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Academic year: 2021

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(1)

ビタミンCの酸化に及ぼすビタミンB類

及び塩化ソーダの影響

Effect of Vitamin B and Sodium‑Chloride on the Oxidation of Vitamin C.

(第7報)ニコチン酸、ビタミンB1、

及び塩化ソーダの影響

Part 7. Effect of Nicotinic and, Vitamin B1 and Sodium Chloride on the Oxidation of Vitamin C.

一瀬義文,馬場輝子

(Yoshifumi ICHISE) (Teruko BABA)

緒言

筆者は前報(1)に放てピタミyC (以下Cと略記)の酸化に及ぼすニコチン酸(以下N.A.

と略記)及び塘化ソ‑ダの影響を報告したが,本報に於てはN.A.,ビタミンB7 (以下Blと略 記)及び塩化ソーダの影響についての実験結果を報告したい。

実験及び考察

実験1.合成2・アスコルビン酸に及ぼすN.A.及びBlの影響

10mg<」の合成2アスコルビン酸(以下」‑AAと略記)水i容液にN.A.及びBlを.」‑AAの重

量1に対して夫々0.001及び0,01, 0.001及び0.1, 0.001及び1.0, 0.01及び0.01, 0.01

及び0.1, 0.01及び1.0, 0.1及び0.01, 0.1及び0.1, 0.1及び1.0, 1.0及び0.01, 1.0

及び0.1, 1.0及び1.0の比になるように加え此等を夫々5, 10, 30, 60分間湯煎を用いて

煮沸(100土1‑C)し前報と同様にして」‑KKの残存率を求め,また10, 30分間煮沸前後の

pIIを硝子電極pIIメ‑夕‑を用いて測定した。その結果は第1表の通りであったo但し」‑AA,

N.A., B,の混合比に関係なく,煮沸前は何れも殆んどpH4.0であり, 10分間及び30分間

煮沸後に放ては何れも約0.1小さくなり,大差ないと認めたので表には記載を省略した。な

お」‑AA, B,,及びN.A.は何れも和光純薬社のものを用いたo

(2)

44

長崎大学学芸学部自然科学研究報告 第7号(1958)

第1表 ニコチン酸及びBlを加えた場合の1−AAの残存率(%)

4−AA:N.A:B1

煮沸時醐

1 0 0(対照)

     ブ

       0.000

      0.OlO

  O.001=

       1:1器

一・

工:

_、岬

     /       0.』LOO

      l.000

     ∫

      0、OOO       O.OlO

  l.000:

      0。IOO       l.000

5  分 97.0  〃

98.0

ユ00.0

 〃 97.0  〃  〃  〃

86.0 90.0 95.0 97.0 63.0 80.5 90.0 97.0

工0  分 76.0

97.0

98。0 76。0

〃 7ユ.5

73.0 75.0

76.0 58.0 67.0

72.0

76.O

30  分 60.5

68.3

75.0 60.5

58.0

59.0

60.5

50.5 55.0 58.0 60.5

60 分

49.7

ノア

60。0

61.0

49.7

46.0 49.0

50.0

40.0 46.0 49.0

50.0

 (別にN。A・とBIとを夫々1:3,3:1,3:3になるように混合したもの及び此等を30分聞煮沸し たものは何れもIndoPheno1色素液を還元しないことを実験によってたしかめた。但し1:3等の1はIO mg%とした。)

 第1表の結果から次のことが考えられた。

 (1) 2・AA:N.A.:B1が1.0:0.001:0及び1:0.01:0の場合は何れも残存率は対照と 等しかった。これにB・を加えた場合は後者に於ては加えなかった場合と等しく前者に於ては B1を加えたものは対照よりも残存率が大きくなり且概してB・の増量に伴い残存率も大きくな

った。

 (2)〃AA:N.A.:B1が1:0.L及び1:L Oの場合には何れも残存率は対照よりも 小さかったがこれにB1を加えるとその量の増加に伴い残存率も増加し,4・AA:B一がL1に

なった時は対照と等しくなった。

 (3)前報(1)にも述べた通りN.A.は少量ならば6−AAの酸化には影響なく,その量の増

加に伴い次第に強く酸化を促進したがこの際B・を加えるとNA。による酸化の促進を抑制す

ることが。出来,且B1の量の多い程その抑制作用は大きいように思われた。

 (4)前記のように!・AA,N・A・B霊の何れの混合比に於ても,また煮沸前後に於てもpH

は殆んど変化はないと認められたのであるからこの場合pHと残存率との聞には関係はないよ

うに思われた。

実験2.合成8AAの酸化に及ぼすNA.,Bl,及び塩化ソー、ダの影響

(3)

一瀬,馬場:ビタミンCの酸化に及ぼすビタミンB類及び塩化ソーダの影響

45  4・AAはOmg%水溶液とし〃AAの重量1に対してN.A.及びB!を夫々0.01及び0.01,

0.Ol及び0。1,0。01及び1.0,0ユ及び0.0】,0.1及び0.1,0.11及び1。0,ヌ.0及び0・01,

1.0及び0.1,1.0及び1.0の比になるように加え更に此等にNaC1を夫々1,3,5,109/d1 になるように加え,前同様にして10分間煮沸し4−AAの残存率及び煮沸前後のpHを測定し た。その結果は第2表の通りであoた。但し煮沸後のpHは何れも煮沸前に比べて約0.1減少

したので表には煮沸後のpHのみを掲げた。また塩化ソーダは日本薬局方のものを用いた。

第2表2・AA,N.A.,B1及びNaC1混合液に於ける6・AAの残存率(%)(表中Rと略記)

NaC1(9/dl)

     R及びpH

4−AA:N.A.:BI

1:

 1.0 :

/∴!

/㎜、1

0  0

 0.Ol  O.10  1.00

0.Ol

O.10

1.00

0.Ol

O.ユO

l.00

0(対照)

R

76.0

73.0 75.0 76.O 67.0 72.0

76.0

pH

4.0

1.0

R

80.0 76.0

72.2

76.0 70.0

75.0 69.0 68.0

pH

3.9

3.0

R

84.0 75.0 70。0 69.0 74.0 70.0

75.0

68.0

pH

3.6 3.8

5.0

R

84.0

75.0

70.0 69。0 73.Q 70.0

74。0

68.0 67.0

pH

3.6 3.8

10.0

R

82.0 75.0

70.0 68.0

72.0

69.0 68.0

71.0

68.0

66.0

pH

3.5 3.8

 (別にN.A.:B1を夫々1:3,3:1,3:3になるようにN・A.,B1の混合水溶液を調製し更に此 等にNaClを10g/dlになるように加えたもの及び此等を10分間煮・沸したものは何れもIndopheno1色 素液による1・AAの測定を妨害しないことを実験によって確めた。但し1:3等の1は⊥Omg%とした。)

 第2表の結果から次のことが考えられた。

 (1)B1が/一AAに対して1:1及びL O.1のものは何れの場合にもNaC1の添加によっ

て概ね残存率は小さくなった。

 (2)B1が2・AAに対して]:0.Olのものは概してNaC1の19/d1の添加によって残存率

は大きくなり,39/d1以上の場合は減少した。

 (3)1・AA,N・A.,B・の混合比は何れe場合に於てもNaC1の添加によってpHは略々4.0 から3。8に減少した。しがし,この場合はpHの減少と残存率の増加との間には殆んど関係

はなかろうと思われた。

 実験3。天然Cの酸化に及ぼすN.A。,B1及びNaC1の影響

 前報と同じようにキャベツを用いその総ビタミγCをIndophenol色素法(2)により,B,は

チオク・一ム法(2)により定量の結果前者は40mg%,後者は0.06mg%即ちC:B,は1:

0・00]5となったのでキャベツの中のN.A。は考えることなく,これに更に天然Cの重量1に

対してN・A・及び合成B!と天然B1との和との比が夫々0.01及び0.Ol,0.01及び0.1,0.Ol 及びLq・0・1及び0・01,0・1及び0。1,0.1及び1.0,1.0及び0.01,1.0及び0.1,1.0及

びLOになるようにN・A・及び合成Blを加え,また更にNaC1を夫々1,3,59/d1になるよう

に加え,7分間水煮し前報同様にして残存率及び煮汁のpHを求めた。その結果は第3表の通

(4)

46       長崎大学学芸学部自然科学研究報告 第7号(1958〉

りであった。

  第5表 N.A.,B,,及びNaC1を加えて水煮した場合のキヤベツの総ビタミンCの残存率(%)

C  N.A. BI

1:

対照(キャベッ)

     0.00      0.Ol       〃       〃

 0.Ol:  〃

O.工0:

1.00=

0。10

1.00

0.00

0.Ol

0。10

1.oo

O。00 0.Ol

0.10

1.00

NaClg/(11

0 0 0 1 3 5 0 1 3

5

0 1 3

5

0 0 1 3

5

0 1 3

5

0 1 3 5 0 0 1 3 5 0 1 3

5

0 1 3 5

残  存  率 (%)

煮 葉

23.0

 〃

24。0 25。0 24.0 23.0 26.0

27.0

26.0 23.0 28.0 27.0 26.0 22.0 20.5

23.0

24.0 23.0 22.0 25.0

24.0 23.0 27。0 26.0

23.0 20.0 23.0 24.0 23.0 22.0 24.0

23.5 22.0 26.0 25.0 23.0 22.0

i煮

4.1

〃 ク

3.8

3.9 4.1 3.8

4.0

4.1

3.8

4.1

3.9

4.1 4.0

4。1

4。0

4.1

煮汁のP耳

6.3

5.9

6.3 5.9

6.3 5.9

6.3

5.8

5.7 6.3 5.8

5.7 6.3 5.8

5.7 6.3 6.2 5.7 5.6

6.2 5.7

5.6 6.1 5.7 5.6

(5)

一瀬,馬場=ビタ.ミ芝Cの酸化に及ぼすピタミンB類及び塩化ソ戸ダの影響 47

 第3表の結果から次のことが考えられた。

 (1)N.A.だけの添加によって天然Cの残存率は僅iかに減少したが,これに更にB・を加え るとその添加量の多くなるにつれ残存率も大きくなった。この場合B・による残存率の増加は N.A.の量の少い程多かった。

 (2)C:B、は1:0.01,NaClは19/dlの場合は何れの場合もRはNaC1を加えなかった ものより大きくなり,その他の場合は何れの場合にもNaCIの添加によって残存率は減少し

た。

 (3)(1)及び(2)の結果は前記合成2・AAの場合の結果と一致した。

 (4》煮汁の残存率は大差を認めなかったo

 (5)煮汗のpHはNaC1の添加によらて何れも対照よりも小さくなっだ。この場合N・A・の

量の増加に伴いpHは0.2内外減少した。

 (6)pFの減少と残存率の増加との間には関係はないと考えられた。

       要     約

 (1)合成〃アスコルピン酸(4−AA)にニコチγ酸(NA・)だけを加えて煮沸した場合は 残存率は減少したがこれにB1を加えるとその添加量の多くなるにつれて残存率も大きくな

った。

 (2)合成4−AA及びキやベツにN.A.,B1,及びNaC1を加えて煮沸した場合はC:B1が 1:0.01,NaCl19/d1の場合に残存率が僅かに大きくなった外は何れの場合にもNaC1の添加

によって残存率は減少した。

 (3)合成4−AAの水溶液及びキャベツの煮汁のpHはN.A.,B1及びNaC1の添加によっ て減少した。且NaC1の増加に伴い概してpHも次第に小さくなった。しかし,この場合には

何れもpHの減少と残存率の増加との間には関係はないと思われた。

 (4)合成/・AAに於てもヤベツに於ても:N。A。をCの重量1に対して約0.1以上の比に 加えた場合は其等のCの酸化は却って促進され此等にB・及びNaC1を夫々別々に加えた場

合はその酸化作用を抑制するよう『に、思1われたがB1とNaC1とを同時に加えた場合はC:B=

1:0。Ol,:NaC1/9/d1以下の場合の外はN.A.による酸化促進作用を抑制することが出来なか

った。これは第1報(3)に於て述べたようにNaC1によるB・の作用阻害が主な原因ではなか

ろうかと思われた。 (1955,1,10.記)

       文

(1) 一瀬義文,、馬場輝子; 本誌

(2) ビタミン集談会編:ピタミン標準定量法

(3) 一瀬義文: 栄養と食糧6,218(1954).

(6)

4.8  : i ) ‑ : F‑   {: : P : 1   ;7d ・ (1958) 

Summary 

The effects of vitamin B, , vitarDin B., vitamin B* and sodrum chlonde on the  oxidation of vitamin C were reported in Part], Part2, Part3. Part4, and Part5. 

In Part 6,and7,effects of nicotinic acid with vltadmin B, and NaC1, nicotinic‑

acid with B, and nicotinic acid only on the oxidation of vitamin C have been  studied. The results obtained are as follovos : 

( l) When nicotinic acid is used more than one‑tenth of the weight of vitamin  C, it accelerates the oxidation of the vitamin C, both in the solution of the  synthetical l‑ascorbic acid being boiled and in the cabbageleaves being cooked̲ 

(2) vitamin B* and NaCl respectively prevent the oxidation of the vitarr,in C  by nicotinic acid. 

(3) but when they are used together, they can hardly prevent the oxidation of  the vitamin C above described. 

参照

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