Surface Elevation Measurement
by Level Survey on Rhonegletscher
-Report of Swiss Field Course 2012-
Takahiro Abe
(1), Tomoko Nagai
(2)(1) Graduate School of Science, Hokkaido University
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Outline
1. Introduction ··· 2
2. Study sites and methods ··· 3
3. Results ··· 6
4. Discussion ··· 9
5. Conclusion and Future prospects ··· 10
6. Acknowledgement ··· 10
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1. Introduction
氷河とは主に降雪によって積った雪が圧密されて氷となり、重力によって下流へと流れ るものである。氷河は氷床と山岳氷河に大別されるが、特に、山岳氷河は人々の生活と密 接な関わりがある。氷河融解水の生活用水、農業用水の他、水力発電などの工業用水への 利用、観光資源としての利用等用途は多岐にわたっている。しかし、恩恵をもたらす一方 で氷河は有害な面を持つ。氷河湖決壊による洪水や不安定な氷体が崩壊することで発生す る雪崩は時に甚大な被害を下流域にもたらす大災害にもつながりかねない。 また、近年、地球規模での温暖化に関して議論されているが、地球上に存在する淡水の 約75%は氷として陸上に存在するため(Sugiyama et al., 2007)、地球温暖化の影響によっ て引き起こされる氷の融解が与える影響は大きいと考えられる。海洋への融解水の流入に よる海水面の上昇が懸念されており、南極氷床の全てが融解すると60 m 以上海水面が上昇 することが予測されている。山岳氷河に関しても氷河の縮小が観測されており、特にアル プスやヒマラヤなど比較的低緯度に存在する氷河ではそれが顕著であり、スイス国内の氷 河でも同様の傾向が観測されている(Huss et al., 2008)。このように氷河は様々な形で人間 社会や環境に影響を与えており、その動態を把握するため氷河観測の重要性は非常に高い と考えられる。 本研究で対象としたローヌ氷河はスイスアルプス中央部フルカ峠の近くに存在する全長 約8km、氷河面積 15. 94 km2、 体積 2.063 km3の温暖谷氷河である(Farinotti et al., 2009)。 周りをDammastock、Galenstock などの山々に囲まれており、標高約 2300 m-3500 m に 位置する。現在はスイスで 9 番目に大きな氷河であるが、氷期においてはスイス最長の氷 河であった。しかし、1850 年ごろからローヌ氷河の急激な後退が観察され、その傾向は今 もなお続いており、ローヌ氷河の氷は過去70 年の間に約 50 m 薄くなっていることが分か っている(Sugiyama et al., 2007)。さらに、ローヌ氷河末端に形成された氷河湖による氷 河の縮退の加速も懸念されている。また、さらに氷河の後退が進行すれば、氷河湖が拡大 し、大規模な水害が生じる危険性もある。 よって、今後の氷河の挙動や変動を理解するために、氷河の表面標高の変化や表面の形 状を理解することは重要であると考えられる。これまで、2006 年から 2012 年にかけてキ ネマティックGPS (KGPS)によりローヌ氷河末端における経年的な表面標高の変化の動 向と将来の質量収支の予測が行われ(Bolorchimeg et al., 2011)、それをもとに氷河表面の 形状の測定が行われてきた。本研究ではローヌ氷河表面の形状をさらに詳細に理解するた め、水準測量により相対的な標高の測定とローヌ氷河の標高プロファイルの作成を行った。 また、本研究とKGPS、携帯用小型 GPS の結果を比較することにより、水準測量の正確さ を理解することも目的の一つとした。今回行った水準測量とは、ハンドレベルおよび巻尺 を用いて測点の高低差を測り、標高を求める原始的な方法である。しかしながら、GPS な どの宇宙測地技術が進歩した現在もなお、火山噴火や地震に伴う地殻変動観測など、広く 用いられている(Mori and Suzuki, 1998; Doi et al., 1999; 村瀬, 2009)。3
2. Study sites and methods
Figure 1: Location of Rhonegletscher. It is located on the southern center in Switzerland.
本研究はスイスアルプス中央部フルカ峠の近くに位置するローヌ氷河において水準測量 を行った(Figure 1)。ローヌ氷河末端から約 300 m の位置を第一回測量(Lower Part)の始 点(Yamato:標高 2,265 m)とし、終点を Takeruno とした。第二回測量(Upper Part)の 始点をETH の掘削地点(ETH_BH)とし、終点を Mikoto(標高: 2,395 m)とした(Figure 2)。なお、第一回測量の終点と第二回測量の始点間(直線距離: 約 180 m)の測量は行って いない。また、第一回測量の始点および第二回測量の終点の標高はKGPS のデータを基準 として使用している。 水準測量はハンドレベル(Figure 3a)、クリノメーター(Figure 3b)および巻尺を用い、 測点間の高低差および距離を測定した(Figure 4)。本研究において測定した距離は Figure 2 におけるΔl である。また h は測定者の視線高である。測量方法としては、ハンドレベル を用いて観測者の視線と同じ標高を決め、その地点からの距離を測定するということを繰 り返す(Figure 4)。測定したΔl と視線高から、Δd、相対標高および勾配を求めた。そして 得られたデータから氷河表面の標高プロファイルの作成を行った。クリノメーターは測定 方位を調べるために使用した。また、本研究の結果とKGPS、携帯用小型 GPS の標高デー タとの比較を行った。
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Figure 2: Observed points and lines. Yamato, Takeruno, and Mikoto are the weather and camera station name. ETH_BH means the borehole position drilled by ETH. Black line indicates the profile we observed but red one is not.
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Figure 4: Measuring method. Person A measures the sight height (h) as same as him and person B stand on the point. Then, we measure the oblique distance (Δl).
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3.Results
Figure 5 に今回の水準測量による結果を示した。なお、水準測量は比高を測るものであ り、絶対標高の計測は不可能であるため、Yamato と Mikoto における KGPS のデータを基 準とした。また、我々が測ったのは斜距離であるが、測定距離に対して傾斜がゆるやかで あったため、水平距離と近似した。Figure 5 には計算によって求めた水平距離に対する標 高についてもプロットしてある。これはまさに氷河の表面形状を示したグラフとなってお り、氷河表面は一様にフラットではないことがわかる。また、水平距離と斜距離はほとん ど差が見られなかった。Figure 5: Surface elevation on Rhonegletscher. Horizontal axis shows the distance from the station Yamato, and the vertical does the elevation. Blue markers indicate the oblique distances we observed and red ones do the horizontal distances we calculated. A,B, and C mean the point we took some pictures on Figures (7).
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次に、それぞれの観測点間ごとに傾斜を求め(Figure 6)、さらに第一回測量(Lower Part) と第二回測量(Upper Part)における平均傾斜も求めた(Table 1)。その結果、Lower Part
とUpper Part では平均傾斜が少し異なり、Upper Part の方がやや急勾配であることが判
明した。カメラとボアホールの間はほとんど傾斜がないこともわかった。
また、携帯用小型GPS と水準測量の精度の比較を行った(Table 2)。KGPS の誤差が数
cm であるのに対し、携帯用小型 GPS の誤差が約 5 m であることから、今回は KGPS のデ
ータが最も正確とし、それに対して携帯用小型GPS と水準測量がどのくらい誤差があるの
かを調べた。計算方法としては、観測点Yamato, Takeruno, CP, Mikoto 間のそれぞれの比
高を3 種類の手法(KGPS、携帯用小型 GPS、水準測量)を用いてそれぞれ計測し、KGPS の値に対して、携帯用小型GPS と水準測量がどのくらい誤差があるのかを計算した。その 結果、どの観測点間においても、携帯用小型GPS よりも水準測量の方が KGPS の値に近か った。なお、CP 点は ETH_BH よりも約 60m 上流部に位置するポイントである。ETH_BH でのKGPS データを取得していなかったために、携帯用小型 GPS と KGPS のデータが両 方存在するポイントとして使用した。
Figure 6: Surface gradients on Rhonegletscher. Left black square show the first observation data. Right one does the second. Blue and red markers are the same as those in Figure 5.
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Table 1: Average gradients on the Lower and Upper parts. The unit is degree.
Table 2: Relative elevations with three methods (KGPS, level survey, and Handy GPS) and the residuals.
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4.Discussion
Figure 5 の A、B、C の 3 つの観測点付近の写真を Figure 7 に示した。Lower Part (Yamayo-Takeruno 間)では標高が上がるにつれて、少しずつ勾配が急になっていること がわかる。また、Figure 6 にばらつきがそこまで見られないことから、表面はでこぼこで はなく、比較的平らであることもわかる(Figure 7a, 7b)。一方、Upper Part(ETH_BH -Mikoto 間)での勾配は、Lower Part よりもばらつきが多いことがわかる(Figure 6)。実 際に写真からも、Lower Part と比べて大きなクレバスが多くあることが確認でき(Figure 7c)、測定地点がクレバスの頂点と谷で勾配が異なるためだと思われる。 次に、斜距離(青)と水平距離(赤)の違いについて考察する。Figure 6 では、勾配が 急なほど、青と赤のマーカーが少しずれていくことがわかる。これは、傾斜が大きいほど、 斜距離と水平距離の差が大きくなるからである。このことは、実際の平均勾配がUpper Part の方が少し大きいことと整合的である(Table 1)。 最後に、携帯用小型GPS と水準測量の精度比較について考察する。まず、水準測量の基 準標高をKGPS のデータに一致させているため、多少は KGPS の値に近くなると考えられ る。次に、携帯用小型GPS は単独測位なため、相対測位をしている KGPS の精度(数 cm) よりはるかに下がる(数m)。一方水準測量では、高さ方向は観測者の視線高の整数倍で標 高を測っているので、誤差は極めて小さい。よって、水準測量は携帯用小型GPS より KGPS の値に近くなると思われる。
Figure 7: Some pictures during the measurements. (a), (b), and (c) mean the point A, B and C in Figure 5, respectively.
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5. Conclusion and Future prospects
今回、2012 年度スイス氷河実習において、ローヌ氷河上で水準測量を行った。水準測量 における標高の基準はKGPS による標高データを使用した。この測定の目的は、ローヌ氷 河の表面地形のプロファイルを作り、また携帯用小型GPS と水準測量ではどちらが KGPS に近いかを検証することであった。水準測量の結果、我々はローヌ氷河の表面プロファイ ルを作成することができ、その表面傾斜は一様でないことがわかった。また、水準測量は 携帯用小型GPS よりも正確であることがわかった。 今後の展望としては、水準測量を行ったライン上でKGPS のデータも取得し、より詳細 な表面地形のプロファイルを作成したい。さらに、各地点での流動速度やアイスレーダー による氷厚探査を行い、氷河の形と流動速度場の相関関係を調べたいと考えている。
6.Acknowledgement
このスイス氷河実習は、日本学術振興会(JSPS)、日本学生支援機構(JASSO)、北大海 外教育交流支援事業からの支援のもとに行われました。また、ご引率・ご指導して下さっ た北海道大学の杉山慎先生、澤柿教伸先生、中村一樹先生、福井学先生、そして航空券、 海外保険等の諸手続きや実習中のサポートをしていただいた遠藤知子さんに感謝申し上げ ます。皆様のサポートのおかげで、大変貴重な実習に参加できたことを心から嬉しく思い ます。ありがとうございました。11
7.References
Bolorchimeg, B., D. Sakakibara and T. Yasuda (2011), Elevation changes of Rhonegletscher from 2007 to 2011, Report of Swiss Field Course 2011
Doi, N., Kajiwara, T. and Aoyama, K. (1999). Upheaval of ground detected by leveling before the Earthquake of September 3, 1998, at Southwest area the Iwate volcano, volcanological society of Japan., 44, 255-260.
Farinotti, D., Huss, M., Bauder, A., Funk, M. and Truffer, M. (2009). A method to estimate ice volume and ice-thickness distribution of alpine glaciers. J. Glaciol., 55(191), 422–430.
Huss, M., Bauder, A., Funk, M. and Hock, R. (2008). Determination of the seasonal mass balance of four Alpine glaciers since 1865. J. Geophys. Res., 113(F1), F01015.
Mori, H. and Suzuki, A. (1998). Volcanic Ground Deformation at Mt. Usu -A Perspective of the Deformation in the Last Twenty Years-. Geophysical Bulletin of Hokkaido University, Sapporo, Japan., 61, 275-28.
村瀬, 雅之 (1999). 台湾玉里断層における稠密水準測量調査. 日本大学文理学部自然科学研 究所研究紀要, 地球システム科学, 44, 159.
Sugiyama, S., Bauder, A., Zahno, C. and Funk., M. (2007). Evolution of Rhonegletscher, Switzerland, over the past 125 years and in the future: application of an improved flowline model. Annals of Glaciology, 46, 268-274.
Sugiyama, S., Tsutaki, S., Nishimura, D., Blatter, H., Bauder, A. and Funk, M. (2008). Hot water drilling and glaciological observations at the terminal part of Rhonegletscher, Switzerland in 2007. Bull. Glaciol. Res., 26, 41–47.