 要 請 し た の は 合 理 性 が 存 す る ﹂ と い う よ う に 、 立 法 裁 量 テ ク ニ ッ ク に 好 意 的 な 立 場 か ら プ ラ ス の 評 価 を 受 け る こ と に な る 。 そ の 他 、 コ 般 論 と し て い え ば 、 違 憲 審 査 制 が 立 法 府 と の 問 の 非 常 に 高 度 の 権 限 分 配 の 問 題 と 絡 ま っ て い て 、 双 方 の 立 場 を 考 慮 し な け れ ば な ら な い と い う こ と を 考 え ﹂ る と 、 ﹁ 違 憲 警 告 判 決 の 方 法 は 非 常 に 有 意 義 な 手 法 な の で は な い 樋 ﹂ と い う コ メ ン ト も 見 ら れ る 。 ( 1 )   そ の 他 、 最 判 昭 和 五 四 年 一 二 月 二 四 日 は 、 解 散 に よ っ て 訴 え の 利 益 が 消 滅 し た と し て     却 下 し た 。 ( 2 )   芦 部 教 授 は 、 ﹁ 違 憲 判 断 と 選 挙 無 効 と を 切 断 す る た め の 技 術 ﹂ と 評 す る 。 芦 部 信 喜 ・     憲 法 訴 訟 の 現 代 的 展 開 一 以 下 、 ﹁ 展 開 ﹂ と 略 す 1 三 四 五 頁 ( 一 九 八 一 ) 。 教 授 は 、 か     つ て 、 こ の テ ク ニ ッ ク を 示 唆 し て い た 。 芦 部 信 喜 ・ 憲 法 訴 訟 の 理 論 -以 下 、 ﹁ 理 論 ﹂     と 略 す 1 二 〇 三 頁 ( 一 九 七 三 ) 。 そ の 他 、 ﹁ 憲 法 は 、 一 票 の 価 値 の 平 等 を も 要 求 し て ﹂     お り 、 違 憲 で あ る が 、 ﹁ 現 在 の 訴 訟 制 度 の も と で は 、 判 決 で 右 の 違 憲 性 を 有 効 に 判 示 す     る 場 所 が な い ﹂ と の コ メ ン ト が あ る 。 田 中 真 次 ﹁ 議 員 定 数 の 選 挙 区 へ の 配 分 の 不 平 等 と     選 挙 の 無 効 ﹂ 判 例 評 論 一 七 七 号 ( 判 時 七 一 七 号 ) = 一= 頁 ( 一 九 七 三 ) 。 ( 3 )  中 谷 実 ・ ア メ リ カ に お け る 司 法 積 極 主 義 と 消 極 主 義 -民 主 主 義 と 違 憲 審 査 制 の 相 剋     -三 〇 四 頁 ( 一 九 八 七 )。 ( 4 ) 芦 部 ・ 前 出 注 ( 2 ) ﹁ 展 開 ﹂ 三 〇 九 頁 。 こ の よ う な 発 想 は 、 ﹁ ア メ リ カ 型 の 違 憲 審 査 制     も 、 伝 統 的 な ﹁ 私 権 保 障 型 ﹂ の そ れ か ら 、 違 憲 状 態 の 下 に お か れ た 不 特 定 多 数 人 の 人 権     保 障 と い う 一 種 の 憲 法 裁 判 的 機 能 を も 果 た す こ と が 期 待 さ れ る ﹁ 憲 法 保 障 型 ﹂ の そ れ に     変 容 し て き た ﹂ と い う 認 識 に 基 づ い て い る 。 ( 5 ) 矢 野 邦 夫 ﹁ 選 挙 区 へ の 議 員 定 数 配 分 の 不 平 等 と 選 挙 の 効 力 ﹂ 判 例 評 論 一 = ○ 号 ( 判 時     八 一 六 号 ) 一 二 七 頁 ( 一 九 七 六 ) 参 照 。 ( 6 )   田 口 精 一 ﹁ 議 員 定 数 の 不 均 衡 と 平 等 原 則 ﹂ 阿 部 照 哉 編 ・ 判 例 演 習 講 座 憲 法 四 〇 頁 ( 一     九 七 四 ) 。 そ の 他 、 青 木 一 男 ﹁ 国 会 議 員 定 数 配 分 規 定 の 違 憲 問 題 の 基 本 点 に つ い て ﹂ ジ     ュ リ ス ト 六 八 ○ 号 九 二 頁 ( 一 九 七 八 ) 参 照 。 ( 7 )   田 口 精 一 ﹁ 選 挙 争 訟 の 性 質 ﹂ 小 嶋 和 司 編 ・ 憲 法 の 争 点 ( 新 版 ) 一 六 六 頁 ( 一 九 八 五 ) 。     そ の 他 、 ﹁ 参 議 院 を 加 え て 、 こ の 問 題 を 矛 盾 な く 解 決 す る た め に は 、 議 員 定 数 の 不 均 衡     問 題 は 一 四 条 の 憲 法 問 題 で は な く 、 国 会 の 裁 量 に 委 ね ら れ た 高 度 の 政 治 問 題 で あ る と 理     解 す る ほ か は な い 。 政 治 問 題 に も 、 合 理 性 は 要 求 さ れ る ﹂ 、 ﹁ 合 理 性 の 限 界 に 問 題 が あ っ     て も 、 そ れ は 国 会 の 扱 う 問 題 で あ り 、 世 論 の 問 題 で あ り 、 時 と し て 政 策 問 題 と し て 選 挙     の 場 で 争 う こ と も で き る が 、 司 法 の 対 象 と す べ き も の で は な い ﹂ と い う 主 張 も あ る 。 青     木 ・ 前 出 注 ( 6 ) 九 七 頁 。 ( 8 )   青 木 ・ 前 出 注 ( 6 ) 九 四 頁 。 さ ら に 、 ﹁ 人 権 の 立 場 か ら 選 挙 権 の 平 等 と い う こ と は 一 人     一 票 と い う こ ど で あ る ﹂ 、 ﹁ 投 票 価 値 の 結 果 的 平 等 と い う こ と は 観 念 論 で あ っ て 、 立 候 補     者 が 多 い か 、 あ る い は 棄 権 者 が 多 け れ ば 、 千 葉 県 第 一 区 の 候 補 者 も 兵 庫 県 第 五 区 の 候 補     者 よ り 少 な い 得 票 で 当 選 す る 可 能 性 も あ る ﹂ 、 ﹁ 選 挙 区 に よ っ て 議 員 数 と 人 口 と の 比 率 に     格 差 が あ る と し て も 、 そ れ は 、 あ る 選 挙 区 が 優 遇 さ れ 、 あ る 選 挙 区 が 冷 遇 さ れ る と い う     政 治 問 題 で あ っ て 、 選 挙 人 個 人 の 投 票 権 に 格 差 が あ る と い う こ と で は な い ﹂ と い う 。 そ     の 他 、 = 選 挙 区 に お い て 、 選 挙 人 の 投 票 が 当 該 選 挙 区 に お け る 候 補 者 の 当 落 と い う 結     果 に 影 響 す る た め に 平 等 な 価 値 を 持 て ば 、 投 票 に お け る 価 値 の 平 等 は 充 分 に 保 障 さ れ る 。     日 本 国 憲 法 の 定 め る 平 等 の 原 則 が 要 請 す る の は こ こ ま で で あ り 、 そ れ 以 上 に 立 ち 入 ら な     い ﹂ と い う コ メ ン ト も あ る 。 野 村 敬 造 ﹁ 選 挙 に 関 す る 憲 法 上 の 原 則 ﹂ 清 宮 四 郎 11 佐 藤 功   編 ・ 憲 法 講 座 三 巻 = 二 七 頁 ( 一 九 六 三 ) 。

参照

関連したドキュメント

リカ民主主義の諸制度を転覆する﹂ために働く党員の除名を定めていた︒かかる共産党に対して︑最高裁判所も一九

続が開始されないことがあつてはならないのである︒いわゆる起訴法定主義がこれである︒a 刑事手続そのものは

中南米では歴史的に反米感情が強い。19世紀

治的自由との間の衝突を︑自由主義的・民主主義的基本秩序と国家存立の保持が憲法敵対的勢力および企ての自由

A︑行政取締違反に関する刑罰法規︒たとえば︑フランスでは︑一般警察行政︵良俗︑公共の安全︑公衆衛生︶に

38  例えば、 2011

このように資本主義経済における競争の作用を二つに分けたうえで, 『資本

   立憲主義と国民国家概念が定着しない理由    Japan, as a no “nation” state uncovered by a precipitate of the science council of Japan -Why has the constitutionalism