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はじめに 私たち人間の体は 60 兆個の細胞でできていると考えられています これらの細胞は日々の食事から作られています 私たち人間が生きていくためには 食 が必要不可欠です 私たち人類は 長年の経験により 食に関する知識を蓄え 健全な食生活を育んできました しかし 近年の経済発展に伴い 私たちの食生

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はじめに

私たち人間の体は 60 兆個の細胞でできていると考えられています。これ らの細胞は日々の食事から作られています。私たち人間が生きていくため には「食」が必要不可欠です。私たち人類は、長年の経験により、食に関 する知識を蓄え、健全な食生活を育んできました。 しかし、近年の経済発展に伴い、私たちの食生活が大きく変化しました。 読者の皆さんの中には、多忙のために、食の大切さに対する意識が希薄に なりつつある方もいるのではないでしょうか。 一方、日本の年間医療費が 40 兆円を越え、これは国家予算の半分に匹敵 しています。「治療」に重点を置く「西洋医学」から、「予防」に重点を置 く「東洋医学」にスタンスを移すことも、日本が健康社会になるための一 つの方法です。 東洋医学に基づく料理法に、「薬膳」という考え方があります。薬膳の考 え方では、宇宙を含めた大自然の中で、その一員として小さな存在である 人間が自然と調和することが、よい人生をもたらす方法とされます。 そこで、「東洋医学に基づいた食養生である薬膳を学ぶことで、日本を健 康社会に変えたい」「特に学生はじめ若い世代に、薬膳の考え方で日々正し い食事を取り、健康で豊な人生を全うして頂きたい」という想いを込めて、 この本を作成しようと私たちは考えました。

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2 はじめに 第一章 東洋医学について 1. 薬膳について … 5 2.未病(みびょう)について … 7 ~コラム「東洋医学と西洋医学」~ … 8 3.体にあった食事とは …10 4.五性を理解し季節にあった食材を …12 5.「五味」「五臓」とは …15 ~コラム「五行」とは~ …18 6.病気になりにくい体質って? …19 ~コラム「陰陽」って?~ …20 7.正しい食事で元気に天寿を全うしよう …23 8.「自然治癒力」に重点を置いた東洋医学的な考え方 …24 9.自分の体質を知ろう …26 10.五行相関図 …29 11.各季節の食養生のポイント …30

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3 第二章 季節の食養生とレシピ 1.春 …34 ポテトサラダ …36 キャベツのポトフ …38 アサリのチャウダー …40 りんごのコンポート …42 2.長夏 …44 えんどう豆のご飯 …46 冬瓜と貝柱のスープ …48 ひじき …50 麻婆なす …52 3.夏 …54 セロリと鶏ムネ肉のマヨネーズ焼き …56 ラタトゥイユ …58 キュウリのラー油漬け …60 スイカシャーベット …62 4.秋 …64 秋の蕎麦 …66 ごぼうとにんじんのマヨネーズ和え …68 しめじと山芋の味噌汁 …70 鯖の生姜煮 …72 れんこんとブロッコリーの酢の物 …74 5.冬 …76 キムチ鍋 …78 野菜の煮物 …80 栗と海老の混ぜご飯 …82 ねぎのピリ辛炒め …84 にんじんカップケーキ …86 おわりに

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第一章

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1.薬膳について

薬膳とは、「宇宙を含めた大自然の中で、その一員として小さな存在の 人間が、自然に調和してどう生かせて頂くか」という東洋医学の根本思想 に基づいた食養生です。具体的には、季節の変化に調和し、人間が生まれ ながらに持っている自然治癒力を高め、病気になりにくい体質を作るため に、どのような食材を選び、どのような食事を摂るかが薬膳です。 ●薬臭い料理なのか? 薬膳ときくと、「薬臭い料理だろうか」とイメージする方もいると思いま す。薬膳を初めて口にするまで、私たちもそのように思っていました。確 かに、漢方薬や生薬をたくさん使用した薬膳も存在します。しかし、一般 的に薬膳は、漢方薬や生薬を使用しません。薬膳は通常の食材で作ります。 この本の料理のメニューに使われる食材は、私たちが簡単に購入できるあ りふれた食材ばかりです。 ●医食同源って? ここで、薬膳を理解するために「医食同源(薬食同源)」について説明し ます。「医食同源」とは、食材をバランスよく摂り、しかもその効能を意識 して食べると、食事も薬を飲むのと同じように体に良い、という意味です。 従って、旬の食材をバランス良く取り入れてメニューを考え、食べる時に はその効能をしっかり意識して食べることが大切です。 「医食同源」にはもう一つの意味があります。生薬のほとんどは、元々 は通常の食材で、それを煮る・蒸す・乾燥する等の加工で生薬となります。 このように薬と食べ物は元々同じものであったのです。これが、「医食同源」 のもう一つの意味です。 この「医食同源」を実践すべく、バランスのよい食事をとるためには、 食材の性質を知ることが大切です。

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6 ●「薬膳の根本理念」を理解しよう! 薬膳の根本理念とは「体にあった、旬の食材をバランスよく摂り、人間 が生まれながらに持っている自然治癒力を高め、病気になりにくい体質を 作り、元気に天寿を全うすること」をいいます。この理念に基づくと、体 にあった食材を摂ること、旬の食材をバランスよく摂ることが大切である ことがわかります。長い間、肉を主食とした西洋人と、米を主食とした私 たちにとって、「体にあう食材」は、やはり異なってくると考えられます。 旬の食材をバランスよく摂るためには、食材の性質を知ることが大切です。 その際には五性と五味という考えが大切になってきます。「五性」とは、食 べ物が体を温める、冷やす効能をいい、「熱・温・平・涼・寒」の5つの分 類に分けられています。この考え方により、夏のように暑い季節には体を 冷やす「寒性」、「涼性」の食材を主に使用します。一方、冬のように寒い 季節には体を温める「熱性」、「温性」 の食材を主に使用します。その際に は、食べ物を味と働きから 5 つに分類した五味の考え方では、食べ物を効 能から5つの栄養素「酸、苦、甘、辛、塩」に分類しました。五味をバラ ンスよく摂取することが薬膳の栄養バランスを考える上で大変重要です。 ●「簡単に!」「美味しく!」「楽しく!」 第二章で掲載している料理についてです。私たちは、「簡単に作れる」「美 味しく」「薬膳を楽しめる」という三つのコンセプトに基づきレシピを考え ました。薬膳の知識に基づく料理を繰り返し召し上がっていただくには、 この三つのコンセプトが欠かせないからです。日々の食事を大切にするこ とが、健康につながる食事のあり方であるという思いが込められています。

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7 2.

未病について

未病とは、病気と健康の中間領域のことです。尐し体調が悪いときの「未 だ病にあらず」の体調を言います。病気と言うほど医者の診察や健康診断 の結果が悪くない、でも全く健康かといえばそうじゃない…。そんな状態 を表した、西洋医学にはない、東洋医学独特の考え方です。 ●陰陽バランス 東洋医学では、私たちの体はいつも「陰陽」という自然界のバランスの 変動から影響を受けていると考えられています。特に日本では、季節の変 化にともなう陰陽の変化が、体調を崩す原因になる場合があります。 「なんだか体調が悪いなぁ…」というときは、体内の陰陽バランスが崩れ ていて、未病だと考えることが出来ます。このとき大切なのが、上手に陰 陽の変化と調和し、未病から病気にならないように予防することです。 ●旬 陰陽に調和することは難しくありません。四季折々の自然の恵みである 「旬」の食材を食べることで、体内バランスを整えることができるからで す。旬の食材は、その季節に必要な栄養素を含み、体温調節の役割なども 果たします。美味しくて、大量に市場に出回り安いので、誰にでも手に入 れやすいのが特徴です。 ●未病から健康に 季節の旬を取り入れ、陰陽のバランスを上手に取れている食事を「薬膳」 と言います。薬膳を日常的に取り入れ、上手に陰陽と調和することは病気 の予防に繋がります。そして正しい食事を続けることで、未病から健康に 戻ることができるのです。 病気になってから治療するのではなく、未病のときに予防する「予防医 学」を意識し、健康で楽しい生活を送りましょう。

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8 ~コラム「東洋医学と西洋医学の違い」~ 東洋医学とは、約 3,000 年前に中国で始まった伝統医学の総称です。ち なみに薬膳は、東洋医学に基づいた「予防医学的食養生」のことをいいま す。一方、普段私たちが診察を受ける「お医者さん」が施してくれるのが、 ヨーロッパから伝来した西洋医学です。2 つの医学にはそれぞれ独自の考 え方があり、特に以下の 3 点で違いがはっきりしています。 ●病気の捉え方 東:病気を一生命体の異変と捉える。「病気ではなく病人を診る」 西:細菌やウイルスが身体のある一部を蝕んでいる。「病人ではなく病気を 診る」 *患者の体全体を診るか、患部だけを診るかの違い。 ●病気の判断の仕方 東:医師による望診、聞診、問診、切診。一人ひとり違う柔軟な判断がさ れる。体質を重視。 西:医療機器によるデータ計測や画像診断。万人に共通した数値を設け、 規定域を超えたとき病気と判断される。 *患者の体質に合わせた判断か、計測した数値での判断かの違い。

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9 ●治療法 東:病気にならない為の予防が中心。病気になった場合、人間に備わって いる自然治癒力(体内に侵入しようとする細菌やウイルスなどの病原 菌と戦う抵抗力)を高め、病気の原因と戦う力を引き出す。 西:病気になってから治療することが中心。薬の投与で病原菌を抹殺した り、手術により病気の部分を除去する。 *自分の抵抗力を高めるか、病原菌を体内からなくすかの違い。 このように、東洋医学と西洋医学の考え方は大きく異なっています。ど ちらも享受できる環境にいる私たちには、それぞれの考え方を良く知り、 良いところを取り入れて、より健康な日々を過ごしていくことが大切です。

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3.体に合った食事とは

●最初に 日本人にとって「体に合った食事」とは、穀物を主食、野菜を副食とし、 尐しの魚をとりいれた食事です。 ●主食によって体の構造が変化します 動物は主食によって、体の構造が変化します。人間において、主食が穀 物である日本人の腸は 7mで、肉が主食の欧米人は 4mといわれます。 この腸の長さの違いは、食事に依ります。消化するのに時間のかかる穀 物を食べる日本人は腸が長くなっています。一方、長時間腸にあると毒素 を出す悪玉菌増殖に繋がるため、早く対外に排出する必要のある肉を主に 食べる欧米人の腸は短くなっています。このように体の構造の違いは、主 食によって体が変化してきたことを示しています。 動物でも主食によって違いが起こるのは同じで、腸の長さや歯の形に表 れます。草食動物である馬の腸の長さは約 39m、牛の腸の長さが約 60mで あり、歯は草をすりつぶすのに適した臼歯が発達しています。一方、肉食 動物であるライオン、狼は共に約 4mであり、肉をちぎるための犬歯が発 達しています。 このように長い年月をかけて体を変化させてきた食物が「体に合った食 物」で、日本人にとっては穀物と野菜を中心とし、尐しの魚をとりいれた 食事となるのです。 この「体に合った」もの、「体に合わないもの」を意識することが食養 生において重要なことです。

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11 7m 4m 39m 60m ●体に合わないものを食べると? 体に合わないものを頻繁に食べるととんでもないことが起こることがあ ります。本来草食の牛が、今まで全く食べたことが無かった肉骨粉を食べ たため、突然変異を起して狂牛病を発症したといわれます。 また、尐々オーバーになりますが、日本の社会もこの狂牛病過程を経つ つあります。日本人の食事が戦後急速に欧米化し、本来食べていなかった 肉の消費量が戦前の 5~6 倍となってきました。この食の変化が進むにつれ、 戦前はほとんど無かったといわれる大腸がんが、ガンの筆頭になりつつあ るのも、体に合わない食事が原因と考えられます。 ●まとめ 以上から、体の構造にあった食材を食べることが健康にとって大切なこ とであり、またその時の季節や、体調に合わせて食事をとることが体を元 気に保つ秘訣です。そのために正しい食事、食養生が必要となるのです。

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五性を理解し季節にあった食材を

●五性の定義と分類 「五性」とは、食べ物が体を温める、冷やす効能をいい、効果の度合い によって5つの分類に分けています。この食べ物が体を温める・冷やすと いう考え方は、西洋医学・現代栄養学には無い、東洋医学独特の考え方で、 長年の経験から食物を分類してきました。 体を温める効果の強いものから、冷やす効果の強いものへの順番で、「熱 性」、「温性」、「平性」、「涼性」、「寒性」です。 ・「熱性」、「温性」:温める性質のこれらは、体を温め、気血の流れをよ くします。 ・「平性」:温める、冷やす効果のないものをいい、作用が穏やかで、滋 養強壮効果を持ちます。 ・「寒性」、「涼性」:冷やす性質のこれらは、体を冷やす他に体の余分な 熱や毒素を払い、興奮を鎮めます。 ●五性の薬膳における考え方 五性の効能を、季節の変化に合わせて使い分けるのが、薬膳の大切な食 養生のひとつとなります。 皆さんは、辛いものを食べると体がぽかぽかと熱くなったり、夏の暑い 日にスイカを食べると体が冷えたりと、食べ物によって体が温まったり、 冷えたりした経験をお持ちだと思います。皆さんが経験され、先にも述べ たように、食べ物は人の体を温めたり、冷やしたりする性質を持っていま す。この性質で自然の影響やその時の体の状態による体の冷温のバランス の偏りを補正することで、未病の段階で正常に戻し、病気を予防します。

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13 ●季節の食養生 薬膳では、季節の変化による体への負担とのバランスを保つために五性 の食材を使い分ける季節の食養生があります。 この食養生は季節の温度変化に体温を順応させるものです。暑い夏には、 体が熱くなるために、体を冷やすもの、すなわち「寒性」、「涼性」のもの を多めに、寒い冬には、体が冷えるために、体を温めるもの、すなわち「熱 性」、「温性」のものを多めにとることが基本となります。私たちも感覚的 に、夏には冷たいものを、冬には温かいものが欲しくなります。 昔から食養生のことわざがあり、その一つに「秋ナスは嫁に食わすな」 があります。これは、秋ナスは秋が旬で大変美味しいのですが、体を冷や し、冷えやすい時期に身重の嫁に食べさせるのは、母体にも子供にも良く ないという意味です。

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14 ●食材の五性の見分け方・五性の食材例 見分け方としては、基本的に地中にできる食材は温熱性、地上にできる 食材は寒涼性です。以下に五性にどんな食材があるかを表にしました。 例外としては地中にできる食材のジャガイモやごぼうの「寒」、大根の「涼」、 地上にできる食材の唐辛子の「熱」などがあります。 五性 食材例 熱性 野菜:クルミ、さくらんぼ 調味料:シナモン、トウガラシ、コショウ 温性 野菜: しょうが、ねぎ、しそ、かぼちゃ、にら、栗、にんにく 肉: 鶏肉、鶏肉、牛肉、雉 魚介類: エビ、ナマズ、太刀魚、マフグ、ナマコ、紅鮭 平性 野菜:サツマイモ、キャベツ、アスパラガス、しいたけ、えんどう豆 春菊、こんにゃく、豆腐、ごま、ブロッコリー、白きくらげ 肉:豚肉、ウズラの卵、卵 涼性 野菜:きゅうり、ほうれん草、白菜、蕎麦、緑豆、ダイコン、 せり、セロリ、チンゲン菜、ハッカ 寒性 野菜:のり、ひじき、にがうり、なす、たけのこ、冬瓜、にが瓜 魚介類:蛸、ハモ、ハマグリ、カニ 調味料:みそ、しょうゆ、塩 果物:すいか、梨、柿、いちご

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5.

五味、五臓とは

●五味とは 薬膳の考え方では、食材を効能から 5 つの栄養素「酸、苦、甘、辛、塩」 に分類し、これらの栄養素を五味と呼びます。この五味をバランスよく摂 取することが体の活性化に繋がります。東洋医学では、五味の滋養はそれ ぞれ五臓と呼ばれる 5 つの内臓グループに直接入ると考えられています。 一方、現代栄養学の五大栄養素は、タンパク質、脂肪、炭水化物、ビタミ ン、ミネラルから成り、この成分をバランス良く摂ることが体の活性化に なると考えられています。このように東洋医学は栄養素を「五つの食材の グループ」に分け、西洋医学は栄養素を「五つの成分のグループ」に分け ることから、基本的に栄養素の考え方が違います。 ●五臓とは 皆さんは「五臓六腑」という言葉を聞いたことがありますか?東洋医学 で言う五臓とは、肝、心、脾、肺、腎の五つの臓器のグループを指します。 これら五臓は、西洋医学的な単体の臓器の機能(肝なら肝臓の機能)だけ ではなく、その臓器グループに関わるすべてのものを意味し、西洋医学的 な機能よりも広い意味を含んでいます。詳細は「五臓の説明」で述べます。

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16 ●五味の説明 酸:酸っぱい味で肝に働きます。ただ、酸味を摂りすぎると脾に負担を与 えるので、甘味で加減します。 (例)レモン、りんご、キウイフルーツ、ぶどう、パイナップル、グレー プフルーツ、梅、みかん、イチゴ、ヨーグルト、酢など 苦:苦い味で心に働きます。ただ、苦味を摂りすぎると肺に負担を与える ので、辛味で加減します。 (例)ごぼう、にがうり、チンゲンサイ、アスパラガス、ココア、セロリ、 アーモンド、ビール、コーヒー、烏龍茶、紅茶、緑茶など 甘:甘い味で脾に働きます。ただ、甘味を摂りすぎると腎に負担を与える ので、塩味で加減します。 (例)さつまいも、たまねぎ(加熱)、アボカド、バナナ、キャベツ、はく さい、ほうれんそう、かぼちゃ、なす、きゅうり、とうふ、トマト、牛 乳、米、サバ、牛肉など 辛:辛い味で肺に働きます。ただ、辛味を摂りすぎると肝に負担を与える ので、酸味で加減します。 (例)らっきょう、さといも、じゃがいも、たまねぎ(生)、大根、にんに く、こしょう、ねぎ、とうがらし、シナモン、わさびなど 塩:塩辛い味で腎に働きます。ただ、塩味を摂りすぎると心に負担を与え るので、苦味で加減します。 (例)塩、大麦、ホタテガイ、アサリ、のり、ひじき、イカ、カニ、タコ、 みそ、昆布、醤油、豚肉など

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17 ●五臓の説明 肝:肝は肝臓、胆のう、目、筋肉のグループを表わし、全身の血液や気の 流れをコントロールし、かつ、この流れを円滑にする作用があります。 また、目の色から肝の状態を把握することができます。 心:心は心臓、小腸、舌、血のグループを表わし、血液や汗の作用と深い 関係があります。また、舌の色から心の状態を把握することができます。 脾:脾は脾臓・胃・唇・肌のグループを表わし、統血や運化(食物と水分 を消化吸収する働き)と深い関係があります。また、脾は口、唇の色や 状態から心の状態を把握することができます。 肺:肺は肺、大腸、鼻、皮膚のグループを表わし、気や呼吸、宣発(外や 上に発散すること)、粙降(中や下に降ろすこと)、水分代謝と深い関係 があります。また、鼻水の色や粘性から肺の状態を把握することができ ます。 腎:腎は腎臓・膀胱(ぼうこう)・耳・骨のグループを表わし、水や精、成 長、発育、生殖、老化と深い関係があります。また、髪の毛の色からも 腎の状態を把握することができます。 五味と五臓の相性・相克関係については P.29 の五行相関図をご覧下さい。

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18 ~コラム 「五行とは」~ 東洋医学では、陰陽説と併せて五行説があります。五行とは木(もく)、 火(か)、土(ど)、金(こん)、水(すい)の 5 つ要素のことで、自然界の さまざまな変化や関係は五行の要素のどれかに属します。また、これら五 行の 5 つの要素は互いに補い合ったり(相性関係)、打ち消しあったり(相 克関係)することで、バランスを保っています。 ●五行の要素 木:春の象徴。植物が育つ様子を表しており、木のような性質を持つもの を指します。(緑色、酸味に関係する食材) 火:夏の象徴。熱く炎のように上昇するといった、火のような性質を持つ ものを指します。(赤色、苦味に関係する食材) 土:長夏の象徴。植物が地面から発芽する様子から、万物を育む性質を持 つものを指します。(黄色、甘味に関係する食材) 金:秋の象徴。 堅いものが変化するといった、金属のような性質を持つも のを指します。(白色、辛味に関係する食材) 水:冬の象徴。流れる、冷たい、潤すといった水のような性質を持つもの を指します。(黒色、塩味に関係する食材) ●五行の分類例 五行 木 火 土 金 水 五季 春 夏 長夏 秋 冬 五性 熱 温 平 涼 寒 五味 酸 苦 甘 辛 塩 五臓 肝 心 脾 肺 腎

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6.病気になりにくい体質って?

●食養生(普段の食事) 「病気になりにくい体質」とは自然治癒力 が高いことをいいます。自然治癒力とは、 自分自身で病気やケガを治す力、病原菌に 打ち勝つ力です。自然治癒力が高ければ、 病気になる前に原因を治し健康な状態を 保つことができます。自然治癒力を高める ためには日頃の食養生が大切で、薬膳の考え方が非常に役に立ちます。 薬膳の基本理念は「体に合った、旬の食材をバランスよく摂り、自然治 癒力を高め、病気になりにくい体質を作り、元気に天寿を全うする」です。 旬の食材のバランスの摂り方には2種類あります。第1点が五性、第2 が五味です。 食材が体を温める・体を冷やす効能を、季節によって使い分 けるのが五性です。また、季節によって負担のかかる五臓が変わります。 この養生をするのに五味のバランスを考えます。 旬の食材は、季節により 私たちの体を健康にする手助けをします。また、旬の食材は、栄養分が増 え、より美味しくなります。旬の食材で五味のバランスを摂ることが自然 治癒力の向上につながります。 ● 季節の変化と体温調節 日本には大きな季節の変化があります。東洋医学では一年を「春」、「夏」、 「長夏」、「秋」、「冬」の五季とします。一年を通して気温は大きく変化し ます。そのため、私たちは季節の変化に合わせて体温調節が必要となりま す。夏に半袖を着、冬はコートを羽織るように、食事も季節に合わせた食 事をとることが必要です。変化する気候の中で病気にならないための食生 活をすることを食養生といいます。食材には五つの効能があります。これ を五性といい、体を温めるか・冷やすかの程度を熱性、温性、平性、涼性、

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20 寒性の五つに分類します。夏野菜は寒性に属し、体を冷やす性質がありま す。香辛料は温性、熱性に属し、体を温める働きがあります。(詳しくはp 12「五性を理解し季節にあった食材を」をご参照下さい)暑い夏は熱症や 夏バテを防ぐために、体を冷やす食材=寒性の食材を摂りましょう。この ように季節によって、体に適する食材が異なります。季節による使い分け が健康のコツです。 ●各季節の特徴 五季 特徴 負担の掛 る五臓 食養生 起こりやす い症状 春 体全体の働き が活発になる 肝 気血の巡りを 活性化させる いらいら、 精神不安定 夏 体内に熱がこ もりやすい 心 体の熱を取る 吹き出物、 暑さあたり 長夏 体内に湿度が 溜まりやすい 脾 体内の湿を取 り除く 胃炎、 夏バテ 秋 体内の水分が 奪われ易い 肺 体に水分を補 う せき、肌の パサつき 冬 寒さにより体 の熱が奪われ る 腎 体を温める 悪寒、腹痛、 下痢 それぞれの季節に属する五臓を意識した栄養補給が重要です。レシピの ページに季節ごとの食養生を掲載しています。ご参照下さい。 ●未病に敏感に対応 病気にならないために必要なことがもう一つあります。体調に異変を感 じた時の対応です。これを未病といいます。この時に食養生で体調を戻す のが薬膳です。未病の際の食事の対応が、病気にならない大事なポイント といえます。

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21 コラム~陰陽って?~ 陰陽は、春秋時代の中国で、自然現象を長期にわたって観察し、導き出 された理論です。自然界(宇宙)はすべて、相対する二つの現象から成り 立っているという考え方を陰陽論といいます。陰陽は、互いに依存し、互 いにバランスをとるよう作用する関係にあります。陰と陽はたえず「陰消 陽長」、「陽消陰長」という変化の状態を繰り返します。 ●陰と陽の変化とは? 陰陽は互いに作用しあいバランスをとろうとする関係にあります。 どちらかが過剰になった場合は、もう一方が制約をします。 冬至は「陰」が、夏至は「陽」が最も盛んになります。これは、寒が「陰」 に、熱が「陽」に属すことと関係します。また、一日のなかで、夜は「陰」 に、昼は「陽」に属します。

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22 ●陰陽の実例 陰と陽は対立し、陰陽の調和によって自然が成り立ちます。自然と共に生 きる私たち生命にも陰陽は存在するのです。陰と陽の例は次のようになり ます。 陽 天 熱 火 上 左 背 上半 身 表 昼 陰 地 寒 水 下 右 腹 下半 身 裏 夜 ●東洋医学における陰陽 東洋医学における陰陽バランスの基本は、陽=気、陰=血・津液(しんえ き)です。 気は生命エネルギーで私たちの体内を巡っており、体を温める・各機能 を司る働きをしています。気の循環がよいことは、体内の器官が正常な活 動を維持することに結び付きます。 血・津液の血とは血液のことを指します。津液とは、血以外の体液(唾 液、涙、汗、鼻水など)を表します。 東洋医学ではこの陰(血・津液)と陽(気)のバランスで体質を判断します。 主な区分は次の通りです。 ・正 気 陰陽のバランスが正常 ・陰 虚 陰が不足している状態 ・陽 虚 陽が不足している状態 ・陰陽両虚 陰陽両方が不足している状態 ・陰盛(上亢) 陰が多すぎる状態 ・陽盛( 〃 ) 陽が多すぎる状態 上記が体質判断の基本になります。詳細は自分の体質を知ろうをご覧くだ さい。

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7.

天寿とは

天寿とは、天が与えてくれた人間の寿命のことです。東洋医学では、120 歳という具体的な数字で示しています。日本人の平均寿命は 2009 年に 83 歳に到達し、事実上、世界一の長寿国になりました。それでもまだ天寿に は遠く及んでいません。稀に 120 歳近くまで生きる人がいますが、多くの 人はそうではありません。現実的に東洋医学の天寿を全うすることは可能 なのでしょうか。 ●現代生物学の視点から人間の生命活動の限界を見てみましょう。生物学 において、地球上の動物の寿命は成長期間の五倍であるとされています。 人間の場合、25歳までを成長期間とすると、25歳×5=125歳と なり、先述した東洋医学の天寿に近いどころか、上回る数値が出ます。 ●実際の記録と比較してみると、日本の2010年現在の最高齢者は11 6歳で、これも120歳にかなり近い年齢です。ちなみに現時点での史 上最高年齢記録はフランス人女性の保持する122歳です。どちらも、 東洋医学の天寿を裏付ける実例になりえます。 長生きできるのはごく一握りの人々だけだと思われがちです。しかし、 約3000年前の中国の医学者たちが算出した120という年齢は、現代 の医学にも十分適応しています。東洋医学の 天寿を、大昔の迷信的な発想であるとして一 蹴するのは勿体ないかもしれません。そして、 その東洋医学を基礎としている薬膳は、健康 を維持し、元気に天寿を全うする為の方法と して欠かせないものなのです。

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8.

「自然治癒力」と東洋医学

西洋医学中心の日本では、医療技術を駆使した「治療」に重点が置かれ ているので、「自然治癒」という概念があまり一般的ではありません。しか し、国家予算に占める医療費の割合が膨れ上がり、尐子高齢化が進んでい る日本社会の現状を考えると、このままの「治療を中心とする医学」だけ では行き詰ることが目に見えています。 このような現代の日本の医療に、「自然治癒力」に重点を置いた東洋医学 的な考え方を取り入れていくことは、現状の改善につながる可能性を大い に持っているのではないでしょうか。 そこでここでは、その考え方を簡単に紹介したいと思います。 ●陰陽と自然治癒力 東洋医学では、自然は常に2つの側面である陰陽から成り立っていると 考えます。人間の体の中にも陰陽の関係があり、このバランスは常に変化 しています。バランスが尐し崩れたのが未病の状態であり、陰陽バランス を回復することができれば健康に戻りますが、回復できなければ病気にな ってしまいます。この時、体内で自分自身の力でウイルスや細菌と戦うの が自然治癒力で、東洋医学ではこの力をとても重要視しています。 陰虚 陽虚 健康 陰が足りない 陽が足りない… 両方一緒

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25 ●東洋医学の役割 自然治癒力は常に変化し、低下していることもあります。東洋医学の治 療は、ウイルスや細菌と戦う自然治癒力の働きを高めることを主眼に置い ています。 具体的には、食べ物や漢方薬を服用したり、鍼灸治療を施したり、生活 習慣や運動方法を変えたりすることにより、陰陽のバランスを整えること ができます。ただし、不足しているものばかり摂取したり、過剰なものを 全く摂取しなかったりすると、逆に体全体の陰陽バランスを崩すことにつ ながってしまいます。陰陽は互いに助け合っているので、全体のバランス を考えて陰陽の調整をすることが大切です。 ●自然治癒力と東洋医学・薬膳の可能性 ここで注目したいのは、食べ物や生活習慣で体の調子が整えられるとい うことです。自分の体質や体調がわかっていれば、日頃の生活習慣や食事 を尐し工夫するだけで、丈夫な体をつくることができるのです。また、尐 し体調を崩しても、それに気づき、なにを食べ、どのように過ごせばいい かが判断できれば、薬に頼らず治すことができます。 一人ひとりが自分の体質や体調と向き合い、自然治癒力を高めることが できれば、医療や薬に頼ることも減り、結果として日本医療の現状は大き く変わるのではないでしょうか。 さて、充分に自然治癒力を発揮するためには、自分の体質について知っ ておかなくてはなりません。それでは次の章で、簡単な体質診断をしてみ ましょう。

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9.自分の体質を知ろう

西洋医学では、治療法は病気ごとに病人の体質に関係なく決まります。一 方東洋医学では、同じ病気であっても、病人の体質により治療法が異なり ます。東洋医学では、人の体質はその人の置かれてきた様々な環境により 異なると考えられており、この体質の違いを大切にしています。 未病の状態にあるときは、自分の体質に合った養生をしなくてはなりま せん。また、一人の体質はひとつだけとも限りませんし、体質が変化する こともあります。常に自分の体と向き合っておくことが大切です。それで は、簡単体質診断をしてみましょう。 ●当てはまる項目すべてにチェックしてください。 A □寒さや暑さに弱い □疲れやすい □よわよわしい体型 □血色が薄い □眠りが浅い B □蒸し暑いのに弱い □汗っかき □反応が遅い □下腹部肥満 □体臭が気になる C □暑がり □怒りっぽい □肥満体型 □体が赤っぽい □声が大きい D □寒がり □神経質 □血行が悪い □理屈っぽい □便秘、下痢を繰り返す E □暑さに弱い □せっかち □やせ型 □乾燥肌 □血色が薄い F □寒がり □むくみやすい □肌につやがない □下痢気味 □眠い、寝起きが悪い 3つ以上チェックのついたグループが、あなたの今の体質に近いものです。 いくつものグループに当てはまることもあります。

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27 ●A→気血両虚タイプ 気と血の両方が不足し、体が弱くなっています。消化する力が弱いので、 高カロリーの食べ物や繊維質の多い食べ物は控えましょう。汗をかきすぎ るとパワーが奪われてしまうので注意しましょう。 お勧めの食材…インゲン、キャベツ、鶏肉、卵 控えるべき食材…果実、香辛料、牛乳 ●B→食積痰湿タイプ 胃腸に余分な水分がたまり、負担がかかっているかもしれません。体内の 老廃物質や余分な水分を取り除くために、食事は控えめに、消化のよいも のを摂るようにしましょう。 お勧めの食材…豆腐、ゴボウ、コンニャク 控えるべき食材…魚介類、肉類、砂糖、牛乳 ●C→肝要亢盛タイプ 過労やストレス、怒りすぎによって肝に余分な熱がこもってしまっていま す。リフレッシュしましょう。高カロリーで栄養価の高い食べ物は熱を余 計に高めてしまうので、体を冷ます性質を持つ食べ物を摂るようにしまし ょう。 お勧めの食材…、海藻類、レタス、根菜、果実 控えるべき食材…黒豆、牛肉、香辛料、ビール ●D→気滞うっ血タイプ 気のめぐりが悪く、血行が良くありません。散歩や風呂などで血行を良く しましょう。うっ血による血行不良なので、収斂作用のある酸性食品はあ まりよくありません。 お勧めの食材…大豆、根菜、魚介類、肉類、酒 控えるべき食材…イモ類、牛乳

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28 ●E→陰虚タイプ 寝不足が続いたり、疲れがたまったりしていませんか。規律ある生活を心 がけましょう。陰を養うためには、潤いがあり体を冷ますはたらきのある 野菜や果実を食べるとよいでしょう。 お勧めの食材…果実、魚介類、鶏肉、豚肉 控えるべき食材…小豆、牛肉、香辛料、コーヒー ●F→陽虚タイプ 体を温める力が不足しています。胃腸を冷やす生ものや冷たいもの、消化 しにくいものは控えましょう。体を温める働きのある食べ物をとりましょ う。 お勧めの食材…牛肉、香辛料、牛乳、ビール 控えるべき食材…海藻類、生野菜、魚介類、鶏肉、豚肉

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10.五行相関図

「陰陽」と並び「五行説」は東洋医学において重要な理論の一つです。 地球上の全てのものを五つの要素に分け、それらでバランスを考えるのが 五行説です。五味や五臓、五季などがその例です。目で見て理解できるよ うに、以下に五行説の相関図を示します。

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11.各季節の食養生のポイント

●薬膳では、五行の考え方に基づいて季節は五つあります。「春」「夏」「長 夏」「秋」「冬」の五つです。 それぞれの季節には気象的特徴があります。その季節ごとの特徴が臓器 グループ(五臓)に負担をかけます。この負担を取り除くことが食養生の 基本です。 ●「春」の食養生 春の特徴は「風」です。この風にのって来る陽気によって、身体の機能 も活発になり、「肝」(肝臓グループ)に負担がかかります。従って、春の 食養生は、五味の中で、肝に滋養を与える「酸」の食材を摂ることが大切 です。 ●「夏」の食養生 夏の特徴は「暑」です。気温が高い夏は「心(心臓グループ)」に負担が 掛ります。従って、夏の食養生は、五味の中で、心に滋養を与える「苦」 の食材を摂ることが大切です。 ●「長夏」の食養生 長夏の特徴は「湿」です。この季節は、「湿」により「脾」(脾臓グルー プ)に負担が掛ります。従って、長夏の食養生は、五味の中で、脾に滋養 を与える「甘」の食材を摂ることが大切です。併せて、利尿効果の高い食 材で体内の「湿」を取りのぞくことも必要です。

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31 ●「秋」の食養生 秋の特徴は「燥」です。この季節は乾燥のために「肺(肺臓グループ)」 に負担が掛ります。従って、秋の食養生は、五味の中で、肺に滋養を与え る「辛」の食材を摂ることが大切です。また、「肺」や「身体」に水分を潤 す作用のある食材をとることも大切です。 ●「冬」の食養生 冬の特徴は「寒」です。この季節は、寒さのため「腎(腎臓グループ)」 に負担が掛ります。従って、冬の食養生は、五味の中で、腎に滋養を与え る「塩」の食材を摂ることが大切です。 ●季節ごとに旬の食材をしっかり摂りましょう 第二章で紹介するレシピは、旬の食材を用いた季節の食養生に適った料 理です。各季節の詳しい食養生、食材の効能を説明しています。薬膳の耳 慣れない専門用語もありますが、旬の食材を摂り、日々の食事を大切にす ることが健康につながることを、読者の皆さんに理解して頂ければ幸いで す。

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第二章

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春のレシピ

3~5月

ポテトサラダ…

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キャベツのポトフ…

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アサリのチャウダー…

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りんごのコンポート…

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春の食養生

●春の特徴は「風」で、風の陽気によって、植物が発芽し伸び成長する ように、人体の気も活発になります。春は五行では「木」に属します。 ●春に関係する五臓は「肝」です。全身の気と血をスムーズに循環させ る働きをもつ肝の負担を減らし、働きをサポートする食養生が大切で す。 ●肝のエネルギーが弱ると、いらいらし、精神が不安定になるなどの症 状が起こりやすくなります。そのため、体中に気を高め、発散させる 「辛」の食材、また、陰血にかかせない「酸」の食材、気血、脾臓・ 胃の機能(消化吸収の働きを活発にさせる)を高める食材、肝機能を 調える食材をメニューに取り入れる必要があります。

春の食材とその効果

補血:全身に栄養を与え、造血機能を促進する働き。 ゴマ キャベツ ほうれ ん草 ウナギ イカ カニ 牛肉 牛乳 鶏肉 豚肉 補陰:体液を補充し、全身に栄養を与える働き。 小麦 山芋 豆乳 ほうれん草 アサリ 貝柱 鶏肉 豚肉 バナナ 梨 柿 平へ い肝か ん:肝の働きを抑える働き。 セロリ アワビ 菊花 健脾け ん ひ:消化吸収を促進する働き。消化力の低下に効果がある。 大豆 豆腐 にんじん ジャガイモ りんご パイナップル 補肝:肝の働きを助ける働き。 菜の花 クウシンサイ

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ポテトサラダ

材料(2人前)

ジャガイモ…2個 にんじん…1/4本 大豆水煮…20g パイナップル…適量 インゲン…適量 塩…尐々 コショウ…尐々 マヨネーズ…尐々

作り方

1.にんじんをイチョウ切りにして下ゆでしておく。 2.鍋に全体がかぶるくらいの水を入れてジャガイモをゆでる。 3. パイナップルを小口切りにし、インゲンは斜めに削ぎ切りしておく。 4. ゆであがったジャガイモの皮をむき、8つにスライスしてボールに いれ、にんじん・パイナップル・大豆・インゲンを加える。 5.マヨネーズと塩、コショウで味付けして完成。

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五性・五味

効能

にんじんにはβ―カロチンが多く含まれ、血糖値の降下作用や胃腸の 働きを高め、気の巡りをよくする作用があります。ジャガイモにはビタ ミンC、カリウムが多く含まれ、血圧降下作用や胃腸を調えます。 五性 五味 熱 温 平 涼 寒 酸 苦 甘 辛 塩 ジャガイモ ○ ○ ○ にんじん ○ ○ ○ 大豆水煮 ○ ○ パイナップル ○ ○ ○ インゲン ○ ○ 塩 ○ ○ コショウ ○ ○

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キャベツのポトフ

材料(2人前)

キャベツ…1/4個 玉ねぎ…1個 にんじん…1/2本 山芋…50g 黒豆…20g 豚バラ肉…100g ブロッコリー…1/4房 水…500ml コンソメ…1個 塩…尐々 コショウ…尐々 粒マスタード…適量

作り方

1.あらがじめブロッコリーを下ゆでしておく。 2.キャベツはざく切りにする。玉ねぎはくし形切りに、にんじん は乱切りに、山芋はイチョウ切りにし、豚バラ肉は約5cmの大 きさに切り、鍋に入れる。 3. 食材と食材がかぶるくらいの水、コンソメを入れて具材がやわらか くなるまで煮る。 4.塩・コショウ・粒マスタードで味付けし完成。

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五性・五味

効能

キャベツにはビタミンC、食物繊維が多く含まれ、胃の粘膜の再生作 用、止血作用などがあります。にんじんにはβ―カロチンが多く含まれ、 血糖値の降下作用や胃腸の働きを高め、気の巡りをよくします。ジャガ イモにはビタミンC、カリウムが多く含まれ、血圧降下作用や胃腸を調 えます。 五性 五味 熱 温 平 涼 寒 酸 苦 甘 辛 塩 キャベツ ○ ○ 玉ねぎ ○ ○ ○ にんじん ○ ○ ○ 山芋 ○ ○ 黒豆 ○ ○ 豚バラ肉 ○ ○ ○ ブロッコリー ○ ○ 水 ○ ○ 塩 ○ ○ コショウ ○ ○

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アサリのチャウダー

材料(2人前)

アサリ水煮…70g 玉ねぎ…1/4個 ベーコン…1枚 ニンニク…1かけ 牛乳…200ml 水…200ml 菊花をほぐしたもの…尐々 青ねぎ…尐々 黒ゴマ…尐々 セロリ…1/4本 コンソメ…1個 ブールマニエ…20g (バター10gと小麦粉10g を同量合わせたもの)

作り方

1.鍋にバターをひいて、約1cm幅に切ったベーコン、みじん切りし たニンニク、玉ねぎを炒める。 2.玉ねぎがしんなりしてきたら、牛乳、水、ブールマニエ、水気を 切ったアサリ、コンソメ、みじん切りしたセロリを入れて煮る。 3.塩・コショウで味付けをし、ほぐした菊花、小口切りにした青ね ぎ、粗引きした黒ゴマを尐々加えて完成。

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五性・五味

五性 五味 熱 温 平 涼 寒 酸 苦 甘 辛 塩 アサリ水煮 ○ ○ ○ 玉ねぎ ○ ○ ○ ニンニク ○ ○ 牛乳 ○ ○ 水 ○ ○ 青ねぎ ○ ○ 黒ゴマ ○ ○ セロリ ○ ○ ○ ○ 小麦粉 ○ ○

効能

アサリには補養・補陰作用、胃の痛みや胸やけを緩和する作用があり ます。また、陰虚・微熱への相性もよいとされます。

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りんごのコンポート

材料(2人前)

りんご…1個 水…200ml 砂糖…大さじ3 レモン汁…尐々 シナモン…尐々 ミント…適量

作り方

1.りんごの皮をむき、数枚に薄く切る。 2.鍋に水、砂糖、レモン汁、切ったりんごを入れて煮る。 3. 約15分間、りんごが焦げないように煮た後冷ます。シナモンを 尐々加えミントで飾り完成。

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五性・五味

五性 五味 熱 温 平 涼 寒 酸 苦 甘 辛 塩 りんご ○ ○ ○ 水 ○ ○ 砂糖(白) ○ ○ レモン汁 ○ ○ ○ シナモン ○ ○ ○ ○

効能

りんごには新陳代謝高める作用や、整腸作用、利尿作用があります。 また、りんごはクエン酸をなどの酸を多く含み、疲労回復の効能をもち ます。

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長夏のレシピ

6月~7月

えんどう豆のご飯…

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冬瓜と貝柱のスープ…

48

ひじき…

50

麻婆なす…

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長夏の食養生

●長夏は、薬膳独特の季節で、日本では梅雨の時季にあたり6月~7月 を言います。この季節の特徴は「湿」で、五臓の「脾(消化器全般)」 に負担が掛りやすくなります。従って、この季節の食養生は利尿効果 のある食材で体内の熱と湿気を追い出すことが大切です。 ●体に湿がたまることにより、頭や体が重たく感じられ、倦怠感、頭痛、 めまいが起こりやすくなります。また、濁る性質もあり女性のオリモ ノや目やにが増えるといわれています。更に、気血のめぐりも悪くな り関節痛なども起こりやすくなります。 ●利尿効果を高めることにより体内の余分な熱と湿を取り去ることが 大切です。また、消化不良が起こりやすいため胃腸の働きを整える食 材を取り入れます。甘いもので体を温める食材や牛乳、牛肉、トマト などは体に余分な水分をためてしまうので控えたほうがよいでしょう。

長夏の食材とその効果

利水り す い滲湿し ん し つ:利尿により身体の湿などを取り除く。 蕎麦 トウモロコシ 小豆 黒豆 大豆 そら豆 キュウリ セロリ なす もやし チンゲンサイ 冬瓜 ブドウ スモモ 昆布 若布 緑茶 健脾け ん ひ:消化吸収を促進し、消化力の低下を改善。 うるち米 トウモロコシ ジャガイモ 山芋 サツマイモ 小豆 豆腐 南瓜 インゲン しいたけ にんじん パイナップル りんご 貝柱

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えんどう豆のご飯

材料(1人前)

米…0.8合 もち米…0.2合 えんどう豆…適量 塩…小さじ1/2

作り方

1.米ともち米をとぐ。 2.えんどう豆と塩を加えて炊く。 3.炊きあがったらまんべんなく混ぜ合わせ完成。

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五性・五味

五性 五味 熱 温 平 涼 寒 酸 苦 甘 辛 塩 米 ○ ○ ○ もち米 ○ ○ ○ えんどう豆 ○ ○ 塩 ○ ○

効能

えんどう豆と米には胃腸の機能を高める働きがあります。また、えん どう豆は利尿を促し、体内の余分な水分を取り除きます。

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48

冬瓜と貝柱のスープ

材料(2人前)

冬瓜…1/8個 チンゲンサイ…1/8把 鶏ひき肉…100g 干し貝柱…5個 生姜…1かけ 昆布…適量 塩…小さじ1/2 顆粒だし…適量

作り方

.冬瓜とチンゲンサイをゆでる。 2.水500mlに干し貝柱、昆布、生姜を入れ弱火で煮込む。 湯がわいたら鶏ひき肉を入れる。 3.冬瓜を入れ塩と顆粒だしで味をととのえる。 4.チンゲンサイを入れ完成。

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五性・五味

五性 五味 熱 温 平 涼 寒 酸 苦 甘 辛 塩 冬瓜 ○ ○ チンゲンサイ ○ ○ ○ ○ 鶏ひき肉 ○ ○ 干し貝柱 ○ ○ ○ 生姜 ○ ○ 昆布 ○ ○ 塩 ○ ○

効能

冬瓜には熱を収め、利尿を促す働きがあります。貝柱や昆布は消化 不良を回復させます。冬瓜には寒の性質があるため、体を温める生姜と 鳥ひき肉を加えてバランスをとりましょう。

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50

ひじき

材料(2人前)

乾燥ひじき…10g 大豆水煮… 80g にんじん…1/2本 しいたけ…適量 だし汁… 100ml 砂糖…大さじ1/2 酒…大さじ 1 醤油…大さじ1/2

作り方

1.

乾燥ひじきを水でもどす。 2. 鍋ににんじん、しいたけと水(材料がひたるぐらい)を入れ、先に 火を通しておく。 3.ひじき、大豆水煮、だし汁、酒、醤油、砂糖を加えてさっと煮る。 4.砂糖で味を整えて完成。

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五性・五味

五性 五味 熱 温 平 涼 寒 酸 苦 甘 辛 塩 乾燥ひじき ○ ○ 大豆水煮 ○ ○ にんじん ○ ○ ○ しいたけ ○ ○ 砂糖(白) ○ ○ 酒 ○ ○ ○ ○ 醤油 ○ ○

効能

ひじきには体内の余分な熱を収め、濁りを取る働きがあります。大 豆は胃腸の働きを助け、利尿を促します。しいたけや醤油も体内の余分 な熱を収めます。

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麻婆なす

材料(1人前)

なす…1本 ピーマン…2個 玉ねぎ…1/2個 にんじん…1/2本 鶏ひき肉…100g ニンニク…1かけ 生姜…1かけ 水溶き片栗粉…適量 【調味料】 菜種油…大さじ2 トウバンジャン… 大さじ1 醤油… 大さじ1 酒…大さじ2 中華だし…適量

作り方

1.

野菜を好みの大きさに切る(ニンニクと生姜はみじん切り)。 2.なすとにんじんを多めの油で揚げ焼きにしておく。 3.ニンニク・生姜・ひき肉を炒め、ひき肉の色が変わったら玉ねぎも 合わせて炒める。 4.玉ねぎがしんなりしてきたら、ピーマン・なす・にんじんを合わせ て炒め、混ぜておいた調味料を加える。 5. 仕上げに水溶き片栗粉を回しがけして完成。

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五性・五味

五性 五味 熱 温 平 涼 寒 酸 苦 甘 辛 塩 なす ○ ○ ピーマン ○ ○ ○ 玉ねぎ ○ ○ ○ にんじん ○ ○ ○ 鶏ひき肉 ○ ○ ニンニク ○ ○ 生姜 ○ ○ 菜種油 ○ ○ トウバンジャン ○ ○ 醤油 ○ ○ 酒 ○ ○ ○ ○

効能

なすや玉ねぎは利尿を促し、気のめぐりを良くします。なすやピーマ ンには熱を収める働きがありますが、体を冷やしすぎないよう、生姜や ニンニクを加えましょう。また、鶏肉とにんじんは胃腸を丈夫にします。

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54

夏のレシピ

8~9月中旬

セロリと鶏ムネ肉のマヨネーズ焼き…

56

ラタトゥイユ…

58

キュウリのラー油漬け…

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スイカのシャーベット…

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55

夏の食養生

●夏の自然気象の特徴は「暑」で、湿度が高く蒸し暑く、過しにくい日々 が続きます。五行では「火」に属します。この日光で植物は成長し、 一気に実を付けます。 ●日照時間が長く「陽」の気をより多く蓄える時期ですが、気が不足 している人は体内に熱がこもりがちです。そのため体のむくみや吹き 出物に悩まされることがあります。また過剰にかく汗は津液(「陰」 の気)を失うので、喉渇き、唇の乾燥、舌の乾燥の原因となります。 ●体内の余分な「熱」と「湿」を除き、汗で失った体液を補充してくれ る食べ物、すなわち「清せ い熱ね つ」作用のある食材を積極的に取ることが大 切です。

夏の食材とその効果

清熱せ い ね つ解暑げ し ょ:体の暑熱と暑湿を取り除く。 もやし 緑豆 ゴーヤ スイカ メロン 清熱解毒:解毒、皮膚の消炎、解熱、抗菌する。 蕎麦 大豆 黒豆 緑豆 小豆 豆腐 セロリ 冬瓜 なす ゴーヤ にんじん もやし キウイ スイカ カニ シジミ 海藻類 味噌 醤油 塩 清熱瀉し ゃ火か :消炎、抗菌、解毒。特に熱中症を予防する。 しいたけ セロリ 冬瓜 ゴーヤ 柿 スイカ 梨 レモ ン 緑茶 氷砂糖 養心安定:暑さによるイライラを抑える。 小麦 鶏卵 豚の心臓(ハツ) はちみつ

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セロリと鶏ムネ肉のマヨネーズ焼き

材料(2人前)

セロリ…1本 アスパラガス…1本 パン粉…尐々 鶏ムネ肉…100g コーン缶…50g マヨネーズ…適量 塩…尐々 コショウ…尐々

作り方

1.ムネ肉をゆで、裂く。 2.セロリとアスパラガスは繊維を断ち切るよう5mmほどに切る。 3.具材をマヨネーズで合える。全体に絡む程度に好みで。 4.塩・コショウ、パン粉をふりかける。 5.オーブントースターで10分ほど焼いて完成。

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57

五性・五味

五性 五味 熱 温 平 涼 寒 酸 苦 甘 辛 塩 セロリ ○ ○ ○ ○ アスパラガス ○ ○ ○ ○ 鶏ムネ肉 ○ ○ コーン缶 ○ ○ 塩 ○ ○ コショウ ○ ○

効能

セロリは食物繊維を多く含むため、便通が良くなります。また、 カリウムの利尿作用により、血圧を下げる効果もあります。更に、肝に こもった余分な熱を収め、夏バテを予防し、食欲を増進させます。特に 葉にビタミン・ミネラルが多く含まれます。料理に活用するのがよいで しょう。アスパラガスの苦味は体内の余分な熱と湿を取り去ります。

(59)

58

ラタトゥイユ

材料(1人前)

トマト缶…1缶(正味量240g) なす…1/2本 玉ねぎ…1個 にんじん…1本 ズッキーニ…1/2本 しめじ…50g ニンニク…1かけ 冬瓜…1/8個 大豆水煮…50g ベーコン…50g オリーブオイル…適量 水…100ml

作り方

1.野菜・ベーコンを1cm角に切る。ニンニクは薄く切る 2.熱したフライパンにオリーブオイルをひき、ニンニクとにんじんを 炒める。 3.ニンニクの香りがしてきたら、玉ねぎ・ベーコンを入れる。 4.玉ねぎのが透明になったら、残りの野菜も全て入れ炒める。 5.全体に火が通ったら、トマト缶と水を入れる。 6.煮汁が約1/4になったら火を止め、塩・コショウで味付けし完成。

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五性・五味

五性 五味 熱 温 平 涼 寒 酸 苦 甘 辛 塩 トマト ○ ○ ○ なす ○ ○ 玉ねぎ ○ ○ ○ にんじん ○ ○ ○ しめじ ○ ○ ニンニク ○ ○ 冬瓜 ○ ○ 大豆水煮 ○ ○ 水 ○ ○

効能

トマトは食欲を高め、玉ねぎは新陳代謝を促します。なすには血流を 良くする作用があり、この作用は毛細血管の血の巡りをよくするトマト の働きとの相乗効果により、体全体の血の循環がよくなります。 ラタトゥイユには様々な野菜を調理できますので五臓の働きに調和 がとれます。季節ごとに野菜の種類を変えれば、1年中楽しめる料理で す。 ご飯、パン、パスタなど何に合わせても美味しくいただけます。

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60

キュウリのラー油漬け

材料(1人前)

キュウリ…1本 もやし…30g ラー油…適量 ゴマ油…大さじ1 ポン酢…大さじ3

作り方

1.キュウリを麺棒などでたたき、一口大にする。 2.ジップロックなどにキュウリ・ゴマ油・ポン酢を入れ軽く揉む。 3.冷蔵庫で十分冷やせば完成。

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61

五性・五味

五性 五味 熱 温 平 涼 寒 酸 苦 甘 辛 塩 キュウリ ○ ○ もやし ○ ○

効能

キュウリは90%が水分でできており、のどの渇きを潤します。ラ ー油に含まれている唐辛子が食欲を促進し消化を助けますが、体に熱が こもり、各臓器に強い刺激を与えてしまうおそれがありますため、食べ 過ぎには注意しましょう。

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62

スイカのシャーベット

材料(1人前)

スイカ…100g プレーンヨーグルト…100g はちみつ…大さじ1 レモン汁…適量

作り方

1.スイカを適当な大きさに切り、スプーンでつぶして種を取る。 2.ヨーグルト、はちみつ、レモン汁を加えて混ぜる。 3.冷凍庫に入れ、30分に一度ほど混ぜながら、シャキシャキになる まで凍らせて完成。

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63

五性・五味

五性 五味 熱 温 平 涼 寒 酸 苦 甘 辛 塩 スイカ ○ ○ プレーン ヨーグルト ○ ○ ○ はちみつ ○ ○ レモン汁 ○ ○ ○

効能

利尿・排便・新陳代謝に効果的です。余分なナトリウムを排出する ことから、血圧の低下、美肌効果が望まれます。またスイカのリコピン が抗老化作用を発揮します。ヨーグルトは総じて美容によいとされてい ます。ただし、食べ過ぎると体の芯を冷やしてしまうので注意が必要で す

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64

秋のレシピ

9月末~11月

秋の蕎麦…

66

ごぼうとにんじんのマヨネーズ和え…

68

しめじと山芋の味噌汁…

70

鯖の生姜煮…

72

れんこんとブロッコリーの酢の物…

74

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65

秋の食養生

●秋の自然気象の特徴は「燥」で、五行では「金」にあたります。 ●この季節は、湿度の高い夏から乾燥した秋への急激な変化で「肺」に 負担がかかりやすくなります。東洋医学の「肺」は呼吸機能ならびに 一部の水分代謝、血液循環、体温調節等の生理的機能を包括していま す。体調が優れないと乾燥した空気が肺に侵入し、肺や身体の水分が 損なわれ、症状として咳・鼻水・咽の痛み・声がれ・無汗・尿量減尐・ 皮膚の乾燥の原因となります。 ●対策は、「補肺潤燥ほ は い じ ゅ ん そ う」といい、肺の陰液(水分)を補い、身体を潤す 作用のある食物を積極的に摂ることです。また気や血の流れを促進し、 発汗、発散の作用のある五味の「辛」の食材を取り入れると肺気の巡 りを活発にし、効果的です。

秋の食材その効果

補陰:体液を補充し乾燥を防ぎ、全身に栄養を与える。 山芋 イカ 貝柱 タコ いちじく 梨 ビワ バナナ 鴨肉 鶏肉 鶏卵 豚肉 レバー 蕎麦 黒ゴマ 黒豆 豆腐 豆乳 生 津 せいしん :消化液、関節腔や腹腔内の液、涙、尿などすべての体液を補充 れんこん 柿 キウイ パイナップル ビワ ブドウ ミカン メロン 桃 イチゴ りんご レモン 豆腐 緑豆 牛乳 化けたん痰:気道などに停滞した液体(痰)を取り除く。 大根 マッシュルーム アスパラガス(緑) にんじん 柚子 さといも 海苔 アナゴ カニ ハマグリ 梨 バナナ ミカン いちじく 金柑 ビワ メロン 小豆 枝豆 黒豆 大豆 銀杏 落花生 牛乳 鶏肉 湯葉

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66

秋の蕎麦

材料(1人前)

蕎麦(乾・生麺両方可)…1 人前 ほうれん草…1/4束 海苔…適量 鶏ムネ肉…40g 麺つゆ(三倍濃縮)…約60ml 水…200ml ねぎ…適量 いりゴマ…適量 塩…尐々 コショウ…尐々

作り方

1.お湯を沸かし、ほうれん草をゆで、水にさらしてアクを抜いておく。 2.鶏ムネ肉をゆでる。鶏ムネ肉を湯切りし、塩・コショウをしておく。 3.水と麺つゆを煮立たせ、固めにゆでた蕎麦とねぎを切っていれ、 火を消す。 4.お皿に移し、ほうれん草、鶏ムネ肉、海苔を入れて完成。

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67

五性・五味

五性 五味 熱 温 平 涼 寒 酸 苦 甘 辛 塩 蕎麦 ○ ○ ほうれん草 ○ ○ 海苔 ○ ○ ○ 鶏ムネ肉 ○ ○ 水 ○ ○ ねぎ ○ ○ いりゴマ ○ ○ 塩 ○ ○ コショウ ○ ○

効能

補陰のある蕎麦、ほうれん草、鶏肉をメインにした料理です。補陰と は全身の臓腑器官に対し滋養、潤いを行き渡らせる働きのことです。秋 の乾燥の時期に適しています。また蕎麦には血管や粘膜を丈夫にするル チン、ビタミンB1とB2とが豊富で抵抗力を高める作用があります。ほ うれん草には血の巡りを良くし、五臓の働きを円滑にする効能がありま す。

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68

ごぼうとにんじんのマヨネーズ和え

材料(2人前)

ごぼう…1本 にんじん…1/2本 ゴマ…小さじ1 酢(酢水用)…尐々 酢…大さじ1 マヨネーズ…大さじ1 【お好みで】 味噌…小さじ2 砂糖…小さじ2

作り方

1.

ごぼうをたわしで良く洗う。ごぼうとにんじんの皮をむき、細く 斜め切りにする。 2. 鍋に酢水を沸かしごぼうをゆで、約2分後にんじんを加え尐し歯 ごたえが残るくらいゆでる。 3.水気を切り、酢・マヨネーズ・ゴマを混ぜたものと和える。 4.お好みで味噌と砂糖を入れて完成。

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69

五性・五味

五性 五味 熱 温 平 涼 寒 酸 苦 甘 辛 塩 ごぼう ○ ○ ○ にんじん ○ ○ ○ ゴマ ○ ○ 酢(米) ○ ○ ○ ○ 味噌 ○ ○ 砂糖(白) ○ ○

効能

にんじんには「化痰」の効果があります。秋の野菜であるごぼうには 身体を温め、解熱、発汗利尿の効果があります。また不溶性の食物繊維 豊富のため便秘の解消、コレステロールの排出を促進します。

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70

しめじと山芋の味噌汁

材料

豆腐…半丁 山芋…50g しめじ…1/3房 青ねぎ…適量 水300ml 昆布5g 削り節10g 味噌…20g

作り方

1. 水300mlをいれた鍋に昆布を入れ 1 時間弱つけてふやかす。 2.火にかけ、沸騰直前に昆布を引き上げる。 3.沸騰したところに削り節を一度に入れ、火を消す。削り節が沈んだ ら取り除す。 4.山芋・豆腐を一口サイズに切り、ねぎは斜め切りにする。しめじは 石づきを切り落とし、小房にしておく。 6.だし汁に山芋を入れ火にかけ柔らかくなるまで煮、しめじと豆腐を いれ、味噌をとく。 7.最後にねぎを入れ、火を消し、完成。

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五性・五味

五性 五味 熱 温 平 涼 寒 酸 苦 甘 辛 塩 豆腐 ○ ○ ○ 山芋 ○ ○ しめじ ○ ○ 青ねぎ ○ ○ 水 ○ ○ 昆布 ○ ○ 味噌 ○ ○

効能

「補陰」、「生津」の働きを持つ豆腐と、「補陰」の働きを持つ山芋の 味噌汁です。秋野菜の山芋には衰弱した肺の機能を高めたり、肌を潤し たり、胃腸を丈夫にし、吸収力を高め体力をつける効能があります。ま た、秋野菜しめじにはカルシウムの吸収を助け、骨粗しょう症の予防に 効果のあるビタミンDを含みます。

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鯖の生姜煮

材料(2人前)

鯖…2切 生姜 …1/4かけ以上(多め) 酒:醤油:みりん=2:1.5:1 (目安酒10g、醤油7.5g、みりん5g)

作り方

1.生姜を薄めに切ります。 2.鯖にお湯をかけ臭みを取る。 3.鍋に酒:醤油:みりん=2:1.5:1の割合で混ぜ、生姜をいれ 尐し煮立たせる。 4. 鯖を並べ、水をひたひたになるまで(水っぽくならないように注意) いれじっくり煮て完成。

参照

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