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小学校教員養成「初等音楽」への鑑賞活動の 導入とその効果2

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香川大学教育実践総合研究(Bull. Educ. Res. Teach. Develop. Kagawa Univ.),40:1−14,2020

小学校教員養成「初等音楽」への鑑賞活動の  導入とその効果2

青山 夕夏 ・ 岡田 涼

(音楽教育) (学校教育)

760−8522 高松市幸町1−1 香川大学教育学部

On the Significance of the Appreciation Activities in the  Training Course for Music Teaching in Elementary School

Yuka Aoyama and Ryo Okada

Faculty of Education, Kagawa University, 1-1 Saiwai-cho, Takamatsu 760-8522

要 旨 「初等音楽」の授業内容に,公共ホールと連携した鑑賞活動(3種のプログラム)

を導入した2年目の取り組みを報告する。鑑賞活動の目的をより明確に示し,実際にアク ティブな体験として音楽鑑賞を行った結果,前年度に比べ,学生の学習成果が向上した。そ の一方で,大学入学以前の音楽経験の有無が鑑賞活動の効果に影響を与えることが見えてき た。音楽経験の無い学生への指導方法の工夫が今後の課題となった。

キーワード 初等音楽 鑑賞 小学校教員養成 公共ホールとの連携

0.はじめに

 本稿は,平成29年度に試行的にスタートし た「初等音楽」に鑑賞活動を取り入れる試みの 2年目(平成30年度)の実践報告である。公共 ホールと連携して実施した実践と,受講生に対 して行った調査結果および分析で構成する。調 査は鑑賞活動の前と,授業終了後に行ったアン ケート調査から成る。その結果は今後の鑑賞活 動の内容の充実や,過渡期にある「初等音楽」

の授業内容改善のための基本的な資料とするこ とも意図している。

 「初等音楽」は,小学校における音楽科の「教 科に関する科目」の一つで,小学校教諭1種免 許状の取得上必修とされている。そこに公共 ホールと連携した鑑賞活動を取り入れる大きな 目的は,受講生自身が生の音楽に直接触れる機 会を提供することによって,近い将来,子ども

たちに文化芸術活動の指導を行う教員の資質向 上を図るねらいがある

 またこの実践の成果は,「香川大学教育学部 と(公財)高松市文化芸術財団との連携協力に 関する協定書」(令和元年9月)の締結に結び つき,来年度以降も継続的に鑑賞活動が提供さ れることになった。詳細については後述する。

アンケート結果の分析は,第二著者(岡田)が 行った。

1.「初等音楽」における鑑賞活動の導入 1−1.鑑賞活動の位置づけとこれまでの経緯  最初に,本学での「初等音楽」における鑑賞 活動の位置づけについて述べておく。教育学部 では平成27年度に行われた学部改革に伴って,

小学校教育コースの学生は,「初等音楽」「図画 工作」「初等体育」の3教科全て(各1単位)

(2)

が1年次の必修科目となった。筆者(青山)は 平成28年度から1年次「初等音楽」の担当とな り,試行的に音楽鑑賞の内容を取り入れた。翌 29年度(1年目)には,公共ホールと連携しつ つ,音楽鑑賞活動として本格的に授業内容の一 部とした。これについては,青山・岡田(2018)

に報告している。平成30年度(2年目)は,平 成29年度の反省点を踏まえた改善を行いながら 鑑賞活動を実施した。

 平成30年度の「初等音楽」の授業内容は,ガ イダンス,全体講義3コマ(ピアノ実技1コ マ,声楽1コマ,音楽理論1コマ),弾き歌い 演習10コマ(弾き歌い発表会を含む)で構成し た。そこに鑑賞活動としてホール見学1回(6 月),学外での音楽鑑賞会2回(12月と2月),

全体講義1コマ(12月)の3種類のプログラム を加えた。

 平成30年度の「初等音楽」の受講生は,幼 児教育コース10名,小学校教育コース104名と 過年度生1名の計115名である。受講生に関し ては記しておく点が一つある。平成30年度の香 川大学教育学部の入学試験に大きな変更があっ た。所謂ゼロ免課程であった人間発達環境課程 が募集停止となり,教育学部は1課程(学校教 育教員養成課程)で入学者を迎えた。それまで の人間発達環境課程に入学していた学生数(40 名定員)の削減で,小学校コース(学校教育教 員養成課程の一コース)の入学生に質的な変化 が全くなかったとは断言できない。その点で は,両年度間で条件は同じではない。

1−2.導入の背景

 「幼稚園,小学校,中学校,高等学校及び特 別支援学校の学習指導要領等の改善及び必要な 方策等について(答申)」では,子どもたちの 現状について「文化芸術を体験して感性を高め たりする機会が限られているとの指摘もある」 との課題が述べられた。また「劇場,音楽堂等 の活性化に関する法律」では特に地方におい て,「多彩な実演芸術に触れる機会が相対的に 少ない状況が固定化している現状がある」と指 摘されてきた。「初等音楽」の受講生はまさに

指摘された時期に学校生活を送ってきた世代に あたり,芸術鑑賞の機会の充実を図る必要があ る若者たちである。実際,このような状況を踏 まえ,文化庁は「文化芸術の振興に関する基本 的な方針」を通じて,児童ならびに若者(学生 も含む)に多彩な芸術鑑賞の機会を充実させる ことを重点的に取り組むべき施策の一つとして いる

 中央教育審議会答申(平成28年)によれば,

芸術鑑賞活動等を充実させていく方策として,

「美術館や音楽会等を活用していくこと」が考 えられ,また小学校学習指導要領には,主体 的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善 として,「地域の図書館や博物館,美術館,劇 場,音楽堂等の施設の活用を積極的に図り,資 料を活用した情報の収集や鑑賞等の学習活動を 充実すること」が各教科等の指導に当たって配 慮する事項として記されている。

 実際の鑑賞経験がほとんどないまま教員にな り,音楽科の授業を行うことは,経験による裏 打ちを欠く分,表面的な内容になる危険性があ る。これから学生たちが多様な音楽経験を積み 重ねていくためには,彼らの自主的な学習活動 に委ねるだけではなく,大学の授業でも積極的 に音楽堂等を活用しながら,その機会を設ける 必要があると考える。

2.平成30年度の実施概要 2−1.鑑賞内容

 平成29年度と同様に,30年度も2回の音楽鑑 賞会を実施した。そのうち1回は(公財)高松 市文化芸術財団の主催コンサートで,残りの1 回は「わくわくコンサート」(香川大学生を中 心とした実行委員会が開催し,プログラムはク ラシックの楽曲を中心に構成)である。

 平成30年度の財団の主催コンサートの鑑賞会 のジャンルはジャズで,「小曽根真 ザ・トリオ」

(ピアノ,ベース,ドラムの編成)である。こ のコンサートには,「初等音楽」の弾き歌いで 学習中のピアノ演奏が含まれており,ピアノと いう楽器の奥深さを知る機会となる。また鑑賞 内容をクラシックに限定しないことは,小学校

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学習指導要領の「多様な表現や鑑賞の活動等を 通して,豊かな心や創造性の涵養を目指した教 育の充実に努める」に叶うものでもある。様々 な音楽に触れることで,地域の伝統や多様な文 化を尊重する態度を身に着け,各ジャンルのも つ固有の美しさを味わうことも期待されてい る。

 このコンサートは,世界的に活躍するグルー プによるものであり,学生たちが生涯にわたっ て多様な音楽に親しむきっかけとなる。実際多 くの受講生のコメントにも,そのことが反映さ れていた。(受講生のコメントは本論文末尾に まとめて掲げる。)

 「わくわくコンサート」の開催は,一連の鑑 賞活動の最後に位置する。同コンサートに受講 生が参加する目的は,①これまでの鑑賞プログ ラムで学習した知識を実際に確認する機会をも つ,②このコンサートの来場者の7割以上が小 学生とその保護者であることを活かし,鑑賞主 体である子どもと音楽のかかわり方を直に見て 考える,③先輩たちが主体的に地域の公共ホー ルを活用して開催する行事であることから,運 営やロビー・イベントの様子を知り,今後自身 が地域の芸術活動とどのように関わり,教育現 場で活用していくのかを考えるきっかけとする ことである。

 コンサートの詳細については,第5節で述べ る受講生に対する授業終了後の調査結果との参 照上,第4節に別途掲げる。

2−2.ホール見学の目的の明確化

 ホール見学は鑑賞活動の中で,最初に実施す るプログラムである(毎年6月に設定)。ホー ル見学については1年目終了時に,ホール運営 側の一部に開催意義を疑問視する声があった。

鑑賞活動の中でのホール見学の位置づけと,そ こで学生が何を学び,何を得るのかを今一つ明 確に共有できていなかったという反省点があ る。2年目となった今回は事前に運営側と話し 合いを持ち,以下の3点を目的とした。

①学生は,学生自身が豊かな文化を生涯にわ たって享受し,楽しみ,多様な文化を理解す

る人となる。

②表現したり鑑賞したりする様々な作品等には それらを創作した著作者がいることに気付 き,それらを大切にする態度を養うととも に,それらの著作者の創造性を尊重する意識 を持てるようにすること。また,このことが 様々な文化の継承,発展,創造を支えている ことについて理解する素地となることに気付

③地域を構成する市民の一員として地域のプ ラットフォームとしての役割を担う文化施設 についての知識を得,その活用や地域文化の 発展に活かす方法等について考えるきっかけ とする。

 まず①は,学生が実際に鑑賞の主体となっ て豊かな文化を楽しみ,文化を理解すること である。②は,小学校学習指導要領(平成29 年告示)にも指摘のある著作権に関わる部分で ある。一つの芸術的な創造活動は多くの人々が 関わってはじめて成立し,そこには様々な著作 権が発生する。ホール見学は多くの人たちの創 造的な仕事の積み重ねで一つのイベントが成立 していることを実際に知る機会となる。それに よって著作者を大切にする態度を養うととも に,著作権の重要性を理解し,尊重する態度に つなげる。

 ③は,地域文化のプラットフォームである公 共ホールをよく知ることである。公共ホールに 初めて足を踏み入れる学生はもちろんのこと,

来場したことのある学生も授業で実際に足を運 ぶことで,運営に直接携わっている担当者から ホールの成立過程や年間計画について説明を受 ける。公共ホールは市民が身近に様々な企画や 行事を楽しむことができる場である。同時に公 共ホールは様々な芸術関係者が集まり,創造や 交流を行いながら活躍する場でもある。

 また公共ホールの運営者には,「学校教育に おいて実演芸術を鑑賞し,それらに参加できる よう,これらの機会の提供その他の必要な施策 も講じていくこと」も求められている。ホール が受講生を受け入れ,授業と連携しながらプロ

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グラムを進めるのは,「初等音楽」の受講生が 地域の文化を享受し,これから地域文化の発展 を担っていく一市民であると同時に,将来,文 化芸術教育の担い手になる存在だからである。

ホール側が鑑賞活動の提供を行う意義は,教員 の育成と同時に,ひいては未来の子どもたちへ の投資でもある。

 以上3点の目的を達成したうえで,受講生た ちは公共ホールの存在意義を認識し,そのあり 方や活用について考えることができる。彼ら は,子どもたちが生涯にわたって豊かな生活を 送ることができるよう公共ホールを有効に活用 し,子どもたちとともに地域の特色ある文化芸 術を継承,発展させていく責任の一端を負って いる。

 以上の目的をホール側と共有し,ホール見学 の意義の明確化を図った。

3.受講生の音楽経験の実態調査 3−1.調査の内容

 受講生がどのような音楽経験を有しているか を探る目的でアンケート調査を行った。調査は 以下のとおりである。なお,調査項目は平成29 年度と同様である。

・調査対象 受講生 115名

・調査   受講生の現況や意識についての調査

・実施日  平成30年6月

・調査項目

 A.音楽が好きか

 B.音楽を聴く頻度とジャンル

 C.音楽経験について(ピアノを含む)

 D.学校での音楽鑑賞について  E.生演奏を聴いた経験と内容  F.クラシック音楽について

 G.地元のホールとの関わりについて  H.小学校教員として

3−2.結果 A.音楽が好きか

 音楽が好きかどうかに関して,「音楽(ジャ ンルを問わない)は好きですか?」を尋ねたと ころ,「はい」と答えた学生は97.2%,「いいえ」

と答えた学生は2.8%であった。また,「小学生

(中学生)の頃,音楽の教科は好きでしたか」

を尋ねたところ,「はい」と回答した学生の割 合は,小学生の頃では80.4%,中学生の頃では 73.8%であり,学校段階が上がると音楽の教科 を好む学生の割合が減少する傾向がみられた。

音楽が好きな学生は昨年度より若干多いもの の,音楽の教科を好む学生は学校段階が上がる と減少する傾向は同様である。高等学校での芸 術科目の選択状況を尋ねたところ,音楽を選択 した学生は約半数の50.5%で,昨年度(50.8%)

とほぼ同率である。

B.音楽を聴く頻度とジャンル

 日常的に音楽を聴く頻度やジャンルについて 尋ねた。頻度について,ジャンルを問わずに 週当たりで何日ぐらい音楽を聴くかを尋ねた ところ,「毎日」と回答した学生が60.7%であ り,昨年度とほぼ同率(59.3%)である。まっ たく聴かないとした学生は2.9%であり昨年度

(6.8%)と比して半減している。また,よく聴 く楽曲の記述を求めたところ,記載があった 学生は83.5%であった。多くの学生が昨年度 同様によく聴く曲があると回答しており,記 載された楽曲はJ-popが97.9%を占め,昨年度

(78.4%)に比べ20%程度増加している。さ らに,「一番よく聴くジャンルは何ですか」と いう質問に対しては,J-popが80.4%,洋楽が 10.3%,クラシックが0.9%,ジャズが0.9%,

その他が14.0%であった。クラシックは昨年度 の5名から1名に減じた。

C.音楽経験について(ピアノを含む)

 ピアノを含む音楽経験について尋ねた。「ピ アノを学校以外の場所で習ったことがありま すか」の質問に対して,「ある」とした学生は 43.9%であった。また「大学入学以前のピアノ 歴を教えてください」の質問に対して,「ある」

とした学生は44.9%で,昨年度(55.4%)から 10パーセント以上減少する結果となった。ピア ノ経験者の中では経験年数が6年〜10年ある学 生が55%と半数以上を占め(表1),昨年度の

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4割弱(37.9%)を16%上回った。また「ピア ノ以外の楽器やうた等の音楽経験があれば教え てください」と尋ねたところ,「ある」とした 学生は34.3%であり,昨年度とほぼ同等であっ た。その内容は「ギター」(7名),「トランペッ ト」(6名),「クラリネット」(6名),「サック ス」(5名)などであった。

 今年度の大きな特徴は55%がピアノ初心者で あったことである。一方でピアノ歴が6年以上 の学生は,全体の3割強に達しているだけで なく,ピアノ歴がある学生の中で3人に2人

(66%)は6年以上のピアノ歴を有する結果と なった。平成30年度生においては,ピアノ歴の 差が顕著であることが分かる。

 また昨年度とほぼ同率の35%の学生がピアノ 以外の音楽歴を持っている。トランペット,ク ラリネット,サクソフォーン,ギターなどが昨 年同様に多い。他学部に比してかなり高率なの ではないかと推測する。

D.学校での音楽鑑賞について

 大学入学以前の音楽鑑賞の経験について尋ね た。「小学校から高校までの学校生活において

音楽鑑賞会が開催されましたか」に対して,「は い」とした学生は88.7%であり,小学校では 46.8%,中学校で64.9%,高校で72.3%であっ た。全体の9割弱の学生が鑑賞会を体験してお り,昨年度より1割強多い。学校段階が上がる ほど,割合が高くなる10。鑑賞会が行われた会 場について尋ねたところ,「コンサートホール」

(42.3%)と「体育館」(40.0%)の割合がほぼ 同率で,どちらも4割程度となっている。昨年 度に比べると,体育館で開催された割合は2割 以上減少している。

E.演奏を聴いた経験と内容

 これまでに生演奏を聴いた経験について尋 ねた。「プロ奏者の生演奏を聴いたことがあり ますか」の質問に対して,「ある」とした学生 は65.0%で昨年度(62.3%)とほぼ同率であっ た。「ある」とした学生に対して,演奏形態を 尋ねたところ,「オーケストラで使用される ような楽器」(46.3%)もしくは「オーケスト ラ」(41.8%)が多く,両方で9割近くを占め る。「雅楽の楽器」(6.0%)や「民族音楽の楽器」

(9.0%)は昨年以上11に少なく,文化庁が目指 す「多様で豊かな音楽経験」を得ることは難し い状況にあることが伺える。

F.クラシック音楽について

 クラシック音楽に対する好みや印象を尋ね た。「クラシック音楽は好きですか」の質問に 対して,「大好き」もしくは「好き」と回答し た学生は50.9%と約半数であった。クラシック 音楽に対するイメージを自由に記述させたとこ ろ,「リラックス」(疲れた時に聴く,眠くなる,

グラフ1 ピアノ歴内訳(%)の比較(平成29年度と平成30年度)

表1 ピアノ歴の内訳(平成30年度)

頻度 割合(%)

  〜1年 1 2.1

2年〜3年 10 21.4

4年〜5年 5 10.6

6年〜10年 26 55.3

11年以上 5 10.6

合計 47 100.0

0 20 40 60 80 100

(6)

など)や「優雅」(上品,美しい,壮大,など)

に関する記述が多くみられた。

 また,「コンサートホールでプロのクラシッ クのコンサート(オーケストラ,室内楽,ソロ,

オペラ,合唱,声楽など)を聴いたことがあり ますか」と尋ねたところ,「ある」としたのは 71.3%であり,昨年度(59.8%)より1割以上 高い。その中では「学校の鑑賞会」で聴いた学 生がもっとも多かった(57.1%)ものの,昨年 度(65.8%)より1割近く少ない。頻度は4回 以下が76.1%であった。「ない」とした学生に 理由を尋ねたところ,「コンサートホールが身 近になかったから」(48.4%)や「興味がない から」(38.7%)という理由が多く挙げられた(表 2)ものの,「興味がないから」の割合は減少 している12

G.地元のホールとの関わりについて

 地元ホールとの関わりについて尋ねた。「サ ンポートホール高松またはレクザムホール(香 川県民ホール)でプロ(サークル等の演奏会 は除く)の演奏者の演奏を聴いてみたいです か」と尋ねたところ,「はい」と答えた学生は 84.9%であり,サンポートホール高松またはレ クザムホールでプロの演奏を聴いた経験がない 学生に限定した場合でも8割以上の学生が聴取 を希望していた。これは既に高率だった昨年度 の結果(75.6%)よりいずれも10%程度高い値 を示している。

 サンポートホール高松13,レグザムホール(香 川県県民ホール)は,いずれもJR高松駅の周 辺に位置し,教育学部キャンパスからも2キロ

程度である。これらのホールへ足を運んだ経験 がある学生は47.7%となっており,これは県内 出身学生の割合(46%)とほぼ一致する。その 中でプロの演奏者の演奏に接した経験がある学 生は4割程度となっており,昨年度のおよそ2 倍となっている。またプロの演奏家の聴取経験 がある学生の方が,これらのホールでプロの演 奏を聴いてみたいと思う割合がやや高い傾向に あるのは今年度も同様である。

H.小学校教員として

 (1)小学校教員としての音楽に対する意識 を尋ねた。「小学校の音楽科を教えるためにあ なたが身に付ける必要がある力は何だと思いま すか」という質問に対しては,「弾き歌い」に 関する技能を挙げる学生が多く,「ピアノが弾 ける(80.0%)」「歌が歌える(68.6%)」「弾き 歌いができる(64.8%)」はいずれも割合が高 かった。また「指導技術がある(67.6%)」,「音 楽理論の知識」(62.9%)を挙げる学生も多かっ た。これらの回答の割合はほぼ昨年同様であ り,いずれも6割以上の高率となっている。

 「鑑賞能力がある」を挙げた学生は32.4%で あったが,コンサートを聴いた経験がある学生 に限定した場合には,39.7%の学生が鑑賞能力 の必要性を挙げていた。

 また「クラシック音楽を聴いておくことは,

教員養成で学ぶ(教員をめざす)大学生として 必要があることだと思いますか」という質問に 対して,「ある」と回答した学生は73.6%で昨 年度(70.9%)とほぼ同率だった。その理由と しては「自分の知識・教養」(いろいろ経験し

表2 コンサートの経験がない理由

理由 頻度 割合(%)

コンサートホールが身近になかったから 15 48.4

興味がないから 12 38.7

チケットが高いから  4 12.9

クラシックを生で聴く必要性を感じない  1  3.2

その他  5 16.1

※割合は「ない」とした人の中の割合。     

(複数回答可としたため合計は100%を超えている。)

(7)

ておいた方が視野が広がるから,ある程度の一 般常識を知る必要があるから,など)や「指導 のため」(音楽の良さを児童たちに伝えること は大切だから,将来音楽を教える立場になるか ら,など)に関するものが挙げられた(表3)。

 全体の1割以上はコンサートホールが身近に ない,また同様に1割は興味がないためにコン サートを聴いた経験がないと答えた。しかし履 修学生の7割程度がクラシック音楽を聴いてお く必要性があるとしており,その理由の多くは 知識・教養を得ることや教育活動への準備をす ることとしている。

 (2)『「小学校の音楽教育で[   ]をす れば,もっと音楽を好きになれる(た)」の

[   ]を自由に記入してください』という 質問に対しては,多様な楽器での演奏(いろい ろな楽器に触れること,楽器を演奏する機会を 増やすこと,など)や,歌(歌う活動を多く,

ボイストレーニング,など)に関する回答が多 くみられた。また J-pop 等の身近な音楽(教科 書に掲載されている曲だけでなくタイムリーな 曲をうたう,自分の好きな歌の歌詞について考 える授業,など)とする回答もあった。

3−3.まとめ 平成30年度の学生

・多くの学生が音楽に親しんでおり,よく聴く 楽曲がある学生は1年目(59.3%)より20%

多い。ジャンルは98%が J-pop であり,学校 教育でのジャンルとの乖離が大きい状況はか わらない。

・ピアノは全体の半数以上が初心者である一

方,3割を超える学生が6年以上の経験者で ある。ピアノ以外の楽器の経験者は1年目と 同じく3人に1人程度いる。

・高校までの学校教育で音楽鑑賞会を経験した ものは9割程度いる。

・プロの演奏者による生演奏を聴いた経験があ る学生も1年目14とほぼ同じく3人に2人程 度いるが,そのほとんどがオーケストラか オーケストラで演奏される楽器を聴いた経験 である。

・クラシックの生演奏を公共ホールで聴いてみ たいという意欲は高く,「クラシック音楽を 聴いておくことは,教員養成で学ぶ大学生と して必要があることだ」と考えている学生が 多い。

4.音楽鑑賞活動の内容

 平成30年度の音楽鑑賞活動の内容は以下の通 りである。(公財)高松市文化振興財団との連 携の継続により,(1)(3)の活動はサンポー トホール高松大ホールで実施した。

4−1.音楽鑑賞活動の内容

(1)ホール見学 サンポートホール高松訪問

・日程:平成30年6月17日(水)3限目

・内容 ① ホールについて(設立の経緯,ホー ル概要,地域で果たす役割,年間事 業計画等)

     担当: (公財)高松市文化芸術財団 職員15

    ② ホールでの鑑賞の仕方,舞台設備や それらの効果を示しながら解説

表3 「必要がある」と答えた理由

カテゴリ 記述例 頻度

自分の知識・教養 ・いろいろ経験している方が,視野が広がるから

・ある程度の一般常識を知る必要があるから

・教養として聴いておくとよいと思うから 40

指導のため ・音楽の良さを児童たちに伝えることは大切だから

・子どもに聞かれた時の体験談として

・将来音楽を教える立場になるから 32

その他 ・聴いて分かることがあるから

・楽器からどのような音が出るかが分かるから

(8)

     担当:ホール専属舞台責任者     ③ 2グループに分かれ,解説を聞きな

がら歩いて見学(舞台上,楽屋,観 客席,親子室,エントランス,ロ ビー)

(2)音楽鑑賞会説明会(グループワークを含む)

・日程:平成30年12月7日(水)3限目

・内容 ① わくわくコンサートの活動目的と内

     担当: 第12回実行委員長,副実行委 員長

    ② アメリカ(テーマ国)について解説

(歴史・地理ほか)

     担当: 教育学研究科社会科専攻1年 生2名

    ③ グループワーク

      4人程度のグループになり,各自が 調査した内容や聴取した楽曲の感想 を話し合う(スマートフォン等使用 可)。

      (事前課題:プログラムの作品を鑑 賞し,調査してくる)

    ④楽曲解説

      ピアノ独奏とオーケストラパートの 実演やCDを使用した聴取を行いな がら,作成したPPTやプリントで 曲目解説を行う。

     担当: わくわくコンサート副実行委 員長,同実行委員(音楽領域)

(3)音楽鑑賞会(サンポートホール高松大ホー ルで2回の音楽鑑賞会を設定した)

i.小曽根 真 ジャズ・クリスマス・コンサート

・日程:平成30年12月15日(日)

・内容: 小曽根真(ピアノ),ジェームス・ジー ナス(バス),クラレンス・ペン(ド ラムス)をメンバーとするトリオの演 奏会。1997年〜2007年に10年間活動 しアコースティック・ジャズ・シー ンを牽引した人気ユニット “小曽根真  THE TRIO” は2017年に再結成した。

最新アルバム「ディメンションズ」か らの楽曲を含めた作品の演奏だった

が,CDに収録された演奏とは異なる ライブならではのジャズらしい自由な 展開となった。

ⅱ. 第12回 わくわくコンサート16 テーマ: 「海をわたる芸術家たち」

    (テーマ国:アメリカ)

・日程:平成31年2月12日(日)

・内容 《コンサート1》室内楽

   ・ G. ガーシュイン:ラプソディ・イン・

ブルー

   ・ A. ドボルザーク/クライスラー:ユー モレスク

   ・山田耕筰:赤とんぼ

   ・作曲者不詳:アメイジング・グレース    ・ L.  バーンスタイン:ウェストサイド

物語より(ダンス)

   《コンサート2》小編成オーケストラ    ・ P.  チャイコフスキー:ピアノ協奏曲 

第1番ソリスト/古海行子(第4回高 松国際ピアノコンクール優勝者・大学 3年在学中)

     本コンサートは,平成19年度に始まっ た。最大の特色は,学生を主体とした 実行委員会が主催し運営を担っている ことである。毎回,コンサートのテー マとテーマ国を設定し,音楽とそれを とりまく文化にふれる機会の創出も目 指している。無料で開催され,来場し やすい環境づくりを目標に活動を継続 し,今回も1200名を越える来場者を迎 えた。実行委員(30名)以外に当日の 運営ボランティアとして香川大学生 100名余りが舞台運営,会場運営に当 たっている。

5.平成30年度「初等音楽」終了時の調 査結果と考察

5−1.調査内容

 受講生が鑑賞活動を含む授業内容をどのよう に受けとめたかを明らかにするために,授業終 了時にアンケート調査を実施した。以下にその 結果を記す。

(9)

・調査対象 受講生 115名

・調査   履修終了時の調査

・実施日  平成31年2月

・調査項目

 A. 「初等音楽」の授業を通して以前より音 楽に対する興味が増えましたか。

 B. 「初等音楽」ではホール見学と音楽鑑賞 会2回,講義を実施した。「初等音楽」

ではこれらの音楽鑑賞プログラムを今後 も継続した方が良いと思いますか。

 C. 「初等音楽」の授業を通してクラシック 音楽に対するイメージは変わりました か。

 D. 音楽鑑賞会はあなたが演奏(ピアノ,歌,

その他の楽器)する上で参考になりまし たか。

 E. 教員養成で学ぶ(教員をめざす)大学生 として教員になったとき,初等音楽で学 んだ鑑賞の経験が活かせると思いますか。

5−2.結果 5−2−1.

A. 初等音楽の授業を通して以前より音楽に対 する興味が増えましたか。

 「 と て も 増 え た 」 が17.1 %,「 増 え た 」 が 55.0%であり7割以上の学生が授業を通して音 楽に対する興味が増えていた。一方で授業を通 して音楽に対する興味が増えなかった学生は全 体の1割以下であった。なお,大学までに音楽 経験がない学生では「とても増えた」と「増え た」の割合が73.2%,音楽経験がある学生では 68.1%であった。

B. 「初等音楽」ではホール見学と音楽鑑賞会 2回を実施しました。「初等音楽」ではこ れらの音楽鑑賞プログラムを今後も継続し た方が良いと思いますか。

 「とてもそうだと思う」が25.5%,「そう思う」

が60.0%であり,85%以上の学生が,音楽鑑賞 プログラムの継続を希望していた。プログラム 継続の理由を尋ねたところ,「普段では味わう ことができないことであるから」「香川大生な

らではの行事で,めったにできないことだと思 うから」など,貴重な経験を得られるというも のや,「音楽に対する考え方など色々学べ, 今 後に生かせると思うから」「このような機会が あることで,普段音楽に触れる機会がない人 も,自然と音楽に触れる機会がつくれるから」

など,音楽への興味をもつ機会になるというも のが多かった。一方で,プログラム継続を希望 しない学生は5.5%おり,昨年度(11.9%)から 半減した。その理由については記されていな かった。なお,大学までに音楽経験がない学生 では「とてもそうだと思う」と「そう思う」の 割合が87.3%,音楽経験がある学生では82.6%

であった。質問Aで音楽への興味が増えた学生 においては93.7%が音楽鑑賞プログラムの継続 を希望していた。

C. 「初等音楽」の授業を通してクラシック音 楽に対するイメージは変わりましたか。

 「すごく変わった」が2.7%,「少し変わった」

が12.6%であり,15%程度の学生がクラシック 音楽に対するイメージが変わったとしていた。

どのように変わったかを尋ねたところ,「思っ ていたよりも固い感じではなかった」や「馴染 みのないものだったけれど,聴いたことのある 曲が意外と多く,親近感が湧いた」など,親し みやすさを感じたという記述が多かった。な お,大学までに音楽経験がない学生では,「す ごく変わった」と「少し変わった」の割合が 18.2%,音楽経験がある学生では10.9%であっ た。この質問に対する回答は,事前にプロ演奏 者の演奏を聴いた経験があるかどうかには影響 されなかった。

D. 音楽鑑賞会はあなたが演奏(ピアノ,歌,

その他の楽器)する上で参考になりました か。

 「とても参考になった」が10.8%,「参考に なった」が45.0%,「ふつう」が32.4%,「なら なかった」が9.9%,「まったくならなかった」

が1.8%であった。半数以上の学生が,演奏す る上で音楽鑑賞会が参考になったと感じてお

(10)

り,参考にならなかったと感じている学生は1 割程度であった。なお,大学までに音楽経験が ない学生では「とても参考になった」と「参考 になった」の割合が50.9%,音楽経験がある学 生では58.7%であった。

E. 教員養成で学ぶ(教員をめざす)大学生と して教員になったとき,「初等音楽」で学 んだ鑑賞の経験が活かせると思いますか。

 「とても活かせると思う」が22.5%,「活かせ ると思う」が63.1%,「ふつう」が13.5%,「活 かせないと思う」が0.9%,「全く活かせない」

が0.0%であった。9割近い学生が,鑑賞経験 を教員として活かせると感じていた。特に,

質問Aで興味が増えたとした学生では,「とて も活かせる」もしくは「活かせると思う」が 95.0%であり,初等音楽の授業を通して音楽に 興味をもつことで,音楽鑑賞経験の有効性を感 じているといえる。なお,大学までに音楽経験 がない学生では,「とても活かせると思う」と

「活かせると思う」の割合が76.4%,音楽経験 がある学生では93.5%であった。

5−2−2. 平成29年度と30年度の肯定的回 答の合計結果

 Bの肯定的回答(「とてもそうだと思う」と「そ う思う」)の合計結果と,Dの肯定的回答(「と ても活かせる」と「活かせる」)の合計を,「経 験あり」群と「経験なし」群に分けて調査した 結果を以下に記す。

B. 「初等音楽」ではこれらの音楽鑑賞プログ ラムを今後も継続した方が良いと思います か。

表4 質問Bの肯定的回答の割合  

(平成29年度と平成30年度)

合計(肯定的回答) 平成29年度 平成30年度

全体 72.0% 85.5%

経験なし 64.6% 87.3%

経験あり 76.2% 82.6%

D. 教員養成で学ぶ(教員をめざす)大学生と して教員になったとき,「初等音楽」で学 んだ鑑賞の経験が活かせると思いますか。

表5 質問Dの肯定的回答の割合  

(平成29年度と平成30年度)

合計(肯定的回答) 平成29年度 平成30年度 

全体 82.2% 85.6%

経験なし 72.9% 76.4%

経験あり 88.9% 93.5%

5−3. 考察

 音楽の「経験あり」群でも「経験なし」群で も,1年目に対して2年目は肯定的な回答が増 え,特に「経験なし」群で増えた。平成30年度 の改善はある程度功を奏したと考えられ,2年 目の方がより音楽経験のない学生に印象的な経 験になったといえる。

 E.の質問においては,両年度ともに音楽経験 の有無によって回答に大きな開きが出た。一 方,高等学校で芸術科目として何を選択したか 17,E.の質問に対する肯定的回答と否定的回 答の割合にほとんど差を生じなかった(表6)。

 高等学校の芸術科目選択は鑑賞活動の効果に 影響を与えなかったものの,高等学校卒業時ま

表6 質問Eの肯定的回答の割合(平成29年度と平成30年度)

年度 平成29年度 平成30年度

音楽選択 回答 頻度 割合(%) 頻度 割合(%)

音楽 肯定的 49 83.05 46 88.46

否定的 10 16.95 11.54

それ以外 肯定的 45 81.82 42 82.35

否定的 10 18.18 17.65

(11)

でに音楽経験がある学生とない学生とでは,鑑 賞活動が将来活かせるかどうかの学生の意識調 査結果に明らかな差が見られた。「初等音楽」

では,実際にアクティブな体験として音楽鑑賞 を行いながら,学生の資質を高めていくことが 有効であった。

 今後「初等音楽」の授業では,例えば鑑賞説 明を行う全体講義を音楽経験の有無によりクラ ス分けし,それぞれに応じた講義内容を検討す ることで,鑑賞活動の一層の効果を見込めると 考えられる。公共ホールとの連携の活用も行い ながら,今後も継続的により質の高い音楽鑑賞 の授業の実施に努めたい。

6.おわりに

 音楽科では,表現領域と鑑賞領域を相互に行 き来することによって,子どもたちの感性や音 楽的な力の向上が企図されている。しかし,現 在,村井宏志・坂本麻実子(2016)にもあるよ うに,実際の学校教育において鑑賞の授業はあ まり行われていないだけでなく,教科書の使用 がなされていないとの指摘もある18。鑑賞の授 業が充分に行われているのか,また行われてい たとしても聴くだけの授業で終わってしまって いるのではないかと懸念される。今後はさら に,学生が入学前までに音楽の授業でどのよう な曲を鑑賞し,鑑賞に関する知識として何を学 び,知っているのかに関する調査が必要であ る。

 高松市では,令和元年5月に改正された文化 芸術基本法(2017)の趣旨を踏まえ,「第2期 高松市文化芸術振興計画」19(2019〜2023年度)

が策定された。計画の第1期では,それまで記 載のなかった大学および大学生に関わる具体的 取組が,「協働および連携」20の方針の中に位置 づけられた。

 香川大学教育学部では,「わくわくコンサー ト」(平成29年度以降)21および「初等音楽」に おいて,公共ホールとの連携について模索して きた。これまでの成果を踏まえ,「香川大学教 育学部と(公財)高松市文化芸術財団との連携 協力に関する協定書」が令和元年9月に締結さ

れた。この協定は「教育並びに文化芸術の諸課 題に対応するため,相互連携協力による実践的 な研究及び活動を通して,香川大学教育学部に おける教育・研究及び高松市文化芸術財団の充 実・発展を図るとともに,高松らしい文化芸術 の創造と交流に寄与すること」を目的としてい る。これを受けて,今後も,連携体制を一層深 め,教室における座学に終わらせず,学外での 活動を積極的に取り入れた学生教育をさらに充 実させていかなければならない。学外での活動 は,学生にとって社会を意識する絶好の機会で あり,自分自身の学びに一定の責任が伴うこと を自覚するきっかけになる。大学には,地域の 文化を支える人材を育成することも求められて いる。

 最後に,授業活動に参加した学生のコメント を以下に引用し,その実施の意味を考える参考 材料の提供としたい。

(ホール見学コメント)

・私は,香川出身なので,今までで何度かサンポー トホール高松に足を運ぶことがありました。しかし,

今回の見学で驚いたこと,知らなかったことがたく さんあることに気づきました。(中略)サンポート ホール高松は,来てくれた全ての人が,気持ちよく 幸せになれるように準備してあるなあと思いました。

施設を回ってみると,どこから見ても舞台がしっか りと美しく見えるように造られており,舞台から遠 くてもいい気持ちで見れると感じました。また,実 際舞台に上がってみると,もう本当に客席が広く て,このような素晴らしい場所で自分もパフォーマ ンスしてみたいと思いました。大ホールの舞台なん て,もう二度と立てないと思うので,今回は本当に 良い経験をさせていただけて,とても嬉しかったで す。私は,香川で教員になろうと考えているので,

夢が叶えば,またいつか子ども達を連れてサンポー トホール高松に足を運ぶ機会があると思います。そ の時に,今回の見学で学んで備わった知識を,子ど も達にも発信して,サンポートホール高松をもっと 活気づけていけるように努力したいと考えます。サ ンポートホール高松で行われるコンサートなどにも 積極的に参加し,自分とサンポートホール高松の距

(12)

離を縮められるよう務めたいと思います。

・サンポートホール高松について知らないことだら けでしたが,今回の講演でたくさんの魅力を感じる ことができました。素晴らしく考えられた設備のこ ともそうですが,舞台に実際に足を踏み入れること で,舞台がいかにダイナミックなものなのかを肌で 感じることができました。普段では絶対に経験でき ないようなことをさせていただき,本当に嬉しく 思っています。今回知ったサンポートホール高松の 魅力を周りの方達に伝えていけるように努力し,私 ももっとサンポートホール高松についての知識を増 やしていきたいと考えています。

(音楽鑑賞会コメント)

・ジャズピアニスト小曽根真さんの演奏や,わくわ くコンサートの鑑賞を通して,自分が今まで知らな かった音楽の世界を肌で感じることがどれほど楽し いことなのか実感することができた。コンサートの 運営に携わった学生の皆さんには感謝しかないです。

一連の授業を通して学んだことは,音楽の楽しさを 子どもたちに伝えるためには,まずは教員である大 人が音楽に親しむことが大切だということだ。これ からも様々な音楽をはじめとする芸術に触れ,教養 を高めて深みのある知識と感性を養っていきたい。

(前略)二つ目は,コンサートの「ピアノ協奏曲」だ。

初めて生のオーケストラの演奏を聴いたのだが,空 気の揺れが伝わってくるような迫力で,圧倒された。

解説の紙を見ながら主題の繰り返しや主となる楽器 の音色に注意して聴くと,また違った楽しみ方がで きることが分かった。YouTubeなどの動画サイトで 簡単にどこでも鑑賞できる時代になったが,やはり 生の演奏はなにか価値観を変えるきっかけになるの ではないかと感じた。

謝辞

 本研究は,香川大学平成30年度COC+能動 学修支援事業の助成を受けたほか,「わくわく コンサート」の開催にあたっては多くの先生 方,事務職員の皆様からご支援を頂いた。サン ポートホールでの活動では(公財)高松市文化 芸術財団の皆様に多くのご助力を頂いた。授業 実施,資料収集にあたってご協力くださった先 生方,事務職員の皆様,学外活動の運営を手助

け頂いた在学生にも大変お世話になった。また 査読者からは有益なコメントを頂いた。厚くお 礼申し上げる。

  本活動は,文化庁「文化芸術の振興に関する基本 的な方針―文化芸術資源で未来を作る(第4次)(答 申)平成27年5月22日閣議決定」の「第3 文化芸 術振興に関する基本的施策8(4)学校教育にお ける文化芸術活動の充実」を踏まえたものである。

  中央教育審議会答申「幼稚園,小学校,中学校,

高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改 善及び必要な方策等について(答申)」(平成28年 12月21日),第1部  学習指導要領等改訂の基本的 な方向性(子供たちの現状と課題),p.10.

  文化庁「劇場,音楽堂等の活性化に関する法律」(平 成24年 法律 第49号)附則,p.2.

  注1  文化庁答申(平成27年)第2  文化芸術振興 に関する重点施策,重点戦略2:文化芸術を創造 し,支える人材の充実及び子供や若者を対象とし た文化芸術振興策の充実,【重点的に取り組むべき 施策】・子供の発達の段階に応じて,多彩な優れた 芸術の鑑賞機会,伝統文化や文化財に親しむ機会 を充実する。

  注2 中央教育審議会答申(平成28年),p.39.

  文部科学省「小学校学習指導要領」(平成29年告示),

〈第1章〉総則 第3 教育課程の実施と学習評価1

(7),p.23.

  同上,〈第1章〉総則 第1,2(2),p.150.

 「小学校学習指導要領」(平成29年告示),「第3指 導計画の作成と内容の取扱い」,配慮するべき事 項として新設された項目2(1),(pp.125−126)。

音楽科について書かれているが,すべての文化に ついても共通するものである。原文は「表現した り鑑賞したりする多くの曲について,それらを創 作した著作者がいることに気付き,学習した曲や 自分たちのつくった曲を大切にする態度を養うよ うにするとともに,それらの著作者の創造性を尊 重する意識をもてるようにすること。また,この ことが,音楽文化の継承,発展,創造を支えてい ることについて理解する素地となるよう配慮する こと。」となっている。

(13)

  文化庁「劇場,音楽堂等の活性化に関する法律」(平 成24年 法律 第49号),p.9.

10  小学校46.8%,中学校64.9%,高等学校72.3%

11  平成29年度雅楽の楽器14.5%,民族音楽の楽器 13.2%

12  平成29年度「ない」とした人の中で46.9%

13  香川県高松市サンポート2−1

14  平成29年度 62.3%

15  財団は,平成17年5月20日の開館時より指定管理

16  http://www.ed.kagawa-u.ac.jp/study/wakuwaku/

wakuwaku.html

17  高等学校で音楽を選択した学生の割合は,両年 度とも「経験あり群」が78%,「経験なし群」は 22%だった。「経験あり群」の割合:平成29年度 77.97%,平成30年度77.78%。「経験なし群」の割 合:平成29年度22.03%,平成30年度22.22%。

18 「かつての小学校鑑賞楽曲として指定され,今でも なお教科書に使用されることの多い9楽曲は,全 体として歌唱に比べ履修,学習記憶が低く,特に 日本楽曲は軒並み低い。鑑賞曲が小学校時代に指 導されてこなかったことがわかる。」としている。

p.68.

19  https://www.city.takamatsu.kagawa.jp/kurashi/

shinotorikumi/keikaku/sonota/geijutsu/

dainikisakutei.files/dainikikeikaku.pdf

20  方針3 つなぐ・あむ(19)協働及び連携 ②大学等 との協働・連携(新規)

21 (公財)高松市文化芸術財団の共済事業とし,財団 はホール使用料を無料で提供する。

参考文献

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日 本 音 楽 教 育 学 会(2016) 「 音 楽 に つ い て こ う 思 う!!」「音楽について言いたい!!」学習者 アンケート『音楽教育実践ジャーナル』Vol.13  no.2.

野本由紀夫(2015)「鑑賞授業をクリエイトするため に−交響詩《ブルタバ》の誤解を解く」『音楽教 育実践ジャーナル』vol.12 no.2,pp.20−31.

林睦(2013)「音楽教育におけるアウトリーチを考え る―基本的な考え方,歴史的経緯,最近の動向」

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(14)

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山本文茂(2018)『音楽はなぜ学校に必要か その人 間的・教育的価値を考える』音楽之友社

参照

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