問題と目的
文部科学省の調査結果より,平成30年における 不登校児童生徒数は小学校で44,841人,中学校で 119,687人の合計164,528人であり,前年に比べ増 加していることが明らかとなった。不登校児童生 徒数は平成10年に急激に増加しており,その後,
前年に比べ減少する年はあるものの,今日まで不 登校児童生徒数が大きく減少するという変化は見 られず,増加の傾向が続いている。また,不登校 の要因として中学生では,いじめを除く友人関係 をめぐる問題,学業の不振,家庭に係る状況,本 人の無気力や不安傾向が特に多いことが明らかと なっている(文部科学省初等中等教育局児童生徒
課,2019)。
岡安・嶋田・坂野(1993)は,児童が一日の大 半を過ごす学校生活での様々なストレスが不登校 の大きな原因となると指摘している。中学生にお いては,教師との関係,友人関係,部活動,学業,
規則,委員活動の6つの要因が主要な学校ストレッ サーとなっており,特に友人関係が抑うつ・不安 感情と,学業が無力的認知・思考と高い関連性が あることが示された(岡安・嶋田・丹羽・森・矢 富,1992)。文部科学省の調査結果からも,これ らの要因は現代の中学生に適用される要因だと考 えられる(文部科学省初等中等教育局児童生徒課,
2019)。
さて,人間関係の問題を扱う際に,ソーシャル 要旨
本研究は,中学生を対象に,不登校予防の効果があると考えられる教師のソーシャルサポートとアサーションス キルとの関連について検討した。X県の公立中学校に通う生徒444名を対象に質問紙調査を行った。性別とソーシャ ルサポート得点によってアサーション尺度の各得点に差があるか検討したところ,アグレッシブ得点では男性のほ うが女性よりも有意に得点が高く,「共行動的サポート」をしてもらえていると知覚している生徒は,有意に得点 が高いことが示された。また,ノンアサーティブ得点では女性のほうが男性よりも有意に得点が高かった。さらに,
男女ともに教師から「内面的理解」をしてもらえていると知覚している生徒は,アサーティブ得点が高いことが明 らかとなった。これらより,教師の「内面的理解」というサポートが安心感につながり,生徒の自己表現を支え,
登校維持要因として機能している可能性が考えられた。したがって,アサーションスキルは不登校予防として有効 なスキルであることが示唆された。
キー・ワード:中学生,教師,ソーシャルサポート,アサーションスキル
教師のソーシャルサポートとアサーションスキルとの関連
― 中学生における教師の「内面的理解」に着目して ―
山 田 夢
Therelationshipbetweensocialsupportandassertionskills:
Focusingonteacher's"internalunderstanding"forjunior-highschoolstudents.
YumeYamada
サポートと社会的スキルがある。不登校生徒は登 校生徒に比べソーシャルサポートと社会的スキル が顕著に低く,ストレスに直面した時そのストレ スを緩和する力が弱いことが明らかとなっている
(渡辺・蒲田,1999)。この際,登校生徒は友人サ ポートをストレス解消に役立てており,不登校生 徒は登校生徒に比べ友人サポートが少ないことが 示された。そこで,不登校生徒に対しては親や教 師との関係を基盤にしながら友人との関係を築け るような対応が求められると考えられている。
岡安・嶋田・坂野(1993)は,教師へのソーシャ ルサポート期待は,男子生徒では友人関係や部活 動での「不機嫌・怒り」,友人関係での「無力感」,
友人関係での「身体的反応」に対して直接軽減効 果があることを明らかとしている。女子生徒では,
友人関係での「不機嫌・怒り」,教師との関係,
友人関係,部活動,学業での「無力感」,友人関 係,部活動,学業での「身体的反応」に対して直 接軽減効果があることを明らかとしている。これ らの結果より,学校生活でのストレスの要因には 教師との人間関係があり,さらに教師のソーシャ ルサポートは中学生に大きな影響を与えると推測 できる。
このようなソーシャルサポートに関する研究に ついては,ソーシャルサポートが持つ精神的健康 や学校適応に関する様々な効果が明らかとなって いる(例えば細田・田嶌,2009)。しかし,ソー シャルサポートの定義は多様であり,明確にはさ れていない。浦(1992)は,ソーシャルサポート を大まかに道具的サポートと情緒的サポートに分 類した。道具的サポートとは,ストレスを抱える 人に対し解決のための必要な資源を提供したり,
その人が自ら資源を手に入れたりすることができ るよう情報を提供したりする働きかけである。ま た情緒的サポートは,ストレスに苦しむ人の情緒 に働きかけ,自ら問題解決に取り組むことができ るような状態に戻すような働きかけである。さら に近年,新しいソーシャルサポートの種類として 共行動的サポートが考案され,日常の何気ない関 わりや娯楽の共有が結果的に援助的な効果をもた らすと注目されている(細田・田嶌,2009)。本 研究では,共行動的サポートもまたソーシャルサ
ポートの一種として捉え,3種のソーシャルサポー トを扱うこととする。
次に,対人関係に関連するスキルとして社会的 スキルがある。高校生を対象に不登校生徒との比 較を見た大対(2011)は,学校適応に関わる要因 の1つである学校肯定感が強かった者は,社会的 スキルの1つであるアサーションスキルが高いこ とを明らかにした。また,一般高校生においてア サーションはソーシャルサポートと有意な正の相 関がみられ,アサーションスキルが高い高校生ほ ど,知覚されているソーシャルサポートが高くな ることも示された(大対,2011)。知覚されるソー シャルサポートに関係する社会的スキルとして,
アサーションスキルは一般高校生と不登校生徒に 共通しており,アサーションスキルは高校生の不 登校予防にも,また,不登校の状態にある生徒へ の学校復帰支援にも有効な標的スキルであること が示唆されている(大対,2011)。
アサーションスキルは,約30年前より自他尊重 のコミュニケーションという観点から,自己表現 の問題に新たな考え方と方法として紹介されてき た。アサーションとはコミュニケーション・スタ イルの1つであり,「『自己表現』,あるいは『自 分と他者の人権を侵すことなく,自己表現するこ と』である(平木,2015)」。自他尊重のコミュニ ケーションは,自分の思いを大切に伝えると同時 に,相手の思いを大切にして聴くことで成り立っ ており,このコミュニケーション・スタイルは我々 が日常で他者とコミュニケーションをする際に重 要な役割を担うのである。さらに,自己主張行動 は,先に示したアサーション,自分が言いたいこ とだけを言って相手の言い分を聴かない,あるい は自分の主張を押し通して相手を自分の思い通り に動かそうとする攻撃的スタイル,自分の言いた いことが言えず相手を優先したり,相手の言いな りになってしまったりして自分を大切にしない非 主張的スタイルという3つの形式に分けることが できる。平木(2015)は,アサーションとそうで ない自己表現との違いを認識して,意識的なコミュ ニケーションをする重要性を示している。
以上より本研究では,不登校予防の効果がある と考えられるソーシャルサポートとアサーション
との関連について検討することを目的とする。大 対(2011)では,対象が高校生であり,さらには ソーシャルサポートのサポート源は設定されてい なかった。そのため,中学生において同様の結果 が得られるのか,また,どのサポート源からのソー シャルサポートが有効であるのかは明らかとなっ ていない。したがって,本研究では,不登校生徒 が最も多いとされる中学生を対象に,学校生活で 最も多くかかわる「先生」をサポート源と設定し 調査を実施する。中学生に対して,学校生活での ストレスの要因となる教師との人間関係の問題は 大きな影響を与えると推測され,サポート源とし ても重要な役割を持つと考えられる。したがって,
「中学生が知覚する教師からのソーシャルサポー トが高いと,アサーションスキルも高い」という 仮説をたて,検討することを本研究の目的とする。
方 法 1.調査対象者
X県の公立中学校に通う生徒444名(1年生137 名,2年生139名,3年生168名,男性219名,女 性225名)を対象に調査を行い,分析対象とした。
調査対象者の平均年齢は13.38歳(SD=.95)であっ た。
2.手続き
2018年7月12日-20日に,授業時間を用いてク ラスごとに調査を行った。調査は担任の指示のも と行われ,各項目について回答を求めた。事前に 調査に関して学校の責任者と各学年主任と筆者で 打ち合わせをした。その後,各学年主任が各クラ ス担任に概要を説明し,調査の説明や注意点を表 記した用紙を用いて担任が調査を実施した。期間 中回答後の調査用紙は学校の鍵のかかるロッカー で保管し,後日回収を行った。
3.質問紙の構成
質問紙は,ソーシャルサポート尺度(サポート 源:先生),学生用アサーション尺度,フェイス シートの3つから構成された。
(a)ソーシャルサポート尺度
細田・田嶌(2009)が作成した「ソーシャルサ ポート尺度」を用いた。サポート源は「先生」に 限定した。これらは,「共行動的サポート」5項 目,「道具的サポート」6項目,「情緒的サポート」
4項目の合計15項目から構成されている。教示は,
「以下に書かれている内容が,先生とあなたの間 で,普段どのくらいあてはまりますか」とし,
「よくある(5点)」,「ある(4点)」,「少しある
(3点)」,「ほとんどない(2点)」,「まったくな い(1点)」の5件法で回答を求めた。合計得点 が高いほど,サポートを多く受けていると知覚し ていることを示す。
(b)アサーション尺度
蔭山(2009)が作成した「学生用アサーション 尺度」を用いた。これらは,「アグレッシブ」16 項目,「ノンアサーティブ」11項目,「アサーティ ブ」8項目の合計35項目から構成されている。教 示は,「以下に書かれている内容は,普段のあな たにどれくらいあてはまりますか」とし,「いつ でもする(3点)」,「する(2点)」,「少しはする
(1点)」,「まったくしない(0点)」の4件法で 回答を求めた。
(c)フェイスシート
性別,学年,年齢の記入を求めた。また,ソー シャルサポート尺度に関して,「先生で思い浮か べた人は誰ですか」と尋ね,思い浮かべた人物が いた場合,自由記述で回答を求めた。
4.分析方法
分析はすべてIBM SPSS Statistics23を用い て行った。
結 果 1.尺度の検討
(1)ソーシャルサポート尺度
尺度の因子構造を確認するために,各項目の記 述方向に応じて1点から5点までの得点が与えら れ,因子分析(主因子法,バリマックス回転)を 行った。全項目のうち,「顔を合わせたときに,
あいさつをしたり,声をかけたりしてくれる」で
は天井効果,「一緒に遊びに出かける」では床効 果が見られたため,項目から除外した。項目の選 択は,因子負荷の絶対値が.40以上であることを 基準にし,十分な因子負荷量を示さなかった5項 目を分析から除外した。
その結果,3つの因子が抽出された(Table1)。
各因子は細田・田嶌(2009)とは異なり,第1因 子は「あなたの良いところをほめてくれる」,「あ なたの間違っているところ,悪いところを指摘し てくれる」などの項目が高い負荷を示した。そこ で,第1因子を「内面的理解」とした。第2因子 は「なんとなく一緒にいてくれる」,「共通のしゅ みや関心を持っている」などの項目が高い負荷を 示した。そこで,第2因子を「共行動的サポート」
とした。第3因子は「進路や勉強のことでアドバ イスをくれる」,「わからないことがあるとき教え てくれる」の2項目が高い負荷を示した。そこで
「助言・教示」とした。
各下位尺度の信頼性を見るために,Cronbach のα係数を求めたところ,「内面的理解」で.77,
「共行動的サポート」で.73,「助言・教示」で.76 と十分な内的整合性を示した。
(2)アサーション尺度
尺度の因子構造を確認するために,各項目の記 述方向に応じて0点から3点までの得点が与えら
れ,因子分析(主因子法,プロマックス回転)を 行った。項目の選択は,因子負荷の絶対値が.40 以上であることを基準にし,十分な因子負荷量を 示さなかった17項目を分析から除外した。
その結果,3つの因子が抽出された(Table2)。
各因子は,蔭山(2009)の結果と近似しており,
第1因子は「自分に分からないことがあると,相 手の説明が悪いと文句を言う」,「少人数の話し合 いの場で自分の意見を無理やり押し通す」,「他人 から誤解されたら,相手をののしり非難する」な どの項目が高い負荷を示した。そこで,第1因子 を「アグレッシブ」とした。第2因子は「友達の 都合を一方的に押し付けられても断ることができ ない」,「先輩からの不当な要求を断ることができ ない」,「自分ができそうもないことを頼まれても,
仕方なく引き受けてしまう」などの項目が高い負 荷を示した。そこで,第2因子を「ノンアサーティ ブ」とした。第3因子は「好きな人には好意を表 す」,「好意を持った相手には自分から話しかける」,
の2項目が高い負荷を示した。そこで,第3因子 を「アサーティブ」とした。
各下位尺度の信頼性を見るために,Cronbach のα係数を求めたところ,「アグレッシブ」で.78,
「ノンアサーティブ」で.75,「アサーティブ」で .75と十分な内的整合性を示した。
1 2 3
15.࠶࡞ࡓࡢⰋ࠸ࡇࢁࢆࡵ࡚ࡃࢀࡿ .70 .31 .27
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13.࠶࡞ࡓࡢ㛫㐪ࡗ࡚࠸ࡿࡇࢁ㸪ᝏ࠸ࡇࢁࢆᣦࡋ࡚ࡃࢀࡿ .57 .20 .23
9.࡞ࢇ࡞ࡃ୍⥴࠸࡚ࡃࢀࡿ .21 .72 .16
10.ඹ㏻ࡢࡋࡹࡳࡸ㛵ᚰࢆᣢࡗ࡚࠸ࡿ .21 .62 .12
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4.㐍㊰ࡸຮᙉࡢࡇ࡛ࢻࣂࢫࢆࡃࢀࡿ .27 .24 .72 6.ࢃࡽ࡞࠸ࡇࡀ࠶ࡿࡁᩍ࠼࡚ࡃࢀࡿ .39 .20 .66
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12.ఱᅔࡗ࡚࠸ࡿࡁࢻࣂࢫࢆࡃࢀࡿ
7.࠶࡞ࡓࡀⴠࡕ㎸ࢇ࡛࠸ࡿࡁບࡲࡋ࡚ࡃࢀࡿ
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Tabl e1 ソーシャルサポート尺度の因子分析結果(バリマックス回転後)
2.記述統計量
生徒の性別ごとにおける記述統計量を算出した。
次に,男女別に,両尺度の各下位尺度得点につい てt検定を行った(Table3)。その結果,中学生 のアグレッシブ得点は女性よりも男性の方が有意 に高かった(t(442)=-2.85,p<.01)。ノンア サーティブ得点は男性よりも女性の方が有意に高 く (t(442)=4.42,p<.001), アサーティブ得 点は男性よりも女性の方が有意に高かった (t
(442)=3.02,p<.01)。
3.ソーシャルサポートとアサーションの関係に ついて
(1)アグレッシブの得点における性別を要因と したソーシャルサポート得点の高低群の2要因参 加者間分散分析
ソーシャルサポートの各因子の合計点の平均値 を基準に高群と低群に分けた。「内面的理解」で は,男性高群140名,低群79名,女性高群135名,
低群90名であった。「共行動的サポート」では男 性高群134名,低群85名,女性高群117名,低群108
1 2 3
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Tabl e2 アサーション尺度の因子分析結果(プロマックス回転後)
名であった。「助言・教示」では,男性高群143名,
低群76名,女性高群136名,低群89名であった。
性別によってアグレッシブの得点に差異がある かどうかを検討するため,「アグレッシブ」得点 を従属変数として,性別と「内面的理解」高低群 の2要因参加者間分散分析を実施したところ
(Table4),性別と「内面的理解」高低群の交互 作用は認められなかった(F(1,440)=.03,ns)。
性別の主効果がみられ(F(1,440)=7.30,p<.01),
男性のほうが女性よりもアグレッシブの得点が有 意に高かった。「内面的理解」の主効果は認めら れなかった(F(1,440)=.08,ns)。
次に,性別と「共行動的サポート」高低群の2 要因参加者間分散分析を実施したところ(Table4),
性別と「共行動的サポート」高低群の交互作用は 認められなかった(F(1,440)=1.08,ns)。性別 の主効果がみられ(F(1,440)=5.69,p<.05),
男性のほうが女性よりもアグレッシブの得点が有 意に高かった。「共行動的サポート」の主効果が 認められ,高群のほうが低群よりもアグレッシブ の 合 計 得 点 が 有 意 に 高 か っ た (F(1,440)=
12.20,p<.01)。
性別と「助言・教示」高低群の2要因参加者間
分散分析を実施したところ(Table4),性別と
「助言・教示」高低群の交互作用は認められなかっ た(F(1,440)=.00,ns)。性別の主効果がみら れ(F(1,440)=7.74,p<.01),男性のほうが女 性よりもアグレッシブの得点が有意に高かった。
「助言・教示」の主効果は認められなかった(F
(1,440)=.78,ns)。
(2)ノンアサーティブの得点における性別を要 因としたソーシャルサポート得点の高低群の2要 因参加者間分散分析
性別によってノンアサーティブの得点に差異が あるかどうかを検討するため,「ノンアサーティ ブ」の得点を従属変数として,性別と「内面的理 解」高低群の2要因参加者間分散分析を実施した ところ(Table5),性別と「内面的理解」高低 群の交互作用は認められなかった(F(1,440)=
1.45,ns)。性別の主効果がみられ(F(1,440)=
15.77,p<.001),女性のほうが男性よりもノンア サーティブの得点が有意に高かった。「内面的理 解」の主効果は認められなかった(F(1,440)=
.27,ns)。
次に,性別と「共行動的サポート」高低群の2要
ᖹᆒ್ SD Min Max ᖹᆒ್ SD Min Max
ࢯ࣮ࢩࣕࣝࢧ࣏࣮ࢺ ෆ㠃ⓗ⌮ゎ 10.96 2.89 3 15 11.32 2.88 3 15 -1.33 㸦ࢧ࣏࣮ࢺ※㸸ඛ⏕㸧 ඹ⾜ືⓗࢧ࣏࣮ࢺ 6.99 2.59 3 15 7.43 2.74 3 15 -1.75
ຓゝ࣭ᩍ♧ 7.80 1.96 2 10 8.00 1.99 2 10 -1.06
ࢧ࣮ࢩࣙࣥ ࢢࣞࢵࢩࣈ 5.34 3.58 0 19 6.42 4.40 0 22 -2.85 **
ࣀࣥࢧ࣮ࢸࣈ 7.76 4.31 0 19 5.97 4.24 0 19 4.42 ***
ࢧ࣮ࢸࣈ 3.18 1.98 0 6 2.62 1.97 0 6 3.02 **
ὀ㸧**ࡣp < .01㸪***ࡣp < .001࡛࠶ࡿࡇࢆ♧ࡍࠋ
ዪᛶ㸦n = 225㸧 ⏨ᛶ㸦n = 219㸧
t್
Tabl e3 男女別の記述統計量と t 検定
ᖹᆒ SD ᖹᆒ SD ᛶู ࢯ࣮ࢩࣕࣝࢧ࣏࣮ࢺ స⏝
㧗⩌ 6.49 4.26 5.36 3.76 ప⩌ 6.30 4.66 5.31 3.32 㧗⩌ 7.09 4.68 5.79 3.79 ప⩌ 5.36 3.71 4.85 3.29 㧗⩌ 6.30 4.02 5.20 3.84 ప⩌ 6.64 5.06 5.55 3.16 ὀ㸧*ࡣp < .05㸪**ࡣp < .01࡛࠶ࡿࡇࢆ♧ࡍࠋ
ຓゝ࣭ᩍ♧ 7.74** .78 .00
⏨ᛶn = 219 ዪᛶn = 225 ຠᯝ
ෆ㠃ⓗ⌮ゎ 7.30** .08 .03
ඹ⾜ືⓗࢧ࣏࣮ࢺ 5.69* 12.20** 1.08
Tabl e4 アグレッシブ得点における性別を要因としたソーシャルサポート得点の高低群の2要因参加者間分散分析結果
因参加者間分散分析を実施したところ(Table5),
性別と「共行動的サポート」高低群の交互作用は 認められなかった(F(1,440)=.60,ns)。性別 の主効果がみられ(F(1,440)=17.82,p<.001),
女性のほうが男性よりもノンアサーティブの得点 が有意に高かった。「共行動的サポート」の主効 果は認められなかった(F(1,440)=.10,ns)。
性別と「助言・教示」高低群の2要因参加者間 分散分析を実施したところ(Table5),性別と
「助言・教示」高低群の交互作用は認められなかっ た(F(1,440)=.02,ns)。また,性別の主効果 がみられ(F(1,440)=17.65,p<.001),女性の ほうが男性よりもノンアサーティブの得点が有意 に高かった。「助言・教示」の主効果は認められ なかった(F(1,440)=.04,ns)。
(3)アサーティブの得点における性別を要因と したソーシャルサポート得点の高低群の2要因参 加者間分散分析
性別によってアサーティブ得点に差異があるか どうかを検討するため,「アサーティブ」の得点 を従属変数として,性別と「内面的理解」高低群
の2要因参加者間分散分析を実施したところ
(Table6),性別と「内面的理解」高低群の交互 作用が有意であったため(F(1,440)=4.89,p< .05),続けて性別における「内面的理解」高低群 の単純主効果検定を行った。その結果,男女とも に教師から内面的理解をしてもらえていると知覚 している生徒は,アサーティブの得点が有意に高 いことが明らかとなった (男性:F(1,440)=
30.55,p<.001,女性:F(1,440)=6.42,p<.05)。
次に,「内面的理解」高低群における性別の単純 主効果検定を行ったところ,高群では有意差は認 められなかったが(F(1,440)=1.65,ns),「内 面的理解」低群では女性の方が男性よりもアサー ティブ得点が有意に高いことが明らかとなった
(F(1,440)=14.54,p<.001)。
次に,性別と「共行動的サポート」高低群の2要 因参加者間分散分析を実施したところ(Table6),
性別と「共行動的サポート」高低群の交互作用は 認められなかった(F(1,440)=.00,ns)。性別 の主効果がみられ(F(1,440)=11.54,p<.01),
女性のほうが男性よりもアサーティブの得点が有 意に高かった。「共行動的サポート」の主効果も
ᖹᆒ SD ᖹᆒ SD ᛶู ࢯ࣮ࢩࣕࣝࢧ࣏࣮ࢺ స⏝
㧗⩌ 5.71 4.16 7.87 2.01 ప⩌ 6.43 4.36 7.59 1.88 㧗⩌ 5.80 4.34 7.85 4.42 ప⩌ 6.24 4.09 7.67 4.21 㧗⩌ 5.92 4.27 7.75 4.57 ప⩌ 6.07 4.20 7.78 3.90 ὀ㸧***ࡣp < .001࡛࠶ࡿࡇࢆ♧ࡍࠋ
ຓゝ࣭ᩍ♧ 17.65*** .04 .02
⏨ᛶn = 219 ዪᛶn = 225 ຠᯝ
ෆ㠃ⓗ⌮ゎ 15.77*** .27 1.45
ඹ⾜ືⓗࢧ࣏࣮ࢺ 17.82*** .10 .60
Tabl e5 ノンアサーティブ得点における性別を要因としたソーシャルサポート得点の高低群の2要因参加者間分散分析結果
ᖹᆒ SD ᖹᆒ SD ᛶู ࢯ࣮ࢩࣕࣝࢧ࣏࣮ࢺ స⏝
㧗⩌ 3.15 1.87 3.44 2.01 ప⩌ 1.67 1.77 2.79 1.88 㧗⩌ 2.91 1.81 3.55 1.95 ప⩌ 2.15 2.12 2.79 1.95 㧗⩌ 2.84 1.90 3.44 2.09 ప⩌ 2.20 2.03 2.79 1.74 ὀ㸧*ࡣp < .05㸪**ࡣp < .01㸪***ࡣp < .001࡛࠶ࡿࡇࢆ♧ࡍࠋ
ຓゝ࣭ᩍ♧ 9.58** 11.35** .00
⏨ᛶn = 219 ዪᛶn = 225 ຠᯝ
ෆ㠃ⓗ⌮ゎ 14.39*** 32.87*** 4.89*
ඹ⾜ືⓗࢧ࣏࣮ࢺ 11.54** 16.45*** .00
Tabl e6 アサーティブ得点における性別を要因としたソーシャルサポート得点の高低群の2要因参加者間分散分析結果
認められ,高群のほうが低群よりもアサーティブ の得点が有意に高かった(F(1,440)=16.45,p< .001)。
性別と「助言・教示」高低群の2要因参加者間 分散分析を実施したところ(Table6),性別と
「助言・教示」高低群の交互作用は認められなかっ た(F(1,440)=.00,ns)。性別の主効果がみら れ(F(1,440)=9.58,p<.01),女性のほうが男 性よりもアサーティブの得点が有意に高かった。
「助言・教示」の主効果も認められ,高群のほう が低群よりもアサーティブの得点が有意に高かっ た(F(1,440)=11.35,p<.01)。
考 察
本研究は不登校予防に関連する変数であるソー シャルサポートとアサーションスキルに着目し,
中学生を対象に,サポート源を「先生」としたソー シャルサポートとアサーションスキルとの関連に ついて検討した。その結果,男女ともに教師から
「内面的理解」をしてもらえていると知覚してい る生徒は,アサーティブ得点が有意に高いことが 明らかとなった。このことから「中学生が知覚す る教師からのソーシャルサポートが高いと,アサー ションスキルも高い」という仮説は一部支持され た。
「アサーティブ」の得点における性別と「内面 的理解」の交互作用は認められたが,その他の交 互作用は認められなかった。しかし,アサーショ ン尺度のすべての因子で性別の主効果が認められ,
「アグレッシブ」では男性の方が女性よりも得点 が有意に高く,「ノンアサーティブ」,「アサーティ ブ」では女性の方が男性よりも得点が有意に高かっ た。この結果は他の研究と概ね同様の結果が得ら れたと考えられる(例えば大賀,2004;宇田川・
下田,2013)。また,「アグレッシブ」においては,
教師から「共行動的サポート」を受けている生徒 の方が,受けていない生徒よりも得点が有意に高 いことが明らかとなった。村山他(2016)は小中 学生の攻撃性には友人からのサポートが負の効果 を示すがその効果は非常に低く,大人からのサポー トは攻撃性に有意な効果を示さなかったことを明
らかにしている。また金子(2012)は,教師によ る能動的な関わりの高さが生徒のセルフコントロー ルの高さ,生徒の規範意識の高さ,生徒の向学校 的行動の高さと関連するとし,問題行動の抑制や 学校適応には教師が能動的に関わる重要性を示唆 した。「共行動的サポート」の項目を見ると,確 かに能動的な関わりに当てはまるものもあるかも しれないが,受容的であり受け身的な関わりとも 捉えられると考える。村山他(2016)で攻撃性に は大人からのサポートが効果的でなかったことか ら,中学生の攻撃性には,教師からのサポートの 効果は必ずしも見られず,むしろサポートの内容 によっては攻撃性を増長してしまう可能性がある ことが考えられる。今後は,教師のサポートの内 容によっては,生徒のアサーションスキルに負の 効果を及ぼす可能性を考え,ソーシャルサポート の質にも着目して検討していく必要がある。
本研究の結果は, 高校生を対象にした大対
(2011)同様に,中学生においても知覚されるソー シャルサポートとアサーションスキルには関連が あることが示唆された。藤本・水野(2014)は,
教師魅力のうちに「安心感」が登校維持要因とし ての役割を果たす可能性があることを明らかとし ている。中学生において学校生活は生活の多くを 占める時間であり,そのような中で関わりが多い 教師からのサポートが彼らにとって重要であるこ とは間違いないだろう。今回の結果より,教師の
「内面的理解」というサポートが安心感へとつな がり,生徒の自己表現を支え,登校維持要因とし て機能している可能性が考えられる。したがって,
アサーションスキルは不登校予防として有効なス キルであることが示唆され,生徒が教師から「内 面的理解」をしてもらっていると知覚することが 求められるだろう。
林田・黒川・喜田(2018)は,学校適応感は親 子関係が不安定なまま育ってきた生徒であっても,
学校内の対人関係(友人・教師)に満足している ことが補償的に働き,高められることが影響して いると明らかにしている。また,学校での居心地 の良さの感覚には,親への愛着よりも友人・教師 との関係への満足感の方がより影響が大きく,な かでも友人関係の満足感が大きな影響を与えるこ
とが明らかになっている(林田他,2018)。これ は,学級生活に対してクラス全体の満足感が高い 学級では,仲間集団内外に関わりなくアサーティ ブに自己主張行動をとる児童が多いこと(内田・
松澤・高橋,2009)と関連があると考えられる。
このことから,学校適応感や満足感に影響を与え る友人,教師からのソーシャルサポートの重要性 が考えられる。不登校の増加がみられる現代社会 において,教育現場ではアサーションが必要とさ れており,「子どもたちにアサーションを伝える ためには,まず『伝え手である教師が日々のコミュ ニケーションにおいてアサーションしていこうと すること』,『アサーションを教えていく教師自身 が子どもや親,同僚などのコミュニケーションで,
アサーションを心がける姿勢を持つこと』が重要 な意味を担っている(園田,2002)」。したがって,
中学生の学校生活において教師の存在は大きな意 味を持ち,教師は学業や生活でのサポートととも に,生徒にとってのモデルとなること,生徒が友 人との関係を良好に保つためのサポートを行って いく必要があると考えられる。今後,学校生活に おける対人関係やサポートの重要性を見直し,友 人と教師のサポートがアサーション行動増加へ,
そして,不登校予防へつなげていくことが重要な 支援の視点となると考えられる。
今後の課題
これまで様々な研究で親や友人からのサポート 効果は確認されているが,教師からのサポートの 効果はあまり見出されていない(例えば岡安他,
1993;小関・小関・高橋,2012)。それに対して,
本研究でアサーティブ得点には男女ともに教師サ ポートが有効であることが明らかとなったのは1 つの知見だと捉えられる。しかし,本研究でのデー タは中学校1校から得られたものであり,地域性 や学校環境などからデータに偏りがある可能性は 否定できない。よって,今回の結果が現代の中学 生全般にあてはまるものなのか,個々の学校の特 徴や地域性に関連するものなのかは明らかとなっ ていないため,複数の中学校でのデータの収集や 用いる尺度選びの見直しを行い,調査を行う必要
があるだろう。
また,本調査では「アサーション尺度」での残 余項目が非常に多く,「アサーティブ」は2項目 だけが残った。残った項目を見ると,サポートを 受けることで自分が好意を抱く他者に対しては適 切な関わり方ができることはわかるが,友達や教 師に対し自分が困ったときに頼ったり,自分の意 見を伝えたりするなどを含めた自己表現との関連 は見出せていない。回答でもソーシャルサポート 尺度では未回答の生徒が少なかった半面,アサー ション尺度では多くの生徒で未回答の項目が見ら れた。先に述べたように,今後はソ-シャルサポー トの質にもより着目し,アサーションスキルでは より多角的な「アサーティブ」を調査できるよう,
再度中学生にあった尺度を検討する必要があると 考えられる。
付 記
本研究は,2019年3月刊行「愛知淑徳大学心理 学部心理学科卒業論文抄録集 vol.25」に掲載さ れた卒業論文を再分析したものである。
謝 辞
本研究を行うにあたり,調査に御協力頂きまし た中学校の諸先生方,生徒の皆様に心より御礼申 し上げます。また,卒業論文,本編の作成にあた り,細部にわたり適切かつ親切な御指示・御指導 を頂きました西出隆紀先生,髙野恵代先生に深く 感謝の意を表します。
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