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看護師が患者に触れる効果に関する文献研 究

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Academic year: 2021

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第17回 新潟医療福祉学会学術集会

P−45

看護師が患者に触れる効果に関する文献研 究

保坂梨友、塚本康子 新潟医療福祉大学 看護学科

【背景・目的】現在、看護現場では「触れる」「握る」「さ する」といった行為や、清潔保持や体位変換などの日常生 活援助、注射や創傷処置などの診療補助といった看護ケア など、患者に触れる行為はさまざまな場面で行われている

1)。しかし、医療における機械化が進み、多くの看護師は モニターやパソコンなどの画面をとおして患者情報を得 ることが多く、触れることをとおした自分自身の五感を使 ったケアは少なくなっている2)。しかし、患者に手を当て ることから看護は始まったと言われており、患者に触れる 行為は看護の原点である。そこで、本研究では、看護師が 患者に触れることでどのような効果があるのかを先行研 究から分析し、看護ケアへの示唆を得ることを目的とした。

【方法】医学中央雑誌 Web 版 (ver.5)を用い、原著論文 に限定して、「触れる」or「タッチ」、「効果」、「看護」を キーワードとして検索した。このうち、「タクティールケ ア」「ヒーリングタッチ」などの意図的タッチを扱ってい るものを除いた18論文を対象とした。抽出された文献を 読み込み、触れる効果として述べられている記述を抽出し、

類似の内容をカテゴリー化して分析した。

【結果】18 論文のうち、調査対象を看護師とした論文が 2件、患者を対象とした論文が5件、患者と看護師を対象 とした論文が3件、学生を対象とした論文が4件、文献 などが4件であった。看護師が触れる効果として、5つの カテゴリーが抽出された。

1、身体を介したコミュニケーション

看護師が患者にこれから始まる処置を知らせるための 触れる行為は、合図という目的だけではなく、「大丈夫」

というメッセージを伝えることも含まれている。また、呼 吸困難中の患者の思いを引き出すことにもつながる。看護 師たちは、身体に触れながら相手の身体に起こっている微 妙な変化を感じ取り、その身体交流を通じて、触れるとい う技がもたらす効果を確信していた。触れるという行為は、

身体と身体を介して看護技術を提供する中で行われる「触 れる」「触れられる」ことを通して看護師から患者へ、ま た患者から看護師への身体を介したコミュニケーション としての意義を有する。

2、生理的反応-安定

触れることにより、オキシトシンが分泌し副交感神経が 優位になることで心身ともにリラックスし、ストレスを軽 減することができる。オキシトシンは、血圧を下げ、心拍 数も下げ、さらに、不安や興奮した状態から元の安定した

心の状態に戻す働きをしている。触れるケアによって呼吸 困難の改善、全身的な疼痛緩和、睡眠の質の改善、言語的 コミュニケーションが可能となる、集中治療室における不 安レベルの低下、鎮痛剤の投与回数減少、循環動態の安定、

などの効果が示されていた。

3、不安と緊張の軽減

日常的に行っている看護における行為は、対象者に「不 安や緊張の軽減」と「快適さの促進」をもたらす。検査を 受ける患者に話しかけながら触れると、緊張や気がかりで 落ち着かない気持ち(緊張と興奮)、沈みがちな気持ち(抑 うつ感)がやわらぎ、リラックスする気持ち(爽快感)が 高まった、という。その手で触れることによる効果をもた らすためには、看護者の手の触れ方が重要である。

4、深い感覚的・情緒的な交流

身体に触れるケアは、母子の皮膚を通じた交流を起源と するものであり、基本的信頼や安心感などの自己のありよ うとも密接に関係している。言葉という媒介をもたない皮 膚から皮膚への直接的コミュニケーションは、看護師とそ れを受ける人々の両者に、深い感覚的・情緒的交流をもた らしている。患者に意図的に触れることは、感情を伝える 双方の交流であり、安心感をもたらし基本的信頼感を育む。

5、個人の特性と触れる有効性

触れる行為が有効に働く要因には、基本的欲求、心理的 状態、身体接触の捉え方、触れる部位、触れることに伴う 行動の5つがある。心理的不安が高い人ほど、触れる行為 が有効に働き、また、個々が持つ特性としての依存傾向や 対人不安の高さは、身体接触をポジティブに受け入れる要 因となる。つまり、心理状態によって触れることの有効性 は異なる、ということがいえる。

【考察】患者に触れることで、患者と看護師双方の情緒的 な交流が行われ、看護師の「少しでも楽になって欲しい」

という思いが伝わることで、安心感をもたらし、身体的苦 痛や不安が軽減したと考えられる。そのため、山口氏が単 なる触覚刺激があればよいのではなく、相手のことを慮る という優しさや思いやりが重要だと述べているように、看 護者はただ触れるのではなく、患者に関心を持ちながら、

思いやりを持ちながら触れることが必要だと考える。

【結論】看護師が患者に触れることは、患者にとって有効 な看護援助であることがわかった。しかし、ただ触れるの ではなく、患者に関心や思いやりを持ちながら触れること が必要である。

【文献】

1) 原澤純子:日常の看護場面においてはたらく「手」の 現象学的考察.看護研究,47(7):46-51,2014.

2) 川島みどり:看護の技がもたらす効果TEARTE学序 説.看護実践の科学,34(1):670-678,2009

3) 山口創:手の治癒力.褥瘡会誌,18(2):75-81,2009.

参照

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