Ⅰ.はじめに
どの学生も教職への夢と志を抱いて大学に入学 してくる.しかし学年が進むにつれて教職を志望 する学生が減少してしまう.本学学校教育学科の 前身である児童教育学科1)でも,教職を志す学生 の減少をいかに食い止めるかは喫緊の課題のひと つであった.この課題の解決を図るために,学校 教育学科の小学校コースでは次の2点が必要であ ると考えた.ひとつは,教職への希望を持ち続け ること.そしてもうひとつは,教員採用選考合格 に必要な資質・能力を身につけることである.こ の2点を踏まえ,学校教育学科への改組を機に,
本コースでは,授業のない空き時間を週1回程度 確保して,学校参観,インターンシップ・ボラン ティア等の現場体験,教員採用選考に向けた学習 などの様々な取組みを始めた.これらの取組みを 体系立て,「教職基礎・応用講座」として実施す るようになって2年目になる.「授業づくり体験」,
すなわち模擬授業の実施は,この取組みの中心的 な活動のひとつである.
教職課程が開設されている大学では,教科教育 法以外にも,教職にかかわる科目の中で,また,
実習事前指導や教職実践演習において模擬授業を 取り入れていることが多く,その目的も多様であ る( 春 原 ら,2010; 飯 島 ら,2017; 宮 脇 ら,
2012).比較的早い時期に模擬授業を取り入れ,
その後に続く観察実習への視点の涵養をめざす取 組みを行っている大学もある(梅澤ら,1998).
本コースでは,おもに教職に対するモチベーショ ンの維持向上を図ることを目的として,大学2年 次の「教職応用講座」に実践的な授業づくり体験 を導入した.本稿では,この実践を報告するとと もに,体験の効果を検討する.なお,本稿で分析 するアンケート調査は,本学の「人を対象とする 研究計画」の倫理審査を経て承認されたものであ る(承認番号19A008).
Ⅱ.実施の手順
本稿で報告する授業づくり体験(以下,本体 験)は,本コース2年次生を対象とする教職応用 講座(週1回実施)の中で行っている.2019年 度は,2年次前期の5月末から7月半ばにかけ て,教職応用講座の6コマ(1コマ90分)を使 い,以下の流れで実施した.
2.1 事前指導
本コースにおいては,教科教育法関連の科目は 2年次後期から始まる.教職講座における授業づ くり体験が教職課程の講義に先行するため,ま ず,教員がスライドを用いて授業づくりの基本を 概説し,指導案のフォーマットを配布した.条件
教職課程初期における授業づくり体験導入の効果
Introducing Lesson Planning in the Early Stage of Teacher Training
神谷純子,河崎雅人,赤羽根直樹,石橋裕子,村野芳男,平田敦義,大山智子,江田慧子 帝京科学大学
Sumiko KAMITANI,Masato KAWASAKI,Naoki AKABANE,Yuko ISHIBASHI,Yoshio MURANO,
Atsuyoshi HIRATA,Tomoko OYAMA,Keiko KODA Teikyo University of Science
要約: 本稿は,本学学校教育学科小学校コースにおいて,教職課程初期の1,2年次を対象に実 施した授業づくり体験の実践について報告するとともに,その効果について検討したものである.
本コースでは,授業のない空き時間を週1回程度確保し,カリキュラム外の講座として「教職基 礎・応用講座」を開講しており,授業づくり体験はその中心的な活動のひとつである.2019年度 の体験は,2年次前期の5月末から7月半ばにかけて,本コース2年次生35名を対象に実施され た.体験後のアンケート結果からは,教職課程初期に授業づくり体験を導入する意義は大きいこ とがわかった.
としては,共通して以下の3点を示した.1)最 大8班(5名程度)にわかれ,班ごとに指導案を 作成し模擬授業を行う.2)授業時間は45分と する.3)科目・単元は,小学校6年間で学ぶど れを選んでもよい.
班分けは学生に任せ,2年次生35名の参加者 に対し7つの班が作られた.ただし,模擬授業に おける役割分担は班の裁量としたため,教師役と ならない学生もいた.
2.2 準備
準備として3コマ分を指導案や教材教具の作成 に充てた.本学附属の図書館で教科書等を参照し て単元を決め,手分けをして準備を進める様子が 見られた.
2.3 模擬授業
4,5コマ目に,2教室を使い,1教室につき 2つの模擬授業(45分)を2回にわけて実施し た.実施時は,本コースの1年次生約40名が各 教室に半数ずつ児童役として参加した.また,
コース担当教員と教職センター所属の教員が手分 けをして参観した.表2に各班が行った模擬授業
の学年・科目名を示す.
2.4 ふり返り
模擬授業の終了後すぐにその場で簡単なふり返 りを行った.授業を行った班の学生が感想を述 べ,参観していた教員数名が感想・コメントを伝 えた.児童役として参加した1年次生,参観する 側の2年次生は模擬授業評価表を記入した.
Ⅲ.結果
3.1 アンケート項目と結果
体験の効果について検討するために,体験実施 前と実施後にアンケートを実施した.実施前に 11項目,実施後に17項目に対して「とても思う」
「少し思う」「あまり思わない」「思わない」「わか らない」の5段階で回答を求め,また,実施後に ついては自由記述欄を設けた.2年次生35名の 参加者のうち,実施前アンケートの回答数は29 図1 作成した教材〔第4学年算数〕
表2 模擬授業の科目と題材 班
(人数) 学年 科目 単元
A班
(6名) 第4学年 国語 物語「白いぼうし」
B班
(5名) 第4学年 算数 面積のはかり方と表し方 C班
(4名) 第6学年 国語 物語「あらしのよるに」
D班
(5名) 第5,6学年 外国語 活動 E班
(4名) 第3学年 理科 じしゃくにつけよう F班
(6名) 第4学年 算数 面積のはかり方と表し方 G班
(5名) 第5学年 算数 四角形と三角形の面積
図2 2年次生による模擬授業 表1 授業づくり体験予定
コマ数 内容
1.事前指導 1 教員による授業づくり概説 2.準備 3 45分の授業案を作成する.板書
計画,教材研究・作成を含む.
3.模擬授業 2
1年次生を児童役として模擬授業 を行う.
4.ふり返り 授業者の感想,参観した教員から のコメントの共有
※1コマは90分
名,実施後の回答数は23名であった.表3に体 験実施前,表4に実施後のアンケートの項目を示 す.表5が体験実施前,表6が実施後のアンケー トの結果である.
3.2 志望動機・授業に対する意識について 体験実施前のアンケートにおいて,「小学校の とき影響を受けた先生がいる」(④以下,白丸数 字は実施前,黒丸数字は実施後のアンケート項目 を示す)に対しては,「とても思う」「少し思う」
を合わせ76%であるが,焦点を絞り,授業につ いて「小学校の時の思い出に残る授業がある」
(⑦)かを問う項目には,「とても思う」「少し思 う」を合わせて59%に留まった.一方で,「授業 は,先生の仕事の中で一番大切だと思う」には,
実施前(⑧)に「とても思う」「少し思う」が 表3 体験実施前アンケート項目
①私は小学校の先生になりたいと思う.
②私は先生になるために,普段の授業や家庭学習を頑張っ ている.
③私は先生にふさわしい服装や髪形・言葉づかいを心がけ ている.
④私は小学校のとき影響を受けた先生がいる.
⑤私は頑張れば先生になれると思う.
⑥私は先生に向いていると思う.
⑦私は,小学校の時の思い出に残る授業がある.
⑧授業は,先生の仕事の中で一番大切だと思う.
⑨先生の教え方によって子どもの理解に差が生まれると思 う.
⑩授業づくり体験は楽しみだ.
⑪授業づくりは難しそうだ.
表4 体験実施後アンケート項目
❶私は小学校の先生になりたいと思った.
❷私は先生になるために,普段の授業や家庭学習を頑張る ことが必要だと思った.
❸私は先生にふさわしい服装や髪形・言葉づかいを心がけ ることが必要だと思った.
❹私は小学校のとき影響を受けた先生のようになりたい気 持ちが強くなった.
❺私は頑張れば先生になれると思った.
❻私は先生に向いていると思った.
❼授業は,先生の仕事の中で一番大切だと思った.
❽先生の教え方によって子どもの理解に差が生まれると 思った.
❾「授業づくり体験」を通して,先生の大変さがわかっ た.
❿「授業づくり体験」は思っていた以上に難しかった.
⓫「授業づくり体験」は今後指導案作成や教材を作る上で 勉強になった.
⓬「授業づくり体験」では,仲間と協力して指導案を作成 することができた.
⓭「授業づくり体験」は楽しかった.
⓮「授業づくり体験」を通して,先生になりたいという気 持ちが強くなった.
⓯「授業づくり体験」では,グループとしてうまく行った と思う.
⓰「授業づくり体験」を通して,「授業づくり」に対する 理解が深まった.
⓱「授業づくり体験」を通して,「授業づくり」に対する 興味・関心が高まった.
◆授業づくり体験をしてみての感想を自由に書いてくださ い.
表5 体験実施前アンケート結果 ア.とて
も思う イ.少し
思う ウ.あまり
思わない エ.思わ
ない オ.わか らない
① 18 10 1 0 0
② 3 18 8 0 0
③ 10 16 2 1 0
④ 15 7 4 3 0
⑤ 9 16 1 2 1
⑥ 4 12 8 0 5
⑦ 13 4 10 2 0
⑧ 8 14 7 0 0
⑨ 27 2 0 0 0
⑩ 7 14 7 1 0
⑪ 21 7 0 1 0
表6 体験実施後アンケート結果 ア.とて
も思う イ.少し
思う ウ.あまり
思わない エ.思わ
ない オ.わか らない
❶ 13 10 0 0 0
❷ 18 4 1 0 0
❸ 11 8 4 0 0
❹ 10 7 4 2 0
❺ 7 10 2 1 0
❻ 3 11 4 0 0
❼ 10 8 3 1 0
❽ 21 1 0 0 0
❾ 20 1 0 1 0
❿ 18 4 0 0 0
⓫ 19 3 0 0 0
⓬ 16 7 0 0 0
⓭ 11 9 1 1 0
⓮ 14 8 1 0 0
⓯ 7 14 1 0 0
⓰ 14 9 0 0 0
⓱ 14 9 0 0 0
76%,実施後(❼)にもほぼ変化なく「とても思 う」「少し思う」が78%と,授業の重要性の認識 度は高い.さらに,「先生の教え方によって子ど もの理解に差が生まれると思う」についても,実 施前(⑨)「とても思う」「少し思う」100%,実 施後(❽)「とても思う」「少し思う」96%と,と もに高い割合を示している.
3.3 資質・適性・取り組みについて
「小学校の先生になりたいと思う」かを問う項 目に対して,実施前(①)には「とても思う」
「少し思う」97%,実施後(❶)に100%であり
(図3),2年次前期の段階では教職への夢はまだ 維持されている.また,「私は先生に向いている と思う」という項目では,実施前(⑥)に「とて も思う」「思う」55%,実施後(❻)に「とても 思う」「思う」61%とわずかながら増加している
(図5).一方で,「頑張れば先生になれると思う」
かを問う項目には,実施前(⑤)に「とても思 う」「少し思う」を合わせ86%,実施後(❺)に
「とても思う」「少し思う」を合わせ74%と若干 減少した(図4).「先生になるために,普段の授 業や家庭学習を頑張っている」については,実施 前(②)「とても思う」10%,「思う」62%,「あ まり思わない」28%,実施後(❷)に「とても思 う」78%,「少し思う」17%,「あまり思わない」
4%となり,今回の調査で唯一,実施前後に有意 な差(χ2=24.704,p<.01)が見られた(図6).
3.4 本体験の評価
実施前,「授業づくり体験は楽しみだ」(⑩)に 対しては「とても思う」「少し思う」を合わせ 72%であり,実施後,実際に「授業づくり体験は 楽しかった」(⓭)に対しても「とても思う」「少 し思う」87%と本体験の満足度は高い(図7).
一方で,実施前に「授業づくりは難しそうだ」
(⑪)という項目に「とても思う」「少し思う」を 合わせて97%,実施後に「授業づくり体験は思っ ていた以上に難しかった」(❿)にも「とても思 う」「少し思う」を合わせ96%と,ともに高い確 率であった.また,実施後に,「授業づくり体験 は今後指導案作成や教材を作る上で勉強になっ た」(⓫)に「とても思う」「少し思う」96%,
「授業づくりに対する理解が深まった」(⓰)「興 味・関心が高まった」(⓱)は,ともに「とても 思う」「少し思う」100%と高い.さらに,「仲間 と協力して指導案を作成することができた」(⓬)
とする項目に「とても思う」「少し思う」100%,
「グループとしてうまく行ったと思う」(⓯)につ いても「とても思う」「少し思う」が91%と高率 となった.本体験を経て「先生の大変さがわかっ た」(❾)かという問いは「とても思う」「少し思 図3 小学校の教師になりたい
図4 頑張れば教師になれると思う
図5 自分は教師に向いている
図6 普段の授業や家庭学習を頑張ろうと思う
う」91%,「先生になりたいという気持ちが強く なった」(⓮)も「とても思う」「思う」96%と高 い割合となり,本体験が授業づくりに対する理解 を深め,教職への夢を維持する効果があったこと を示している.
Ⅳ.自由記述2)
4.1 記述の概要
授業づくりを体験した2年次生には,体験を通 じ,教師側に立ってはじめて実感した教えること の難しさをあげる記述が散見された.
加えて,授業をする側から他の授業を見る視点 を学んだ学生もいた.
難しかったがみんなのも見ていると自分ならこ うするなどの考えも生まれるようになった.
また,「先生になって実際に授業をしてみたい と思った.」「もう一回やってリベンジしたい.」
など,今回の体験が教職,授業づくりへの動機づ けとなった記述も散見された.
授業づくりに関する知識経験をグループで共有 することで効果を生み出したとする記述もあった.
板書の配置のバランスや授業の時間配分など班 員たちと話し合いとても悩んだ.しかし話し合い を重ねるにつれ良い意見が何個も出てきて,良い 授業ができた.
その一方で,1年次生も含め,他の学生とひと つの授業を作ることに疑問を呈する記述もわずか ながら見られた.
1年次生については,次年度自分達が授業をつ くる側に立つことに言及した記述が多数見られ た.
「先輩が言われていたこと」,すなわち参観して いた教員のコメントから得た示唆も多かったよう だ.以下のような記述も見られた.
観ていてとても勉強になりました.とくに先生 のアドバイスには驚かされるものばかりでした.
4.2 自由記述に関する考察
(1)授業観の変化
今年度の体験は,教職課程において教科教育法 図7 授業づくり体験は楽しみだ/楽しかった
表7 授業づくり体験から学んだこと(2年次生)
・イメージしていた時間配分や生徒役の子の答えなど違う ことが多く,いろいろなパターンを考えることが大切だ と思いました.
・今回やってみて,やる前は想像もしていなかった答えが 返ってきたときに反応が遅れたので,そういった所を少 しでもできるようになりたい.
・授業案の段階だと考えた流れが本番では上手くいかな かった.
・言葉や頭では理解していても実際の授業でどのように,
どのタイミングでなどやってみて初めて分かったことが 多くありました.
表8 2年次生の模擬授業を受けて(1年次生)
・来年は自分達が教える側なので,今年の授業を越える授 業運びを行う.
・先輩方が授業をしている様子を見て,先生になるため,
また教えるためにはたくさんの事前準備が必要だと感じ ました.
・来年には,自分が先輩と同じように授業を作るんだと思 い,今から少しずつ考えていこうと思いました.
・自分が来年やる立場なので今回学んだことをいかして授 業したいと思いました.
・自分が来年作る時に今回の先輩達の反省をいかし同じ反 省ではなく新たな反省がでてくるような授業を作ろうと 思った.
・来年私が授業を行うとなったら,今年の先輩以上の授業 ができるように日々勉強していきたい.
・今回の先輩の授業でよかった点は参考に,悪かった点は 例として挙げ,進めていく.
・来年私たちがやると思うと今から勉強することが大切だ と強く感じた.先輩方の授業を受けて言われていたこと を来年いかしたいと思う.
・来年やる立場になった時,先輩たちが言われていたこと をしっかりと考えて行おうと思いました.
・来年は,今回の先輩を越えられるように気合いを入れて 頑張ります.
・児童という立場に立ち授業を受けることで,これからの 大学生活で,どのようなことを身に付ける必要があるの かを理解することができた気がした.
・先輩方の授業を受けて,来年自分達は何の教科をどんな かんじで行えば良いかすごい考えさせられた.今回先輩 方が先生方に言われていたことを自分達は出来るように したい.
関連の科目履修が始まる前の2年次前期に行われ た.授業づくりに関する知識技術も乏しく,授業 者の側に立つ経験もほぼない段階での体験では あったが,昨年度,児童役として模擬授業を参観 し,満を持して臨んだ2年次生の授業は,見よう 見まねであったとしてもさまざまな工夫が見ら れ,多くは授業としての体を成していた.それに もかかわらず2年次生の96%が授業づくりの難 しさを感じた要因のひとつは,授業を受ける側
(今回は児童役の1年次生)が実際に存在したこ とにあるだろう.自由記述欄には,授業者の思い 通りに反応しない「児童役」に対して,「イメー ジしていた時間配分や生徒役の子の答えなど違う ことが多く」「やる前は想像もしていなかった答 えが返ってきた」などの戸惑いが見られた.これ は,そもそも児童理解の不足で子どもの反応を想 定できなかったことに加え,学生の授業観が教師 からの一方的な教授になっており,児童は教師の 求める答えを導き出すだけの受動的な存在でしか なかったと考えられる.今回の体験を通じて,生 きた学びの主体である児童が授業に登場し,教師 と児童の双方向的な相互作用の中で学びのプロセ スを構築していくものとして授業を認識するよう になったとすれば,授業づくり体験の効果は十分 にあったと言える.
(2)授業者としての視点への転換
授業を受ける側の経験しかない学生の中には,
ボランティアやインターンシップ等で学校現場に 入って授業を参観する機会や,教育実習が始まっ たのちの観察実習の期間ですら,授業の何を観察 し記録すればよいかをつかめない様子が散見され る.一方で,体験に参加した2年次生の「みんな の(授業)も見ていると自分ならこうするなどの 考えも生まれるようになった」という記述が端的 に示しているように,授業づくり体験を通じて,
2年次生は実際に授業者として立つという経験,
1年次生は1年後には自分が授業をする側になる という認識が,授業を受ける側から授業者への視 点の転換を生じさせたと考えられる.「自分なら どう授業するか」と考えながら授業を参観する視 点を獲得したことは,今後,教科教育法関連科目 の履修,学校現場での授業参観において豊かな学 びを生み出す力となるだろう.
Ⅳ.まとめ――今後に向けて
本コース教職講座における授業づくり体験は,
純粋に取組みを楽しんだ学生も多く,教職に向か う動機づけや,普段の講義や学習への意欲向上に 十分な効果があった.さらに,授業とは何か,と いう授業観を知識で得る前の教職課程の初期段階 に敢えて授業をする側に学生を立たせることによ り,無意識に自分が抱いている一方的な授業観 や,授業をともにつくる主体者としての児童の存 在に気づき(授業観の変化),授業者の側からの 視点をもって他の授業を参観できるようになる
(視点の転換)という効果も期待できることが示 唆された.2年次生が行う授業に1年次生が児童 役として参加したことによる,双方への学びの効 果も大きかった.今回の調査を踏まえて体験によ る学びの質を向上させつつ,取組みを継続してい きたい.
注
1)本学では,平成28年4月に児童教育学科を 改組・発展させ,幼児保育学科と学校教育学 科(小学校コース/中高理科コース/中高保 健体育コース)を開設した.
2)自由記述欄からの引用は,明らかな誤記を除 き,原文に加筆修正なく記載している.
参考文献
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『埼玉大学紀要教育学部』59(1).55-65.
飯島広美,岡田珠恵(2017).「教員養成課程にお ける「授業力」の形成と向上のための方策」
『湘南工科大学紀要』第51巻第1号.117- 126.
宮脇郁,柏崎秀子(2012).「教職課程における模 擬授業の効果:授業の過程に対する認識の変 化」『実践女子大学文学部紀要』55.66-74.
佐伯育郎,徳本達夫(2016).「教師教育における 模擬授業指導の現状と課題(1)」『広島文教 女子大学教職センター年報』4.21-40.
梅澤実,小林貴史,横尾康幸,植村洋司,平塚由 紀子(1998).「大学2年生の観察実習におけ る試み:「反省的実践家」形成の基盤として の模擬授業体験の位置づけとして」『東京学 芸大学附属学校研究紀要』25.107-117.