Bul l .Fa c .Educ .Hi r o s a kiUni z I . 5 4:7 3 ‑8 0 ( Oc l .1 9 8 5 )
学生 の教育実習に対す る意識 の追跡調査
一 旧弘前大学養護教諭養成所 と四年制大学養成課程 との比較‑
A Fo l l o wI UpSt udyo nSt ude nt s 'I de a sa t x ) utTe a c hi n gPr a c t i c e
‑ A C ompa ri s ont 光t W e e nSt ude nt so ft heOl dThr e e ‑ ye ∬ Hi r o s akiNa t i onalScho ol f orSc ho ol nur s e ‑ Te a c he ra nd St ude nt se nr o l l e di nt heNe w Four ‑ ye 打 Pr o gr am a t Hi r o s a kiUni ve r s i t y‑
面 揮 和 子*・早 川 三野雄*
Ka zukoMENZAWA
.Mi n o oHAYAKAWA (1 98 5. 7. 20受理)
要 旨
本研究では,旧弘前大学養護教諭養成所の学生 と移行後の教育学部養護教諭養成課程の学生の,教育実習 についての意識に違いがみ られ るか ど うかを比較 ・検討 した。対象者は前者4
0
名,後者1 04
名である。質問 紙法を用い.実習前 ・実習後 ・卒業後の 3時点で調査を行 った。質問紙は 4つの要因か ら構成 され,各要因 の10の質問項 目は,最 も積極的なものか ら消極的な ものまでが順に並べ られている。比較 した結果,四年制 課程学生は養成所生に比べて,子 どもとのふれあいはあ ま りうま くなか ったが,指導能力については自信を もっているらしいことがわか った。は じ め に
昭和54年度 まで存在 した三年課程の tt国立弘前大学養護教諭養成所"では中学校二級普通免許 (保健)杏.
弘前大学教育学部に移行後の四年制課程では同じく一級免許をとることが,学生の卒業の必修要件になって いる。そ こで,学生は春
(4
月上旬〜 5月上旬)の養護実習4
単位(4
週間)の他に,2
単位(2
週間)の 保健科の教育実習を行 う必要がある。そのため,養成所お よび四年制課程では,毎年秋に約40
名の最高学年 の学生が20
数校の協力中学校で教育実習を行 っている。移行後 も基本的な実習方法は変わ らないが,実習期 間は 3週間か ら2週間へ と短縮 された。教育実習は免許取得 とい う現実的なメ リッ トだけではな く,養護教 諭の資質 として保健教育の助言者お よび担当者 としての力をつける重要な機会であるが,教科 としての tt保 健"ほ義務教育段階では tt体育",あ るいは tt保健体育"の中に組み込 まれてお り,独立 して存在 しないこと,また実際には教科学習を担当 しない養護教諭に とって,その意味が問われている実習である。法 律 的 に は
「養護教諭は児童の養護をつか さどる」(学校教育法第2
8
条⑦) とい うように職務が示 されてお り,養護教諭 は保健教育 (保健学習 と保健指導に大別 され る)の中の保健学習 (教科)は原則 として担当 しないことにな っている (保健指導は行 う)。 しか し,現行免許法下で様 々なルー トで養成 され る養護教諭の中でも,看護系1) 出身の養護教諭に比べて, 養成所出身の養護教諭は, 保健教育の担当を得意な分野 として挙げている。 ま た一方では,養護教諭の中に,保健学習を担当す ることに よって自分が教員であることの証を求め ようとす
2) 〜 5)
る向きもあるようだが,仕事の内容の規定をめ ぐって, この問題には様 々な意見がみ られ る。ところで,教育実習は 「教育実地研究」 とも言われ るように,実習の中か ら生 じる問題を新たな契機 とし て教育研究の端緒をつかみ,子 どもたちとのふれあいや教師集団 との接触に よって教育の実際を肌で感 じと り,教師 としての自覚を持つ良い機会であ り,学生に とってほ大学生活の中での大 きな学習課題の一つであ
6)〜l l )
る。教育実習についての学生の心理を対象 とした研究は,教育学 ・心理学分野でい くつか行われているが.
+弘前大学教育学部養護学科教室
De pa r t me ntofSc hool nur s e‑ Te a c he rEduc a t i on,Fac ul t yofEduc at i o n,Hi r o s aki
Uui ve r s i t y.
7 4
面浮 和子 ・早川三野堆まだ,ほんの緒についたばか りと言え よう。そ こで,本研究では,客観的に学生の教育実習に対す る心理的 変化を知 り,実習指導上の基礎資料を得 ることを 目的 として,三年課程の養成所の学生 と移行後の四年制課 程の学生の意識を,実習前 ・実習後 ・卒業後の
3時点で調べ,比較を行 った。
1 2 ) 1 3 )
本研究は,以前の研究をふ まえ,第31 回 日本学校保健学会で発表 した。
教育実習の概要
春の養護実習 ( 保健室中心)は小学校で行 うので,学生が終了年限内で様 々な発達段階の子 どもたちに接 触できる壊会を設け るため,教科の教育実習は中学校で行 っている。養成所では三年課程の三年次,弘前大 学教育学部では四年次の秋 (9 月中旬〜1 1 月上旬)に,それぞれ 3 週間, 2 週間の教育実習を行 っている。
青森県弘前市周辺の全中学校2 3 校の中1 7‑1 8 校の協力を得て, 1 校当た り1‑ 3 名ずつ約3 0 名を配属 し,醍 属 しきれない約
10名の学生は,県内他地域お よび県外の比較的近い出身中学校で実習す ることになっている。
この ような方針をとる理 由は,養成所 ・大学 と協力校 との緊密な協力関係の下に実習指導に当たることを願 うか らであ り, 9 名の教官が手分けを して実習期間中一度は当該学校を訪問 し,挨拶かたがた学生の指導に 当たっている。実習中に約
8時間を 目安に保健の授業を依頼 しているが,各校の実状に より様 々で
, 4 ・5時間〜1 5・1 6 時間 と/ミラツキがあ る。学生は秋 の教科の教育実習の前に,春の養護実習 4 ( 移行前は5)過 間,臨床実習 3 (4) 週間を経験 している。
方 法
(1)
調査対象お よび調査時期
実習前 実習後 卒業後 養 成 所 第1 1 回生 4 0 名 昭和5 3 年 6 凡 5 3 年1 1 凡 5 4 年 6 月 四年制課程 1 回生 32 名 5 6 年 9 月,5 6 年1 1 月,5 6 年1 1 月 同 上 2 回生 36 名 5 7 年 9 月,5 7 年1 1 凡 5 8 年1 1月 同 上 3 回生 3 6 名 5 8 年 9 月,5 8 年1 1 凡 5 9 年 7 月 実習前 :オ リェソテーシ ョン前
実習後 :直後約 2 週間以内 卒業後 :実習後か ら
8か月
‑ 1年後 ( 2 ) 調査方法 ①在学時一質問紙集合調査法
卒業後一質問紙郵送調査法
② 回答は無記名で行 った。
( 3 ) 調査用紙の構成
次の 4 つの要因か ら構成 されている。
‑①教育実習に対す る気持ち一意欲や不安
②生徒に対す る気持ち‑ふれあいや‑だた り
③実習校の先生方に対す る気持ち一期待や不安
‑④指導能力‑の自己評価
各要因のそれぞれ
10の質問項 目は,意欲の高いものか らそ うでないもの‑ と,社会的態度測定の
10 段階の 距離尺度に準 じて示 してある。対象者は
10の質問項 目の うち, 自分の気持 ちに 「 合 う」と思 うもの
3つ,「 合 わない」 と思 うもの3 つずつを選択す る 。 3 時点での比較を行 うに当た って,実習後 ・卒業後は各項 目の文 章を過去形様式に改めた ものを使用 した。例えば,表 1 の要因 1 の 1「いろいろ失敗 もあるだろ うが,それ に くじけずに頑張 る」‑ 「いろいろ失敗 もあ ったが, それに くじけずに頑張 った。 」 とい う具合で あ る。
乱
4つの構成要因の各々
10の質問項 目の順位の客観性を高めるため,教育学部の他課程の学生計
㌘4名に 積極的だと思 う順に 1位か ら
10 位 まで順位をつけて もらい,項 目間の順位の基準化を行 った ( 表 1参照)。
乱 質問項 目は, 調査時点 までの学生の教育実習 ノー トの感想な どを参考に著者が作成 した。 分析に際
し
,x2 ・検定を使用 した。
表
1
教育実習についての事前調査内専一全体平均による輯極的な噸位 (要因 l) 教育乗晋に対する気持ち‑意欲や不安を表 したものlいろいろ失敗もあるだろうが.それにくじけずに頑張る。
2
自分という人間をありのままに示 し.ぶつけてみたい。3
何事も恐れずにぶつかり.できるだけ頑張る。4大事な仕事だと思うと.身がひきしまる感 じがする。
5
大学とはもがった勉強ができるだろう.6
枚藤という職業にとても魅力を感 じている。7
すべてわからないことだらけで.不安である。8 3( 2)
遵間もかと思うと番うつである.9 カリキュラムできめられているから.実習に行 く。
10 めんどうな気がして.今から気が重い.
(要
因
2) 児童 ・生徒に対する気持ち‑ふれあいやへだたりを表したもの1
自分の方から.どんどん子ともたちの中に入って行きたい .
2
子どもたちと遵U.親しくなりたい.3
規律正しい生活をし.子ともたちと 明るくのびのびとす
ごしたい。4
子どもと揺する毎日は,張 り合いのある生晴になるだろう .
5
いっも子ともたちといっしょに行動 したい。6
何とかやってゆけるだろう.という気持ちでいる。7
自分の入っていけないところもあるだろう.8
子どもの心がつかめないかもしれない。9
子どもにどう見られるか.不安である。1 0
子どもにはうんざりで 逃げ出 したい。(要因3) 実習校の先生方に対する気持ち‑期待や心配を表 したもの
1
先生方に稚橿的に話 しかけ.たくさんのものを吸収 したい.2
人同的な親密なふれあいをして.教師像や人生牧について学Uた 3
子どもを育てる教師の亨びにふれたい。4
わからないことを何でも用いて.教えてもらいたい.5
枚鱒としての生きかたを考えたい。6
枚藤になるのだという自覚をもちたい。7
担任の先生がどういう人か気になる。8
多 くの先生方の中で うまくやっていけるか.心配である.9
自分の小 ・中学校時代を思い出して.なつかしい。1 0
どうせやるのなら、早 く持わらせたい。(章
因
4) 指導能力への自己評価‑学級や授業についての気持ち1
子どもを指導 し,自分も学ぶことに誇 りや生きがいを感 じる。2
伴性に涜されず.よく串儀をし.はつらつとした毎Elでありたい。3
専門科目を教えることは.や りがいのあることだと思う。4
教えることが好きである。5
わかりやすく教えられるか 心配である。6
教える陀力や適性があるかどうか心配である。7
今のままの自分が教壕に立つことに,すまないような気がする。8
指導する立噂なので.心身ともに疲れるだろう。9
子どもに悪い影響を与えるかもしれない。1 0
授業をしたり.学級に行 くことは負担である。竺
∬ ‑・8 ‑・6 ‑・6 ‑・8 ‑・t ‑ ・。∬
771 2
95 6 6 2 6
23一皿
︼ 一皿 ︼ 一
皿7 5 6 6 7 9
771一皿767675
9●●●●●●●●●
●33一皿︼一皿︼一皿︼一皿︼6tD7
86 7 丘
︼6 9 1 0 7 A
T6 ● ●
●● ● ● ● ●
●● 3 3 一皿
7‑A T 一皿 7 5 6 6
7CO
結 果
(1)両者の要因別の態度の割合
表 2, 3は養成所学生 (第11回生)の,蓑 4, 5は教育学部四年制養成課程学生 1‑ 3回生 の意識をひ と まとめに して示 した ものであ る。 「積極性」につ いては,
4
つの要 田それぞれについて,順位値 の1
位か ら3
位 までの項 目が 「合 う」 として選択 された度数の合計, 「消極性」につ いては8
位か ら1 0
位 までの項 目に 対す る 「合 う」 とい う選択度数 の合計 の,総選択数に対す る割合で示 した。表
2
か らわか るよ うに,養成所生 の 「積極性」は, 「要田 1‑
教育実習に対す る気持 ち」で実習前4 9 %
‑ 実習後3 8%
‑卒業後3 6%
へ と実習直後にかな り落ち込む下 り坂型を示 し, 3
つの時点間に有意差 のあ る傾 向 がみ られ た(P<0. 1)。
「要田3
‑実習校の先生方に対す る気持 ち」において も,同様に実習前4 4 %
‑実習76
面浮 和子 ・早川三野堆表
2
養成所生の要因別の 「根極性Jを示 した割合\ ‑」 ̲ 調 査 時 実習前 実習後 卒業後 要 因 一一、\ n
=3 7×3
n=3 9×3
n=3 9×3
1)教育実習に対する気持
ち 49% 38% 36%
一意'や不審
△
2)生徒に対する気持ち
3 2 ( 5 4 ) 34 ( 4 4 ) 26 (
42)‑ふれあいやへ
だたり ( 3 5 ) ( 4 0)
(30)‑3)実習校の先生方に対す
る
44 3217
気持ち‑加持や不事 ☆☆
(49) (38)(
20) 4)指導他力への 自己評価 32 3025
一学級や授業 (36) (35)
( 2 9)
・
X・カイ二乗検定危検車 ☆☆‑1%.
☆‑5%. △‑lo光
( )内は実数表
3
養成所生の要因別の 「消極性Jを示 した割合調 査 時 実習前 実習後 卒業後 要 因 n
=3 7 ×3
n=39×3 n=3 9×3 I
)教育実習に対する気持ち8% 12% 7%
‑意欲や不安
(9) ( 1 4 ) (8 ) 2
)生徒に対する気持ち 24 17 22
‑ふれあいやへ
だたり ( 2 7 ) ( 2 0 ) ( 2 6 ) 3
)実習校の先生方に対す る 2 12
63
5̲ ̲
二五珪ち‑朋行や不審 ☆( 2 3 ) ( 3 0 ) ( 4 1 ) 4)
指導能力への自己評価 141
21
2一学級や授業
( 1 5 ) ( 1 4 ) ( 1 4 )
※ カイ二乗検定危険率 ☆☆
‑1%.
☆‑5%. △‑lo光
( )内は実数表
4
四年制課程学生の要因別の r輯極性」を示 した割合調 査 時 実習前 実習後 卒業後 要 因 n
=9 5 ×3
n=SKl×3 n=77×31
)教育実習に対す る気持ち 45% 39% 36%
‑圭欲や不安
△ ( 1 2 8 ) ( 1 0 5 ) (
84)2
)生徒に対する気持ち 40 37 28
‑ふれあ いやへ だ た
り☆☆ ( I l l ) (9 9 )
(65)3
)実習校 の先 生方 に対 す る42 36 22
気持ち‑暮月指 や不審 ☆
☆ ( 1 2 0 ) (9 8 )
(51
)4)
指導舵力への自己評 価33 40 41
・
X・ カイ二乗検定危険率 ☆☆
‑1 %. ☆‑5%. △‑lo光
( )内は実数表
5
四年制課程学生の要因別の r消極性」を示 した割合調 査 時 実習前 実習後 卒業後 要 因 n
=9 5×3
n=SKl×3 n=77×3I
)教育実習に対する気持ち 12% 4% 7%
‑豪放や不審
☆☆ (3 3 ) (l l ) (
16)2
)生徒に対する気持ち 22 12 21
‑ふれあいや
へだたり☆☆ (6 2 ) (3 2 )
(49)3
)実習校の先生方に対する
21 24 32
気持ち ‑暮JI指や不要 ☆☆
4 )
指導能力への 自己三千億1
9(6 0) 15 ( 6 5) 20 (
74)※ カイ二乗検定危険率 ☆☆
‑1%. ☆‑5%. △‑lo光
()
内 は実軌前 一後
△
前 ‑卒 ☆
前 一枚 △ 穣 一卒 ☆☆
前 一卒 ☆☆
前 一卒 ☆☆
前 一卒 ☆ 前 一卒 ☆☆
後 一卒 ☆ 前 一卒 ☆☆
後 一卒 ☆☆
前 一後 ☆ 柄 ‑卒 ☆
前
一律 ☆☆前
一卒△ 前一律 ☆☆
後
‑卒 ☆☆前
‑卒 ☆☆故
一卒 虫後
3 2 %
‑卒業後1 7 %
と,実習経験や教職経験が重 なるにつれて一層有意に割合が低 くな ってい る(P<0.
01)。この変化を裏付け るよ うに,表
3
の養成所生 の 「消極性」を示 した結果において, 「要因3
‑実習校の先生 方に対す る気持 ち」での割合が,実習前21 %
‑実習後2 6 %
‑卒業後3 5 %
とい うよ うに徐 々に高 くな ってお り, 有意差がみ られた(P<0. 0 5 )
。要田2
及び4
も在学中と卒業後で下降傾向はみ られ るが ,上記2
要田ほ ど著しい ものはな く,有意差はみ られ ない。 「積極性」に関連 した態度の方が
, 3
時点間での変化が大 きい こと が伺われ る。一方,表 4か らわか るよ うに,四年制課程学生は, 3つの調査時点別にみた場合, 4つすべての要因にお いて 「積極性」を示す割合に有意差,お よび有意差のある傾 向がみ られた。 「要因 1‑教育実習に対す る気 持 ち
」(P<0.
1),「要因2
‑生徒に対す る気持 ち」(P<0.
01),「要因3
1実習校 の先生方に対す る気持 ち」(p<0.
01)は,実習前の4 0 %
台の割合か ら,実習後 ・卒業後 の3 0 ‑2 0 %
台‑ と下 り坂型を示 しているが,「要因
4
‑指導能力への 自己評価」では3 3 %‑4 0 ,41 %
‑ と,上 り坂型にな っている。「積極性」の変化は, 上昇す る場合には実習前 と実習後にそれが生 じ,その後 も維持 され,下降す る場合は,在学中 (実習前 と実 習後) よ り卒業後に生 じやすいことがわか る。実習前 よ り実習後に下降 した割合は,その後 も下 り続け る傾 向がある。表5
の四年制課程学生の 「消極性」を示 した割合において も,要因1‑3
で有意差がみ られたが(p<0.
01),パ ターンは3
要田それぞれ異な ってお り,要因1
は下 り坂型.要因2
は谷型.要田3
ほ上 り坂 型を示 している。「積極性」に も変化があるが,それ よ りも要因1
と2
の よ うに,実習の直後に 「消極性」が 著 しく低下 しているのが特徴である。( 2 )
養成所生と四年制課程学生 との比較実習前の 「積極性」の割合は,要因 2を除いて両者で著 しい相違がないことを,は じめに確認す ることが で きる。 また実習後 の割合では,要田 4を除いて両者に著 しい相違はみ られない。卒業後 の割合では要因 4 の他,要因
3
に若干の相違がみ られはす るが,大 きな ものではないだろ う。即ち,要因別に 「積極性」につ いて表2
と4
を比べてみ ると,「要田 2
‑生徒に対す る気持 ち」で ,四年制課程学生は養成所生 と異な って, 有意に 「積極性」が低 くな る変化を示 している。 ただ し,前者では実習前の 「積極性」の割合が後者 より高 いとい う,当初の相違がある。 しか し,その反面,「要因4
‑指導能力への 自己評価」において,養成所生で は有意差はみ られ なか った ものの,やや 「積極性」が低 くな る様相を示 してい るのに対 し,四年制課程学生 では,「積極性」を示す割合が高 くな っている慣向がみ られた(P<0.
1)0「消極性」について表 3と 5を比べてみ ると,全体に両者 とも 4つの要因について時点別に同 じ′<ターン を示 している。実習前の両者で,要因
1
と4
とで若干の相違があるか もしれ ない。実習直後では要因1
で相 違が伺われ,卒業後は要田 4
で相違があるようだが,全体を通 して,両者の相違はみ られない。 しか し,細 か く要因別にみ ると,養成所生では 有意差のみ られなか った 「要因1
‑教育実習に対す る気持ち」 (下 り坂 型),「要因 2‑生徒に対す る気持 ち」(
谷型)の 2要因において,四年制課程学生では有意に割合が低 くなっ ている。「要田 3
‑実習校の先生方に対す る気持 ち」では,両者 とも 「消極性」が有意に高 まる上 り坂型を示 している(P<0. 0 5
,P<0.
01)。要田4
は両者 とも著 しい変化はみ られない。「消極性」に関 しては,両者 に共通 して,実習に よ り改善 または改悪 され,「消極性」が低下 または上昇 して も,卒業後には在学中の実習 前 と同 じ水準に戻 る態度 と, より一層 「消極性」が増 してい く態度 とがあることが伺われ る。以上の諸知見を要約す ると,実習経験に よる大 きな変化は ,四年制課程学生においては要因
4
の 「積極性」の上昇 と,その後の継続,お よび要因 2の 「消極性」の実習直後におけ る改善 と,その後 の復帰 (もとの水 準に戻 って しま うこと)の2点であろ う。
考 察
(1)養成所生 と四年制課程学生 との比較
1)
要因別の 「積極性」の割合 「要因2
‑生徒に対す る気持 ち」で.四年制課程学生は養成所生に 比べて有意に(P<0.
01),実習前 よ り実習後 ・卒業後 の割合が低 くなってお り,実習前の予想に対 して積極 的に子 どもたちの中に溶け込 んでいけなか った とい う疎遠感を抱いた者が多か った よ うである。反面で ,「要 因4
‑指導能力へ の自己評価」では,四年制課程学生は実習前 よ り実習後 ・卒業後におけ る 「積極性」の割78
両帝 和子 ・早川三野堆合が高 くな っていて,養成所生の有意差のみ られなか った結果 と対照的である。 これは,両者の絶対的な指 導力を客観的に比較す ることは難 しいとして も,四年制課程学生の方が,実習を行った結果, 「や るだけの ことはや った」あるいは 「案外 自分 もできる」とい う,充実感 と自信を もった ものと推察 され る。 この よう な結果に影響を及ぼ したと思われ る要素には,第
1
に実習期間の長 さ,第2
は実習時の学年,第3
には他課 程の実習生か らの刺激, とい うよ うな事柄が考え られ る。即ち,四年制課程学生は養成所生の3
週間に対 し て2
週間 とい う短い実習期間であ り,その間に子 どもたちの氏名を覚えた り,ある程度の交流ができるよ う になるには,物理的に時間不足であるとい うことが考え られ る.そ して,実質的に1
年上級で実習を行 って いる四年制課程学生は養成所生に比べてその分,精神的成熟 も進み,子 どもたちとの距離がやや隔たってき たのではないか と思われ る。 しか し, これは要因4
の授業能力の自己評価については 自信 となって反映 され る要素で もあろ う。 さらに,四年制課程学生の場合,他課程の実習生 との交流が弘前市近郊の協力校ではみ られ るが,保健科の内容に関 しては他課程の実習生 よりよく学習 しているために安心感を抱いた経験 もあっ たであろ うし,反面で他課程の実習生が教師になるために多 くの授業時間を こな しているのを見て,その厳 しさを改めて感 じるな ど,良かれ悪 しかれ様 々な刺激を受けている。 こ うして四年制課程学生の場合,他課 程の実習生 と同等であるとい う意識を もてる機会があ る点,ほ とんど2
名で実習を行 っていた養成所生に比 べて,指導能力への自己評価の 「積極性」の割合を,実習前 より実習後 ・卒業後に高める結果になっているものと推察 され る。
2)要因別の 「消極性」の割合
四年制課程学生は養成所生に比べて, 「要田 1‑教育実習に対す る 気持ち」,
「要因2
‑生徒に対す る気持ち」において有意に 「消極性」の割合が減 ってお り(P<0.
01),実習 前に比べて実習後は不安感が消失 していることが伺える。 この点,四年制課程学生の方が,養成所生に比べ て余裕を もって実習に取 り組んでいる姿が伺える。ただ し,就職後はやは り消極的になって しまいやすい。しか し, 「要因
3
‑実習校の先生方に対す る気持ち」に関 しては,両者 とも 「消極性」が高 ま り,実習前に 比べて実習後 ・卒業後では,思 ったほ どのびのび と教師の中で振舞えていなか った ことが示 されている。「積 極性」の割合 も実習前に比べて実習後 ・卒業後は ぐっと減 るとい う結果 と合わせて考えてみて も,実習前の 意気込みに対 して,それほど実習校の教師に対 して働 きかけができなか ったとい う後悔 の念が示 されている ものと思われ る。要田 1,2
についての結果を もた らした要素は,1)の 「
積極性」の割合の所で述べたと 同様,実習生側の3
つの要素であろ う。 「要因3
‑実習校の先生方に対す る気持ち」について,実習生が協 力校の教師との接触が うまくいかなか った原因については,実習生側の働 きかけの態度が消極的だ とい う一 般的な要素を考慮 した上で,第1
には保健体育科の中の保健科のみの実習であること,第2
に将来養護教諭 になるべ き学生の教科実習であること,第 3に実習生が多 くは協力校の出身者でないこと,第 4に実習時期 が学校行事等で繁忙時であること(1 0
月中心のため),第5
には教師が多忙であること,等の要素が考 え ら れ る。第
1
の要素は,保健は年間の時間数が少な く (中学1・2
年一各1
0時間,3
年‑35
時間,3
年間計5 5
時間), 雪国の青森県な どでは,通常,積雪時に集中 して授業を行 っている中学校が多い上に,1 0
月は運動に最適のシーズンであ り,保健が受験教科でないこと等か ら軽視 されがちな教科であるとい う事情 もあ って, もとも とあまり良い条件では実習を行えない現状にある。第
2
・第3
の要素は受け入れ体制 とも関わ って くるが, 保健室での養護実習 と誤解す る学校 も見受け られ,時 々 トラブルのもととなることがある。第4
・第5
の要 素は学校側の受け入れ体制の良否 と,指導教諭の力量 とい うことになる。 しか し, これ らの要素の うち,第1・第 2
の特殊要素を除いては他課程の実習生 もほぼ同 じ条件下にあ り,今後の研究において比較 ・検討を 行 う必要があろ う。 この他,受け入れ体制に関わ る要素 として,大学 と協力校 との関係があるが, この点に ついては養成所,四年制課程 ともに,所属教官が実習期間中に巡回指導を行 ってお り,実習前後の連絡,辛 前の挨拶に出向 くなど,かな り密接な連絡をとっているので,あま り問題はないと思われ る。( 2 )
教育実習のあ り方をめ ぐる諸問題14)
日本教育学会の研究委員会で教育実習の改善に関す る調査研究を行 っている藤枝は, 日本の教育実習をめ ぐる諸問題を考える場合の観点 として,次の
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つを提示 している。①現実的問題 と理論的課題‑‑実習の本質や本来的あ り方を追求 したいが,実習校の確保が難 しいとい う問
題。
② 日本の教育実習の二重的性格・・・‑教師 としての完成教育 ととらえる立場 と,大学教育の一貫 として新 しい 研究課題を発見す るための場 ととらえる考え方が,実習に暖昧 さを残 している問題O
③総仕上げ的教育実習観 と研究的教育実習観・‑‑総仕上げ的に最高学年で一時的に集中 して実習を行 う伝統 的教育実習観 と,実習を大学教育の一貫 と考えて柔軟に実施時期を設定す る立場 との調和の問題。
④教育研究における理論 と実践の結合‑‑‑大学 と学校現場 との乗離の問題。
⑤教師に必要な資質 ・能 力の問題‑‑望 ましい教師像についての考え方の問題。
これ らの観点か らみて,当課程の教育実習では, まず第
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の教育実習におけ る現実的問題である実習校の 確保,即ち,外的条件整備の最低必要事項が最大の課題にな っている。 しか し,学生が実際 に行 っている実 習の条件は,全国的水準か らみて決 して低い ものではないと確信 しているが,実習の本質を追求す るものと な り得ているか といえば,必ず しも十分 とは言い切れない。当課程 の教育実習は,学生の 3年次 までの大学での授業をふ まえた上で, 4年次に 3つの実習 (養護,臨 床,教科)を集中的に行 うとい う,伝統的あるいは完成教育としての実習観を とっている。そのために,学 生に とってはすべての実習が.大学を離れた現場での初めての体験であ り,新鮮であると同時に,一種の試 練の場であって, しか も一度だけのチ ャンスとな っている。 しか し,学校現場での実習 とい う点では,春の 小学校,秋の中学校 と
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回の実習を経験 しているとも言え るが,養護実習 と教科実習ではね らいが異な って お り,学生は違 った立場で実習に取 り組むわけである。授業をす る教師の一員 としての秋の実習について, 最近の多 くの学生は肯定的な受け取め方を しているよ うである。藤枝の提示 した観点に照 らす と,本研究の4
つの要田に見 られ る問題について も,近い将来にある程度改善が可能 な ものと,将来に渡 る課題 として残 され るものとに大別で きる。例えば, 「要田 2‑生徒に対す る気持 ち」な どは常に課題 として残 され るもの であろ うし,その他の要因については実習の外的条件の整備や カ リキ ュラムの検討等に よって徐 々に改善可 能な部分 も考えられ るので,今後の実習指導においては,大学での教育全般を考慮 して,一層広 い視野か ら 行 うよ う留意す る必要があ る。お わ リ に
本研究では,以前の三年制国立養護教諭養成所の学生 と,移行後の四年制大学養制課程の学生 とを比較 し て,保健科の教育実習についての意識に違 いがみ られ るか ど うか検討 した。両者間には,前者は
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週間,級 者は 2週間とい う実習期間の違 いが前提 としてある。 しか し両者を比較 した結果,主に次の ような違 いがみられた。
養成所学生は入学の 目的が明確で,職業意識が強 く,全般に真面 目に実習を行 っているとい う印象を受け る。そ して生徒の中には比較的良 く溶け込んでいっているが,授業能力についての 自己評価においては実習 後 ・卒業後 (就職後)に低 くな ってお り, これは
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年次での実習であ り, しか も他の実習生 との交流 のない 開頭的環境下で,孤立 した形で行 っていた実習の弱点を示 しているものと思われ る。 これに対 し.四年制課 程学生は,生徒 との接触はあ ま りうま くいった とは言えないよ うであるが,授業能力の自己評価は実習後 ・ 卒業後に高 くな ってお り,養成所生に比べて実質1
年上級の4
年次で実習を行 っていることもあ って,実習‑ の取 り組み態度全般にゆ と りを与えているよ うに思われ る。 これには,多 くの学生が他課程の実習生 との 交流のある開放的な環境下にあ って,他課程の学生 との対等感や 自信を与えることに寄与 しているものと考 え られ る。四年制課程学生は まさし く大学生なのである。卒業後 の彼 らは養護教諭の仕事 とは何か と 日夜悩 みなが ら, 自力で力量を高め ることに よって教師 と対等であ ることを証明しなければな らない
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級免許の従 来の養護教諭ではないのである。本研究の結果か ら明 らかに された この ような違 いを見 る時,養護教諭養成課程を四年制の大学に移行 した ことの大 きな意義を見出した よ うに思われ るo Lか し.両者 とも対人関係の中で も特に,教師 とのふれあい については うま くいっていない ようであ る。
今後の四年制課程学生の教育実習指導に際 しては,大学側では, よ り一層実習校 との連携を密に し,で き る限 り実習校側の要望を受け入れ る体制をとると共に,実習前のオ リエンテーシ ョンのあ り方や内容につい
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両帝 和子 ・早川三野堆て工夫 してい くことに よって,現在の問題点の改善をはか りたいと考える。
参 考 文 献
1) 小野寺章.小西育子,佐藤智子,弘前大学養護教諭養成所卒業生の実際活動 と職務遂行上の問題点.
弘前大学養護教諭養成所学生特別研究論文集11,
P1 0 7 ‑1 1 4 ,1 9 7 9
2)
江 口篤寿,養護教諭は保健授業を もつべ きか,保健の科学,p21 3 ‑21 5 .1 9 6 9.5
3)
小倉学,今 E]の学校教育 と養護教諭の役割‑ と くに教育機能をめ ぐって1.健康教室Vo l ・ 2 5,No ・
11, 通巻3 3 4
号増刊,p3‑1 8 ,1 9 7 4.9
4)
内海和雄,養護教諭の保健体育の担当について‑その理論的一考察‑,健康教室第3 3 9
集,Vo l ・ 3 0
,No ・ 2
,通冊4 0 0
号,p2 6 ‑31 ,1 9 7 9.2
5)
内山源,養護教諭 と保健学習,健康教室増刊号,Vo l ・ 3 0
,No ・ 3
,通冊4 01
号,Pl l ‑1 5 ,1 9 7 9 6)
田畑治他,教育実習体験の構成要因に関す る研究‑ 4
年次学生 と短大学生 との比較を中心に‑,千葉大学教育学部研究紀要第