ランチョンセミナー
ランチョンセミナー1 第 1 会場 2 階 菖蒲の間 12:00~13:00
超音波ファイリングシステムの現状と問題点
講師:尾崎 俊也 社団医療法人 トラストクリニック
ガイドラインにおいても静止画記録の DICOM 保存および動画記録が推奨されているよ うに、現状では、クリニックにおいても超音波検査の画像ファイリングシステムが普及さ れるに至っている。 そこで今回は、超音波画像の記録について、サーマルプリンターによる紙ベースの記録 から PACS(医療画像保管伝送システム)まで多種にわたる運用での有効性と問題点を紹介 します。また、画像ファイリングと密接な関係である超音波検査報告書(レポートシステ ム)についても有効な運用方法について紹介します。 これから超音波画像ファイリングシステムおよびレポートシステムの導入を検討されて いる施設の方々や、導入後に問題点を抱えられている施設の方々の参考になれば幸いです。ランチョンセミナー2 第 2 会場 2 階 桜花の間 12:00~13:00
『動脈硬化性疾患予防ガイドライン 2017 年版』を活用した
臨床検査の基礎知識
講師:野上里恵 須長宏行
積水メディカル株式会社 東北営業所
学術・技術担当
【はじめに】 『人は血管とともに老いる』という先人の教えがある。血管は他の臓器と同様に加齢とともに 老化して動脈硬化は進む。動脈硬化を加速させる危険因子には脂質異常症、糖尿病、高血圧、慢 性腎臓病(CKD)、喫煙などがある。動脈硬化性疾患には冠動脈疾患を含む心疾患および脳血管 疾患が含まれ、LDL コレステロール(LDL-C)とトリグリセライド(TG)が高いほど、また HDL-C が低いほど、冠動脈疾患の発症頻度は高いことが知られている。動脈硬化性疾患予防ガイドライ ン 2017 年版(ガイドライン)には、脂質異常症の診断基準〔空腹時採血〕が設定されており、 その運用には総コレステロール(TC)、LCL-C(フリードワルド式(F 式)または直接法)、HDL-C、 TG の測定が必要となる。 脂質異常症の診断基準〔空腹時採血〕 LDL-C 140mg/dL 以上 高 LDL-C 血症 LDL-C は F 式(TC-HDL-C-TG/5) または直接法で求める。 TG が 400mg/dL 以上や食後採血の 場合は non-HDL-C(TC-HDL-C) か LDL-C(直接法)を使用する。 120~139mg/dL 境界型高 LDL-C 血症 HDL-C 40mg/dL 未満 低 HDL-C 血症 TG 150mg/dL 以上 高 TG 血症 Non-HDL-C 170mg/dL 以上 高 Non-HDL-C 血症 150~169mg/dL 境界型高 Non-HDL-C 血症 〔空腹時採血〕:10 時間以上の絶食を「空腹時」とする。 【脂質異常症に関連する臨床検査】 リポ蛋白(カイロミクロン(CM)、VLDL、IDL、LDL、HDL)は、体内で血液を介して脂質 を移動させ、最終的には末梢細胞にコレステロールと TG を輸送する巧妙な仕組みといえる。脂 質異常症は原因によって原発性と続発性に大別され、特に高脂血症の場合、増加するリポ蛋白の 種類によって 6 つに分類される(Ⅰ、Ⅱa、Ⅱb、Ⅲ、Ⅳ、Ⅴ型)。 本セミナーではガイドラインに示された臨床検査について解説する。すなわち脂質異常症の診 断に用いられる脂質項目(LDL-C、HDL-C、TG、non-HDL-C、F 式)、糖尿病の診断に用いられ る HbA1c(NGSP 値)、CKD の診断に用いられる推算 GFR(eGFR)、高尿酸血症の診断に用いら れる尿酸、および「その他の考慮すべき危険因子・マーカー」(Lp(a)、MDA-LDL(酸化 LDL)、 アポ蛋白 B、フィブリノゲン(凝固因子)、プラスミノゲンアクチベーターインヒビター‐1 (PAI-1、線溶阻止物質)など)について解説する。【トピックス】 今回、LDL-C の直接法(ホモジニアス法)が復活した。以前は 10 数社から LDL-C(直接法) の試薬が発売されていたが、一部の試薬で CDC 基準法と乖離することが指摘され、前回のガイ ドライン(2012 年版)では直接法の記載が削除された。その後、三井田孝教授(順天堂大学) のご助言と関係各社の協力(発売中止や試薬改良など)により、この度、試薬製造元 4 社の試薬 を検討した結果、所定の条件をクリアするに至り、LDL-C(直接法)が復活した。なお、積水メ ディカルの LDL コレステロール試薬「コレステスト®LDL」はこれまで変更を加えないまま製 造を継続することができた。 【本日のまとめ】 動脈硬化性疾患予防ガイドラインが改訂された。主たる危険因子である LDL-C 測定法におい て直接法(ホモジニアス法)が復活した。ガイドラインに記載されている臨床検査の項目を理解 することで、動脈硬化性疾患に関連する基礎知識が得られ、効率的な情報収集が可能になると考 えられる。
ランチョンセミナー3 第 3 会場 3 階 欅の間 12:00~13:00
測定試料、試薬、DOAC が及ぼす凝固検査への影響と
血小板減少症への対処について
講師:阪田 敏幸 アイ・エル・ジャパン株式会社 血液凝固学術部
凝固検査に使用する検体に関いて、ISO15189 において試料の品質が危ぶまれる場合、その報 告が義務付けられており、さらに日本検査血液学会標準化委員会凝固検査標準化ワーキンググル ープからも凝固検査検体取り扱いに関するコンセンサスにおいても同様の報告がなされている (検査血液学会誌 2016, 17: 2: 149-157)。これまでにも凝固検査検体への量不足、溶血等の影 響を添加実験で示されてきたが、実臨床検体での報告は少ない。アイ・エル・ジャパン社製の全 自動血液凝固分析装置 ACL TOP 50 シリーズでは、測定前検体チェック機能(Pre-analytical check system:PAC)として妨害物質 HIL(溶血・高ビリルビン・乳び)濃度チェック、検体量チェッ ク、および検体詰まりチェックの3機能を有し、品質管理が可能である。今回、ACL TOP 50 シ リーズでの PAC 機能により実臨床で同定された検体量不足や溶血検体と再採血して得られたデ ータを比較することにより、これらの影響がどのような項目にどう影響するかを検証した結果を 紹介し、その原因を考えてみたい。 凝固検査に使用する試薬は、最近ではトレーサビリティーの観点から、施設で使用する機器 メーカーの試薬を使用することが多い。そのこともあって使用する試薬の特性を知らずに検査す る技師が多くなっている。プロトロンビン時間(PT)の結果は INR で報告するため、ある程度試 薬間差を小さくすることが出来るが、完全に試薬間差をなくすことは不可能である。また、活性 化部分トロンボプラスチン時間(APTT)の結果は、何の補正もなく秒数で表示するため、機器お よび試薬間差が大きく現れる。極端な場合、因子欠乏症やループスアンチコアグラントを見逃す こともある。今回、PT, APTT の試薬間差がどのような状況でどの程度表れるのかを説明したい。 ワルファリンに代わる経口抗凝固薬として、直接的にトロンビンや活性型凝固第(Xa)を阻害 する経口抗凝固薬(DOAC)が高頻度に処方されるようになってきた。DOAC の凝固検査に対する影 響は、ヘパリンやワルファリンのように単純ではなく、使用する試薬の種類、DOAC の種類、DOAC 服用後から採血までの時間等によって異なる。即ち、DOAC を服用しているからと言って、必ず しも特定の影響が現れる訳ではなく、凝固検査への影響を予見し難い。まさに技師泣かせの薬で ある。今回、DOAC の特徴を概説すると同時に、凝固検査に於ける影響を整理してお話ししたい。 ヘパリンは繁用される抗凝固薬であるが、その副作用として血小板減少や血栓症発症を特徴 とするヘパリン起因性血小板減少症(HIT)を誘発する。HIT の発症頻度は 0.2~0.5%程度であり、 普段遭遇する頻度は少ないと思われがちであるが、血小板減少は DIC や抗リン脂質抗体症候群患 者でも起こる現象であり、HIT 除外診断を必要とする場面は以外と多い。しかし、HIT 抗体測定 は以外と活用されていないのが現状である。血小板減少をいち早く知り得る検査技師が、医師に HIT 抗体測定を促すことによって、HIT の診断および除外診断に貢献できるものと思われる。今 回、HIT 抗体測定のポイントについてお話ししたい。ランチョンセミナー4
第 4 会場 3 階 アクアクララホール 12:00~13:00
甲状腺ホルモンの国際標準化の動向
講師:古野間 理恵 東ソー株式会社 バイオサイエンス事業部
甲状腺機能検査のTSH、FT4 は甲状腺疾患の診断に重要な検査ですが、日本医師会実施の 臨床検査精度管理調査において、測定値のキット間差が報告されております。さらに近年 では、潜在性甲状腺機能低下症のガイドラインにて、妊娠初期もしくは妊娠希望の方のTSH が2.5μIU/mL を超える場合や、FT4 が正常範囲内であっても TSH が 10μIU/mL を超え る場合に治療対象とすることが記載されるようになり、具体的な数字を判断する必要が生 じたことから、キット間差の解消が求められる状況となっております。また、FT4 測定値 に関するガイドラインとしては、バセドウ病の重症度の判定に用いる治療前血清FT4 レベ ル(重度7 ng/dL 以上、中等度 5~7 ng/dL 未満、軽度 5ng/dL 未満)が知られていますが、 FT4 は特に測定値の方法間変動が大きいため、それらを考慮した上で判断する必要があり ました。 このような状況を踏まえ、国際臨床化学会(IFCC)の中に甲状腺検査標準化委員会(C-STFT) が設置され、甲状腺項目の標準化の可能性について検討されてきました。 TSH は 従 来 の WHO 標 準 物 質 で は 標 準 化 が 困 難 で あ っ た た め 、 全 方 法 間 平 均 法 All-Procedure Trimmed Mean (APTM) が採用され、ハーモナイゼーションの方向性が示 されました。また、FT4 は、平衡透析同位体希釈―液体クロマトグラフタンデム質量分析 法(ED-ID-LC-MS/MS) が基準測定法として採用され、標準化が検討されています。 キット間差の縮小は、ガイドラインの設定値を統一基準として運用できるとともに、異な る測定試薬にて得られた値の直接比較が可能となることから、臨床研究データの蓄積/共有 化についても期待されます。本セミナーでは、C-STFT の活動の経緯、進捗と成果について ご紹介致します。*1 Linda M. Thienpont, et al.; on behalf of the IFCC Committee for Standardization of Thyroid
Function Tests (C-STFT) : Harmonization of serum thyroid-stimulating hormone measurements paves the way for the adoption of a more uniform reference interval. Clin Chem 63(7) 1248-1260 (2017)
*2 Linde A.C. De Grande, et al.; on behalf for the IFCC Committee for Standardization of Thyroid
Function Tests (C-STFT) : Standardization of free thyroxine measurements allows the adoption of a more uniform reference interval. Clin Chem 63(10) 1642-1652 (2017)