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Microsoft Word - 研究事業報告書_藤居).doc

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自分の考えを形成する力を育成する小学校国語科「読むこと」の

学習指導の在り方

文章を評価しながら読む学習活動を取り入れて

【研 究 者】 教科教育部 指導主事 藤居 結実 【研究指導者】 安田女子大学 非常勤講師 大槻 和夫 【研究協力員】 呉市立昭和中央小学校 教諭 高越 久美子 尾道市立長江小学校 教諭 宮田 展也 三次市立吉舎小学校 教諭 雲井 美紀 キーワード:考えの形成 文章を評価しながら読む 目 次 はじめに……… 1 Ⅰ 研究の概要……… 2 Ⅱ 研究の基本的な考え方……… 2 Ⅲ 研究協力校における授業実践と考察……… 5 Ⅳ 研究のまとめ………17 おわりに………17

はじめに

平成15年7月に OECD(経済協力開発機構)が実施 した「生徒の学習到達度調査」(PISA2003:Programme for International Student Assessment 2003)(以 下「PISA調査」とする。)の結果が平成16年12月に公 表された。この結果から,我が国の子どもたちの「読 解力」が低下していること,具体的には,文章や資 料の解釈,熟考・評価,論述形式の設問に課題があ ることが明らかになった。(1)これを受けて,文部科 学省は,平成17年12月に「読解力向上プログラム」 をまとめ示した。PISA調査の「読解力」は,PISA型 「読解力」と表記され,このプログラムでは,次の ように定義されている。 これは,現行及び平成20年に改訂された学習指導 要領を貫く理念「生きる力」と同じ方向性にある。 中央教育審議会答申「幼稚園,小学校,中学校高等 学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善につ いて(答申)」(平成20年,以下「答申」とする。) では,社会の変化が激しく,新しい課題に試行錯誤 しながらも対応することが求められる子どもたちに とって,自立的に生きていくためには,この「生き る力」こそが必要であることが述べられている。(2) これを受けて,改訂された学習指導要領国語では, 「実生活で生きてはたらき,各教科等の学習の基本 ともなる国語の能力を身に付けること」2)に重点をお いて,内容の改善が図られている。小学校について

研究の要約

本研究は,小学校国語科「読むこと」の学習において,児童が自分の考えを形成する力を育成すること ができる学習指導の在り方について提言することを目的としたものである。 文献等の研究を基に,低学年・中学年・高学年ごとに自分の考えを形成する力について明らかにすると ともに,児童が自分の考えを形成している姿についても具体的に示した。また,自分の考えを形成する力 を育成するには,文章を評価しながら読む学習活動が有効であることを明らかにし,文章を評価する観点 を示した。 そこで,低学年・中学年・高学年の説明的な文章の学習において,文章を評価しながら読む学習活動を 取り入れた研究授業を行った。 その結果,文章を評価しながら読む学習活動を取り入れることは,児童の自分の考えを形成する力を育 成するのに,有効であることが分かった。 自らの目標を達成し,自らの知識と可能性を発 達させ,効果的に社会に参加するために,書かれ たテキストを理解し,利用し,熟考する能力 PISA型「読解力」の定義1)

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は,具体的な内容の改善の一つとして,「課題に応 じて必要な文章や資料等を取り上げ,基礎的・基本 的な知識・技能を活用し,相互に思考を深めたりま とめたりしながら解決していく能力の育成を重視す る」3)ことが示されている。 これらのことから,小学校国語科「読むこと」の 学習において,児童が目的に応じて適切な本や文章 等を読んで解釈し,自分の考えをもつことができる ように指導を行うことが必要であると考える。

研究の概要

研究の目的

児童生徒の学力にかかわって様々な調査が実施さ れている。その結果から,小学校国語科「読むこと」 における課題が明らかになった。 国立教育政策研究所が実施した「平成15年度小中 学校教育課程実施状況調査」の結果から,筆者が示 した話題や考えに応じて自分の考えを明確にしなが ら読むことに課題があることが明らかになった。(3) また,文部科学省が実施した「平成21年度全国学力・ 学習状況調査」では,目的や意図に応じて自分の考 えをまとめることに課題があることが明らかになっ た。(4) これらのことから,小学校国語科「読むこと」に おいては,文章の内容等について自分の考えをもつ ことに課題があると考える。 これらの課題に対して,「平成15年度小中学校教 育課程実施状況調査 教科別分析と改善点(小学 校・国語)」では,筆者の問題提起や主張,文章に 表れているものの見方や考え方について,自分の立 場や考えを明確にしながら読む言語活動を日常的に 取り入れた学習を行うことを求めている。(5)また, 「平成21年度全国学力・学習状況調査【小学校】報 告書」では,筆者がどのような事実を取り上げて理 由や根拠としているのか,また,どのような感想や 意見を述べ,どのように自分の考えを論証したり読 み手を説得したりしようとしているかについて理解 し,自分の考えを明確にしていくように指導するこ とを求めている。(6) 以上のことから,本研究では,文章を評価しなが ら読む学習活動を取り入れることによって,児童の 自分の考えを形成する力を育成することができる小 学校国語科「読むこと」の学習指導の在り方につい て提言することを目的とする。

研究の内容と方法

○ 自分の考えを形成する力や文章を評価しながら 読むことに関する文献研究 ○ 研究協力校における授業実践と考察

研究の経過

研究の経過は,表1のとおりである。 研 究 内 容 期 間 ○ 研究計画書の作成 ○ 文献研究,教材研究 ○ 第1回研究協力員会議の開催 ○ 第2回研究協力員会議の開催 ○ 研究協力員による授業実践及 び考察 ○ 第3回研究協力員会議の開催 ○ 研究のまとめ及び研究報告書 の作成 4月 5~9月 6月 8月 10~12月 12月 1月・2月

研究の基本的な考え方

自分の考えを形成する力について

(1) 自分の考えの形成と交流に関する指導事項 小学校学習指導要領国語(平成20年,以下「学習 指導要領」とする。)では,「本や文章を読んで, 感じたことや思ったこと,考えたことなどを一人一 人の児童がまとめ,発表し合う」4)ことを内容とする 自分の考えの形成及び交流に関する指導事項が,全 学年を通して新設されている。 この事項のうち,本研究にかかわる指導内容を表 2に示す。 指導内容 第1学年 及び 第2学年 オ 文章の内容と自分の経験とを結 び付けて,自分の思いや考えをまと め,発表し合うこと。 第3学年 及び 第4学年 オ 文章を読んで考えたことを発表 し合い,一人一人の感じ方について 違いのあることに気付くこと。 第5学年 及び 第6学年 オ 本や文章を読んで考えたことを 発表し合い,自分の考えを広げたり 深めたりすること。 (2) 各学年における自分の考えを形成する力 (1)で示した指導内容から,自分の考えを形成する 表2 自分の考えの形成及び交流に関する指導事項オ 表1 研究の経過

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力に関連が深いと考えられる部分を取り出し,表3 に示す。 第1学年 及び 第2学年 思いや考えをまとめる。 第3学年 及び 第4学年 感じ方について違いのあることに 気付く。 第5学年 及び 第6学年 考えを広げたり深めたりする。 これらを踏まえ,小学校学習指導要領解説国語編 (平成20年,以下「解説」とする。)を参考にしな がら,本研究において各学年で目指す自分の考えを 形成する力と,自分の考えを形成している児童の具 体的な姿を以下のように定めた。(7)

文章を評価しながら読む学習活動につい

(1) 「読むこと」の学習指導 水戸部修治(2010)は,「『読むこと』の授業改革 は,国語科におけるもっとも大きな課題の一つであ る。」5)と述べている。これまでの「読むこと」の学 習は,与えられた文章の与えられた場面や段落を精 読するだけや,与えられた文章を順序よく読み取る だけになりがちであったという。 「読むこと」の学習の中でも,説明的な文章の学 習について,大槻和夫(2009)は,「これまでしばしば 『説明的文章の読みの学習は面白くない』と言われ てきた。」6)と指摘する。その原因は,授業が,例え ば,「説明文は知らない人,わからない人に,わかる ように説明した文章なのだから,おおむね読めばわ かる。それなのに,それをさらにわからせるように くどくどと説明しようとする授業」になっていると か「文章に書いてあることをなぞるだけの授業」に なっていることにあると述べている。(8) また,森田信義(2002)は,文学的な文章の学習に ついて,楽しむために読んだり知るために読んだり するという側面が弱くなり,「ただ『詳細な読解』に 終始して,子どもの学習意欲を減じる」7)授業が多く 見られたと述べている。 これらのことから,これまでの「読むこと」の学 習では,児童に対して読む目的が明確に示されず, 表3 自分の考えの形成に関連が深い部分 第1学年及び第2学年の目指す力と具体的な児童の姿 第3学年及び第4学年の目指す力と具体的な児童の姿 第5学年及び第6学年の目指す力と具体的な児童の姿 【目指す力】 知識や経験,特に読書体験と結び付けて,自 分の思いや考えをまとめることができる。 【具体的な児童の姿】 ・ 今まで不思議だなと思っていたけれど, 『・・』の話を読んでよく分かった。なるほ どなあ。 ・ 『・・』の話は,私の大好きな○○のこと が詳しく書いてあるので,おもしろくてたま らない。 ・ 『・・』の話の登場人物Aも『・・』の話 の登場人物Bも優しくて心に残った。 【目指す力】 感じ方や考え方の違いに気付くことができ る。 【具体的な児童の姿】 ・ aさんは『・・』の話を読んで「感激した。」 と言っているけれど,私はそうは思わなかっ た。どうしてかというと・・・ ・ 私もaさんと同じように,筆者は上手に説 明していると思う。 ・ 私は,登場人物Cの性格は・・・によく表 れていると思っていたが,aさんは×××に よく表れていると言っている。 【目指す力】 考えたことの共通点や相違点を明らかにしな がら考えを広げたり深めたりすることができ る。 【具体的な児童の姿】 ・ 私は登場人物の生き方について・・・だと 思 っ て い た 。 b さ ん の 考 え た こ と を 聞 い て, ・・・と考えることもできると思った。 ・ 筆者は,自分の意見を伝えるために,事例 1と事例2を取り上げているのは適切だと思 っていた。しかし,bさんは,・・・という理 由から,事例2を取り上げることは適切でな いと言っていた。それを聞いて,私は,bさ んの理由の中で・・・のところには納得でき ないと思った。だから,私は・・・ ・ 『・・』の意見文に書かれている・・・につ いて,以前,別の本で読んだことがある。その 本の内容から考えると,筆者は・・・と言って いるが,私は・・・だと考える。

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順序よく詳細に読むだけの授業になりがちであった と考える。 今後の「読むこと」の学習について,水戸部(2010) は,「学習指導要領」で求められている自ら学び課 題を解決していく能力の育成という観点から,「読 者としてどこをどのように読むか,どんな目的をも って読むかといった要素が重要である。」8)と述べて いる。 本研究では,「どのように読むか」ということに 焦点を当てて研究を進める。 (2) 文章を評価しながら読む学習活動を取り入 れる意義 大槻(2009)は,「読者の中に生まれた問題意識(問 い)をもって文章を読み,わかったこと,納得でき たこと,新たに生まれた疑問,納得できなったこと (論拠の上で,論理展開の上で)などをはっきりさ せながら読む学習」9)によって,「新しい知識,新し い見方や考え方,新しい表現の方法などを発見し, それらについて納得したり批判したりすることがで きる」10)ようになり,「文章を読むことの面白さが実 感できる」11)ようになると述べている。 森田信義(2007)は,文章のよいところや問題のあ るところを正しく認識する読みは,まず,児童一人 一人が教材文を読んで「『疑問』『意見』『批評』 を挙げておきます。」12)これを基に学習が展開し, その中で「新しいものの見方や考え方を育成する」 13)ことができ,「論理的認識力・論理的思考力を育 成する」14)ことができると述べている。また,こう いった読み方をすることによって,「読みの学習が 楽しくなる。」15)と述べている。 以上のことから,本研究では,文章を評価しなが ら読むことの意義として,次の4点を考えた。 説明的な文章の学習において,このような意義を もつ文章を評価しながら読む学習活動を取り入れる ことで,児童は文章の内容等に対して考えをもち,も のの見方や考え方を広くすることができると考える。 このことは,児童が自分の考えを形成する力を高めた 状態だと考える。 (3) 文章を評価する観点 森田(2007)は,説明的な文章における評価の対象 に,「内容・ことがら」「言語表現」「論理」がある としている。 「内容・ことがら」については,筆者が何を書い ているかを読み取り,なぜそのような内容や事柄を 書いたのか考えながら,必要でない事柄を取り上げ ていないか,足りないものはないか,取り上げた事 柄で重なっているものはないか等の観点から評価す ることが必要であると述べている。 「言語表現」については,筆者がどのような表現 をしているかを読み取り,なぜそのような表現をし たのか考えながら,主語と述語の関係は正確か,適 切な言葉を選んでいるか等の観点から評価すること が必要であると述べている。 「論理」については,筆者がどのような説明や主 張の仕方をしているかを読み取り,なぜそのような 説明や主張の仕方をしているかを考えながら,事例 と意見の関係に矛盾はないか,問いと答えに整合性 はあるか,提起された問題が適切に解明されている か等の観点から評価することが必要であると述べて いる。(9) また,有元秀文(2009)は,文学的な文章では,登 場人物の言動や表現の仕方等について評価すること ができるとしている。具体的には,まず,なぜ登場 人物はそのような言動をとったのか,なぜ作者はそ のような表現をしたのか,叙述を基に考えさせた上 で,それらについて評価させるというものである。(10) ところで,文章は,それを書いた筆者あるいは作 者の考え方が表われているものである。河野庸介 (2009)は,文章の内容と文章に表れている表現形式 という二つの側面から,これをとらえることができ るとし,このことから「『筆者の考え方に対する自 分の意見や考え』とは,文章の内容とその表現形式 に対する自分の意見や考えということになる。」16) と述べている。 そこで,本研究において,文章を評価する観点を 「内容」と「表現」の二つの側面から整理し,これ を次ページの表4に示す。なお,表4の観点は,森 田(2007)や有元(2009)が示している観点や「解説」 を参考にしたものである。 ○ 読む学習が知的で楽しいものになる。 ○ 文章の内容等に対して,考えをもつことが できる。 ○ ものの見方や考え方を広くすることができ る。 ○ 論理的に思考する力を育成することがで きる。 文章を評価しながら読むことの意義

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内容 表現 ・ 筆者の意見 ・ 要旨 ・ 作 者 が 作 品 を 通 し て 伝 え た か っ た こ と ・ 要 旨 や あ ら す じ に か か わ っ て 大 事 に なる言葉や文 等 ・ 論の展開 ・ 事柄の取り上げ方 ・ 言葉の使い方 ・ 描写 等 以上のことから,本研究において,文章を評価し ながら読むことを,文章の内容や表現についてよさ や問題となるところを考えながら読むこととして, 研究を進める。

研究協力校における授業実践と考察

文献研究から,自分の考えを形成する力を高める ために,文章を評価しながら読む学習活動を取り入 れた研究授業を計画,実施する。なお,本研究では, いずれの学年においても,説明的な文章の学習で研 究授業を行う。実施する学年,使用した教材文,文 章を評価する観点を表5に示す。 表5 研究授業を実施した学年・教材文・評価する観点 学年 教材文 文章を 評価する観点 第2学年 ビーバーの大工事 内容 (要旨にかかわって 大事になる文) 第4学年 ウミガメのはま を 守る 表現 (論の展開) 第6学年 生き物はつなが り の中で 内容 (筆者の意見) 各研究協力校において,文章を評価しながら読む 学習活動を取り入れることにより,児童の自分の考 えを形成する力が高まったことについて,以下に述 べる。

低学年(第2学年)の授業実践と考察

(1) 授業の概要 ア 単元の計画 ○ 期間 10月5日(月)~10月16日(金) ○ 学年 第2学年3組 30名 ○ 教材文について 教材文「ビーバーの大工事」は,木をたおす, 木を運ぶ,ダムを作る,巣を作るという手順に沿 って,ビーバーが巣を作る様子を分かりやすく説 明した文章である。 本教材文には,話題提示の段落がなく,本論と 結論から構成されている。これは既に学習してい る「はじめ・なか・おわり」という文章の構成に 当てはまらない。このことから,本教材文は,児 童が文章の内容や構成について,考えながら読む ことに適していると考える。 ○ 単元名 めざせ!せつめい文はかせ -じゅんじょに気をつけて読もう!「ビーバ ーの大工事」- ○ 単元の目標 ・ 文章の内容や構成に興味をもちながら読んで いる。 【関心・意欲・態度】 ・ 事柄の順序や文章の構成に注意しながら読み, 文章の内容の大体について理解することができ る。 【読むことイ】 ・ 要旨や要点にかかわって,大事になる言葉や 文を書き抜くことができる。 【読むことエ】 ・ 文章の内容や構成について,自分の知識や経 験と結び付けながら考えをもち,交流すること ができる。 【読むことオ】 ・ 主語と述語の関係について理解している。 【言語事項イ(カ)】 ○ 単元の指導と評価の計画(全9時間) 太枠の部分に,文章を評価する観点を示す。以 下,各事例における「単元の指導と評価の計画」 もこれに準ずる。 次 時 学習内容 評価規準 文章を 評価する観点 一 1 ○ 題名から知っていることや予 想できること,疑問に思うこと等 を書き出し発表する。 ○ 題名から知っていることや予想で きること,疑問に思うこと等を書いて いる。 表4 文章を評価する観点

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○ 単元のめあてを知り,学習につ いての見通しをもつ。 2 ○ 教材文を通読した後,文章の内 容等について思ったり考えたり したことをまとめ交流する。 ○ 文章の内容等について,思ったり考 えたりしたことをまとめている。 二 1 ○ ビーバーが巣を作る手順に沿 って,内容の大体を読み取る。 ○ ビーバーが巣を作る手順に沿って, 内容の大体をまとめている。 2 ○ 木をたおすビーバーの様子を 読み取る。 ○ 段落の要点にかかわって大事にな る言葉を書き抜き,ビーバーが木を倒 す様子をまとめている。 3 ○ 木を運ぶビーバーの様子を読 み取る。 ○ 段落の要点にかかわって大事にな る言葉を書き抜き,ビーバーが木を運 ぶ様子をまとめている。 4 ○ ダムを作るビーバーの様子を 読み取る。 ○ 段落の要点にかかわって大事にな る言葉を書き抜き,ビーバーがダムを 作る様子をまとめている。 5 ○ 安全な巣を作るためのビーバ ーの工夫を読み取り,それについ て自分の考えをもつ。 ○ 要旨にかかわって大事になる文に ついて,自分の考えをもっている。 内容 ( 要旨 にかか わって 大事になる文) 6 ○ 文章の構成に気を付けながら 教材文と他の文章を比べて読み, 教材文の文章の構成について考 えをまとめる。 ○ 教材文の文章の構成について,自分 の考えをもっている。 表現 (文章の構成) 三 1 ○ 単元の学習を振り返る。 ○ 単元「めざせ!せつめい文はかせ」 で学習したことを振り返りまとめて いる。 ○ 学習したことを今後の読書や書く ことに生かそうとしている。 イ 第2次第5時の授業の計画 ○ 本時の目標 要旨にかかわって大事になる文について,自分 の考えをもつことができる。 ○ 本時の評価規準 ビーバーは敵に襲われない安全な巣を作るため にダムを作るということについて,自分の考えを もちまとめている。 ○ 本時の展開 児童の学習活動と予想される児童の反応,指導 上の留意点を表6に示す。 学習活動 指導上の留意点 1 全文を音読する。 2 本時の学習課題を知る。 表6 本時の展開 「ダムを作る」だんらくは,ひつようか? ひつようないか? ダムを作らなかったら,すは どうなるでしょうか?

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3 「ダムを作る」段落を抜いて音読し た後,ダムを作らなかったらどうなる か,ひとり読みをする。 4 ダムを作らなかったら巣はどうなる か,考えたことを交流する。 <予想される児童の反応> ・ ダムがなくても巣は作れるよ。 →「ダムを作る」段落は必要ない。 ・ ダムがあれば,周りは水だし, 入口も水の中だし,敵はなかなか 巣の中に入って来れないよ。 →「ダムを作る」段落は必要であ る。 ・ ダムがあるから,敵に襲われない 安全な巣になるんだ。 →「ダムを作る」段落は必要であ る。 5 学習のまとめをする。 ○ ビーバーは安全な巣を作るためにダムを作る ということについて,思ったり考えたりしたこと をまとめる。 ○ ビーバーが巣を作る手順(「木をたおす」→「木 を運ぶ」→「ダムを作る」→「すを作る」)を確 認する。 ○ 「ダムを作らなかったら…」をイメージさせる ために,「ダムを作る」段落を抜いて音読するよ う指示する。 ○ 自分の考えを述べるときには,根拠となる叙述 を示すよう助言する。 ○ 「ダムを作る」段落の必要性を話し合うことで, 要旨にかかわって大事になる文(大工事の目的が 安全な巣作りであること)について考えがもてる ようにする。 ○ 思ったり考えたりしたことを交流する場を設け る。 (2) 研究授業の考察 ア 「自分の考えを形成する力」は高まったか 「自分の思いや考えをまとめる」ことについての 評価と判断基準を次に示す。 授業の終末で児童が書いたワークシートの記述か ら,「自分の思いや考えをまとめる」ことの実態につ いて把握する。児童が自分の思いや考えをまとめる ことができたか,その実態を図1に示す。 Aと判断した児童は3人(10.0%),Bと判断した 児 童 は23 人 ( 76.6 % ), Cと 判 断し た 児童 は 4人 (13.3%)であった。 Aと判断した児童 a のワークシートの記述を次に 示す。 自分の思いや考えをまとめることについての 評価と判断基準 「十分満足できる」(A) 要旨にかかわって大事になる文「ビーバーが ダムを 作るのは,それで 川の 水を せき 止めて みずうみを 作り,その みずうみの 中に,てきに おそわれない あんぜんな す を 作る ためなのです。」について,自分の 知識や経験と結び付けながら,思いや考えをま とめている。 「おおむね満足できる」(B) 要旨にかかわって大事になる文について,自 分の思いや考えをまとめている。 「努力を要する」(C) 要旨にかかわって大事になる文について,思 いや考えをまとめていない。 0% 20% 40% 60% 80% 100% 学習後 A B C 図1 「自分の思いや考えをまとめる」ことの実態 【 評 価 し な が ら 読 む 学 習 活 動 】 「 ダ ム を 作 る 」 段 落 が あ る 場 合 と な い 場 合 の よ さ や 問 題 点 に つ い て 考 え な が ら 読 む 。

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授業後,この記述について聞き取りを行った。そ の結果,児童 a は,「すの 入り口は,水の 中に あ り,ビーバーのように,およぎの 上手な どうぶ つで ないと,けっして すの 中に 入る こと は できません。」という叙述から,自分が水の中で なかなか進めなかったという経験(下線ア)を想起 したと答えた。このことから,児童aは,自分の経 験と結び付けて文章の内容を解釈し,要旨にかかわ って大事になる文について納得した結果,考えたこ とを先に示した文章(下線イ)に書いていることが 分かる。 Aと判断した他の2人の児童も,児童aと同様の 記述が見られ,要旨にかかわって大事になる文につ いて,プールでの経験と結び付けながら,自分の考 えをまとめていた。 Bと判断した児童bのワークシートの記述を次に 示す。 この記述から,児童bは,ダムを作らなかったら どうなるかを考えることで,要旨にかかわって大事 になる文について,よく分かったと自分の考えをま とめている(下線ウ)ことが分かる。 Bと判断した他の22人の児童も,児童 b と同様の 記述が見られ,要旨にかかわって大事になる文につ いて,自分の考えをまとめていた。 Cと判断した児童cのワークシートの記述を次に 示す。 この記述では,ダムを作ることについての感想を 述べることにとどまり,要旨にかかわって大事にな る文について,自分の考えをまとめている様子を見 取ることができない。 Cと判断した他の3人の児童にも,児童cと同様 の記述が見られた。 これらことから,30人中26人(86.6%)の児童が 自分の思いや考えをまとめることができたと考え る。 以上のことから,第2学年の児童の自分の考えを 形成する力は高まったといえる。 イ 「自分の考えを形成する力」を高めるのに,文 章を評価しながら読む学習活動は有効であった か 「自分の思いや考えをまとめる」ことに文章を評 価しながら読む学習は有効であったかについて,学 習後,児童に意識調査アンケートを行った。アンケ ートでは,次の4段階で自己評価させた。 児童の意識調査アンケートにおける児童の意識の 実態を図2に示す。 ぼくが,アプールで あそんでた とき,前に 行こうと 思ったら たいへんでした。ダムが あったら なかなか すすめないけど,ダムが なかったら てきは すぐに 入って これそ うです。イだから,ダムを 作って,あんぜんな すに してるんだと 思いました。 児童aの記述 「ダムを 作る」だんらくが 書いて あった ので,ダムを 作る ことが たいせつだと い う ことが わかりました。ビーバーが ダムを 作るのは てきに おそわれない あんぜんな すを 作るためだと いうのが ウわかりました。 児童bの記述 A:ダムを作ったときと作らなかったときについて 考える学習は,自分の思いや考えをまとめるの にとても役立った。 B:ダムを作ったときと作らなかったときについて 考える学習は,自分の思いや考えをまとめるの に役立った。 C:ダムを作ったときと作らなかったときについて 考える学習は,自分の思いや考えをまとめるの にあまり役立たなかった。 D:ダムを作ったときと作らなかったときについて 考える学習は,自分の思いや考えをまとめるの に役立たなかった。 意識調査アンケートにおける判断基準 0% 20% 40% 60% 80% 100% 学習後 A B C 図2 「自分の考えを形成する力」を高めるのに文章を 評価しながら読む学習は有効であったか ダムを 作るのは たいへんなんだなあと お もいました。 児童cの記述

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Aと回答した児童は25人(83.3%),Bと回答した 児童は4人(13.3%),Cと判断した児童は1人 (3.3%),Dと判断した児童は0人であった。この ことから,29人(96.7%)の児童が,「『自分の思い や考えをまとめる』ことに文章を評価しながら読む 学習は有効であった」と肯定的な回答をしているこ とが分かる。 肯定的な回答をした児童が,自由記述欄に書いた 感想の一部を次に示す。 先に示した児童の感想のように「文章を評価しな がら読む学習(ダムを作ったときと作らなかったと きについて考える学習)は,自分の思いや考えをま とめるのに役立った。」という趣旨の感想が多く見 られた。 今回の研究授業においては,「ダムを作らなかっ たらどうなるか」という学習課題を提示することで, ダムを作ることについて児童を客観的に評価する立 場に立たせることができた。これによって,児童は, ビーバーが敵に襲われない安全な巣を作ることにつ いて理解を深め,そのことについて「なるほど」と いった考えをもちまとめることができたと考える。 このことから,「自分の思いや考えをまとめる」 ことに,文章を評価しながら読む学習は有効であっ たと考える。 ア,イの内容から,第2学年の説明的な文章の学 習において,文章を評価しながら読む学習活動を取 り入れることは,児童の自分の考えを形成する力を 高める学習指導としておおむね有効であることが明 らかになった。

中学年(第4学年)の授業実践と考察 (1) 授業の概要 ア 単元の計画 ○ 期間 11月16日(月)~11月30日(月) ○ 学年 第4学年 10名 ○ 教材文について 教材文「ウミガメのはまを守る」は,ウミガメ を保護することになった経緯を説明した上で,保 護監視員の活動と小学生の活動を事例として挙げ, ウミガメを保護する活動に込められた御前崎町の 人々の願いを伝えるという文章である。 本教材文は,話題提示,二つの事例,まとめと 筆者の意見から構成されている。このことから, 本教材文は,段落相互の関係や事実と意見の関係 について考えながら読むことに適していると考え る。 ○ 単元名 パンフレットの書き方を学ぼう -「ウミガメのはまを守る」を読んで- ○ 単元の目標 ・ 事実と意見の関係に注意しながら,進んで文 章を読んでいる。 【関心・意欲・態度】 ・ 文章の中心となる語や文をとらえ,事実と意 見との関係を考えて読むことができる。 【読むことイ】 ・ 文章を読んで考えたことをまとめ,感じ方や 考え方には違いがあることに気付くことができ る。 【読むことオ】 ・ 文章全体における段落の役割を理解すること ができる。 【言語事項オ(イ)】 ○ 単元の指導と評価の計画(全8時間) 次 時 学習内容 評価規準 文章を 評価する観点 一 1 ○ 題名から知っていることや予 想できること,疑問に思うこと等 を書き出し発表する。 ○ 単元のめあてを知り,学習につ いての見通しをもつ。 ○ 題名から知っていることや予想で きること,疑問に思うこと等を書いて いる。 ○ ダムを 作った ときと 作らなかった と きを くらべて 考える べんきょうを した から,中川さん(筆者)が いいたい ことが よく わかりました。そうなんだと 思いまし た。みずうみの 中に すを 作ったら てき に おそわれにくいと いう ことが よく わかりました。 ○ きょう,ダムが なかったら どう なるか 考える べんきょうを しました。ダムが な かったら,どう なるか 考えて いると,ま とめの てきに おそわれない あんぜんな すを 作るために ダムを 作るんだと いう ことが わかって きました。 評価しながら文章を読むことに対する児童の感想

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2 ○ 教材文を通読した後,文章の内 容や表現について,初めて知った こと,疑問に思ったこと,推論し たこと等をまとめ交流する。 ○ 文章の内容や表現について,初めて 知ったこと,疑問に思ったこと,推論 したこと等をまとめている。 二 1 2 ○ 形式段落に分け,段落ごとに要 点をまとめる。 ○ 中心となる語や文に注目して,段落 ごとに要点をまとめている。 3 ○ 段落ごとの要点を基に,筆者の 意見をとらえる。 ○ 文章の構成をとらえることに よって,筆者が意見をどのように 述べているのか考える。 ○ 筆者の意見をとらえ,筆者がどのよ うに意見を述べようとしているのか, 考えている。 4 ○ 二つの事例を表にまとめてい る。 ○ 「いつ」「どこで」「誰が」「どん な活動をしているか」という観点にか かわって中心となる語や文をとらえ, 二つの事例を表にまとめている。 5 ○ 事実と意見との関係をとらえ た上で,論の進め方について考え る。 ○ 事実と意見との関係をとらえた上 で,論の進め方にはいろいろな考え方 があることに気付いている。 表現 (論の展開) 三 1 ○ 単元の学習を振り返る。 ○ 単元「パンフレットの書き方を学ぼ う」で学習したことを振り返りまとめ ている。 ○ 学習したことを今後のパンフレッ トを書く活動に生かそうとしている。 イ 第2次第4時の授業の計画 ○ 本時の目標 事実と意見との関係をとらえた上で,論の進め 方にはいろいろな考え方があることに気付くこと ができる。 ○ 本時の評価規準 二つの事例と筆者の意見との関係をとらえた上 で,論の進め方にはいろいろな考え方があること に気付いている。 ○ 本時の展開 児童の学習活動と予想される児童の反応,指導 上の留意点を表7に示す。 学習活動 指導上の留意点 1 全文を音読する。 2 本時の学習課題を知る。 3 二つの事例が必要か必要でないか,考える。 (1) 一人で考える。 ○ 筆者の意見を確認する。 ○ 「いつ」「どこで」「だれが」「どんな活動をし たか」の観点から,前時に学習した二つの事例の特 徴について確認する。 ・保護監視員の活動 ・小学生の活動 二つの事例は必要か?必要でないか? なぜ,「ウミガメのはまを守る」では二つの事例をあげているのだろうか? 表7 本時の展開

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(2) 考えを交流する。 <予想される児童の反応> ○ 一つの事例がよい。 ・一つの事例でも話が通じるから。 ・一つの事例の方が話が短くてよく 分かるから。 ○ 二つの事例がよい。 ・大人と子どもの両方の活動が書か れていることで,御前崎町のみん なの活動だとが分かるから。 ・活動する季節として夏と冬が書か れていることで,御前崎町の人々 がずっと活動していることが分か る。 4 学習のまとめをする。 ○ 学習を振り返り,友達の考えを聞いて,学習 課題「二つの事例は必要か?必要でないか?」 について考えたことをまとめる。 ○ 二つの事例とまとめの段落との関係に着目した 意見を積極的に取り上げる。 ○ 自分の考えを述べるときは,根拠となる叙述を示 すよう助言する。 ○ 発表者の意見と自分の意見との相違点や共通点 を考えながら聞くように指示する。 ○ 学習課題「二つの事例は必要か?必要でない か?」について考えたことを交流する場を設ける。 (2) 研究授業の考察 ア 「自分の考えを形成する力」は高まったか 「感じ方や考え方の違いに気付く」ことについて の評価と判断基準を次に示す。 授業の終末で児童が書いたワークシートの記述か ら,「感じ方や考え方の違いに気付く」ことの実態を 把握する。児童が感じ方や考え方の違いに気付くこ とができたか,その実態を図3に示す。 Aと判断した児童は5人(50.0%),Bと判断した 児童は5人(50.0%),Cと判断した児童は0人であ った。 Aと判断した児童のうち,二つの事例があった方 がよいと考えた児童dのワークシートの記述を次に 示す。 この記述から,児童dは,児童eが自分とは違っ て,「言いたいことがきちんと伝えられていること」 「十分満足できる」(A) 筆者の意見の述べ方について考えたことをま とめ,それぞれの考え方の違いについて明確に 気付いている。 「おおむね満足できる」(B) 筆者の意見の述べ方について考えたことをま とめ,それぞれの考え方の違いに気付いている。 「努力を要する」(C) 筆者の意見の述べ方について考えたことをま とめることはできるが,それぞれの考え方の違 いに気付いていない。 「感じ方や考え方の違いに気付く」ことについての 評価と判断基準 【 評 価 し な が ら 読 む 学 習 活 動 】 事 例 が 二 つ の 場 合 と 一 つ 場 合 の よ さ や 問 題 点 に つ い て 考 え な が ら 読 む 。 0% 20% 40% 60% 80% 100% 学習後 A B C 図3 「自分の考えを形成する力」を高めるのに文章を 評価しながら読む学習は有効であったか エe君が,一つの事例でも,言いたいことはきち んと伝わるので,みじかくて分かりやすい一つの 事例の方がいいという理由も分かる。でも,二つ の事例がある方が御前崎の町の人が,ウミガメに 帰ってきてほしいと思っていることがよく伝わっ てくるので,二つの事例があるほうがいいと思う。 児童dの記述

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「話は短くて分かりやすいこと」という観点から, 一つの事例の方がよいと言っていることに気付き, 認めていることが分かる。(下線エ) この記述から,児童eは,他の人が自分とは違っ て,「言いたいことがよく分かって説得力があるこ と」という観点から,二つの事例の方がよいと言っ ていることに気付き,認めていることが分かる。(下 線オ) 児童dも児童eも,他の友達との考え方の違いに ついて漠然と気付いているのではなく,どんな点が 違うのか,考え方の違いについて明確に気付いてい ることが分かる。 Aと判断した他の3人の児童にも,児童dや児童 eと同様の記述が見られ,考え方の違いに明確に気 付いていた。 次に,Bと判断した児童fのワークシートの記述 を示す。 この記述から,児童fは,児童eとの考え方の違 いについて何がどのように違うか明確に書いていな いものの,考え方の違いには気付いていることが分 かる。(下線カ) Bと判断した他の4人の児童も,児童fと同様の 記述が見られ,他の児童との考え方の違いに明確に 気付くまでには至っていないものの,考え方の違い には気付いていた。 これらことから,全員(100%)の児童が感じ方や 考え方の違いに気付くことができたと考える。 以上のことから,第4学年の児童の自分の考えを 形成する力は高まったといえる。 イ 「自分の考えを形成する力」を高めるのに,文 章を評価しながら読む学習活動は有効であった か 「感じ方や考え方の違いに気付く」ことに,文章 を評価しながら読む学習は有効であったかについて, 学習後,児童に意識調査アンケートを行った。アン ケートでは,次の4段階で自己評価させた。 Aと回答した児童は7人(70.0%),Bと回答した 児童は3人(30.0%),Cと判断した児童,Dと判断 した児童はともに0人であった。このことから,全 員(100%)の児童が,「『感じ方や考え方の違いに気 付く』ことに文章を評価しながら読む学習は有効で あった」と肯定的な回答をしていることが分かる。 肯定的な回答をした児童が,自由記述欄に書いた 感想の一部を次に示す。 私は,カe君とちがって,二つの事例があった方 がいいと思います。どうしてかというと,保ごか んし員さんの活動と小学生の活動の二つの事例が あった方が,おとなの例も子どもの例もあるので, 御前崎の人の願いということがよく分かるからで す。 児童fの記述 オ他の人が,保ごかんし員さんの活動と小学生の 活動の二つの事例がある方が,御前崎町の人たち がみんなで活動していることがよく分かるし,そ のほうが話に説得力があると言うのも分かりま す。でも,事例が一つでも筆者の言いたいことは ちゃんと伝わるし,短いからかん単で分かりやす いと思います。 児童eの記述 A:「二つの事例が必要か」について考える学習は, 感じ方や考え方の違いに気付くことにとても 役立った。 B:「二つの事例が必要か」について考える学習は, 感じ方や考え方の違いに気付くことに役立っ た。 C:「二つの事例が必要か」について考える学習は, 感じ方や考え方の違いに気付くことにあまり 役立たなかった。 D:「二つの事例が必要か」について考える学習は, 感じ方や考え方の違いに気付くことに役立た なかった。 意識調査アンケートにおける判断基準 ○ 二つの事例が必要か必要でないかを考える学 習をして,いろんな考え方があるんだなあと思い ました。 ○ 今日の国語の授業で,保ごかんし員さんの活動 と小学生の活動の両方が必要かどうか考える勉 強をしました。fさんが大人の例と子どもの例が あるから御前崎町の人みんなの願いになるんだ と言っているのを聞いて,そんなふうに考えるこ とができるんだ,私は気がつかなかったなあと思 いました。 評価しながら文章を読むことに対する児童の感想

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先に示した児童の感想のように「文章を評価しな がら読む学習(二つの事例が必要か考える学習)は, 感じ方や考え方の違いに気付くのに役立った。」と いう趣旨の感想が多く見られた。 今回の研究授業においては,筆者の意見をとらえ させた上で,「二つの事例が必要か?必要でない か?」という学習課題を提示した。これによって, 児童は「自分が筆者だったら…」と意見の述べ方に ついて考え,「ウミガメのはまを守る」の意見の述 べ方についても客観的に評価することができた。ま た,考えたことを他の児童と交流することによって, 自分と筆者との考え方の違いだけでなく,自分と他 の児童との考え方の違いにも気付くことができたと 考える。 このことから,「感じ方や考え方の違いに気付く」 ことに,文章を評価しながら読む学習は有効であっ たと考える。 ア,イの内容から,第4学年の説明的な文章の学 習において,文章を評価しながら読む学習活動を取 り入れることは,児童の自分の考えを形成する力を 高める学習指導として有効であることが明らかにな った。

高学年(第6学年)の授業実践と考察 (1) 授業の概要 ア 単元の計画 ○ 期間 12月14日(月)~12月22日(火) ○ 学年 第6学年 20名 ○ 教材文について 教材文「生き物はつながりの中で」は,最初に生 き物の特徴を探ろうと問いかけ,生き物の特徴とし て三つの事例(外から取り入れたものが体の一部に なる,一つの個体として変化・成長している,長い 歴史の中で生まれてくる)を挙げた上で,つながり こそが生き物の生き物らしいところであるとまとめ, 生き物として生きていることはすてきなことである と意見を述べた文章である。 本教材文は,話題提示,三つの事例,まとめと筆 者の意見で構成されているが,筆者の意見と事例と の関係が十分でないと考える。このことから,本教 材文は,筆者がどのような事実を事例として挙げ理 由や根拠としているのか,自分の考えをどのように 論証しようとしているのか,どのように読み手を説 得しようとしているのかなどについて考えながら読 むことに適していると考える。 また,本教材文では,つながりこそが生き物の生 き物らしいところであるとまとめた上で,生き物と して生きていることはすてきなことであるという筆 者の意見が述べられている。この意見について,児 童は,自分の知識や経験と関連付けて共感したり疑 問をもったりすることができると考える。このこと から,本教材文は,自分の考えを広げたり深めたり することに適していると考える。 ○ 単元名 文章を読んで自分の考えを広げたり深 めたりしよう -「生き物はつながりの中に」を読んで- ○ 単元の目標 ・ 筆者の意見や論の進め方について考えながら 文章を読もうとしている。 【関心・意欲・態度】 ・ 文章の内容を的確に押さえて,要旨をとらえ ることができる。 【読むことイ】 ・ 文章を読んで考えたことを発表し合い,自分 の考えを広げたり深めたりすることができる。 【読むことオ】 ・ 段落と文章全体との関係をとらえて,文章の 構成の仕方を理解することができる。 【言語事項オ(ア)】 ○ 単元の指導と評価の計画(全6時間) 次 時 学習内容 評価規準 評価する観点文章を 一 1 ○ 題名と話題提示の段落から知 っていることや予想できること, 疑問に思うこと等を書き出し発 表する。 ○ 単元のめあてを知り,学習につ いての見通しをもつ。 ○ 題名と話題提示の段落(形式段落 ①)から知っていることや予想できる こと,疑問に思うこと等を書いてい る。 二 1 ○ 事例1(外から取り入れたもの が体の一部になるという生き物 の特徴)について,要点をまとめ る。 ○ 事例1について重要な点を表現に 即して押さえ,要点をまとめている。

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2 ○ 事例2(一つの個体として変 化・成長しているという生き物の 特徴),事例3(長い歴史の中で 生まれてくるという生き物の特 徴)について,要点をまとめる。 ○ 事例2,事例3について重要な点を 表現に即して押さえ,要点をまとめて いる。 3 ○ 話題提示・三つの事例・まとめ の関係等に注意しながら,文章の 構成について考える。 ○ 筆者がどのように意見を述べよう としているのか,筆者の意図を想定し ながら,文章の構成を考えている。 4 ○ 筆者の意見について考えたこ とを交流し,自分の考えを広げた り深めたりする。 ○ 筆者の意見について考えたことの 共通点や相違点を明らかにしながら, 自分の考えを広げたり深めたりして いる。 内容 (筆者の意見) 三 1 ○ 単元の学習を振り返る。 ○ 単元「文章を読んで自分の考えを広 げたり深めたりしよう」で学習したこ とを振り返りまとめている。 イ 第2次第4時の授業の計画 ○ 本時の目標 筆者の意見について考えることを通して,自分 の考えを広げたり深めたりすることができる。 ○ 本時の評価規準 筆者の意見について,他の考えも踏まえながら, 自分の考えを広げたり深めたりしている。 ○ 本時の展開 児童の学習活動と予想される児童の反応,指導 上の留意点を表8に示す。 学習活動 指導上の留意点 1 全文を音読する。 2 本時の学習課題を知る。 3 筆者の立場で意見を書くとしたら, Aの例文かBの例文か考える。 (1) 一人で考える。 (2) 考えを交流する。 <予想される児童の反応> ○ Aの例文が適切である。 ・どの事例にも「つながり」に関係 する内容が書かれていた。だから, 筆者の意見にも「つながり」のこ とが書いてある方がよいと思うか ら。 ○ 筆者の意見として,Aの例文(生き物全体の視点 からまとめたもの)とBの例文(個の視点からまと めたもの)を提示する。 ○ 例文を選ぶ際,事例の取り上げ方や文章の中心と なる語や文に着目して考えるよう助言する。 ○ 自分の考えを述べるときは,根拠となる叙述を示 すよう助言する。 ○ 話題提示・三つの事例・まとめの関係が視覚的に とらえられるよう,文章の構成が分かる表を用意す る。 ○ 発表者の意見と自分の意見との相違点や共通点 を考えながら聞き,特に大切だと思うことはメモを 取るよう指示する。 【 評 価 し な が ら 読 む 学 習 活 動 】 A の 例 文 と B の 例 文 の ど ち ら が 筆 者 の 意 見 と し て 適 切 か に つ い て 考 え な が ら 読 む 。 あなたが筆者の立場で意見を書くとしたら,どのような意見を書きますか。 筆者の意見として適切な文章は,Aの例文か?Bの例文か? 表8 本時の展開

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・生き物全体のことに目を向けてまとめる方が よいと思うから。 ○ Bの例文が適切である。 ・三つの事例で伝えている生き物のつながりの すばらしさをもとに,自分のことに目を向け るよう筆者が主張する展開の方がよいと思 うから。 4 学習のまとめをする。 ○ 学習を振り返り,友達の考えを聞いて,学習 課題「筆者の意見として適切な文章は,Aの例 文か?Bの例文か?」について考えたことをま とめる。 <予想される児童の反応> ・ ○○さんが,「このお話を読んで,生き物を 大切にしようと思ったから,Bの例文がよいと 思った。」と言っていました。私がAの例文を 選んだ理由とは違っていたけど,そういう考え 方もあるんだと思いました。 ○ 学習課題「筆者の意見として適切な文章は,Aの 例文か?Bの例文か?」について考えたことを交流 する場を設ける。 ○ 筆者の意見について考えたことの共通点や相違 点を明らかにしながら,自分の考えを広げたり深め たりしているものを取り上げ紹介する。 (2) 研究授業の考察 ア 「自分の考えを形成する力」は高まったか 「考えを広げたり深めたりする」ことについての 評価と判断基準を次に示す。 授業の終末で児童が書いたワークシートの記述 から,「考えを広げたり深めたりする」ことの実態に ついて把握する。児童が考えを広げたり深めたりす ることができたか,その実態を図4に示す。 Aと判断した児童は3人(15.0%),Bと判断した 児童は16人(80.0%),Cと判断した児童は1人 (5.0%)であった。 Aと判断した児童gのワークシートの記述を次に 示す。 この記述から,児童gは,自分と児童hの考えは どんなところが具体的に違うのか,相違点を明確に 認識していることが分かる。(下線キ)さらに,児童 「十分満足できる」(A) 筆者の意見について考えたことの共通点や相 違点を明らかにしながら,自分の考えを広げた り深めたりしている。 「おおむね満足できる」(B) 筆者の意見について,他の考えを踏まえなが ら,自分の考えを広げたり深めたりしている。 「努力を要する」(C) 筆者の意見について,考えを広げたり深めた りしていない。 「考えを広げたり深めたりする」ことについての 評価と判断基準 0% 20% 40% 60% 80% 100% 学習後 A B C 図4 「考えを広げたり深めたりする」ことの実態 交流をしていた時,キhさんは,「おじいちゃんや おばあちゃんがいたから,今の自分がいたことに気 づいた。」と言っていました。それを聞いて,今ま で思わなかったんだけど,クぼくも,そうだな,お じいちゃんやおばあちゃんを大切にしないといけ ないなと思いました。それで,やっぱりケ自分だけ じゃなくて,みんなも大切にするというAの例文の 方がいいなと思いました。 児童gの記述

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hの考えも踏まえながら,Aの例文が筆者の意見と して適しているという自分の考えを広げたり深めた りしていることが分かる。(下線ク,下線ケ) Aと判断した他の2人の児童にも,児童gと同様 の記述が見られ,筆者の意見について考えたことの 共通点や相違点を明らかにしながら,自分の考えを 広げたり深めたりしていた。 Bと判断した児童iのワークシートの記述を次に 示す。 児童iは,一人で考えたときも,Aの例文を選ん でいた。そのときの理由は,「三つの事例の全部に, 『つながり』ということのすばらしさが書いてあり ました。だから,筆者の意見にも,『つながり』とい うことばがあった方がいいと思ったから,Aの例文 が筆者の意見としていいと思いました。」というもの であった。この記述と交流後の記述を比較すると, 交流後は,Aの例文を選んだ理由が変わっているこ とが分かる。にもかかわらず,児童iは,児童jの 話を聞いて,自分の考えと児童jの考えにはどのよ うな共通点や相違点があると考えたのか,また児童 jの話が児童iの考えにどのような影響を与えたの か等には全く触れていない。しかし,友達の意見を 踏まえて新たな理由を考えている(下線コ)ことか ら,自分の考えを広げたり深めたりすることができ たと考える。 Bと判断した他の15人の児童にも,児童iと同様 の記述が見られ,筆者の意見について,友達の考え を踏まえながら,自分の考えを広げたり深めたりし ていた。 Cと判断した児童kのワークシートの記述を次に 示す。 児童kは,一人で考えたときも,Aの例文を選ん でいた。そのときの理由は「『つながり』ということ ばがあるので,Aの例文がいいと思いました。」とい うものであった。この記述と交流後の記述を比較す ると,書き方は多少違うものの,Aの例文を選んだ 理由は基本的には変わっていないことが分かる。筆 者の意見について自分の考えはもっているが,自分 の考えを広げたり深めたりしている様子を見取るこ とできない。 これらことから,20人中19人(95.0%)の児童が 考えを広げたり深めたりすることができたと考え る。 以上のことから,第6学年の児童の自分の考えを 形成する力はおおむね高まったといえる。 イ 「自分の考えを形成する力」を高めるのに,文 章を評価しながら読む学習活動は有効であった か 「考えを広げたり深めたりする」ことに,文章を 評価しながら読む学習は有効であったかについて, 学習後,児童に意識調査アンケートを行った。アン ケートでは,次の4段階で自己評価させた。 Aと回答した児童は8人(40.0%),Bと回答した 児童は11人(55.0%),Cと回答した児童1人(5.0%), Dと判断した児童は0人であった。このことから, 19 人(95.0%)の児童が,「『考えを広げたり深めたり する』ことに文章を評価しながら読む学習は有効で あった」と肯定的な回答をしていることが分かる。 肯定的な回答をした児童が,自由記述欄に書いた 感想の一部を次に示す。 A:「筆者の意見として適切な文章は,Aの例文か, Bの例文か」について考える学習は,自分の考 えを広げたり深めたりすることにとても役立 った。 B:「筆者の意見として適切な文章は,Aの例文か, Bの例文か」について考える学習は,自分の考 えを広げたり深めたりすることに役立った。 C:「筆者の意見として適切な文章は,Aの例文か, Bの例文か」について考える学習は,自分の考 えを広げたり深めたりすることにあまり役立 たなかった。 D:「筆者の意見として適切な文章は,Aの例文か, Bの例文か」について考える学習は,自分の考 えを広げたり深めたりすることに役立たなか った。 意識調査アンケートにおける判断基準 コjさんが言っていることを聞いて,生き物を大 切にしないといけないなあと思ったので,『すべて の生き物を大切にしていきましょう。』と書いてあ るAの例文の方が筆者の意見だったらいいなと思 いました。 児童iの記述 ぼくは,Aの例文がいいと思います。今まで「つ ながり」のことを勉強してきて,Aの例文にも, 「つながり合って」と書いてあるので,Aの例文 の方がいいと思いました。 児童kの記述

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先に示した児童の感想のように「文章を評価しな がら読む学習(筆者の意見として適切な文章は,A の例文か,Bの例文かについて考える学習)は,自 分の思いや考えをまとめるのに役立った。」という 趣旨の感想が多く見られた。 今回の研究授業においては,筆者の意見を抜いた 上で,「筆者の意見として適切な文章は,Aの例文 か,Bの例文か」という学習課題を提示した。これ によって,児童は「自分が筆者だったら…」と教材 文を読み返して,文章の重要な点を表現に即して押 さえたり,自分の知識や経験と関連付けたりしなが ら,筆者の意見として適切な文章はどんな文章か, 客観的に評価することができた。また,考えたこと を他の児童と交流することによって,自分と他の児 童が考えたことがどのように共通していたり相違し たりしているのかを考え,そのことを基に再び筆者 の意見について考えるとができたと考える。 このことから,「考えを広げたり深めたりする」 ことに,文章を評価しながら読む学習は有効であっ たと考える。 ア,イの内容から,第6学年の説明的な文章の学 習において,文章を評価しながら読む学習活動を取 り入れることは,児童の自分の考えを形成する力を 高める学習指導としておおむね有効であることが明 らかになった。

研究のまとめ

研究の成果

文献研究から,次の2点を明らかにした。 ○ 自分の考えを形成する力について,各学年に おける目指す力と具体的な児童の姿 ○ 文章を評価する視点 これらを踏まえて研究授業を行った結果,次のこ とが明らかになった。 ○ 説明的な文章の学習において,文章を評価し ながら読む学習活動を取り入れた結果,低学 年・中学年・高学年の各学年において,児童の 自分の考えを形成する力がおおむね高まった。 以上のことから,自分の考えを形成する力を育成 する小学校国語科「読むこと」の学習指導の在り方 として,文章を評価しながら学習活動を取り入れる ことは有効であることが明らかになった。

課題と今後の取組み

○ 自分の考えを形成することができなかった児 童は,文章を評価しながら読むことの学習活動 について十分理解できていなかった。今後,こ のような児童に対しては,文章を評価しながら 読む学習活動について個に応じた支援を行って いきたい。 ○ 今回の研究では,説明的な文章の学習におい て,文章を評価しながら読む学習活動を取り入 れた。今後は,文学的な文章の学習においても, 自分の考えを形成する力を育成する国語科学習 指導の在り方について研究を進めていきたい。

おわりに

「答申」の国語科の改善の基本方針の一つに,「実 生活で生きてはたらき,各教科等の基本ともなる国 語の能力を身に付けること」17)に重点を置いて内容 の改善を図ることが挙げられている。 国語科の授業と言えば,与えられた文章を段落や 場面に分け,まとまりごとに内容を詳細に読んでい く授業を思い浮かべる人が多いのではないだろう か。実際,そういう授業が多く行われていたように 思う。しかし,これでは,子どもたちが日常生活あ るいは各教科等の学習において機能する読む能力を 身に付けるまでに至らないのではないか,また,子 どもたちは読むことのおもしろさを感じることがで きないのではないかと考える。 本研究を通して,小学校国語科「読むこと」の学 習において,子どもたちが身に付けなければならな い「読む能力」とはどのような力か,この「読む能 力」を育成するにはどのような指導を行っていかな ○ 筆者の意見として適切なのは,Aの例文か, Bの例文かという学習をしました。いろいろ理 由を考えているうちに,Aの例文もBの例文も, いいところがあって,どちらが筆者の意見にな ってもいいんじゃないかなと思うようになりま した。新しい発見がありました。 ○ 筆者の意見として適切なのは,Aか,Bかと いう勉強をして,いろいろな考え方があるんだ なと思いました。私はもともとBがいいんじゃ ないかと思っていたんだけど,hさんの話を聞 いて,自分とおばあちゃんとのつながりのこと も考えて,Bがいいと言っているからすごいな と思いました。私もこの世界に生まれてきたこ とがすてきに思えてきて,筆者はこういうこと が伝えたかったんじゃないかと思いました。今 日の勉強をして,いろいろな考え方ができるよ うになりました。 評価しながら文章を読むことに対する児童の感想

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ければならないかということについて,再考するよ い機会となった。今後も,今回の改訂で求められて いる実生活に生きてはたらき,各教科等の基本とも なる「読む能力」を育成し,読むことが楽しいとい う子どもたちを育てることができる国語科学習指導 の在り方について研究を進めていきたい。 最後に,本研究の推進のために熱心なご指導,ご 助言をいただいた研究指導者の大槻和夫先生,実践 研究にご理解,ご協力をいただいた研究協力員及び 研究協力校の皆様に心からお礼を申し上げる。 【注】 (1) 文部科学省(平成17年):『読解力向上に関する指導資料 PISA 調査(読解力)の結果分析と改善の方向』 東洋館出 版社 pp.1-9 を参照。 (2) 中央教育審議会(2008):『幼稚園,小学校,中学校高等 学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善について』 (答申) pp.22-23 を参照。 (3) 国立教育政策研究所(平成17年):『平成15年度教育課程 実施状況調査 教科別分析と改善点(小学校・国語)』 小 国 pp.1-7 を参照。 (4) 文部科学省・国立教育政策研究所(平成21年):『平成21 年度全国学力・学習状況調査【小学校】報告書』 pp.6-11 を参照。 (5) 国立教育政策研究所(平成17年):前掲書 pp.5-7 に詳し い。 (6) 文部科学省・国立教育政策研究所(平成21年):前掲書 p.7 に詳しい。 (7) 文部科学省(平成20年):『小学校学習指導要領解説国語 編』 東洋館出版 pp.40-43,pp.64-67,pp.90-92 を参照。 (8) 大槻和夫(2009):「読解の授業を楽しくするコツ 対話 的な読みとその交流」,『教育科学国語教育』(7月号 710 号) 明治図書 p.11 に詳しい。 (9) 森田信義(2007):『「評価読み」の理論と方法-おもし ろくて,役に立つ説明的文章の指導-改訂版』 pp.15-17 に詳しい。 (10) 有元秀文(2008):『必ず「PISA 型読解力」が育つ七つの 授業改革-「読解表現力」と「クリティカル・リーディン グを育てる方法-』 明治図書 pp.94-98 に詳しい。 【引用文献】 1) 文部科学省(平成17年):『読解力向上に関する指導資 料 PISA 調査(読解力)の結果分析と改善の方向』 東洋 館出版社 p.97 2) 中央教育審議会(平成20年):『幼稚園,小学校,中学校 高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善につ いて』(答申) p.74 3) 中央教育審議会(平成20年):前掲書 p.75 4) 文部科学省(平成20年):『小学校学習指導要領解説国語 編』 東洋館出版 p.40 5) 水戸部修治(2010):「国語科 本が好きな子どもを育て る『読むこと』の授業づくり」,『初等教育資料』(2月 号 No.857) 東洋館出版 p.52 6) 大槻和夫(2009):「読解の授業を楽しくするコツ 対話 的な読みとその交流」,『教育科学国語教育』(7月号 710 号) 明治図書 p.11 7) 森田信義(2002):『初等国語科教育学』 協同出版 p.50 8) 水戸部修治(2010):前掲書 p.54 9) 大槻和夫(2009):前掲書 p.12 10) 大槻和夫(2009):前掲書 p.12 11) 大槻和夫(2009):前掲書 p.12 12) 森田信義(2007):『「評価読み」の理論と方法-おもし ろくて,役に立つ説明的文章の指導-改訂版』 p.29 13) 森田信義(平成10年):前掲書 p.50 14) 森田信義(2007):前掲書 p.26 15) 森田信義(2008):『評価読みのすすめ~教室で育ち,教 室を越える読みの実現~』 講演資料 p.3 16) 河野庸介(2007):「説明的な文章の指導法-問題提起と 結論から本論へ-」,『月刊国語教育』(1月号 vol.26 No.11) 東京法令出版 p.21 17) 中央教育審議会(2008):前掲書 p.74 【主な参考文献】 青木幹勇(1987):『授業が変わる「第三の書く」 国土社 阿部昇(2002):『文章吟味力を鍛える-教科書・メディア・総 合の吟味』 明治図書 有元秀文(2009):『「PISA型読解力」の弱点を克服する「ブッ ククラブ」の理論と方法-多読と討論で,クリティカル・ リーディングを楽しく育てる』 有元秀文(2006):『「国際的な読解力」を育てるための「相互 交流コミュニケーション」の授業改革-どうしたらPISAに 対応できるか-』 渓水社 市毛勝雄(1997):『説明文教材の授業改革論』 明治図書 大槻和夫(平成17年):『大槻和夫著作集 第2巻 国語科授業 の課題と創成』 渓水社 河野順子(2008):『入門期の説明的文章の授業改革』 明治図 書 竹長吉正(1996):『説明文の基本読み・対話読み1 理論編』 明治図書 田近洵一(2003):『情報と論理を追求する 説明文の授業』 厚徳社 田中孝一・小森茂(2008):『確かな学力をはぐくむことばの指 導 「読解力」で授業をかえる』 ぎょうせい 鶴田清司(2008):『「読解力」を高める国語科授業の改革-PISA 型読解力を中心に-』 明治図書 森田信義(1989):『筆者の工夫を評価する説明的文章の指導』 明治図書 森田信義・山元隆春・山元悦子・千々岩弘一(平成17年):『新・ 国語科教育学の基礎』 渓水社 文部科学省(平成20年):『中学校学習指導要領解説国語編』 東洋館出版社

参照

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