ワー クショップ1 専門 職 としての 助 産実践 の エビデ ンスの 模 索
根 拠 に基づ く助産 ケア の実践
座長 天使大学大学院助産研究科柳原
真知子
琉球大学宮城
万里子
助 産師教 育 が専 門職 教育 か と問 われ て い る昨今 、専 門職 と して助 産 師が社 会 的 に応 えてい くた め に助 産実 践 のエ ビデ ンス の討議 は タイ ム リー な こ とであ る。 助産 師 が専 門職 であ るため には、 専門職 にふ さわ しい技 能が修 得 され て い な けれ ばな らな い。専門職 の技 能 につ いて、フ レックスナー(Flexner, A)1は1910年 の報 告 書 の 中で 、 「体 系的知 識が 現場 で応用 で き るよ うに実 践 的性 格 を持 って い る」こ と、「特別 な技 術 あ るい は技 能 を要す るだ けでな く、知識 だ けで事 態 に対 処 で きない場 合 には獲 得 した技 能 に よ って物事 に対処 で き る」 ことを指摘 して い る。 こ こで は 、体系 的知 識 の実 践 性 と多様 な状 況 へ の対処 能 力につ いて触 れ られ て いる。実 践 と結 びつ い た体系 的知 識 の修 得 は、 アル ゴ リズム的 学 習 で は不十分 で あ り、経 験 に よ り紡 がれ た多様 な文脈 の学び か ら構築 され た知 識 とそ の知 識 の 検 証 に よ り促 され るだ ろ う。 医学 で提案 され たEBMの 発 想 は、 医学 の進 歩 の 中で検 証 され た知識 を活用 せ ず過 去 の知 識 や経験 の反 復 とい う診 療 行為 の克服 に あ った。 これ は、助 産 師 にお い て も同様 で 、最 新 の 検 証 され た知 識 に よ りケ アをお こな うこ とは 専 門職 者 の義 務であ る。 ま た他 方 、助産 実 践 に 埋 もれ てい る 「暗 黙知 」的 な知識 を言 語 化 し検 証す る こ とは 、助産 師 が築 い て きた 専門 的技 能 を知 識の体 系 の 中に紡 ぐみ 、助産 師 の専 門性 を高 める こ とにな る。 実践 の裏づ け とな る検証 された新 しい知 識 の リサー チ と経 験 の 中で学 ばれ た 「暗 黙知 」的知 識 の検 証は 、エ ビデ ンス に基 づ いた実 践や 多様 な 状況 で の適 切 な助 産 ケ アの提 供 を可能 にす るだ ろ う。 そ して エ ビデ ンスに も基づ いた 実 践 は、 なに よ りもケア の質 の向 上 を保 障 す るも のでな けれ ばな らない。 今 回 の ワー クシ ョップで、助 産 実践 のエ ビデ ンス につ い て討議 され る こ とに よ り助 産 ケ ア の実践 的能 力の 向上へ と連動 する こ とを期待 す る。 1 山 田礼 子:プ ロ フ ェ ッ シ ョナ ル ス クー ル ,玉川 大 学 出版 部,1998, 54 日本 助 産 学 会 誌 第18巻 第3号(2005.3)ワー クショップ1専 門 職 としての助 産実 践のエビ デ ンスの 模索
新 生児 ケ ア につ い て:
新 生児 ・乳児 の生活 リズ ムお よび睡 眠 リズ ムの研 究 か ら
演者 浜松 医科大学医学部看護学 科 島 田 三 恵 子 根 拠 に基 づ く助 産 ケ ア を新 生 児 ケ ア の 実 践 に応 用 す る 方 法 に つ い て 、 研 究 を通 して報 告 す る役 割 を仰 せ つ か りま した 。 しか し、 新 生 児 ケ ア 全 般 の研 究 を して 来 て お りま せ ん の で 、 育 児す る産 後 の 母 親 に と って 重 要 な新 生 児 ・乳 児 の 生 活 リズ ムや 睡 眠 リズ ム 等 リズ ム に 関連 す る限 られ た 分 野 の 研 究 に つ い て2,3報 告 致 しま す 。 産後 の母 親 に とっ て 乳 児 の 不 規 則 な 睡 眠や 授 乳 に よ る 心 身 の 疲 労 は 育 児 不 安 の誘 因 とな り 得 ます 。 多 くの 育 児 書 に乳 児 は 殆 ど1日 中 眠 っ て い る と記 され て い ま す が 、 現 実 に は 育 児 書 ほ どに は 眠 らな い の で 、 乳 児 の 睡 眠 不 足 を 心 配 して 、 泣 い て もい な い の に 「うち の 子 は あ ま り寝 な い 」 「母 乳 が 足 りな い の で は な い か 」 と退 院 直 後 の 母 親 が 不 安 を訴 え る場 面 に遭 遇 し ます。0∼11カ 月 児 の 睡 眠 記 録 を 行 っ た 結 果 、 生 後0カ 月 の 新 生 児94名 の1日 の 合 計 睡 眠 時 間 は14.1±1.7時 間 、そ の うち 夜 間 睡 眠 時 間 は7.6±0.8時 間 で 、こ れ ま で の 日本 の 報 告 よ り1∼2時 間 短 縮 して い ま した 。1カ 月 過 ぎか ら半 数 の 乳 児 が ほぼ 同 時 刻 に 入 眠 す る1日 リ ズ ム が 出 来 始 め て夜 間 の3時 半 頃 ま で 眠 り、2カ 月 過 ぎか ら90%の 乳 児 が1日 リズ ム を確 立 して朝 方5時 半 頃 ま で 持 続 して 眠 り、3カ 月 で100%の 乳 児 に1日 リズ ム が確 立 され て い ま した。4カ 月 で1日12.2時 間 とな っ て い ま した。 母 親 に こ の よ うな発 達 の 見 通 し を与 え て 、 そ れ ま で は 乳 児 と共 に 寝 起 き す る育 児 の 生 活 リズ ム を助 言 す る こ とが 大 切 と考 え られ ます 。 この よ うな1日 リズ ム を確 立 で き な い8名 の乳 児 を対 象 と し、 ヒ ト成 人 お よび 動 物 実 験 か ら理論 的 に 可 能 な 次 の 育 児 指 導 を試 み ま した 。 ① 昼 は 明 る い場 所 に 、夜 は 照 度 を 下 げ る か 消 灯 し、 明 暗 周 期 を付 け る。 ② 昼 間 、 親 な ど家 族 や 周 囲 の 人 達 との 接 触 を多 くす る。 ③ 午 前 中 に無 理 に 覚 醒 させ 、 日光 浴 等 で 生 体 リズ ム の 位 相 を前 進 させ る 。 人 工 乳 を 与 え る 場 合 に は 、 昼 間 の ミル ク補 充 量 を少 な め に して 覚 醒 させ る。④ 昼 間 、楽 し く遊 ばせ て 覚 醒 レベ ル を高 め 、 覚醒 時 間 を 長 くす る。 ⑤ 日中 、 戸 外 で 散 歩 や 運 動 を させ て 、 適 度 に疲 労 させ る。 ⑥ 就 寝 前 に 沐 浴 す る。 ⑦ 規 則 的 な 食 生 活 を させ る。 ⑧ 親 自身 が 規 則 正 しい 生 活 を す る。 そ の 結 果 、7名 が1日 リズ ム を確 立 し、昼 夜 の 明 暗 周 期 、 食 事 、 日光 浴 、 日 中 の遊 び や 運 動 、 入 浴 時 間 の 他 に 、親 自身 の 生 活 リズ ム ・規 則 的 な 接 触 ・養 育 時 間 な どの 社 会 的 因子 の 調 整 に よ り、乳 児 の 規 則 的 な 生 活 リズ ム の 確 立 が 可 能 で あ る事 が 示 唆 され ま した 。 こ の他 、 光 線 療 法 に お け る 睡 眠 リズ ムや 内分 泌 系 へ の 副 作 用 の有 無 を検 証 した 研 究 に関 し て ご報 告 致 します 。ワークシ ョップ1 専門 職 として の助 産実 践 の エビデ ンス の模 索
産 婦 の ケ ア に つ い て:
分娩時 の会陰損 傷 をで き るだ け防止 す るた め に
演者 東京慈恵会医科大学医学部看護学科 島 田 真 理 恵 は じめ に 日本 の 助 産 師 は 、分 娩 時 の 会 陰 損 傷 を 防 止 す る た め に様 々 な 努 力 を 行 っ て き た が 、 現 代 の 病 産 院 で は 、会 陰 切 開術 をル ー テ ィ ー ン に 行 い 、 分 娩 時 の 会 陰 損 傷 は あ る 程 度 しか た が な い も の と捉 え られ て い る 場 合 も少 な く な い。 しか し、会 陰 切 開 術 や 会 陰 損 傷 が 女 性 に 及 ぼ す 影 響 は大 き く、正 常 産 を ケ アす る助 産 師 が 、 会 陰 損 傷 防 止 の た め の策 を で き るだ け 多 く もつ こ と は 、 女 性 に よ りよ い ケ ア を 提 供 す る うえで 重 要 と考 え られ る。 この よ うな 思 い か ら行 っ た 私 の研 究 を報 告 した い 。 会 陰 損 傷 に よ る後 遺 症 の 実 態 「会 陰 切 開 す る の と同 じ く ら い切 れ ち ゃ うん な ら、 最 初 か ら切 っ た ほ うが い い で し ょ。 」 とい う言 葉 を 口に す る助 産 師 も多 い 。 本 当 に そ うな の か とい う疑 問 を も と に 、 第1度 会 陰 裂 傷 お よび 第2度 会 陰 裂 傷 と な っ た 褥 婦 、 会 陰 切 開 術 を 受 け た 褥 婦3群 に つ い て 、 産 後 の 創 部 痛 や 生 活 上 の 支 障 を比 較 した。 そ の 結 果 、 第1度 裂 傷 群 は 切 開 群 よ り痛 み や 後 遺 症 が 軽 度 で あ る こ と、 第2度 裂 傷 群 は 切 開 群 と大 き な 差 は な い が 、 切 開 群 よ り も重 度 な 後 遺 症 とは な ら な い こ と、 損 傷 の 程 度 に か か わ らず 、 褥 婦 は 不 快 感 や 不 安 を 感 じて い る こ とな どが 明 らか と な った 。 これ らの 結 果 と先 行 研 究 の 結 果 で あ る 、 切 開 した 場 合 の ほ うが 第3、 第4度 の 裂 傷 が発 生 す る確 率 が 高 い とい う こ とを 考 え あ わ せ る と、 会 陰 切 開術 は で き る だ け避 け た ほ うが よ く 、裂 傷 もで き るだ け 軽 度 に な る よ う、 検 討 して い くべ き で あ る と思 わ れ た 。 妊 娠 中 に 行 う会 陰 部 自 己 マ ッサ ー ジ の 効 果 に 関 す る研 究 現 在 、 妊 娠 後 期 に行 う会 陰 部 自己 マ ッサ ー ジ は 、諸 外 国 で 、 会 陰 損 傷 を 予 防 す る 方 策(先 行 研 究 で は 初 産 婦 に効 果 が 認 め られ て い る)と して 注 目 され て い る 。 日本 で も 一 部 の 助 産 院 や 病 産 院 で 、妊 婦 に指 導 され て い る こ とか ら、 効 果 に 関 す る無 作 為 化 比 較 試 験 を 行 った 。 こ の研 究 で は 、 大 き な 裂 傷 と胎 児 仮 死 が 予 想 され る時 の み 切 開 を 施 行 す る方 針 の 一 病 院 で 、分 娩 台 で セ ミ フ ァー ラー 位 に な り、 助 産 師 の 介 助 を受 け て 分 娩 す る初 産 婦 の ① 会 陰 切 開 率 が 減 少 す る か 、 ② 会 陰 損 傷 が 軽 度 に な る か を評 価 した が 、 明 らか な 効 果 は認 め られ な か っ た 。 こ の結 果 に は 、 検 出 力 の 不 足 が影 響 して い る こ と も考 え られ る た め 、今 後 、 さ らな る研 究 を重 ね て い く予 定 で あ る。 56 日本 助 産 学 会 誌 第18巻 第3号(2005.3)ワークショップ1 専門 職 としての 助 産実 践 のエ ビデ ンス の模 索
産 婦 の ケ ア に つ い て:
身体計 測法 を用 い た根拠 の助産実践 へ の応 用
軟 産 道 と骨産道 の計測研 究 に基 づい て
-演者 神奈川県立保健福祉大学 村 上 明美 開業助 産 師 の 「技 」 の卓 越 性 を認 め る人 は 多 い が 、そ の 技 の解 明や 科 学 的検 証 は ほ とん ど され て い ない の が 現 状 で あ る。 これ まで 開 業助 産 師 の技 は 、 経験 的 な独 自の技 と して あ ま り 公 に され て こな か っ た。 開業 助 産 師 そ れ ぞれ の技 を 、実 践 の場 で働 く助 産 師 の誰 に で も共 通 理解 で き る よ うに 説 明す る こ とは大 き な課題 と され てい る。 私 の研 究 活 動 は 、今 思 え ば卓 越 した 実 践能 力 を有 す る何 人 か の 開業 助 産 師 との 出会 い か ら 始 ま った とい え るだ ろ う。助 産 院 で の 出産 に 同席 させ て も ら うた び に 、「ど う して 会 陰 裂 傷 を (あま り)作 らず に児 頭 を娩 出 させ られ るの だ ろ う。 産 婦 に よっ て分 娩 介 助 のや り方 が 違 う と思 うのだ け ど。い っ た い何 が起 こ って い るの か し ら」と感 じて い た 。結 局 、そ れ がResearch Questionと な って 、軟 産 道(特 に外 陰 部)の 形 態 変 化 を計測 す る研 究 に取 り組 む こ とに つ な が って い った。 実 際 の研 究活 動 で は 、産 婦 の 外 陰部 にマ ー キ ン グ を し、 それ を継 続 的 に 撮 影 して い く とい う突拍 子 もな い方 法 を用 いて デ ー タを収 集 した 。 デ ー タを帰 納 的 に分析 す る過 程 で 見 えて き たの は、 驚 い た こ とに現 在 助 産 師 の 多 くが興 味 を抱 い て い る分 娩 姿 勢 との 関 連 で あ っ た。 そ して 、そ の 分析 結 果 を も とに開 業 助産 師 の分 娩 介 助 技 法 の解 析 を試 み る と、 開 業助 産 師 が言 葉 で表 して い な い、 あ る いは 言葉 で は表 せ な い分 娩介 助 の助 産 実 践 に つ い て 、 面 白い ほ ど論 理 的 に説 明す る こ とが で きた。 次 に取 り組 ん だ研 究 で も、 姿勢 と産 道 につ い て継 続 す る こ とに こだ わ りが あ っ た。 そ こで 変数 を 「骨 産 道 」 と 「姿 勢 」 に 焦 点化 し、解 剖 学 や 臨床 医学 の領 域 で 行 わ れ て い る多 くの先 行研 究 を も とに 、両 変 数 の 関係 に つ い て仮 説 を設 定 し、検 証 す る とい う演 繹 的 な方 法 を 用 い た。 この とき は最 初 か ら理 論 的 前提 を 明確 に して い た た め 、揺 ら ぐ こ とな く研 究活 動 を遂 行 で き、拠 り所 とな る理 論 的 前提 の大 切 さを実感 した。 こ の研 究 で の 大 き な収 穫 は 「産 婦 は 姿 勢 を変 え る こ とで 、 自 己の分 娩 経 過 を コ ン トロール で き る」 とい う産 婦 の 主体 性の 大切 さに た ど り着 け た こ とだ ろ う。 だ か らこそ 産 婦 の 主 体性 を支 え る助 産 実 践 が 考 察 で き た と思 う。 ワー ク シ ョ ップ で は 、 上述 した2つ の研 究 結 果 を も う少 し詳 細 に示 しな が ら、 それ ら を具 体 的 に どの よ うな 助 産 実 践 に応 用 して い った ら よい の か を述 べ た い と考 えて い る。ワー クショップ1専 門職 としての 助 産実 践 の エ ビデ ンスの 模 索
妊 産 婦 の ケ ア に つ い て:
質的研 究 は助産 ケアの根拠 にな り得 るか
演者 日本赤十字看護大学 谷 津 裕 子 追究 した い現象 が、数値 化や 測 定 にあ ま りマ ッチ しな い 性質 の もの で あ る とき、私 た ちは 現 象 を こ とばに置 き換 え、質 的 に分 析 を します 。研 究結 果 が数 量化 して表 され ない分 、 い ま 一つ説得 力 に欠 けて、助産ケアの根拠にす るにはどことなく頼 りなげに思われがちな質的研 究です が、 実際 は ど うなの で し ょ うか。 ポイ ン トを明確 にす るた め、こ こで 「ケ ア」につ いて 大雑 把 な分 類 を試 み た い と思 います 。 ● 助産 ケ ア とは何 か 「ケア」 とい う場面 の訪れ は、 いっ も突 然 です。 どん なに準備 や 計画 が な され よ うと も、 実際 に妊 産婦 に対 面 した途端 にす べ ての変 更 が余儀 な くされ得 る もの 、それ が ケア です。 決 して繰 り返 され る こ とのない 、一 回限 りの 出来事 で はあ ります が 、私た ち助 産 師 は その 一瞬 一瞬 に魂 を込 めて妊産婦 とか かわ って い ます 。 「ケア」 は また、何 らか の文 脈 の なか で生 まれ ます。 妊産 婦 と助産 師 は あ る 目的 性に彩 ら れ た プ ロセ ス を共有 します が、そ の途 上 で繰 り返 し行 われ る援助 行 為 とそれ を支 え るシ ステ ム に もケ ア とい う名 が 与 え られ てい ます。 前者 の よ うな 「一回性 の助 産 ケア」 と後 者 の よ うな 「反復 性 の助 産 ケア 」 が縦 糸 と横 糸の よ うに織 り合 わ され る こ とに よって、「助産 ケ ア」とい う1つ の織 物 が作 り上 げ られ てい くと 考 える こ とがで きます。 ● 質 的研究 は助 産 ケアの根 拠 にな り得 るか 私 は 「看護 の アー ト」 とい う概 念 に興味 が あ り、妊 産婦 と助 産師 の かか わ りを通 して浮 か び上が って くる 「一回 性の助 産 ケア」 につ い て質 的研 究を行 って います 。 人 と人 、 人 と環 境 が 出会 った とき には じめて 明 らか に な って く る性 質 は 、 どの よ うに して 助 産 師 に よっ て認 識 ・活用 され 、その こ とは妊 産婦 に よ って どの よ うに体験 され てい るので し ょ うか。 「一 回性 の助産 ケ ア」 に挑 む質 的研 究が探 究す る現象 は 、個別 性 ・状況 依存 性が強 い が た めに 、そ の 結 果 は一般化 し難 く、助産 ケア の根 拠 に もな りに くい よ うに 思われ ます。 同 じ質 的研 究 で も 「反復性 の助産 ケア」 に 関与す る研究 で は、 も う少 し事情 が 異 な るよ うにみ えます。 ワー クシ ョップで は、上記 の 「ケ ア」 の分 類 を活用 しなが ら、 質的 研究 は助産 ケア の根 拠 にな り得 るか とい う問い につ いて、皆様 と共 に 考 えてみ た い と思 い ます。 58 日本 助 産 学 会 誌 第18巻 第3号(2005.3)ワー クショップ2国 際 的 協働 に よる助 産師 活動 を探る
国際的協働 による助産師活動を探 る
座長 宮崎大学 大 石 時子毛利助産所
毛利
多恵子
開 発 途 上 国 の 出 産 の 現 場 を み る と 、 か つ て 先 進 諸 国 が 歩 ん だ 産 科 医 療 の 歴 史 を 同 じ よ う に た ど っ て い る よ う に 思 わ れ る 。 今 回 は 、 開 発 途 上 国 に お い て 、 日 本 の 助 産 師 が で き る 国 際 協 力 活 動 の あ り 方 を 探 る 一 助 と し て 、 ネ パ ー ル 、 ラ オ ス 、 ブ ラ ジ ル に お い て 、 女 性 は 誰 に ど の よ う な 助 産 を 受 け て い る の か 、 ど の よ う な 問 題 が あ る の か を 知 る 機 会 と し た い 。 ま ず 、 ネ パ ー ル に つ い て は 、 日 本 助 産 学 会 の 海 外 研 修 生 招 聘 事 業 と し て 「自 然 で 安 全 な 助 産 」 と い う プ ロ グ ラ ム を 担 当 し た 国 際 援 助 シ ス テ ム 委 員 会 か ら 、 藤 原 美 幸 氏 に 現 地 で の 評 価 事 業 を ふ ま え て 、 今 後 必 要 な 協 働 は 何 か に つ い て 話 題 提 供 し て い た だ く 。 ラ オ ス に つ い て は 、 ラ オ ス に 足 掛 け10年 か か わ り 、現 在 、 医 療 人 類 学 を 学 ん で い る 滋 賀 県 立 大 学 人 間 看 護 学 部 教 員 嶋 澤 恭 子 氏 に 、 ラ オ ス の 助 産 の 現 状 と 助 産 の 協 働 へ の 提 言 お よ び 開 発 、 援 助 の 弊 害 に つ い て 話 題 を 提 供 し て い た だ く 。 ブ ラ ジ ル に つ い て は 、JICA(国 際 協 力 機 構)の 国 別 特 別 研 修 で 来 日 し 、 日 本 の 助 産 所 で 研 修 中 の ブ ラ ジ ル 研 修 生 に 、 ブ ラ ジ ル に お け る 助 産 所 の 現 状 、 日 本 と 共 有 で き た 助 産 の 経 験 や 日 本 の 研 修 に 期 待 す る こ と に つ い て 話 題 提 供 し て い た だ く 。 ア ジ ア 、 南 米 か ら の 助 産 を め ぐ る 現 状 を 知 る と と も に 、 援 助 や 開 発 と い う 名 で そ の 国 の 助 産 に 弊 害 を 与 え ず 、 日 本 の 助 産 師 だ か ら こ そ で き る 協 働 と は 何 か を 模 索 す る 機 会 と し た い 。ワー クショップ2 国際 的 協 働仁 よる助 産師 活 動 を探 る
ネパ ール の 出産 の現状 と助産 につ い て
演者 日本助産学会 国際援助システム委員会 藤 原 美 幸 日 本 助 産 学 会 の 活 動 目 的 に 「国 際 的 連 帯 を 通 し て 人 類 の 福 祉 に 貢 献 す る 」 が あ る 。 こ の 活 動 目 的 を 実 現 す る た め に と 、 会 員 の あ る 方 か ら ご 寄 付 が あ り 「日 本 助 産 学 会 海 外 研 修 生 招 聘 事 業 」 が 実 施 さ れ た 。 研 修 生 を 公 募 し た 結 果 、 ネ パ ー ル の 西 部 ル パ ン デ ィ ヒ 県 ブ ト ワ ー ル 市 の 「シ ッ ダ ー ル タ 女 性 と 子 ど も 病 院 」 の 院 長(産 科 医)と 助 産 に 携 わ る 看 護 職2名 が 選 ば れ ま し た 。日 本 の 助 産 師 が 海 外 の 助 産 者 に 伝 え ら れ る こ と は 何 か 、 助 産 師 だ か ら で き る こ と は 、 と 検 討 を 重 ね 、 「自 然 で 安 全 な 助 産 一 女 性 と 赤 ち ゃ ん に や さ し い ケ ア 」 と 題 し た 研 修 プ ロ グ ラ ム を 作 成 し た 。 2004年1月 か ら2月 の 約1か 月 半 に 及 ぶ 研 修 は 、「出 産 を 中 心 と し た 母 子 の ケ ア を 学 ぶ 」「プ ラ イ マ リ ヘ ル ス ケ ア を 担 う 一 次 レ ベ ル の 出 産 施 設 に お い て 母 子 に や さ し い ケ ア を 学 ぶ 」「周 産 期 の 概 念 と 医 療 機 関 の 連 携 を 学 ぶ 」 「女 性 へ の 心 の ケ ア を 学 ぶ 」 「母 子 に 優 し い 概 念 と 施 設 に お け る 変 革 の 工 夫 を 学 ぶ 」 を 目 標 に 、 講 義 や 施 設 見 学 ・実 習 な ど が 行 わ れ た 。 「シ ッ ダ ー ル タ 女 性 と 子 ど も 病 院 」 は 、1995年 の 阪 神 淡 路 大 地 震 の 後 に 、 海 外 か ら の 支 援 へ の お 返 し と し て 被 災 者 た ち が 寄 付 し た 浄 財 か ら1998年 に 設 立 さ れ た 病 院 で 、 ネ パ ー ル の 女 性 と 子 ど も の 人 口 の 約 18%を カ バ ー し て い る 。 毎 日 平 均7名 の 出 産 が あ り 、 そ の 内 の78% を12名 の 看 護 職 が 担 当 し て い る 。 高 く て 狭 い 分 娩 台 で 仰 臥 位 に な り 、 会 陰 切 開 も 縫 合 も す べ て 看 護 職 が 行 う の だ そ う だ 。 研 修 生 は 日 本 で の 出 産 や 助 産 を ど う 評 価 し た の だ ろ う か 。 ま た 、 講 義 や 見 学 ・ 実 習 を 担 当 し て く だ さ っ た 助 産 師 が 、 研 修 生 か ら 学 ん だ こ と は ど の よ う な こ と だ っ た の か 。 こ う し た こ と も 含 め 、2004年12月 に 現 地 を 訪 問 し 、 研 修 前 後 で 母 子 ケ ア の 変 化 は あ っ た の か 、 研 修 で 役 立 っ て い る こ と は 何 か 等 の 評 価 活 動 を 実 施 予 定 で あ る 。 ネ パ ー ル か ら の 研 修 招 聘 事 業 報 告 を 通 じ 、 日 本 助 産 学 会 と し て の 国 際 的 協 働 の 方 向 性 を 探 る 一 助 と し た い 。 60日 本助産 学 会誌 第18巻 第3号(2005.3)ワー クショップ2 国際 的 協 働 による助 産 師 活動 を探 る
ブ ラジル の 出産 の現状 と助産 につい て
ワー クショップ2国 際 的 協 による助 産師 活動 を探 る