キムチ鍋… 78
野菜の煮物… 80
栗と海老のまぜご飯… 82
ねぎのピリ辛炒め… 84
にんじんのカップケーキ… 86
77
冬の食養生
●冬の自然気象の特徴は「寒」で、五臓では「腎」に関係します。冬は 寒く自然界の陽気が減尐し、生物は活動を停止し春を待ちます。
●陰気が盛んになる季節で、エネルギー代謝が低下し、「腎陽虚」にな りやすくなり、性・腎機能低下を引き起こします。自然気象の寒に侵 されると、悪寒、腹痛、下痢、手足や腰の冷えなどの症状が起こりま す。また、体内を巡って生命活動を維持する「気・血・津液」は、陽の 気によって循環が促進されるため、邪気が侵入するとその陽の気が滞 ります。
●冬は体を温めるもので、気・血の巡りを良くする必要があります。
冬の食材その効果
補陽祛ほ よ う き ょ寒か ん:陽を補い、全身や局所の冷えを取り除く。
栗 くるみ にら 海老 ねぎ ゴマ さんしょう 生姜 トウガラシ ニンニク 黒砂糖 酒 紅茶 ラッキョ 補気:各器官の生理的な機能を促進し、体力を増強する。
大麦 小麦 ジャガイモ 山芋 大豆 豆腐 栗 しいたけ もやし にんじん パイナップル ブドウ モモ 海老
辛し ん温お ん解表げ ひ ょ う:悪寒、頭痛、発熱、身体痛の症状を発汗し、解熱する。
コショウ 生姜 ねぎ
補血:全身に栄養を与え、造血機能を促進する。
小麦 黒豆 ゴマ キャベツ にんじん ほうれん草 ブドウ アナゴ イカ ウナギ 貝柱 うずらの卵 牛乳 牛肉
健脾け ん ひ:胃腸を整え消化吸収を促進する。
栗 ジャガイモ 山芋 そら豆 大豆 豆腐 トマト にんじ ん いちじく サクランボ パイナップル りんご 貝柱
78
キムチ鍋
材料(1 人前)
キムチ…適量 生姜…1/4個
ねぎ…1把 白菜…1/5把 水菜…3~4枚
春菊…1把
作り方
1.ねぎ、白菜、水菜、春菊を一口大の大きさに切る。
2. 鍋に350 mlのお湯にすりおろした生姜とキムチを入れる。
3. 具を鍋に入れ10分程煮込み完成。
79
五性・五味
五性 五味
熱 温 平 涼 寒 酸 苦 甘 辛 塩
生姜 ○ ○
ねぎ ○ ○ ○
白菜 ○ ○
春菊 ○ ○ ○
効能
辛温解表の働きのある食材を使用しています。たくさん汗をかいた後 のお腹を触ってみてください。冷えて冷たいのがよくわかります。
ねぎは、寒気のある風邪を追い払うのに効果的です。また、白菜は通 便をよくする働きがあります。白菜の根の部分には、ガン予防に効果の あるモリブデンや、アレルギー解消によいビタミンB6が多く含まれて います。根の芯の固い部分を取り除き、残りは食べるとよいでしょう。
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野菜の煮物
材料(1人前)
さといも…1/4個 にんじん…1/4本
しいたけ…1個 ブロッコリー…1/8房
黒豆…15g 醤油…50 ml 黒砂糖…大さじ1 結び昆布(だし用)…3個
作り方
1.黒豆を1時間程水で戻す。
2. さといも、にんじん、しいたけ、ブロッコリーを一口大の大きさに 切る。
3. 黒豆、さといも、にんじん、結び昆布をやわらかく煮たところに しいたけとブロッコリーを入れ醤油、砂糖で味付けをする。
4.煮詰めて完成。
81
五性・五味
五性 五味
熱 温 平 涼 寒 酸 苦 甘 辛 塩
さといも ○ ○
にんじん ○ ○ ○
しいたけ ○ ○
ブロッコリー ○ ○
黒豆 ○ ○
醤油 ○ ○
黒砂糖 ○ ○
結び昆布 ○ ○
効能
補気の働きのある冬が旬の食材を使用しています。これは、エネルギ ーの低下の解消や体力をアップさせます。元気がない、気力がない、疲 れやすいときに適しています。
さといもは、魚や昆布と一緒に煮ると、胃腸の働きを助け、気を補い ます。また、さといもには健脾の働きがあります。健脾とは、胃腸を整 え消化吸収を促進する働きです。
82
栗と海老の混ぜご飯
材料(1人前)
米…1合 栗…2個 にら…1把 海老…3尾 にんじん…1/5本
しいたけ…1個 だし…適量
作り方
1.栗の皮をむく。
2. しいたけとにんじんを千切りにする。にらはみじん切りにする。
3. お米と一緒に栗、しいたけ、にんじん、海老、だしを入れて炊く。
4.炊きあがったらにらを入れ数分蒸らす。その後かき混ぜ完成。
83
五性・五味
五性 五味
熱 温 平 涼 寒 酸 苦 甘 辛 塩
米 ○ ○ ○
栗 ○ ○
にら ○ ○ ○
海老 ○ ○
にんじん ○ ○ ○
しいたけ ○ ○
効能
補陽の働きのある食材を使っています。これらの食材には循環を促し、
中枢神経の機能を高める効果があります。エネルギー代謝を促進する働 きにより、手足の冷えや寒証を和らげます。冬は腎の働きが重要な季節 です。補陽効果のある食材を多く摂りましょう。
84
ねぎのピリ辛炒め
材料(1人前)
ねぎ…2把 ピーマン…1個 トウガラシ…尐々 ニンニク…1かけ
作り方
1.ねぎをざく切りにする。ピーマンは千切りにする。
2. ニンニクの皮をむき、みじん切りにする。
3. ねぎとピーマンとニンニクを油で炒め、トウガラシをふりかけ完成。
85
五性・五味
五性 五味
熱 温 平 涼 寒 酸 苦 甘 辛 塩
ねぎ ○ ○ ○
ピーマン ○ ○ ○
トウガラシ ○ ○
ニンニク ○ ○
効能
ねぎ、ピーマン、トウガラシ、ニンニクには温裏祛寒作用があります。
温裏祛寒とは全身や局所の冷えや寒さを取り除く働きです。冷えが原因 の吐き気、下痢、嘔吐、腹痛に効きます。
トウガラシには、新陳代謝を促す働きや、発汗作用があります。これ により、肌の老廃物を体外に排出させます。トウガラシには、ビタミン とカロチンが豊富です。ピーマンにはビタミンDが多く含まれており、
ニンニクは、ビタミン豊富な緑黄色野菜を組み合わせて食べることで動 脈硬化や老化の防止につながります。
86
にんじんのカップケーキ
材料(1人前)
にんじん…1/4本 牛乳…小さじ1 うずらの卵…2個
小麦粉…60g 黒砂糖…10g サラダ油…尐々
作り方
1.にんじんをすりおろし、水気を絞る。
2. ボールに小麦粉と黒砂糖をふるいながら入れる。
3. 2にうずらの卵を入れ、切るように混ぜる。そこに、牛乳とサラダ 油、1を入れ混ぜる。
4.生地をカップに流し込み、180度のオーブンで25分程度焼いた ら完成。
87
五性・五味
五性 五味
熱 温 平 涼 寒 酸 苦 甘 辛 塩
にんじん ○ ○ ○
牛乳 ○ ○
うずらの卵 ○ ○
小麦粉 ○ ○ ○
黒砂糖 ○ ○
効能
補血の働きがある食材を使用しています。血の不足が原因で現れる症 状(顔色が悪い、皮膚につやがない、頭がぼーっとする、視界がぼやけ る(血虚))に効果があります。
うずらの卵は、他の卵より栄養価が高いです。にんじんには、β-カ ロテンが多く含まれています。β-カロテンの尐量摂取は、抗ガン作用 があります。
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プロジェクトメンバーの紹介
永井俊行(ながい・としゆき)
同志社大学工学部機能分子工学科在籍。「薬膳について」「季節の食養生 のポイント」を担当。コメント:本書をお読みにいただきありがとうご ざいます。「 正 し い 食 事 の 知 識 を 習 得 し 、 健 康 に 生 き 抜 く 知 恵 を 身 に つ け る こ と 」 を 大変期待しております。
森 彩花(もり・あやか)
同志社大学文化情報学部文化情報学科在籍。「コラム~陰陽って?~」「病 気になりにくい体質って?」「冬のレシピ」を担当、プロジェクト科目リ ーダー。コメント:私たちは一年間食育と健康について学びました。健 康な生活を送るためにどうすべきか、薬膳をより多くの人に知ってもら いたいという願いを込めて作成しました。
岡部 千紘(おかべ・ちひろ)
同志社大学政策学部政策学科在籍。「未病について」「コラム~東洋医学 と西洋医学~」「夏のレシピ」を担当、菜園リーダー。コメント:本書が、
健康と食事の関連や予防の大切さを意識するきっかけになればと思って います。薬膳を実践に移し、楽しい食生活を送っていただけたら幸いで す。
梁 亜希美(りょう・あきみ)
同志社大学文学部英文学科在籍。「天寿とは」「五行相関図」、イラストを 担当。コメント:薬膳は一般的なイメージよりも簡単で美味しく、実生 活に密着しています。是非、試してみて下さい。