はじめに
親族,友人,恩師,恋人などとの死別,長年住み慣 れた自宅の自然災害や火災での消失,親しんだ職場か らの退職による虚無等々.喪失の際,生じる心理的 ・ 情緒的状態が「グリーフ(悲嘆)」である.こうしたグ リーフを体験した方々,抱いている方々に心を寄せ,
ありのままに受け入れ,その方々が立ち直り,希望を 持つことが出来るように支援することが「グリーフケ ア(悲嘆ケア)」 (グリーフケア研究所について,https://
www.sophia.ac.jp/jpn/otherprograms/griefcare/
about.html,2018年12月8日閲覧)であり,近年,関 心が以前にも増して高まっている.
かつて,我が国は家族や地域コミュニティなど,グ リーフケアを担う人が周囲にいることが多い社会環境 であった.しかし,現在では核家族化や非婚化が進み,
家族の支え合い機能が弱まってしまった.地域コミュ ニティも揺らぎ,そうした役割を果たすことが難しく なっている.そして,病院で亡くなる人が大半を占め るようになり,死にゆく人を地域の中で看取る機会が 減っている.「死の医療化」と呼ばれる事態である.死 にゆく過程や看取りを身近に経験することが減り,大 切な人を亡くした体験を共有する機会が少ない中,今 後ますます高齢化が進んでいく.そのため,自然の摂 理によってこれから大切な人を失う人は増えていく.
その具体例が死亡者の増加である.2018年の「人口 動態統計」の推計値をみても,すでに出生数921,000人 に比べて死亡者数1,369,000人と死亡者が多く,人口は
純減である.また,1947年から1949年に出生したいわ ゆる「団塊の世代」が程なく平均寿命に達し,年間死 亡者数が150万人を超えることが見込まれる(厚生労働 省,人口動態総覧 https://www.mhlw.go.jp/toukei/
saikin/hw/jinkou/suikei18/,2018年12月8日閲覧).
身近な存在の死がグリーフを誘うのである.
実際,筆者の一人の沼田は,次兄が集中治療室にお いて投薬とともに低温療法などの治療を受けていたが 治療の甲斐もなく,およそ10日後に心停止し亡くした 経験がある.もう一人の筆者の溝口は実母の看取りに 間に合わず,深夜,病棟の医療従事者から携帯電話で 最後の瞬間をいわば,「実況中継」して頂いた経験をも つ.このような大切な人の死を身近に感じるのがグリー フ体験の一つである.そのため,その後の自然災害や 事故などで家族を亡くされた遺族をニュースなどで知 る度に,どのようにして立ち直っていくのか,また,
どのような支援を受けているのか気になるようになっ た.2011年3月の東日本大震災により家族を失った子 どもたちへ厚生労働省がグリーフケアを提供したこと でもそれへの関心が加速された.この大震災は,人間 にとってのグリーフケアの必要性を改めて突きつける ものでもあった.
一言にグリーフケアといっても対象は様々で,配偶 者を亡くした人,子どもを亡くした親,親を亡くした 子ども,災害や事故,事件や自死によって家族や大切 な人を亡くした人,死産や流産を経験した人,余命宣 告を受けた患者の家族の方や伴侶動物を亡くした人な ど,対象の幅が大変広い.また,サービス提供者側の
*
㈱佐々木ケアサービス在宅介護事業部
**
立正大学社会福祉学部社会福祉学科
キーワード:グリーフケア,緩和ケア,デス・エデュケーション,介護教育
グリーフケアの実態と展望
―医療・介護職員に対するアンケート結果を中心に―
沼 田 真 優
*溝 口 元
**問題として,高齢者施設におけるグリーフケアの実践
(日比野他,2009)やグリーフケア ・ カンファレンスの 試み(森 ・ 藤原,2016),介護福祉教育におけるグリー フケアに関する論考(森 ・ 藤原,2018)などもみられ るようになっている.
そこで,本稿では,まず,グリーフケアの定義や遺 族に起こりやすい症状などに触れる.そして,福祉現 場における実践に関係した先行研究 ・ 関連研究の整理,
ソーシャルメディアや新聞記事等での扱いをまとめる.
さらに,介護 ・ 医療職に対する質問紙調査を実施した 結果を示し,総合的に検討していきたい.
1 .グリーフケアについて
ここでは,グリーフケアに関する先行研究のほかグ リーフケアの定義や遺族に起こりやすい症状,グリー フケアへの介入方法,国が行っているグリーフケア等 についてこれまでに論じられてきたものを整理してみ たい.また,グリーフケアに関係するブログや SNS で の意見もここで触れる.
グリーフケアとはどのようなケアのことなのか Web 検索と高木慶子『グリーフケア入門』 (2012)及び『〈悲 嘆〉と向き合い,ケアする社会をめざして』(2013)の 2つの文献から以下のようにまとめた.
大切な人を亡くした後には,喪失に関係する様々な 思いと,死別という現実に対してこの窮地をなんとか しようと立ち直りの思いの2つの思いに占有される.
この共存する2つの思いの間で揺れ動き,精神的にな んとも不安定な状態となる.同時に身体的にも不愉快 な反応 ・ 違和感を経験する.これらを「グリーフ(悲 嘆)」と言う.このような状態にある人にさりげなく寄 り添い,大切な人がいなくなったことを受け入れ,適 応して新しい人生を過ごせるように援助することを「グ リーフケア(悲嘆ケア)」と言う.
また,世界保健機構(WHO)では,緩和ケアにおい て患者の生前から死別後を通して,家族の適応を助け るサポートシステムの必要性を提言している.このこ とからグリーフケアは,緩和ケアに含まれるものとし て考えることができる.
グリーフケアでは,心理的,社会的に遺族が孤立し ないように支援体制が求められる.悲しみへのケアが あると,早期に自分の混乱とその整理,亡くなった方 の生きた意味 ・ 自分の生きる意味,人生の意義などに 気づくことができて,前向きに人生を捉えなおすきっ
かけとなるだろう.
1 - 1 .グリーフの反応
人間は「生老病死」という宿命から免れることがで きない以上,いずれは「愛別離苦」という大切な人の 死に遭遇する.配偶者,子ども,両親,兄弟姉妹等,
生きる時間を共有してきた大切な人を失うと,深い,
どうしようもない悲しみに包まれる.その深い悲しみ がストレッサーとなり,以下のような反応をもたらす.
①精神的な反応
長期にわたる,「思慕」の情を核に,感情の麻痺,怒 り,恐怖に似た不安を感じる,孤独,寂しさ,やる せなさ,罪悪感,自責感,無力感などが症状として 表れる.
②身体的な反応
睡眠障害,食欲障害,体力の低下,健康感の低下,
疲労感,頭痛,肩こり,めまい,動悸,胃腸不調,
便秘,下痢,血圧の上昇,白髪の急増を感じる,自 律神経失調症,体重減少,免疫機能低下などの身体 の違和感,疲労感や不調を覚える.
③日常生活や行動の変化
ぼんやりする,涙があふれてくる,死別をきっかけ とした反応性の「うつ」により引きこもる,落ち着 きがなくなる,より動き回って仕事をしようとする,
亡くなった人の所有物,ゆかりのものは一時回避し たい思いにとらわれるようになるが,時が経つにつ れ,愛惜しむようになるなどの変化がある.
この3つの症状は,混在して,それも時をかまわず して起こる.さらに,きっかけさえあれば,何年後か に再発することもある.
1 - 2 .グリーフワーク
人は死別などによって愛する人を失うと大きな悲し みである「グリーフ」を感じ,長期にわたって特別な 精神状態の変化を経ていく.遺族が体験し,乗り越え なければいけない悲嘆のプロセスを「グリーフワーク」
という.グリーフワークは,以下の4段階から構成さ れる.
第1段階:ショック期
最初に大切な人の死に接した時,人は漠然として,
無感覚の状態になる.一見冷静に受け止めているよう
に見えるが,これは現実感を喪失した状態である.死
があまりに大きなショックであるため,はっきりした 反応が表れない.また,正常な判断ができずに,パニッ ク状態になることもある.
第2段階:喪失期
死を現実に受け止め始めるが,まだ十分に受け止め きれない状態である.号泣や怒り,自責感などの強い 感情が,次々に繰り返し表れる.また,亡くなった方 がまだ生きているように思ったりする.この段階では 深い悲しみが一般的な反応である.しっかり泣くこと が重要である.医師等他の誰かに,死の原因を押しつ けて敵意を向けることもある.
第3段階:閉じこもり期
死を受け止めることができた段階である.そのため,
従来の自分の価値観などや生活が意味を失って,うつ 状態に陥り,無気力状態になる.自責感に襲われるこ とも特徴である.
第4段階:再生期
故人の死を乗り越えて,新たな自分や新たな社会関 係を築いて行く時期である.
「グリーフワーク」の期間には個人差があるが,第1
~第2段階は1~2週間が一般的である.また,「グ リーフワーク」全体の期間は,配偶者の死別の場合で 1~2年,子どもの死別の場合は2~5年程度と言わ れている.
1 - 3 .遺族に起こりやすい症状
・うつ病
悲嘆反応の一つとしての抑うつは,遺族には多く見 られるものであるが,うつ病は一時的なものではな く,症状も深刻である.
・PTSD(心的外傷性ストレス障害)
大きな衝撃を受ける体験をしたあと,その記憶がし きりに思い出され,それによって日常生活が困難に なってしまう疾患である.
・不安障害
不安 ・ 恐怖は,本来外敵の危険を察知して身の安全 を守るための警報システムである.これが過敏に反 応し過ぎて,自分でコントロールできなくなった時 には,色々な困難が生じ社会生活を送る上で支障を きたすことである.
・アルコール依存症
不眠や辛さを紛らわせるために酒を飲んでいると,
アルコール依存症になる恐れがある.アルコールに よって自らの身体を壊してしまうことを始め,家族 に迷惑をかけたり,様々な事件や事故,問題を引き 起こしたりして社会的,人間的信用を失ったりする ことがある.症状が進行すると身体と共に精神にも 異常をきたす疾患である.
・ブロークンハート症候群
まさに「胸をつぶされる思い」で,強いストレスに よって引き起こされる症状である.大切な人の死後,
まるで後を追うかのように亡くなってしまうことが あり,特に,配偶者の死後にはうつ病などの精神疾 患になりやすく,自殺(死)率が高くなる.なお,
妻を亡くした男性のほうが,夫を亡くした女性より も死亡率が高いと言われている.
・記念日反応(命日反応)
亡くなった人の命日や誕生日,結婚記念日など思い 出が深い特別な日が近づくと,気持ちの落ち込みや 体調が崩れるなど,亡くなった直後のような反応や 変化が出ることがある.このような反応や変化は,
「記念日反応」あるいは「命日反応」と呼ばれ,大切 な人を亡くした方にはよく起こりうる自然な反応で ある.自分を責めたり不安に思ったり,これらの気 持ちを無理に抑えたりしないようにする必要がある.
1 - 4 .グリーフケアの介入方法
・情緒的介入
相手の話を傾聴し,共感していくという手法をとっ て,相手の心に寄り添っていく介入方法を言う.グ リーフケアに対して1番最初に行われ,かつ1番大 切な介入である.
・情報的介入
情報的介入とは,文字通り,悲嘆を乗り越えるため の情報提供をしていくということである.具体的に は,その悲しみを癒すため,自分の関わりを振り返 るために病院の遺族会を中心としたグループが介入 の情報などを提供していく.
・道具的介入
グリーフによって生じている日常の問題に介入し,
援助を行う方法.悲しみにより,自身の日常生活が 破たんしてしまう人も多いため,大変重要な介入方 法である.
・治療的介入
文字通り,顕在化している心身の健康問題に対して
医療機関への介入を勧めることを言う.特に,グリー フによって自分自身も自傷を企てるというケースは 非常に多くなっており,この介入も大切な介入となる.
2 .厚生労働省によるグリーフケア
厚生労働省のホームページ(https://www.mhlw.
go.jp/file/05-Shingikai,2018年12月8日閲覧)から,
以下のようなグリーフケアに関する記事がみられた.
それぞれについてみていきた.
2 - 1 .自殺(死)で遺された人に対する支援とケア 自殺対策については,従来からうつ病対策や心の健 康づくり対策を中心に取り組まれているが,自殺未遂 者や自殺者親族等に対する支援を含む総合的な対策は,
ほとんど行われてこなかった.このような中で,自殺 で大切な人を亡くし遺族となった人々や自殺者親族等 に対する支援およびその対策に取り組んでいる民間団 体が中心となって,総合的な自殺対策を求める運動が 開始された.
そのような声に応えて,2006(平成18)年6月には
『自殺対策基本法』が成立し,さらに,翌年6月には
『自殺総合対策大綱』が策定されるに至った.さらに 2008年3月には『自殺未遂者 ・ 自殺者親族等のケアに 関するガイドライン作成のための指針』も公表された.
自殺者親族等のケアは,彼等が抱える個別の複雑な 背景を十分に理解した上で,保健医療,福祉,心理,
経済,法律等の様々な問題に対し,多様な側面から支 援し,影響等を緩和していくことが基本である.こう したことを踏まえ,自殺者親族等のケアについては,
以下のように示されている.
・社会生活の多様な側面からケアし,自殺者親族等が 悲嘆の回復に専念できるようにすること.
・自殺者親族等が医療による専門的なケアが必要になっ た場合には,適切にケアを行うこと.
・自殺者親族等が必要とした場合には,分かちあいの ための支援グループ,生活相談,法律相談等,多様 な専門性を持った公的機関や民間団体等が連携して ケアを行うこと.
・自殺者親族等の悲嘆の回復のための支援を総合的に 実施するために,相談体制の充実や人材育成等の社 会資源の整備や連携の推進,調査研究の推進による 実態把握,一般国民向けの自殺者親族等のケアに関 する普及啓発等を進めていくこと.
精神保健福祉センターや保健所等の公的機関が民間 団体等の協力により,自殺者親族等からの保健医療,
心理,福祉の問題に対応するための相談体制を充実す る.また,関係機関 ・ 団体等と経済的,法律的な問題 等の相談に対応できるための連携体制の構築を図る.
医療によるケアが必要な状況におかれた自殺者親族 等に対しては,早期に適切な医療を受けられるように するため,自殺者親族等のケアに取り組む関係者は心 身の状況に配慮し,必要に応じて,医療機関へ紹介す るなど,適切な対応を行えるよう日頃から医療機関と の連携を緊密にしておく.
自殺者親族等と接する機会のある者(地域,学校,
職域における支援 活動の担当者,警察,消防,医療 機関,民間団体等)と協力しながら,自殺者親族等に 対して,各種相談窓口や民間団体の連絡先の情報を掲 載したパンフレットやクリアファイル等を配布するこ とにより,自殺者親族等が孤立しないために必要な情 報の発信を行う.
必要に応じて民間団体等と連携して,自殺者親族等 のケアに取り組む公的機関や民間団体の関係者の資質 向上のための研修を行う.また,ケアに取り組む関係 者が抱えているケアに関しての困難や悩みの解決のた めの働きかけをガイドラインの作成等を通じて行う.
各地域の実情に合わせて自殺対策に関わる公的機関 や民間団体等の社会資源の充実を図るとともに,公的 機関や民間団体等がそれぞれの立場や独自性を尊重し つつ緊密に連携できる体制の構築を図る.自殺者親族 等の支援に取り組んでいる関係者が連携を強化するた めに調整を行う場の確保について検討を行う.
自殺者親族等の支援の方法の開発のために,必要に 応じて民間団体等と連携して,自殺者親族等の実態に 関する調査研究,支援の実態の把握,自殺者親族等を 取り巻く関係者の連携体制についての事例の収集,ケ アに取り組む関係者に対する教材やガイドラインの作 成等を行う.
自殺者親族等への偏見の除去や支援についての理解
を深めるため,国や自治体が中心となって,必要に応
じて民間団体等と連携して,自殺者親族等の置かれた
状況や心理,支援に取り組む民間団体の活動の紹介等
の一般国民向けの普及啓発を行う.特に,自殺予防週
間において,国や自治体が連携し,国民に対して自殺
者親族等のことも含めて,自殺予防に関する正しい知
識を集中的に普及啓発する(自死遺族を支えるために,
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujou,2018年5 月20日閲覧).
一方,福島県双葉町では,2011(平成23)年10月27 日,「東日本大震災中央子ども支援センター」を設置し て,被災地の行政や関係機関と協働して取り組みを進 めることとした.支援センターは,岩手県 ・ 宮城県 ・ 福島県に現地窓口を設置し,現地の支援ニーズの把握,
支援方法の確認,支援の現地調整(コーディネイト)
を行っている.
被災県での子どもの心のケアに関する取り組みとし て,岩手県では,保護者や支援者向けの啓発冊子の作 成,支援者の研修会,講演会の実施,児童の心のケア 活動(巡回相談),メンタルケア個別相談(児童 ・ 保 護), 「子どものこころのケアセンター」の設置運営(児 童精神科医の配置,巡回相談等)を行っている.
宮城県では,児童精神科医,臨床心理士などで「子ど もの心のケアチーム」を編成し,医療的ケアを含めた子 どもの心のケアに関する幅広い支援(巡回支援を含む)
や保育所保育士,放課後児童クラブ指導員保護者等へ の研修,乳幼児健診の場に心理士等を派遣している.
福島県では,児童相談所の専門的相談 ・ 支援体制の 強化を図るとともに,保護者や支援者等に対する研修 の実施や乳幼児健診の場に心理士等を派遣している.
(東日本大震災で被災した子どもの心の支援について
(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002 kwbz-att/2r9852000002kwhx.pdf,2018年12月8日閲覧)
2 - 2 .福祉場面におけるグリーフケア
グリーフを直接受けた人への支援が中心のグリーフ ケアだが,近年,勤務上,医療従事者とともに死別す る体験が多い福祉関係施設でもこのグリーフケアへの 取り組みや実践報告がみられるようになってきた.い くつかみてみたい.福祉サービス提供者側の問題とし てのグリーフケアである.
高齢者施設におけるグリーフケアの実践として,2025 年までに認知症高齢者が323万人と見込まれることか ら,通所介護施設におけるデイサービス利用者とスタッ フにグリーフケア実践として「おくやみ」の手紙を書 く事例が報告されている(日比野他,2009).デイサー ビス利用者が亡くなられた後に,施設での仲間とスタッ フが亡くなられた方へおくやみの手紙を書くという試 みである.認知症高齢者も「死」を自然なこととして 受け止めている.スタッフにとっては,人生の大切な
時期に関わっていたという事実を改めて認識し,介護 への意識づけが可能になったという.
さて,2006(平成18)年度より介護保険で特別養護 老人ホームにおける看取り加算が新設され,さらに対 象施設も拡大された.しかし,介護老人福祉施設では,
看取り介護は約7割の施設で実践されているが,死や グリーフケアに関心が払われているようには見えない.
高齢者施設で亡くなる利用者が増加している現況は,
施設職員にとって身体的 ・ 精神的に大きな負担になっ ている.そこで,職員の精神的負担の把握と軽減に関 係するグリーフケア ・ カンファレンスが試みられた
(森 ・ 藤原,2016).16回ほど試みたが,職員が自分自 身の感情に気づき表出することに慣れていないためか,
カンファレンスに効果があったとはいえない結果になっ たという.そのため,利用者との関りをナラティブに 想い出し,職員の感情を吐き出させ,それがグリーフ ケアにつながることを指摘している.
最後に,介護福祉教育におけるグリーフケアに関す る論考(森 ・ 藤原,2018)も見ておこう.これまでの グリーフケアは,利用者の家族に対するものであった が,介護福祉士養成教育課程においてグリーフケア教 育を実施することは,利用者の死による喪失とグリー フを味合うことから生じる職員のバーンアウトの防止 を図ろうとするものである.しかし,現行の介護福祉 士養成テキストには,家族へのグリーフケアに関する 記載はあるが,グリーフワークに関する記述はなく,
介護職員へのグリーフケアもこの言葉でなく「燃え尽 き症候群」として述べられていた.そのため,介護教 育担当者は,自身の死と向き合う姿勢.終末期から看 取り,死後の処置.心の負担や変化.専門職としての グリーフの解決体験.等を学生に伝えていく必要があ り,それがグリーフ教育につながると考えている.
2 - 3 .ソーシャルメディアにおけるグリーフケア
・大切な人 ・ 子どもさんを亡くした方の心を癒す YOU のブログ(https://ameblo.jp/you-19891004/entry- 12273134112.html?frm=theme,2018年11月23日閲覧)
飲酒運転の車によって事故にあい,当時高校2年生
の息子を亡くされた父親のブログである.グリーフケ
アアドバイザー1級,上級心理カウンセラー,メンタ
ル心理カウンセラー,チャイルドカウンセラー,家族
療法カウンセラーの資格を取得し,息子が亡くなって
から約10年後に,悲しみや苦しみから立ち直るための
死別専門のグリーフケアカウンセリングをしている.
・日本グリーフ専門士協会(https://grief-care.jp/,
2018年11月23日 閲覧)
一般財団法人 日本グリーフ専門士協会が運営して いる公式ブログである.グリーフケアの基礎知識や看 護や介護の現場でのご遺族の方への関わり方をまとめ ている.グリーフケアを誰でも学べるように無料のグ リーフケア入門講座を Web で行っていて,インター ネット環境があれば,パソコン,タブレット,スマホ のいずれでも参加可能である.
「NARU(@koyuki2008)さんの Instagram(https://
www.instagram.com/koyuki2008/,2018年11月23日 閲覧)
妊娠中に胎児に重い心疾患が発覚し,37週で出産=
死を経験した天使ママである.天使ママとは,お腹の 中やお産の際,この世に生を受けることが出来なかっ た子どもを授かったお母さんのことである.
筆者が特に気になったのは2017年11月11日の投稿で ある.現在の法律では死産の場合は戸籍に残せないこ とに関して,亡くなったのがお腹の中か外かで戸籍を 残せるか残せないか変わってしまうのはおかしいとい うこと,家族写真やビデオを残してくれたり,手形や 足型を残してくれたりする病院がある一方で,事務的 に対応され思い出を残すことが出来ない病院もあり,
病院によって対応の差があることについて書かれてい た.グリーフケアの重要性や病院による対応差を訴え る内容で,現在の法律の未熟さやグリーフケアに関し て無知な社会を物語っている.
これらの他にも Web 上では,日本グリーフケア協 会(http://www.grief-care.org/about/2018年11月23日 閲覧),グリーフケアへの誘い(https://kokoro.nippon kodo.co.jp/griefcare/index.html,2018年11月23日閲 覧), “ 死別の悲しみ ” 支える「グリーフサポート」の 輪( https://www.youtube.com/watch?v=jliiN 0 JCL5E,2018年12月8日閲覧)などでグリーフケアに 対する現況や取り組みを知ることができた.
2 - 4 .グリーフケアを扱った新聞記事
・「朝日新聞」2017年10月30日朝刊 29ページ
「大切な人の死」,心に寄り添って 遺児 ・ 遺族支援の 市民団体設立/福島県」
親を亡くした子どもや遺族らを支援する市民団体
「ReLink(りんく)」が福島市内に初めて設立された.
遺児支援のプログラムでは,研修を受けたスタッフが 遺児 ・ 遺族の心に丁寧に寄り添いながら安心して思い や感情をありのままに表現できるようにしている.
「ReLink(りんく)」には娘を亡くした経験を持つ保健 師や看護師など約10人が参加している.「ReLink(りん く)」の代表である佐藤利憲氏は「大切な人を亡くした 子どもが,安心して自分の気持ちを表現できる安全な 環境をつくっていきたい」と話している.
・「日本経済新聞」2016年5月15日朝刊 30ページ
「遺族に寄り添う「グリーフケア」,「内容知らず」
75%,介護職員」
在宅介護が広がり自宅で家族を看取るケースが増え る中,遺族に寄り添ってサポートするグリーフケアに ついて,介護職員を対象に調べたところ,遺族へのグ リーフケアが必要だと感じている職員が81.7%に上っ た一方,ケアの内容を「知っている」と答えたのは 24.3%にとどまった.介護職員の75.7%はグリーフケア を「聞いたことがない」「聞いたことはあるが内容を知 らない」と回答していて,介護現場での認知度が低い 現状が浮かび上がった.
・「日本経済新聞」 2014年3月2日朝刊 54ページ
「震災遺児たち,集える場所に,仙台に支援施設」
東日本大震災で親を失った子どもを支援するケア施 設「仙台レインボーハウス」があしなが育英会によっ て仙台市に建設された.施設の土地代や工事費など計 約14億円は寄付でまかなった.子どもたちのストレス 発散の部屋としてサンドバッグを置いた「火山の部屋」
や,落ち着いて語り合うための「おしゃべりの部屋」
を設け,子どもの自由な感情表現を促し,心のケアに つながるよう工夫してある.震災遺児の勉強や遊びの 場とするほか,そうした子どもたちのケアに携わるボ ランティアの養成にも活用している.
2 - 5 .グリーフケアに関するテレビ・漫画・
YouTube
2017年8月24日 TOKYOMXNEWS での放送
“ 広がる「グリーフサポート」の輪 ” というタイトル
で,グリーフサポート活動が全国に広がりを見せてい
るという内容である.実際に,学校のいじめによる自
殺で息子を亡くした女性が理事長となって,NPO 法人 を設立し活動を行っていた.地道な活動も実り,この 活動を知った地域の人が場所を提供してくれることに なり,グリーフケアのカフェがオープンすることになっ た.この放送は動画配信サービス “ YouTube ” にも TOKYO MX の公式アカウントから掲載されていて,
誰でもいつでも無料で視聴することができる.
・透明なゆりかご(ドラマ ・ 漫画) 作者:沖田×華
(おきたばっか)
産婦人科で看護師見習いとして実際に働いた経験の ある作者の沖田×華さんの漫画作品で,テレビドラマ としては NHK で2018年7月20日~9月21日まで放送 されていた.死産や中絶などの喪失体験はもちろん,
医療者側の状況や,登場人物たちの心の傷やトラウマ,
背景にある社会問題などがリアルに描かれた作品であ る(https://www.nhk.or.jp/drama10/yurikago/,2018 年12月8日閲覧).
・コウノドリ(ドラマ ・ 漫画) 作者:鈴の木ユウ 原作は鈴の木ユウによる医療漫画で,テレビドラマ としては TBS で第1シリーズが2015年10月16日~12月 18日まで,第2シリーズが2017年10月13日~12月22日 まで放送されていた.そのなかでも第2シリーズの第 5話では,死産をテーマにしている.登場人物の赤ちゃ んが IUFD(子宮内胎児死亡)してしまい,死産の場 合は戸籍が残らないという現在の日本の法律から,病 院スタッフが沐浴や髪の毛,爪,手形や足型を残すと いう思い出作りを一緒にしていくという話である.
このように世間的にはあまり知られていないグリー フケアが,漫画やドラマ,YouTube は,現代の若者に とってとても身近なものの中に筆者らの予想以上にテー マにされていた.新聞記事でも,グリーフケアの必要 性やあまり知られていないという現状を問題視する内 容があった.現在は,テレビよりも YouTube や SNS などで様々な情報を入手する人が多いため,多様なメ ディアを通して多くの人にグリーフケアと接する機会 が増えることを期待している.
3 .グリーフケアに関する質問紙調査
この質問紙調査の目的は,医療や介護の現場で働く 専門職がグリーフケアについてどれくらい知っている
のかを明らかにすることである.利用者の生活に触れ る専門職では,グリーフケアに対してどのような理解 や考えを持っているのか,また,実際にどれくらい実 施しているのかを明確化することを目指した.
3 - 1 .方 法
医療や介護の現場で働く専門職を対象に,「グリーフ ケアに関するアンケート」を一斉調査と個別調査で行っ た.48人にアンケート用紙を配り,全員から回答を得 ることができた(有効回収率は100%).実施期間は2018 年7月から9月末までの3か月間で,すべて自記式で 行った.
3 - 2 .結 果
設問⑴性別:男性13人(27%),女性35人(73%).全 体の約4分の1が男性で約4分の3が女性と大きく片 寄りがあった.これは,アンケート回答者の約半分が 訪問介護の現場で働く職員であり,ここでは同性介護 が原則となっているため女性に大きく片寄ってしまい 男性からの回答が少なくなったと考えられる.
設問⑵回答者の年齢
表 1
人数
20歳未満 0
20代 9
30代 12
40代 12
50代 6
60代 7
70歳以上 2
0 9
12 12
6 7
2 20歳未満 20代 30代 40代 50代 60代 70代以上
図 1 回答者の年代
表1,図1に示す通り,20歳未満の回答者からの回 答は得られなかった.最も多く得られた回答は30代,
40代でそれぞれ12人,続いて20代が9人,60代が7人,
50代が6人,70代以上が2人という結果になった.20 代,50代,60代ではそれほど大きな回答数の差は無かっ た.図2-2に示す通り,20歳未満を除いて,幅広い世代 からまんべんなく回答を得ることができた.
設問⑶職業
表 2 回答者の職業 人数
医療 7
看護 11
介護 28
教育・育成 0
その他 2
7 11
28
0 2
医療 看護 介護 教育・育成 その他
図 2 回答者の職業
表2,図2に示す通り,介護の回答者が最も多く28 人と全体の回答者数の約60%であった.続いて看護が 11人,医療が7人,その他が2人という結果になった.
教育 ・ 育成からの回答は得られなかった.これも設問
⑴と同様,アンケート回答者の約半分が訪問介護の現 場で働く職員であることによると思われる.
設問⑷現在の職業の経験年数 表 3 経験年数
人数
5年未満 16
5~10年未満 14
10~15年未満 9
15~20年未満 6
20~25年未満 2
25~30年未満 0
30~35年未満 1
35~40年未満 0
40年以上 0
16 14
9 6
2 0 1 0 0
図 3 現在の職業の経験年数
表3,図3に示す通り,5年未満の回答者が最も多 く16人,続いて5~10年未満が14人,10~15年未満が 9人,15~20年未満が6人,20~25年未満が2人,30
~35年未満が1人という結果になった.25~30年未満,
35~40年未満,40年以上,現在の職業を経験している 人からの回答は得られなかった.
設問⑸大切な人を亡くし悲嘆の日々を過ごしている人 に寄り添いサポートすることを “ グリーフケア ” と言います. “ グリーフケア ” という言葉を聞い たことがありますか?
ある27人(56%),ない21人(56%)
グリーフケアという言葉を聞いたことがあると回答 した人は27人,ないと回答した人が21人という結果に なった.グリーフケアという言葉を聞いたことがある と答えた人がやや多いものの,その差はあまり大きく なかった.
設問⑹グリーフケアについての学び 表 4 学びの仕方
人数
自分で勉強した 4
研修会や勉強会に参加 12
特に学んでいない 32
研修会や勉強会に 参加,25%
特に学んで いない,67%
自分で勉強した,8%
図 4 グリーフケアについての学びの仕方
表4,図4に示す通り,最も多く得られた回答は,
グリーフケアについて特に学んでいないが32人で全体 の回答者数の約70%であった.続いて研修会や勉強会 に参加したと回答した人が12人,自分で勉強したと回 答した人が4人という結果になった.
設問⑺ご遺族に対してどのような支援や関わりを行い ましたか? または行いたいですか?(最もよ く当てはまるもの3つまで○をお付けください).
表 5 遺族への関わり 人数
手紙等の送付 7
葬儀に参列 11
傾聴 32
電話やメールでの相談 8
家庭訪問 12
知識や情報の提供 23
その他 5
7 11
32
8 12
23
5
図 5 遺族への関わり
表5,図5に示す通り,最も多く得られた回答は傾 聴で32人,次いで知識や情報の提供が23人という結果 になった.その他と回答した5人の自由記述の内容は,
継続した見守り/お気持ちに寄り添った支援/声かけ
(2人)/無回答(〇のみ付けてある)という結果で あった.
設問⑻今後のグリーフケアの需要は高まっていくと思 いますか?
表 6 グリーフケアの需要 人数
大いにそう思う 9
そう思う 26
どちらとも言えない 13
そう思わない 0
全くそう思わない 0
9
26
13
0 0
図 6 今後のグリーフケアの受容
表6,図6に示す通り,夫も多く得られた回答はそ う思う が26人,続いてどちらとも言えない が13人,
大いにそう思うが9人という結果になった.そう思わ ない/全くそう思わないと回答した人はいなかった.
大いにそう思う/そう思うと回答した人は,全体の回 答者数の73%,どちらとも言えない と回答した人が 27%となり,この結果から,今後グリーフケアの需要 は高まっていくと考える人が多いことが分かる.そし て,今回の回答者の中では,今後グリーフケアの需要 は高まっていかないと考える人はいなかった.
設問⑼今後もしあなたがグリーフケアを実施するとし
たら,実施したいと思いますか?
表 7 グリーフケアの実施 人数
ぜひ実施したい 31
できれば実施したくない 3 なにをしたら良いか分からない 14
なにをしたら わからない良いか
29%
ぜひ実施したい できれば 65%
実施したくない 6%
図 7 今後のグリーフケアの実施
表7,図7に示す通り,最も多く得られた回答は,
ぜひ実施したいで31人,続いてなにをしたら良いか分 からない が14人,できれば実施したくない と考える 人が3人という結果になった.ぜひ実施したいと回答 した人は全体の回答者数の65%であった.
設問⑽ご意見 ・ ご感想があれば自由にお書きください.
〈グリーフケアという言葉を聞いたことがある と回答 した人の自由記述〉
・実際に自分がそのような状況にならないとなんとも 言えませんが,そのような支援も必要な方が沢山い るのではないかと思いました.グリーフケアを学ぶ 機会がこれまで無かったので,そのような機会があ ればなと思います.
・死別,離別ともにケアが必要と思われます.傾聴力 を向上させるとともに,グリーフケアも学んでいき たいと思います.当事者が話せる場やまわりの人も 含め,考え,学ぶ場がもっと身近に受けやすいとい いなと思います.
・緩和ケアで働いているので,私にとってグリーフケ アはとても身近なものです.学生のうちから,こう いったことを学べるのは素敵なことですね.頑張っ てください.
・当訪看ステーションでは年間20名以上の利用者さん を在宅で看取っています.私も,年間5名以上は1 人で看取りをしています.ご本人,ご家族の思いを 傾聴し,的確な支援,看護を心がけています.
・デリケートな部分に関わるとして,接し方,話す内 容にも気を付けなくてはならないであろうだから,
とても気を遣うことだと思う.簡単なことではない.
・病院でがん患者さんの緩和ケアの相談員(MSW)を しています.ご遺族の年齢にもよりますが,高齢者 世帯でどちらかが亡くなってしまった場合,今後,
1人で生活をしていく遺族のことも見守っていかな くてはいけません.そのため継続した見守りはとて も大切です.
・少しでも話すことで気持ちが楽になるのではと思う.
思い出話や感謝の気持ちを聞くことなど……(今,
グリーフケアのような事あり,車椅子の娘さんが父 親を亡くして1人になり,思い出や感謝の気持ちを メールでやりとりしています)
・あくまで株式会社(営利法人)として老人ホームを 運営する立場からの考えです.グリーフケアという 言葉,私たちのような介護という仕事をしている人 でも知らない人のほうが多いと思います.私たちの 老人ホームは,看取りまで行うので当然,そのあと のご家族様の対応もします.私が感じているのは,
家族の死だけでなく,それまで寄り添って話を聞い てくれていたスタッフ達との別れも大きな喪失感に なっていると感じています.これからも人生が続く 遺族の方にとって,支えてくれたスタッフ達との別 れも家族を亡くした悲しみと匹敵するぐらいの喪失 感があると感じています.弊社では,タイミング次 第ですが,「落ち着かれたらまた顔を見せてください ね.」と言いながら,「ボランティアも募集している のでお時間あったら是非来てくださいね.」とさりげ なくお伝えしています.何も用事が無い状況では,
さすがに来にくいですから.
・内部の事情を理解した家族がボランティア ・ スタッ フとして働き始める.人手不足の業界です.内部を 理解した即戦力としても期待ができます.そして,
入居者様をともに見送った戦友としてのつながりを
継続することによって遺族のケアにもつながってい
くのではないかと感じています.実際,弊社にはそ
のような方が数名みえました.それが企業として利
益をあげるだけでなく,ステークホルダーを大切に
することだと思い,働いています.
〈グリーフケアという言葉を聞いたことが無い と回 答した人の自由記述〉
・グリーフケアを受ける立場であるが,グリーフケア という言葉は聞いたことが無かった.友人からケア を受けていましたが,それがグリーフケアだという ことを知りませんでした.
・一般介護職員は入居者が亡くなられた後,ご家族と ほとんど関わりません.業務中,居室整理に来館さ れた時に挨拶をかわす程度です.
・恥ずかしながら,グリーフケアという言葉は今回初 めて聞きました.勉強不足で大変申し訳ありません.
私も今まで数人の利用者様の看取りに関わってきま した.今後の仕事のために学んでいけたらと思いま すが,グリーフケアを学ぶ機会もなかなか少ないた め難しいかなとも思います.
・グリーフケアという言葉を初めて聞きました.以前 に比べてケアする対象がどんどん広がり,複雑な感 情です.
グリーフケアを学ぶ機会がもっと身近に欲しいとい う内容の回答が3件あった.このことから,グリーフ ケアの需要や実施することに対して肯定的な考え方を 持つ人が多いものの,学ぶ機会が無いまたは少ないと いう現状の一端が浮き彫りになった.
〈質問紙調査結果に対するクロス集計〉
以上の結果を基に,設問⑶現在の職業×設問⑸グリー フケアという言葉を聞いたことがあるか,設問⑸で “ あ る ” と回答した人×設問⑹グリーフケアについての学 び,設問⑹で “ 研修会や勉強会に参加した ” と回答し た人×設問⑶職業 の3つの項目についてクロス集計 を行った.
・現在の職業×グリーフケアという言葉を聞いたこと があるか
表 8
職業 ある ない
医療 5 2
看護 9 1
介護 11 17
教育・育成 0 0
その他 2 0
5
9 11
0 2
2 1
17
0 0
医療 看護 介護 教育・育成 その他 ある ない
図 8 現在の職業とグリーフケアという言葉の体験
表8,図8に示す通り,グリーフケアという言葉を 聞いたことがないと回答した人は全部で20人であるが,
そのうちの17人の現在の職業が介護と大きく片寄って いることが分かった.この結果からグリーフケアとい う言葉の認知度には職業によって大きく差があること が分かる.医療や看護の職業では,グリーフケアとい う言葉を聞いたことが無い人はいないと思っていたの で,医療と看護合わせて3人の回答者がグリーフケア という言葉を聞いたことが無いという結果は意外な結 果であった.
・グリーフケアを聞いたことがあると回答した人×グ リーフケアについての学び
表 9
聞いたことがある人
自分で勉強した 4
研修会や勉強会に参加 12
特に学んでいない 11
自分で勉強 した, 4
研修会や勉強会に 参加, 12 特に学んで
いない, 11
図 9 グリーフケアの聴取体験と学び
表9,図9に示す通り,グリーフケアという言葉を
聞いたことがあると回答した人は全部で27人だが,そ
のうち研修会や勉強会に参加したのは12人であった.
続いてほとんど同数で特に学んでいないと回答した人 が11人,自分で勉強したと回答した人が4人であった.
この結果から,グリーフケアという言葉を聞いたこと があっても,研修会や勉強会などで学ぶ機会は少ない のではないかと考えた.
・⑵で研修会や勉強会に参加×職業 表10
研修会や勉強会に参加
医療 3
看護 8
介護 1
医療, 3
看護, 8 介護, 1