論文内容要旨
鼻粘膜上皮細胞のぺリオスチン産生におよぼす抗ヒスタミン薬、デスロラ タジンとレボセチリジンの効果
Journal of Allergy & Therapy 8:2 doi: 10.4172/2155-6121.1000253 2017 年掲載
専攻名 外科系耳鼻咽喉科学 浅野雅世
ペリオスチンは IL-4/IL-13 の刺激により上皮細胞等から産生される内在 性の蛋白質で,アレルギー性鼻炎の病態との関連が報告されている.アレ ルギー性鼻炎は鼻粘膜で発症する IgE 依存性の免疫応答で,治療には抗ヒ スタミン薬をはじめとした種々の薬剤が使用されるものの,これら薬剤の ぺリオスチン産生におよぼす効果については十分に解析されていない.今 回,抗ヒスタミン薬のぺリオスチン産生に及ぼす効果をヒト鼻粘膜上皮細 胞(HNEpC)を対象に細胞培養実験によって検討した.
HNEpC を 各 種 濃 度 の デ ス ロ ラ タ ジ ン あ る い は レ ボ セ チ リ ジ ン 存 在 下,10.0 ng/ml のヒト IL-4 で刺激した.刺激 48 時間後に培養上清を採 取,ELISA 法によって上清中のぺリオスチン量を測定した.また,上記と同 様に培養した細胞における転写因子,STAT-6 の活性化とぺリオスチン mRNA の発現に及ぼす薬剤の効果を ELISA 法と RT-PCR 法によって検討した.
細胞培養系に上述した薬剤を添加したところ,HNEpC からの IL-4 依存性 ぺリオスチン産生が濃度依存的に抑制され,統計学的に有意な薬剤の最小 抑制濃度は臨床濃度に相当していた.次に,レボセチリジンを対象に薬剤 の STAT-6 の活性化とぺリオスチン mRNA 発現に及ぼす効果を検討したと ころ,細胞培養系に 0.05 μM 以上の薬剤を添加すると IL-4 刺激によって HNEpC において誘導される STAT-6 の活性化とぺリオスチン mRNA の発現が 有意に抑制された.
以上より,抗ヒスタミン薬が炎症性刺激による鼻粘膜上皮細胞からのぺ リオスチン産生を抑制し,臨床症状の発現や病態の遷延化を抑制している 可能性のあることが示唆された.