心臓血管外科
1.2013年度目標 1)安全性の確保 十分な術前検討のもと、様々な習熟段階の医師、ME、看護師、理学療法士がチームとして医療に当 たることで、侵襲的な治療における安全性を確保する。 2)専門性の高い医師の育成 臨床、学術両面に置いて、情報の収集、発信を行っていく。 2.2012年度評価 1)手術症例数は倍増した。近隣の医師、施設との連携を強化した結果と思われる。 2)ステントグラフト指導医2名、実施医2名育成した。 3.特徴 米国で10数年にわたり心臓外科を修練・実践していた外山雅章医師が1983年に心臓血管外科を開設 し、米国の医療の良い部分を十分取り入れ、専門性を重視し安全で確実な診断と治療を行っている。 患者さまは、首都圏は元より全国各地からも来られ満足度の高い治療を受け社会復帰されている。 医師及び看護師・臨床工学士も病院のすぐ近くに在住し、24時間・365日いつでもベストの治療が出 来ることを基本としている。 4.スタッフ構成・紹介 → 亀田メディカルセンターホームページ スタッフ紹介へ http://www.kameda.com/medi_services/information.php?d=27&i=6 5.診療内容 狭心症や心筋梗塞など虚血性心疾患の安全な外科治療を1980年代初頭に確立し、首都圏から評価を 得て以来、長期的予後(グラフトの長期開存)の改善と低侵襲手術を目標にしてきた。長期予後の改 善ではグラフトの開存性を高めるためほぼ全例に動脈グラフト(内胸動脈、胃大網動脈、橈骨動脈な ど)を使用している。低侵襲手術では心拍動下のバイパスが行われ、合併症が予測されるケースには 特に積極的に行っている。 弁膜疾患では、弁形成術を第一選択とし、形成不可能な場合に弁置換術を行うことにしており、再 手術の可能性が将来(10~15年後)にあってもそれまでのQuality of Life(QOL)を優先するような手術を推進している。但し、この点においては患者さまとの話し合いを徹底的に行って手術法を決定し ている。 大動脈疾患では基本的手技をベースに脳合併症や脊髄合併症の発生率を極力低下させる方法を採用 している。 不整脈の外科治療としては、慢性心房細動を中心とした不整脈にメイズの手術を施行し、90%以上 に洞調律を得ておりQOLの向上に役立っている。その他の手術として末梢血管手術で、下肢の血行再建 や頸動脈内膜剥離術も行っている。 昨年度は緊急手術症例数が増加したが、two operator体制で安定した医療を提供してきた。 ここ数年で治療体系が激変したのが、大動脈瘤や末梢血管の治療である。2011年は、当科の大きな 転換期で、大動脈瘤に対しては、ステントグラフトによる治療、末梢血管に対してはステントを第1 選択とする、血管内治療を開始した。大動脈瘤治療は80%がステントグラフトを用いた治療となり、更 に今までは手術適応とされなかった重症例、合併症例に対しても治療が可能となった。末梢血管に対 しては、重症虚血肢に対する治療も開始し、血管内治療とdistal bypass術との良い部分を生かしなが ら、形成外科チームとも協調して救肢を目指している。 6.手術実績 病院の在る地域の特殊性(高齢者、未治療糖尿病、高血圧の患者など)から全身状態の悪い患者さ まが多いことが特徴。冠動脈バイパス術は緊急手術例を除き死亡ゼロの年がほとんどである。弁膜疾 患の手術では、僧帽弁形成術とメイズの手術の合併によりQOLの高い結果を出しており、手術死亡はゼ ロである。大血管では緊急手術となるA型解離の手術以外では脳合併症や手術死亡はほとんどなく良好 な結果である。 弓部大動脈瘤に対するステントグラフトを用いた治療は、当院に特徴的なものであり、良好な成績 と低侵襲性を提供できた。 7.症例数 症例数(2012年) 413例 うち、心臓・大血管の手術 228例 主な手術は、冠動脈バイパス術64例、僧帽弁・大動脈弁の手術62例、胸部・腹部の大動脈瘤手術80例、 その他22例 うち、末梢血管・その他手術 185例
8.教育 心臓血管外科専門研修のプロトコールは、10数年前に部長が作成してから基本的に変わっていない。 但し、大学からの研修希望者に対しては、一人一人のバックグランドを考慮し対応している。 → 亀田メディカルセンター研修医募集サイト 診療科別プログラムへ http://kameda-resident.jp/senior/examination/surgery/surgery04.html 心臓血管外科手術件数 各年1月~12月の集計です 術 式 2010年 2011年 2012年 冠動脈バイパス術 47 41 74 大動脈弁 28 31 50 形成術 0 0 3 置換術 28 31 46 弁輪形成術 0 0 1 僧帽弁 20 23 37 形成術 8 11 16 置換術 10 8 13 弁輪形成術 2 4 8 三尖弁 5 10 20 形成術 0 0 0 置換術 0 1 0 弁輪形成術 5 9 20 大動脈瘤人工血管置換術 46 50 43 胸部 16 20 21 腹部 30 30 22 ステントグラフト内挿術 0 20 44 胸部 0 7 17 腹部 0 13 27 先天性心疾患手術 2 3 10 メイズ手術 7 6 10 心嚢ドレナージ 2 5 3 血栓・塞栓除去術 12 9 17 動脈バイパス術 9 18 34 下肢静脈瘤手術 0 39 134 経皮的血管形成術 0 4 7 その他 57 55 141 計 235 314 624
9.学術関係 1)学会・研究会発表 加藤雄治:『弓部大動脈瘤に対するTEVARにおけるembolic protection』 第42回日本心臓血管外科学会学術総会 2012年4月18日~20日 古谷光久:『急性大動脈解離に対する弓部置換症例におけるTriplexの有用性』 第42回日本心臓血管外科学会学術総会 2012年4月18日~20日 加藤雄治:『腹部大動脈瘤に対するステントグラフト内挿術施行後にDVTを発症した一症例』 第40回日本血管外科学会学術総会 2012年5月23日~25日 村上貴志:『3Fr.sheathを用いたPopliteal punctureによる浅大腿動脈閉塞病変の治療』 第40回日本血管外科学会学術総会 2012年5月23日~25日 村上貴志:『内視鏡補助下MIDCAB』 第19回岡山心臓血管外科カンファレンス 2012年7月21日 村上貴志:『Rutherford4.5はEVT first』 TOPIC2012 2012年7月26日~28日 村上貴志:『胸腔鏡補助下MIDCAB』 第25回日本内視鏡外科学会総会 2012年12月6日~8日 安健太 :『左上肢のシャントがLITAの血流に与える影響についての検討』 第26回日本冠疾患学会学術集会 2012年12月14日~15日 川堀真志:『低心機能による左室内血栓3例の血栓摘出術の検討』 第27回心臓血管外科ウインターセミナー学術集会 2013年1月23日~25日 安健太 :『腕頭動脈瘤破裂発症後、上大静脈症候群を来した1例』 第40回日本集中治療医学会学術集会 2013年2月28日~3月2日 村上貴志:『Chimney graft techniqueを用いたZone 0へのTEVAR』
第10回せとうち心臓血管外科セミナー 2013年3月30日
2)原著論文
村上貴志:『冠動脈バイパス術後の大動脈弁狭窄症に対し、PORT ACCESS 右小開胸アプローチにて 大動脈弁置換術を施行した1例』
日心外会誌41巻6号:320-322(2012) 村上貴志:『Aspergillus endocarditis in a native valve without prior cardiac surgery』