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前川恭一郎 論文内容の要旨

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Academic year: 2022

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前川恭一郎 論文内容の要旨

主 論 文

Long-term culture of rat hepatocytes using human amniotic membrane as a culture substrate

ヒト羊膜を培養基質として用いたラット肝細胞の長期培養

前川恭一郎、夏田孔史、日髙匡章、上松聖典、曽山明彦、原 貴信、高槻光寿、

長井一浩、三浦清徳、江口 晋

(Regenerative Therapy 18 号 384―390 2021 年)

長崎大学大学院医歯薬学総合研究科医療科学専攻

(主任指導教員:江口 晋教授)

緒 言

代謝性肝疾患は比較的まれであるが肝硬変に進行する可能性があり、急性増悪の際は しばしば予後不良となる。そのような場合に肝移植が唯一の治療法となるが、ドナー 不足が世界的な問題となっている。肝移植に代わる治療法を検討すべく肝細胞移植に 関する基礎研究が実施されている。成熟肝細胞は通常の培養条件下ではほとんど増殖 せず、長期培養できないことが臨床応用が少数である理由の一つである。一方、ヒト 羊膜には多分化能を有する幹細胞や、細胞培養をする上での足場となる細胞外マトリ ックスが豊富に含まれており、また上皮成長因子(EGF)や肝細胞成長因子(HGF)な どのさまざまな成長因子を産生することも報告されており、細胞培養に役立つ基質と して有望視されている。本研究ではヒト羊膜を培養基質として使用し、ラット肝細胞 のアルブミン産生能の長期間維持が可能か検討を行った。

対象と方法

長崎大学病院で施行した予定帝王切開症例のうち、事前のインフォームドコンセン トにて承諾を得られた症例を対象に本研究を行った。出産時、羊膜を採取、洗浄処理 後に-80℃での冷凍保存を行った。培養基質として用いる際、常温で解凍し使用した。

(2)

凍結保存の前後で Live/Dead 染色を行い、羊膜上皮細胞の生存率を評価した。Wister 雄性ラット(7~8週齢)を用いて肝細胞分離を行い、それぞれのディッシュの上に 5.21×10⁴cells/㎠となるように播種し培養を行った。ディッシュはヒト羊膜の上皮 細胞側に播種したディッシュ(E 群)、緻密層側に播種したディッシュ(Co 群)、通常の 肝細胞培養に用いられるコラーゲンコーティングのされていないディッシュ(NC 群)、

コラーゲンコーティングされたディッシュ(CC 群)、細胞外マトリックスのコーティン グディッシュであるマトリゲルディッシュ(M 群)、羊膜のみの対照群(AM 群)とした。

羊膜の固定には金属性のリングを用いて平面固定した。光学顕微鏡による細胞形態の 観察を行うとともに、肝細胞培養開始から 24 時間後、その後 2 日おきに培地交換を 行い、3、5、7、11、15、21、および 29 日目の培地上清を収集した。E 群と Co 群のみ 35、43、57 日目までサンプルを収集し、ELISA 法による培養上清内のアルブミン濃度 および HGF 濃度測定を行った。

結 果

羊膜上皮細胞の生存率は、凍結保存前が 80~90%であったのに対し、解凍後には約 20%にまで低下していた。羊膜のない培養条件では培養肝細胞は 7 日目でほぼ死滅し ていたのに対し、羊膜上で培養群では肝細胞が凝集し球形を呈していた。この傾向は 特に E 群に顕著であった。

培養上清中のアルブミン濃度は肝細胞のみの培養群は 6 日目頃から減少し、14 日目ま でになると検出感度以下になっていたのに対し、羊膜上での培養群(E 群、Co 群)で は全培養期間の 57 日目まで測定可能であった。E 群と Co 群で比較すると、Co 群での アルブミン濃度が有意に高値となった。HGF 濃度は AM 群で最も高く、E 群、Co 群がそ れに続き、羊膜のない培養群では HGF は検出されなかった。いずれの群でも 28 日目 には初期濃度の約 1/3 程度にまで徐々に減少していた。

考 察

ヒト羊膜を肝細胞の培養基質として使用することで、肝細胞のアルブミン産生能が 少なくとも 2 か月間維持されることが示された。

ヒト羊膜上皮細胞は凍結保存によって 20%程度まで生存率が低下しており、また HGF 濃度は培養中に一定して低下していたことから、羊膜上皮細胞の産生する成長因子は アルブミン産生能の維持には寄与していないと考えられた。羊膜上で培養することに より、肝細胞は凝集し球形を呈した。これは羊膜上皮側の培養でより顕著であったが、

アルブミン産生能がより維持されたのは緻密層側の培養であった。これは羊膜上皮へ の肝細胞の接着が悪く、緻密層側での培養の方がより多くの肝細胞が培養されたため ではないかと推察される。本研究によって、羊膜が肝細胞の培養基質として有用であ る可能性が示唆された。

(備考)※2000 字以内で記述。A4 版。

参照

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